JP4318502B2 - 流体軸受およびこれを使用したスピンドルモータ - Google Patents

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Description

本発明は、流体軸受用潤滑剤及びこれを用いた流体軸受を搭載した磁気ディスク装置用などのスピンドルモータに関するものである。
従来のボールベアリングに代わる流体軸受は、軸とこの軸を受けるスリーブとからなり、両者の対向する隙間に潤滑剤が介在している。前記軸もしくはスリーブには動圧発生溝が形成されており、前記軸もしくはスリーブの回転に伴い前記動圧発生溝によって前記潤滑剤が掻き集められて圧力を発生し、前記軸とスリーブの一方に対して他方が非接触で支持される。
この流体軸受を搭載したスピンドルモータは、媒体の記録密度の向上に不可欠な回転精度、さらに耐衝撃性や静粛性に優れているため、磁気ディスク装置用として、従来のボールベアリングを搭載したスピンドルモータに替わり、主流となってきている。
磁気ディスク装置は、近年、情報機器のみならず、音響・映像機器やゲーム機器としての用途の普及がはじまり、家電製品の位置づけとしても認知されつつある。
流体軸受は、非接触で回転するが、起動及び停止時には前記軸とスリーブとが接触し、軸部材及びスリーブ部材の摩耗が生じやすい特有の課題がある。そのため、軸とスリーブの隙間に介在する潤滑剤には、従来、摩耗の抑制や摩擦の低減のため、添加剤として、リン系化合物であるリン酸エステルや亜リン酸エステル、硫黄系化合物であるチオリン酸塩などが添加されている。例えば、(特許文献1)及び(特許文献2)参照。
添加されるリン酸エステル系化合物には、酸化防止剤や防錆剤のような働きもあり、潤滑剤の劣化を抑制する効果もあることが知られている。例えば、(特許文献3)参照。
特開平9−177766号公報(第2頁) 特表平11−514778号公報(第15−16頁) 特開2002−146381号公報(第4−5頁)
しかし、流体軸受用潤滑剤に添加されたリン酸エステル系化合物は、軸とスリーブの接触によって生じる極圧下の発熱や加水分解によって、リン酸を生成するため、過剰な添加時や高荷重条件などの過酷な環境下では、軸やスリーブの金属部材を腐食摩耗させ、むしろ摩耗量を増大させる場合がある。このような場合には、コンタミネーションの発生や軸受回転精度の低下を招き、流体軸受としての信頼性を損なうという課題がある。
また、硫黄系化合物や塩素系化合物は、流体軸受用潤滑剤に添加された場合、熱分解等によって、腐食性の発ガスや、この発生したガスと金属摩耗粉などとの反応により発生したコンタミネーションの発生が起こり、磁気ディスク装置におけるヘッドと記録ディスクとの正常な摺動やデータの記録再生を妨げる恐れがある。
さらに、流体軸受を用いた磁気ディスク装置は、情報機器に加え家電製品への搭載が始まっていることからも、今まで以上に環境への負荷物質を低減する必要があり、リン系化合物や硫黄系化合物や塩素系化合物の使用は避けることが望まれる。
また、磁気ディスク装置用スピンドルモータの高速回転化や起動停止回数の増大に伴い、それに使用される流体軸受用潤滑剤の耐摩耗性や安定性などの性能向上も求められている。
本発明は、前記課題を解決し、流体軸受の腐食摩耗を発生させないとともに、潤滑剤の劣化を抑制し、環境負荷も小さく信頼性の高い流体軸受用潤滑剤を提供することを目的とする。
本発明の流体軸受およびそれを用いた流体軸受を搭載したスピンドルモータは、軸とこの軸を回転自在に支持するスリーブからなり、前記軸の外周面もしくは前記スリーブの内周面の少なくとも一方に動圧発生溝を形成し、前記軸と前記スリーブの隙間に、基油としてエステル系化合物を含有し、添加剤としてリン系化合物を含有せずにアルキルイミダゾール類を0.01〜1重量%含有した流体軸受用潤滑剤を注入したことを特徴とする。
本発明によれば、リン系化合物を使用しないため、流体軸受の腐食摩耗を発生させないとともに、環境負荷も小さい。さらに、アルキルイミダゾール類を含有することにより、金属による潤滑剤の劣化を抑制し、信頼性の高い流体軸受を実現できる。
また、前記アルキルイミダゾール類は、2位直鎖アルキルイミダゾール類であることを特徴とする。この構成によると、2位直鎖アルキルイミダゾール類は、耐熱性が高く、被膜形成しやすいため、高温でも分解することなく、安定して軸受金属の触媒作用を抑制することができる。
