JP4325846B2 - 分光器およびこの分光器を備えたレーザ装置 - Google Patents

分光器およびこの分光器を備えたレーザ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エタロンを用いた分光器およびこの分光器を備えたレーザ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
回路パターンを半導体ウェーハ上に光転写する光リソグラフィ技術は、LSIの集積化を図る上で重要である。光リソグラフィに用いられる露光装置は、主に、ステッパと呼ばれる縮小投影露光方式によるものが使用されている。すなわち照明光源により照らされた原画(レチクル)パターンの透過光を縮小投影光学系により半導体基板上の光感光性物質に投影して回路パターンを形成するというものである。
【0003】
半導体集積回路の微細化、高集積化に伴い、露光装置においては解像力の向上が要請されている。露光装置における投影像の分解能は、用いられる光源の波長で制限される。このため近年、光源の波長は紫外領域へと次第に短波長化してきており、露光用光源から放出される露光用光の短波長化がすすめられ、パターン線幅がより微細化されている。
【0004】
近年は深紫外領域の光(DUV光)を発振するKrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)が光源として使用され、あるいは真空紫外領域の光(VUV光)を発振するF2レーザ(波長157nm)が光源として開発されている。
【0005】
露光装置の光学系は、上述したように一般的に投影光学系を採用したものが多い。投影光学系では、異なる屈折率のレンズ等の光学素子を組み合わせて色収差補正が行われる。しかしレーザ装置が放出するレーザ光の波長域では、CaF2以外に透過率等の値が適切な値をもつ光学材料がなく、色収差補正が困難な状況にある。よってレーザ装置においては、放出するレーザ光のスペクトルの狭帯域化が必要とされる。スペクトルの指標値には、スペクトル線幅、スペクトル純度、スペクトル標準偏差、コントラストロスといったものがある。レーザ光の狭帯域化により、これらスペクトルの指標値を常に小さく維持する必要がある。またレーザ光の発振中心波長も厳密に所望の波長に維持する必要がある。
【0006】
図10は、狭帯域化レーザ装置の構成を示している。
【0007】
図10のレーザ装置はF2レーザ装置を想定している。F2レーザ装置では、レーザチャンバ40内に、F2レーザを励起する媒質としてのフッ素ガスF2と、ヘリウムHe、ネオンNe等のバッファガスとからなるレーザガスが充填されている。
【0008】
すなわち図示しないフッ素ガス用ボンベがガス供給ライン46を介してレーザチャンバ40に連通している。同様に図示しないバッファガス用ボンベがガス供給ライン45を介してレーザチャンバ40に連通している。またレーザチャンバ40は排気ライン47を介しフッ素トラップを経て外気に連通している。
【0009】
ガス供給ライン45、ガス供給ライン46、排気ライン47上にはそれぞれバルブV1、V2、V3が設けられている。コントローラ30は、バルブV1、V2、V3の開口量を調整して、レーザチャンバ40内へのバッファガス、フッ素ガスF2の供給量を制御するとともに、レーザチャンバ40から外気へのレーザガスの排出量を制御する。
【0010】
レーザチャンバ40内には所定の距離だけ離間されて一対の電極41a、41bが対向して配置されている。一対の電極41a、41bは、図10の図中、上下に設けられており、左右方向が長手方向となるカソード電極とアノード電極である。
【0011】
高電圧パルス発生装置としての電源50にコントローラ30からパルス発生指令が加えられると、この電源50は、電極41a、41b間に高電圧を印加する。これにより電極41a、41b間の放電部49で放電が発生しレーザガスが励起しレーザ光Sが生成される。
【0012】
レーザチャンバ40内には図示しないファンとラジエータが設けられている。レーザガスは上記ファンによってレーザチャンバ40内で循環し、放電により高温となったガスは上記ラジエータによって冷却される。
【0013】
レーザチャンバ40の図中左端、右端には、両者がハの字となるブリュースタ角度をもって、あるいは両者が平行となるブリュースタ角度をもって、チャンバウインドウ48a、48bがそれぞれ設けられている。
【0014】
狭帯域化モジュール60は、一方のウインドウ48a側にあってレーザチャンバ40外に設けられている。
【0015】
狭帯域化モジュール60は、回折格子(グレーティング)62と、1個若しくは複数個のプリズムからなるビーム拡大器61とから構成されている。回折格子62は、波長選択機能を備え、レーザ光Sのスペクトルを狭帯域化する。回折格子62は、コントローラ30によりその回転角度が駆動制御され、回折格子62へのレーザ光Sの入射角度が変化する。回折格子62へのレーザ光Sの入射角度が変化することによって、レーザ光Sの発振中心波長が変化する。なお回折格子(グレーティング)ではなく、狭帯域化モジュール60内のいずれかのプリズムを回転させることによってもレーザ光Sの発振中心波長を変化させることができる。
【0016】
なお狭帯域化モジュール60を、回折格子62とビーム拡大器(プリズム)61の代わりに、リアミラーとエタロンとにより構成してもよい。この場合、エタロンの回転角またはエタロンギャップ間のガス圧力(気体の屈折率)を変化させることにより、レーザ光Sの発振中心波長が変化する。
【0017】
レーザチャンバ40外にあって他方のウインドウ48b側には、フロントミラーとしての出力ミラー42が設けられている。また出力ミラー42のレーザ光出射側には、ビームスプリッタ43が設けられている。
【0018】
回折格子62はリアミラーとして機能し、回折格子(リアミラー)62とレーザチャンバ40内の放電部49と出力ミラー(フロントミラー)42とによってレーザ共振器が構成される。レーザチャンバ40内で生成されたレーザ光Sは、回折格子62と、放電部49と、出力ミラー42との間を往復移動する。これによりレーザ光Sは狭帯域化され、出力ミラー42、ビームスプリッタ43を透過して、狭帯域化されたレーザ光Sとして露光装置側に出射される。
【0019】
出力ミラー42から出射されたレーザ光Sの一部は、ビームスプリッタ43により反射され、分岐されて、モニタモジュール20に入射される。
【0020】
モニタモジュール20は、後述するエタロン分光器21とデータ処理器22とからなる。
【0021】
モニタモジュール20では、レーザ光Sの出力(パワー)、発振中心波長、スペクトル線幅等が計測され、計測されたデータがコントローラ30に送出される。
【0022】
コントローラ30は、モニタモジュール20で計測されたレーザ光Sの発振中心波長のデータに基づいて、所望の発振中心波長が得られるように、狭帯域化モジュール60内の回折格子62の回転角度を駆動制御する。
【0023】
またコントローラ30は、モニタモジュール20で計測されたレーザ光Sの出力(パワー)のデータに基づいて、所望のレーザ出力が得られるように、電源50にパルス発生指令を与えるとともに必要に応じてバルブV1、V2、V3の開口量を変化させて、電極41a、41b間の印加電圧値、レーザチャンバ40内のレーザガスの圧力を制御する。
【0024】
