JP4307674B2 - ウェーハの研磨装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨装置に関し、さらに詳細にはウェーハを保持する保持部と、該保持部に保持されたウェーハの被研磨面を研磨する研磨面が形成された定盤とを備え、前記保持部と前記定盤とを相対的に運動させてウェーハの被研磨面を研磨するウェーハの研磨装置に関する。例えば半導体チップ製造用のウェーハの被研磨面(以下、「ウェーハ表面」ともいう)を鏡面研磨するために用いるものがある。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体装置の高集積化が進むに伴い、その基材であるシリコンウェーハ等の平坦度や表面品質のさらなる向上が求められている。また、そのウェーハ表面にデバイスを形成した際の堆積形成された層間絶縁膜や金属配線等の研磨においても、一層高精度に平坦化する要求が高まっている。従って、ウェーハの研磨装置については、ウェーハの被研磨面を一層高精度に鏡面研磨できるものが要求されている。
このため、従来、定盤の研磨面の傾斜等に追従してウェーハ表面を均一に押圧すべく、球座を介し、ウェーハを定盤の研磨面へ加圧する方式が採用された。しかし、この方式では、凹球面に対して凸球面が摺動する構造となり、その作動の際には必ず摩擦力が働くことになる。このように摩擦力が発生する場合は、微妙な傾き変動に対して好適に追従することが難しく、高精度の研磨には好適に対応できない。
これに対して、従来のウェーハの研磨装置には、ウェーハ表面の全面を、定盤の研磨面へ均等な圧力で押圧できるように、ウェーハを保持する保持部にエアバック機能を備えたものがある。
【0003】
そのウェーハの研磨装置にかかる保持部の一例について、図3に基づいて以下に説明する。
図3に示すように、上下方向の軸心を中心に回転(自転)する定盤50上には、研磨布51等が接着されて研磨面52が形成され、その上方に、上下方向の軸心を中心に回転(自転)および上下動可能な保持部60が設けられている。
この保持部60には、下方に向けて開放する凹部62aが設けられたヘッド部材62と、ウェーハ12が保持される保持面を有するウェーハ保持盤64と、外周部66bがヘッド部材62の外周側壁部62bに固定されると共に内周部66aがウェーハ保持盤64の外周部64aに固定されてそのウェーハ保持盤64を上下方向等への移動を微小範囲内で許容可能に吊持する板状の弾性部材66と、ヘッド部材62の内部をウェーハ保持盤64および板状の弾性部材66によって画成して設けられる密閉空間である圧力室65とが設けられている。
【0004】
67はウェーハ吸着用の減圧手段であり、ウェーハ保持盤64の保持面である下面に開口した複数の連通孔67aに管路67bを介して連通している。この減圧手段67により、ウェーハ12をウェーハ保持盤64の保持面に吸着保持できる。
また、68は加圧手段であり、圧力室65へ所定圧力の流体を供給し、ウェーハ保持盤64を介してウェーハ12(ウェーハ表面12a)を定盤50の研磨面52に押圧する。そして、69は圧力室の減圧手段であり、圧力室65を減圧する。
また、ヘッド部材62の内底面から下方へ徐々に縮径するテーパ状突起された一方のテーパ嵌合部70(雄型)と、その一方のテーパ嵌合部70に対面してウェーハ保持盤64上面に設けられ、圧力室の減圧手段69によって圧力室65が減圧された際には吸引されて、一方のテーパ嵌合部70に嵌まるように、その一方のテーパ嵌合部70とは逆のテーパに形成された他方のテーパ嵌合部72(雌型)とを備える。
【0005】
この研磨装置によれば、ウェーハ保持盤64に吸着作用で保持されたウェーハの被研磨面(ウェーハ表面12a)は、ゴム板等から成る板状の弾性部材66のエアバック作用によって、研磨面52の傾斜等に素早く追随できると共に、そのようにウェーハ表面12aが研磨面52の傾斜等に追随した状態においても、ウェーハ表面12a全面を研磨面52に均等な圧力で押圧できる。このため、ウェーハ表面12aを均一且つ好適に鏡面研磨できる。