また、前記2位直鎖アルキルイミダゾール類は、2−ウンデシルイミダゾールであることを特徴とする。この構成によると、2−ウンデシルイミダゾールは、2位直鎖アルキルイミダゾールの中でも、汎用性や被膜形成能力が高いため、より少量でかつ低コストで、軸受金属の触媒作用を抑制することができる。
また、添加剤としてリン系化合物を含まず、さらに硫黄系化合物と塩素系化合物の少なくとも一つを含有しないことを特徴とする。
また、この何れかの流体軸受用潤滑剤が存在する流体軸受を搭載した磁気ディスク装置用スピンドルモータによると、リン系化合物を使用しないため、軸受の腐食摩耗や発ガス及びこの発ガスに伴うコンタミネーションを発生させないとともに環境負荷が小さく、アルキルイミダゾール類を含有することにより、金属による潤滑剤の劣化を抑制し、信頼性の高い磁気ディスク装置用に最適なスピンドルモータを実現できる。
本発明の流体軸受用潤滑剤は、基油としてエステル系化合物を含有し、添加剤としてリン系化合物を含有せずにアルキルイミダゾール類を含有しているので、添加剤の分解によって生成する酸性物質による流体軸受の腐食摩耗を引き起こすことがなく、発ガスやこの発ガスに伴うコンタミネーションの発生要因も抑制できるため、信頼性が高く、環境負荷を低減した流体軸受用潤滑剤を実現できる。
さらにアルキルイミダゾール類が軸受金属の表面に吸着し、被膜を形成するため、金属、特にステンレス鋼系金属の触媒作用による潤滑剤の劣化を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は本発明の流体軸受用潤滑剤を用いた流体軸受を搭載した磁気ディスク装置用スピンドルモータを示す。
外周面にヘリングボーン形状のラジアル動圧発生溝2a,2bが形成された軸2の一端にスラストフランジ3が固定され、他端に磁気ディスクを取り付けるハブ5が圧入され、回転部が形成されている。一方、回転部を受けるスリーブ4は、ベース1に圧入されており、その一端にはスラストプレート9が取り付けられて固定部が形成されている。そして、スラストプレート9とスラストフランジ3とが対向するようにスリーブ4の軸受孔に軸部が挿入されており、スラストプレート9と対向するスラストフランジ3の表面には、へリングボーン形状のスラスト動圧発生溝3aが形成されている。これら軸受孔と軸部の隙間には潤滑剤8が充填され軸受装置が形成される。
また、ベース1に形成された壁にはステータコイル7が設けられ、ハブ5の内周面にステータコイル7と対向してロータマグネット6が取り付けられて、モータ駆動部が構成される。
このモータ駆動部により回転部が回転駆動すると、ラジアル方向はラジアル動圧発生溝2a,2bによって、スラスト方向はスラスト動圧発生溝3aによって、潤滑剤8に動圧が発生し、回転部と固定部とが非接触で回転支持される。
前記軸2は、軸受の剛性を確保するためステンレス鋼系材料が好ましい。また、前記スリーブ4には、銅合金、ステンレス鋼、セラミックス、樹脂等で、潤滑剤の劣化から生じる酸に腐食されにくい材料を使用することが好ましく、耐摩耗性、加工性、コストの点から、銅合金、ステンレス鋼がより好ましい。ステンレス鋼としては、マルテンサイト系として、SUS403系、SUS410系、SUS420系、SUS429系、SUS440系などがあり、オーステナイト系として、SUS303系、SUS304系が挙げられる。銅合金としては、黄銅系、快削黄銅系、ネーバル黄銅系、アルミニウム青銅系、リン青銅系、青銅系、鉛青銅系、シルジン青銅系などが挙げられる。
なお、スリーブ材料の一部表面または全表面に、メッキ法、物理蒸着法、化学蒸着法、拡散被膜法などによって表面改質を行ってもよい。
前記潤滑剤8の基油は、エステル系化合物が好適に使用できる。エステル系化合物としては、モノエステル類やジエステル類やポリオールエステル類が挙げられる。これらエステル系化合物は分子構造中に極性基を持つため、金属表面への吸着作用による油膜形成能力が高く、ポリαオレフィンなどと比較しても、基油としての耐摩耗性が良好である。より好ましくは、カルボニル基を2個以上持つ、ジエステル類、ネオペンチルグリコール型やトリメチロールプロパン型やトリメチロールエタン型やペンタエリスリトール型などのポリオールエステル類である。これらは、潤滑剤の使用目的に応じて、粘度や耐熱性などから、適宜選択でき、1種もしくは2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、この前記潤滑剤8には、リン系化合物および硫黄系化合物および塩素系化合物は添加していない。リン系化合物および硫黄系化合物および塩素系化合物は、酸化防止剤、油性剤、極圧剤、摩擦調整剤、摩耗防止剤、防錆剤、金属不活性剤、清浄分散剤等の添加剤の区分に関わらず、リン及び硫黄及び塩素の元素のうち、少なくとも1つの元素を含有する化合物である。
