JP4320522B2 - 水処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、水処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
処理材を介して原水の改質処理を行う水処理装置の一つに軟水器がある。この軟水器は、処理材として、粒状のイオン交換樹脂を用いており、このイオン交換樹脂を収容した収容部(以下、「樹脂筒」と云う)へ原水を通水することによって、原水から硬度分を除去し、軟水を得るようになっている。前記軟水器は、ボイラ,温水器,冷却器などの冷熱機器類への給水ラインに取り付けられ、冷熱機器内でのスケール付着を防止するために用いられている。
【0003】
前記軟水器においては、原水の通水方式に関して、上向流通水方式と下向流通水方式とがある。前記上向流通水方式は、前記樹脂筒内を下部から上部へ向かって通水を行う通水方式であり、また前記下向流通水方式は、前記樹脂筒内を上部から下部へ向かって通水を行う通水方式である。
【0004】
さて、前記上向流通水方式の軟水器においては、通水と停止を断続的に繰り返す断続運転を行うと、硬度漏れが発生し易いと云う問題がある。つぎに、この硬度漏れが発生し易くなる理由について説明する。
【0005】
まず、前記軟水器に用いられているイオン交換樹脂は、その使用によって、樹脂自体が膨潤し、その体積が増加する。そのため、通常、この体積の増加を見越して、前記樹脂筒内の上部に所定高さの空間(以下、「上部空間」と云う)を残した状態で、前記イオン交換樹脂が前記樹脂筒内に収容されている。したがって、前記樹脂筒内への原水の通水を開始すると、原水の流れによって前記イオン交換樹脂全体が前記樹脂筒内の上部へ向けて押し付けられた状態となって、いわゆる固定床が形成される。このとき、前記イオン交換樹脂は、前記樹脂筒内に前記上部空間を残した状態で充填されているため、前記固定床が形成された状態においては、前記固定床の下方に前記上部空間の高さとほぼ同じ高さの空間(以下、「下部空間」と云う)が形成された状態となる。
【0006】
前記固定床が形成された状態で通水を継続すると、前記固定床の上流側,すなわち下部側のイオン交換樹脂から順にイオン交換能力がなくなるまで原水から硬度分を除去していく。そのため、前記固定床においては、イオン交換能力がなくなったイオン交換樹脂(すなわち、破過したイオン交換樹脂)の層が上部へ向かって拡大していくこととなる。
【0007】
つぎに、通水を停止すると、前記イオン交換樹脂を前記樹脂筒上部へ向けて押し付ける力がなくなるので、前記固定床を形成していたイオン交換樹脂は、前記下部空間の高さに相当する高さを前記樹脂筒内の下部へ向かって一挙に落下する。このとき、落下する前記イオン交換樹脂によって押しのけられた前記下部空間内の原水は、速い流速を伴なう上昇流(以下、「高速上昇流」と云う)となって、前記樹脂筒上部へ向かって流れる。この高速上昇流によって前記樹脂筒下部の破過した樹脂が巻き上げられ、前記樹脂筒上部へ運ばれるので、前記イオン交換樹脂中の破過した樹脂と未破過の樹脂とが混ざり合うこととなる。
【0008】
つぎに、再び通水を開始し、前記固定床が再び形成されたとき、前記固定床は、破過した樹脂と未破過の樹脂とが混ざり合った状態で形成される(以下、この現象を「再配列現象」と云う)。そのため、この再配列現象が生じた前記固定床へ通水を行うと、原水と未破過のイオン交換樹脂との接触状態にばらつきが発生する。そのため、原水の一部が充分に硬度分を除去されないまま流出し、硬度漏れが発生することとなる。すなわち、前記軟水器においては、前記固定床の再配列現象によって、処理水としての軟水の純度が低下する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、処理材の固定床の再配列現象に起因する処理水の純度低下を防止することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、上部フィルタと下部フィルタとの間に処理材を充填した収容部内へ原水を上向流で通水し、原水の改質処理を行う水処理装置において、前記両フィルタ間に、前記処理材の通過を許容する複数の透孔を備え、前記収容部内を原水の通水方向と交差する方向に区画し、通水時に前記収容部内に形成される前記処理材の固定床内に位置するように配置された横仕切板を設け、さらにこの横仕切板の開孔率は、通水を停止して前記横仕切板よりも下方の前記処理材が一挙に落下したとき、前記横仕切板よりも下方の前記処理材が前記横仕切板よりも上方へ運ばれることがないように設定されていることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