JP4324771B2 - 有機ハロゲン化合物分解触媒及び有機ハロゲン化合物分解用水分散体 - Google Patents

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Description

本発明は、土壌、地下水、排水中に含まれる有機ハロゲン化合物、殊に、クロロベンゼン、ダイオキシン類又はPCB(ポリ塩化ビフェニル)等の芳香族系有機ハロゲン化合物を常温にて効率よく、しかも経済的に分解できる触媒を提供するものである。
都市ごみや産業廃棄物を焼却するごみ焼却炉施設から発生する排ガスや飛灰、主灰中には、微量ではあるが人体に対して極めて強い毒性を持つ芳香族有機ハロゲン化合物であるダイオキシン類が含まれている。ダイオキシン類は、ジベンゾ−p−ジオキシン、ジベンゾフラン等の水素が塩素で置換された化合物の総称である。排ガスや飛灰はごみ焼却炉周辺に滞留し周辺地域の土壌中にダイオキシン類が残存することとなる。また、施設内から排出される排水中にも高濃度なダイオキシン類が含まれている事例が多々ある。
更に、PCBは化学的、熱的に安定であり、電気絶縁性にも優れており、トランス、コンデンサーの絶縁油、可塑剤、熱媒体として多用されていたが、有害であることから製造及び使用が禁止されている。しかしながら、過去において使用されていたPCBの有効な処理方法は確立されておらず、大部分が処理されずにそのまま保存されている。
これらの芳香族有機ハロゲン化合物は難分解性である上に発癌性物質又は強い毒性を有する物質であるため、土壌、地下水および排水中の芳香族有機ハロゲン化合物による汚染が深刻な環境問題になっている。
即ち、前記芳香族有機ハロゲン化合物が排出された場合、芳香族有機ハロゲン化合物は難分解性であるため、排出された土壌中に蓄積され芳香族有機ハロゲン化合物で汚染された状態となり、また、地下水も芳香族有機ハロゲン化合物によって汚染されることとなる。更に、地下水は汚染土壌以外の周辺地域についても広がるため、広範な領域で有機ハロゲン化合物による汚染が問題となる。
芳香族有機ハロゲン化合物によって汚染された土壌では土地の再利用・再開発を行うことができないため、芳香族有機ハロゲン化合物によって汚染された土壌および地下水の浄化処理方法として様々な技術手段の提案がなされているが、芳香族有機ハロゲン化合物は難分解性であり、しかも、多量の土壌、地下水や高濃度の排水が処理対象となるため、効率的、且つ、経済的な浄化技術は未だ十分に確立されていない。特に、ダイオキシン類やPCBは、熱的、化学的に安定な化合物であるため、従来は常温での分解は困難であった。
一般的に、有機ハロゲン化合物によって汚染された土壌の浄化方法として、各種触媒を用いて浄化処理する方法、有機ハロゲン化合物の揮発性を利用して吸引除去する方法、土壌を掘削して加熱処理によって無害化する熱分解法、微生物を利用する方法等が知られている。また、有機ハロゲン化合物によって汚染された地下水の浄化方法として、汚染地下水を土壌外に抽出して無害化処理する真空抽出法や揚水曝気法等が知られている。さらに、有機ハロゲン化合物によって汚染された排水の浄化方法としては、曝気処理法、紫外線、オゾン、過酸化水素などを利用する酸化処理法、微生物を利用したバイオレメディエーション法等がある。
また、近年では、鉄粉を用いた還元的分解処理法、鉄粉および嫌気性微生物を用いた還元的分解処理法、過酸化水素を用いた酸化分解処理法等が研究されている。
有機ハロゲン化合物で汚染された土壌、地下水および排水の浄化方法として提案されている技術手段のうち、鉄系粒子による無害化する技術手段としては、特許文献1〜14及び非特許文献1に開示されている各技術手段が提案されている。
特開平10−71386号公報 特開平11−235577号公報 特開平11−253908号公報 特開2000−5740号公報 特開2000−225385号公報 特開2000−237768号公報 特開2000−334063号公報 特開2001−38341号公報 特開2001−113261号公報 特開2001−149962号公報 特開2001−198567号公報 特開2002−161263号公報 特開2002−166171号公報 特開2002−254060号公報 CHUAN−BAO WANG AND WEI−XIAN ZHANG, ENVIRONMENTAL SCIENCE & TECHNOLOGY, Vol.31,No.7,2154〜2156頁 (1997)
しかし、前出特許文献1には汚染土壌内にボーリング孔を穿孔した後、該ボーリング孔に圧縮空気及び鉄粉を吹き付けて、鉄粉を含有する鉄粉分散層を形成して地下水と接触させることによって土壌及び地下水中の有害物質を無害化する技術が開示されているが、用いる鉄粉の詳細な特性及び使用量等については記載されておらず、難分解性の芳香族有機ハロゲン化合物を低減できるとは言い難いものである。
また、前出特許文献2には0.1重量%以上の炭素を含有する鉄粉を土壌に添加・混合して土壌中の有機ハロゲン化合物を無害化する技術が開示されているが、鉄粉の比表面積及び粒度は記載されているものの粒子サイズが大きいため、難分解性の芳香族有機ハロゲン化合物を低減できるとは言い難いものである。
