JP4317764B2 - ディスク媒体とその修理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光ビームを用いて、再生もしくは記録および消去のいずれか1つまたは2つ以上の動作を行うディスク媒体に関する。
現在、レーザ光を使うディスク媒体は、書き換え型、ライトワンス型および再生専用型等が民生用やデータのバックアップ用に市販され普及している。これらのディスク媒体の代表的なものとして、光ディスクが挙げられる。光ディスクは、透光性基板と、基板上に形成された情報格納層とを備え、情報の再生もしくは記録、消去を行う場合、ディスクの基板を介して情報格納層へ光ビームを入射するようにしている。
一方、これらの光ディスクではより高密度記録及び再生を目指して次世代型の光ディスクの研究開発が行われ、鋭意実用化が目指されている。
高密度化の一方法として、入射光ビームのスポット径を小さくし、対応する小サイズの記録ビットを記録、再生することが考えられる。ディスク媒体上に入射された光ビームのスポット径は、波長をλ、対物レンズの開口数をNAとすると、λ/NAに比例するので、短波長化、高NA化を図ることによって、ビームスポットの小径化ができる。ここで、NAが大きくなれば焦点深度が浅くなるので、ディスクのチルトの点から従来のように基板側から光ビームの入射を行うのではなく、情報格納層側から直接光ビームを入射させることが必要となってくる。
このように情報格納層側から直接光ビームを入射させる場合には、光ビームを光ディスク上にフォーカスさせるための対物レンズと光ディスク間の距離が短くなるため、対物レンズをスライダ上に設けた浮上型光学ヘッドを用いることが提案されている。浮上型光学ヘッドを用いた場合の模式図を図5に示す。図中、101はディスク媒体(光ディスク)、102は浮上型光学ヘッドを示す。浮上型光学ヘッド102は、対物レンズ104を有するスライダ105をサスペンション103に取り付けた構成になっている。ディスク媒体101には、基板上に情報の再生、記録および消去を行う情報格納層が形成されている。光ビーム106は図示していない半導体レーザから出射され、浮上型光学ヘッド102の対物レンズ104にてディスク媒体101上に集光される。ディスク媒体101から反射された光ビームは、同じ光路を反対に戻り、図示しない再生信号検出系にて検出され、情報が読み出される。
しかしながら、このように浮上型光学ヘッドを用いた場合、浮上型光学ヘッドとディスク媒体の間隔は、数μm以下となるため、浮上型光学ヘッドとディスク媒体が接触しディスク媒体を傷つけたり、浮上型光学ヘッドを破損したりする危険性が有る。例えば、浮上型光学ヘッドに傷がつくと、浮上が不安定になったり、ディスク媒体へ集光することができなくなり、情報の再生や記録を行うことが不可能になる。またディスク媒体が損傷した場合、傷ついた部分の情報が破壊される危険性がある。
このため、例えば、特許文献1に見られるように、ディスク媒体に潤滑層と保護層とを設け、ディスク媒体および浮上型光学ヘッドを保護するためにお互いの潤滑特性、耐磨耗特性を向上させることが検討されている。
特開2001−256668号公報
ここでもし浮上型光学ヘッドが破損した場合は、新しいヘッドに交換することが可能である。しかしながら、ディスク媒体が損傷した場合には、保護層によって情報層の情報の破壊を防止できても、保護層に一旦傷がはいってしまうと、この傷によって浮上型光学ヘッドの浮上が不安定になったり、もっと大きな損傷が有った場合には浮上できなくなる。
また、浮上ヘッドを用いた場合に限らず、何らかの要因でディスク媒体の光入射面側に傷ついてしまうと、光が情報格納層まで到達しなくなったり、所定の場所に集光できなくなるため、このディスク媒体を使用することが不可能になる。