水処理装置において、前記横仕切板が、前記固定床内の複数箇所に配置されていることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明は、上部フィルタと下部フィルタとの間に処理材を充填した収容部内へ原水を上向流で通水し、原水の改質処理を行う水処理装置において、前記両フィルタ間に、前記処理材の通過を許容する複数の透孔を備え、前記収容部内を原水の通水方向と交差する方向に区画し、通水時に前記収容部内に形成される前記処理材の固定床内に位置するように配置された横仕切板を設け、この横仕切板の開孔率は、通水を停止して前記横仕切板よりも下方の前記処理材が一挙に落下したとき、前記横仕切板よりも下方の前記処理材が前記横仕切板よりも上方へ運ばれることがないように設定されており、さらに前記下部フイルタと前記横仕切板との間において、前記下部フィルタ上に、前記処理材の通過を許容する隙間を有する状態で、かつ通水時に前記収容部内に形成される前記固定床の下部と重なる高さに設定された充填材層を形成する充填材を収容したことを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の水処理装置において、前記横仕切板が、前記固定床内の複数箇所に配置されていることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記収容部が、原水の通水方向に複数に区画されていることを特徴としている。
【0016】
さらに、請求項6に記載の発明は、前記処理材が、イオン交換樹脂または濾材であることを特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明は、処理材を介して原水の改質処理を行う水処理装置において好適に実施することができる。すなわち、この発明は、前記処理材の収容部内へ原水を通水し、前記処理材によって原水の改質処理を行う水処理装置において好適に実施することができる。前記処理材としては、粒状の処理材であって、イオン交換樹脂,濾材(とくに活性炭,ゼオライトなどのように吸着によって不純物を除去する濾材)などが用いられる。ここで、前記処理材として前記イオン交換樹脂を用いる水処理装置としては、軟水器や純水装置などがある。また、前記処理材として前記濾材を用いる水処理装置としては、濾過装置や浄水装置などがある。
【0019】
この発明は、上向流通水方式の水処理装置において、とくに好適に実施することができる。以下では、この発明の実施の形態を上向流通水方式の軟水器に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0020】
まず、前記上向流通水方式の軟水器の基本構成について説明する。前記軟水器において、処理材としてのイオン交換樹脂は、収容部(以下、「樹脂筒」と云う)内に収容されている。この樹脂筒は、たとえば円筒形状であって、その軸線が上下方向となるように配置されており、原水が前記樹脂筒内を下部から上部へ向かって通水されるようになっている。前記樹脂筒内において、前記イオン交換樹脂は、その膨潤による体積の増加を考慮して、前記樹脂筒内の上部に所定高さの空間(以下、「上部空間」と云う)を残した状態で充填されている。前記軟水器において、前記樹脂筒内へ原水を通水すると、前記イオン交換樹脂は、原水の流れにより、前記樹脂筒内の上部へ向けて押し付けられた状態となって、前記イオン交換樹脂の固定床が形成される。このとき、前記固定床の下方には、前記上部空間とほぼ同じ高さの原水のみの空間(以下、「下部空間」と云う)が形成された状態となる。そして、前記樹脂筒内への通水を継続することにより、原水中の硬度分は、前記固定床を通過する際にイオン交換処理によって除去され、前記樹脂筒からは、処理水としての軟水が取り出される。
【0021】
つぎに、前記軟水器の特徴部分について説明する。前記軟水器は、前記樹脂筒内に前記イオン交換樹脂の移動調整手段を設けた構成である。この移動調整手段は、前記樹脂筒内への通水を停止したとき、前記イオン交換樹脂の移動を調整する手段である。すなわち、前記上向流通水方式の軟水器において、前記移動調整手段は、前記イオン交換樹脂の落下を調整する手段であって、前記イオン交換樹脂の落下速度を減少させる機能を備えている。すなわち、前記移動調整手段は、通水を停止したとき、前記イオン交換樹脂をゆっくりと落下させる機能を備えている。そのため、前記イオン交換樹脂が一挙に落下するのを防止することができるので、前記下部空間内の原水に速い流速を伴なう上昇流,すなわち前記高速上昇流が発生するのを防止することができる。したがって、前記高速上昇流によって前記イオン交換樹脂が撹拌され、前記固定床下部の樹脂が前記固定床上部へ運ばれるのを防止することができるので、前記再配列現象を防止することができ、これにより処理水(すなわち、軟水)の純度低下を防止することができる。