また、前出特許文献3にはPCBに粉末状の金属を混合して均一な混合状態の混練物を加熱して金属の塩化物を形成してPCBを無害化する技術が記載されているが、実施例では250℃以上の加熱が必要であり、経済的とは言い難い。
また、前出特許文献4には銅を含有した鉄粉を用いて土壌中の有機ハロゲン化合物を無害化する技術が開示されているが、有機ハロゲン化合物の分解に長時間を必要とするため、難分解性の芳香族有機ハロゲン化合物を無害化できるとは言い難いものである。
また、前出特許文献5には水素供与性化合物の存在下で還元性金属との化学反応によってハロゲン化炭化水素を還元的脱ハロゲン化する技術が記載されているが、脱ハロゲン化反応を促進させるアミンが必須であり、還元性金属による分解反応が十分とは言い難いものである。
また、前出特許文献6には有機ハロゲン化合物と鉄系金属とを接触させる技術が開示されているが、繊維状の鉄系金属であって繊維径が大きく、難分解性の芳香族有機ハロゲン化合物を十分に低減できるとは言い難いものである。
また、前出特許文献7にはダイオキシン類と製鉄所における熱間圧延鋼板の製造工程から生じるミルスケールを含む塩酸酸性水溶液とを100℃より低温で接触させてダイオキシン類を無害化する技術が開示されているが、無害化を促進させる塩酸酸性水溶液が必須であり、ミルスケール自体の分解反応が十分とは言い難いものである。
また、前出特許文献8には平均粒子径1〜500μmの鉄粒子を含む水懸濁液からなる土壌浄化剤が開示されているが、粒子サイズが大きく、難分解性の芳香族有機ハロゲン化合物を分解することは困難である。
また、前出特許文献9にはダイオキシン汚染土壌と鉄化合物を含む塩酸酸性水溶液中とを接触させてダイオキシンを無害化する方法が開示されているが、無害化を促進させる塩酸酸性水溶液が必須であり、鉄化合物自体の分解反応が十分とは言い難いものである。
また、前出特許文献10にはダイオキシン類等を含む排水を処理するに際し、排水が液相を保持する圧力下、かつ酸化剤および助燃剤供給下において、該排水をチタン−鉄−白金系等の触媒で湿式酸化処理する方法が開示されているが、160℃程度の加熱が可能な特殊装置が必要であり、経済的でない。
また、前出特許文献11には平均粒子径が10μm未満の球状鉄粒子を含有する水懸濁液を用いる技術が開示されているが、該球状鉄粒子を含有する水懸濁液は製鋼用の酸素吹転炉から精錬中に発生する排ガスを集塵し、ガスを除去して得られる水懸濁液であり、難分解性の芳香族有機ハロゲン化合物を低減できるとは言い難いものである。
また、前出特許文献12には、ニッケル、銅、コバルト及びモリブデンから選ばれる金属が表面に付着し、付着金属以外の表面が鉄酸化被膜で覆われている有機ハロゲン化合物分解用鉄粉が記載されているが、ミルスケールで得られた鉄粉や溶鋼を水アトマイズした鉄粉を用いており、記載されている鉄粉の比表面積から、鉄粉の粒子サイズが大きいと思われ、難分解性の芳香族有機ハロゲン化合物を十分に低減できるとは言い難いものである。
また、前出特許文献13には、表面に黒鉛が濃化して存在する有機ハロゲン化合物分解用鉄粉が記載されているが、トリクロロエチレン等の脂肪族有機ハロゲン化合物については分解可能であるが、難分解性の芳香族有機ハロゲン化合物を十分に低減できるとは言い難いものである。
また、前出特許文献14には、化学物質により汚染された汚染物に鉄粉、硫酸鉄及び塩化鉄等の金属系触媒と、過酸化水素水と硫酸の混合液を添加して攪拌する化学物質汚染物の浄化方法が開示されているが、トリクロロエチレン等の脂肪族有機ハロゲン化合物については分解可能であるが、難分解性の芳香族有機ハロゲン化合物を十分に低減できるとは言い難いものである。
また、前出非特許文献1には、1〜100nmのFe粒子表面にPdを被覆した複合粒子粉末を用いることで、水溶液中のPCBを常温で分解できることを開示しているが、短時間で効率よく、PCBを分解できるとは言い難いものである。
そこで、本発明は、土壌、地下水、排水中に含まれるクロロベンゼン、ダイオキシン類、PCBなどの芳香族系有機ハロゲン化合物を常温にて効率よく、しかも経済的に分解できる触媒を提供することを課題とする。
前記技術的課題は以下の通りの本発明により達成できる。
即ち、本発明は、脂肪族有機ハロゲン化合物又は芳香族有機ハロゲン化合物を分解する有機ハロゲン化合物分解触媒であって、金属鉄、炭素、およびルテニウム、ロジウムおよびパラジウムから選択した1種以上の貴金属からなる複合粒子粉末であり、金属鉄含有量85.0〜99.8重量%、炭素含有量0.1〜10.0重量%、および貴金属含有量0.01〜5.0重量%であり、炭素が金属鉄の表面に存在することを特徴とする有機ハロゲン化合物分解触媒である。
また、本発明は、前記の有機ハロゲン化合物分解触媒を有効成分として含有する水懸濁液からなる有機ハロゲン化合物分解用水分散体である。
本発明に係る有機ハロゲン化合物分解触媒は、有機ハロゲン化合物、殊に、難分解性芳香族有機ハロゲン化合物を効率よく分解できるので、芳香族有機ハロゲン化合物によって汚染された土壌・地下水の浄化剤として好適である。