この発明は、光を用いて情報の再生と記録と消去の少なくとも1つを行うディスク媒体において、ディスク状基板と、その基板表面に形成された情報格納層と、情報格納層の上に積層され溶剤の溶解作用によって剥離可能な透光性樹脂層を備えるディスク媒体を提供するものである。
この発明は、別の観点から、ディスク状基板の表面に形成された情報格納層に透光性樹脂層を積層したディスク媒体において、溶媒の溶解作用を用いてディスク状基板から透光性樹脂層を剥離する工程と、ディスク状基板上に透光性樹脂を塗布して硬化させ新しい透光性樹脂層を形成する工程とを備えるディスク媒体の修理方法を提供するものである。
この発明によれば、ディスク媒体に傷が付いた場合に、コート層をディスク状基板から剥離し、ディスク状基板上に再びコート層を含む必要な層を形成することによりディスク媒体を補修して再利用することができる。
この発明によるディスク媒体は、光を用いて情報の再生と記録と消去の少なくとも1つを行うディスク媒体において、ディスク状基板と、その基板表面に形成された情報格納層と、情報格納層の上に積層された剥離可能な透光性のコート層および透光性の保護層を備えることを特徴とする。
保護層がコート層の上に形成されるものであってもよいし、コート層が保護層の上に形成されるものであってもよい。
この発明のディスク媒体に対して情報の再生、記録又は消去を行う場合には、保護層側から光ビームを照射することができる。ディスク状基板は、例えば、12cmの直径と、1.2mmの厚さを有し、中心部にディスク媒体回転用のスピンドルにチャックリングするための穴を有する。
また、ディスク状基板は、例えば、ポリカーボネート樹脂やポリオレフィン系樹脂を用いて形成できる。
情報格納層は、例えば、基板上にA1TiやA1Ti等で形成される反射層、反射層の上にSiNやAlN等で形成される第1透明誘電体層、その上にTbFeCoで形成される磁性層、その上にSiNやA1N等で形成される第2透明誘電体層により構成される。
剥離可能なコート層とは、溶剤,熱および超音波の少なくとも1つを用いて剥離可能な透光性を有する層である。この層は、例えば、市販のアクリル系UV硬化樹脂をスピンコート法により情報格納層又は保護上に塗布し、紫外線照射により硬化させることにより形成できる。
また、アクリル系UV硬化樹脂で形成されたコート層に、溶剤として、エタノール又はイソプロピルアルコールを滴下して含浸させると、コート層はその上の層と共に、下の層からきれいに剥離することができる。
この場合、溶剤を蒸発しない程度に予め暖めておくと、さらに円滑に剥離できる。
また、ディスク媒体を溶剤に浸漬し、超音波を印加することによっても、容易にコート層を剥離できる。
コート層の上又は下に形成される保護層は、例えば、市販の硬質性UV硬化樹脂を用いてコート層と同様の方法で形成できる。
なお、保護層は、浮上型ヘッドの接触による傷を防止するため、その硬度がH以上であることが望ましい。
情報格納層とコート層との間に介在し情報格納層を保護するための透光性のカバー層をさらに備えることが好ましい。
カバー層の存在により、ディスク媒体の使用時に情報格納層が外傷からさらに強固に保護されると共に、コート層の剥離時に情報格納層が守られる。
カバー層は、保護層と同様の材料と方法を用いて形成することができる。
なお、コート層とその上の保護層とをスピンコート法を用いて形成する場合には、コート層と保護層がディスク状基板と同心の円形帯状領域に重ねて形成され、コート層の内周エッジが保護層の内周エッジから基板の中心の方向へ露出してなることが好ましい。つまり、保護層の形成時にコート層の内周エッジよりも基板外周側へ寄った位置から外周の方向へ保護層材料を塗布することが好ましい。
それは、保護層材料がコート層の内周エッジよりも基板中心側から塗布されると、コート層の内周エッジ部で保護層材料の塗布ムラが生じ、浮上型光学ヘッドの浮上を不安定にするからである。その逆の場合もまた同様である。
