JP4321983B2 - 無水ミルタザピンおよびその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無水ミルタザピンおよびその製法に関する。さらに詳しくは、抗鬱剤として有用な無水ミルタザピンおよびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ミルタザピンの純度を高める方法としては、ミルタザピンを石油エーテルなどから再結晶させる方法が提案されている(米国特許第4,062,848 号明細書)。
【0003】
しかし、この方法に、純度が95〜99%程度の粗製ミルタザピンを用いた場合、不純物が油状で析出し、ミルタザピンの結晶化が阻害されるため、高純度を有するミルタザピンを得ることが困難となるという欠点がある。
【0004】
従って、粗製のミルタザピンから高純度を有する無水ミルタザピンを効率よく工業的に製造することができる製法の開発が待ち望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、粗製ミルタザピンから効率よく、低級アルコール不溶物を実質的に含有しない無水ミルタザピン結晶および平均粒子径が10〜50μmであり、実質的に残留溶媒を含有しない無水ミルタザピンを工業的に製造しうる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)粗製ミルタザピンを、該粗製ミルタザピン100重量部に対して300〜500重量部の、−5〜10℃の低級アルコールに溶解させ、得られた粗製ミルタザピンの低級アルコール溶液を濾過した後、その濾液を濃縮し、ヘプタンおよび石油エーテルからなる群より選ばれた析出溶媒を用いて無水ミルタザピンを結晶化させることを特徴とする低級アルコール不溶物を実質的に含有しない無水ミルタザピン結晶の製法、および
(2)無水ミルタザピン結晶を平均粒子径が10〜50μmとなるように粉砕することを特徴とする平均粒子径が10〜50μmであり、実質的に残留溶媒を含有しない無水ミルタザピンの製法
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の無水ミルタザピン結晶は、低級アルコール不溶物を実質的に含有しないものである。
【0008】
低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。これらの低級アルコールのなかでは、低級アルコール不溶物の除去性および経済性の観点から、メタノールが好ましい。低級アルコールには、水が1〜5重量%程度含まれていてもよい。
【0009】
なお、本明細書にいう「低級アルコール不溶物を実質的に含有しない」とは、無水ミルタザピン結晶をその10容量倍のメタノールに添加し、20〜30℃の範囲内の温度で無水ミルタザピン結晶を溶解させ、その溶液について、波長600nmで吸光度を測定したときに、吸光度が0.1以下であることをいう。
【0010】
本発明の無水ミルタザピン結晶の出発物質として、粗製ミルタザピンが用いられる。
【0011】
粗製ミルタザピンは、例えば、米国特許第4,062,848 号明細書に記載されている方法によって調製することができる。
【0012】
より具体的には、粗製ミルタザピンは、2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−メタノール(以下、ピリジンメタノール化合物という)を濃硫酸を用いて脱水閉環させることにより、得ることができる。
【0013】
濃硫酸としては、濃度が97〜99%の濃硫酸を好適に用いることができる。ピリジンメタノール化合物を添加する際の濃硫酸の温度は、発熱の抑制およびタール状の不純物の生成の抑制の観点から、0〜40℃、好ましくは5〜35℃であることが望ましい。
【0014】
ピリジンメタノール化合物を濃硫酸に添加するときには、ピリジンメタノール化合物を分割して濃硫酸に添加することが、反応を効率よく進行させる観点から好ましい。例えば、ピリジンメタノール化合物を5〜20分割して濃硫酸に添加することが好ましい。
【0015】