本発明の構成を詳しく説明すれば、次の通りである。
先ず、本発明に係る有機ハロゲン化合物分解触媒(以下、「分解触媒」という。)について述べる。
本発明に係る分解触媒における金属鉄含有量は85.0〜99.9重量%である。金属鉄が85.0重量%未満の場合には、金属鉄による活性水素生成反応が低下することで分解性能が低下し、本発明の目的とする効果が得られない。金属鉄が99.9重量%を越える場合には、炭素の被覆効果が小さく、またBET比表面積が極端に小さくなり、有機ハロゲン化合物の分解活性が著しく劣るものとなる。好ましくは87.0〜99.8重量%、更に好ましくは87.0〜99.6重量%、更により好ましくは89.0〜99.6重量%である。
本発明に係る分解触媒における炭素含有量は0.1〜10.0重量%である。炭素が0.5重量%未満の場合には、炭素の被覆効果が小さいため、有機ハロゲン化合物の分解活性が低下し、10.0重量%を超える場合には、金属鉄の活性水素生成反応が阻害されて、有機ハロゲン化合物の分解活性が低下する。好ましくは0.3〜9.0重量%、さらに好ましくは0.3〜8.0重量%である。
本発明に係る分解触媒における貴金属含有量は0.01〜5.0重量%である。貴金属が0.01重量%未満の場合は、貴金属の担持効果が小さくなり、触媒活性が低下し、5.0重量%を超える場合には、貴金属を増やした効果がなく、経済的でない。好ましくは0.05〜4.0重量%、0.05〜3.0重量%である。
なお、本発明に係る分解触媒においては、各種原料に起因して不可避的に存在する不純物(Na、Ca、S、Al又はSi等)を含有してもよい
本発明に係る分解触媒の粒子形状は針状、紡錘状、粒状および球状のいずれであっても良い。
本発明に係る分解触媒のBET比表面積値は1.0〜200m/gが好ましい。1.0m/g未満の場合には、接触面積が小さくなり触媒活性が発現しにくい。200m/gを越える場合は、金属鉄が不安定で、かつ炭素が過剰量となっており、安定した触媒活性が得られ難い。より好ましくは3.0〜150m/g、更により好ましくは5.0〜100m/gである。
本発明に係る分解触媒を構成する金属鉄の粒子径は、0.01〜1.0μm、好ましくは0.03〜0.5μm、より好ましくは0.05〜0.5μmである。
なお、分解触媒は、造粒物の形態であってもよい。
次に、本発明に係る分解触媒の製造法について述べる。
本発明に係る分解触媒は、例えば、下記いずれかの製造法によって得ることができる。
(1)酸化鉄粒子粉末と炭素原料となる有機物とを混合して、不活性ガス雰囲気中で熱分解処理して、酸化鉄粒子表面に炭素が被覆した酸化鉄−炭素複合粒子粉末を得、次いで、得られた酸化鉄−炭素複合粒子粉末に貴金属塩水溶液を含浸させた後、還元処理して、金属鉄粒子表面に炭素が被覆され、かつ貴金属粒子が担持された本発明に係る分解触媒を得る。(2)酸化鉄粉末と有機物とを混合して、不活性ガス雰囲気中で熱分解処理し、さらに還元処理して、金属鉄粒子表面に炭素が被覆した金属鉄−炭素複合粒子粉末を得、次いで、得られた金属鉄−炭素複合粒子粉末にコロイド状の貴金属を担持させて本発明に係る分解触媒を得る。(3)酸化鉄粒子粉末の表面に炭素物質を担持した後、貴金属塩水溶液を含浸させた後、還元処理することによって、金属鉄粒子表面に炭素が被覆され、かつ貴金属粒子が担持された本発明に係る複合触媒を得る。(4)酸化鉄粒子粉末に炭素物質を表面に担持した後、還元処理して、金属鉄粒子表面に炭素が被覆した金属鉄−炭素複合粒子粉末を得、次いで、得られた金属鉄−炭素複合粒子粉末にコロイド状の貴金属を担持させて、本発明に係る分解触媒を得る。
使用される酸化鉄としては、α−FeO(OH)等の含水酸化鉄、α−Fe等の酸化第二鉄、四三酸化鉄(Fe)の内の1種または2種以上の混合物である。酸化鉄粒子粉末の平均粒子径は0.01〜1.0μmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.5μmであり、BET比表面積は2.0〜200m/gが好ましく、より好ましくは5.0〜180m/gである。酸化鉄粒子粉末の粒子形状は針状、紡錘状、粒状および球状のいずれであっても良い。
炭素原料としての有機物としては、不活性ガス雰囲気で炭化物を形成するものであればよく、例えば、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリビニルアルコールおよびカルボキシメチルセルロース等の高分子化合物、椰子柄粉末又は木屑粉末等を用いることができる。炭素物質としては、カーボンブラック、活性炭およびコークス等を用いることができる。
酸化鉄に対する炭素原料としての有機物の混合割合は1.0〜100重量%が好ましい。混合割合が1.0重量%未満の場合には、得られる本発明の複合粒子粉末の炭素量が0.5重量%未満となり、100重量%を超える場合には、複合粒子粉末の炭素量が10.0重量%を超えてしまう。より好ましい混合割合は5.0〜100重量%、更により好ましくは5.0〜50.0重量%である。