また、カバー層とコート層をスピンコート法を用いて形成する場合には、カバー層はディスク基板と同心の円形帯状領域に形成され、同様の理由によりカバー層の内周エッジがコート層の内周エッジから基板の中心の方向へ露出してなることが好ましい。
コート層の厚さは対物レンズを含めた光学系の設計によってよって決定されるものであり、1〜25μm程度である。また保護層およびカバー層は、厚さが合わせて1〜5nmであることが好ましい。厚さを1〜5nmにすれば、光ビームのディスク媒体に対する集光特性を損なうことがない。
以下、図面に示す実施例に基づいてこの発明を詳述する。これによってこの発明が限定されるものではない。
第1実施例
本発明に係るディスク媒体の第1実施例について図1および図2に基づいて説明する。本実施例では、ディスク媒体として、光磁気記録方式による光ディスクを用いている。
図1は膜面側(情報格納層側)から光を入射し、再生もしくは記録および消去を行う光ディスクを用いた記録再生装置の模式図である。図中、1は本発明に係る光ディスクを表し、2は光ディスクに入射する光を集光させる浮上型光学ヘッドを表す。浮上型光学ヘッド2は、板バネからなるサスペンション3にスライダ5が取り付けられた構成になっている。スライダ5には光ディスク1に入射光6を集光させる対物レンズ4が形成されている。また浮上型光学ヘッド2は、光ディスクが所定の線速で回転すると、浮上圧によって光ディスクと一定の間隔で浮上する。このため線速が一定であれば、浮上量も一定になるため、予め入射光の焦点距離と浮上量を同一になるように設計しておくことにより、光ディスク上に焦点を合わせることができる。
図2は、光ディスク1の構成を示した部分断面図である。図2では、浮上型光学ヘッド2を省略しているが、入射光は図中、上部(矢印A方向)から光ディスク1に照射される。また図中、7は円盤状の基板、8は基板7上に形成され情報の再生、記録及び消去を行う情報格納層、9は情報格納層8の上に形成され光入射面の傷を保護し、かつ、少なくとも1回以上剥離と形成が可能な透光性のコート層、10はコート層9の上に形成される透光性の保護層である。
次に、本発明に係る光ディスクの作製方法について説明する。
図2に示す情報格納層8はスパッタ法を用いて形成される。ポリカーボネート樹脂からなる円盤状の基板7上にAlTiやAlTi等の反射層、SiNやAlN等からなる第一透明誘電体層、TbFeCoからなる磁性層、SiNやAlN等からなる第二透明誘電体層の順に成膜されて情報格納層8が基板7と同心に円形帯状に形成される。すなわち、情報格納層8は、光入射面側から見た場合、SiNやAlN等からなる第二透明誘電体層、TbFeCoからなる磁性層、SiNやAlN等からなる第一透明誘電体層、AlTiやAlTi等の反射層から構成されている。なお、磁性層を複数の磁性層で構成することにより、磁性層にMSR効果や磁区拡大効果を持たせても良い。
情報格納層8を成膜後、アクリル系UV硬化樹脂をスピンコートによって情報格納層8を覆うように塗布し、紫外線を照射して硬化することにより円形帯状のコート層9を形成する。この時、コート層9の膜厚はスピンコート時の回転数によって制御できる。アクリル系UV硬化樹脂の粘度は、1000cps程度と粘度が比較的高く、膜厚を広範囲で制御できる。その膜厚は、対物レンズ4を含めた光学系の設計によってよって決定され、1〜25μm程度が適当である。例えばNA=0.85、波長405nmの場合、コート層9を15μmの厚さとして光学系を設計することができる。
コート層9を形成後、硬質性UV硬化樹脂をスピンコート法によって塗布し、紫外線を照射し硬化することによって円形帯状の保護層10を形成する。硬質性UV樹脂であれば、硬度H以上の硬さが得られるので、浮上型ヘッドの接触等による外傷を防止することが可能となる。またこの樹脂にSiオイル系樹脂を混入することで保護層10の潤滑性を改善することも可能である。保護層10の膜厚もスピンコート時の回転数によって制御できる。ただし、硬質性UV硬化樹脂の粘度は50cps程度と低いためそれほど広範囲で膜厚を制御することはできない。また、入射光の焦点距離に合わせてコート層9の膜厚を決定しているので、保護層10の存在によって焦点距離が変化して入射光を光ディスク1上に集光できなくならないようにするため、保護層10の膜厚は、1nm以上5nm以下が望ましい。
