<第1実施形態>
図1はこの発明が適用されるスロットマシンの正面図である。このスロットマシンは、例えば図1に示すように構成されている。即ち、図1に示すように、スロットマシン1では、筐体3の前面が前面パネル5により開閉自在に閉塞され、この前面パネル5のほぼ中央高さの位置に操作板7が配設されると共に、この操作板7の上方に正面板9が配設されている。
そして、この正面板9には3個のリール窓11が並設され、各リール窓11の内側には左、中、右の各リールが配置され、右端のリール窓11の横には、ゲームの演出用画面を表示する液晶ディスプレイ13が配設されており、各リール窓11からは、各リールの図柄が各々3個ずつ見えるように設定されている。
更に、この操作板7には、クレジットされているメダルから投入を行うベットボタン15、各リールの回転を開始させるためのスタートスイッチ17、第1ないし第3ストップスイッチ19,21,23、及び、メダル投入口25や払出スイッチ27が設けられている。また、正面板9には入賞ラインが描かれると共に、入賞ライン中の有効ラインを表示する有効表示ランプ31、ボーナスゲームの状態などを表示する種々の演出表示ランプ33、クレジットメダルの枚数を表示するメダル枚数表示器35が正面板9に配設され、操作板7の下方にはメダル払出口37やメダル受け39が設けられている。また、筐体3内部の上側には、CPUやROM、RAM等のチップ部品が実装された制御基板を収容した基板ケースが配設される。
図2および図3は本発明の第1実施形態の基板ケースの一部の分解斜視図で、図2は斜め上から見た斜視図、図3は斜め下から見た斜視図である。図4はロックピンを挿入しない状態のかしめ部を示す正面図である。また、図5および図6はロックピンを挿入した組立状態における一部の断面斜視図である。
図2および図3に示すように、この基板ケース41は、いずれも透明樹脂製のベース43とカバー45とに分割され、基板ケース41内に制御基板47が収められた後、右側のかしめ部49においてベース43とカバー45とがかしめられて封印され、筐体3内部に固着されたホルダ48に基板ケース41が固定される。これによって、かしめ部49を壊さない限り基板ケース41を開けることができない構造になっている。ここで、カバー45によりベース43内に収容された制御基板47を覆ったとき、カバー45の右側壁45bがベース43の右側壁43bの外側に隙間を介して位置するように、カバー45及びベース43の寸法設定がなされ、配置されている。このように、この実施形態では、カバー45の右側壁45bが本発明の「一側壁」および「外側壁」に相当し、ベース43の右側壁43bが本発明の「対応側壁」および「内側壁」に相当する。
ところで、かしめ部49は、カバー45の右側壁45bに透設された嵌入孔511〜516と、ベース43の右側壁43bに透設された係合孔531〜536と、それぞれ嵌入孔511〜516に嵌挿されて先端が係合孔531〜536に嵌入するロックピン(本発明の「係合体」に相当)551〜556とを備えている。これら嵌入孔511〜516は、内径の異なる2段の円形孔が連続的に形成された横断面凸字状を成しており、係合孔531〜536は、嵌入孔511〜516の小径部分と同じか若干小さい内径に設定されている。
ロックピン551〜556は、それぞれ、根元に形成された嵌入部55aと、その先端側に形成された頭部55bと、これらを繋ぐ中央部分に形成された軸状の接続部55cと、頭部55bの先端部分に形成された係止部55dとを備えている。ロックピン551〜556の各嵌入部55aは嵌入孔511〜516と同じ横断面形状に形成されて嵌入孔511〜516に嵌入する。また、各嵌入部55aの外周には、それぞれ切欠からなるガイド部55eが形成され、嵌入孔511〜516の内周には、それぞれガイド部55eが嵌挿する軸方向への凸条からなる被ガイド部51aが形成されている。このとき、ガイド部55eおよび被ガイド部51aの形成位置が、嵌入孔511〜516およびこれに嵌入するロックピン551〜556の嵌入部55aの組ごとに異なっている。これによって、ロックピン551〜556の嵌入部55aは、それぞれ対応する嵌入孔511〜516にのみ嵌入可能であって、対応しない嵌入孔に嵌入させると容易に発見できるようになっている。
また、ロックピン551〜556の頭部55bは係合孔531〜536の内径とほぼ同径に形成されている。また、ロックピン551〜556の係止部55dは、係合孔531〜536の内径よりもやや大径に形成されている。この係止部55dは縦溝によって2分割されており、これにより頭部55bの係合孔531〜536への嵌入時に、係合孔531〜536の内径よりも大径であっても係止部55dは係合孔531〜536を通ってベース43の右側壁43bの内面に係止可能になっており、この係止部55dの係止によって、ロックピン551〜556の引き抜きが阻止される。
