JP4317057B2 - 超臨界微粒子製造装置 - Google Patents
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Description
なお、捕集器2′によって捕集されずに排気口24′から排出される微粉粒体G0は、金属製のフィルタ8′によって捕捉されるものであり、フィルタ8′が目詰まりを引き起こしてしまう前に定期的に分解洗浄(エタノール等の液体溶媒を用いた超音波での溶媒洗浄や手洗い。)を行うことにより、溶質Mの回収・再利用が図られている。
また当然ながら洗浄作業中には装置を停止せざるをえず、生産性の低下を引き起こしてしまっている。
この発明によれば、一のフィルタによって捕集器における排気口から流出する微粉粒体を回収しながら、他のフィルタの洗浄を装置の分解を要することなく行うことができる。このため、装置の著しい稼働率低下を伴うことなく、超臨界流体に溶解した溶質を回収して再利用し、生産性及び歩留まりを高めることができる。
また、フィルタに対し、微粉粒体を捕捉するときと同じ方向(併流方向)で超臨界流体が供給されるため、粉粒体が効率的に超臨界流体中に溶け込むこととなる。
この発明によれば、溶媒に対して溶け込んだ溶質あるいはフィルタから回収された粉粒体を再利用することができる。
この発明によれば、一のフィルタによって捕集器における排気口から流出する微粉粒体を回収しながら、他のフィルタの洗浄を装置の分解を要することなく行うことができる。このため、装置の著しい稼働率低下を伴うことなく、超臨界流体に溶解した溶質を回収して再利用し、生産性及び歩留まりを高めることができる。
また、フィルタに対し、微粉粒体を捕捉するときと逆方向(向流方向)で超臨界流体が供給されるため、微粉粒体を粉粒体のままフィルタから回収することができる。
更にまた、溶媒に対して溶け込んだ溶質あるいはフィルタから回収された粉粒体を再利用することができる。
この発明によれば、フィルタを通過してしまった微粉粒体を、ガス洗浄器によって回収して再利用することができる。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
なおこれら実施例に対して、本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
まずはじめに本発明の一形態である併流式の超臨界微粒子製造装置Dについて説明すると、このものは図1に示すように、反応器1内において溶質Mを超臨界流体Fに溶解させて得た溶質溶解超臨界流体Sを、捕集器2内に具えたノズル20から噴霧して急速に膨張させることにより、所望性状の粉粒体Gを得るための装置である。
そして前記超臨界微粒子製造装置Dには、前記超臨界流体Fを得るための系が具えられるものであり、一例として、ボンベ3内に充填された二酸化炭素をチラーユニット4において冷却し、次いでポンプ5及び予熱器6によって昇圧、昇温することにより臨界点を超えさせるような構成が採られるものである。なお二酸化炭素は比較的安価で入手することができ、更に臨界温度が31.1℃、臨界圧力が7.38MPaであり、常温、常圧で気体となるため分離操作が容易に行える溶媒である。
また前記捕集器2における排気口24の次段には、排気口24から流出してしまう微粉粒体G0を捕捉するためのフィルタ8が具えられるものであり、更にフィルタ8に直に超臨界流体Fを供給して、フィルタ8に捕捉された微粉粒体G0を超臨界流体F中に回収できるような構成が採られるものである。
まず前記反応器1は、溶質Mを溶媒たる超臨界流体Fに溶解するために用いられる容器体であり、SUS304、SUS316またはSUS316L等を素材として密閉可能に構成されたものである。この実施例では、溶媒として二酸化炭素の超臨界流体Fを用いるため、一例として最大圧力20.0MPaG、最大温度150℃まで耐え得るように設計した。
またこの反応器1には、必要に応じて前記溶質Mと超臨界流体Fとを攪拌・混合するための攪拌器10が具えられる。
また筐体に形成された排気口24の次段にもフィルタ8が接続されるものであるが、この構成については後程詳しく説明する。
更に前記反応器1と捕集器2との間に具えたバルブV4の直後部分にはフィルタ70が具えられるものであり、このフィルタ70は、反応器1内において超臨界流体Fに溶解しきれずに固体のまま反応器1から流出した溶質Mを除去する目的で配されるものである。