また、一方のテーパ嵌合部70(雄型)と他方のテーパ嵌合部72(雌型)との嵌合によって、ウェーハ保持盤64を精度良く位置決めしてウェーハ12の貼付精度を向上できるため、ウェーハの研磨精度を向上できると共に、自動化に好適に対応できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
また、上記のウェーハの研磨装置によれば、板状の弾性部材66が、ウェーハ保持盤64に保持されるウェーハ12に接近する位置に配されている。このため、板状の弾性部材66は、ウェーハ保持盤64を重心低く安定的に支持でき、ウェーハ保持盤64が不必要に大きく傾くことを理論的には防止できる。
しかしながら、上記のウェーハの研磨装置では、現実的には、板状の弾性部材66が、一枚の皮膜状に形成されたものであり、ウェーハ保持盤64を確実に安定的に保持することは困難であるという課題があった。
【0007】
これに対しては、板状の弾性部材66をウェーハ保持盤64の上側に配してウェーハ保持盤64を吊持し、ウェーハ保持盤64の下側の外周に、内周で接触してガイドするテフロン製のガイドリング、或いはガイド用O−リングで、ウェーハ保持盤64が不必要に大きく傾くことを防止する構造が提案されている(特開平6−126615号参照)。この構造によれば、ウェーハ保持盤64を、上側で支持して下側で振れを防止することになって、2点で保持することができる。従って、ウェーハ保持盤64を、より安定的に保持することができる。
しかしながら、テフロン製のガイドリング、或いはガイド用O−リングの内周面と、ウェーハ保持盤64の外周面との接触による摩擦抵抗が発生するため、微妙な傾き変動に対して好適に追従することが難しく、高精度の研磨には好適に対応することが難しいという課題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ウェーハ保持盤を介してウェーハを定盤の研磨面に押圧する際に、微妙な傾き変動に対して好適に追従することができると共に、より安定的にウェーハ保持盤を保持し、ウェーハの研磨精度を向上させることができるウェーハの研磨装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は次の構成を備える。
すなわち、本発明は、ウェーハを保持する保持部と、該保持部に保持されたウェーハの被研磨面を研磨する研磨面が形成された定盤とを備え、前記保持部と前記定盤とを相対的に運動させてウェーハの被研磨面を研磨するウェーハの研磨装置において、前記保持部が、凹部が前記定盤の研磨面に向かって開かれて設けられたヘッド部材と、該ヘッド部材の前記凹部内に配され、ウェーハが保持される保持面を有するウェーハ保持盤と、前記ヘッド部材と前記ウェーハ保持盤とに外周部および内周部がそれぞれ固定されて前記保持面に近い下側に配され、前記ウェーハ保持盤を、ヘッド部材に対して上下方向等へ移動することを許容して吊持する下側の弾性吊持部材と、前記ヘッド部材と前記ウェーハ保持盤とに外周部および内周部がそれぞれ固定されて前記下側の弾性吊持部材よりも上側に配され、前記ウェーハ保持盤を、ヘッド部材に対して上下方向等へ移動することを許容して吊持する上側の弾性吊持部材と、前記上側の弾性吊持部材と前記ウェーハ保持盤の上面とによって、前記ヘッド部材の内部が画され、前記上側の弾性吊持部材がシールされて形成されるウェーハ加圧用圧力室と、前記ウェーハ加圧用圧力室へ圧力流体を供給し、前記ウェーハ保持盤を介してウェーハを前記定盤の研磨面に押圧するための加圧手段と、前記下側の弾性吊持部材の上面、前記上側の弾性吊持部材の下面、前記ウェーハ保持盤の外周側面、及び前記ヘッド部材の内周側面によって囲まれた周状圧力室と、該周状圧力室に圧力流体を導入する経路と、該経路を通じて前記周状圧力室に圧力流体を供給する供給手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
