JP4312935B2 - 厨房コーナーの収納装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、システムキッチンなどのコーナー部に配置して利用する厨房コーナーの収納装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
台所の入り隅を含むようにL型にシステムキッチン等のベースキャビネットを配置する場合、一般的には入り隅に配置するほぼ平面方形のコーナーキャビネット内部に複数段の回転棚を設け、キャビネット前面の幅狭の開口部から物品を出し入れする手段が採用されている。
また、回転棚ではスペースの有効活用には程遠いので、出し入れ自在な収納ワゴンを縦長長方形状の開口部から内部に納めるようにしたものも提案されている。その具体例の一部を公報から抽出すると、実開昭52−109930号公報、実開昭56−92526号公報、実開昭56−92529号公報、実公昭61−3387号公報、特開昭58−190406号公報、実開平3−13839号公報などがある。
しかし、厨房用コーナーキャビネットの両側には、互いに直角方向となるよう別途ベースキャビネットを繋げるので、間口が縦長長方形となり、ここから出し入れ自在とする移動ワゴンは厨房用コーナーキャビネット内のスペース全てを収納スペースとすることができず、移動ワゴンの左右には三角柱状のデッドスペースが残ることになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このスペースの活用を図るために、複数段の棚板を設けること(実開56−92526号公報、実開昭56−92529号公報、実公昭61−3387号公報)が提案されている。
しかし、開口部が狭く、奥行きが広いので内部への収納物の出し入れが面倒であり、かつ、姿勢を低くする必要があって敬遠しがちになるものであった。
これを解消するために、実開平3−13839号公報では、三角トレイを開口部となる手前側で回転自在に軸止するものとしている。
それでも、引き出す際に手を奥に入れて三角トレイを掴み回転させないと重くて引き出し難く、無理な姿勢を要求されることになる。加えて、縦長長方形状の開口幅よりも短い長辺の三角トレーでないと使えないので開口幅を広くする必要があり、広くしても奥にデッドスペースが残ることが避けられなかった。
【0004】
また近時は、図7に示すように、シンクS及び加熱器Gを設けるテーブルトップTを被せるキッチンキャビネットKの、内部の収納部を台輪部を含めて全て引き出し30とした商品が開発され、この商品に適した意匠を有する製造のし易いコーナーの収納装置が求められていた。
とりわけ、コーナーの収納装置は、図2に示すように前面板がL形をなすことが多いため、左右に配置される最下段の引き出しの前面板との意匠合わせは、素材の選択や加工手段が複雑かつ面倒なことになっていた。
具体的には、出願人の図7の商品の場合には、最下段の引き出し前面板にアルミニウムの成形材料を用いているが、コーナーの収納装置のL形の前面板を意匠合わせするためには、同一色、同一素材、同一形状の加工を行い、貼り合せたり曲げたりする必要があった。
最下段の引き出しの前面板はZ形をなし、上部と蹴込となる下部を別部材で構成すると接合手段が難しいことになっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、従来のこのような不都合を解消すべく開発したもので、請求項1の発明の要旨とするのは、台所の入り隅に配置する厨房コーナーの収納装置であって、入り隅と対向する箇所に開口部を設けるようにし、開口部からコーナーの奥に向かって、車輪を備え前面板にて開口部を塞ぐようにした移動ワゴンを出し入れ自在に設け、移動ワゴンの両側に形成される三角柱状空間を埋める車輪を備えたスライド収納ラックを案内レールにより開口部から出し入れ自在でかつ取り外し自在に設けるようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
請求項2の発明は、移動ワゴンの前面板を、蹴込を凹ませてブロー成形にて一体に構成したことを特徴とするものである。
請求項3の発明は、移動ワゴンの前面板の背面に、棚板の係止部を設けるようにしたことを特徴とするものである。
請求項4の発明は、移動ワゴンの前面板の形態、色彩を隣接または連結する厨房家具に合わせたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態に即してこの発明に係る厨房コーナーの収納装置1について説明する。
図1は厨房コーナーの収納装置1の天板を外した使用状態の斜視図であり、図2は同じく天板を外した状態の平面図、図3も天板を除いた使用状態の平面図、図4は台所での使用状態を示す斜視図である。
【0008】
