JP4321082B2 - 道路ゲート通過制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高速道路における料金所のように、道路にゲートを設け、通過を許可された車両のみを通す道路ゲート通過制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、高速道路の料金所における車両渋滞の緩和等を図るために、ETC(登録商標、以下、同様)システム(Electronic Toll Collection System)が採用され始めている。このETCシステムは、図1に示すように、料金所ゲートGに設置したアンテナ(ETC送受信機)1と車両Aに搭載した車載器(ETC送受信機)2との間で無線通信を用いて(交信して)自動的に通行料金の支払い等を行い、料金所をノンストップで通行することができるものである。
【0003】
このETCシステムにおいて、最近、ゲートG(ゲートバー3)が開かずに(開放されずに)車両AがゲートG(ゲートバー3)に衝突することが問題となっている。この原因の一つとして、ETCシステムとしては正常に動作しているが(両ETC送受信機1,2は正常に交信しているが)、車載器(ETC送受信機)2にETCカードを挿し込んでない、ETCカードは挿し込んだが、接触不良、ETCカードの残高不足等による通過許可信号が発信されない、等により、ゲートG(ゲートバー3)が開かない場合がある。
【0004】
この場合、車両AがACC(Adaptive Cruise Control)システムを搭載しておれば、そのACCシステムがゲートGを認識して車両Aの走行を制動して衝突を避けることができる。
【0005】
また、カーナビゲーションシステムや障害物レーダにより、料金所(ゲートG)を認識し、その情報により、車両速度を制御する技術がある(先行特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001‐30797号公報 段落0122
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ETCゲートGに進入する車両Aは、ETCを搭載していても、ACC、障害物レーダなどの制動システムを搭載しているとは限らず、今日では、まだ、その制動システムの搭載は稀であり、また、搭載していても、ゲートGを認識しない場合がある。
【0008】
また、道路において、ETCゲートGのみならず、各種のゲートを設ける場合には、そのゲートのゲートバー3等に車両Aが衝突することを積極的に防止する必要がある。
【0009】
この発明は、ゲートバー等に車両を衝突しないようにすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、この発明は、道路上のゲートに車両が近づいたことを認識し、その認識により、車両に減速を促したり、車両がその走行環境でゲートに進入すると、ゲートバー等に衝突する状態を判別し、衝突状態の場合には、車両に速度を落とすように(停止するように)指示又は強制的に減速をするようにしたのである。
【0011】
その道路上のゲートに車両が近づいたことを認識する手段は、道路側に設けても、 車両側に設けても良いが、車両側に設ける場合には、道路側に道路ゲートがあることを示すゲート信号を出力する手段が設けられている必要がある。車両がACC等によりゲートを認識し得れば良いが、 この発明は、自己のみでそのゲートを認識する機能を有しない車両も対象とするからである。そのゲート信号を出力する手段としてはETCシステムのゲート側ETC送受信機等が考えられる。
【0012】
道路側に認識手段を設けた具体的な発明としては、 道路ゲートに車両が近づいたことを認識する手段と、その認識手段が車両を認識した時、その車両に減速を促す減速手段とを道路側に設け、前記減速手段からの信号により、前記車両に減速を促すようにした構成を採用し得る。
【0013】
また、車両側に認識手段を設けた具体的な発明としては、 上記ゲート信号を認識する手段と減速手段を車両に設け、 前記認識手段は、 前記ゲート信号の認識信号を前記減速手段に出力し、前記減速手段は、 前記認識信号の入力により自己の車両に減速を促すようにした構成を採用し得る。
【0014】