リンまたは硫黄または塩素を含有する代表的な化合物としては、リン酸エステル類及びこれらのアミン塩類、亜リン酸エステル類及びこれらのアミン塩類、硫化油脂、有機ジチオリン酸亜鉛類、硫化オレフィン、硫化脂肪酸、スルフィド類、チアジアゾール類、チオエーテル類、チオカーバメート類、チオホスフェート、ジメルカプトチアゾール誘導体、硫化テンペン、ジアルキルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、オレフィ−五硫化リン反応生成物、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、チオモリブデン類、フェノチアジン、塩素化パラフィン、モノクロロベンゼン、スルホン酸塩、リン酸塩、塩素化パラフィンとアルキルナフタリンの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールの縮合物、スルホネート類、フェネート類などが挙げられる。特に硫黄系化合物及び塩素系化合物は、環境負荷が高いだけでなく、熱分解等によって、腐食性の発ガスやコンタミネーションの発生が起こり、磁気ディスク装置におけるヘッドと記録ディスクとの正常な摺動やデータの記録再生を妨げる恐れがある。
前記潤滑剤8には、添加剤としてアルキルイミダゾール類が配合されている。アルキルイミダゾール類とは、イミダゾールの1位及び2位及び4位及び5位のうち、少なくとも1つ以上の位置において水素がアルキル基に置換されたものである。中でも2位直鎖アルキルイミダゾール類が耐熱性の点で好ましい。具体的には、2−デシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ドデシルイミダゾール、2−トリデシルイミダゾール、2−テトラデシルイミダゾール、2−ペンタデシルイミダゾール、2−ヘキサデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチルー4−メチルイミダゾール、2―ウンデシル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシル−4−メチルイミダゾール、2−エチルー4―メチルイミダゾール及びこれらの塩が挙げられる。中でも、2−ウンデシルイミダゾールは、汎用性や被膜形成能力が高いため、好適である。
このアルキルイミダゾール類は、金属表面に吸着し、単分子のイミダゾール膜を形成し、さらに三次元的に成長し、潤滑剤の金属触媒作用による劣化を抑制すると考えられる。また、アルキルイミダゾール類は、ステンレス鋼系材料が共存する場合において、他の金属材料の場合より潤滑剤の劣化抑制効果が高い。その理由は、明らかではないが、金属の種類によって、アルキルイミダゾール類の吸着力や膜形成能力が異なるためだと推察される。
これらアルキルイミダゾール類は、潤滑剤に対し、0.01〜1重量%を含有すればよい。0.01%未満であれば金属の触媒作用の抑制効果がなく、1%より多ければ効果はあるものの経済的に不利である。また、1%より多ければ、アルキルイミダゾール類の潤滑剤に対する溶解性が低下し、室温でも溶解しない場合や溶解しても0℃以下の低温で析出する場合が生じるため、不適当である。より好ましくは0.01〜0.5重量%、さらに好ましくは0.01〜0.1重量%である。
さらに前記潤滑剤8には、基油の性能を向上や補完する目的で、リン系化合物及び硫黄系化合物及び塩素系化合物以外の化合物を添加剤として、公知の化合物を選択、配合することができる。具体的には、酸化防止剤、油性剤、極圧剤、摩擦調整剤、摩耗防止剤、防錆剤、金属不活性剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤、導電性付与剤等に区分される1種もしくは2種以上の化合物を配合することができる。添加剤は、劣化に伴いガス発生や変質を引き起こし、軸受及び装置の性能を低下させる場合があるため、配合総量を必要最小限にとどめるべきである。