更に前記主管路7におけるポンプ5の直後部分と、チラーユニット4の直前部分との間にはレリーフ弁71aを具えた戻り管路71が設けられるものであり、この戻り管路71を通じて昇圧された気体をフィードバックすることにより、流体の圧力を調整することができるように構成される。
また前記フィルタ8は複数基が具えられ、そのうちのいずれかひとつまたは複数への流路が選択的に開通状態とされるものであり、この実施例ではフィルタ8Aとフィルタ8Bとの二基を並列に配するとともに、これらフィルタ8の前後に接続されるフィルタ管路80と主管路7とを三方弁V5、V6によって接続して構成されるものである。
なおフィルタ8は二基以上の複数基が具えられるようにしてもよい。
また前記バイパス管路72には洗浄溶媒管路73が接続されるものであり、ポンプ73aのインバータを調節することにより、超臨界流体Fに対する洗浄溶媒W(エタノール等)の混入量が調整されるものである。なお洗浄溶媒管路73には洗浄溶媒Wを収容する容器が接続される。
更にまた前記主管路7及び各機器には適宜圧力センサまたは温度センサが具えられる。
まず始めに、全てのバルブV1〜4、V7〜10、レリーフ弁71a、バルブ72a、75aを閉じ、三方弁V5、V6をフィルタ8A側に切り替えた状態で反応器1に対して溶質Mを投入するものであり、更に必要に応じて助溶媒Hを投入する。なおこの助溶媒Hは超臨界流体Fと混合したときに溶質Mの溶解度を上昇させるものであって、溶質Mに応じて適切なものが選択される。
次にバルブV1、V2、V3を開放するものであり、ボンベ3内において液体であった二酸化炭素は主管路7に導入され、まずチラーユニット4において冷却される。そして二酸化炭素はポンプ5及び予熱器6の作用によって昇圧・昇温されて臨界点を超えるものであり超臨界流体Fとなった状態で反応器1に供給される。
この実施例では、超臨界流体Fの圧力が15MPaG、温度が45〜60℃となるように昇圧、昇温するようにした。
なお流体の流量圧力は、圧力センサP1によって監視され、適宜レリーフ弁71aの開度を調節して昇圧された気体の一部をチラーユニット4の前段部分にフィードバックすることと、インバータによるポンプ5の回転数制御とにより所望の値とされるものである。
そして反応器1には順次超臨界流体Fが供給されるものであり、反応器1内の圧力が所定の値に達したことを圧力センサP2によって検知した時点でバルブV3を閉鎖する。このとき反応器1内において超臨界流体Fに対して溶質Mが溶解し、溶質溶解超臨界流体Sが生成されるものであり、適宜攪拌器10を起動して溶解の促進を図るようにする。
次いで図2(a)に示すように、バルブV4及びバルブV9(フィルタ8Bを使用するときにはバルブV4及びバルブV10)を開放すると捕集器2内は大気圧であるので、溶質溶解超臨界流体Sがノズル20から噴霧されて捕集器2内において急速に膨張し、溶質Mたるナフタレンが析出され、やがて所望性状の粉粒体Gが得られるものである。
なお図1中仮想線で示すように、バイパス管路72を分岐して、反応器1と捕集器2との間の主管路7に接続し、この間に超臨界流体Fを充填できるようにしておけば、溶質溶解超臨界流体Sは主管路7内で急速に膨張することがなく、この区間での溶質Mの析出を回避することができる。
またこのとき、反応器1内において未溶解の溶質Mがあった場合には、このものはフィルタ70によって捕捉され、更に細かいものはフィルタ23によって捕捉されるため、ノズル20の目詰まりを回避することができる。
このような一連の粉粒体Gの製造を継続するうちに、前記フィルタ8Aは目詰まりしてくるものであり、ここでフィルタ8Aの洗浄操作について説明する。
まず図2(b)に示すように三方弁V5、V6を切り替えて、排気口24から流出する二酸化炭素、気化した助溶媒H及び微粉粒体G0をフィルタ8Bに送るようにする。
続いてバルブ72a、V7、V9を開放し、バイパス管路72から超臨界流体Fを直にフィルタ8Aに供給する。この実施例では、微粉粒体G0を捕捉するときと同じ方向(併流方向)でフィルタ8Aに超臨界流体Fが供給されるため、微粉粒体G0が効率的に超臨界流体F中に溶け込むこととなる。なおポンプ73aのインバータを調節して、適量の洗浄溶媒W(エタノール)を超臨界流体Fとともにフィルタ8Aに送ることにより、より効果的に微粉粒体G0を除去することができる。