またコントローラ30は、モニタモジュール20で計測されたレーザ光Sのスペクトル線幅のデータに基づいて、所望のスペクトル線幅が得られるように、バルブV2の開口量を変化させて、レーザチャンバ40内のフッ素ガスF2の濃度を制御する。
【0025】
このレーザ装置では、波長選択素子として回折格子62を用いている。この構成によれば、レーザ共振器内に波長選択素子として回折格子62が配置されるため、レーザ出力が著しく低下するおそれがある。このため大きな電源50を介して大きな電気入力を注入しなければならず、電極41a、41bなどに大きな負担がかかりレーザ装置の寿命が短くなるおそれがある。また波長選択素子としての回折格子62には寿命があり、メンテナンス費用が高額となる。
【0026】
このため、このような一段のレーザチャンバからなるレーザ装置ではなく、二段のレーザチャンバからなる注入同期(インジェクションロック)方式やMOPA方式のレーザ装置が、上述した欠点もなく比較的大きなレーザ出力が得られることから、近年、注目されている。
【0027】
さて上述したレーザ装置で、レーザ光Sの発振中心波長、レーザ出力、スペクトル線幅等をリアルタイムに正確に制御するためには、モニタモジュール20のエタロン分光器21で、レーザ光Sの発振パルス毎に、発振中心波長、レーザ出力、スペクトル線幅等を精度よく高速に計測することが必要となる。
【0028】
【従来技術1】
エタロンを用いてレーザ光の発振波長を計測する技術は、後掲する特許文献1、2に記載されている。
【0029】
エタロンを用いてレーザ光の発振波長を計測する技術は、ファブリ・ペロ干渉計の理論に基づく。ファブリ・ペロ干渉計の理論について、図1を併せ参照して説明する。
【0030】
同図1はエタロン9の構造を示している。エタロン9は、一対の対向する光学基板2、2を備えている。光学基板2、2の対向面には、部分反射コーティング1が施されている。光学基板2、2は、精密に厚さが管理されたスペーサ3を介して所定の間隙(エアギャップ)をあけて対向している。各光学基板2、2は、エタロン保護筐体5内で固定されている。各光学基板2、2は、たとえばシリコン製接着剤4を用いて、エタロン保護筐体5の内壁に接着されている。適度な弾力性、保持力、安定性を持ち、かつ有害なアウトガスの少ないものであればシリコン製接着剤以外の接着剤を用いて接着してもよい。
【0031】
エタロン9による波長の計測は、つぎのファブリ・ペロ干渉計の基本式に基づいて行われる。
【0032】
mλ=2nd・cosθ …(1)
ここで、mは次数(整数)であり、dは光学基板2、2間のエアギャップの距離であり、nはエアギャップ間の気体の屈折率であり、θはエタロン9の部分反射コーティング面の法線と入射光の光軸とがなす角つまりフリンジ角である。
【0033】
図2(a)はエタロン9を透過した光を結像させるによって得られるフリンジ像のフリンジ波形7を示している。
【0034】
図2(a)に示すように、レーザ光Sがエタロン9に入射されるとエタロン9の各光学基板2を透過して分光される。分光された光は結像レンズ6により集光される。結像レンズ6は、結像面でフリンジ像を結像する。
【0035】
波長λの入射光Sは、m、d、nで定まるフリンジ角θでエタロン9から出射され、結像面でフリンジ角θに応じたフリンジ波形7の山8として観測される。
【0036】
ここでフリンジ波形7とは、エタロン9で分光された光が結像レンズ6により集光したときに形成される光強度の同心円状の強弱パターン(干渉縞)のことである。
【0037】
ここで、フリンジ波形7の光強度分布は、結像面にラインセンサを配置して検出することができる。本明細書において「ラインセンサ」とは、たとえばCCDなどの半導体イメージセンサのことであり、複数の画素が横方向(長手方向)に配列されており、横方向に沿った光強度の分布を検出する。
【0038】
図2(b)はラインセンサの横方向に沿って観測されるフリンジ波形7の光強度分布を示している。
【0039】
ラインセンサ上の光強度分布からフリンジ波形7の山8の位置が、中心からの距離rとして検出される。結像レンズ6の焦点距離fと、距離rと、フリンジ角θとの間には、次式の関係が成立している。
【0040】
θ=sin-1(r/f) …(2)
よって上記(2)式から距離r、焦点距離fに応じたm、d、nで定まるフリンジ角θが求められ、上記(1)式から入射レーザ光Sの波長λが計測される。同様にしてフリンジ波形7の光強度分布をラインセンサで検出することにより、レーザ光Sのスペクトルの狭帯域化の指標値としてのスペクトル線幅、スペクトル純度、スペクトル標準偏差、コントラストロスなどが計測ないしは計測結果に基づき計算される。
【0041】
図3(a)、(b)はエタロン分光器21の構成例を示している。図3(a)はラインセンサ11の横方向が図中上下方向となる矢視方向で示した図であり、図3(b)はラインセンサ11の縦方向が図中上下方向となる矢視方向で示した図である。
【0042】
これら図3に示すように、レーザ光Sの光軸に沿って、入射側より順に、拡散板10、エタロン9、結像レンズ6、ラインセンサ11が配置されている。
【0043】
拡散板10は、たとえば石英やCaF2結晶基板の表面を粗く研磨して表面を梨地状にした、すりガラス基板が用いられる。
【0044】
レーザ光Sのビームは拡散板10に入射され拡散板10により拡散されて出射される。
【0045】
ここで拡散板10による効果は以下のとおりである。
【0046】
1)入射ビームの空間的な光量分布を均一化する。
【0047】
2)入射ビームの角度をランダムに分布させる。
【0048】
すなわち、拡散板10の後段(レーザ光出射側)に配置されるエタロン9に、入射ビームの空間的な光量分布、入射ビームの角度に依存しない光を提供し、レーザ光のスペクトルを正確に計測できるようにする。
【0049】
また拡散板10はつぎのような副次的な作用が生じる。
【0050】
3)入射ビームの空間的なコヒーレンスが低下するとともに偏光がランダムになる。
【0051】
拡散板10で拡散されたレーザ光Sはエタロン9に入射され、エタロン9を透過することによりレーザ光Sが、上述したファブリ・ペロ干渉により分光される。エタロン9で分光されたレーザ光Sは結像レンズ6に入射されフリンジ像を結像レンズ6の焦点距離fの位置に結像させる。結像レンズ6からその焦点距離fだけ離間された位置にはラインセンサ11が配置されている。ラインセンサ11は、たとえば横方向に512個の画素が直線状に配列され、縦方向の画素サイズが0.4mmで横方向の画素サイズが0.025mmのものが用いられる。
【0052】
ラインセンサ11上にはフリンジ像が結像され、フリンジ波形7の光強度分布が横方向に配列された各画素によって検出される。
【0053】
【従来技術2】
エタロン分光器は、後掲する特許文献3に記載されている。
【0054】
従来のエタロン分光器21で、コヒーレントなレーザ光Sの発振中心波長等を計測しようとする場合、スペックルノイズが発生し計測精度が低下するという問題がある。
【0055】
すなわち上述したように拡散板10で、「入射ビームの空間的なコヒーレンスが低下するとともに偏光がランダムになる」という副次的な作用3)が生じる。これによりフリンジ像の結像面であるラインセンサ11上でランダムなスペックルノイズが発生する。図2(b)に示すように、スペックルノイズ17は、フリンジ波形7上に重畳したノイズとして観測され、フリンジ波形7を局所的に変形させる。このためフリンジ波形7をラインセンサ11で精度よく検出することができず、レーザ光Sの発振中心波長、スペクトル線幅等の計測が精度よく行われなくなる。