また、保護層10は、基板7と同心に円形帯状に形成されたコート層9の内周エッジよりも外周エッジへ寄った位置から塗布を始めることが望ましい。スピンコート法は、回転する基板7にアクリル系UV硬化樹脂もしくは硬質性UV硬化樹脂を滴下し、遠心力によって外周側に向かってコートするコート方法である。従って、保護層10をコート層9の内周エッジより基板中心へ寄った位置から塗布すると、先に形成されたコート層9の内周エッジを超えてコートすることになり、コート層9の内周エッジ近傍で保護層10の塗布ムラが発生する。このような塗布ムラは、浮上型光学ヘッドの浮上が不安定になる要因になる。このため塗布ムラを抑制するために保護層10は、コート層9の内周エッジよりも外周側から塗布することが望ましい。
このように形成した光ディスク1の表面に、情報格納層8にまで到達しない程度の深さでこすり傷をつけた。この場合、その傷のため、浮上型光学ヘッドが満足に浮上しないことが確認された。
ここで、こすり傷のついたディスク媒体のコート層9の内周エッジからエタノールを滴下し、しばらく放置後、基板7からコート層9と保護層10を部分的に剥離した。剥離後、剥離部分の光ディスク1の表面つまり、情報格納層8の表面を観察し表面の汚れや傷をチェックしたところ、特に問題は無かった。そこで、光ディスク1の全面に渡って同様の作業を繰り返しコート層9と保護層10の剥離を行い、剥離後、再度コート層9と保護層10を上述した手順で再度塗布した。塗布後、光ディスク1をディスク駆動用スピンドルにチャックングし、所定線速(5m/s)で浮上型光学ヘッドを浮上させたところ、安定した浮上特性が得られた。
以上のように、これまでは、コート層のようにUV硬化樹脂を塗布して形成した層は、剥離することが不可能であったが、本発明によれば、エタノールを滴下することにより、その密着性を弱めて剥離することが可能となった。その結果、ディスク媒体表面に傷が付いた場合でも、コート層を剥離することにより同時に保護層も剥離でき、さらに再度コート層と保護層を形成することができる。このため、ディスク媒体表面が傷付いた場合でも、上記のように繰り返しコート層と保護層が形成できるので、ディスク媒体を再利用することが可能となる。また、この実施例では剥離時にエタノールを用いたが、イソプロピルアルコールを利用しても同様に剥離することができる。
また、蒸発しない程度の50℃に暖めたエタノールを滴下することによって、さらに容易にコート層9と保護層10を剥離することができた。これは、熱によって密着性がより弱くなったためと考えられる。
さらに、ディスクをエタノール中に浸し、超音波を印加することによっても容易にコート層9と保護層10を剥離することができた。これも超音波によって密着性が劣化するためと考えられる。
なお、この実施例では、ポリカーボネート樹脂基板を用いたが、それ以外にもポリオレフィン系樹脂の基板を用いてコート層の剥離を行った。その結果、ポリオレフィン系基板は、ポリカーボネート基板と比較してアクリル系UV硬化樹脂との密着性が弱くなり、さらに剥離を容易に行うことができた。
また、この実施例では、繰り返し剥離、形成できるコート層9の材料としてアクリル系UV硬化樹脂を、保護層10の材料として硬質性UV硬化樹脂をそれぞれ用いたが、コート層の膜厚や材料もしくは、保護層の膜厚や材料はこの実施例に限定されるものではない。
第2実施例
本発明に係るディスク媒体の第2実施例について図3に基づいて説明する。本実施例でも、第1実施例と同様にディスク媒体として、光磁気記録方式による光ディスク1aを用いている。