【0022】
つぎに、この発明の第一実施形態について説明する。この第一実施形態の軟水器において、前記移動調整手段は、前記イオン交換樹脂の通過を許容する透孔を備え、前記樹脂筒内を原水の通水方向と交差する方向に区画する仕切体である。この第一実施形態において、原水の通水方向は、前記樹脂筒の軸方向であり、前記樹脂筒が上下方向となるように配置されているため、原水の通水方向と交差する方向は、前記樹脂筒の径方向である。また、通水方向と交差する方向は、原水の通水方向,すなわち前記樹脂筒の軸方向に対して直交状態で交差する方向のみならず、傾斜状態で交差する方向を含んでいる。そして、この第一実施形態においては、前記仕切体を多数の透孔を備えた仕切板として構成し、この仕切板を前記樹脂筒内に設けることによって、前記樹脂筒内を径方向に区画した構造である。ここで、前記仕切板(以下、「横仕切板」と云う)は、前記イオン交換樹脂と同様のイオン交換機能を有する材料で形成することができるし、また前記濾材と同様の不純物除去機能を有する材料で形成することができる。
【0023】
この第一実施形態の軟水器においては、前記樹脂筒内への通水を停止したとき、前記イオン交換樹脂を前記各透孔を介して落下させることにより、前記落下速度が減少するので、前記イオン交換樹脂をゆっくりと落下させることができる。そのため、前記イオン交換樹脂が前記樹脂筒内の下部へ向かって一挙に落下するのを防止することができるので、前記高速上昇流の発生を抑制し、前記イオン交換樹脂が撹拌されるのを防止することができる。したがって、前記横仕切板によって、前記再配列現象を防止することができ、これにより軟水の純度低下を防止することができる。
【0024】
ここで、前記横仕切板は、通水時に前記樹脂筒内に形成される前記固定床内に配置するのが好ましい。このように配置することにより、通水停止時、前記樹脂筒内に前記高速上昇流が発生したとしても、前記高速上昇流の流速が前記横仕切板により抑制され、前記固定床下部の樹脂が前記横仕切板よりも上方へ運ばれるのを防止することができる。そして、前記横仕切板より上方のイオン交換樹脂を前記横仕切板を介してゆっくりと落下させることにより、前記横仕切板より下方のイオン交換樹脂が落下して形成された層の上に落下させることができる。そのため、前記再配列現象の発生を防止することができるので、軟水の純度低下を防止することができる。
【0025】
さらに、前記横仕切板は、前記固定床内の1箇所に限らず、複数箇所に配置することもできる。このように前記横仕切板を複数箇所に配置すると、前記各横仕切板によって区画された領域ごとに前記落下速度を減少させ、前記各領域の前記イオン交換樹脂をゆっくりと落下させることができる。また、前記各領域,とくに一番下の領域内で前記イオン交換樹脂が一挙に落下し、前記高速上昇流が発生したとしても、前記高速上昇流の流速が前記各横仕切板により抑制されるので、前記イオン交換樹脂が前記各横仕切板よりも上方の各領域へ運ばれるのを防止することができる。そのため、前記再配列現象の発生を確実に防止することができるので、軟水の純度低下を確実に防止することができる。
【0026】
つぎに、この発明の第二実施形態について説明する。この第二実施形態の軟水器において、前記移動調整手段は、前記処理材の通過を許容する隙間を有した状態で、前記樹脂筒内の原水流入側に収容した充填材である。すなわち、この第二実施形態においては、前記充填材を前記イオン交換樹脂の通過を許容する隙間を有した状態で、前記樹脂筒内の下部に収容した構造である。前記充填材としては、前記イオン交換樹脂よりも粒径の大きな粒状物(たとえば玉砂利など)や、充填塔などに用いられるラシヒリングなどのような公知の充填物を用いることができる。また、前記充填材としては、前記イオン交換樹脂よりも粒径の大きなイオン交換樹脂や濾材を用いることもできる
【0027】
この第二実施形態においては、前記樹脂筒内への通水を停止したとき、前記イオン交換樹脂を前記充填材の隙間内へ落下させることにより、前記落下速度が減少するので、前記イオン交換樹脂を前記隙間内へゆっくりと落下させることができる。そのため、前記第一実施形態と同様、前記イオン交換樹脂が前記樹脂筒内の下部へ向かって一挙に落下するのを防止することができるので、前記高速上昇流の発生を防止し、前記イオン交換樹脂が撹拌されるのを防止することができる。したがって、前記充填材によって、前記再配列現象を防止することができ、これにより軟水の純度低下を防止することができる。
【0028】