そして微粉粒体G0すなわち溶質Mが溶け込んだ超臨界流体Fと洗浄溶媒Wとは、戻し管路74を経由して反応器1に送り込まれるものであり、ここから再度捕集器2に送られて溶質Mが粉粒体Gとして析出されることとなる。
このとき捕集器2における排気口24から排出される二酸化炭素、気化した助溶媒H及び微粉粒体G0は、フィルタ8Bに送られるため、超臨界微粒子製造装置Dを停止することなくフィルタ8Aの洗浄が行われるものである。
なお図2(c)にはフィルタ8Bの洗浄を行う場合の各バルブの状態を示した。
そこで超臨界流体Fと洗浄溶媒Wとを、前記溶質Mが付着する個所に送り込むものであり、まず始めにバルブ72aを閉鎖し、バルブV3及びバルブV4を開放した状態で、適宜バルブV2及びバルブ75aの開度を調節して昇圧された溶媒と洗浄溶媒Wとの混合物を予熱器6に供給する。この実施例では溶媒として二酸化炭素を、洗浄溶媒Wとしてエタノールを用いるものであり、二酸化炭素は予熱器6によって昇温されて超臨界流体Fとなり、一方、エタノールも超臨界流体Fと同じ高圧、中温となり、これらが反応器1、バルブV4、フィルタ70、フィルタ23、ノズル20及び主管路7を通過する際に、残存していた溶質Mを溶解して除去するものである。因みにこの場合には、超臨界微粒子製造装置Dによる粉粒体Gの製造を停止しなければならない。
次に本発明の一形態である向流式の超臨界微粒子製造装置Dについて説明するが、以下の説明においては、先に述べた併流式の超臨界微粒子製造装置Dと異なる構成部分についてのみ説明を行うものとする。
具体的には図3に示すように、バイパス管路72及び戻し管路74の接続個所が異なるものであり、まずバイパス管路72は、予熱器6と反応器1との間の主管路7と、フィルタ8の排気側に接続されるノズルV9、V10との間を結ぶように設けられるものである。
また前記戻し管路74は、フィルタ8の吸気側に接続されるノズルV7、V8と、捕集器2との間に設けられるものである。
まず始めに、全てのバルブV1〜4、V7〜10、レリーフ弁71a、バルブ72a、74a、75aを閉じ、三方弁V5、V6をフィルタ8A側に切り替えた状態で反応器1に対して溶質Mを投入するものであり、更に必要に応じて助溶媒Hを投入する。
次にバルブV1、V2、V3を開放するものであり、ボンベ3内において液体であった二酸化炭素は気体となって主管路7に導入され、まずチラーユニット4において冷却される。そして二酸化炭素はポンプ5及び予熱器6の作用によって昇圧・昇温されて臨界点を超えるものであり超臨界流体Fとなった状態で反応器1に供給される。
そして反応器1には順次超臨界流体Fが供給されるものであり、反応器1内の圧力が所定の値に達したことを圧力センサP2によって検知した時点でバルブV3を閉鎖する。このとき反応器1内において超臨界流体Fに対して溶質Mが溶解し、溶質溶解超臨界流体Sが生成されるものであり、適宜攪拌器10を起動して溶解の促進を図るようにする。
次いで図4(a)に示すように、バルブV4及びバルブV9(フィルタ8Bを使用するときにはバルブV4及びバルブV10)を開放すると、捕集器2内は大気圧であるので、溶質溶解超臨界流体Sがノズル20から噴霧されて捕集器2内において急速に膨張し、溶質Mたるナフタレンが析出され、やがて所望性状の粉粒体Gが得られるものである。
このような一連の粉粒体Gの製造を継続するうちに、前記フィルタ8Aは目詰まりしてくるものであり、ここでフィルタ8Aの洗浄操作について説明する。
まず図4(b)に示すように三方弁V5、V6を切り替えて、排気口24から流出する二酸化炭素、気化した助溶媒H及び微粉粒体G0をフィルタ8Bに送るようにする。
続いてバルブ72a、V7、V9を開放し、バイパス管路72から超臨界流体Fを直にフィルタ8Aに供給する。この実施例では、微粉粒体G0を捕捉するときと逆の方向(向流方向)でフィルタ8Aに超臨界流体Fが供給されるため、微粉粒体G0がフィルタ8Aから除去されることとなる。
そして微粉粒体G0と超臨界流体Fとは、戻し管路74を経由して捕集器2に送り込まれるものであり、ここで回収されることとなる。
このとき捕集器2における排気口24から排出される二酸化炭素、気化した助溶媒H及び微粉粒体G0は、フィルタ8Bに送られているため、超臨界微粒子製造装置Dを停止することなくフィルタ8Aの洗浄が行われるものである。
なお図4(c)にはフィルタ8Bの洗浄を行う場合の各バルブの状態を示した。
