JP4314415B2 - 消臭シート材 - Google Patents
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Description
【従来の技術】
それぞれ対象臭気の異なる消臭有効成分が含浸された単体を複数組み合わせて種々の悪臭を除去することが、特公平2−22673号公報に開示されている。また2枚の通気性シート状物間に乾留竹粉末と活性炭の混合粉末を保持した消臭体に関して特開平8ー281042号公報に、消臭剤含浸シートと活性炭を組み合わせて使用して悪臭をとる技術が特開平8ー266388号公報に開示されている。しかしこれらの技術は、それぞれ長所もあるが以下に詳述するような欠点も有している。その他にも消臭のための一般的な方法として、悪臭物質を酸化分解させたり、特定の悪臭に対して効果のある薬剤を使用してさまざまな工夫がなされてきたが、酸化されにくい物質があったり、多数の種類の薬剤を必要とするなど汎用できるものが殆ど無かった。
【0002】
上記先行技術のうち、対象臭気の異なる消臭有効成分が含浸された単体を複数組み合わせて種々の悪臭を除去する方法では、対象の臭気が多種にわたる場合には消臭有効成分の選択が難しく、また組み合わせて使用する消臭成分がお互いに打ち消しあって効果を損なったり或いは効果を減少させることを防ぐための配慮が必要である。
【0003】
活性炭添着ウレタンシートと消臭剤含浸活性炭添着ウレタンシートを使用したフィルターは、活性炭の性能と活性炭に含浸させた消臭剤の機能に限定されるうえ、活性炭に含浸させる消臭剤の分量だけ活性炭が本来持っている能力が低下する。
【0004】
2枚のシート状物間に乾留竹粉末と活性炭の混合粉末を保持した消臭体に関して特開平8ー281042号公報に開示されている技術では、消臭機能を有するものとして活性炭粉末と乾留竹末を用いて、融着ホットメルト剤を解して2枚のシートを一体化している。しかし活性炭粉末と乾留竹末を、シート状物から離脱しない程度にシート状物に保持させたものであって、柔軟性を考慮してドット状に接着しているから、2枚のシートが全く接触しないようにすることは考慮されていない。特開平8ー266388号公報に開示されている消臭剤含浸シートと活性炭を組み合わせて使用して悪臭をとる技術もまた、2枚のシートが接触しないようにすると言うことには、全く考慮がなされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこれらの欠点を改良した消臭シートであって、接触するとお互いにそれぞれの消臭機能を打ち消しあう2枚の通気性シートを用いて、種々の異なる臭いに対して各層が、それぞれの層が有する消臭機能を、お互いに阻害することが無く且つ最大限にそれぞれの機能が発揮される様にした、優れた消臭シートを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は, 接触するとお互いにそれぞれの消臭機能を打ち消しあう2枚の通気性シートを積層して、1枚のシートにして使用するにあたって、それぞれの消臭シートの機能を損なうこと無く発揮させる為に、一定量以上の活性炭とホットメルト樹脂を混合した層を、使用する2枚のシートの間に設けることによって解決したものであって、2枚のシートに挟まれる活性炭層の消臭機能も同量の活性炭を使用した従来法による消臭シートよりも幅広い悪臭ガスに対して消臭機能が向上した消臭シートを提供するにいたったものである。
【0007】
すなわち従来から知られている類似の消臭シートでは、機能を打ち消し合うようなシートを複数枚積層して使用しようとしても、隣り合うシートの有する機能が完全に干渉し合わない積層方法が見出されてなかったが、本発明者らは種々実験を繰り返して、活性炭粒子とホットメルト樹脂の配合比と総使用量を限定し、また活性炭及びホットメルト樹脂の粒子径を一定以上のものを選ぶことによって、初めて隣り合うシートの機能をお互いに打ち消し合わず、且つ挟みこむ層を形成する活性炭の機能も最大限に引き出すことを可能にしたものである。
【0008】
本発明に用いる消臭機能を有するシートの基材は、通気性を有するシート状物すなわち紙、織物、編物、不織布などであって、その材質も天然繊維、半合成繊維、合成繊維など特に限定する必要は無く、また有孔樹脂フィルムも使用可能である。