以下、前記潤滑剤8について、各実施例及び比較例を用いてさらに詳細に説明する。
実施例及び比較例に用いる流体軸受用潤滑剤の基油は、ネオペンチルグリコールと、カプリル酸及びカプリン酸の2種類の脂肪酸とからなるエステル(HATOCOL2962)を使用した。また、実施例及び比較例のいずれの場合においても、酸化防止剤としてジオクチルジフェニルアミン1重量%を配合した。なお、本発明に示す添加剤の配合量すなわち重量%は、基油及び添加剤を含めた潤滑剤の総重量に対する割合である。
(実施例1)
基油に、添加剤として、リン系化合物及び硫黄系化合物及び塩素系化合物の添加剤を配合せず、2−ウンデシルイミダゾールを0.05重量%添加し、流体軸受用潤滑剤とした。
(実施例2)
基油に、添加剤として、リン系化合物及び硫黄系化合物及び塩素系化合物の添加剤を配合せず、2−ウンデシルイミダゾールを0.5重量%添加し、流体軸受用潤滑剤とした。
(実施例3)
基油に、添加剤として、リン系化合物及び硫黄系化合物及び塩素系化合物の添加剤を配合せず、2−ウンデシルイミダゾールを1重量%添加し、流体軸受用潤滑剤とした。
(実施例4)
基油に、添加剤として、リン系化合物及び硫黄系化合物及び塩素系化合物の添加剤を配合せず、2−ヘプタデシルイミダゾールを0.05重量%添加し、流体軸受用潤滑剤とした。
(実施例5)
基油に、添加剤として、リン系化合物及び硫黄系化合物及び塩素系化合物の添加剤を配合せず、2−エチルー4−メチルイミダゾールを1重量%添加し、流体軸受用潤滑剤とした。
(比較例1)
基油に、添加剤として、硫黄系化合物及び塩素系化合物の添加剤を配合せず、リン系化合物であるリン酸トリオクチルを2重量%添加し、流体軸受用潤滑剤とした。
(比較例2)
基油に、添加剤として、リン系化合物及び硫黄系化合物及び塩素系化合物の添加剤を配合せず、サリチリデン系化合物であるN,N’−ジサリチリデン−1,2−ジアミノプロパンを0.1重量%添加し、流体軸受用潤滑剤とした。
(比較例3)
基油に、添加剤として、リン系化合物及び硫黄系化合物及び塩素系化合物の添加剤を配合せず、2−ウンデシルイミダゾールを2重量%添加し、流体軸受用潤滑剤とした。
(比較例4)
基油に、添加剤として、リン系化合物及び硫黄系化合物及び塩素系化合物の添加剤を配合せず、オクタデシルコハク酸を0.05重量%添加し、流体軸受用潤滑剤とした。
これら(実施例1)〜(実施例5)及び(比較例1)〜(比較例4)の流体軸受用潤滑剤について、以下に示す耐熱性試験、摩耗試験及び流動点測定を行い評価した。その結果を(表1)に示す。
1)耐熱性試験
ガラス瓶に30gの潤滑剤を入れ、ステンレス鋼片3gを浸漬させ、140℃環境中で500時間放置した。初期の総重量と試験後の総重量を測定し、初期からの蒸発量を算出した。また、初期の動粘度と試験後の動粘度を測定し、初期からの粘度増加量を算出した。なお、動粘度測定は、JIS−K−2283に準拠して、40℃で測定した。
2)摩耗試験
JPI−5S−32−90に準拠して、シェル四球式における試験後の鋼球の摩耗痕径を測定した。
3)流動点
JIS−K−2269に準拠して、流動点を測定した。
Figure 0004318502
なお、蒸発量及び粘度増加量及び摩耗痕径は、(比較例1)を100として表し、小さい値ほど良好な性能であると判断した。
(比較例3)は、室温において2−ウンデシルイミダゾール2重量%が溶解しなかったため、試験は行えなかった。
(実施例1)から(実施例5)の潤滑剤は、いずれの場合も(比較例1)と同等以上の耐熱性であり、かつ(比較例1)のような腐食摩耗も生じず、摩耗痕径が小さかった。
一方、(比較例2)は、耐熱性試験後に沈殿が生じ、軸受に用いる場合には回転精度を悪化させるため、不適切である。また、(比較例4)は耐熱性試験後の粘度増加量が著しく、軸受に用いる場合にはトルクの増大を招くため、同様に不適切である。
また、流動点は、低いほど流体軸受の使用温度範囲が広がり有利であるが、(比較例3)を除き、いずれの場合においても、一般的に流体軸受用潤滑剤に必要とされる−20℃以下であった。
以上のことから、本実施例の流体軸受用潤滑剤は、流体軸受の腐食摩耗を生じさせないとともに、熱に対する潤滑剤の劣化を抑制し、環境負荷も小さくできる。
