JP4315319B2 - ロータの反りを排除するための、蒸気タービンのロータプラットフォームの改良及びダイアフラムパッキン区域におけるブラシシール使用法 - Google Patents

ロータの反りを排除するための、蒸気タービンのロータプラットフォームの改良及びダイアフラムパッキン区域におけるブラシシール使用法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシシールと回転構成部品との間の摩擦接触によって発生する熱に起因する回転構成部品の周りの不均一な熱分布から生ずる熱による反りを排除するように配列され設置された、非回転構成部品と回転構成部品との間のブラシシールを有する蒸気タービンに関し、具体的には、熱による反りと共にそのようなタービンにおいてブラシシールが破損した場合に軸方向スラスト荷重を排除するための装置及び方法に関する。
【0002】
【従来技術】
特許文献には、非回転構成部品とロータシャフトの回転構成部品との間に設置されたブラシシールを有する蒸気タービンが開示されている。具体的には、軸方向フランジがバケットのダブテールに設けられ、該バケットダブテールは相補的方式でロータホイールのダブテールに固定される。非回転構成部品から回転構成部品、すなわちバケットダブテール上のフランジに向けて突出する金属剛毛のアーチ形配列から構成されるブラシシールは、フランジ表面に係合し圧接する剛毛先端を有する。この特許を検討すれば分かるように、ブラシシールの剛毛と対向するシール面すなわちフランジとの間の接触は熱を発生する。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第6,168,377号
【0004】
この特許に開示されるように、発生した熱をロータの外径から隔絶するためには、ブラシシールとシール面との接触部がロータシャフトから半径方向外側に設置されなければならない。さもなければ、摩擦で発生した熱がシャフト周辺の周りでの不均一な温度分布を引き起こし、ロータの不均一な軸方向膨張、従ってロータの反りを発生させる。その問題の排除のためにこの特許において種々の方法及び装置が開示されているが、その解決法の1つは、バケットダブテールのフランジ上の摩擦発生表面を、シャフト外径から半径方向外側寄りに設置することである。このようにして、発生した熱はロータから隔絶され、ロータが反りを生じる傾向が排除される。
【0005】
この特許の設計及び他の設計は、ブラシシールのバックアップとしてダイアフラムウェブの内側に従来型のラビリンス式パッキンシールを使用する。これらのラビリンスシールは、シャフトの外径に直接隣接して設置される。しかしながら、ブラシシールは、磨耗及び破壊を受けやすい。例えばこの特許の設計のようなシャフトから外側に間隔を置いて配置されたブラシシールが破損した場合、シール部の直径位置がダブテールプラットフォームからロータシャフトに変化する。このことは、次に、シャフトにかかる圧力分布及びロータにかかる軸方向のスラスト力を悪い方に変化させる。従って、ロータの動的制約が、ブラシシールが使用できるステージ数を制限し、そのようなシールの代わりにラビリンス式シール歯が使用されるときは、2次損失が増加するためセクション効率が低下する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、ブラシシールと相補的なシール面との間の接触により生じる不均一な熱分布による蒸気タービンロータの熱による反りの問題のみならず、ブラシシールが破損した場合にロータベアリングにかかる軸方向のスラスト力の問題をも排除又は最小化する、蒸気タービンのためのシールシステムを提供する必要性が存在する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の好ましい実施形態によると、不均一な熱分布によるロータの熱による反りを排除するように、回転構成部品のシャフトの外径又は表面から半径方向外側に設置されたブラシシールが提供される。ブラシシールは、ブラシシールが破損した場合におけるスラスト荷重を排除するために、実質的に同じ半径方向位置にあるラビリンスシールと組合せて使用される。具体的には、タービンバケットを支持する、軸方向に間隔を置いて配置され隣り合うロータホイール間でロータの周りにプラットフォームが形成され、このプラットフォームはロータの表面から半径方向外向きに突出する。好ましい実施形態において、プラットフォームは、環状のペデスタルの形態であり、該ペデスタルは、軸方向に縮小された頚部とプラットフォームの半径方向外側端に少なくとも1つのまた好ましくは一対の軸方向に延びるフランジとを有する。