JP4310772B2 - 溶融炉への放射性廃棄物投入装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射性雑固体廃棄物を収容した廃棄物投入容器を搬送コンベアから溶融炉上部のダンパまで移動させたうえ、放射性雑固体廃棄物を溶融炉内に投入する溶融炉への放射性廃棄物投入装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所等から発生する金属、保温材やコンクリートのような放射性雑固体廃棄物の処分方法のひとつとして、溶融固化処理方法がある。この処理法は溶融炉内で導電性セラミック製のキャニスタを誘導加熱により1450〜1550℃に加熱し、放射性雑固体廃棄物を溶融したうえガラス状に固化させる方法である。
【0003】
このような溶融炉内のキャニスタへ放射性雑固体廃棄物を投入するために、溶融炉の上部に開閉できるダンパを設けるとともに、開閉可能な底蓋を持つ廃棄物投入容器をこのダンパから溶融炉の内部まで降下させ投入する放射性廃棄物投入装置が用いられている。特許文献1には、廃棄物投入容器を溶融炉の直上位置まで走行台車により移動させた後、昇降装置で廃棄物投入容器をチャックして走行台車から持ち上げ、走行台車を溶融炉の直上位置から戻した後、溶融炉投入ダンパを開いて廃棄物投入容器を炉内に下降させ、その底蓋を開放して放射性雑固体廃棄物をキャニスタに投入する装置が記載されている。
【0004】
ところがこのような従来の放射性廃棄物投入装置は、廃棄物投入容器をチャックして走行台車から一旦上昇させる分だけ、放射性廃棄物投入装置の全高が高くなるという問題があった。すなわち、溶融炉上部のダンパよりも上方に、少なくとも(走行台車の高さ)+(廃棄物投入容器の高さ)+(廃棄物投入容器上昇分の高さ)が必要となる。そのため当然建屋も高くしなければならず、建設コストが高くなるという問題があった。また装置を直線的なレイアウトとしなければならないのでレイアウト上の制約を受け易いという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特公平8−3557号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記したような従来の問題点を解消して、放射性廃棄物投入装置の高さを従来よりも低くすることができ、またレイアウトの自由度を高めることができる溶融炉への廃棄物投入装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を達成するためになされた本発明は、廃棄物投入容器を搬送コンベアから溶融炉投入ダンパまで移動させる移送装置のチャック機構を旋回および昇降動自在とし、該チャック機構の旋回軌跡上に、溶融炉投入ダンパ中心と搬送コンベアの廃棄物投入容器停止位置とを配置するとともに、該溶融炉投入ダンパより下方に、廃棄物投入容器を受け台上に支持して廃棄物投入容器停止位置まで搬送する搬送コンベアを配置し、チャック機構が廃棄物投入容器を受け台から抜き出し、搬送コンベアより上方位置にある溶融炉投入ダンパにぶつからない高さまで上昇させたうえ、溶融炉投入ダンパ上まで旋回移動させる構造としたことを特徴とするものである。なお、放射性廃棄物の投入時に溶融炉投入ダンパを密封するスライド自在なシール筒を、チャック機構に設けた構造とすることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施の形態を図1〜4に基づいて詳細に説明する。
図1において、1は放射性雑固体廃棄物を収容した廃棄物投入容器2を搬送コンベア3から溶融炉4の溶融炉投入ダンパ4aまで移動させるとともに溶融炉4内に装入する移送装置である。移送装置1はベースに軸支立設される回動自在なガイド筒5と、該ガイド筒5に取り付けられて昇降動自在としたブラケット6と、該ブラケット6に取り付けられるチャック機構7とからなるものである。
【0009】
チャック機構7は昇降装置8と前記ガイド筒5を回転させる図示されない回転装置とにより昇降と旋回動が行なわれるようになっており、廃棄物投入容器2の上部をチャックできる構造となっている。またチャック機構7はブラケット6に取り付けられる筒体7aと該筒体7aの先端に取り付けられるチャックとよりなり、この実施形態ではチャック機構7は45°の角度範囲で往復旋回可能となっている。
【0010】
本発明では、チャック機構7の旋回軌跡上に溶融炉投入ダンパ4aの中心と、搬送コンベア3の廃棄物投入容器停止位置とが配置されるようになっている。さらに搬送コンベア3は溶融炉投入ダンパ4aより下方に配置されており、廃棄物投入容器2は従来のような走行台車によらず図示の停止位置まで搬送されてくるようになっている。また前記廃棄物投入容器2は嘴状の底蓋2aを開閉自在として、収容した廃棄物を底部より溶融炉4内のキャニスタに投入できるようになっている。
【0011】
なお、前記チャック機構7の昇降機構8は駆動部8aと該駆動部8aにより巻き上げと巻き戻しが行なわれる図示されないチェンスプロケットと該チェンスプロケットに巻き掛けられるチェンとからなり、該チェンにブラケット6が取り付けられた構造となっている。これにより廃棄物投入容器2を搬送コンベア3から持ち上げるとともに、廃棄物投入容器2を溶融炉4内に降下させることができるようになっている。
【0012】
10はチャック機構7の筒体7aに被套されるシール筒である。シール筒10は溶融炉4に放射性廃棄物を投入する際、図4に示されるように先端開口を当接させて溶融炉投入ダンパ4aを塞ぎ、放射性雑固体廃棄物を投入する際に粉塵等が外部に漏れることがないようにしている。またシール筒10の上部内周面には筒体7aと密接するシール部材が取り付けられて筒体7aとシール筒10間を密封している。さらにシール筒10はガイド筒5に昇降動自在にブラケット8bを介して取り付けられている。