【0056】
スペックルノイズがラインセンサの検出精度に及ぼす影響を低減させる技術に、以下に掲げるものがある。
【0057】
【従来技術3】
拡散板10を振動させたり回転させることによって、ラインセンサ11上で観測されるレーザ光Sを時間で積分することにより、上述した「入射ビームの空間的なコヒーレンスが低下するとともに偏光がランダムになる」という副次的な作用3)を抑制してスペックルノイズを低減させる技術がある。下記非特許文献1には、拡散板を振動させることによりスペックルノイズの影響を低減せんとする技術が記載されている。
【0058】
ここで、振動あるいは回転による拡散板10の定量的変化量をNとすれば、
1/√(N)
に比例してスペックルノイズの振幅を小さくすることができる。
【0059】
【従来技術4】
また後掲する特許文献4には、拡散板とエタロンとの間に、通常のレンズを配置してラインセンサ上で拡散されるレーザ光をラインセンサの検出面方向に圧縮する技術が記載されている。
【0060】
【特許文献1】
特開平11−298084号公報
【特許文献2】
特開平6−188502号公報
【特許文献3】
特開2002−365141号公報
【特許文献4】
特開2002−365141号公報
【非特許文献1】
WWW.mellesgriot.com
【発明が解決しようとする課題】
図10に示すレーザ装置は、パルス発振レーザである。このためエタロン分光器21ではレーザ光Sの1パルス毎に計測を行う必要がある。1パルス毎の計測を正確に行うためには1パルスの時間内でラインセンサ11上でレーザ光Sを積分する必要がある。
【0061】
しかしパルス発振レーザにおいて、1パルスの時間は20nsec〜80nsec程度であり非常に短い。この短い時間内に、ラインセンサ11上で十分な積分効果を得てスペックルノイズの影響を十分に低減することは難しい。
【0062】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、エタロン分光器で非常に短い1パルス毎にレーザ光の発振中心波長等を計測するに際して、その短時間内にラインセンサ上で充分な積分効果を得てスペックルノイズを十分に低減させて短時間での計測を精度よく行えるようにすることを解決課題とするものである。
【0063】
また図10において、エタロン分光器21には、出力ミラー42から出射されるレーザ光Sの一部が入射されて計測が行われる。ここで露光装置側に入射されるレーザ光Sの光量を十分確保するために、エタロン分光器21に入射されるレーザ光Sの光量は極力小さくしたいとの要請がある。
【0064】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、エタロン分光器21で、従来よりも少ない入射光量をもって計測を行えるようにして露光装置側に優先的に、より多くの光量を供給することを解決課題とするものである。
【0065】
【課題を解決するための手段および効果】
第1発明は、
レーザ光が入射されレーザ光を拡散して出射する拡散板と、前記拡散板で拡散されたレーザ光を分光するエタロンと、前記エタロンで分光されたレーザ光をフリンジ像として結像させる結像レンズと、複数の画素が横方向に配列されたラインセンサであって、前記結像レンズによってフリンジ像が結像され、フリンジ波形の光強度分布を検出するラインセンサとが設けられ、前記ラインセンサで検出されたフリンジ波形の光強度分布に基づきレーザ光のスペクトルまたは発振中心波長を計測するようにした分光器において、
前記拡散板で拡散されたレーザ光を前記ラインセンサの縦方向のみに縮小させて前記エタロンに入射させるシリンドリカルレンズが、
前記拡散板と前記エタロンとの間に配置されていること
を特徴とする。
【0066】
第1発明によれば、図4に示すように、拡散板10とエタロン9の間には、拡散板10で拡散されるレーザ光Sを一方向のみに倍率縮小するシリンドリカルレンズ12が配置されている。シリンドリカルレンズ12は、拡散板10で拡散されるレーザ光Sをラインセンサ11の縦方向のみに縮小してエタロン9に入射させる。
【0067】
レーザ光Sがラインセンサ11の縦方向のみに縮小されると、図4(b)に示すように、ラインセンサ11上でフリンジ波形7に重畳されたスペックルノイズ17(図2(b))が縦方向に圧縮され、空間的にラインセンサ11上で積分される。このためスペックルノイズ17の振幅を小さくすることができる。
【0068】
本発明によれば、スペックルノイズ17をラインセンサ11の縦方向に空間的に積分してスペックルノイズ17を低減するようにしたので、拡散板10を振動あるいは回転させて時間的に積分する従来技術と比較して、レーザの1パルスという短時間内にスペックルノイズ17を十分に抑制することができる。このため1パルス毎という短時間ごとの計測を精度よく行うことができる。また振動や回転させるための可動部がないため安定してスペックルノイズ17を抑制することができる。
【0069】
またレーザ光Sをラインセンサ11の縦方向のみに縮小させるようにしているため、レーザ光Sはラインセンサ11の縦方向に圧縮されてラインセンサ11上に集光される。このためエタロン分光器21(拡散板10)に対して、より少ない入射光量で計測を行うことができる。このため露光装置側により多くの光量を優先して供給することができる。
【0070】
ここで上述した従来技術4と対比する。従来技術4では、シリンドリカルレンズではなく通常のレンズが用いられる。通常のレンズではラインセンサの縦方向のみならず横方向にも光が縮小される。このためラインセンサで横方向に沿った光強度分布を精度よく検出できなくなるおそれがある。
【0071】
第2発明は、
レーザ光が入射されレーザ光を拡散して出射する拡散板と、前記拡散板で拡散されたレーザ光を分光するエタロンと、前記エタロンで分光されたレーザ光をフリンジ像として結像させる結像レンズと、複数の画素が横方向に配列されたラインセンサであって、前記結像レンズによってフリンジ像が結像され、フリンジ波形の光強度分布を検出するラインセンサとが設けられ、前記ラインセンサで検出されたフリンジ波形の光強度分布に基づきレーザ光のスペクトルまたは発振中心波長を計測するようにした分光器において、
前記拡散板により拡散したレーザ光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズで集光したレーザ光が導かれる光ファイバと、
前記光ファイバから出射されるレーザ光を前記ラインセンサの縦方向のみに縮小させて前記エタロンに入射させるシリンドリカルレンズとが、
前記拡散板と前記エタロンとの間に配置されていること
を特徴とする。
【0072】
第2発明では、図8に示すように、レーザ光Sのビームは拡散板10に入射され拡散板10により拡散されて出射される。拡散板10が拡散されたレーザ光Sは集光レンズ13により集光され、光ファイバ16の入射口16aに導かれる。レーザ光Sは光ファイバ16を通過し光ファイバ16の出射口16bから出射される。光ファイバ16の出射口16bから出射されたレーザ光Sは、シリンドリカルレンズ12に入射される。シリンドリカルレンズ12は、レーザ光Sをラインセンサ11の縦方向のみに縮小してエタロン9に入射させる。レーザ光Sがエタロン9を透過すると、ファブリ・ペロ干渉により分光される。エタロン9で分光されたレーザ光Sは結像レンズ6に入射されフリンジ像を結像レンズ6の焦点距離fの位置に結像させる。結像レンズ6からその焦点距離fだけ離間された位置にはラインセンサ11が配置されている。ラインセンサ11上にはフリンジ像が結像され、フリンジ波形7の光強度分布が横方向に配列された各画素によって検出される。