その減速を促す手段としては、電光などの表示板により、運転者に制動操作を促す、例えば、「ゲートに衝突する。ブレーキをかけよ!」などの表示をしたり、車両のエンジンECU(Electronic Control Unit)に制動信号を発信してエンジン回転数を低減させたり、 車両がAT車(オートマチックトランスミッション車)の場合にはそのAT用ECUにシフトダウンの信号を発信してシフトダウンをさせたり、車両が、TCS(Traction Control System)、ACCなどの制動機能システムを搭載している場合には、そのECUに制動信号を発信してそのECUによって制動する等の各種の手段が考えられる。
【0015】
そのとき、車両の走行速度、車両とゲートの距離等の走行環境を測定し、その測定値に基づき、前記車両が前記ゲート前で停止できるようにしたり、ゲートと衝突しても問題がない程度まで減速させたりすることができる。
【0016】
上記車両がETCを搭載するものにあっては、上記認識手段をETC送受信機とし、上記減速手段は、前記車両側と道路側の両ETC機器の交信により、ゲートが開放する条件を満足するか否か(ゲート通過可能か否か)を判別して、その条件を満足しない場合には車両にその減速を促すようにし得る。
【0017】
このようにすれば、ETCカードの接触不良などが生じておらず、ETCシステムが作動してゲート(ゲートバー)が車両に衝突することなく開く場合は、車両は円滑にゲートを通過できる。このとき、車両の走行速度が速い場合で、その速度でゲートに進入すると、衝突する場合には、その衝突を回避するように減速を促す信号を発信する。その信号は、運転者がブレーキを踏んでゲート前で停止できる速度まで落とすものとすることができる。一方、接触不良などでゲートが開放する条件を満たさない場合には、車両に減速を促してゲートとの衝突を回避する。
【0018】
【実施の形態】
図1及び図2にこの発明の一実施形態を示し、この実施形態は、図1に示す高速道路の料金所のETCゲートGに採用したものであり、ゲートGの門状アームの上部にETC送受信機(アンテナ)1が設置され、その前方にゲートバー3が設けられている。このゲートバー3は、常時は同図鎖線のごとく閉じており、その制御器によるETCゲートGに進入した車両AのETC送受信機(ETC車載器)2と前記ETC送受信機1との交信により、入線情報 (入口情報) 又は自動的に料金の支払が行われた情報 (出口情報)の通過許可信号が発せられると、同図実線のごとく開放して車両Aの通過を許容する。
【0019】
ゲートG側のETC送受信機1は、上記ゲートバー3の制御器に接続され、この制御器は請求の範囲に記載の減速手段を有して図2に示す作用をETC送受信機1を介して行う。すなわち、まず、ETC送受信機1でもってETCゲートGに進入する車両Aを検出すると、その車両AがETC搭載車か否かを判別し、ETC搭載車でない場合には、ゲートアームの電光表示板4によって、例えば、「このゲートはETC用であり、通過できません」などの表示を行って、有人ゲートG1 への誘導を行う。そのETC送受信機2の搭載の有無は、ETC通信ができるか否かで判別し、 ETC送受信機2が正常に動作して交信ができれば、 「搭載車」とし、交信ができなければ、「非搭載車」と判別する。このため、ETC非搭載車は、ETCを搭載していない車と、ETCを搭載していても正常にETC通信を成立させない車となる。
【0020】
つぎに、ETC搭載車の場合には、その車両AのETC送受信機2との間で「ゲートが開放する条件を満足しているか?」の判別のための入口情報又は出口情報の交信を行う。この交信において、車載ETC送受信機2にETCカードが挿入されていない、挿入されたが接触不良など、の場合のように、支払い等の出口情報又は入口情報の正常な交信が行なわれない場合、すなわち、ゲートが開放する条件を満たしていない場合、運転者に、ETC送受信機2の異常を警告するとともに、車両Aの車速、料金所(ゲートバー3)までの距離又は先行き車両Aまでの距離等から減速すべき度合を算出し、減速要求を出力する。その警告は、表示板4によってもよいが、車両AにETC送受信機2からの発信で表示する機器がある場合には、その表示と併用したり、単独にその機器に表示する(以下、同じ)。また、減速要求は、後述のように車両Aが自動的に減速するようにし得る。この自動減速は、上述のETC非搭載車への警告においても採用できる。
【0021】
車両Aが上記開放条件を満足していると、つぎに、その車両AがゲートG(ゲートバー3)を安全に通過できるか否かを判断する。例えば、車両Aの検出地点からゲートバー3までの距離では、時速100km以下でないと、ゲートバー3が完全に開放しない場合において、進入した車両Aの走行速度が100km/h以上の場合には、衝突が生じる恐れがある。このため、その車両AがゲートGに進入しようとしている場合、車速、車両減速度、ゲートG(ゲートバー3)までの距離等の車両状態(走行環境)を取得し、一定条件の下で、車両Aのエンジン回転数の低減信号を発信するとともに、減速を運転者に警告する。このとき、車両AがTCS、ACCなどの走行速度制御システムを搭載している場合には、その低減信号によって強制的に減速が行われる。減速手段には、エンジンの回転数低減以外に、ギヤシフトダウン、トラクション作動、ブレーキ制動などが考えられ、それらの手段を単独又は併用する(以下、同じ)。