また、前記下側の弾性吊持部材と前記上側の弾性吊持部材が、皮膜状の弾性体によって設けられていることで、ウェーハ保持盤の微小な傾きに対応する追従性を向上できると共に、ウェーハ保持盤をその全周について均一に安定的に保持することができ、研磨精度を向上させることができる。
また、皮膜状の前記下側の弾性吊持部材と前記上側の弾性吊持部材が、皮膜の面が基本的に水平面と平行になるように張設されていることで、研磨中に最も負荷される水平方向と平行な力を効率よく好適に受けることができる。このため、追従性を維持しつつ案的的にウェーハ保持盤を保持でき、研磨精度を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるウェーハの研磨装置の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るウェーハの研磨装置の一実施例について要部である保持部を説明する断面図である。また、図2は図1の実施例の駆動機構等を説明する側面図である。なお、図3に示した従来技術の構成と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施例は、シリコンウェーハ(以下、単に「ウェーハ」という)の被研磨面を研磨するウェーハの研磨装置であって、ウェーハを保持する保持部10と、その保持部10に保持されたウェーハ12の被研磨面12aを研磨する研磨面52が形成された定盤50とを備え、保持部10と定盤50とを相対的に運動させてウェーハ12の被研磨面12aを研磨するものである。
【0013】
そして、本実施例の保持部10は、次の構成を具備する。
20はヘッド部材であり、凹部21が定盤の研磨面52に向かって開かれて設けられている。このヘッド部材20は、保持部10において、ワークであるウェーハ12を保持する部分の基部を構成する。
22はウェーハ保持盤であり、ヘッド部材20の凹部21内に配され、ウェーハ12が保持される保持面22aを有する。すなわち、このウェーハ保持盤22は、下面にウェーハ12を保持するための保持面22aを備え、ヘッド部材20の外周部20aの内側に、その外周部20aに囲まれるように配されている。また、保持面22aが、外周部20aの下面より下方に出るように位置される。
【0014】
本実施例では、図3の従来技術と同様に、ウェーハ12を、吸着によってウェーハ保持盤22の保持面22aに保持させる方式がとられている。すなわち、ウェーハ保持盤22の保持面22aは、減圧吸着によってウェーハ12を吸着する吸着面に形成され、真空装置(減圧手段67)によってウェーハ12を吸着する。
なお、本発明にかかるウェーハ12の保持方式は、これに限定されないことは勿論であり、ウェーハ保持盤22の保持面22aが、例えば、水を介してウェーハ12を貼着する貼着面に形成されていてもよい。この場合は、保持面22aには、通常、バッキング材が貼着される。そのバッキング材は、吸着性に富む表面を有し、ウェーハ12を水等の液体の表面張力及びその粘性によって確実に貼着できる機能(水貼り機能)を備える。
【0015】
また、水貼り機能を備える保持面22aの場合、ウェーハ12の横滑りを防止するため、ウェーハ12を囲うリング帯状のいわゆるテンプレートが、保持面22aに装着される。このテンプレートは、一般的に、その内径がウェーハ12の外径に比べて1mm以下程度(例えば、0.3mm)大きく設定されている。なお、本実施例にかかるウェーハ12の直径は、例えば、約300mmのものを想定することができる。このようにテンプレートの内径と、その内径に嵌まり合うウェーハ12の外径との寸法差が、ウェーハ12の大きさに比べて極めて小さい。また、テンプレートの厚さは、ウェーハ12よりも薄く設定される。
【0016】