【0073】
第2発明によれば、第1発明と同様に、シリンドリカルレンズ12によって、レーザ光Sがラインセンサ11の縦方向のみに縮小されるため、図4(b)に示すように、ラインセンサ11上でフリンジ波形7に重畳されたスペックルノイズ17(図2(b))が縦方向に圧縮され、空間的にラインセンサ11上で積分される。このためスペックルノイズ17の振幅を小さくすることができる。この結果、第1発明と同様な効果を奏効する。
【0074】
第3発明は、第1発明または第2発明において、
前記シリンドリカルレンズは、
前記ラインセンサ上に結像するフリンジ像の縦方向のサイズが、当該ラインセンサの縦方向の画素サイズ以下となるように、前記拡散板で拡散されたレーザ光を前記ラインセンサの縦方向のみに縮小させて前記エタロンに入射させるものであること
を特徴とする。
【0075】
第3発明では、図4(b)に示すように、シリンドリカルレンズ12を、ラインセンサ11上に結像するフリンジ像の縦方向のサイズLが、ラインセンサ11の縦方向の画素サイズ(例えば0.4mm)以下となるように、配置、構成する。
【0076】
これによりラインセンサ11の縦方向にスペックルノイズ17を圧縮して、空間的に積分する効果が最大となる。この結果スペックルノイズ17を、より低減させることができスペクトル、発振中心波長の計測精度をより高めることができる。
【0077】
第4発明は、第1発明において、
前記シリンドリカルレンズは、前記拡散板から当該シリンドリカルレンズの焦点距離だけ離間された位置に配置されていること
を特徴とする。
【0078】
第4発明によれば、図4(b)に示すように、シリンドリカルレンズ12は、拡散板10から、シリンドリカルレンズ12のほぼ焦点距離fsだけ離間された位置に配置される。これにより拡散板10により拡散されるレーザ光Sを、一方向にほぼコリメートすることができ、ラインセンサ11の縦方向にスペックルノイズ17を圧縮する効果を最大に発揮させることができる。
【0079】
第5発明は、第2発明において、
前記シリンドリカルレンズは、前記光ファイバのレーザ光出射口から当該シリンドリカルレンズの焦点距離だけ離間された位置に配置されていること
を特徴とする。
【0080】
第5発明によれば、図8に示すように、シリンドリカルレンズ12は、光ファイバ16の出射口16bから、シリンドリカルレンズ12の焦点距離fsだけ離間された位置に配置される。これにより光ファイバ16の出射口16bより拡散されるレーザ光Sを、一方向にコリメートすることができ、ラインセンサ11の縦方向にスペックルノイズ17を圧縮する効果を最大に発揮させることができる
第6発明は、第1発明において、
レーザ光を集光して前記拡散板に所定のスポット径で入射させる集光レンズが、前記拡散板の前段に配置されていること
を特徴とする。
【0081】
すなわち図5において、拡散板10に入射されるレーザ光Sのスポット径をD、シリンドリカルレンズ12と結像レンズ6の合成倍率をβとすると、ラインセンサ11に結像されるフリンジ像の縦方向のサイズLは、次式で表される。
【0082】
L=βD …(3)
集光レンズ13は、拡散板10にレーザ光Sを所定のスポット径Dで入射させる。集光レンズ13によって、レーザ光スポット径Dを調整して、上記(3)式における、ラインセンサ11に結像されるフリンジ像の縦方向のサイズLを、ラインセンサ11の縦方向の画素サイズ(例えば0.4mm)以下にすれば、積分効果を最大にすることができる。
【0083】
第7発明は、第1発明または第6発明において、
前記拡散板に入射されるレーザ光のスポット径をD、前記シリンドリカルレンズと前記結像レンズの合成倍率をβとしたとき、
L=βD
で表される前記ラインセンサ上に結像されるフリンジ像の縦方向のサイズLが、前記ラインセンサの縦方向の画素サイズ以下となるように、レーザ光スポット径Dが調節されていること
を特徴とする。
【0084】
すなわち図4または図5において、拡散板10に入射されるレーザ光Sのスポット径をD、シリンドリカルレンズ12と結像レンズ6の合成倍率をβとすると、ラインセンサ11に結像されるフリンジ像の縦方向のサイズLは、次式で表される。
【0085】
L=βD …(3)
上記(3)式において、ラインセンサ11に結像されるフリンジ像の縦方向のサイズLが、ラインセンサ11の縦方向の画素サイズ(例えば0.4mm)以下となるように、レーザ光スポット径Dを所望の径に調整すれば、積分効果は最大となる。
【0086】
第8発明は、第2発明において、
前記光ファイバの径をDf、前記シリンドリカルレンズと前記結像レンズの合成倍率をβとしたとき、
L=βDf
で表される前記ラインセンサ上に結像されるフリンジ像の縦方向のサイズLが、前記ラインセンサの縦方向の画素サイズ以下となるように、光ファイバの径Dfが調節されていること
を特徴とする。
【0087】
すなわち図8において、光ファイバ16のファイバ径をDf、シリンドリカルレンズ12と結像レンズ6の合成倍率をβとすると、ラインセンサ11に結像されるフリンジ像の縦方向のサイズLは、次式で表される。
【0088】
L=βDf …(4)
上記(4)式において、ラインセンサ11に結像されるフリンジ像の縦方向のサイズLが、ラインセンサ11の縦方向の画素サイズ(例えば0.4mm)以下となるように、ファイバ径Dfを所望の径に調整すれば、積分効果は最大となる。
【0089】
第9発明は、第1発明または第2発明において、
前記ラインセンサは、縦方向の画素サイズが、横方向の画素サイズよりも大きいこと
を特徴とする。
【0090】
すなわち、ラインセンサ11として、縦方向の画素サイズ(たとえば0.4mm)が横方向の画素サイズ(たとえば0.025mm)よりも大きなものを用いてことで、ラインセンサ11の縦方向にスペックルノイズ17を積分する効果を高めることができる。
【0091】
第10発明は、第1発明において、
前記拡散板は、回転または振動すること
を特徴とする。
【0092】
第10発明によれば、図7に示すように、拡散板10が回転する。これによりラインセンサ11上で観測されるレーザ光Sが時間で積分され、「入射ビームの空間的なコヒーレンスが低下するとともに偏光がランダムになる」という拡散板10の副次的な作用が抑制されスペックルノイズ17が低減される。すなわちシリンドリカルレンズ12によるスペックルノイズ17の空間的な積分効果に、時間積分効果が加わることにより、スペックルノイズ17を更に低減させることができる。
【0093】
また拡散板10が、ブザー、音叉、圧電素子などの各種振動子、振動手段を用いて3次元的に振動する。この場合も同様な効果が得られる。
【0094】
第11発明は、第2発明において、
前記光ファイバは、振動すること
を特徴とする。
【0095】
第11発明によれば、図8に示す光ファイバ16が振動する。光ファイバ16が振動すると、ラインセンサ11上で観測されるレーザ光Sが時間で積分され、「入射ビームの空間的なコヒーレンスが低下するとともに偏光がランダムになる」という拡散板10と光ファイバ16とによる副次的な作用が抑制されスペックルノイズ17が低減される。すなわちシリンドリカルレンズ12によるスペックルノイズ17の空間的な積分効果に、時間積分効果が加わることにより、スペックルノイズ17を更に低減させることができる。