また、前記製造法(3)又は(4)において、酸化鉄に対する炭素物質の混合割合は1.0〜50重量%が好ましく、より好ましくは1.0〜40重量%、更により好ましくは1.0〜30重量%である。
前記製造法(1)又は(2)において、酸化鉄粒子粉末と有機物との混合物は、ヘンシェルミキサーやエッジランナー等の乾式混合機で混合することによって得ることができ、この混合物を押出し成形機や圧縮成形機等を用いて粒状化またはペレット状化しておくことが好ましい。成形物にすることによって、固定層方式の熱分解炉および還元炉を使用できるほか、複合粒子とした場合でもそのまま成形物の形態を保つことが可能となり、カラム等に充填して使用する場合には好ましい。酸化鉄粒子粉末と有機物を混合する際には、エタノールや水等の溶媒を用いてもよい。
また、前記製造法(3)又は(4)において、酸化鉄粒子粉末の表面への炭素物質の担持処理は、ヘンシェルミキサーやエッジランナー等の乾式混合機で行うことができる。その際には、酸化鉄粒子粉末に炭素物質を強固に担持するために、予め酸化鉄粒子粉末を有機珪素化合物、界面活性剤等の表面処理剤で処理してもよい。得られた炭素物質が担持された酸化鉄粒子粉末は前記と同様にして、押出し成形機又は圧縮成形機等を用いて粒状化またはペレット状化しておくことが好ましい。
酸化鉄粉末と有機物との混合物の熱分解温度は350〜600℃が好ましい。熱分解温度が350℃未満である場合には、有機物の炭化反応が十分に起こらず、得られる分解触媒の触媒活性が低下する。600℃を超える場合には、有機物の昇華促進に伴う残炭率が低下と、かつ酸化鉄粒子のシンタリングの促進に伴うBET比表面積の減少により、得られる分解触媒の触媒活性が低下する。より好ましくは400〜600℃、更により好ましくは400〜550℃が好ましい。熱分解処理の雰囲気は不活性雰囲気であれば特に限定されないが、窒素雰囲気が望ましい。
熱分解処理により、酸化鉄粒子表面に炭素が被覆した酸化鉄−炭素複合粒子粉末が得られる。
酸化鉄−炭素複合粒子粉末の還元処理の温度は350〜600℃が好ましい。還元温度が350℃未満である場合には、酸化鉄の金属鉄への還元反応が十分に起こらず、得られる分解触媒の触媒活性が低下する。600℃を超える場合には、有機物の昇華促進に伴う残炭率が低下と、かつ金属鉄粒子のシンタリングの促進に伴うBET比表面積の減少により、得られる分解触媒の触媒活性が低下する。好ましくは400〜600℃、より好ましくは400〜550℃が好ましい。還元処理の雰囲気は還元性雰囲気であれば特に限定されないが、水素雰囲気が好ましい。
還元処理により、金属鉄粒子の表面に炭素が被覆された複合粒子粉末が得られる。また、貴金属塩水溶液に含浸させた場合には、金属鉄粒子の表面に炭素が被覆され、かつ貴金属粒子が担持された複合粒子粉末が得られる。
また、前記製造法(3)又は(4)において得られる炭素物質が担持された酸化鉄粒子粉末の還元温度は、前記還元温度と同様である。
次に、本発明に係る有機ハロゲン化合物分解用水分散体(以下、「水分散体」という。)について述べる
本発明に係る水分散体は、前記分解触媒を有効成分として含有する水懸濁液であり、分解触媒の水懸濁液中の含有量は0.5〜50重量部の範囲内で適宜選択することができる。
次に、本発明に係る分解触媒による土壌、地下水および排水中の有機ハロゲン化合物の分解処理方法ついて述べる。
土壌および地下水中の有機ハロゲン化合物の分解処理は、一般的に、含有される汚染物質を直接地下で分解する原位置分解法と掘削又は抽出した土壌・地下水中の汚染物質を分解する原位置抽出法とがあり、本発明においてはいずれの方法においても用いることができる。
原位置分解法においては、本発明に係る分解触媒又は水分散体を高圧の空気、窒素等のガスあるいは水を媒体にしてそのまま浸透もしくはボーリング孔から地下に導入する方法が取られる。
原位置抽出法においては、掘削した土壌と本発明に係る分解触媒又は水分散体を、エッジランナー、ヘンシェルミキサー、コンクリートミキサー、ナウターミキサー、一軸又は二軸式のニーダー型混合器等を用いて混合攪拌すれば良い。また、揚水した地下水においては、本発明に係る分解触媒又は水分散体と地下水をバッチ反応槽にて混合接触させる方法や分解触媒成形物が充填されたカラム等に通水する方法で分解処理ができる。
排水中の有機ハロゲン化合物についても、地下水の場合と同様な方法で分解処理できる。
本発明に係る分解触媒の添加量は、土壌、地下水および排水中の有機ハロゲン化合物の濃度に応じて適宜選択することができるが、土壌を対象とする場合には、通常土壌100重量部に対して0.1〜50重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜30重量部である。0.1重量部未満の場合には、本発明の目的とする効果が充分得られない。50重量部を超える場合には、浄化効果は向上するが経済的ではない。また、地下水および排水を対象とする場合には、地下水100重量部に対して0.1〜50重量部添加することが好ましく、より好ましくは0.5〜30重量部である。