【0022】
また、上記「一定条件」としては、例えば、一般の車両Aにおいて、車速50km/hで、通常人が急減速した(急ブレーキをかけた)場合、0.6Gの制動力が働き、15mあれば、停止できるとされているから、図示のごとく、検出地点(制御開始地点)からゲートG(ゲートバー3)までの距離が15m以下とした場合でのその条件を満足するか否かで判断する。この条件は、車両A等によって適宜に選定し、例えば、0.2Gの減速が可能な制動システム搭載車では、50mを加えて、検出地点からゲートG(ゲートバー3)までの距離を65m以下として減速制御を行い、0.1Gの減速が可能な制御システム搭載車では、さらに50mを加えて同115m以下として減速制御を行う。この条件は、車両Aの種類ごとに設定してもよいが、固定でもよい。また、一律に、例えば50km/hの車速に減速させるようにし得る。
【0023】
さらに、ETCゲートGでは、進入しようとする車両A以外の原因によってゲートG(ゲートバー3)が開放しない場合がある。例えば、ETC非搭載又は支払い不能で進入した車両A、さらに遅い車両Aがあって、そのまま進入しては、事故につながる場合などにおいては、各種のセンサーによってゲートG内の車両Aの有無を判別し(ゲート通過に障害はないか?)、障害がある場合には、例えば、15mの走行距離で瞬間的に停止し得る車速、例えば20km/h以下となるように制御する。このような制御によって、車両AがETCゲートGに進入したが、 ゲートバー3が何らかの事情により開かない場合、 その車両Aの運転者はパニック状態に陥り易いが、運転者の通常の能力で衝突を回避できるまで、自動的に減速することにより、車両AはETCゲートGを安全かつ円滑に通過し得る。
【0024】
図3にこの発明の他の実施形態を示し、この実施形態は、車両A側に道路ゲート通過制御装置の主なものを搭載したものであり、 車両A側のETC送受信機2は、図示しない制御器に接続され、この制御器は請求の範囲に記載の減速手段を有して図3に示す作用をETC送受信機2を介して行う。すなわち、 まず、自己のETC送受信機2が正常か否かを判断し、 異常の場合には、その旨を運転者に音声又は表示によって知らせる。
【0025】
ETC送受信機2が正常に働いており、道路ゲートG側のETC送受信機1からのETC信号(ゲート信号)を受信しない場合(ETCゲートGに近づいていない場合)は制御作用を行わない。一方、 ETC送受信機2が正常に働いている状態で、 ETCゲートGに進入してETC信号を受信すると、「自己の車両Aがゲートを開放させる条件を満足しているか?」の判別を行う。
【0026】
この判別において、上述と同様に、車載ETC送受信機2にETCカードが挿入されていない等により、出口情報又は入口情報の正常な交信が行なわれない状態の場合、ゲートが開放する条件を満足しないため、運転者に、ETC送受信機2の異常を警告するとともに、車両Aの車速、料金所(ゲートバー3)までの距離又は先行き車両Aまでの距離等から減速すべき度合を算出し、減速要求を出力する。
【0027】
車両Aが上記開放条件を満足していると、上述と同様な基準により、その車両AがゲートG(ゲートバー3)を安全に通過できるか否かを判断し、衝突が生じる恐れがある場合には、 車両Aのエンジン回転数の低減信号の発信などして減速するとともに、減速を運転者に警告する。また、障害物の有無の判断を行って衝突を避ける。この障害物の有無は、ゲートG側からの情報で認識してもよいが、車両A側で認識する手段を備えてもよい。
【0028】
なお、この実施形態の作用開始は、ETC送受信機2へのETCカードの挿入、車両Aの運転開始、別個の機動スイッチによるなどでもって行う。また、このように、車両A側においてゲート通過可能の判断を行うようにすれば、道路側のETCシステムにこの発明をなすための機能を付加することなく(現状のETCシステムのままで)この発明を実施できる。
【0029】
これらの実施形態において、必要に応じて、「ゲートを安全に通過できるか?」及び「ゲート通過に障害がないか?」の両判別の一方、又は両者を省略することができる。
【0030】