【0096】
第12発明は、第1発明または第2発明の分光器を備えたレーザ装置であることを特徴とする。
【0097】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明に係る分光器およびこの分光器を備えたレーザ装置の実施の形態について説明する。
【0098】
図10は、実施形態のエタロン分光器21を備えた狭帯域化レーザ装置の構成を示している。
【0099】
図10のレーザ装置はF2レーザ装置を想定している。F2レーザ装置では、レーザチャンバ40内に、F2レーザを励起する媒質としてのフッ素ガスF2と、ヘリウムHe、ネオンNe等のバッファガスとからなるレーザガスが充填されている。
【0100】
すなわち図示しないフッ素ガス用ボンベがガス供給ライン46を介してレーザチャンバ40に連通している。同様に図示しないバッファガス用ボンベがガス供給ライン45を介してレーザチャンバ40に連通している。またレーザチャンバ40は排気ライン47を介しフッ素トラップを経て外気に連通している。
【0101】
ガス供給ライン45、ガス供給ライン46、排気ライン47上にはそれぞれバルブV1、V2、V3が設けられている。コントローラ30は、バルブV1、V2、V3の開口量を調整して、レーザチャンバ40内へのバッファガス、フッ素ガスF2の供給量を制御するとともに、レーザチャンバ40から外気へのレーザガスの排出量を制御する。
【0102】
レーザチャンバ40内には所定の距離だけ離間されて一対の電極41a、41bが対向して配置されている。一対の電極41a、41bは、図10の図中、上下に設けられており、左右方向が長手方向となるカソード電極とアノード電極である。
【0103】
高電圧パルス発生装置としての電源50にコントローラ30からパルス発生指令が加えられると、この電源50は、電極41a、41b間に高電圧を印加する。これにより電極41a、41b間の放電部49で放電が発生しレーザガスが励起しレーザ光Sが生成される。
【0104】
レーザチャンバ40内には図示しないファンとラジエータが設けられている。レーザガスは上記ファンによってレーザチャンバ40内で循環し、放電により高温となったガスは上記ラジエータによって冷却される。
【0105】
レーザチャンバ40の図中左端、右端には、両者がハの字となるブリュースタ角度をもって、あるいは両者が平行となるブリュースタ角度をもって、チャンバウインドウ48a、48bがそれぞれ設けられている。
【0106】
狭帯域化モジュール60は、一方のウインドウ48a側にあってレーザチャンバ40外に設けられている。
【0107】
狭帯域化モジュール60は、回折格子(グレーティング)62と、1個若しくは複数個のプリズムからなるビーム拡大器61とから構成されている。回折格子62は、波長選択機能を備え、レーザ光Sのスペクトルを狭帯域化する。回折格子62は、コントローラ30によりその回転角度が駆動制御され、回折格子62へのレーザ光Sの入射角度が変化する。回折格子62へのレーザ光Sの入射角度が変化することによって、レーザ光Sの発振中心波長が変化する。なお回折格子(グレーティング)ではなく、狭帯域化モジュール60内のいずれかのプリズムを変化させることによってもレーザ光Sの発振中心波長を変化させることができる。
【0108】
なお狭帯域化モジュール60を、回折格子62とビーム拡大器(プリズム)61の代わりに、リアミラーとエタロンとにより構成してもよい。この場合、エタロンの回転角またはエタロンギャップ間のガス圧力(気体の屈折率)を変化させることにより、レーザ光Sの発振中心波長が変化する。
【0109】
レーザチャンバ40外にあって他方のウインドウ48b側には、フロントミラーとしての出力ミラー42が設けられている。また出力ミラー42のレーザ光出射側には、ビームスプリッタ43が設けられている。
【0110】
回折格子62はリアミラーとして機能し、回折格子(リアミラー)62とレーザチャンバ40内の放電部49と出力ミラー(フロントミラー)42とによってレーザ共振器が構成される。レーザチャンバ40内で生成されたレーザ光Sは、回折格子62と、放電部49と、出力ミラー42との間を往復移動する。これによりレーザ光Sは狭帯域化され、出力ミラー42、ビームスプリッタ43を透過して、狭帯域化されたレーザ光Sとして露光装置側に出射される。
【0111】
出力ミラー42から出射されたレーザ光Sの一部は、ビームスプリッタ43により反射され、分岐されて、モニタモジュール20に入射される。
【0112】
モニタモジュール20は、後述するエタロン分光器21とデータ処理器22とからなる。
【0113】
モニタモジュール20では、レーザ光Sの出力(パワー)、発振中心波長、スペクトル線幅等が計測され、計測されたデータがコントローラ30に送出される。
【0114】
コントローラ30は、モニタモジュール20で計測されたレーザ光Sの発振中心波長のデータに基づいて、所望の発振中心波長、所望のスペクトル線幅等が得られるように、狭帯域化モジュール60内の回折格子62の回転角度を駆動制御する。
【0115】
またコントローラ30は、モニタモジュール20で計測されたレーザ光Sの出力(パワー)のデータに基づいて、所望のレーザ出力が得られるように、電源50にパルス発生指令を与えるとともに必要に応じてバルブV1、V2、V3の開口量を変化させて、電極41a、41b間の印加電圧値、レーザチャンバ40内のレーザガスの圧力を制御する。
【0116】
またコントローラ30は、モニタモジュール20で計測されたレーザ光Sのスペクトル線幅のデータに基づいて、所望のスペクトル線幅が得られるように、バルブV2の開口量を変化させて、レーザチャンバ40内のフッ素ガスF2の濃度を制御する。
【0117】
実施形態では、一段のレーザチャンバからなるレーザ装置を想定している。しかし、二段のレーザチャンバからなる注入同期(インジェクションロック)方式やMOPA方式のレーザ装置に、エタロン分光器21を組み込む実施も可能である。
【0118】
さて上述したレーザ装置で、レーザ光Sの発振中心波長、レーザ出力、スペクトル線幅等をリアルタイムに正確に制御するためには、モニタモジュール20のエタロン分光器21で、レーザ光Sの発振パルス毎に、発振中心波長、レーザ出力、スペクトル線幅等を精度よく高速に計測することが必要となる。
【0119】
つぎにエタロン分光器21について説明する。
【0120】
(実施例1)
図4(a)、(b)は実施例1のエタロン分光器21を示している。図4(a)はラインセンサ11の横方向が図中上下方向となる矢視方向で示した図であり、図4(b)はラインセンサ11の縦方向が図中上下方向となる矢視方向で示した図である。
【0121】
これら図4に示すように、レーザ光Sの光軸に沿って、入射側より順に、拡散板10、シリンドリカルレンズ12、エタロン9、結像レンズ6、ラインセンサ11が配置されている。
【0122】
拡散板10は、たとえば石英やCaF2結晶基板の表面を粗く研磨して表面を梨地状にした、すりガラス基板が用いられる。
【0123】