ここで、この第二実施形態において、前記充填材は、通水時に前記樹脂筒内に形成される前記固定床の下部と重なる高さまで前記樹脂筒内に収容するのが好ましい。このように前記充填材を前記樹脂筒内に収容すると、通水時、前記固定床が形成されたとき、前記固定床の下部が前記充填材の層と重なるので、前記固定床の下部に原水のみの空間,すなわち前記下部空間が形成されることはなくなる。そのため、通水停止時、前記固定床の下部の前記イオン交換樹脂は、前記下部空間を通ることがなく、前記充填材の隙間内のみを通って落下することとなる。したがって、この第二実施形態の軟水器においては、前記充填材により、通水停止時、前記落下速度を確実に減少させることができるので、前記樹脂筒内に前記高速上昇流が発生するのを防止することができる。そのため、前記再配列現象を確実に防止し、軟水の純度低下を防止することができる。
【0029】
つぎに、この発明の第三実施形態について説明する。この第三実施形態は、前記第一実施形態と前記第二実施形態とを組み合せたものである。すなわち、この第三実施形態の軟水器は、前記横仕切板と前記充填材とを前記樹脂筒内に備えた構成である。この第三実施形態の軟水器においては、前記横仕切板と前記充填材とによって、前記落下速度を減少させ、前記イオン交換樹脂をゆっくりと落下させることによって、前記第一実施形態および前記第二実施形態と同様、前記高速上昇流が発生するのを防止することができる。そのため、前記イオン交換樹脂が撹拌されるのを防止することができるので、前記第一実施形態および前記第二実施形態と同様、前記再配列現象を確実に防止し、軟水の純度低下を確実に防止することができる。
【0030】
つぎに、この発明の第四実施形態について説明する。この第四実施形態は、前記樹脂筒が、原水の通水方向に複数に区画されている構成の軟水器において、前記第一実施形態〜前記第三実施形態の構成を適用したものである。この第四実施形態の軟水器において、原水の通水方向は、前記のように、前記樹脂筒の軸方向であるので、前記樹脂筒内には、前記樹脂筒を軸方向に区画するための仕切体,たとえば仕切板(以下、「縦仕切板」と云う)が設けられている。そして、この縦仕切板によって、前記樹脂筒内を軸方向に区画することにより、前記樹脂筒内に流路断面積の小さな区画を所定数形成している。このように前記樹脂筒内を軸方向に区画する理由は、前記樹脂筒内における流路断面積が小さいほど、前記再配列現象の発生を抑制することができるからである。したがって、前記樹脂筒の内径が大きく、流路断面積が大きい場合には、前記のように、前記樹脂筒内を区画し、各区画の流路断面積をそれぞれ小さくすることで、前記再配列現象の発生を抑制することができる。そこで、このような軟水器においても、前記横仕切板および前記充填材の少なくとも一方を前記樹脂筒に設けることにより、前記各実施形態と同様、前記再配列現象の発生を確実に防止し、軟水の純度低下を防止することができる。
【0031】
ここで、この第四実施形態において、前記横仕切板や前記充填材を前記樹脂筒に設ける際には、前記縦仕切板によって形成された各区画ごとに設けることができる。また、前記横仕切板は、前記各区画を一括して仕切るように,すなわち前記樹脂筒内全体を仕切るように設けることができ、この場合には、前記横仕切板の上下に縦仕切板を設ける構成とする。さらに、前記横仕切板は、前記縦仕切板と一体的に形成することもできる。
【0032】
【実施例】
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて、詳細に説明する。図1は、この発明の第一実施例の概略構成を示す断面説明図であり、図2は、図1のII−II線に沿う断面の拡大説明図であり、図3は、この発明の第一実施例における通水状態を示す断面説明図であり、また図4は、この発明の第一実施例における通水停止時の状態を示す断面説明図である。ここで、第一実施例の水処理装置は、ボイラなどの給水から硬度分を除去する軟水器である。したがって、この第一実施例において、処理材は、イオン交換樹脂である。また、この第一実施例の軟水器は、上向流通水方式の軟水器である。
【0033】
まず、図1に基づいて、前記軟水器の基本構成について説明する。図1において、前記軟水器は、イオン交換樹脂1の収容部としての樹脂筒2を備えている。この樹脂筒2は、ほぼ円筒形状であって、その軸線が上下方向となるように配置されている。前記樹脂筒2内の上部には、前記イオン交換樹脂1の流出を防止するための上部フィルタ3が設けられており、また下部にも前記上部フィルタ3と同様の下部フィルタ4が設けられている。この下部フィルタ4上には、前記イオン交換樹脂1が、前記樹脂筒2内の所定の高さ位置まで充填されている。この所定の高さ位置は、前記イオン交換樹脂1の膨潤による体積の増加を考慮して決められた高さである。したがって、前記樹脂筒2の内部に充填されている前記イオン交換樹脂1の層の上部と、前記上部フィルタ3との間には、所定高さの上部空間(符号省略)が存在することとなる。