さらに、カバー45の上壁45aには、ロックピン551〜556を途中の接続部55cで切断するニッパなどの切断工具を差し込むための矩形の差込口571〜576が形成されている。この差込口571〜576は、カバー45の上壁45aのうちでベース43の右側壁43bとカバー45の右側壁45bとの隙間の上方位置であって、嵌入孔511〜516に対応する位置にそれぞれ設けられている。
また、差込口571〜576には、板状の破断部591〜596がそれぞれ設けられている。この破断部591〜596は、差込口571〜576より多少小さい矩形で、差込口571〜576をほぼ閉塞するようにそれぞれ設けられている。また、破断部591〜596は、それぞれ細く形成された接続部59aを介してカバー45の上壁45aと一体的に形成されており、これによって容易に破断可能になされている。
また、カバー45の右側壁45bにインサート成型により設けられた可撓性の連結部材61を介して、ロックピン551〜556の嵌入部55aがそれぞれカバー45に連結されている。ロックピン551〜556および連結部材61は、全体が人間の眼に目立つ色(この実施形態では例えば濃い赤色)に着色されている。
また、ホルダ48は、底板48aと、この底板48aに立設された立板48bとを有する側面視L字形状の板状体である。底板48aは、ねじなどの固定手段(図示省略)により筐体3に固定される。また、立板48bには挿通用透孔631〜634が透設されている。この挿通用透孔631〜634は、ベース43の右側壁43bの係合孔532〜535とほぼ同じ大きさである。一方、ベース43の底壁43aであって右側壁43bのすぐ外側には、立板48bの断面形状より多少大きい挿入部43cが透設されている。そして、基板ケース41をホルダ48に取り付けるときに、ホルダ48の立板48bを挿入部43cに挿入すると立板48bが嵌挿されて挿通用透孔631〜634の中心軸が係合孔532〜535と一致するように形成されている。
そして、当初内蔵されている制御基板47上の正規のROMを取り外して不正な変造ROMが取り付けられることを防止するために、図5に示すように、まず1番目のロックピン551が嵌入孔511、係合孔531に挿入されて嵌入され、これにより基板ケース41が封印され、この封印状態のまま制御基板47が基板ケース41ごとパチンコホールに搬送される。さらに、パチンコホールにおいて、図6に示すように、2番目のロックピン552が嵌入孔512、透孔631、係合孔532に挿入されて嵌入され、これにより基板ケース41が筐体3の所定位置に固定されたホルダ48に固定され、封印状態の基板ケース41がホルダ48を介して筐体3内部の所定位置に設置される。
そして、監督機関が変造ROMを取り締まるために、パチンコホールにおいてチェックする際には、カバー45の上壁45aの接続部59aを切断することにより、破断部591および592を上壁45aから破断し、ニッパなどの切断工具を差込口571および572から差し込んで1番目のロックピン551および2番目のロックピン552の接続部55cを切断することで封印を解除する。切断された各ロックピン551,552の頭部55bをホルダ48の挿通用透孔631とベース43の係合孔531,532とから除去すると、基板ケース41がホルダ48から取外し可能になるとともに、カバー45をベース43から取り外して基板ケース41が開放可能な状態とされる。さらに、チェックが終了すると、3番目のロックピン553が嵌入孔513、挿通用透孔632および係合孔533に嵌入・係止されることで、基板ケース41が封印されてホルダ48に固定される。以後、このような監督機関による変造ROMの取り締まりごとに、4番目ないし5番目のロックピン554,555により基板ケース41が順次封印されるとともにホルダ48に固定される。
そして、制御基板47を基板ケース41ごと回収する際には、破断部595を上壁45aから除去して、切断工具を差込口575から差し込んで5番目のロックピン555の接続部55cを切断することで封印を解除して基板ケース41を筐体3内部から取り外した後、6番目のロックピン556が嵌入孔516、係合孔536に挿入されて嵌入・係止されて基板ケース41を封印し、その封印状態のまま搬送されて回収される。