この厨房コーナーの収納装置1の天板はL形に成形した人工大理石やステンレス鋼板などの適宜な素材からなるものを被せて適宜手段により繋げるものであり、また、夫々のキャビネット同士も図示しないがボルトナットなどの締結手段にて繋げるようにする。
そこで、この厨房コーナーの収納装置1は入り隅の壁面の沿う背面板11、11と側面板12、12とからなるもので、側面板12、12の下端部で詳細な図示は省略するが、蹴込に対応する切欠を設けるようにしてある。
また、平面L形の天板をもって厨房家具を構成する場合には、コーナーキャビネットとしては上面が開くので、詳細な図示は省略するが背面板11と側面板12との直交する部分を繋ぎ補強する斜め部材を渡すようにする。
【0009】
厨房コーナーの収納装置1内には、開口部14からコーナーの奥に向かって移動ワゴン2を出し入れ自在に設け、移動ワゴン2の両側の三角柱状空間を埋める車輪を備えたスライド収納ラック3、3を厨房コーナーの収納装置1の側面板12、12との間に配した案内レール4により側面板12と並行に出し入れ自在でかつ取り外し自在に設けるようにしてある。
【0010】
移動ワゴン2は、底面にキャスター21を備え、前面板22は開口部14を塞ぐ形態であって、左右のベースキャビネットと形態、色彩を合わせ、背面の形状は厨房コーナーの収納装置1の入り隅に合致するよう山形に突出させている。前面板22の背面には、転び止め枠を周縁に巡らせた上下二枚の棚板23、23を設けている。
図示の例では前面はL形に凹ませて背面の突起と対応するような形態としているが、側面板12、12により構成される開口部14を最短距離で塞ぐ平板状としても良い。
【0011】
スライド収納ラック3、3は、移動ワゴン2により満たされる厨房コーナーの収納装置1内の左右の三角柱状の空間を満たすもので、平面二等辺三角形状をなす金属線を屈曲してなる籠体を上下に複数段設けて形成してあり、底面には車輪を設けるようにしてある。
側面板12とスライド収納ラック3の間には互いに嵌り合ってスライド自在な案内レール4を介して繋ぐようにしてあり、スライド収納ラック3が側面板12に沿って開口部14に向かってスライドして引き出されるようになっている。
さらに、スライド収納ラック3は、そのまま厨房コーナーの収納装置1内から抜き出すことができるようになっている。
【0012】
図4a、bは台所での使用状態をあらわすもので、aは移動ワゴン2を過半引き出して、上部の棚板に皿を並べている状態を示し、調理済の料理の仮り置き台として用いている様子を示す。
bは移動ワゴン2を厨房コーナーの収納装置より完全に抜き出して傍らに置き、スライド収納ラック3を側面板12に沿って引き出している様子で、このスライド収納ラック3には買い置きの瓶詰、缶詰の調味料や食品を保管しておくのに好適である。
【0013】
図5、図6は移動ワゴン2の別の実施の形態を示すもので、基本的には前面板22及び棚板23、23をプラスチックのブロー成形品にて構成したもので、全体として軽量なものとできる。
この移動ワゴン2の前面板22の背面には棚板23の係合部22aを設けることで棚板23を取り付け固定する場合に作業性がよくなるようにしている。図示の係合部22aは突起の上縁で棚板23の前縁を乗せ掛けビス止めし易くなっている。係合部22aの形態はこれに限らず凹部など棚板23の形態との関係で適宜の形状とすることができる。
図示しないが、スライド収納ラック3、3もプラスチックのブロー成形品にて構成するようにしてもよい。
【0014】
木製とすると、移動ワゴン2の前面板22は、必要に応じて化粧紙を貼り付けたり、蹴込部分を構成するために互いに直角に張り合せたり、蹴込を黒色に塗装するなどしてベースキャビネットとの意匠合わせをすることになる。
また、扉によって内部を収納スペースとした従来のタイプに代えて、図7のように引き出しを収納の基本とした最近のタイプの厨房家具では、引き出しの前板をアルミニウムなどの金属板で構成することがあるが、この場合は移動ワゴン2の前面板22には同一素材のアルミニウム材を使用しなければならない。しかし、プラスチックの一体成形品とすることで、複雑な形態を効率よく大量生産できることになり、原料樹脂に染料或いは顔料を入れたり、成形後に色彩を施すことで意匠的な統一を図るのが容易となる。
【0015】
これまで説明した厨房コーナーの収納装置は、独立したコーナキャビネットとしている。しかし、従来隅調理台と称される独立した天板を備えた単体としての厨房家具でもよい。また、平面長方形状をなし、シンクやコンロを備えたベースキャビネットと一体なものとし入り隅を含んで配置するものであって、仕切板により厨房用コーナーの収納装置用の空間を形成しても良い。
さらには、台所の入り隅を開けて、正面からみて縦長長方形状の開口部を設けるよう二つの厨房用キャビネットを配置し、厨房コーナーの収納装置の空間を設けたものであってもよい。この場合夫々の厨房用キャビネットの側板の外面に案内レールを配置することになり、上面は厨房用キャビネットの天板を延長して塞ぐことになる。