上記各実施形態は、ETCゲートGの場合であったが、他の料金徴収など、 例えば有料架橋の自動ゲートにおける料金システムにおいて、道路にゲートGを設けて、そのゲートバーを開閉するものにおいても、この発明は採用できる。例えば、図2の実施形態のように、道路側に認識手段を設けた場合には、図4に示すような制御システムとし、図3の実施形態のように、車両A側に認識手段を設けた場合には図5に示すような制御システムとし得る。
【0031】
この図4の例は、 車両AにゲートG側と交信できる送受信機 (車載器)を有し、 その車両AがゲートGに近づくと、 ゲートG側で、その車両Aを認識するとともに、その車載器の通信可否をチエックし(ゲート状態受信機のチエック)、交信が可能な車両Aであれば、つぎに、その車載器からゲートGを通過するための条件を満たす信号が出力されているかを判断し(ゲート状態信号の有無)、 車速、その車両Aとゲートまでの距離などにより、 減速の必要性を判断し、 減速要求などを行う。また、図5の例は、 車両Aに、ゲートG側と通信できる送受信機 (車載器)を有するとともに、ゲートGを通過するための条件を満足するか否かを判断する制御器を有し、その送受信機及び制御器により、その車両AがゲートGに近づくと、その車両Aの車載器の通信可否をチエックし(ゲート状態受信機のチエック)、交信が可能であれば、つぎに、自己の車両AがゲートGを通過するための条件を満たしている、すなわちその車載器からゲートGを通過するための条件を満たす信号を出力しているかを判断し(ゲート状態信号の有無)、 車速、その車両AとゲートGまでの距離などにより、 減速の必要性を判断し、 減速要求などを行う。この両例において、警告、減速要求は、図2、図3の実施形態と同様な作用とし得る。
【0032】
【発明の効果】
この発明は、以上のようにして、車両とゲートとの衝突を防止するようにしたので、ゲートでの車両の円滑な走行を確保できる。特に、ETCゲートにおいて、車載ETC機器の不備、例えば、ETCカードの接触不良などによるゲートへの衝突を有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の概略斜視図
【図2】同実施形態の作用フロー図
【図3】他の実施形態の作用フロー図
【図4】他の実施形態の作用フロー図
【図5】他の実施形態の作用フロー図
【符号の説明】
A 車両
G ETCゲート
1 ゲート側ETC送受信機(アンテナ)
2 車載側ETC送受信機(ETC車載器)
3 ゲートバー
4 電光表示板
Claims (3)
- ETC(登録商標)システムを備える道路ゲート(G)に車両(A)が近づいたことを認識する手段と、その認識手段が車両(A)を認識した時、その車両(A)が備える制動機能システムに減速を促す減速手段とを道路側に設け、前記減速手段は、上記ゲート(G)が通過可能である条件として、ETC(登録商標)カードが車両(A)に搭載のETC(登録商標)機器(2)に挿入され、かつ、そのETC(登録商標)カードの接触不良が生じていないことを前記車両(A)が満足するか否かの判別機能を有して、満足していない場合に、その減速手段からの信号により、前記車両(A)に減速を促すようにし、その車両(A)の減速は、前記車両(A)側の制動機能システムにより自動的に、車両(A)が前記道路ゲート(G)前で停止することを特徴とする道路ゲート通過制御装置。
- ETC(登録商標)システムを備える道路ゲート(G)があることを示すゲート信号を出力する手段が道路側に設けられた前記ゲート(G)の通過制御装置であって、
上記ゲート信号を認識する手段と制動機能システムを備える減速手段を車両(A)に設け、前記認識手段は、前記ゲート信号の認識信号を前記減速手段に出力し、前記減速手段は、上記ゲート(G)が通過可能である条件として、ETC(登録商標)カードが車両(A)に搭載のETC(登録商標)機器(2)に挿入され、かつ、そのETC(登録商標)カードの接触不良が生じていないことを前記車両(A)が満足するか否かの判別機能を有して、前記認識信号の入力により、その満足するか否かの判別をして、満足していない場合に、自己の車両(A)に減速を促して、前記制動機能システムにより自動的に、車両(A)が前記道路ゲート(G)前で停止するようにしたことを特徴とする道路ゲート通過制御装置。 - 上記減速手段は、道路ゲート(G)と車両(A)の距離及び走行速度を測定し、その測定値に基づき、前記車両(A)が前記ゲート(G)前で停止できるようにその車両(A)に減速を促すことを特徴とする請求項1又は2に記載の道路ゲート通過制御装置。
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