このように、この実施形態によれば、ロックピン551〜556を嵌入孔511〜516及び係合孔531〜536に挿入して嵌入することにより、従来のように、ねじを用いることなく基板ケース41を簡単に封印することができる。また、ベース43およびカバー45は透明樹脂製のため、筐体3の正面から基板ケース41を見たときに、嵌入孔511〜516及び係合孔531〜536に挿入、嵌入しているロックピン551〜556をはっきりと視認することができるため、ロックピン551〜556が外部から切断された場合の痕跡を明確に把握することができ、不正行為を早期に発見することができる。
また、この実施形態によれば、差込口571〜576に対する切断工具の差込みを破断部591〜596により妨げているため、ロックピン551〜556を外部から切断することが困難であり、不正行為を確実に防止することができる。また、破断部591〜596が不正に除去された場合には、監督機関のチェック回数と除去された破断部591〜596の個数とが合わないことになるため、その痕跡を明確に把握することができ、不正行為を早期に発見することができる。さらに、ロックピン551〜556を連結部材61を介してカバー45に連結しているため、封印作業時にロックピン551〜556を紛失するおそれがなく、封印作業を非常に効率よく行うことができる。また、ロックピン551〜556が連結部材61でカバー45に連結されていなければ、複製したロックピンで正規のロックピン551〜556を置き換えるような不正を行い易くなるが、この実施形態によれば、そのような不正が困難になる。また、連結部材61が切断されるなどの不正の痕跡を容易に発見することが可能になる。さらにまた、ベース43およびカバー45は透明樹脂製であり、かつロックピン551〜556および連結部材61は全体が人間の眼に目立つ色に着色されているため、ロックピン551〜556や連結部材61に対する不正行為の痕跡を早期に発見することができる。
<第2実施形態>
図7は本発明の第2実施形態の基板ケースを組み立てた状態を示す斜視図、図8は同基板ケースをホルダに取り付けた状態を示す斜視図である。また、図9〜図13は各部品を示す斜視図で、図9はベースを示し、図10はカバーを示し、図11はロック部材を示し、図12は右側のホルダを示し、図13は左側のホルダを示している。また、図14はベースの平面図、図15はかしめ部を示すベースの正面図である。また、図16はカバーの平面図、図17はかしめ部を示すカバーの正面図である。なお、第2実施形態のスロットマシンは図1を参照して説明した第1実施形態と同一であるので説明を省略する。また、図7〜図17において、第1実施形態と同一機能を果たす部材には同一符号を付している。
この第2実施形態では、第1実施形態と異なり、ベース43にカバー45を取り付けて制御基板(図示省略)を封入したときに、カバー45の右側壁45b(図16、図17)がベース43の右側壁43b(図14、図15)の内側に隙間を介して位置するように、カバー45及びベース43の寸法設定がなされ、配置されている。このように、この実施形態では、カバー45の右側壁45bが本発明の「一側壁」および「内側壁」に相当し、ベース43の右側壁43bが本発明の「対応側壁」および「外側壁」に相当する。
また、この第2実施形態では、合成樹脂により一体的に形成されたロック部材550が設けられている。すなわち、図11に示すように、ロックピン551〜556が可撓性の連結部材61によりそれぞれ棒状のロック本体71に並んで連結される一方、このロック本体71から平板状の挿入片721〜725がそれぞれ突設されて、ロック部材550が形成されている。この挿入片721〜725は、ベース43の右側壁43bの下部にそれぞれ形成された各隙間731〜735(図15)からそれぞれ挿入され、右側壁43bのすぐ内側の底面に形成されたロック受け部741〜745(図14)に載せられる。そして、挿入片722,724にそれぞれ穿設された貫通孔751(図11)にロック受け部742,744に突設された凸部752(図14)が嵌入した状態で該凸部752が加熱溶融されることで、ロック部材550がベース43に固着される。ロック部材550を形成する合成樹脂は全体が人間の眼に目立つ色(この実施形態では例えば濃い赤色)に着色されている。
また、この第2実施形態では、ロックピン551〜556は、それぞれ、根元に形成された嵌入部55aと、その先端に平面視矢印状に形成された係止部55dと、これらを繋ぐ中央部分に形成された軸状の接続部55cとを備えている。また、ベース43の右側壁43bの外面には、各嵌入孔511〜516を囲むように、断面が円形と矩形とを合成した鍵穴のような形状の嵌入筒521〜526がそれぞれ設けられている。