【0013】
また前記シール筒10は図示しない昇降機構により昇降されるものであり、該昇降機構はシール筒10を取り付けるブラケット8bを昇降動させるシリンダよりなる。12は廃棄物投入容器2の受け台であり、該受け台12は底蓋を先尖り形状とした廃棄物投入容器2を立設させて搬送するため搬送コンベア3上で移動できるようになっている。
【0014】
本発明の放射性廃棄物投入装置の作動は以下のとおりである。先ず、搬送コンベア3により搬送されてくる廃棄物投入容器2を搬送コンベア3の終端停止位置で停止させ、移送装置1のチャック機構7を廃棄物投入容器2の上方に位置させる。
【0015】
次に、昇降装置8を作動させて廃棄物投入容器2をチャックできる位置までチャック機構7を下降させる。そしてチャック機構7が廃棄物投入容器2をチャックできる位置に達したら、図1に示されるように昇降装置8を停止させて廃棄物投入容器2の上部をチャックによりチャックする。
【0016】
移送装置1のチャック機構7により廃棄物投入容器2をチャックしたら、図2に示されるように昇降装置8を上昇させて廃棄物投入容器2を受け台12より抜き出すとともに、搬送コンベア3より上方位置にある溶融炉投入ダンパ4aに廃棄物投入容器2の底蓋がぶつからない位置まで上昇させる。そして所定高さまで廃棄物投入容器2が上昇されたらチャック機構7を所定角度回転させ、廃棄物投入容器2を図3に示されるように溶融炉投入ダンパ4a上に位置させる。
【0017】
廃棄物投入容器2が溶融炉投入ダンパ4a上に位置した状態で、ガイド筒5の昇降装置8を作動させてチャック機構7にチャックされた廃棄物投入容器2を溶融炉4内に所定距離降下させる。これと同時にシール筒10の昇降機構を作動してチャック機構7の筒体7aを被套しているシール筒10を下降させ、図4に示されるようにシール筒10の下端を溶融炉投入ダンパ4aの縁に当接させる。そして廃棄物投入容器2の底蓋を開放し、放射性雑固体廃棄物を溶融炉内の1300〜1600℃に加熱されているキャニスタ内に投入する。
【0018】
投入完了後、廃棄物投入容器2の底蓋を閉じたうえ、昇降機構8を作動させてチャック機構7を上昇させる。廃棄物投入容器2が溶融炉投入ダンパ4aから抜き出されたら、回転装置を作動させてガイド筒5を回動させ、チャック機構7を旋回させて搬送コンベア3の受け台12上方に移動させる。その後昇降機構8を作動させてチャック機構7を下降させ、空の廃棄物投入容器2を受け台12に載置立設させる。受け台12に廃棄物投入容器2が載置されたら搬送コンベア3を逆動作させて空の廃棄物投入容器2を旧状に復帰させ、別の廃棄物投入容器2を受け台12に載置させて前記と同様溶融処理工程へ搬送する。
【0019】
このように本発明では溶融炉投入ダンパ4aより下方に搬送コンベア3を設置し、旋回および昇降動自在なチャック機構7により搬送コンベア3上から廃棄物投入容器2を持ち上げて溶融炉投入ダンパ4a上まで旋回させ、炉内に降下させるようにしたものである。このため、従来は溶融炉投入ダンパ4aの上方に(走行台車の高さ)+(廃棄物投入容器の高さ)+(廃棄物投入容器上昇分の高さ)が必要であったのに対して、本発明では溶融炉投入ダンパ4aの上方に(廃棄物投入容器の高さ)を必要とするのみである。このため投入装置の高さを従来よりも低くすることができ、建屋も低くすることができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は前記説明によって明らかなように、従来よりも移送装置の高さを低くすることができ、建屋の高さを抑えることができるので経済的である。また移送装置を水平方向と垂直方向に移動できるようにしたので、装置レイアウトの自由度を大幅に高めることができる。従って、本発明は従来の問題点を解消した溶融炉への放射性廃棄物投入装置として、業界の発展に寄与するところ極めて大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 廃棄物投入容器をチャックした状態を示す斜視図である。
【図2】 廃棄物投入容器を上昇させた状態を示す斜視図である。
【図3】 廃棄物投入容器を溶融炉投入ダンパまで旋回移動させた状態を示す斜視図である。
【図4】 廃棄物投入容器を溶融炉内に降下させるとともにシール筒により溶融炉投入ダンパを密封した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 移送装置、2 廃棄物投入容器、2a 底蓋、3 搬送コンベア、4 溶融炉、4a 溶融炉投入ダンパ、5 ガイド筒、6 ブラケット、7 チャック機構、7a 筒体、8 昇降機構、8a 駆動部、8b ブラケット、10 シール筒、12 受け台

Claims (2)

  1. 廃棄物投入容器を搬送コンベアから溶融炉投入ダンパまで移動させる移送装置のチャック機構を旋回および昇降動自在とし、該チャック機構の旋回軌跡上に、溶融炉投入ダンパ中心と搬送コンベアの廃棄物投入容器停止位置とを配置するとともに、該溶融炉投入ダンパより下方に、廃棄物投入容器を受け台上に支持して廃棄物投入容器停止位置まで搬送する搬送コンベアを配置し、チャック機構が廃棄物投入容器を受け台から抜き出し、搬送コンベアより上方位置にある溶融炉投入ダンパにぶつからない高さまで上昇させたうえ、溶融炉投入ダンパ上まで旋回移動させる構造としたことを特徴とする溶融炉への放射性廃棄物投入装置。
  2. 放射性廃棄物の投入時に溶融炉投入ダンパを密封するスライド自在なシール筒を、チャック機構に設けたことを特徴とする請求項1に記載の溶融炉への放射性廃棄物投入装置。
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