濃硫酸の量は、通常、ピリジンメタノール化合物100重量部に対して、300〜400重量部、好ましくは350〜400重量部であることが望ましい。
【0016】
濃硫酸にピリジンメタノール化合物を添加した後には、反応を促進させるために、20〜50℃、好ましくは30〜40℃程度の温度で7〜10時間程度攪拌することが望ましい。
【0017】
かくしてピリジンメタノール化合物の脱水閉環が行なわれるが、その閉環反応の終点は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により確認することができる。
【0018】
次に、得られた反応溶液を水中に滴下するなどの方法により、硫酸の濃度を低下させることが好ましい。水の量は、操作性の観点から、反応溶液100重量部に対して、100〜200重量部程度であることが好ましい。また、添加する際の反応溶液の液温は、発熱を抑制する観点および不純物(タール)の生成を抑制する観点から、0〜30℃程度であることが好ましい。
【0019】
次に、反応溶液には、中和のために、アルカリ水溶液を添加することが好ましい。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの中では、水酸化ナトリウムが好ましい。アルカリ水溶液における水酸化アルカリの濃度は、操作性の観点から、20〜30重量%、好ましくは20〜25重量%であることが望ましい。水酸化アルカリ水溶液の量は、結晶を析出させないようにするために、その溶液のpHが1〜3、好ましくは1〜2となるように調整することが望ましい。
【0020】
pHの調整後、その溶液には、脱色させるために脱色炭を添加することが好ましい。
【0021】
次に、その溶液を必要により濾過し、濾液にトルエンを添加することにより、粗製ミルタザピンを抽出させることができる。
【0022】
トルエンは、濾液に含まれている脂溶性の不純物を除去するために使用される。トルエンの量は、ピリジンメタノール化合物100重量部に対して、80〜200重量部、好ましくは100〜150重量部であることが望ましい。濾液にトルエンを添加した溶液の温度は、15〜35℃、好ましくは20〜30℃であることが望ましい。また、その溶液は、15分間以上、好ましくは30分間〜1時間程度攪拌することが好ましい。
【0023】
次に、その溶液は、30分間以上、好ましくは1〜2時間程度静置すれば、有機層と水層の2液に分液される。
【0024】
分液した2液のうち、水層にトルエンを添加する。トルエンの量は、粗製ミルタザピンを効率よく抽出させるために、ピリジンメタノール化合物100重量部に対して150〜300重量部、好ましくは170〜250重量部であることが望ましい。トルエンを添加した後には、その水層のpHは、8以上、好ましくは8〜10に調整することが望ましい。水層のpHは、アルカリを用いて調整することができる。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液などが挙げられる。
【0025】
次に、この溶液は、粗製ミルタザピンを溶解させ、分液性をよくするために、70〜85℃、好ましくは75〜80℃の温度に加熱することが望ましい。
【0026】
この溶液を静置すると、2液に分液する。そのうち、有機層には、水分を除去するために、脱水剤を添加することが好ましい。
【0027】
脱水剤としては、例えば、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの中では、脱水効率の観点から、無水硫酸マグネシウムが好ましい。
【0028】
脱水剤の量は、ピリジンメタノール化合物100重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは10〜20重量部であることが望ましい。
【0029】
なお、脱水剤は、有機層を濾過する際に使用する濾過器の上にプレコートすることによって使用してもよい。
【0030】
また、得られる無水ミルタザピン結晶の色相の改善および純度の向上の観点から、脱色剤を有機層に添加することが好ましい。
【0031】