また、この第2実施形態では、カバー45の右側壁45bは、図16、図17に示すように、係合孔531〜536がそれぞれ透設され互いに分離して設けられた板状体451〜456からなる。板状体451,456は、それぞれ破断部591,596と一体的に形成されており、接続部59aをニッパなどの切断工具により切断すると、破断部591,596とともに、カバー45から破断される。また、板状体452〜455は、それぞれ細く形成された接続部45cを介してカバー45の上壁45aと一体的に形成されており、接続部45cを切断工具により切断することで、それぞれ個別にカバー45から除去される。
そして、第1実施形態の場合と同様に、当初内蔵されている制御基板上の正規のROMを取り外して不正な変造ROMが取り付けられることを防止するために、まず1番目のロックピン551を嵌入筒521に押し込んで、嵌入孔511および係合孔531に挿通すると、裾広がりの係止部55dが係合孔531に係止されて基板ケース41が封印され、この封印状態のまま制御基板が基板ケース41ごとパチンコホールに搬送される。さらに、パチンコホールにおいて、筐体3にあらかじめ固定された左右のホルダ48L,48Rに取り付けられる。すなわち、右側のホルダ48Rの立板48bをベース43の底面に透設された挿入部43cに挿通させると、外側から順に、ベース43の右側壁43bの嵌入孔512〜515と、カバー45の板状体452〜455の係合孔532〜535と、ホルダ48Rの立板48bに形成された挿通用透孔631〜634とが、それぞれ同軸上に並ぶ。そして、2番目のロックピン552を嵌入筒522に押し込んで、嵌入孔512、係合孔532および挿通用透孔631に挿通すると、裾広がりの係止部55dが挿通用透孔631に係止されて、図8に示すように、基板ケース41がホルダ48L,48Rを介して筐体3に取り付けられる。なお、基板ケース41の左側では、ホルダ48Lの天板48c上にベース43の左側に形成されたフランジ43dが載せられて、天板48cおよびフランジ43dのほぼ中央にそれぞれ形成された孔48d,43eにねじを挿通して共締めされる。
そして、監督機関が変造ROMを取り締まるために、パチンコホールにおいてチェックする際には、カバー45の上壁45aの接続部59aを切断することにより、破断部591および592を上壁45aから破断し、ニッパなどの切断工具を差込口572から差し込んで2番目のロックピン552の接続部55cを切断する。破断部591の破断により、嵌入孔511および係合孔531に挿通したままの1番目のロックピン551とともに破断部591および板状体451がカバー45から切り離されてベース43側に残った状態にする。さらに、カバー45の接続部45cを切断工具により切断することにより、板状体452をカバー45から切り離す。これによって、基板ケース41がホルダ48Rから取外し可能になるとともに、カバー45をベース43から取り外して基板ケース41が開放可能な状態とされる。このとき、板状体451,452がカバー45から切り離されているので、第1実施形態のように、切断された各ロックピン551,552をホルダ48Rの挿通用透孔631やカバー45の係合孔531,532から除去するなどの作業を行う必要はない。
さらに、チェックが終了すると、3番目のロックピン553を嵌入筒523に押し込んで、嵌入孔513、係合孔533および挿通用透孔632に挿通すると、裾広がりの係止部55dが挿通用透孔632に係止されて、基板ケース41が封印されてホルダ48L,48Rを介して筐体3に固定される。以後、このような監督機関による変造ROMの取り締まりごとに、4番目ないし5番目のロックピン554,555により基板ケース41が順次封印されるとともにホルダ48L,48Rを介して筐体3に固定される。
そして、制御基板を基板ケース41ごと回収する際には、破断部595を上壁45aから破断して、切断工具を差込口575から差し込んで5番目のロックピン555の接続部55cを切断することで封印を解除して基板ケース41を筐体3内部から取り外した後、6番目のロックピン556を嵌入孔516、係合孔536に挿入して嵌入・係止することで基板ケース41を封印し、その封印状態のまま搬送されて回収される。
このように、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、ロックピン551〜556を嵌入孔511〜516及び係合孔531〜536に挿入して嵌入することにより、従来のように、ねじを用いることなく基板ケース41を簡単に封印することができる。また、ベース43およびカバー45は透明樹脂製のため、筐体3の正面から基板ケース41を見たときに、嵌入孔511〜516及び係合孔531〜536に挿入、嵌入しているロックピン551〜556をはっきりと視認することができるため、ロックピン551〜556が外部から切断された場合の痕跡を明確に把握することができ、不正行為を早期に発見することができる。