このように潤滑剤8は、基油としてエステル系化合物を含有し、リン系化合物及び硫黄系化合物及び塩素系化合物は添加剤として含有していないため、環境負荷が小さく、発ガス及びこの発ガスに伴うコンタミネーションを発生させないため、磁気ディスク装置の信頼性の向上に寄与できる。さらに、添加剤としてアルキルイミダゾール類を含有しているため、長期間の使用条件においても、軸受の腐食摩耗が起こらないとともに、金属の触媒作用による潤滑剤の劣化も抑制できる。
なお、前記スピンドルモータのラジアル動圧発生溝は、軸2の外周面に2a,2bとして形成したが、これはスリーブ4の内周面に形成してもよく、あるいは軸2の外周面およびスリーブ4の内周面の両方に形成しても良い。
また、前記スピンドルモータのスラスト動圧発生溝は、スラストプレート3と対向するスラストフランジ9の表面のみ、あるいはスラストフランジ3に対向するスラストプレート9の表面のみ、あるいはスラストフランジ3の裏面のみ、もしくは前記3箇所のうちの2箇所以上に形成しても良い。
さらに、ラジアル及びスラスト動圧発生溝は、ヘリングボーン形状、スパイラル形状のどちらの形状も同様の効果が得られる。
なお、本発明の実施の形態は、軸受のスリーブ側を固定部としたが、軸部を片端固定とした場合、軸部を両端固定した場合、スリーブの内周孔を両端開放した場合でも同様の効果が得られる。
上記の実施の形態では、潤滑剤8には、リン系化合物および硫黄系化合物および塩素系化合物を添加していなかったが、この他に下記の何れの組み合わせ場合であっても、従来例に比べて良好な性能の潤滑剤として有効である。
(1)基油としてエステル系化合物を含有し、添加剤としてリン系化合物を含有せずにアルキルイミダゾール類を含有する潤滑剤
(2)基油としてエステル系化合物を含有し、添加剤としてリン系化合物及び硫黄系化合物を含有せずにアルキルイミダゾール類を含有する潤滑剤
(3)基油としてエステル系化合物を含有し、添加剤としてリン系化合物及び塩素系化合物を含有せずにアルキルイミダゾール類を含有する潤滑剤
この(1)に示す潤滑剤は、環境負荷物質の使用削減への効果は小さくなるものの、リン系化合物から生成するリン酸等による軸受の腐食を抑制でき、潤滑剤の劣化を抑制できる点で好ましい。(2)(3)に示す潤滑剤は、環境負荷物質の使用削減に一定の効果があり、リン系化合物から生成するリン酸等による軸受の腐食を抑制でき、潤滑剤の劣化を抑制できる点で好ましい。
本発明にかかる流体軸受用潤滑剤は、軸受の腐食摩耗を引き起こすことがなく、発ガスやこの発ガスに伴うコンタミネーションの発生要因も抑制でき、環境負荷を低減できる効果を有し、長寿命かつ高性能が求められるスピンドルモータなどの潤滑剤として有用である。
本発明の潤滑剤を使用した磁気ディスク装置用スピンドルモータの断面図
符号の説明
1 ベース
2 軸
2a,2b ラジアル動圧発生溝
3 スラストフランジ
3a スラスト動圧発生溝
4 スリーブ
5 ハブ
6 ロータマグネット
7 ステータコイル
8 潤滑剤
9 スラストプレート

Claims (6)

  1. 軸とこの軸を回転自在に支持するスリーブからなり、前記軸の外周面もしくは前記スリーブの内周面の少なくとも一方に動圧発生溝を形成し、前記軸と前記スリーブの隙間に、基油としてエステル系化合物を含有し、添加剤としてリン系化合物を含有せずにアルキルイミダゾール類を0.01〜1重量%含有した流体軸受用潤滑剤を注入した
    流体軸受。
  2. 前記アルキルイミダゾール類は、2位直鎖アルキルイミダゾール類であることを特徴とする
    請求項1記載の流体軸受。
  3. 前記2位直鎖アルキルイミダゾール類は、2−ウンデシルイミダゾールであることを特徴とする
    請求項2記載の流体軸受。
  4. 前記添加剤は、硫黄系化合物と塩素系化合物の少なくとも一つを含有しないことを特徴とする
    請求項1〜請求項3の何れかに記載の流体軸受。
  5. 前記エステル系化合物は、カルボニル基を2個以上持つ、ジエステル類またはポリオールエステル類であることを特徴とする
    請求項1〜請求項4の何れかに記載の流体軸受。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の流体軸受を搭載した
    スピンドルモータ。
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