24は下側の弾性吊持部材であり、ヘッド部材20とウェーハ保持盤22との間に両者に固定されて配されると共に保持面22aに近い下側に配され、ウェーハ保持盤22を、ヘッド部材20に対して上下方向等へ移動することを許容して吊持している。この下側の弾性吊持部材24は、従来の技術の欄で説明した板状の弾性部材66(図3参照)と同等に設けられている。
また、本実施例の下側の弾性吊持部材24は、皮膜状の弾性体によって設けられており、皮膜の面が基本的に水平面と平行になるように張設されている。
【0017】
また、本実施例の下側の弾性吊持部材24は、別言すれば、板状或いはシート状に形成された弾性(柔軟性)に富む弾性材によって形成されているとも表現できる。そして、さらに詳細には、例えば、硬質のゴム板材(本実施例では布入りニトリルゴム)によってドーナツ状に形成されている。
また、この下側の弾性吊持部材24は、本実施例では、下側の弾性吊持部材の外周部24bがヘッド部材20側周壁部である外周部20aの下側に固定され、下側の弾性吊持部材の内周部24aがウェーハ保持盤22の外縁部22bの下部に固定されている。さらに詳細には、下側の弾性吊持部材の外周部24bは、ヘッド部材20の外周部20aを構成する上下の部材によって挟まれ、ボルト(図示せず)に締め付けられて固定されている。また、下側の弾性吊持部材の内周部24aは、ウェーハ保持盤22と下側の押え部材23aとに挟まれ、ボルト(図示せず)によって締め付けられて固定されている。
これにより、下側の弾性吊持部材24は、ウェーハ保持盤22をヘッド部材20に対して上下方向等(水平方向等も含む)へ移動することを許容して吊持している。
【0018】
26は上側の弾性吊持部材であり、ヘッド部材20とウェーハ保持盤22との間に両者に固定されて配されると共に下側の弾性吊持部材24よりも所定の間隔をおいて上側に配されている。この上側の弾性吊持部材26によれば、ウェーハ保持盤22を、ヘッド部材20に対して上下方向等へ移動することを許容して吊持している。
また、本実施例の上側の弾性吊持部材26は、下側の弾性吊持部材24と同様、皮膜状の弾性体によって設けられており、皮膜の面が基本的に水平面と平行になるように張設されている。
【0019】
また、本実施例の上側の弾性吊持部材26は、下側の弾性吊持部材24と同様、板状或いはシート状に形成された柔軟性に富む弾性材によって形成されているとも表現できる。そして、さらに詳細には、例えば、硬質のゴム板材(本実施例では布入りニトリルゴム)によってドーナツ状に形成されている。
また、この上側の弾性吊持部材26は、本実施例では、上側の弾性吊持部材の外周部26bがヘッド部材20側周壁部である外周部20aの上側に固定され、上側の弾性吊持部材の内周部26aがウェーハ保持盤22の外縁部22bの上部に固定されている。さらに詳細には、上側の弾性吊持部材の外周部26bは、ヘッド部材20の外周部20aを構成する上下の部材によって挟まれ、ボルト(図示せず)に締め付けられて固定されている。また、下側の弾性吊持部材の内周部26aは、ウェーハ保持盤22と上側の押え部材23bとに挟まれ、ボルト(図示せず)によって締め付けられて固定されている。
これにより、上側の弾性吊持部材26も、ウェーハ保持盤22をヘッド部材20に対して上下方向等(水平方向等も含む)へ移動することを許容して吊持している。
【0020】
以上の構成によれば、ウェーハ保持盤22を、下側の弾性吊持部材24と上側の弾性吊持部材26という2層の皮膜を介し、ヘッド部材20で保持していることになり、別言すれば2点支持になる。このため、ウェーハ保持盤22がバランスよく安定的に保持される。すなわち、2点支持になるため、ウェーハ保持盤22が振れることを、好適に防止できる。そして、その安定的な保持によって、ウェーハ12(被研磨面12a)が定盤の研磨面52にバランスよく安定的に押し当てられ、被研磨面12aの研磨を高精度に行うことができる。