また、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、差込口571〜576に対する切断工具の差込みを破断部591〜596により妨げているため、ロックピン551〜556を外部から切断することが困難であり、不正行為を確実に防止することができる。また、破断部591〜596が不正に除去された場合には、監督機関のチェック回数と除去された破断部591〜596の個数とが合わないことになるため、その痕跡を明確に把握することができ、不正行為を早期に発見することができる。さらに、ロック部材550をベース43に固着することでロックピン551〜556を連結部材61を介してベース43に連結しているため、封印作業時にロックピン551〜556を紛失するおそれがなく、封印作業を非常に効率よく行うことができる。また、ロックピン551〜556が連結部材61でベース43に連結されていなければ、複製したロックピンで正規のロックピン551〜556を置き換えるような不正を行い易くなるが、この実施形態によれば、第1実施形態と同様に、そのような不正が困難になる。また、連結部材61が切断されるなどの不正の痕跡を容易に発見することが可能になる。さらにまた、ベース43およびカバー45は透明樹脂製であり、かつロック部材550は全体が人間の眼に目立つ色に着色されているため、ロック部材550に対する不正行為の痕跡を早期に発見することができる。
また、第2実施形態によれば、各嵌入孔511〜516を囲むように嵌入筒521〜526をそれぞれ設けているため、ロックピン551〜556の嵌入部55aが嵌入筒521〜526の内部に隠されることとなり、ロックピン551〜556に対する不正工作がより困難になるという利点がある。
また、第2実施形態によれば、カバー45の右側壁45bを、係合孔531〜536がそれぞれ透設され互いに分離して設けられた板状体451〜456からなるものとし、板状体451〜456をそれぞれ個別にカバー45から除去可能にしているため、切断された各ロックピン551〜556をホルダ48Rの挿通用透孔631〜634やカバー45の係合孔531〜536から除去するなどの作業を行うことなく、基板ケース41がホルダ48Rから取外し可能になることから、第1実施形態に比べて、封印解除時の作業性を向上することができる。
また、図9に示すように、ベース43の奥側の側壁43fは、基板ケース41を組み立てたときにその上端がカバー45の上壁45aとほぼ同一面を形成するように、底壁43aから上方に延設されている。したがって、図8に示すように、基板ケース41を組み立てたときにカバー45とベース43との境界にカバー45からベース43にまたがって貼り付けられる封印シール44がカバー45の上壁45aにも貼り付けられることになるため、基板ケース41をホルダ48L,48Rを介して筐体3に装着したときに、封印シール44が真正面から見える。このため、第2実施形態によれば、封印シール44が正常に貼り付けられているか否かを容易に確認することができる。
<第3実施形態>
図18は本発明の第3実施形態の基板ケースを組み立てた状態の斜視図、図19は同基板ケースをホルダに取り付けた状態の斜視図である。また、図20〜図23は第3実施形態のベースを示す図で、図20は斜視図、図21は平面図、図22は側面図、図23はかしめ部を示す正面図である。また、図24〜図27は第3実施形態のカバーを示す図で、図24は斜視図、図25は平面図、図26は側面図、図27はかしめ部を示す正面図である。なお、第3実施形態のスロットマシンは図1を参照して説明した第1実施形態と同一であるので説明を省略する。また、第3実施形態のロック部材550および左右のホルダ48L,48Rは、それぞれ図11〜図13に示す第2実施形態と同一であるので図示を省略する。また、図18〜図27において、第1および第2実施形態と同一機能を果たす部材には同一符号を付している。
この第3実施形態では、第2実施形態と同様に、ベース43にカバー45を取り付けて制御基板(図示省略)を封入したときに、カバー45の右側壁45b(図25、図27)がベース43の右側壁43b(図21、図23)の内側に隙間を介して位置するように、カバー45及びベース43の寸法設定がなされ、配置されている。このように、この実施形態では、カバー45の右側壁45bが本発明の「一側壁」および「内側壁」に相当し、ベース43の右側壁43bが本発明の「対応側壁」および「外側壁」に相当する。