脱色剤としては、例えば、活性アルミナ、脱色炭などが挙げられる。これらのなかでは、活性アルミナが好ましい。脱色剤の量は、その種類によって異なるので一概には決定することができないが、通常、ピリジンメタノール化合物100重量部に対して5〜50重量部、好ましくは10〜20重量部であることが望ましい。
【0032】
脱色を行なう際の温度は、特に限定がないが、通常、室温〜85℃、好ましくは30〜80℃であることが望ましい。脱色に要する時間は、15〜30分間程度であればよい。
【0033】
次に、この有機層から、トルエンを留去することが好ましい。留去するトルエンの量は、使用したトルエンの50〜80重量%、好ましくは60〜70重量%程度であればよい。トルエンの留去は、減圧留去によって行なうことができる。その際の減圧度は、濃縮速度を向上させる観点から、0.6〜40kPa、好ましくは4〜30kPaであることが望ましい。また、留去温度は、濃縮速度の向上および得られる無水ミルタザピン結晶の着色防止の観点から、30〜85℃、好ましくは60〜75℃であることが望ましい。
【0034】
得られた濃縮液には、粗製ミルタザピンを結晶化させるためにヘプタンを添加することが好ましい。ヘプタンの量は、収率を向上させる観点から、ピリジンメタノール化合物100重量部に対して、450〜700重量部、好ましくは500〜600重量部であることが望ましい。ヘプタンを添加する際の温度は、濾過性を向上させる観点から、75〜85℃であることが好ましい。なお、ヘプタンを添加する際には、ヘプタンは滴下することが好ましい。
【0035】
次に、得られた溶液は、結晶径を揃え、収率を向上させるために、1〜5時間、好ましくは2〜3時間で−10〜5℃の温度に徐冷することが望ましい。
【0036】
かくして粗製ミルタザピンを結晶化させることができるが、その結晶は、例えば、ヘプタンあるいはトルエンとヘプタンとの混合溶媒を0〜5℃に冷却した溶媒で洗浄してもよい。この場合、トルエンとヘプタンとの割合は、トルエン100重量部に対してヘプタン70〜100重量部程度であればよい。
【0037】
次に、この結晶は、必要により、45〜65℃、好ましくは50〜60℃程度の温度で減圧乾燥させてもよい。
かくして、粗製ミルタザピンを得ることができる。
【0038】
次に、粗製ミルタザピンから無水ミルタザピン結晶を得る。無水ミルタザピン結晶は、粗製ミルタザピンを低級アルコールに溶解させ、得られた粗製ミルタザピンの低級アルコール溶液を濾過した後、その濾液を濃縮し、ヘプタンおよび石油エーテルからなる群より選ばれた溶媒を用いて結晶化させることによって得ることができる。この無水ミルタザピン結晶は、低級アルコール不溶物を実質的に含有しないものである。以下に、無水ミルタザピン結晶の製法について詳述する。
【0039】
まず、粗製ミルタザピンを低級アルコールに溶解させる。
低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。これらの低級アルコールのなかでは、低級アルコール不溶物の除去性および経済性の観点から、メタノールが好ましい。低級アルコールの量は、粗製ミルタザピンを十分に溶解させる観点および粗製ミルタザピンに含まれている不純物を溶解させない観点から、粗製ミルタザピン100重量部に対して300〜500重量部、好ましくは350〜450重量部であることが望ましい。
【0040】
粗製ミルタザピンを低級アルコールに溶解させる際の温度は、粗製ミルタザピンの溶解に要する時間を短縮させる観点および粗製ミルタザピンに含まれている不純物を溶解させない観点から、−5〜10℃、好ましくは0〜5℃であることが望ましい。
【0041】
なお、粗製ミルタザピンを低級アルコールに溶解させた後、その溶液は、粗製ミルタザピンを脱色させるために、脱色剤と接触させることが好ましい。溶液を脱色剤と接触させる方法としては、例えば、溶液に脱色剤を添加する方法、濾過器のフィルター面に脱色剤を載置した後、濾過器に溶液を注ぐ方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法によって限定されるものではない。
【0042】