また、下側の弾性吊持部材24と上側の弾性吊持部材26は、皮膜状で、弾性に富むものであるため、ウェーハ保持盤22を介してウェーハ12を定盤の研磨面52に押圧する際に、微妙な傾き変動に対して好適に追従することができ、ウェーハの研磨精度を向上させることができる。また、従来技術のような摩擦作用によってウェーハ保持盤22の振れを防止するものとは異なり、各弾性吊持部材24、26の両方が弾性を利用して不安定な負荷を吸収するもので、この点からも、追従性が向上し、ウェーハの研磨精度を向上させることができる。
【0021】
また、下側の弾性吊持部材24と上側の弾性吊持部材26は、均一な厚さでドーナツ状に形成されているため、全周で加重を均等に分散でき、ウェーハ保持盤22をその全周について均一に安定的に保持することができる。このことも、研磨精度を向上させる基本的な要素になっている。
また、本実施例では、皮膜状の下側の弾性吊持部材24と上側の弾性吊持部材26が、皮膜の面が基本的に水平面と平行になるように張設されている。これにより、下側の弾性吊持部材24と上側の弾性吊持部材26によって、研磨中に最も負荷される水平方向と平行な力を効率よく好適に受けることができる。これにより、横揺れを好適に防止できる。このため、追従性を維持しつつ安定的にウェーハ保持盤を保持でき、研磨精度を向上させることができる。
【0022】
28はウェーハ加圧用圧力室であり、下側の弾性吊持部材24と上側の弾性吊持部材26の少なくとも一方によって、ヘッド部材20の内部がウェーハ保持盤22と共に画され、シールされて形成されている。
このウェーハ加圧用圧力室28内へは、所定の圧力流体である例えば圧縮空気が加圧手段30によって供給される。このように加圧手段30によってウェーハ加圧用圧力室28を加圧することで、ウェーハ保持盤22を介してウェーハ12(被研磨面12a)を定盤の研磨面52に均一に押圧でき、ウェーハ12の被研磨面12aを好適に研磨できる。
なお、加圧手段30には、ウェーハ加圧用圧力室28へ供給される圧縮空気の圧力を調整する圧力調整装置(図示せず)が備えられている。また、加圧手段30としては、空気圧の場合、具体的にはコンプレッサである。
【0023】
本実施例のウェーハ加圧用圧力室28は、ウェーハ保持盤22の上面とによって、ヘッド部材20の内部が画成されると共にシールされることで設けられている。また、圧力流体は、加圧手段30から連通路29を介してウェーハ加圧用圧力室28に導入される。
なお、本発明のウェーハ加圧用圧力室28の形態、或いは圧力流体を導入する手段(経路)は、本実施例に限定されるものではない。例えば、ウェーハ加圧用圧力室28を、ウェーハ保持盤22の上面と下側の弾性吊持部材24とによって、ヘッド部材20の内部を画成すると共にシールすることで設けてもよい。また、下側の弾性吊持部材24と上側の弾性吊持部材26との両方によって、ウェーハ加圧用圧力室28をシールするようにしてもよい。
【0024】
また、下側の弾性吊持部材24と上側の弾性吊持部材26との両方でシールをした場合で、下側の弾性吊持部材24の上面、上側の弾性吊持部材26の下面、ウェーハ保持盤22の外周側面、及びヘッド部材20の内周側面によって囲まれた周状圧力室31に、圧力流体を導入する経路(連通路)を別に設けるようにしてもよい。この周状圧力室31に高圧の圧力流体を供給した場合は、ウェーハ保持盤22の横揺れを好適に防止できる。すなわち、周状圧力室31が、ウェーハ保持盤22の動きを、全周について均一な圧力で緩衝する緩衝手段として作用し、ウェーハ保持盤22をより安定的に保持することができる。
また、ウェーハ加圧用圧力室28と周状圧力室31の2つの圧力系にかかる圧力を適宜調整することで、ウェーハ12の研磨面52への押圧力を研磨条件に応じて適宜調整し、研磨精度を向上させることも可能である。
【0025】