レーザ光Sのビームは拡散板10に入射され拡散板10により拡散されて出射される。拡散板10は、その後段(レーザ光出射側)に配置されるエタロン9に、入射ビームの空間的な光量分布、入射ビームの角度に依存しない光を提供し、レーザ光のスペクトルを正確に計測できるようにする。
【0124】
拡散板10で拡散されたレーザ光Sはシリンドリカルレンズ12を介してエタロン9に入射され、エタロン9を透過することによりレーザ光Sが、前述したファブリ・ペロ干渉により分光される。エタロン9で分光されたレーザ光Sは結像レンズ6に入射されフリンジ像を結像レンズ6の焦点距離fの位置に結像させる。結像レンズ6からその焦点距離fだけ離間された位置にはラインセンサ11が配置されている。ラインセンサ11は、たとえば横方向に512個の画素が直線状に配列され、縦方向の画素サイズが0.4mmで横方向の画素サイズが0.025mmのものが用いられる。
【0125】
ラインセンサ11上にはフリンジ像が結像され、フリンジ波形7の光強度分布が横方向に配列された各画素によって検出される。
【0126】
ここで拡散板10とエタロン9の間には、拡散板10で拡散されるレーザ光Sを一方向のみに倍率縮小するシリンドリカルレンズ12が配置されている。
【0127】
シリンドリカルレンズ12は、拡散板10で拡散されるレーザ光Sをラインセンサ11の縦方向のみに縮小してエタロン9に入射させる。
【0128】
レーザ光Sがラインセンサ11の縦方向のみに縮小されると、図4(b)に示すように、ラインセンサ11上でフリンジ波形7に重畳されたスペックルノイズ17(図2(b))が縦方向に圧縮され、空間的にラインセンサ11上で積分される。このためスペックルノイズ17の振幅を小さくすることができる。
【0129】
ここで、ラインセンサ11上での圧縮率をMとすれば、
1/√(M)
に比例してスペックルノイズ17の振幅を小さくすることができる。
【0130】
図9(a)、(b)は、シリンドリカルレンズ12を配置しないでエタロン分光器21を構成した従来の場合のラインセンサ11の縦方向のスペックルノイズ17のパターン90(図9(a))と、シリンドリカルレンズ12を配置してエタロン分光器21を構成した本発明の場合のラインセンサ11の縦方向のスペックルノイズ17のパターン91(図9(b))とを比較して示している。シリンドリカルレンズ12を配置することによりスペックルノイズ17がより多く積分されていることがわかる。
【0131】
本実施例によれば、スペックルノイズ17をラインセンサ11の縦方向に空間的に積分してスペックルノイズ17を低減するようにしたので、拡散板10を振動あるいは回転させて時間的に積分する従来技術と比較して、レーザの1パルスという短時間内にスペックルノイズ17を十分に抑制することができる。このため1パルス毎という短時間ごとの計測を精度よく行うことができる。また振動や回転させるための可動部がないため安定してスペックルノイズ17を抑制することができる。
【0132】
またレーザ光Sをラインセンサ11の縦方向のみに縮小させるようにしているため、レーザ光Sはラインセンサ11の縦方向に圧縮されてラインセンサ11上に集光される。このためエタロン分光器21(拡散板10)に対して、より少ない入射光量で計測を行うことができる。このため露光装置側により多くの光量を優先して供給することができる。
【0133】
ここで上述した従来技術4と対比する。従来技術4では、シリンドリカルレンズではなく通常のレンズが用いられる。通常のレンズではラインセンサの縦方向のみならず横方向にも光が縮小される。このためラインセンサで横方向に沿った光強度分布を精度よく検出できなくなるおそれがある。
【0134】
図4(b)に示すように、シリンドリカルレンズ12は、拡散板10から、シリンドリカルレンズ12のほぼ焦点距離fsだけ離間された位置に配置されている。これにより拡散板10により拡散されるレーザ光Sを、一方向にほぼコリメートすることができ、ラインセンサ11の縦方向にスペックルノイズ17を圧縮する効果を最大に発揮させることができる。
【0135】
また拡散板10に入射されるレーザ光Sのスポット径Dを調節することにより、ラインセンサ11の縦方向にスペックルノイズ17を積分する効果を、より高めることができる。
【0136】
すなわち図4において、シリンドリカルレンズ12と結像レンズ6の合成倍率をβとすると、ラインセンサ11に結像されるフリンジ像の縦方向のサイズLは、次式で表される。
【0137】
L=βD …(3)
上記(3)式において、ラインセンサ11に結像されるフリンジ像の縦方向のサイズLが、ラインセンサ11の縦方向の画素サイズ(例えば0.4mm)以下となるように、レーザ光スポット径Dを所望の径に調整すれば、積分効果は最大となる。
【0138】
具体的な構成例は、図5に示される。図5は、図4(b)に対応する図中上下方向がラインセンサ縦方向となる図であり実施例1の変形例を示している。
【0139】
図5に示すエタロン分光器21では、拡散板10の前段(レーザ光入射側)に、集光レンズ13が配置される。集光レンズ13に入射されたレーザ光Sは集光され拡散板10にレーザ光スポット径Dをもって照射される。
【0140】
以上のように、シリンドリカルレンズ12は、ラインセンサ11上に結像するフリンジ像の縦方向のサイズLが、ラインセンサ11の縦方向の画素サイズ(例えば0.4mm)以下となるように、配置、構成することが望ましい。
【0141】
本実施例では、ラインセンサ11として、縦方向の画素サイズ(0.4mm)が横方向の画素サイズ(0.025mm)よりも大きなものを用いている。このように縦方向の画素サイズが横方向の画素サイズよりも大きなラインセンサ11を用いることで、ラインセンサ11の縦方向にスペックルノイズ17を積分する効果が高められている。ただし縦方向の画素サイズが横方向の画素サイズに対して大きすぎると、同心円状のフリンジ波形7とラインセンサ11の幾何学的な関係から、ラインセンサ11で観測されるフリンジ波形7に歪みが生じるおそれがある。
【0142】
上述した説明では、拡散板10と、シリンドリカルレンズ12とが別体の光学部材である場合を想定したが、これら拡散板10の機能とシリンドリカルレンズ12の機能とを一体の光学部材に併せ持たせる実施も可能である。
【0143】
具体的な構成例は、図6に示される。図6は、図4(b)に対応する図中上下方向がラインセンサ縦方向となる図であり実施例1の変形例を示している。
【0144】
図6に示すエタロン分光器21では、エタロン9の前段(レーザ光入射側)に、平凸シリンドリカルレンズ14が配置される。この平凸シリンドリカルレンズ14の前段に、集光レンズ13が配置される。平凸シリンドリカルレンズ14の平らな入射面14aは、図4、図5の拡散板10と同様な梨地面に形成されている。
【0145】
集光レンズ13に入射されたレーザ光Sは集光され平凸シリンドリカルレンズ14の入射面14aにレーザ光スポット径Dをもって照射される。平凸シリンドリカルレンズ14では、レーザ光Sが拡散されるとともに、拡散されたレーザ光Sはラインセンサ11の縦方向のみに縮小される。そして、ラインセンサ11上で、フリンジ像の縦方向のサイズLが、ラインセンサ11の縦方向の画素サイズ以下にされる。
【0146】
(実施例2)
上述した説明では、拡散板10が固定配置される場合を想定して説明したが、拡散板10を回転させたり振動させたりして、よりスペックルノイズ17の積分効果を高めてもよい。
【0147】
図7は、図5に対応する図中上下方向がラインセンサ縦方向となる図であり実施例2のエタロン分光器21を示している。