脱色剤としては、例えば、活性炭、活性アルミナ、活性白土などが挙げられる。これらの中では、活性炭と活性白土とを併用することが、脱色性の観点から好ましい。
【0043】
脱色剤の量は、粗製ミルタザピンの脱色を十分に行なう観点および純度を向上させる観点から、粗製ミルタザピン100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜25重量部であることが望ましい。また、活性炭と活性白土とを併用する場合には、脱色性の観点から、粗製ミルタザピン100重量部に対して活性炭0.1〜0.5重量部、活性白土10〜25重量部を使用することが好ましい。
【0044】
次に、粗製ミルタザピンの低級アルコール溶液を濾過する。濾過法には、特に限定がなく、例えば、減圧濾過法、加圧濾過法等の通常用いられている濾過法を採用することができる。これにより、この溶液に含まれている低級アルコール不溶物が分離され、除去される。
【0045】
なお、濾過を行なう際の温度は、低級アルコール不溶物の溶解性および粗製ミルタザピンの溶解性の観点から、−5〜10℃、好ましくは0〜5℃であることが望ましい。
【0046】
得られた濾液には、低級アルコール不純物が除去され、粗製ミルタザピンが溶解している。この濾液は、減圧下で濃縮することが好ましい。濃縮を行なう際の濾液の温度は、無水ミルタザピンの安定性の観点および無水ミルタザピンの着色を回避する観点から、0〜50℃であることが好ましい。また、濃縮は、内温が50℃となるまで行なうことが好ましい。
【0047】
次に、濃縮液に含まれている無水ミルタザピンを析出させるために、ヘプタンおよび石油エーテルからなる群より選ばれた析出溶媒を該濾液に添加する。これらの析出溶媒の中ではヘプタンが無水ミルタザピンの結晶化の観点から好ましい。析出溶媒の量は、無水ミルタザピンが油状で析出することを防止する観点および無水ミルタザピンの収量を向上させる観点から、使用した粗製ミルタザピン100重量部に対して100〜1000重量部、好ましくは130〜800重量部、より好ましくは130〜700重量部であることが望ましい。
【0048】
次に、濃縮液に析出溶媒を添加して得られた溶液に含まれている溶媒を常圧で留去することにより、溶解している無水ミルタザピンを結晶化させることができる。その際、溶液の液温は、メタノールの留去の観点から、50〜60℃であることが好ましく、最終的には内温が65〜80℃、好ましくは75〜80℃となるまでメタノールを留去することが望ましい。
【0049】
前記溶液から溶媒を留去した後には、その溶液を−10〜5℃に冷却することにより、無水ミルタザピン結晶を析出させることができる。なお、冷却後の溶液は、無水ミルタザピン結晶の収量を向上させる観点から、−10〜5℃の温度で1〜5時間程度攪拌することが好ましい。
【0050】
無水ミルタザピン結晶は、濾過により回収することができる。回収された無水ミルタザピン結晶は、減圧下で乾燥することができる。この場合、乾燥温度は、無水ミルタザピン結晶における残留溶媒量の低減を図り、無水ミルタザピン結晶の着色を防止する観点から、20〜60℃、好ましくは40〜60℃であることが望ましい。また、減圧度は、無水ミルタザピン結晶における残留溶媒量を低減し、乾燥速度を向上させる観点から、0.1〜40kPa、好ましくは0.1〜4kPaであることが望ましい。
【0051】
なお、さらに高純度を有する無水ミルタザピン結晶を得る場合には、メタノールに代表される低級アルコールによる精製と、前記析出溶媒による再結晶とを繰り返し行なってもよい。
【0052】
かくして得られる無水ミルタザピン結晶は、低級アルコール不溶物を実質的に含有しないものである。この無水ミルタザピン結晶は、レーザー回折粒度分布測定装置によって測定することができないほど大きな粒子径を有するものであり、通常、その粒子径は、10〜300μm程度である。
【0053】
無水ミルタザピンの結晶を粉砕することにより、実質的に残留溶媒を含有しない無水ミルタザピンを得ることができる。このように、無水ミルタザピン結晶を粉砕した場合には、驚くべきことに、実質的に残留溶媒を含有しない無水ミルタザピンを得ることができるのである。