1つ又はそれ以上のフランジが、ペデスタルの頚部から軸方向に事実上片持ち状態で延びており、ブラシシールのプラットフォーム表面上への摩擦接触により発生する熱を、ロータの動的特性に影響を与える前に放散させることを可能にする1つ又はそれ以上のフィンとして機能する。このように、このプラットフォームの形状は十分な面積を可能にし、熱を局所的に放散させるフランジ又はフィンを形成してロータ振動に与える影響を緩和し、従って、蒸気タービンの全てのセクション段への同様のブラシシールの使用を可能にする。片持ち状態のフランジ又はフィンは、該フランジ又はフィンとロータ表面との半径方向の間、すなわちホイールスペース内に空隙を形成し、これにより、プラットフォームのシール面へのブラシシールの接触によって発生した摩擦熱は、ロータの熱的動特性に何らかの影響を与える前に、最初に軸方向に次いで半径方向に放散される。この熱の放散は、摩擦で発生した熱に対するロータの熱応答を最小化又は排除するのに十分である。
【0008】
隣り合うホイールの間のダイアフラムは、ホイールスペース内に半径方向内向きに延びるウェブを有し、ブラシシールのみならず1つのまた好ましくは複数のラビリンスシール歯を支持する。ラビリンスシール歯は、プラットフォームの表面から間隔を置いて配置された先細の端縁で終り、好ましくはブラシシールに対するバックアップシールとして働く。従って、ラビリンス歯は、ブラシシールの下流側に設置されるのが好ましい。ブラシシールが破損した場合、このラビリンス歯が性能低下を制限する。しかしながら、ブラシシールは、ラビリンスシール歯の下流側あるいはラビリンスシール歯の中間に設置されることができる。また、ダイアフラムの空洞すなわちホイールスペース内に全体的に露出されたペデスタルの上流側及び下流側の区域は実質的に等しいので、ラビリンスシールを通過する漏洩流により正味の軸方向スラストは発生しない。
【0009】
本発明による好ましい実施形態において、蒸気タービンが提供され、該蒸気タービンは、ロータシャフト表面を有するロータシャフトを含む回転構成部品及び該回転構成部品の周りの非回転構成部品と、回転構成部品にシール係合するように非回転構成部品により支持されたブラシシールと、軸方向に互いに間隔を置いて配置された、回転構成部品上の少なくとも一対のホイールとを含み、回転構成部品が、ホイール上に円周方向に互いに間隔を置いて配置された複数のバケットを含み、それによって回転構成部品の反りを排除又は最小化するために、ブラシシールと回転構成部品との間の摩擦接触により発生した熱に起因するロータシャフト表面への円周方向に不均一な熱伝達を防止する手段を設け、該防止する手段が、ホイール間の軸方向位置においてロータシャフト表面から半径方向外向きに突出する環状のプラットフォームを含み、ブラシシールが、ホイール上のバケット間に位置し、ロータシャフト表面から半径方向外側のプラットフォーム上のシール面に係合する。
【0010】
本発明による別の好ましい実施形態においては、ロータシャフト表面を有するロータシャフトを備える回転構成部品と、蒸気漏洩流路に沿って回転構成部品とシール係合するためのブラシシールを支持する、回転構成部品の周りの非回転構成部品とを有する蒸気タービンにおいて、ブラシシールと回転構成部品との間の摩擦接触により発生する熱に起因する、回転構成部品の周りの円周方向に不均一な熱分布から生じるロータシャフトの反りを実質的に排除する方法が提供され、該方法は、回転構成部品とブラシシールとの間の摩擦接触により発生する熱に起因する回転構成部品への円周方向に不均一な熱伝達を、回転構成部品とブラシシールとの間の摩擦接触の区域を、ロータシャフト表面から半径方向外側に間隔を置いて配置されかつ該ロータシャフト表面及び該ロータシャフト表面との間のホイールスペース部分と半径方向に整合したシール面に沿って設置することにより防止することを含む。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、例えばロータ又はシャフト12のような回転構成部品11を有する、全体を符号10で表す蒸気タービンが示されており、該回転構成部品11は、バケット16を取付けるための軸方向に間隔を置いて配置された複数のホイール14を支持する。一連のノズル隔壁18が各バケットの間に配置され、バケット16と共に矢印20で示す蒸気流路を形成する。各隔壁は、タービンの各段のホイール14間で延びるダイアフラムの内側ウェブ22に取付けられ、ウェブ及び隔壁は全体で固定構成部品17を形成する。ロータ12は、連続した中実の細長い金属部品であることが分かるであろう。
【0012】