【0034】
前記樹脂筒2の下部には、前記樹脂筒2へ原水を供給するための原水ライン5が接続されており、上部には、処理水としての軟水を取り出すための軟水ライン6が接続されている。したがって、前記樹脂筒2内における原水の通水方向は、前記樹脂筒2の軸方向となっている。
【0035】
つぎに、前記軟水器の基本動作について説明する。まず、前記樹脂筒2内へ前記原水ライン5を介して原水を通水する。前記樹脂筒2への通水を開始すると、前記樹脂筒2内の前記イオン交換樹脂1は、原水の流れによって押し上げられ、前記イオン交換樹脂1全体が浮上する。そして、前記イオン交換樹脂1は、その全体が前記上部フィルタ3へ押し付けられ、前記イオン交換樹脂1の固定床7が形成された状態となる(図3参照)。この固定床7が形成された状態において、前記固定床7の下部と前記下部フィルタ4との間には、前記上部空間とほぼ同じ高さの下部空間(符号省略)が形成される。以後、前記樹脂筒2内への通水の間、前記樹脂筒2内には、前記固定床7が形成された状態が維持される。そして、この通水の間、前記樹脂筒2内への原水は、前記固定床7を通過することによって、硬度分が除去され、前記軟水ライン6から軟水として取り出される。
【0036】
前記樹脂筒2内への通水を停止すると、原水の流れがなくなり、前記イオン交換樹脂1を前記樹脂筒2の上部へ向けて押し付ける力がなくなるので、前記イオン交換樹脂1は落下し始める。そして、前記イオン交換樹脂1全体が前記下部フィルタ4上に落下すると、前記樹脂筒2内には、前記上部空間が再び形成され、当初の状態に戻る。したがって、前記軟水器において、通水と停止とを繰り返す断続運転を行うと、前記イオン交換樹脂1は、前記樹脂筒2内の前記上部フィルタ3と前記下部フィルタ4との間において、浮上と沈降とを繰り返すこととなる。
【0037】
さて、この第一実施例の軟水器において、前記樹脂筒2内には、前記イオン交換樹脂1の移動調整手段として、前記樹脂筒2内部を原水の通水方向と交差する方向,すなわち径方向に区画する横仕切板8が設けられている。この横仕切板8は、前記イオン交換樹脂1の通過を許容する複数の透孔9,9,…を備えている。そして、前記横仕切板8は、前記両フィルタ3,4間において、前記下部フィルタ4側からほぼ1/4の高さ位置に、ほぼ水平に配置されている。この高さ位置は、前記樹脂筒2への通水時、前記横仕切板8が、前記固定床7内に位置するようになっている。また、前記横仕切板8において、前記各透孔9の直径は、約3mmであり、前記各透孔9の個数は、前記横仕切板8の開孔率(前記横仕切板8に対する前記各透孔9部分の面積の比率)が約30%となるように設定されている。
【0038】
つぎに、この第一実施例の軟水器の作動について説明する。前記軟水器において、前記樹脂筒2への通水を開始すると、前記のように、前記イオン交換樹脂1全体が前記上部フィルタ3へ向かって押し付けられ、前記固定床7が形成された状態となる(図3参照)。そして、前記樹脂筒2内への通水を継続することにより、原水中の硬度分は、前記固定床7を通過する際にイオン交換処理によって除去され、前記樹脂筒2からは、処理水としての軟水が取り出される。ここで、前記固定床7が形成された状態で、通水を継続すると、前記固定床7の上流側,すなわち下部側の前記イオン交換樹脂1から順にイオン交換能力がなくなるまで原水から硬度分を除去していく。そのため、前記固定床7においては、イオン交換能力がなくなったイオン交換樹脂(すなわち、破過したイオン交換樹脂)の層が前記固定床7の下部から上部へ向けて拡大していくこととなる。
【0039】
そして、通水を停止すると、前記イオン交換樹脂1が前記下部フィルタ4へ向かって落下し始める。このとき、前記横仕切板8よりも下方の前記イオン交換樹脂1が一挙に落下すると、この落下する前記イオン交換樹脂1によって押しのけられた前記下部空間内の原水が速い流速を伴なう上昇流,すなわち前記高速上昇流となって、前記樹脂筒2上部へ向かって流れようとする。しかし、前記高速上昇流の流速は、前記横仕切板8によって抑制される。そのため、前記横仕切板8よりも下方の前記イオン交換樹脂は、前記横仕切板8よりも上方へ運ばれることなく、そのまま前記下部フィルタ4へ向かって落下する。
【0040】
一方、前記横仕切板8よりも上方の前記イオン交換樹脂1は、前記各透孔9を介して落下するので、前記各透孔9を通過する際にその落下速度が減少し、前記横仕切板8から前記下部フィルタ4へ向かってゆっくりと落下することとなる。そのため、前記イオン交換樹脂1が前記下部フィルタ4へ向かって一挙に落下するのを防止することができるので、前記高速上昇流の発生を抑制することができ、前記高速上昇流によって前記イオン交換樹脂1が撹拌されるのを防止することができる。ここで、前記横仕切板8上方の前記イオン交換樹脂1は、前記仕切板8下方の前記イオン交換樹脂1に比べてゆっくりと落下するので、前記横仕切板8下方のイオン交換樹脂1の落下によって形成された層の上に落下することとなる(図4参照)。