土壌、地下水および排水中の有機ハロゲン化合物に対する本発明に係る分解触媒の添加量は、有機ハロゲン化合物1重量部に対して、10〜1000重量部が好ましく、より好ましくは10〜500重量部である。1重量部未満の場合には、本発明の目的とする効果が充分得られない。500重量部を超える場合には、有機ハロゲン化合物の分解性能は向上するが経済的ではない。
なお、土壌中の有機ハロゲン化合物を分解処理する場合には、必要により適度の水を供給してもよい。
本発明に係る分解触媒を用いた場合には、後述する評価法において、土壌中の芳香族有機ハロゲン化合物の残存率を25%以下、好ましくは20%以下にすることができ、地下水および排水中の芳香族有機ハロゲン化合物の残存率を25%以下、好ましくは20%以下にすることができる。
<作用>
本発明において重要な点は、本発明に係る複合粒子粉末を用いることによって、土壌、地下水および排水中の芳香族有機ハロゲン化合物を効率よく、持続的に、しかも、経済的に分解処理できるという点である。
本発明に係る分解触媒を用いることによって芳香族有機ハロゲン化合物を効果的に分解できる理由は未だ明らかではないが、本発明者は、下記のように推定している。
即ち、本発明に係る分解触媒は、金属鉄粒子表面に炭素成分が存在することによって、有機ハロゲン化合物を容易に吸着・接触することができ、本発明に係る分解触媒と、有機ハロゲン化合物との接触頻度を増加させることができる。
更に、本発明に係る分解触媒は、有機ハロゲン化合物を分解する際に、金属鉄粒子と水が反応して生成した活性水素が、スピルオーバー現象によって金属鉄粒子表面の炭素上を移動し、貴金属粒子表面に吸着した有機ハロゲン化合物と脱ハロゲン化反応するものと推定している。
以上にように触媒活性効果が高く且つ持続性があるため、効率的に短期間で浄化処理を行うことが可能となり、特にダイオキシン等の難分解性芳香族有機ハロゲン化合物で汚染された土壌、地下水および排水の浄化に好適である。
尚、本発明に係る分解触媒を、水等の水素供与体と共に、ダイオキシン類およびPCBと直接混合して分解処理することも可能である。
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
分解触媒中のFe及び貴金属含有量は、分解触媒0.20gを濃硝酸/濃塩酸(1/3容積比)溶液をイオン交換水で2倍に希釈した溶液30mlに煮沸溶解した後、イオン交換水を加えて2リットルに希釈して、高周波プラズマ発光分光分析装置(日本ジャーレル・アゥシュ(株)製ICAP−575)で測定し、分解触媒の炭素含有量は、「カーボン・サルファーアナライザー:EMIA−2200」(HORIBA製)を使用して測定し、各測定値に基づいてFe、炭素及び貴金属の合計量が100重量%となるように換算した。
分解触媒の比表面積は、「モノソーブMS−11」(カンタクロム(株)製)を使用し、BET法により測定した値で示した。
分解触媒中の金属鉄の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡で測定した。
<模擬土壌中クロロベンゼンの浄化処理評価>
<模擬土壌用検量線の作製:クロロベンゼンの定量>
クロロベンゼンの濃度は下記手順に従ってあらかじめ検量線を作成し、得られた検量線に基づいて濃度を算出した。
クロロベンゼン(CCl):分子量112.56
試薬特級(99.5%)、密度(20℃)1.115g/ml
クロロベンゼンを0.05μl、0.1μl及び1.0μlの3水準とし、褐色バイアル瓶50ml(実容積68ml)にイオン交換水30mlを添加し、砂質土壌20g(目開き2mmの篩い下)を封印し、次いで、クロロベンゼンを各水準量注入し、直ちにフッ素樹脂ライナー付きゴム栓で蓋をし、その上からアルミシールで強固に締め付ける。バイアル瓶のヘッドスペースのガスをシリンジで50μl分取し、「GC−MS−QP5050」(島津製製作所製)を用いてクロロベンゼンを測定する。クロロベンゼンは全く分解されないものとして、添加量とピーク面積との関係を求める。このときのカラムはキャピラリーカラム(DB−1:J&W Scientific社製、液相:ジメチルポリシロキサン)とし、キャリアガスにはHeガス(143l/min)を使用し、40℃、2分間保持した後、10℃/minの速度で250℃まで昇温してガスを分析する。
<試料調整>
あらかじめ湿った砂質土壌20g(目開き2mm篩い下)にクロロベンゼン1.0μlを添加し、クロロベンゼンで汚染された土壌を作製した。褐色バイアル瓶50ml(実容積68ml)に分解触媒0.3gとイオン交換水30mlを注入し、次いで、前記汚染土壌を注入し、直ぐにフッ素樹脂ライナー付きゴム栓で蓋をし、その上からアルミシールで強固に締め付けて静置反応させる。
<評価方法>
クロロベンゼン残存量は、前記バイアル瓶のヘッドスペースのガスを、反応時間100時間後にシリンジで50μl分取し、前記「GC−MS−QP5050」(島津製作所社製)を用いて測定する。
<模擬地下水、排水中クロロベンゼンの浄化処理評価>
<模擬地下水、排水用検量線の作製:クロロベンゼンの定量>
砂質土壌を添加しない以外は前記<土壌用検量線の作製:クロロベンゼンの定量>と同様にして地下水、排水用検量線を作成した。