【0148】
図7に示すエタロン分光器21では、図5の構成と同様に、シリンドリカルレンズ12の前段(レーザ光入射側)に、拡散板10が配置され、更に拡散板10の前段に、集光レンズ13が配置されている。
【0149】
拡散板10は、レーザ光入射面および出射面がたとえば円形状に形成されており、その面中心に、回転モータ15の回転軸15aが固定されている。
【0150】
回転モータ15が駆動されると、回転軸15aが回転しこれに伴い拡散板10が回転する。これによりラインセンサ11上で観測されるレーザ光Sが時間で積分され、前述した「入射ビームの空間的なコヒーレンスが低下するとともに偏光がランダムになる」という副次的な作用3)が抑制されスペックルノイズ17が低減される。すなわちシリンドリカルレンズ12によるスペックルノイズ17の空間的な積分効果に、時間積分効果が加わることにより、スペックルノイズ17を更に低減させることができる。
【0151】
なお拡散板10を回転させる代わりに、ブザー、音叉、圧電素子などの各種振動子、振動手段を用いて3次元的に拡散板10を振動させても、同様な効果が得られる。
【0152】
(実施例3)
図4に示すエタロン分光器21では、拡散板10で拡散されたレーザ光Sを直接シリンドリカルレンズ12に導くようにしているが、図8に示すように、拡散板10とシリンドリカルレンズ12との間に、集光レンズ13と、光ファイバ16を配置して、これら集光レンズ13、光ファイバ16を介してレーザ光Sをシリンドリカルレンズ12に導くように構成してもよい。
【0153】
図8は、図4(b)に対応する図中上下方向がラインセンサ縦方向となる図であり実施例3のエタロン分光器21を示している。
【0154】
図8に示すように、レーザ光Sの光軸に沿って、入射側より順に、拡散板10、集光レンズ13、光ファイバ16、シリンドリカルレンズ12、エタロン9、結像レンズ6、ラインセンサ11が配置されている。
【0155】
レーザ光Sのビームは拡散板10に入射され拡散板10により拡散されて出射される。拡散板10が拡散されたレーザ光Sは集光レンズ13により集光され、光ファイバ16の入射口16aに導かれる。レーザ光Sは光ファイバ16を通過し光ファイバ16の出射口16bから出射される。
【0156】
光ファイバ16の出射口16bから出射されたレーザ光Sは、シリンドリカルレンズ12に入射される。シリンドリカルレンズ12は、レーザ光Sをラインセンサ11の縦方向のみに縮小してエタロン9に入射させる。
【0157】
レーザ光Sがエタロン9を透過すると、前述したファブリ・ペロ干渉により分光される。エタロン9で分光されたレーザ光Sは結像レンズ6に入射されフリンジ像を結像レンズ6の焦点距離fの位置に結像させる。結像レンズ6からその焦点距離fだけ離間された位置にはラインセンサ11が配置されている。ラインセンサ11上にはフリンジ像が結像され、フリンジ波形7の光強度分布が横方向に配列された各画素によって検出される。
【0158】
図4のエタロン分光器21と同様に、シリンドリカルレンズ12によって、レーザ光Sがラインセンサ11の縦方向のみに縮小されるため、図4(b)に示すように、ラインセンサ11上でフリンジ波形7に重畳されたスペックルノイズ17(図2(b))が縦方向に圧縮され、空間的にラインセンサ11上で積分される。このためスペックルノイズ17の振幅を小さくすることができる。
【0159】
この実施例3の拡散板10と光ファイバ16は、図4のエタロン分光器21の拡散板10として機能する。
【0160】
すなわち図8の拡散板10と光ファイバ16は、
1)入射ビームの空間的な光量分布を均一化する。
【0161】
2)入射ビームの角度をランダムに分布させる。
【0162】
という作用をもたらし、光ファイバ16の後段(レーザ光出射側)に配置されるエタロン9に、入射ビームの空間的な光量分布、入射ビームの角度に依存しない光を提供し、レーザ光のスペクトルを正確に計測できるようにする。
【0163】
また図8の拡散板10と光ファイバ16はつぎのような副次的な作用を生じさせる。
【0164】
3)入射ビームの空間的なコヒーレンスが低下するとともに偏光がランダムになる。
【0165】
拡散板10と光ファイバ16を用いた場合(図8)には、光ファイバ16で導かれる光量が少ないという点を考慮する必要があるものの、上記1)、2)、3)に示す作用は、図4の拡散板10のみを用いた場合(図4)と比較して、より理想的に強くなる。
【0166】
図8に示すように、シリンドリカルレンズ12は、光ファイバ16の出射口16bから、シリンドリカルレンズ12のほぼ焦点距離fsだけ離間された位置に配置されている。これにより光ファイバ16の出射口16bより拡散されるレーザ光Sを、一方向にほぼコリメートすることができ、ラインセンサ11の縦方向にスペックルノイズ17を圧縮する効果を最大に発揮させることができる。
【0167】
また光ファイバ16のファイバ径Dfを調節することにより、ラインセンサ11の縦方向にスペックルノイズ17を積分する効果を、より高めることができる。
【0168】
すなわち図8において、シリンドリカルレンズ12と結像レンズ6の合成倍率をβとすると、ラインセンサ11に結像されるフリンジ像の縦方向のサイズLは、次式で表される。
【0169】
L=βDf …(4)
上記(4)式において、ラインセンサ11に結像されるフリンジ像の縦方向のサイズLが、ラインセンサ11の縦方向の画素サイズ(例えば0.4mm)以下となるように、ファイバ径Dfを所望の径に調整すれば、積分効果は最大となる。
【0170】
以上のように、シリンドリカルレンズ12は、ラインセンサ11上に結像するフリンジ像の縦方向のサイズLが、ラインセンサ11の縦方向の画素サイズ(例えば0.4mm)以下となるように、配置、構成することが望ましい。
【0171】
また本実施例3でも上述した実施例1、2と同様に、ラインセンサ11として、縦方向の画素サイズ(0.4mm)が横方向の画素サイズ(0.025mm)よりも大きなものを用いるようにすれば、ラインセンサ11の縦方向にスペックルノイズ17を積分する効果をより高めることができる。ただし縦方向の画素サイズが横方向の画素サイズに対して大きすぎると、同心円状のフリンジ波形7とラインセンサ11の幾何学的な関係から、ラインセンサ11で観測されるフリンジ波形7に歪みが生じるおそれがある。
【0172】
また光ファイバ16を振動させて、よりスペックルノイズ17の積分効果を高めてもよい。光ファイバ16が振動すると、ラインセンサ11上で観測されるレーザ光Sが時間で積分され、上述した「入射ビームの空間的なコヒーレンスが低下するとともに偏光がランダムになる」という副次的な作用3)が抑制されスペックルノイズ17が低減される。すなわちシリンドリカルレンズ12によるスペックルノイズ17の空間的な積分効果に、時間積分効果が加わることにより、スペックルノイズ17を更に低減させることができる。
【0173】
つぎに上述したエタロン分光器21で計測されたレーザ光Sの発振中心波長、スペクトル(スペクトル線幅、スペクトル純度等)に基づく制御例について説明する。
【0174】
(スペクトル純度の制御例)