前述のように、ブラシシールは、ロータに沿った位置、即ち蒸気タービンの固定構成部品と回転構成部品との間の種々の位置においてシールを形成するために使用されてきた。本発明の好ましい実施形態によると、ブラシシールは、該ブラシシールの剛毛先端とロータとの間の摩擦接触に起因するロータの周りの不均一な熱の分布を防止するように、ロータ12の外側表面24から半径方向外側の位置において、それぞれ固定構成部品17と回転構成部品11との間に設けられる。ブラシシールは、図2に矢印19で表す、蒸気流路20からの漏洩流路に沿ってシールする。ブラシシール自体は、従来型構造のものでよい。例えば、図2に最もよく示されているように、ブラシシール26は、ロータの周りで円周方向に延びる一対のプレート30及び32の間に配置された、複数の好ましくは金属製の剛毛28を含む。本発明の好ましい実施形態におけるブラシシール26は、ウェブの前方部分、すなわち漏洩蒸気流19の方向に対して上流側部分に沿ってウェブ22に形成された環状溝内に設置されかつ該環状溝内に保持される。ブラシシールの剛毛28は、ロータの回転軸線の周りで該ロータの半径に対して傾斜した角度で延び、回転構成部品に係合して該回転構成部品と共にシールを形成する先端38を有する。
【0013】
剛毛28の先端38と回転構成部品のシール面との間の摩擦接触に起因するロータの周りでの不均一な熱分布を防止するために、ロータ12は、ロータ表面24から半径方向外向きにかつ多くのロータ段の隣り合うホイール間に突出するプラットフォーム40を支持する。具体的には、プラットフォーム40は、環状の半径方向に延びるペデスタル42を含み、該ペデスタル42は、頚部44と、少なくとも1つのまた好ましくは一対の軸方向に延びる環状のフランジ又はフィン46とを有する。図2に具体的に示すように、フランジ又はフィン46は、縮小した頚部42から軸方向に片持ち状態で延びており、従ってホイール14間のホイールスペースの1部と半径方向に整合している。プラットフォーム40の外側表面と、特に剛毛28の先端と半径方向に整合する上流側の環状の外側表面50とは、剛毛先端38との接触シール面として機能する。従って、そのような摩擦接触により熱が発生する、剛毛28の先端38と回転構成部品との間の接触面は、ロータ表面24から軸方向及び半径方向の両方向に間隔を置いて設置される。その結果、そのような摩擦接触により発生した熱は、最初にプラットフォームの中央部に向かって軸方向に放散され、次いでプラットフォーム40の頚部42に沿って半径方向内向きに放散される。従って、発生した摩擦熱は、この経路に沿って放散される。すなわち、プラットフォームは熱を局所的に放散するように構成され、かつ熱を局所的に放散するのに十分な面積を有し、従って、プラットフォーム40のシール面へのブラシシールの接触により生ずる熱の影響に対するロータのいかなる熱的応答も最小化又は排除される。
【0014】
1つ又はそれ以上のラビリンスシール歯60もまた、プラットフォーム40の周りに1つ又はそれ以上の環状配列でウェブ22により支持される。ラビリンスシール歯60はその軸方向内端縁に沿って先細になっており、またプラットフォーム40の表面から最小距離だけ間隔を置いており、ラビリンス式シールがもたらされる、すなわち、ブラシシールを通過して流出するあらゆる蒸気漏洩流に対してそれ以上漏洩させないための屈曲した経路が与えられる。ラビリンスシール歯は、ブラシシールを通過するあらゆる漏洩流の下流側に設置され、従ってブラシシールのためのバックアップシールとして役立つのが好ましい。ブラシシールとラビリンスシール歯は実質的に同じ直径上に設置されるので、ブラシシールの破損により生じる軸方向のロータスラストは実質的に排除される。
【0015】
本発明を、現在最も実用的で好ましい実施形態として考えられるものに関して説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に限定されるものではなく、また、特許請求の範囲に記載された符号は理解を助けるためのものであって、技術的範囲を狭めるものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 タービンシャフトに沿ったタービンバケット及びダイアフラムとブラシ/ラビリンス組合せシールとを示す、蒸気タービンの1部分の概略断面図。
【図2】 隣り合うバケット間のホイールスペース内の半径方向に突出するプラットフォームに係合するブラシ及びラビリンス組合せシールを示す拡大部分断面図。
【符号の説明】
10 蒸気タービン
11 回転構成部品
12 ロータ
14 ホイール
16 バケット
17 固定構成部品
18 ノズル隔壁
20 蒸気流路
22 ウェブ
24 ロータ表面
26 ブラシシール
28 ブラシシールの剛毛
40 プラットフォーム
60 ラビリンスシール歯

Claims (8)

  1. ロータシャフト表面を有するロータシャフト(12)を含む回転構成部品及び該回転構成部品の周りの非回転構成部品(17)と、