弾性吊持部材を2層(2段)に設けた場合(弾性吊持部材24、26)について説明したが、さらに加えて、弾性吊持部材の層を重ねた状態(3層以上の複数層)にしても、複雑な形態になるが、同等或いはさらに安定的な効果を得ることが可能である。なお、この場合において、各弾性吊持部材の気密(シール)や、形成される圧力室の形態は、研磨加工の仕様に合わせて適宜選択的に設定すればよい。
また、本実施例では、両方の弾性吊持部材24、26が皮膜状に設けられた場合を説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、2層の弾性吊持部材24、26うち、一方の弾性吊持部材はシール性を備えてウェーハ加圧用圧力室28を設ける関係上、皮膜状に形成されるとしても、他方の弾性吊持部材は吊持して保持する機能のみを利用する場合は皮膜状に形成されることを要しない。例えば、放射線状に配された複数の紐状の弾性部材を用いることも可能である。
【0026】
次に上記の保持部10が設けられるウェーハの研磨装置の基本的な構成について、図2に基づいて説明する。
ウェーハの研磨装置の基本的な構成を列挙すれば、研磨面52が形成された定盤50、ウェーハ表面12aを研磨面52に当接させるべく保持部10と定盤50とを接離動させる接離動手段54、ウェーハ12を、ウェーハ保持盤22を介して押圧する押圧手段56(本実施例では前記加圧手段30を含むエアバック機構)、ウェーハ12が研磨面52に当接・押圧された状態で保持部10(ウェーハ12)と定盤50とを回転および/または往復動(自転しない旋回運動のような動作を含む)によって相対的に運動させる駆動手段58a、58b、スラリー等を含む液状の研磨剤の供給手段(図示せず)等がある。
【0027】
次に本実施例のウェーハの研磨装置に関する動作について説明する。
先ず、減圧手段31によってウェーハ加圧用圧力室28を減圧し、ウェーハ保持盤22を吸引させて上方へ移動させる。これにより、一方のテーパ嵌合部32(雌テーパ)に、他方のテーパ嵌合部34(雄テーパ)が嵌まった状態となり、そのテーパの嵌め合い作用によって、ウェーハ保持盤22が保持部10の所定位置に正確に位置決めされて保持される。
すなわち、ヘッド部材20の軸心とウェーハ保持盤22の軸心に若干のずれがあっても、テーパの嵌め合いによって矯正されて、ウェーハ保持盤22の芯出しがされる。また、一方のテーパ嵌合部32に他方のテーパ嵌合部34が嵌まった状態になるため、ウェーハ保持盤22が揺動することを完全に止めることができる。従って、ウェーハ保持盤22を保持部10について高い位置決め精度で好適に保持させることができる。
【0028】
そして、その保持部10を所定位置に位置されたウェーハ12上へ当接するまで移動して、そのウェーハ12を、真空吸着用の減圧手段67で吸引することでウェーハ保持盤22の保持面22aに吸着させる。
次に、保持部10を移動して、ウェーハ12を定盤50の研磨面52上に位置させる。そして、ウェーハ加圧用圧力室28へ加圧手段30によって所定圧力の流体を供給することで、ウェーハ保持盤22を研磨面52側へ押圧する。押圧前にウェーハ保持盤22に保持されたウェーハ12が研磨面52に対して若干傾いていたとしても、流体圧の作用でウェーハ保持盤22の全面を均等に押圧できるため、ウェーハ表面12aを研磨面52に好適に追随させて均一に研磨できる。
なお、圧力調整装置によってウェーハ加圧用圧力室28へ供給する流体の圧力を調整することで、研磨条件を容易に変更できる。
【0029】
以上の実施例では、ウェーハ保持盤22の保持面22aに、ウェーハ12を吸着する場合、或いは水を介して貼着する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ウェーハ12を、保持面22aに接着によって確実に貼付するということも可能である。
また、以上に説明した実施例では、空気圧によってウェーハ保持盤22を介してウェーハ12を研磨面52に押圧(加圧)する場合を説明したが、他の流体圧例えば水圧または油圧を利用することもできる。
