JP4307641B2 - 吊り荷の回転制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クレーンの吊り上げにより移動または運搬される建築資材、積荷等の吊り荷が風を受けて回転することを制御するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高層建築物の建築資材である鉄骨やプレキャストコンクリート部材の揚重の際、これらの吊り荷の風による回転運動を抑制するため、前記吊り荷を吊り下げるためのビームにブロワやジャイロホイール等を配置してなる回転制御装置が用いられている。
【0003】
しかし、これらの回転制御装置はこれらを駆動するための大型の駆動源、電源等を必要とし、このため、装置自体の大型化を余儀なくされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、大型の駆動源または電源を必要としない吊り荷回転制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、風を受けて回転する吊り荷の回転制御装置であって、前記吊り荷を該吊り荷と共に回転可能であるように吊持するためのフレームと、該フレームに固定された鉛直方向へ伸びる軸と、前記軸に支持された、前記軸の周りに互いに独立に回転可能である1対の回転体と各回転体に取り付けられ、両回転体が互いに反対方向へ回転するように風力を各回転体の回転力に変換する複数の受風器との組立体と、前記フレームに取り付けられた各回転体のための回転制動手段とを含み、各組立体が前記吊り荷より小さい慣性モーメントを有する。
【0006】
【発明の作用および効果】
本発明によれば、前記フレームに吊持された吊り荷が風を受けて前記フレームと共に回転運動を開始するとき、同様に風を受ける前記複数の受風器を介して、両回転体が前記フレームの軸の周りに互いに反対方向へ回転運動を開始する。このとき、慣性モーメントの小さい各回転体と前記受風器との組立体が前記吊り荷よりも短時間で大きい回転速度に達し、大きい運動エネルギを有するに至る。ここで、前記回転制動手段により、前記吊り荷と反対方向に回転中の回転体にブレーキをかけてその回転速度を急激に低下させると、前記回転制動手段を介して、前記フレームがその回転方向と反対方向への回転力を受ける。その結果、前記フレームおよび前記吊り荷の回転速度が急速に低下しまたはこれらの回転が停止する。
【0007】
本発明にあっては、最も大きい駆動力を必要とする前記回転体の回転は風力によって得られ、また、前記回転体のための回転制動手段およびその駆動源または電源は選択により最小限のものとすることができる。このことから、従来と比べて、簡単な構造で、比較的小さい規模の吊り荷回転制御装置を得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1および図2を参照すると、回転制御装置が全体に符号10で示されている。
【0009】
回転制御装置10は、クレーンにより高所へ吊り上げ・運搬される鉄骨部材やプレキャストコンクリート部材のような建築資材、積荷等からなる吊り荷が、その吊持の間に受ける風によってその鉛直軸線の周りに回転することを制限しまたは停止するために用いられる。
【0010】
図示の吊り荷12は、高層建築物の外壁として用いられるプレキャストコンクリート製の板体からなる。吊り荷12は、回転制御装置10を介して、構築途上にある前記高層建築物に設置されたタワークレーン(図示せず)から垂れ下がるワイヤロープ13に吊り下げられている。
【0011】
回転制御装置10は、フレーム14と、フレーム14に固定された軸16と、軸16に支持された一対の回転体18と、各回転体18に取り付けられた複数の受風器20と、各回転体18についての回転制動手段22とを備える。
【0012】
フレーム14は全体に矩形状を呈し、互いに相対する上下一対の枠部材24と、互いに相対する左右一対の枠部材26とを有する。
【0013】
フレーム14はその上枠部材24においてワイヤロープ13に吊り下げられ、また、吊り荷12は下枠部材24においてフレーム14に吊り下げられている。
【0014】
より詳細には、フレーム14は一対のリング状のワイヤ28を介してワイヤロープ13に吊持されている。両ワイヤ28は、それぞれ、ワイヤロープ13の下端に設けられたフック30に掛けられ、また、上枠部材24に設けられたブラケット32の穴に通されている。したがって、フレーム14はワイヤロープ13に沿って伸びる鉛直軸線の周りに回転可能である。
【0015】
また、吊り荷12は、フレーム14と共に前記鉛直軸線の周りに回転可能であるように吊り下げられている。図示の例では、フレームの下枠部材24にその長手方向へ互いに間隔をおいて2つのブラケット33が設けられ、両ブラケット33からそれぞれ2つのワイヤ34が垂れ下がっている。これらのワイヤ34にはそれぞれ一対のウインチ36が連結されており、吊り荷12は、下枠部材24の両ブラケット33に相対する2箇所38において、両ウインチ36からそれぞれ垂れ下がる一対のワイヤ40に接続されている。