【0009】
これらの基材に塩基性ガス消臭シートは、アクリル酸系やマレイン酸系などのカルボキシル基を有するものや、無機酸塩やフェノール基等のカチオン性基を有する化学消臭剤などの、塩基性ガス用消臭剤を0,5g/m2〜10g/m2付着させた消臭シートを用いる。
【0010】
この塩基性ガス消臭シートと積層するアルデヒドなどの中性ガス消臭シートとしては、アミノ基を有するアミン化合物やアゾ化合物などのアニオン性基を有する化学消臭剤を前記基材に付着させたものを用いる。
【0011】
用いる活性炭は、比表面積が数100m2/g〜1,500m2/gの椰子ガラ・タールを原料とするものが好ましく、粒径は200μm〜2,000μmのものを用いるが、より好ましくは250μm〜850μmのものを用いる。200μm以下の粒径では基材表面の凹凸や、活性炭層を形成する活性炭の厚さ等の各種要素によって、活性炭層を挟む両側を形成するシート同士が直接接触するケースが起こり得る。付着量にバラツキを生じる恐れのある方法では、250μm以上の粒径を使用する。また粒径が2,000μm以上になると、表面に出る粒子の凹凸状態が残って基材を破るなどの不具合につながりやすい。特殊な方法を用いること無く極一般的な方法による加工上の問題を考慮すると、上限値は850μm以下であることがより好ましい。
【0012】
活性炭層を形成するために用いるホットメルト樹脂は、ポリエチレン系、酢酸ビニル系、ポリアミド系など従来から知られているもので良く、特に限定するものではないが、基材に使用する素材の融点よりも低い融点のものを選べば良い。また使用するホットメルト樹脂の粒径は、50μm〜2,000μmのものが使用可能であるが、より好ましくは250μm〜1,700μmのものを用いる。これは、50μm以下の粒径では活性炭の粒径とのバランスが悪くなり、混合や分散がうまく行かない場合が多く、基材を突き抜けて裏漏れし易くなるので、そのままでは活性炭の固着に支障をきたすから、基材に特殊なものを選択する必要が生じる。2,000μm以上では、溶融加熱のためのエネルギー負荷が大きくなるだけ出なく、剛性が高くなるなど各種の物性も問題となるからである。
【0013】
活性炭とホットメルト樹脂の配合比率は、重量比で1/2〜2/1とする。この範囲を超えて活性炭量を増やすとシートの一体化に影響して剥離や部分的な膨れなどの影響が出、また活性炭の脱離が起こったりする。反対にホットメルト樹脂の比率がこの範囲を超えて増えると、シートの風合いが硬くなり、また通気性も損なわれて実用的ではない。
【0014】
活性炭とホットメルト樹脂混合物層は、シートに対して150g/m2〜500g/m2で塗布する。下限値は、使用する活性炭の消臭効果を保ちながら挟みこむシートが接触せず、且つシートそれぞれの持つ消臭機能をも十分に発揮させるために必要な量であり、上限値も通気性を損なうこと無く風合いが硬化するのを防ぐためにはこれを超えることは好ましくない。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の消臭シート材は基本構造として、2枚の異なる消臭機能を有するシートのいかなる部分も直接接触しないように、2枚のシートの間に活性炭とホットメルト樹脂の混合物層を設けて、3層構造とするものである。もちろん本発明の応用として、更に複数層を重ねることは何ら差し支えは無い。
【0016】
本発明に用いるシート材は、基材に消臭材を保持させたものであって、それぞれのシート材を構成する材質または保持する消臭材が、お互いに接触した場合にはそれぞれの機能を打ち消し合うものに適用する。このために2枚のシート間に挟む活性炭層を工夫したものであって、活性炭の消臭性能を活かしたまま2枚の消臭材の性能も十分発揮させるために、使用する活性炭とホットメルト樹脂との混合物層の量を150g/m2〜500g/m2の(活性炭量は50g/m2〜約330g/m2)とし、また使用する粒子の径を規制することによって本発明を為し得たものである。
【0017】