本実施例は、第1実施例と同様に基板7の上に情報格納層8を形成後、新たにスピンコート法にて基板7と同心に円形帯状のカバー層11を形成したものである。カバー層11は、保護層10と同じ硬質性UV硬化樹脂からなっている。カバー層11を形成後は、実施例1と同様にコート層9および保護層10をスピンコート法で塗布する。コート層9の塗布時には、カバー層11の内周エッジにかからないように内周エッジよりも外周側から塗布する。また、カバー層11の膜厚としては、カバー層によって焦点距離が変化して入射光が光ディスク1a上に集光できなくならないようにするため、好ましくは5nm以下が良く、保護層10の膜厚と合わせて1nm以上5nm以下が望ましい。コート層9の膜厚は、第1実施例と同様に対物レンズ4を含めた光学系の設計によってよって決定されるものであり、1〜25μm程度である。例えばNA=0.85、波長405nmの場合、15μmの厚さで光学系を設計することができる。
また、保護層10は、第1実施例と同様にコート層9の内周エッジにかからないようにコート層9の内周エッジよりも外周側から塗布を行う。
このように形成した光ディスク1aの表面に、第1実施例と同様に情報格納層8にまで到達しない程度の深さでこすり傷をつけ、コート層9の内周側のエッジ部からエタノールを滴下し、しばらく放置後、コート層9と保護層10を部分的に剥離した。その結果、カバー層11に影響を与えることなく、コート層9と保護層10のみを剥離することができた。また、カバー層11の表面を観察し表面の汚れや傷をチェックしたところ、特に問題は無かった。そこで、第1実施例と同様に光ディスク1aの全面のコート層9と保護層10の剥離を行い、剥離後、再度コート層9と保護層10を上述した手順で塗布した。続けて第1実施例と同様に所定線速(5m/s)で浮上型光学ヘッドの浮上安定性を調べたところ、安定した浮上特性が得られた。
本実施例によれば、新たに硬質性UV硬化樹脂からなるカバー層11を形成したので、情報格納層8の光入射面の傷を保護できるとともに、コート層9の剥離後、カバー層11により情報格納層8がむき出しにならないので、情報格納層8の保護を強固にすることができる。
また、カバー層11の膜厚や材料は本実施例に限定されるものではない。
第3実施例
本発明に係るディスク媒体の第3実施例について図4に基づいて説明する。本実施例でも、ディスク媒体として光磁気記録方式による光ディスク1bを用いている。
本実施例は第1実施例における保護層10を形成後、コート層9を形成したものである。
本実施例では、情報格納層8を形成後、実施例1と同様の方法でまず保護層10を形成し、続けてコート層9を形成した。
本実施例において、保護層10の膜厚としては、保護層10よって焦点距離が変化して入射光が光ディスク1b上に集光できなくならないようにするため、1nm以上5nm以下が望ましい。コート層9の膜厚は、第1実施例と同様に対物レンズ4を含めた光学系の設計によってよって決定されるものであり、1〜25μm程度である。例えばNA=0.85、波長405nmの場合、15μmの厚さで光学系を設計することができる。
また、コート層9は、保護層10の内周エッジにかからないように保護層10の内周エッジよりも外周側から塗布を行う。
このように作製した形成した光ディスク1bを用いて浮上型光学ヘッドが浮上することを確認し、実施例1と同様にコート層9を剥離した。剥離後、再度スピンコート法を用いてコート層9を塗布し、再度浮上型光学ヘッドの浮上安定性を確認したところ、安定した浮上特性が得られた。
本実施例によれば、コート層9を剥離しても、保護層10によって情報格納層8がむき出しにならないので、第2実施例より簡単な構成で情報格納層8を保護することができる。
第1〜第3実施例において、コート層および保護層、もしくはカバー層、コート層および保護層を形成後、さらに多層化することも可能である。
例えば、保護層を形成後、摩擦係数の小さい潤滑層を形成し浮上型光学ヘッドがディスク媒体に接触した場合の損傷を軽減させることも可能である。