【0041】
その結果、前記軟水器においては、通水停止時において、前記固定床7下部の破過した樹脂と前記固定床7上部の未破過の樹脂が混ざり合うのを防止することができる。そして、再度通水を行うと、破過した樹脂と未破過の樹脂が混ざり合っていない前記固定床7が形成されるため、硬度漏れの発生を防止することができる。したがって、この第一実施例の軟水器においては、断続運転を行った場合であっても、硬度漏れが生じるのを確実に防止することができる。
【0042】
以上のように、この第一実施例の軟水器においては、前記横仕切板8を設けることによって、前記再配列現象の発生を効果的に防止し、軟水の純度低下を確実に防止することができる。
【0043】
ここで、以上の第一実施例の説明においては、1枚の前記横仕切板8を前記樹脂筒2内に設けているが、他の形態として、複数の横仕切板8,8,…を前記樹脂筒2内に設けることができる。この形態の軟水器において、前記各横仕切板8は、所定の間隔で、前記樹脂筒2を複数に区画するように設ける。たとえば、図5に示すように、3枚の横仕切板8を前記樹脂筒2内の高さ方向の3箇所にそれぞれ配置する。ここで、前記各横仕切板8は、前記固定床7内にそれぞれ位置するようになっている。
【0044】
このように、前記横仕切板8を複数箇所に配置すると、前記各横仕切板8によって区画された領域ごとに前記落下速度を減少させ、前記各領域の前記イオン交換樹脂をゆっくりと落下させることができる。また、前記各領域,とくに一番下の領域内で前記イオン交換樹脂1が一挙に落下し、前記高速上昇流が生じたとしても、前記高速上昇流の流速が前記各横仕切板8によって抑制されるので、前記イオン交換樹脂1が前記各横仕切板8よりも上方の領域へ運ばれるのを防止することができる。そのため、前記再配列現象の発生を確実に防止することができるので、軟水の純度低下を確実に防止することができる。
【0045】
つぎに、この発明の第二実施例について、図6および図7を参照しながら説明する。図6は、この発明の第二実施例の概略構成を示す説明図であり、また図7は、この発明の第二実施例における通水状態を示す断面説明図である。この第二実施例を示す図6および図7において、前記第一実施例を示す図1〜図5と同一の符号は、同一の部材を示し、それらの詳細な説明は省略する。
【0046】
この第二実施例の軟水器は、前記イオン交換樹脂1の移動調整手段として、前記横仕切板8の代わりに充填材10を用いている。この第二実施例においては、図6および図7に示すように、充填材10を前記イオン交換樹脂1の通過を許容する隙間を有した状態で、前記樹脂筒2内に収容した構造である。前記充填材10としては、直径約8mmの玉砂利を用いている。前記充填材10は、前記下部フィルタ4上に所定の高さまで収容することにより、充填材層11として形成されている。ここで、前記充填材層11の高さは、通水時に前記樹脂筒2内に形成される前記固定床7の下部と重なる高さとなっている。すなわち、前記充填材層11の高さは、前記樹脂筒2への通水時、前記下部空間が形成されない高さに設定されている。さらに換言すると、前記充填材層11の高さは、前記固定床7の下部と前記充填材層11との間に原水のみの空間が形成されない高さである。
【0047】
つぎに、この第二実施例の軟水器の作動について説明する。前記軟水器において、前記樹脂筒2内への通水を開始すると、図7に示すように、前記イオン交換樹脂1は原水の流れによって前記上部フィルタ3へ向かって押し上げられ、前記固定床7が形成される。この状態において、前記固定床7の下部は、前記充填材層11の上部と重なっているので、前記下部空間は形成されていない。すなわち、前記固定床7の下部と充填材層11との間には、原水のみの空間が形成されていない。
【0048】
そして、前記樹脂筒2内への通水を継続することにより、原水中の硬度分は、前記固定床7を通過する際にイオン交換処理によって除去され、前記樹脂筒2からは、処理水としての軟水が取り出される。ここで、前記固定床7が形成された状態で通水を継続すると、前記のように、破過したイオン交換樹脂1の層が前記固定床7の下部から上部へ向けて拡大していく。
【0049】