図10のモニタモジュール21のエタロン分光器21では、レーザ光Sの1パルス毎にラインセンサ11上のフリンジ波形7の光強度分布が検出され、その検出値がデータ処理機22に送出される。データ処理機22では、光強度分布検出値に基づき、レーザ光Sのスペクトル純度が計測される。計測されたスペクトル純度のデータは、コントローラ30に送出される。コントローラ30では、計測されたスペクトル純度とスペクトル純度所望値とが比較され、計測値が所望値から外れている場合には、バルブV2の開口量を所定量だけ調整してレーザチャンバ40内のフッ素ガスF2の濃度を変化させる。たとえば計測されたスペクトル純度がしきい値以下の場合には、フッ素ガスF2の濃度を薄くする。コントローラ30は、計測されたスペクトル純度が所望値に達するまでバルブV2の開口量を調整する処理を繰り返し実行する。これによりレーザ光Sのスペクトル純度は所望のスペクトル純度に維持される。
【0175】
(発振中心波長の制御例)
図10のモニタモジュール21のエタロン分光器21では、レーザ光Sの1パルス毎にラインセンサ11上のフリンジ波形7の光強度分布が検出され、その検出値がデータ処理機22に送出される。データ処理機22では、光強度分布検出値に基づき、レーザ光Sの発振中心波長が計測される。計測された発振中心波長のデータは、コントローラ30に送出される。コントローラ30では、計測された発振中心波長と中心波長所望値とが比較され、計測値が所望値から外れている場合には、狭帯域化モジュール60の回折格子62の回転角度を所定角度だけ調整して回折格子62へのレーザ光入射角度を変化させる。コントローラ30は、計測された発振中心波長が所望値に達するまで回折格子62の回転角度を調整する処理を繰り返し実行する。これによりレーザ光Sの発振中心波長は所望の中心波長に維持される。
【0176】
なお各実施例のエタロン分光器21で使用されるレンズの表面は、使用するレーザ光Sの波長に合わせてARコーティングが施されていることが望ましい。
【0177】
また本実施形態は、レーザ装置としてフッ素分子レーザを想定して説明したが、半導体露光光源として用いられる狭帯域レーザであれば本発明の適用が可能であり、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザに本実施形態のエタロン分光器を組み込むようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はエタロンの構造を示す図である。
【図2】図2(a)、(b)はファブリ・ペロ干渉およびフリンジ波形を説明する図である。
【図3】図3(a)、(b)は従来のエタロン分光器の構成を示す図である。
【図4】図4(a)、(b)は実施例1のエタロン分光器の構成を示す図である。
【図5】図5は図4(b)に対応する実施例1の変形例を示す図である。
【図6】図6は図4(b)に対応する実施例1の変形例を示す図である。
【図7】図7は図5に対応する実施例2の構成を示す図である。
【図8】図8は図4(b)に対応する実施例3の構成を示す図である。
【図9】図9(a)、(b)はシリンドリカルレンズによる積分効果を説明するために用いた図である。
【図10】図10はエタロン分光器を備えたレーザ装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
6 結像レンズ
7 フリンジ波形
9 エタロン
11 ラインセンサ
12 シリンドリカルレンズ
13 集光レンズ
15 回転モータ
16 光ファイバ
21 エタロン分光器

Claims (12)

  1. レーザ光が入射されレーザ光を拡散して出射する拡散板と、前記拡散板で拡散されたレーザ光を分光するエタロンと、前記エタロンで分光されたレーザ光をフリンジ像として結像させる結像レンズと、複数の画素が横方向に配列されたラインセンサであって、前記結像レンズによってフリンジ像が結像され、フリンジ波形の光強度分布を検出するラインセンサとが設けられ、前記ラインセンサで検出されたフリンジ波形の光強度分布に基づきレーザ光のスペクトルまたは発振中心波長を計測するようにした分光器において、
    前記拡散板で拡散されたレーザ光を前記ラインセンサの縦方向のみに縮小させて前記エタロンに入射させるシリンドリカルレンズが、
    前記拡散板と前記エタロンとの間に配置されていること
    を特徴とする分光器。
  2. レーザ光が入射されレーザ光を拡散して出射する拡散板と、前記拡散板で拡散されたレーザ光を分光するエタロンと、前記エタロンで分光されたレーザ光をフリンジ像として結像させる結像レンズと、複数の画素が横方向に配列されたラインセンサであって、前記結像レンズによってフリンジ像が結像され、フリンジ波形の光強度分布を検出するラインセンサとが設けられ、前記ラインセンサで検出されたフリンジ波形の光強度分布に基づきレーザ光のスペクトルまたは発振中心波長を計測するようにした分光器において、
    前記拡散板により拡散したレーザ光を集光する集光レンズと、
    前記集光レンズで集光したレーザ光が導かれる光ファイバと、
    前記光ファイバから出射されるレーザ光を前記ラインセンサの縦方向のみに縮小させて前記エタロンに入射させるシリンドリカルレンズとが、
    前記拡散板と前記エタロンとの間に配置されていること
    を特徴とする分光器。
  3. 前記シリンドリカルレンズは、
    前記ラインセンサ上に結像するフリンジ像の縦方向のサイズが、当該ラインセンサの縦方向の画素サイズ以下となるように、前記拡散板で拡散されたレーザ光を前記ラインセンサの縦方向のみに縮小させて前記エタロンに入射させるものであること
    を特徴とする請求項1または2記載の分光器。
  4. 前記シリンドリカルレンズは、前記拡散板から当該シリンドリカルレンズの焦点距離だけ離間された位置に配置されていること
    を特徴とする請求項1記載の分光器。
  5. 前記シリンドリカルレンズは、前記光ファイバのレーザ光出射口から当該シリンドリカルレンズの焦点距離だけ離間された位置に配置されていること
    を特徴とする請求項2記載の分光器。
  6. レーザ光を集光して前記拡散板に所定のスポット径で入射させる集光レンズが、前記拡散板の前段に配置されていること
    を特徴とする請求項1記載の分光器。
  7. 前記拡散板に入射されるレーザ光のスポット径をD、前記シリンドリカルレンズと前記結像レンズの合成倍率をβとしたとき、
    L=βD
    で表される前記ラインセンサ上に結像されるフリンジ像の縦方向のサイズLが、前記ラインセンサの縦方向の画素サイズ以下となるように、レーザ光スポット径Dが調節されていること
    を特徴とする請求項1または6記載の分光器。
  8. 前記光ファイバの径をDf、前記シリンドリカルレンズと前記結像レンズの合成倍率をβとしたとき、
    L=βDf
    で表される前記ラインセンサ上に結像されるフリンジ像の縦方向のサイズLが、前記ラインセンサの縦方向の画素サイズ以下となるように、光ファイバの径Dfが調節されていること
    を特徴とする請求項2記載の分光器。
  9. 前記ラインセンサは、縦方向の画素サイズが、横方向の画素サイズよりも大きいこと
    を特徴とする請求項1または2記載の分光器。
  10. 前記拡散板は、回転または振動すること
    を特徴とする請求項1記載の分光器。
  11. 前記光ファイバは、振動すること
    を特徴とする請求項2記載の分光器。
  12. 請求項1または2記載の分光器を備えたレーザ装置。
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