<試料調整>
前記褐色バイアル瓶50ml(実容積68ml)に分解触媒0.3gとイオン交換水30mlを注入し、次いで、クロロベンゼン1μlを注入し、直ぐにフッ素樹脂ライナー付きゴム栓で蓋をし、その上からアルミシールで強固に締め付けて静置反応させる。
<評価方法>
クロロベンゼン残存量は前記<評価方法>と同様にして測定した。
<模擬地下水、排水中ダイオキシン類の浄化処理評価>
<試料調整>
褐色バイアル瓶50ml(実容積68ml)に分解触媒0.3gとイオン交換水30mlを注入し、次いで、表1に示すダイオキシン類混合標準液(CIL社製EDF−4943)をアセトンで100倍に希釈した希釈標準液(41ng−TEQ/ml)を0.2ml(8.2ng−TEQに相当する)注入し、直ぐにフッ素樹脂ライナー付きゴム栓で蓋をし、その上からアルミシールで強固に締め付けて静置反応させる。
<評価方法>
反応時間200時間後に、バイエル瓶中の溶液および分解触媒に含まれるダイオキシン類を常法によって抽出し、抽出液中のダイオキシン類をガスクロマトグラフィー質量分析計(MICROMASS社製AUTOSPEC ULTIMA)で定量した。残存量は表1に示す毒性等量にて計算した。
Figure 0004324771
実施例1<金属鉄−炭素−ルテニウム複合粒子粉末>
流動式のヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製FM20C/I型)を使用して、BET比表面積85m/gの含水酸化鉄(α−FeO(OH))粒子粉末4.0kgに、エタノール溶媒の50重量%フェノール樹脂(カネボウ(株)製「ベルパールS890」;平均分子量:10000,残存モノマー:50ppm以下)溶液を0.40kg添加して、50℃、1400rpmで5分間混合した。得られた混合物に水を30重量%添加し、高速転動式のオムニミキサー(千代田技研工業(株)製OM−30SA型)で混合した。この混合物を連続ペレット製造装置プレスペレッター(千代田技研工業(株)製FMP−180型)を使用して、6mmφ×8mmに成形した。得られた成形体を固定床反応装置に導入し、窒素雰囲気下、500℃で2時間熱処理し、さらに水素雰囲気下、450℃で2時間還元処理して、金属鉄99.5重量%、炭素0.53重量%を含むBET比表面積10m/gの金属鉄−炭素複合粒子成形体(6mmφ×8mm)を得た。
次に、前記金属鉄−炭素複合粒子成形体30gを乳鉢で粉砕して粉末状とし、これを1.0lのイオン交換水を入れた3lビーカーに添加して水懸濁液を調製した。この水懸濁液に、0.5mmol/lのルテニウムコロイド水溶液(戸田工業(株)製TCU−111)0.59lを攪拌下にて添加し、さらに30分間攪拌混合した後、濾過、水洗した。得られた濾過物を30℃にて乾燥し、複合粒子粉末を得た。得られた複合粒子粉末の組成割合は金属鉄99.4重量%、炭素0.53重量%、ルテニウム0.10重量%であり、BET比表面積10m/g、金属鉄の平均粒子径が0.20μmである金属鉄−炭素−ルテニウム複合粒子粉末であった。
実施例2<金属鉄−炭素−ルテニウム複合粒子粉末>
流動式のヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製FM20C/I型)を使用して、BET比表面積85m/gの含水酸化鉄(α−FeO(OH))粒子粉末4.0kgに、エタノール溶媒の50重量%フェノール樹脂(カネボウ(株)製「ベルパールS890」;平均分子量:10000,残存モノマー:50ppm以下)溶液を2.0kg添加して、50℃、1400rpmで10分間混合した。得られた混合物に水を30重量%添加し、高速転動式のオムニミキサー(千代田技研工業(株)製OM−30SA型)で混合した。この混合物を連続ペレット製造装置プレスペレッター(千代田技研工業(株)製FMP−180型)を使用して、6mmφ×8mmに成形した。得られた成形体を固定床反応装置に導入し、窒素雰囲気下、450℃で2時間熱処理し、さらに水素雰囲気下、400℃で3時間還元処理して、金属鉄95.8重量%、炭素4.2重量%を含むBET比表面積40m/gの金属鉄−炭素複合粒子成形体(6mmφ×8mm)を得た。
次に、前記金属鉄−炭素複合粒子成形体30gを乳鉢で粉砕して粉末状とし、これを1.0lのイオン交換水を入れた3lビーカーに添加して水懸濁液を調製した。この水懸濁液に、0.5mmol/lのルテニウムコロイド水溶液(戸田工業(株)製TCU−111)1.18lを攪拌下にて添加し、さらに30分間攪拌混合した後、濾過、水洗した。得られた濾過物を30℃にて乾燥し、複合粒子粉末を得た。得られた複合粒子粉末の組成割合は金属鉄95.6重量%、炭素4.2重量%、ルテニウム0.20重量%であり、BET比表面積41m/g、金属鉄の平均粒子径0.18μmの金属鉄−炭素−ルテニウム複合粒子粉末であった。
実施例3<金属鉄−炭素−ロジウム複合粒子粉末>