また、第2実施形態と同一構成のロック部材550の挿入片721〜725は、ベース43の右側壁43bの下部にそれぞれ形成された各隙間731〜735(図23)からそれぞれ挿入され、右側壁43bのすぐ内側の底面に形成されたロック受け部741〜745(図21)に載せられる。そして、挿入片722,724にそれぞれ穿設された貫通孔751(図11)にロック受け部742,744に突設された凸部752(図21)が嵌入した状態で該凸部752が加熱溶融されることで、ロック部材550がベース43に固着される。ロック部材550を形成する合成樹脂は全体が人間の眼に目立つ色(この実施形態では例えば濃い赤色)に着色されている。
また、この第3実施形態では、カバー45の右側壁45bは、図25、図27に示すように、係合孔531が透設された板状体451と、係合孔532〜535が透設された板状体457と、係合孔536が透設された板状体456とからなる。板状体451と板状体457と板状体456とは、互いに分離して設けられている。板状体451,456は、それぞれ破断部591,596と一体的に形成されており、接続部59aをニッパなどの切断工具により切断すると、それぞれ破断部591,596とともに、カバー45から破断される。また、板状体457はカバー45の上壁45aと一体的に形成されている。
また、この第3実施形態では、ベース43の嵌入筒521のすぐ内側に、側壁43bから内側に向けて所定長の立板43gが側壁43fとほぼ平行に立設されている。また、側壁43fと立板43gとの間に、平面視コ字状の囲み壁761が底板から立設されている。さらに、ベース43の嵌入筒526のすぐ内側に、側壁43bから内側に向けて所定長の立板43iが側壁43hとほぼ平行に立設されている。また、立板43iと側壁43hとの間に、平面視コ字状の囲み壁762が底板から立設されている。一方、カバー45において、破断部591,596は、それぞれ左右両端が下方に延設された延設部59bを有し、正面視コ字状に形成されている。これらの延設部59bは、それぞれ長尺部分59cと短尺部分59dとからなっている。
このような構成により、ベース43にカバー45を取り付けるロックピン551は、最も外側でベース43の側壁43fと立板43gとにより囲まれており、そのすぐ内側でカバー45の破断部591の両側の延設部59bにより囲まれている。さらに、その延設部59bの内側では、ベース43の囲み壁761の上端が、延設部59bの長尺部分59cの下端とは高さ方向に重なり合っており、短尺部分59dの下端とはほぼ同一の高さ位置となっている。また、ロックピン556も同様に、最も外側でベース43の側壁43hと立板43iとにより囲まれており、そのすぐ内側でカバー45の破断部596の両側の延設部59bにより囲まれている。さらに、その延設部59bの内側では、ベース43の囲み壁762の上端が、延設部59bの長尺部分59cの下端とは高さ方向に重なり合っており、短尺部分59dの下端とはほぼ同一の高さ位置となっている。これによって、ロックピン551,556に対する外部からの不正行為を困難にしている。
そして、第1実施形態の場合と同様に、当初内蔵されている制御基板上の正規のROMを取り外して不正な変造ROMが取り付けられることを防止するために、まず1番目のロックピン551を嵌入筒521に押し込んで、嵌入孔511および係合孔531に挿通すると、裾広がりの係止部55dが係合孔531に係止されて基板ケース41が封印され、この封印状態のまま制御基板が基板ケース41ごとパチンコホールに搬送される。さらに、パチンコホールにおいて、筐体3にあらかじめ固定された左右のホルダ48L,48Rに取り付けられる。すなわち、右側のホルダ48Rの立板48bをベース43の底面に透設された挿入部43cに挿通させると、外側から順に、ベース43の右側壁43bの嵌入孔512〜515と、カバー45の板状体457の係合孔532〜535と、ホルダ48Rの立板48bに形成された挿通用透孔631〜634とが、それぞれ同軸上に並ぶ。そして、2番目のロックピン552を嵌入筒522に押し込んで、嵌入孔512、係合孔532および挿通用透孔631に挿通すると、裾広がりの係止部55dが挿通用透孔631に係止されて、図19に示すように、基板ケース41がホルダ48L,48Rを介して筐体3に取り付けられる。なお、基板ケース41の左側では、ホルダ48Lの天板48c上にベース43の左側に形成されたフランジ43dが載せられて、天板48cおよびフランジ43dのほぼ中央にそれぞれ形成された孔48d,43eにねじを挿通して共締めされる。