製法は特に限定するものではないが、たとえば以下のような方法によって簡単に得ることができる。即ち予め用意した消臭機能を有する1枚のシート上に、タンブラー型などの通常使用されているような混合機にて活性炭とホットメルト樹脂を混合した後、混合粉体を振り落として散布した後もう1枚の消臭シートをかぶせて後、加熱・プレスして積層一体化することによって得られる。
【0018】
【実施例1〜3】
目付け30g/m2のポリエステル不織布に下記配合の消臭剤をそれぞれ含浸させ、どちらもピック・アップ量が約20g/m2になるようにマングルにて絞って後乾燥し、塩基性ガス消臭シートと中性ガス消臭シートを作成した。
配合1
クエン酸30%水溶液 100重量部
アクリルエマルジョン(NV50%) 30重量部
配合2
尿素(50%水溶液) 100重量部
アクリルエマルジョン(NV50%) 50重量部
次いで表1に示す粒度の椰子殻活性炭と、表1に示す粒度で融点97℃のEVA系接着剤を、重量比で表1の配合比になるように混合したものを、先に得られた塩基性ガス消臭シート上に、付着量が同別表に示すごとく均一に散布した。このシートを110℃で20秒加熱後、用意した中性ガス消臭シートを重ねてプレスし、消臭積層シート材を得た。
【0019】
【比較例1】
実施例に使用した目付け30g/m2のポリエステル不織布を、消臭剤の含浸加工をせずにそのまま2枚用いて、実施例1と同様に粒度表1に記載の椰子殻活性炭と同じく表1に記載の融点97℃のEVA系接着剤を、重量比でそれぞれ表1に記載したごとくに混合したものを、目付け30g/m2のポリエステル不織布を、消臭剤の含浸加工をせずにそのまま用いてこの上に、付着量が150g/m2になるように均一に散布した。このシートを110℃下で20秒加熱後、用意した別の目付け30g/m2のポリエステル不織布を重ねてプレスし、消臭積層シート材を得た。
【0020】
【比較例2〜8】
実施例1と同様に塩基性ガスと中性ガス消臭シートを作成した後、実施例で用いた活性炭とホットメルト樹脂混合粉体を表1に記載したごとくに均一に散布した。このシートを110℃で20秒加熱後、用意した中性ガス消臭シートを重ねてプレスし、消臭積層シート材を得た。
【表1】
【0021】
以上の実施例及び比較例の通気度、消臭性能を以下の方法にて測定した。
60cm四方の総容量2161のチャンバーボックスに、A−4サイズにカットした試料を入れる。消臭性能測定には、酸性ガスの測定には酢酸を、塩基性ガスの測定にはアンモニアを、又中性ガスの測定にはアセトアルデヒドを用いて、それそれのガスが初期濃度を30ppmになるように注入し、注入後15分、30分、60分後の残存濃度をガステック検知管にて測定した。結果を表2〜4に示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【0022】
次に上記の表をグラフにて示す。図1には酢酸ガスの測定結果を、図2にはアンモニアガスの測定結果を、図3にはアルデヒドガスの測定結果を示す。
【図1】
【図2】
【図3】
【発明の効果】
本発明は、複数種類の臭いを効率良く吸収する消臭シート材であって、それぞれの機能を互いに打ち消し合うシートを用いて、それぞれの持つ機能を損なうこと無く十分にその消臭機能を発揮させることができる実用性の高い消臭シート材を提供する。
【図面の簡単な説明】
図1は酢酸ガスの測定結果を、図2はアンモニアガスの測定結果を、図3はアルデヒドガスの測定結果をグラフにて示したものである。
Claims (1)
- 消臭機能を有する2枚の通気性シートの間に活性炭粒子層を有するシートにおいて、消臭機能を有する2枚のシート同士が活性炭粒子層を挟むことで直接接触しないように構成し、消臭機能を有する通気性シートは、1枚のシートがアミノ基等のアニオン性基を有する消臭剤を含浸した通気性シートであり、もう1枚のシートはカルボキシル基、フェノール基などのカチオン性基を有する消臭剤を含浸した通気性シートであり、活性炭粒子層が、粒子径200μm以上2,000μm以下の活性炭と粒子径50μm以上2,000μm以下のホットメルト樹脂を、1/2〜2/1の重量比で混合し、混合物を150g/m2〜500g/m2となるように散布したことを特徴とする消臭シート材。
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