さらに例えば情報格納層の上にコート層のみを形成し、このコート層を繰り返し剥離、形成することも可能である。この場合は、1層のみのため製造工程が簡略になるという効果を有する。
第1〜第3実施例では、スピンコート法により、保護層、コート層及びカバー層を形成したが、ディスク表面の膜厚分布を制御できるものであればスピンコート法に限られるものではない。また、コート層の膜厚を15μmとしたが、本膜厚は特に15μmに限られるものでなく、対物レンズを含めた光学系の設計によって決められるもので、例えば、0.1mmの厚さも可能である。
これらの実施の形態では、浮上型光学ヘッドを用いた場合について記述したが、特に浮上ヘッドを用いた場合に限られるものではなく、損傷を受けるようなすべてのディスク媒体に、利用できるものである。
また、保護層、コート層およびカバー層の剥離方法として、溶剤、熱、超音波を用いたが、情報格納層を破損させず、さらにディスク表面に汚れや傷を発生させない方法であれば、これらの方法に限られるものではない。
また、光磁気記録方式による書き換え型の光ディスクを例にとって述べたが、再生専用およびワンスライト型の光ディスクにも応用できる。
さらに近年、磁気ディスクにおいて、光による熱アシストを行なって高密度化を行う光アシスト磁気記録ディスクの研究が行われている。このような光アシスト磁気記録ディスクにおいても、光入射面側が損傷を受けると、所定の場所に集光できなくなる。また磁気ヘッドの浮上面側が損傷を受けると、磁気ヘッドの浮上特性に影響する。そこで、本発明に係る保護層と少なくとも1回以上剥離、形成できるコート層を形成することによって、光アシスト磁気記録ディスクを繰り返し使用することが可能となる。
本発明の第1実施例に係るディスク媒体を用いた記録再生装置を示す模式図である。 本発明の第1実施例に係るディスク媒体を示す部分断面図である。 本発明の第2実施例に係るディスク媒体を示す部分断面図である。 本発明の第3実施例に係るディスク媒体を示す部分断面図である。 従来のディスク媒体を用いた記録再生装置を示す模式図である。
符号の説明
1 ディスク媒体
2 浮上型光学ヘッド
3 サスペンション
4 対物レンズ
5 スライダ
6 光ビーム
7 基板
8 情報格納層
9 コート層
10 保護層
11 カバー層

Claims (8)

  1. 光を用いて情報の再生と記録と消去の少なくとも1つを行うディスク媒体において、ディスク状基板と、その基板表面に形成された情報格納層と、情報格納層の上に積層され溶剤の溶解作用によって剥離可能な透光性樹脂層を備えるディスク媒体。
  2. ディスク状基板がポリオレフィン系樹脂からなる請求項1に記載のディスク媒体。
  3. ディスク状基板の表面に形成された情報格納層に透光性樹脂層を積層した請求項1又は2に記載のディスク媒体において、溶媒の溶解作用を用いてディスク状基板から透光性樹脂層を剥離する工程と、ディスク状基板上に透光性樹脂を塗布して硬化させ新しい透光性樹脂層を形成する工程とを備えるディスク媒体の修理方法。
  4. 透光性樹脂層を剥離する工程が、ディスク媒体に溶剤を滴下して透光性樹脂層の密着性を弱めた後に剥離を行う工程からなる請求項記載の修理方法。
  5. 透光性樹脂層を剥離する工程が、ディスク媒体を溶剤に浸漬し、溶剤に超音波を印加する工程からなる請求項記載の修理方法。
  6. 透光性樹脂層を塗布する工程が、スピンコート法によって行われる請求項記載の修理方法。
  7. 滴下される溶剤が予め常温以上の蒸発しない温度に加熱されている請求項記載の修理方法。
  8. 透光性樹脂がアクリル系UV硬化樹脂であり、溶剤がエタノール又は
    イソプロピルアルコールである請求項のいずれか1つに記載の修理方法。
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