また、以上に説明したウェーハの研磨装置によれば、シリコンウェーハの他にウェーハ状のワーク(例えばガラス薄板材、水晶等の硬脆性薄板材の表面)も好適に研磨することができる。
以上、本発明の好適な実施例について種々述べてきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内でさらに多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、下側の弾性吊持部材と上側の弾性吊持部材とによって、ウェーハ保持盤を2点で支持することになる。このため、ウェーハ保持盤がバランスよく安定的に保持され、その安定的な保持によって、ウェーハ(被研磨面)が定盤の研磨面にバランスよく安定的に押し当てられる。また、下側の弾性吊持部材と上側の弾性吊持部材は、弾性材で設けられているため、ウェーハ保持盤を介してウェーハ(被研磨面)を定盤の研磨面に押圧する際に、微妙な傾き変動に対して好適に追従することができる。
従って、本発明によれば、ウェーハの被研磨面を定盤の研磨面に均一に且つ安定的に押し当てることができ、ウェーハの研磨精度を向上させることができるという著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るウェーハの研磨装置の一実施例について要部である保持部を説明する断面図である。
【図2】図2は図1の実施例の駆動機構等を説明する側面図である。
【図3】従来の技術を示す断面図である。
【符号の説明】
10 保持部
12 ウェーハ
12a 被研磨面
20 ヘッド部材
21 凹部
22 ウェーハ保持盤
22a 保持面
24 下側の弾性吊持部材
26 上側の弾性吊持部材
28 ウェーハ加圧用圧力室
30 加圧手段
50 定盤
51 研磨布
52 研磨面
Claims (3)
- ウェーハを保持する保持部と、該保持部に保持されたウェーハの被研磨面を研磨する研磨面が形成された定盤とを備え、前記保持部と前記定盤とを相対的に運動させてウェーハの被研磨面を研磨するウェーハの研磨装置において、
前記保持部が、
凹部が前記定盤の研磨面に向かって開かれて設けられたヘッド部材と、
該ヘッド部材の前記凹部内に配され、ウェーハが保持される保持面を有するウェーハ保持盤と、
前記ヘッド部材と前記ウェーハ保持盤とに外周部および内周部がそれぞれ固定されて前記保持面に近い下側に配され、前記ウェーハ保持盤を、ヘッド部材に対して上下方向等へ移動することを許容して吊持する下側の弾性吊持部材と、
前記ヘッド部材と前記ウェーハ保持盤とに外周部および内周部がそれぞれ固定されて前記下側の弾性吊持部材よりも上側に配され、前記ウェーハ保持盤を、ヘッド部材に対して上下方向等へ移動することを許容して吊持する上側の弾性吊持部材と、
前記上側の弾性吊持部材と前記ウェーハ保持盤の上面とによって、前記ヘッド部材の内部が画され、前記上側の弾性吊持部材がシールされて形成されるウェーハ加圧用圧力室と、
前記ウェーハ加圧用圧力室へ圧力流体を供給し、前記ウェーハ保持盤を介してウェーハを前記定盤の研磨面に押圧するための加圧手段と、
前記下側の弾性吊持部材の上面、前記上側の弾性吊持部材の下面、前記ウェーハ保持盤の外周側面、及び前記ヘッド部材の内周側面によって囲まれた周状圧力室と、
該周状圧力室に圧力流体を導入する経路と、
該経路を通じて前記周状圧力室に圧力流体を供給する供給手段とを具備することを特徴とするウェーハの研磨装置。 - 前記下側の弾性吊持部材と前記上側の弾性吊持部材が、皮膜状の弾性体によって設けられていることを特徴とする請求項1記載のウェーハの研磨装置。
- 皮膜状の前記下側の弾性吊持部材と前記上側の弾性吊持部材が、皮膜の面が基本的に水平面と平行になるように張設されていることを特徴とする請求項2記載のウェーハの研磨装置。
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