【0054】
なお、本明細書にいう「実質的に残留溶媒を含有しない無水ミルタザピン」とは、無水ミルタザピンに含有されている残留溶媒の量が200ppm以下であることを意味する。
【0055】
無水ミルタザピン結晶の粉砕の際には、例えば、カッターミル、ハンマーミル、アトマイザーなどの粉砕機を用いることができる。
【0056】
粉砕後の無水ミルタザピンの平均粒子径は、製剤のしやすさおよび取扱いやすさの観点から、10〜50μmとされる。なお、本明細書においては、無水ミルタザピンの平均粒子径は、レーザー回折粒度分布測定装置〔(株)島津製作所製、商品名:SALD2000、媒体:水〕で測定したときの値である。
【0057】
本発明の低級アルコール不溶物を実質的に含有しない無水ミルタザピン結晶、および平均粒子径が10〜50μmであり、実質的に残留溶媒を含有しない無水ミルタザピンは、いずれも、抗鬱剤として有用である。
【0058】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0059】
製造例1〔粗製ミルタザピンの製造〕
10L容のフラスコに、濃硫酸6202gを仕込んだ後、2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−メタノール1723gを5〜30℃で分割添加し、30〜40℃で8時間攪拌した。
【0060】
得られた反応混合物を0〜5℃の水12.4kgに滴下し、水解させた。フラスコを濃硫酸770gで洗浄し、得られた洗浄液を前記で得られた水解液と混合した。
【0061】
次に、この混合溶液のpHを25重量%水酸化ナトリウム水溶液で約1.6とし、脱色炭164gを該反応混合物に添加し、1時間攪拌した後、濾過した。脱色炭を水1.6kgで洗浄し、その洗浄液を濾液と混合した。
【0062】
濾液にトルエン2988gを添加し、25〜35℃で抽出することにより、不純物を除去した。
【0063】
20〜30℃で水層と有機層とを分液した。そのうちの水層にトルエン2988gを添加し、25重量%水酸化ナトリウム水溶液で水層のpHを8.5に調整した。75〜80℃で攪拌した後、水層と有機層とに分液した。
【0064】
有機層に無水硫酸マグネシウム288gと活性アルミナ288gを加え、75〜80℃で15分間攪拌した後、無水硫酸マグネシウムと活性アルミナを濾別し、トルエン1120gで洗浄した。
【0065】
次に、トルエン3000mL(約2601g)を減圧留去し、ヘプタン9817gを加え、−10〜5℃に冷却し、同温度で1時間攪拌した後、濾過した。得られた結晶をヘプタン1355gで洗浄した。
【0066】
次に、その結晶を4kPaの減圧度で50〜60℃の温度で乾燥することにより、HCLP純度が99.8%の粗製ミルタザピン1291gを得た。
【0067】
製造例2〔粗製ミルタザピンの製造〕
窒素気流下、反応釜に濃硫酸270kgを仕込み、2−(4−メチル−2−フェニルピペラジン−1−イル)ピリジン−3−メタノール75kgを0〜30℃で分割添加し、30〜40℃で8時間攪拌した。
【0068】
得られた反応溶液を0〜30℃の温度で0〜5℃の水540kgに滴下し、濃硫酸34kgで反応釜を洗浄し、得られた洗浄液を前記で得られた水解液と混合した。
【0069】
次に、この混合溶液のpHを25重量%水酸化ナトリウム水溶液で1〜2に調整し、脱色炭29kg(50%湿品)を該反応混合物に添加し、1時間攪拌した後、濾過した。脱色炭を水143kgで洗浄し、その洗浄液を濾液と混合した。濾液にトルエン98kgを添加し、25〜35℃で洗浄した。
【0070】
25〜35℃で水層と有機層とを分液した。そのうちの水層にトルエン130kgを添加し、さらに25重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加して水層のpHを9に調整した。75〜80℃で攪拌した後、水層と有機層とに分液した。
【0071】