つぎに、前記樹脂筒2内への通水を停止したとき、前記下部空間が形成されていないので、前記固定床7の下部の前記イオン交換樹脂1は、前記充填材10間の隙間内のみを通って落下し始める。前記イオン交換樹脂1は、前記隙間内を通過する際にその落下速度が減少し、前記下部フィルタ4へ向かってゆっくりと落下するので、前記高速上昇流の発生を防止することができる。そのため、前記イオン交換樹脂1は、前記固定床7の下部から順にゆっくりと落下するので、破過した樹脂と未破過の樹脂が混ざり合うことなく、前記下部フィルタ4上へ落下する。したがって、前記再配列現象を確実に防止することができ、これにより軟水の純度低下を防止することができる。
【0050】
つぎに、この発明の第三実施例について、図8を参照しながら説明する。図8は、この発明の第三実施例の概略構成を示す説明図である。この第三実施例を示す図8において、前記第一実施例および前記第二実施例を示す図1〜図7と同一の符号は、同一の部材を示し、それらの詳細な説明は省略する。
【0051】
この第三実施例の軟水器は、前記イオン交換樹脂1の移動調整手段として、前記第一実施例の横仕切板8と前記第二実施例の充填材層11とを前記樹脂筒2内に設けたものである。この第三実施例において、前記横仕切板8は、前記第一実施例と同様、前記両フィルタ3,4間において、前記下部フィルタ4側からほぼ1/4の高さ位置に1枚設けてある。また、前記充填材層11は、前記第二実施例と同様、前記下部フィルタ4上に形成されている。この第三実施例において、前記充填材層11の高さは、前記下部フィルタ4と前記横仕切板8との間のほぼ中間位置となる高さである。
【0052】
この第三実施例において、前記横仕切板8よりも下方の前記イオン交換樹脂1は、前記第二実施例と同様、前記充填材層11によってゆっくりと落下させることができる。一方、前記横仕切板8よりも上方の前記イオン交換樹脂1は、前記第一実施例と同様、前記横仕切板8によってゆっくりと落下させることができる。そのため、この第三実施例においては、前記第一実施例および前記第二実施例と同様、前記高速上昇流の発生を防止することができるので、前記イオン交換樹脂1が撹拌されることなく前記下部フィルタ4上へ落下させることができる。したがって、この第三実施例においては、前記再配列現象を確実に防止し、軟水の純度低下を確実に防止することができる。
【0053】
以上の説明において、前記各実施例は、前記樹脂筒2内が1つの区画として形成されている軟水器について、この発明を適用した実施例であるが、この発明は、前記樹脂筒2内が原水の通水方向に複数に区画されている構成の軟水器についても同様に適用することができる。すなわち、前記樹脂筒2内が軸方向に複数に区画されている構成の軟水器についても、前記各実施例のように前記横仕切板8および前記充填材層11の少なくとも一方を前記樹脂筒2の各区画に設けることができる。
【0054】
つぎに、前記樹脂筒2内が原水の通水方向,すなわち軸方向に区画されている構成の軟水器において、前記第三実施例のように前記横仕切板8および前記充填材層11を設けた第四実施例について、図9および図10を参照しながら説明する。図9は、この発明の第四実施例の概略構成を示す断面説明図であり、図10は、図9のX−X線に沿う断面の拡大説明図である。この第四実施例を示す図9および図10において、前記第一実施例〜前記第三実施例を示す図1〜図8と同一の符号は、同一の部材を示し、それらの詳細な説明は省略する。
【0055】
まず、第四実施例の軟水器の基本構成について説明すると、前記軟水器は、前記樹脂筒2を軸方向に区画する縦仕切板12を前記樹脂筒2内に備えている。この縦仕切板12は、横断面形状が十字形状をなしており、前記樹脂筒2内において、前記上部フィルタ3と前記下部フィルタ4との間に配置されている。したがって、前記樹脂筒2内は、前記縦仕切板12によって4つに区画されており、各区画の流路断面積は、それぞれ前記樹脂筒2全体における流路断面積の約1/4となっている。このように、前記樹脂筒2内を軸方向に区画する理由は、前記樹脂筒2内における流路断面積が小さいほど、前記再配列現象の発生を抑制することができるからである。したがって、前記樹脂筒2の内径が大きく、流路断面積が大きい場合には、前記のように、前記樹脂筒2内を区画し、各区画の流路断面積を小さくすることで、前記再配列現象の発生を抑制することができる。
【0056】
ここで、前記縦仕切板12の高さは、前記イオン交換樹脂1の充填高さより低い位置に設定している。このように前記縦仕切板12の高さを設定する理由は、通水停止時、前記各区画内に落下する前記イオン交換樹脂1の量を均一化するためである。
【0057】