    前記回転構成部品にシール係合するように前記非回転構成部品により支持されたブラシシール(26)と、
    軸方向に互いに間隔を置いて配置された、前記回転構成部品上の少なくとも一対のホイール(14)と、
    を含み、
    前記回転構成部品が、前記ホイール上に円周方向に互いに間隔を置いて配置された複数のバケットを含み、
    それによって前記回転構成部品の反りを排除又は最小化するために、前記ブラシシールと前記回転構成部品との間の摩擦接触により発生した熱に起因するロータシャフト表面への円周方向に不均一な熱伝達を防止する手段(40、46)を設け、
    該防止する手段が、前記ホイール間の軸方向位置において前記ロータシャフト表面から半径方向外向きに突出する環状のプラットフォーム(40)を含み、
    前記ブラシシールが、前記ホイール上の前記バケット間に位置し、前記ロータシャフト表面から半径方向外側の前記プラットフォーム上のシール面に係合し、
    前記非回転構成部品と前記プラットフォームとの間を延び、かつ前記ブラシシールから軸方向に間隔を置いて配置されたラビリンスシール歯(60)を含むことを特徴とする蒸気タービン。
  2. 前記回転構成部品及び前記非回転構成部品がそれらの間に蒸気漏洩流路(19)を形成しており、前記ブラシシールが前記蒸気漏洩流路において前記ラビリンスシール歯の上流側に設置されることを特徴とする、請求項1に記載のタービン。
  3. 前記プラットフォームが、頚部(44)と前記ホイールの1つに向かって前記頚部から離れるように軸方向に延びる少なくとも1つのフランジ(46)とを有する環状に延びるペデスタル(42)を含み、前記シール面が前記プラットフォームのフランジ上に設置されることを特徴とする、請求項1に記載のタービン。
  4. 前記非回転構成部品と前記プラットフォームとの間を延び、かつ前記ブラシシールから軸方向に間隔を置いて配置されたラビリンスシール歯(60)を含み、前記回転構成部品及び前記非回転構成部品がそれらの間に蒸気漏洩流路(19)を形成しており、前記ブラシシールが前記蒸気漏洩流路において前記ラビリンスシール歯の上流側に設置されることを特徴とする、請求項3に記載のタービン。
  5. 前記非回転構成部品が、前記プラットフォームから半径方向外側に間隔を置いて配置され該プラットフォームと半径方向に整合した内側ウェブ(22)を備えるダイアフラムを有し、前記ブラシシールが前記ウェブから延び前記プラットフォーム上の前記シール面(50)に係合することを特徴とする、請求項3に記載のタービン。
  6. 前記ウェブから延び前記プラットフォームから半径方向に間隔を置いて配置された歯先端で終るラビリンスシール歯(60)を含み、該ラビリンスシール歯が前記ブラシシールから軸方向に間隔を置いて配置され、前記回転構成部品及び前記非回転構成部品がそれらの間に蒸気漏洩流路を形成しており、前記ブラシシールが前記蒸気漏洩流路において前記ラビリンスシール歯の上流側に設置されることを特徴とする、請求項5に記載のタービン。
  7. 前記プラットフォームが、前記回転構成部品の周りに環状に延びるペデスタル(42)を含み、該ペデスタルが、半径方向に延びる頚部(44)と該頚部から前記ホイールに向かってそれぞれ両軸方向に延びる一対のフランジ(46)とを有し、前記シール面が前記フランジの1つの上に設置されることを特徴とする、請求項1に記載のタービン。
  8. ロータシャフト表面を有するロータシャフト(12)を備える回転構成部品と、蒸気漏洩流路(19)に沿って前記回転構成部品とシール係合するためのブラシシール(26)及び該ブラシシールから軸方向に間隔を置いて配置されたラビリンスシール歯(60)を支持する、前記回転構成部品の周りの非回転構成部品とを有する蒸気タービンにおいて、前記ブラシシールと前記回転構成部品との間の摩擦接触により発生する熱に起因する、前記回転構成部品の周りの円周方向に不均一な熱分布から生じるロータシャフトの反りを実質的に排除する方法であって、
    前記回転構成部品と前記ブラシシールとの間の摩擦接触により発生する熱に起因する前記回転構成部品への円周方向に不均一な熱伝達を、前記ブラシシール及びラビリンスシール歯との間でそれぞれ摩擦接触及びラビリンス式シールを形成する前記回転構成部品の区域を、前記ロータシャフト表面から半径方向外側に間隔を置いて配置されかつ該ロータシャフト表面との間のホイールスペース部分(48)と半径方向に整合したシール面(50)に沿って設置することにより防止する段階、
    を含むことを特徴とする方法。
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