有機層にトルエン351kgを添加し、30〜40℃で無水硫酸マグネシウム13kgと活性アルミナ〔住友化学工業(株)製、商品名:A−11〕13kgを加え、1時間攪拌した。30〜40℃で、有機層を濾過し、トルエン43kgで濾過物を洗浄した。洗浄液は、濾液と混合し、5〜40kPaの減圧下、30〜80℃でトルエンを留去した。留去されたトルエンの量は、530Lであった。60〜80℃でヘプタン427kgを加え、約50℃で種晶を少量添加し、−10〜5℃に冷却した。同温度で1時間攪拌し、濾過した。−10〜5℃に冷却したヘプタン76kgで結晶を洗浄した。減圧下、40〜50℃で洗浄し、56kgの粗製ミルタザピンを得た。収率は、79.7%であった。
【0072】
実施例1
製造例1で得られた粗製ミルタザピン129.1gを0〜5℃のメタノール510.6gに溶解し、これに0〜5℃で脱色炭1.3gを添加し、15分間攪拌した。この溶液を0〜5℃で濾過することにより、低級アルコール不溶物を除去し、得られた濾液を40〜50kPaの減圧下で内温が50℃となるまでメタノールを留去した。メタノールの留去量は490gであった。
【0073】
次に、メタノールを留去した濾液に、ヘプタン582.8gを添加し、内温が73℃となるまでメタノールを共沸留去したところ、メタノールを含むヘプタン270gが留去した。
【0074】
次に、この濃縮液を−10〜5℃に冷却し、同温度で1時間攪拌し、濾過し、得られた結晶をヘプタン176.6gで洗浄した。その後、その結晶を4kPaの減圧下で60℃で乾燥し、無水ミルタザピン結晶103.3gを得た。収率は80であった。得られた無水ミルタザピン結晶は、レーザー回折粒度分布測定装置で測定ができないほど大きな粒子径を有するものであり、その粒子径は、200〜300μm程度であった。無水ミルタザピン結晶には、ヘプタンが1010ppm残留していた。
【0075】
次に、得られた無水ミルタザピン結晶の一部を採り、無水ミルタザピン結晶をその10容量倍のメタノールに添加し、20〜30℃の範囲内の温度で無水ミルタザピンを溶解させ、そのメタノール溶液の波長600nmにおける吸光度を測定したところ、吸光度が0.1以下であった。このことから、無水ミルタザピン結晶は、低級アルコール不溶物を実質的に含有しないものであることが確認された。
【0076】
次に、無水ミルタザピン結晶を粉砕機〔アトマイザー(パルベライザー)、ハンマー12個、目開き1mmのスクリーンを使用〕を用い、回転数5175rpmで粉砕し、平均粒子径が約20μmとなるように粉砕し、白色の無水ミルタザピン結晶の粉末(無水ミルタザピン)100gを得た(粉砕収率:97%)。得られた無水ミルタザピンの顕微鏡写真を図1に示す。なお、図1において、写真の倍率は500倍である。
【0077】
得られた無水ミルタザピンの残留溶媒を調べたところ、残留溶媒であるヘプタンの含有量は180ppm含有されていた。このことから、無水ミルタザピンは、実質的に残留溶媒を含有しないものであることが確認された。
【0078】
得られた無水ミルタザピンの物性は、以下のとおりであった。
(1)HPLC純度:99.9%
(2)融点:114〜116℃
(3)嵩密度:0.3g/mL
【0079】
実施例2
製造例2で得られた粗製ミルタザピン50kgを0〜5℃のメタノール198kgに加えて攪拌し、0〜5℃で脱色炭0.5kgを添加し、1時間攪拌した。濾過器に活性白土〔水澤化学(株)製、商品名:V2、粒度:5〜60メッシュ、比表面積:150〜300m2 /g〕11.5kgをプレコートした後、得られた溶液を0〜5℃で濾過し、0〜5℃のメタノール24kgで濾過物を洗浄した。濾液を4〜55kPaの減圧下、内温が50℃となるまでメタノールを留去した。メタノールの留去量は161Lであった。
【0080】
次に、メタノールを留去した濾液に、ヘプタン306kgを添加し、内温が75℃となるまでメタノールを共沸留去したところ、メタノールを含むヘプタン230Lが留去した。
【0081】
次に、この濃縮液を徐々に冷却すると、約58℃で結晶化が起こった。同温度で1時間攪拌し、続いて−10〜5℃に冷却し、同温度で1時間攪拌した後、得られた無水ミルタザピン結晶を濾過し、0〜5℃のヘプタン137kgで洗浄した。
【0082】