つぎに、この第四実施例の軟水器の特徴部分,すなわち横仕切板8および充填材層11について説明する。まず、前記横仕切板8は、前記両フィルタ3,4間において、前記下部フィルタ4側からほぼ1/4の高さ位置に、ほぼ水平に配置されている。ここで、この第四実施例において、前記縦仕切板12は、上部縦仕切板13と下部縦仕切板14とに分割して形成されており、前記上部縦仕切板13と前記下部縦仕切板14との間に前記横仕切板8を挟み込んだ状態で、前記樹脂筒2内に設けられている。つぎに、前記充填材層11は、前記縦仕切板12によって区画された各区画内において、前記下部フィルタ4上にそれぞれ形成されている。この第四実施例において、前記充填材層11の高さは、前記第三実施例と同様、前記下部フィルタ4と前記横仕切板8との間のほぼ中間位置となる高さである。
【0058】
さて、この第四実施例の軟水器においては、前記のように、前記縦仕切板によって前記樹脂筒2内を流路断面積の小さな4つの区画を形成することにより、前記再配列現象の発生を抑制している。しかも、前記樹脂筒2内に前記横仕切板8と前記充填材層11とを設けることによって、前記第三実施例と同様、前記各区画内における前記落下速度を減少させることができる。そのため、この第四実施例においては、前記樹脂筒2の内径が大きく、流路断面積が大きい場合であっても、前記再配列現象の発生を確実に防止し、軟水の純度低下を防止することができる。
【0059】
【発明の効果】
この発明によれば、通水停止後、処理材の固定床の再配列現象を防止することにより、処理水の純度低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第一実施例の概略構成を示す断面説明図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面の拡大説明図である。
【図3】この発明の第一実施例における通水状態を示す断面説明図である。
【図4】この発明の第一実施例における通水停止時の状態を示す断面説明図である。
【図5】この発明の第一実施例の変形例の概略構成を示す断面説明図である。
【図6】この発明の第二実施例の概略構成を示す断面説明図である。
【図7】この発明の第二実施例における通水状態を示す断面説明図である。
【図8】この発明の第三実施例の概略構成を示す断面説明図である。
【図9】この発明の第四実施例の概略構成を示す断面説明図である。
【図10】図9のX−X線に沿う断面の拡大説明図である。
【符号の説明】
1 イオン交換樹脂(処理材)
2 樹脂筒(収容部)
3 上部フィルタ
4 下部フィルタ
7 固定床
横仕切板
9 透孔
10 充填材
11 充填材層
12 縦仕切板

Claims (6)

  1. 上部フィルタ下部フィルタとの間に処理材を充填した収容部内へ原水を上向流で通水し、原水の改質処理を行う水処理装置において、前記両フィルタ間に、前記処理材の通過を許容する複数の透孔を備え、前記収容部内を原水の通水方向と交差する方向に区画し、通水時に前記収容部内に形成される前記処理材固定床内に位置するように配置された横仕切板を設け、さらにこの横仕切板の開孔率は、通水を停止して前記横仕切板よりも下方の前記処理材が一挙に落下したとき、前記横仕切板よりも下方の前記処理材が前記横仕切板よりも上方へ運ばれることがないように設定されていることを特徴とする水処理装置。
  2. 前記横仕切板が、前記固定床内の複数箇所に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
  3. 上部フィルタ下部フィルタとの間に処理材を充填した収容部内へ原水を上向流で通水し、原水の改質処理を行う水処理装置において、前記両フィルタ間に、前記処理材の通過を許容する複数の透孔を備え、前記収容部内を原水の通水方向と交差する方向に区画し、通水時に前記収容部内に形成される前記処理材の固定床内に位置するように配置された横仕切板を設け、この横仕切板の開孔率は、通水を停止して前記横仕切板よりも下方の前記処理材が一挙に落下したとき、前記横仕切板よりも下方の前記処理材が前記横仕切板よりも上方へ運ばれることがないように設定されており、さらに前記下部フイルタと前記横仕切板との間において、前記下部フィルタ上に、前記処理材の通過を許容する隙間を有する状態で、かつ通水時に前記収容部内に形成される前記固定床の下部と重なる高さに設定された充填材層を形成する充填材を収容したことを特徴とする水処理装置。
  4. 前記横仕切板が、前記固定床内の複数箇所に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の水処理装置。
  5. 前記収容部が、原水の通水方向に複数に区画されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水処理装置。
  6. 前記処理材が、イオン交換樹脂または濾材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水処理装置。
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