そして、監督機関が変造ROMを取り締まるために、パチンコホールにおいてチェックする際には、カバー45の上壁45aの接続部59aを切断することにより、破断部591および592を上壁45aから破断し、ニッパなどの切断工具を差込口572から差し込んで2番目のロックピン552の接続部55cを切断する。破断部591の破断により、嵌入孔511および係合孔531に挿通したままの1番目のロックピン551とともに破断部591および板状体451がカバー45から切り離されてベース43側に残った状態にする。これによって、基板ケース41がホルダ48Rから取外し可能になるとともに、カバー45をベース43から取り外して基板ケース41が開放可能な状態とされる。このとき、板状体451がカバー45から切り離されているので、切断されたロックピン551をホルダ48Rの挿通用透孔631やカバー45の係合孔531から除去するなどの作業を行う必要はない。なお、ロックピン552については、係止部55dの近傍で切断することにより、ホルダ48Rの挿通用透孔632やカバー45の係合孔532から容易に除去することができる。
さらに、チェックが終了すると、3番目のロックピン553を嵌入筒523に押し込んで、嵌入孔513、係合孔533および挿通用透孔632に挿通すると、裾広がりの係止部55dが挿通用透孔632に係止されて、基板ケース41が封印されてホルダ48L,48Rを介して筐体3に固定される。以後、このような監督機関による変造ROMの取り締まりごとに、4番目ないし5番目のロックピン554,555により基板ケース41が順次封印されるとともにホルダ48L,48Rを介して筐体3に固定される。
そして、制御基板を基板ケース41ごと回収する際には、破断部595を上壁45aから破断して、切断工具を差込口575から差し込んで5番目のロックピン555の接続部55cを切断することで封印を解除して基板ケース41を筐体3内部から取り外した後、6番目のロックピン556を嵌入孔516、係合孔536に挿入して嵌入・係止することで基板ケース41を封印し、その封印状態のまま搬送されて回収される。
このように、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、ロックピン551〜556を嵌入孔511〜516及び係合孔531〜536に挿入して嵌入することにより、従来のように、ねじを用いることなく基板ケース41を簡単に封印することができる。また、ベース43およびカバー45は透明樹脂製のため、筐体3の正面から基板ケース41を見たときに、嵌入孔511〜516及び係合孔531〜536に挿入、嵌入しているロックピン551〜556をはっきりと視認することができるため、ロックピン551〜556が外部から切断された場合の痕跡を明確に把握することができ、不正行為を早期に発見することができる。
また、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、差込口571〜576に対する切断工具の差込みを破断部591〜596により妨げているため、ロックピン551〜556を外部から切断することが困難であり、不正行為を確実に防止することができる。また、破断部591〜596が不正に除去された場合には、監督機関のチェック回数と除去された破断部591〜596の個数とが合わないことになるため、その痕跡を明確に把握することができ、不正行為を早期に発見することができる。
また、第3実施形態によれば、第2実施形態と同様に、ロック部材550をベース43に固着することでロックピン551〜556を連結部材61を介してベース43に連結しているため、封印作業時にロックピン551〜556を紛失するおそれがなく、封印作業を非常に効率よく行うことができる。また、ロックピン551〜556が連結部材61でベース43に連結されていなければ、複製したロックピンで正規のロックピン551〜556を置き換えるような不正を行い易くなるが、この実施形態によれば、第1実施形態と同様に、そのような不正が困難になる。また、連結部材61が切断されるなどの不正の痕跡を容易に発見することが可能になる。さらにまた、ベース43およびカバー45は透明樹脂製であり、かつロック部材550は全体が人間の眼に目立つ色に着色されているため、ロック部材550に対する不正行為の痕跡を早期に発見することができる。
また、第3実施形態によれば、第2実施形態と同様に、各嵌入孔511〜516を囲むように嵌入筒521〜526をそれぞれ設けているため、ロックピン551〜556の嵌入部55aが嵌入筒521〜526の内部に隠されることとなり、ロックピン551〜556に対する不正工作がより困難になるという利点がある。
また、第2実施形態と同様に、図20に示すように、ベース43の奥側の側壁43fは、基板ケース41を組み立てたときにその上端がカバー45の上壁45aとほぼ同一面を形成するように、底壁43aから上方に延設されている。したがって、図19に示すように、基板ケース41を組み立てたときにカバー45とベース43との境界にカバー45からベース43にまたがって貼り付けられる封印シール44がカバー45の上壁45aにも貼り付けられることになるため、基板ケース41をホルダ48L,48Rを介して筐体3に装着したときに、封印シール44が真正面から見える。このため、第3実施形態によれば第2実施形態と同様に、封印シール44が正常に貼り付けられているか否かを容易に確認することができる。