またさらには、一のベースキャビネットにて台所の入り隅を開けるように配置し、背面板と側面板のみにて形成した平面L形の部材にて厨房コーナーの収納装置用の空間を設けるようにしてもよい。
【0016】
【発明の効果】
請求項1の発明では、キャビネット内の有効収納面積は80%を越えることになり、従来一般的に採用されている回転棚と比較すると20%以上の収納量アップとなる。
移動ワゴンとスライド収納ラックを組み合わせたことにより、使用頻度・方法に応じた収納を実現できることになる。すなわち、移動ワゴンには使用頻度の高いものを、スライド収納ラックには使用頻度の低いものか買い置き品を収納するように用途に応じた収納を実現できることになる。
移動ワゴンは棚板周囲に転び止め枠を設けておけば、調理の際の移動調味料台としたり、調理済の料理の仮置きに好適な補助台とすることもできる。
移動ワゴンはコーナーキャビネットなどから完全に抜き出して広い箇所で楽な姿勢で、両側から出し入れができることになり、このとき前面板が開口部を塞ぐようになっているので扉はなく、双方のスライド収納ラックは案内レールにより規制され過半を開口部より引き出して収納、取り出しができることになる。
【0017】
清掃、手入れに際しては、移動ワゴンを抜き出し、スライド収納ラックを案内レールから取り外して、厨房コーナーの収納装置内を空にして清掃、手入れができるので、開口部が狭くても内部を清潔に保つことが容易にできることになる。
これに対して従来の回転棚はコーナーキャビネット内に固定されているので棚の上は清掃可能であったが、内底部の清掃手入れが極めて困難であった。
さらに、スライド収納ラックは、基本的には床を移動するので回転式のものと比較して支持点での荷重集中が少なく、コーナーキャビネットの構造を簡略化できることになる。
【0018】
近時、システムキッチン等の厨房家具では、ベースキャビネット内への収納手段として単に観音開きの扉や片開きの扉を設け内底板上を収納スペースとした従来のものに代えて、収納取り出し易さに配慮し引き出しを多用するタイプが浸透しつつある。さらには、収納スペースを増やすため従来デッドスペースとなっていた蹴込の奥、すなわち台輪内をも含むような引き出しを備えたものが提供されている。この発明に係る厨房コーナーの収納装置はこのような引き出し多用タイプのベースキャビネットに好適なものといえる。
なお、移動ワゴン全体或いは前面板をブロー成形による一体成形とすることで、開口を塞ぐ部材を簡単に成形でき、重量も軽く、木質合板などから形成したものと比較しても強度的にも優れたものとなる。特に移動ワゴンの前面板が平面L形をなす場合には製造工程が簡易で容易となる優位性は際立つものである。
さらには、ブロー成形の際に全体としての棚板用の係合部を形成することで部品点数や組立の作業工程の短縮を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 天板を外した使用状態の斜視図である。
【図2】 天板を外した状態の平面図である。
【図3】 同じく天板を外した状態の平面図である。
【図4】 台所での使用状態を示す斜視図である。
【図5】 移動ワゴンの別の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】 移動ワゴンの前面板の背面図である。
【図7】 最近のキッチンキャビネットの斜視図である。
【符号の説明】
1 厨房コーナーの収納装置
11 背面板
12 側面板
14 開口部
2 移動ワゴン
21 キャスター
22 前面板
23 棚板
3 スライド収納ラック
4 案内レール
Claims (4)
- 台所の入り隅に配置する厨房コーナーの収納装置であって、入り隅と対向する箇所に開口部を設けるようにし、開口部からコーナーの奥に向かって、車輪を備え前面板にて開口部を塞ぐようにした移動ワゴンを出し入れ自在に設け、移動ワゴンの両側の形成される三角柱状空間を埋める車輪を備えたスライド収納ラックを、案内レールにより開口部から出し入れ自在でかつ取り外し自在に設けるようにしたことを特徴とする厨房コーナーの収納装置。
- 移動ワゴンの前面板を、蹴込を凹ませてブロー成形にて一体に構成したことを特徴とする請求項1記載の厨房コーナーの収納装置。
- 移動ワゴンの前面板の背面に、棚板の係止部を設けるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の厨房コーナーの収納装置。
- 移動ワゴンの前面板の形態、色彩を隣接または連結する厨房家具に合わせたことを特徴とする請求項1乃至3記載の厨房コーナーの収納装置。
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