流動式のヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製FM20C/I型)を使用して、BET比表面積85m/gの含水酸化鉄(α−FeO(OH))粒子粉末4.0kgに、エタノール溶媒の50重量%フェノール樹脂(カネボウ(株)製「ベルパールS890」;平均分子量:10000,残存モノマー:50ppm以下)溶液を0.80kg添加して、50℃、1400rpmで5分間混合した。得られた混合物に水を30重量%添加し、高速転動式のオムニミキサー(千代田技研工業(株)製OM−30SA型)で混合した。この混合物を連続ペレット製造装置プレスペレッター(千代田技研工業(株)製FMP−180型)を使用して、6mmφ×8mmに成形した。得られた成形体を固定床反応装置に導入し、窒素雰囲気下、500℃で2時間熱処理し、四三酸化鉄(Fe3O4)92.4重量%、炭素7.6重量%を含むBET比表面積71m/gの四三酸化鉄−炭素複合粒子成形体(6mmφ×8mm)を得た。
次に、前記四三酸化鉄−炭素複合粒子成形体30gに0.25mol/lの硝酸ロジウム溶液10.6mlを含浸させた後、80℃にて乾燥した。得られた乾燥物を450℃にて2時間還元処理し複合粒子粉末を得た。得られた複合粒子粉末の組成割合は金属鉄97.5重量%、炭素1.1重量%、ロジウム1.4重量%であり、BET比表面積15m/g、金属鉄の平均粒子径が0.22μmである金属鉄−炭素−ロジウム複合粒子粉末であった。
実施例4<金属鉄−炭素−パラジウム複合粒子粉末>
エッジランナー((株)松本鋳造鉄工所製MPUV−2型)を使用して、BET比表面積10m/gの酸化第二鉄(α−Fe2O3)粒子粉末10.0kgに、50重量%メチルトリエトキシシラン溶液を0.40kg添加し、40kg/cmの線荷重で20分間混合攪拌を行った。次に、カーボンブラック(三菱化学(株)製MA−100B)1.0kg添加した後、40kg/cmの線荷重で20分間混合攪拌を行った。得られた混合物に水を30重量%添加し、高速転動式のオムニミキサー(千代田技研工業(株)製OM−30SA型)で混合した。この混合物を連続ペレット製造装置プレスペレッター(千代田技研工業(株)製FMP−180型)を使用して、6mmφ×8mmに成形した。得られた成形体を固定床反応装置に導入し、水素雰囲気下、400℃で3時間還元処理して、金属鉄95.7重量%、炭素4.3重量%を含むBET比表面積35m/gの金属鉄−炭素複合粒子成形体(6mmφ×8mm)を得た。
次に、前記金属鉄−炭素複合粒子成形体30gを乳鉢で粉砕して粉末状とし、これを1.0lのイオン交換水を入れた3lビーカーに添加して水懸濁液を調製した。この水懸濁液に、2.5mmol/lのパラジウムコロイド水溶液(戸田工業(株)製TCP−211)0.23lを攪拌下にて添加し、さらに30分間攪拌混合した後、濾過、水洗した。得られた濾過物を30℃にて乾燥し複合粒子粉末を得た。得られた複合粒子粉末の組成割合は、金属鉄95.5重量%、炭素4.3重量%、パラジウム0.20重量%であり、BET比表面積35m/g、金属鉄の平均粒子径が0.25μmである金属鉄−炭素−パラジウム複合粒子粉末であった。
比較例1<金属鉄−炭素−パラジウム複合粒子粉末>
エッジランナー((株)松本鋳造鉄工所製MPUV−2型)を使用して、BET比表面積10m/gの酸化第二鉄(α−Fe2O3)粒子粉末10.0kgに、50重量%メチルトリエトキシシラン溶液を0.40kg添加し、40kg/cmの線荷重で20分間混合攪拌を行った。次に、カーボンブラック(三菱化学(株)製MA−100B)2.5kg添加した後、40kg/cmの線荷重で20分間混合攪拌を行った。得られた混合物に水を30重量%添加し、高速転動式のオムニミキサー(千代田技研工業(株)製OM−30SA型)で混合した。この混合物を連続ペレット製造装置プレスペレッター(千代田技研工業(株)製FMP−180型)を使用して、6mmφ×8mmに成形した。得られた成形体を固定床反応装置に導入し、水素雰囲気下、400℃で3時間還元処理して、金属鉄89.5重量%、炭素10.5重量%を含むBET比表面積109m/gの金属鉄−炭素複合粒子成形体(6mmφ×8mm)を得た。
次に、前記金属鉄−炭素複合粒子成形体30gを乳鉢で粉砕して粉末状とし、これを1.0lのイオン交換水を入れた3lビーカーに添加して水懸濁液を調製した。この水懸濁液に、2.5mmol/lのパラジウムコロイド水溶液(戸田工業(株)製TCP−211)0.23lを攪拌下にて添加し、さらに30分間攪拌混合した後、濾過、水洗した。得られた濾過物を30℃にて乾燥し複合粒子粉末を得た。得られた複合粒子粉末の組成割合は、金属鉄89.3重量%、炭素10.5重量%、パラジウム0.20重量%であり、BET比表面積89m/g、金属鉄の平均粒子径が0.20μmである金属鉄−炭素−パラジウム複合粒子粉末であった。
比較例2<金属鉄−炭素−ルテニウム複合粒子粉末>