また、第3実施形態では、例えば図16と図25とを比較して分かるように、差込口572〜575に対して破断部592〜595を可能な限り大きくすることで、第2実施形態に比べて隙間をより小さくしている。さらに、図14と図21とを比較して分かるように、ベース43の底面に透設される挿入部43cを第2実施形態に比べてより小さくしている。これによって、第3実施形態によれば、第2実施形態に比べて、外部からの不正行為をより一層困難にすることが可能になる。
<変形形態>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
例えば、上記第1実施形態では破断部591〜596をカバー45の上壁45aと1箇所の接続部59aで接続しているが、破断部591〜596の形状やカバー45の上壁45aとの接続状態はこれに限られず、カバー45から除去し易いものであればよい。例えば図28では、破断部591,592,593,…をカバー45の上壁45aより薄く形成している。また、例えば図29では、破断部591〜596を上記第1実施形態と異なる2箇所の接続部59aでカバー45の上壁45aと接続している。さらに、例えば図30では、破断部591〜596を細い格子により形成している。これらの図28〜図30に示す形状でも、破断部591〜596をカバー45から容易に除去することができる。また、破断部591〜596をカバー45の上壁45aと2箇所または3箇所の接続部59aで接続している上記第2、第3実施形態でも、図28〜図30に示す形状の破断部を採用することができる。
また、上記第1実施形態では、ロックピン551〜556の嵌入部55aの外周に形成されたガイド部55eは切欠からなり、嵌入孔511〜516の内周に形成された被ガイド部51aは軸方向への凸条からなるとしているが、これに限られず、ガイド部が被ガイド部に嵌挿する形状であればよい。例えば図29では、ロックピン551〜556の嵌入部55aの外周に形成されたガイド部55eは突起からなり、嵌入孔511〜516の内周に形成された被ガイド部51aは軸方向への凹溝からなる。そして、図29でも上記第1実施形態と同様に、ガイド部55eおよび被ガイド部51aの形成位置が、嵌入孔511〜516およびこれに嵌入するロックピン551〜556の嵌入部55aの組ごとに異なっている。この図29の形状でも、ロックピン551〜556の嵌入部55aは、それぞれ対応する嵌入孔511〜516にのみ嵌入可能であって、対応しない嵌入孔に嵌入させると容易に発見できることとなる。
また、上記第1〜第3実施形態において、破断部591〜596をカバー45(第1実施形態)またはベース43(第2、第3実施形態)と異なる色に着色するようにしてもよい。この形態によれば、破断部591〜596に対する不正行為をより一層確実に発見することができる。なお、破断部591〜596を着色する色は、人間の眼に目立つ色であることが好ましい。
また、上記実施形態では、ロックピン551〜556をカバー45(第1実施形態)またはベース43(第2、第3実施形態)に連結しているが、ロックピン551〜556は必ずしもカバー45またはベース43に連結しておく必要はなく、ロックピン551〜556は、ベース43やカバー45とは別個の独立した部材であってもよい。ただし、上述したように、作業性および不正防止の観点から上記実施形態のように連結しておく方が好ましい。
また、上記した実施形態では、嵌入孔511〜516、係合孔531〜536およびロックピン551〜556をそれぞれ6個としているが、これらの個数は特に6個に限定されるものではない。
更に、上記した実施形態では、本発明をスロットマシンに適用した場合について説明したが、パチンコ機といった他の遊技機にも本発明を適用することができ、その場合にも上記した各実施形態と同等の効果を得ることができる。
1…スロットマシン(遊技機)、3…筐体(遊技機筐体)、41…基板ケース、43…ベース、43b…ベースの右側壁(一側壁、内側壁、外側壁)、45…カバー、45b…カバーの右側壁(対応側壁、外側壁、内側壁)、451〜457…板状体、48,48R…ホルダ、49…かしめ部、511〜516…嵌入孔、51a…被ガイド部、531〜536…係合孔、551〜556…ロックピン(係合体)、55a…嵌入部、55b…頭部、55c…接続部、55d…係止部、55e…ガイド部、571〜576…差込口、591〜596…破断部、61…連結部材