そして洗浄溶媒管路73からフィルタ8に対して併流方向に洗浄溶媒Wを供給し、洗浄溶媒W中に微粉粒体G0を溶かし込むようにし、微粉粒体G0が溶け込んだ洗浄溶媒Wを戻し管路76を通じて反応器1に送り、助溶媒H及び溶質Mとして再利用を図るものである。
すなわち上述した基本となる実施例では、フィルタ8によって捕捉しきれなかった微粉粒体G0は外部に排出されてしまう構成を採っていたが、このような微粉粒体G0の回収を図る構成を採ることができるものである。
具体的には図5に示すように、フィルタ8の排気側にガス洗浄器9を具えるとともに、このガス洗浄器9と、ポンプ5と予熱器6との間の主管路7との間を、バルブ77aを具えた戻し管路77によって接続するものである。
前記ガス洗浄器9は、内部にエタノール等の液体を収容し、この液体中にフィルタ8から排出されてくる気体を噴出することにより、気体に含まれていた微粉粒体G0を液体中に捕捉するものである。このような構成を採ることにより、フィルタ8によって捕捉しきれなかった微粉粒体G0の再利用が可能となるものであり、微粉粒体G0はエタノール(助溶媒H)中に取り込まれた状態で予熱器6を経由し、反応器1に供給されることとなる。
なお図5には向流式の超臨界微粒子製造装置Dに対してガス洗浄器9を具えた実施例を示したが、併流式の超臨界微粒子製造装置Dに対してガス洗浄器9を具えるようにすることもできる。
1 反応器
10 攪拌器
2 捕集器
20 ノズル
23 フィルタ
24 排気口
3 ボンベ
4 チラーユニット
5 ポンプ
6 予熱器
7 主管路
70 フィルタ
71 戻り管路
71a レリーフ弁
72 バイパス管路
72a バルブ
73 洗浄溶媒管路
73a ポンプ
74 戻し管路
74a バルブ
75 洗浄溶媒管路
75a バルブ
76 戻し管路
76a バルブ
77 戻し管路
77a バルブ
8 フィルタ
8A フィルタ
8B フィルタ
80 フィルタ管路
9 ガス洗浄器
F 超臨界流体
G 粉粒体
G0 微粉粒体
H 助溶媒
M 溶質
P1 圧力センサ
P2 圧力センサ
S 溶質溶解超臨界流体
V1 バルブ
V2 バルブ
V3 バルブ
V4 バルブ
V5 三方弁
V6 三方弁
V7 バルブ
V8 バルブ
V9 バルブ
V10 バルブ
W 洗浄溶媒
Claims (4)
- ポンプ及び予熱器によって溶媒を昇圧、昇温して超臨界流体とするとともに、反応器内において前記超臨界流体に溶質を溶解して溶質溶解超臨界流体を得て、更にこの溶質溶解超臨界流体をノズルから捕集器内に噴霧して急速に膨張させることにより、溶質を析出させて粉粒体を得るとともに、捕集器における排気口から流出する微粉粒体をフィルタによって捕捉・回収する装置において、前記フィルタは複数基が具えられ、そのうちのいずれかひとつまたは複数への流路が選択的に開通状態とされるものであり、更に前記フィルタと、前記予熱器と反応器との間とを管路で結び、捕集器とフィルタとを結ぶ主管路とは別系統で超臨界流体をフィルタに供給できるように構成されており、更に前記フィルタと、予熱器と反応器との間とを結ぶ管路は、フィルタの吸気側に接続されていることを特徴とする超臨界微粒子製造装置。
- 前記フィルタの排気側と、反応器または捕集器との間は、管路で接続されていることを特徴とする請求項1記載の超臨界微粒子製造装置。
- ポンプ及び予熱器によって溶媒を昇圧、昇温して超臨界流体とするとともに、反応器内において前記超臨界流体に溶質を溶解して溶質溶解超臨界流体を得て、更にこの溶質溶解超臨界流体をノズルから捕集器内に噴霧して急速に膨張させることにより、溶質を析出させて粉粒体を得るとともに、捕集器における排気口から流出する微粉粒体をフィルタによって捕捉・回収する装置において、前記フィルタは複数基が具えられ、そのうちのいずれかひとつまたは複数への流路が選択的に開通状態とされるものであり、更に前記フィルタと、前記予熱器と反応器との間とを管路で結び、捕集器とフィルタとを結ぶ主管路とは別系統で超臨界流体をフィルタに供給できるように構成されており、更に前記フィルタと、予熱器と反応器との間とを結ぶ管路は、フィルタの排気側に接続され、更に前記フィルタの吸気側と、反応器または捕集器との間は、管路で接続されていることを特徴とする超臨界微粒子製造装置。
- 前記フィルタの排気側には、ガス洗浄器が具えられたことを特徴とする請求項1、2または3記載の超臨界微粒子製造装置。
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