【0016】
したがって、吊り荷12が風を受けて前記鉛直軸線または該鉛直軸線と平行な軸線の周りに回転するとき、フレーム14は両ウインチ36および両ワイヤ33を介して吊り荷12の回転力を受け、吊り荷12と共に前記鉛直軸線の周りに回転する。なお、ウインチ36はフレーム14と吊り荷12との間の間隔を調整するために設けられており、その設置を省略することもできる。
【0017】
軸16は、ワイヤロープ13に沿って伸びる前記鉛直軸線上にあるように、上下の枠部材24の長手方向に関する中央部に配置され、その上下両端部において両枠部材24にそれぞれ固定されている。
【0018】
図示の両回転体18は、それぞれ、フレーム14が規定する空間に配置可能の大きさおよび厚さ寸法を有する円板からなり、両円板の中心部を貫通する軸16の長手方向に互いに間隔をおいて上下2段に配置されている。
【0019】
両円板は共に同じ直径および同じ厚さ寸法を有する。また、各円板はその上下に配置されかつ該回転体に固定された一対の軸受42を介して独立に軸16の周りに回転可能である。
【0020】
複数(図示の例では4つ(図2))の受風器20は、図示の例ではカップからなり、各円板の周縁に等間隔をおいて配置されている。各カップはその開放面(開口面)が各円板の周縁の接線方向に向けられており、風を受けるとき、風力を各円板の回転力に変換する。したがって、各円板は風力を駆動源として回転する。
【0021】
上方の円板における前記カップの向き(開放面の向き)と、下方の円板における前記カップの向きとは、互いに反対に設定されている(図1参照)。各カップはその開放面側がその背面側より大きい風力係数を有するため、これらのカップが風を受けるとき、両円板は互いに反対方向に回転する。
【0022】
回転制動手段22は、回転運動中の回転体18に制動力を付与すなわちブレーキをかけ、これにより、回転体18の回転速度を急激に低下させるためにある。
【0023】
図3および図4を参照すると、両回転体18についての2つの回転制動手段22が、一対のブラケット44を介して、それぞれ、フレームの上下両枠部材24に取り付けられている。
【0024】
図示の回転制動手段22は、互いに交差する一対のレバー46であって交差部48において互いに枢着された一対のレバー46と、電動シリンダのようなリニア・アクチュエータ50とからなり、両レバー46はこれらの枢着部48においてブラケット44に支持されている。
【0025】
両レバー46は互いに相対する一端部52と、互いに相対する他端部54とを有する。リニア・アクチュエータ50は両レバー46の一端部52間に配置されかつその両端部において一端部52の双方に連結されている。
【0026】
したがって、リニア・アクチュエータ50を収縮動作させると、両レバー46が枢着部48の周りに枢動し、これらの他端部54間の間隔が減少する。反対に、リニア・アクチュエータ50を伸張動作させると、両レバー46の枢動によりこれらの他端部54間の間隔が増大する。
【0027】
各円板の一方の軸受42には、両レバー46の作用を受けてこれを前記円板に伝達するための環状のディスク56が固定されている。ディスク56は軸16の周囲を取り巻きかつ各円板と平行であるように配置され、また、両レバー46の他端部54に挟まれている。
【0028】
したがって、アクチュエータ50の作動により両レバー46を枢動させてこれらの他端部54の相互間隔を減少させると、回転体18と共に軸16の周りに回転中のディスク56が両他端部54に挟み付けられ、ディスク56の両面とレバーの両他端部54との間に大きい摩擦力が生じる。その結果、ディスク56を介して回転体18の回転速度を急激に低下させることができる。
【0029】
ところで、各回転体18と該回転体に取り付けられた複数のカップ20とからなる組立体の慣性モーメントが、吊り荷12の慣性モーメントより小さいものに設定されている。
【0030】
このため、吊持中の吊り荷12とカップ20とが風力を受けるとき、各回転体18の方が吊り荷12よりも短時間で高速回転をする。ここで、アクチュエータ50を操作して、吊り荷12の前記鉛直軸線の周りの回転方向(例えば時計方向)と反対の方向(反時計方向)に回転中の回転体18を急速に減速すると、回転制動手段22を支持するフレーム14が反時計方向への回転力を受ける。このため、フレーム14と共に回転中の吊り荷12がフレーム14を介して反対向きの回転力を受ける。その結果、その回転運動が阻害され、その回転速度が大幅に低減しあるいはその回転が停止する。
【0031】
なお、時計方向へ回転中の回転体18はその回転運動を持続する。この回転体18は、吊り荷12が反時計方向へ回転するとき、同様にして、その回転速度が急速に低減され、これにより、吊り荷12の回転が停止される。
【0032】
図1に示す符号58および60は、それぞれ、リニア・アクチュエータ50のための駆動用電源(バッテリ)、および、リニア・アクチュエータ50を遠隔操作するための無線および制御装置を示す。
【0033】