流動式のヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製FM20C/I型)を使用して、BET比表面積85m/gの含水酸化鉄(α−FeO(OH))粒子粉末4.0kgに、エタノール溶媒の50重量%フェノール樹脂(カネボウ(株)製「ベルパールS890」;平均分子量:10000,残存モノマー:50ppm以下)溶液を80g添加して、50℃、1400rpmで5分間混合した。得られた混合物に水を30重量%添加し、高速転動式のオムニミキサー(千代田技研工業(株)製OM−30SA型)で混合した。この混合物を連続ペレット製造装置プレスペレッター(千代田技研工業(株)製FMP−180型)を使用して、6mmφ×8mmに成形した。得られた成形体を固定床反応装置に導入し、窒素雰囲気下、500℃で2時間熱処理し、さらに水素雰囲気下、450℃で2時間還元処理して、金属鉄99.9重量%、炭素0.08重量%を含むBET比表面積5.2m/gの金属鉄−炭素複合粒子成形体(6mmφ×8mm)を得た。
次に、前記金属鉄−炭素複合粒子成形体30gを乳鉢で粉砕して粉末状とし、これを1.0lのイオン交換水を入れた3lビーカーに添加して水懸濁液を調製した。この水懸濁液に、0.5mmol/lのルテニウムコロイド水溶液(戸田工業(株)製TCU−111)0.59lを攪拌下にて添加し、さらに30分間攪拌混合した後、濾過、水洗した。得られた濾過物を30℃にて乾燥し複合粒子粉末を得た。得られた複合粒子粉末の組成割合は、金属鉄99.8重量%、炭素0.08重量%、ルテニウム0.10重量%であり、BET比表面積3.2m/g、金属鉄の平均粒子径が0.28μmである金属鉄−炭素−ルテニウム複合粒子粉末であった。
比較例3<金属鉄−炭素−ルテニウム複合粒子粉末>
流動式のヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製FM20C/I型)を使用して、BET比表面積85m/gの含水酸化鉄(α−FeO(OH))粒子粉末4.0kgに、エタノール溶媒の50重量%フェノール樹脂(カネボウ(株)製「ベルパールS890」;平均分子量:10000,残存モノマー:50ppm以下)溶液を0.40kg添加して、50℃、1400rpmで5分間混合した。得られた混合物に水を30重量%添加し、高速転動式のオムニミキサー(千代田技研工業(株)製OM−30SA型)で混合した。この混合物を連続ペレット製造装置プレスペレッター(千代田技研工業(株)製FMP−180型)を使用して、6mmφ×8mmに成形した。得られた成形体を固定床反応装置に導入し、窒素雰囲気下、500℃で2時間熱処理し、さらに水素雰囲気下、450℃で2時間還元処理して、金属鉄99.5重量%、炭素0.53重量%を含むBET比表面積10m/gの金属鉄−炭素複合粒子成形体(6mmφ×8mm)を得た。
次に、前記金属鉄−炭素複合粒子成形体30gを乳鉢で粉砕して粉末状とし、これを1.0lのイオン交換水を入れた3lビーカーに添加して水懸濁液を調製した。この水懸濁液に、0.5mmol/lのルテニウムコロイド水溶液(戸田工業(株)製TCU−111)47mlを攪拌下にて添加し、さらに30分間攪拌混合した後、濾過、水洗した。得られた濾過物を30℃にて乾燥し、複合粒子粉末を得た。得られた複合粒子粉末の組成割合は、金属鉄99.5重量%、炭素0.53重量%、ルテニウム0.008重量%であり、BET比表面積10m/g、金属鉄の平均粒子径が0.20μmである金属鉄−炭素−ルテニウム複合粒子粉末であった。
比較例4<金属鉄−炭素複合粒子粉末>
実施例1で得られた金属鉄99.5重量%、炭素0.53重量%を含むBET比表面積10m/gの金属鉄−炭素複合粒子成形体(6mmφ×8mm)を乳鉢で粉砕して粉末状として金属鉄−炭素複合粒子粉末を得た。
得られた複合粒子粉末の諸特性を表2に示す。
Figure 0004324771
<模擬汚染土壌または汚染地下水、排水の浄化処理>
使用例1
<土壌中クロロベンゼンの浄化処理結果>
前記評価方法によれば、前記複合粒子粉末1を用いた場合、土壌用試料中のクロロベンゼンの残存率は、100時間後で2.1%であった。反応生成物としては、ベンゼンおよびシクロヘキサンが確認できた。
使用例2〜6、比較使用例1〜4
分解触媒の種類、反応対象物質を種々変化させて、前記の模擬汚染土壌または汚染地下水、排水の処理を行った。
評価結果を表3に示す。
Figure 0004324771
本発明に係る複合粒子粉末は、有機ハロゲン化合物、殊に、難分解性芳香族有機ハロゲン化合物であっても効率よく分解できるので、脂肪族有機ハロゲン化合物又は芳香族有機ハロゲン化合物によって汚染された土壌および地下水の浄化剤として好適である。

Claims (2)

  1. 脂肪族有機ハロゲン化合物又は芳香族有機ハロゲン化合物を分解する有機ハロゲン化合物分解触媒であって、金属鉄、炭素、ルテニウム、ロジウム及びパラジウムから選択した1種以上の貴金属からなる複合粒子粉末であって、金属鉄含有量85.0〜99.8重量%、炭素含有量0.1〜10.0重量%及び貴金属含有量0.01〜5.0重量%であり、炭素が金属鉄の表面に存在することを特徴とする有機ハロゲン化合物分解触媒。
  2. 請求項1記載の有機ハロゲン化合物分解触媒を有効成分として含有する水懸濁液からなる有機ハロゲン化合物分解用水分散体。

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