減圧下、この無水ミルタザピン結晶を60℃で乾燥し、内温が恒温となった後、90〜95℃で乾燥した。無水ミルタザピン結晶は、レーザー回折粒度分布測定装置で測定ができないほど大きな粒子径を有するものであり、その粒子径は、200〜300μm程度であった。無水ミルタザピン結晶の収量は38kgであった。
【0083】
次に、得られた無水ミルタザピン結晶の一部を採り、無水ミルタザピン結晶をその10容量倍のメタノールに添加し、20〜30℃の範囲内の温度で無水ミルタザピンを溶解させ、そのメタノール溶液の波長600nmにおける吸光度を測定したところ、吸光度が0.1以下であった。このことから、無水ミルタザピン結晶は、低級アルコール不溶物を実質的に含有しないものであることが確認された。
【0084】
次に、無水ミルタザピン結晶を粉砕機〔アトマイザー(パルベライザー)、ハンマー12個、目開き1mmのスクリーンを使用〕を用い、回転数5175rpmで粉砕した。得られた無水ミルタザピンの平均粒子径を調べたところ、約20μmであった。
【0085】
得られた無水ミルタザピンの残留溶媒を調べたところ、残留溶媒であるヘプタンの含有量は92ppmであった。このことから、無水ミルタザピンは、実質的に残留溶媒を含有しないものであることが確認された。
【0086】
得られた無水ミルタザピンの物性は、以下のとおりであった。
【0087】
比較例1
製造例1で得られた粗製ミルタザピン10gを石油エーテル13g中で加熱溶解させ、脱色炭500mgで脱色し、濾過した後、0〜5℃に冷却して晶析させた。その後、濾過して結晶を回収し、乾燥してミルタザピン8.1gを得た。その色相は淡黄色で、吸光度が1.6であることから、メタノールに溶解しない不溶物が含まれていることが確認された。このミルタザピンのHPLC純度は、99.8%であった。
【0088】
次に、得られたミルタザピンの残留溶媒量を調べたところ、ヘプタンの含有量が1100ppmであった。また、ミルタザピンの平均粒子径を調べたが、大きすぎて測定不能であった。
【0089】
比較例2
製造例1で得られた粗製ミルタザピン10gをtert- ブチルメチルエーテル15gに加熱溶解し、脱色炭500mgで脱色し、濾過し、0〜5℃に冷却して晶析した。
【0090】
得られたミルタザピン結晶を濾過し、乾燥してミルタザピン結晶8.6gを得た。得られたミルタザピン結晶の色相は淡黄色で、吸光度が2.42であることから、メタノールに溶解しない不溶物が含まれていることが確認された。このミルタザピンのHPLC純度は、99.8%であった。
【0091】
また、得られたミルタザピン結晶は、tert- ブチルメチルエーテルの臭気が強く、実用的ではなかった。
【0092】
【発明の効果】
本発明の低級アルコール不溶物を実質的に含有しない無水ミルタザピン結晶および平均粒子径が10〜50μmであり、実質的に残留溶媒を含有しない無水ミルタザピンは、医薬品などに好適に使用しうるものである。
【0093】
また、本発明の製法によれば、粗製ミルタザピンから、高純度を有する無水ミルタザピンを効率よく工業的に製造することができるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られた無水ミルタザピン結晶を示す顕微鏡写真(倍率:500倍)である。
Claims (4)
- 粗製ミルタザピンを、該粗製ミルタザピン100重量部に対して300〜500重量部の、−5〜10℃の低級アルコールに溶解させ、得られた粗製ミルタザピンの低級アルコール溶液を濾過した後、その濾液を濃縮し、ヘプタンおよび石油エーテルからなる群より選ばれた析出溶媒を用いて無水ミルタザピンを結晶化させることを特徴とする低級アルコール不溶物を実質的に含有しない無水ミルタザピン結晶の製法。
- 低級アルコールがメタノールである請求項1記載の製法。
- 析出溶媒の量が粗製ミルタザピン100重量部に対して300〜600重量部である請求項1又は2記載の製法。
- 無水ミルタザピン結晶を平均粒子径が10〜50μmとなるように粉砕することを特徴とする平均粒子径が10〜50μmであり、実質的に残留溶媒を含有しない無水ミルタザピンの製法。
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