リニア・アクチュエータの駆動に要する電力および無線・制御装置60の操作に要する電力は小さいもので足りる。したがって、電源58もまた小型のもので足りる。また、リニア・アクチュエータ50を操作するために必要な無線および制御装置60も小型のもので足りる。したがって、回転制御装置10自体をより小規模かつシンプルなものとすることができる。
【0034】
ところで、回転体18については、これを密度が一様な板体である前記円板とすることに代えて、図5〜図8および図9〜図12に示すようなものとすることができる。これらの回転体18は、いずれも、可変の慣性モーメントを有する。
【0035】
図5〜図8に示す回転体18は、軸16を同軸に取り巻く円環62と、円環62と1つの軸受42との間に配置されかつこれらに固定され、軸受42から円環62に向けて放射状に伸びる複数のスポーク64と、各スポーク64に貫通され該スポークをその長手方向へ滑動可能であるウエイト66とを含む。
【0036】
これによれば、回転体18が軸受42と共に軸16の周りに回転するとき、軸受42に接した状態にある各ウエイト66(図5および図6)がこれに働く遠心力を受けて各スポーク64を半径方向外方へ滑動し、その後、円環62に当たって止まり、その停止位置を維持される(図7および図8)。
【0037】
回転体18の慣性モーメントは、この間、ウエイト66の滑動に従って漸増する。したがって、回転体18の慣性モーメントは、その回転の開始時に最小であり、また、その回転速度が大きくなったとき(ウエイト66が円環62に当たるとき)に最大となる。このため、回転体18は、前記円板の場合と比べて、より短時間のうちに高速回転状態に達する。
【0038】
この回転体18のスポークについては、回転体18の回転を停止したとき、各ウエイト66がその自重により各スポーク64を半径方向内方へ滑動してもとの位置に戻るように、円環62から軸受42に向けて下方へ傾斜するように配置することが望ましい。
【0039】
次に、図9〜図12に示す回転体18は、軸16と同軸的に配置されかつ1つの軸受42に固定された扁平な円筒形状を有する密閉水槽68と、水槽68内に収容された、水槽68の内部の全部を満たすには足りない量、すなわち水槽68の容積に満たない量の水70とからなる。水槽68は、また、その内部が放射方向へ伸びる複数の仕切板72により等分割されている。
【0040】
これによれば、停止状態の回転体18(図9および図10)が軸受42と共に軸16の周りに回転を開始すると、仕切板72により仕切られた水槽68内の水70が、それぞれ、水槽68に働く遠心力により、水槽68内をその半径方向外方へ移動する(図11および図12)。このため、図5〜図8に示す回転体と同様、回転体18の回転速度の増大に応じて慣性モーメントが漸増する。したがって、この例の回転体18も、より短時間のうちに、より高速の回転速度に達することができる。また、図5〜図8に示す回転体と同様、その全体重量を変えることなしに、その慣性モーメントを増大させることができる。
【0041】
言うまでもなく、図5〜図12に示す回転体18に、図1に示すと同様の受風器が取り付けられる。また、回転体18の最大の慣性モーメントと前記受風器の慣性モーメントとの和は、吊り荷12の有する慣性モーメントより小さい。
【0042】
なお、前記回転体は、図示の例のように、円形の平面形状を有するものであることが望ましいが、円形以外の例えば多角形の平面形状を有するものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】吊持状態における回転制御装置の正面図である。
【図2】回転制御装置の平面図である。
【図3】ディスクが非挟持状態にある回転制御装置の部分拡大図である。
【図4】ディスクが挟持状態にある回転制御装置の部分拡大図である。
【図5】他の例の回転体の概略的な平面図である。
【図6】図5の線6−6に沿って得た断面図である。
【図7】図5に示す、回転時における回転体の平面図である。
【図8】図7の線9−9に沿って得た断面図である。
【図9】さらに他の例の回転体の概略的な平面図である。
【図10】図9の線10−10に沿って得た回転体の断面図である。
【図11】図9に示す、回転時における回転体の平面図である。
【図12】図11の線12−12に沿って得た回転体の断面図である。
【符号の説明】
10 回転制御装置
12 吊り荷
14 フレーム
16 軸
18 回転体
20 受風器
22 回転制動手段
56 ディスク
Claims (1)
- 風を受けて回転する吊り荷のための回転制御装置であって、前記吊り荷を該吊り荷と共に回転可能であるように吊持するためのフレームと、該フレームに固定され鉛直方向へ伸びる軸と、前記軸に支持された、前記軸の周りに互いに独立に回転可能である1対の回転体と各回転体に取り付けられ、両回転体が互いに反対方向へ回転するように風力を各回転体の回転力に変換する複数の受風器との組立体と、前記フレームに取り付けられた各回転体のための回転制動手段とを含み、各組立体が前記吊り荷より小さい慣性モーメントを有する、制御装置。
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