以下、図を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。なお、各図は、この発明に係る一構成例を示し、この発明が理解できる程度に各構成要素の配置関係等を概略的に示しているに過ぎず、この発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定条件等を設定して説明することもあるが、これらの条件等は好適例の一つに過ぎず、従って、何らこれらに限定されない。
<第1の実施形態>
図4(A)及び(B)を参照して、第1光符号器の構成及びその動作について説明する。
図4(A)及び(B)は、位相符号方式及び波長ホッピング方式を併用したこの発明の光符号器の概略的構成図であり、図4(A)は、チップパルス生成手段の概略的構成の一部を示し、図4(B)は、第1光符号器の概略的構成を示す図である。
第1光符号器は、図4(B)に示すように、光パルス35を位相符号方式の符号及び波長ホッピング方式の符号によって符号化して、時間軸上に順次配列したチップパルスの列として生成される符号化光パルス列37に変換して出力する光符号器であって、入出力部である光サーキュレータ36と、この光サーキュレータ36に接続されたチップパルス生成手段34とを具えている。
光パルス35は、光サーキュレータ36の入力ポート36-1から入力されて、入出力ポート36-2から出力されてチップパルス生成手段34に入力される。チップパルス生成手段34で生成された符号化光パルス列37は、入出力ポート36-2から入力されて、出力ポート36-3から出力される。以後の説明において、光符号器の入出力部として機能する光サーキュレータにおいても、入出力ポート36-2に相当する入出力ポートを、単に、この光サーキュレータの入出力ポートということもある。
チップパルス生成手段34は、図4(A)に示すように、設定される位相符号がそれぞれ異なると共にブラッグ波長もそれぞれ異なる複数の位相符号部が、光ファイバのコアに直列に配列されている。図4(A)では、ブラッグ波長がλ1である位相符号部であるFBG 1及びブラッグ波長がλ2である位相符号部であるFBG 2の一部について示してある。図4(A)に示すように、ブラッグ波長がλ1である位相符号部は、ブラッグ波長がλ1である[1]から[15]と示した15個の単位FBGによって光ファイバのコアに直列に配置されて構成されている。
ブラッグ波長がλ1である位相符号部は、この位相符号部に設定する位相符号方式の符号に応じて、隣接するこれらの単位FBGからのブラッグ反射光間に必要とされる位相差が発生するように、[1]から[15]と示した15個の単位FBGが配置されている。ブラッグ波長がλ1である位相符号部に設定される位相符号方式の符号は、この位相符号部が15個の単位FBGによって確定されるので、符号長が15である位相符号を設定できる。
そこで、例えば、符号列(1, 1, 0, 0, 1, 0, 0, 1, 0, 0, 1, 1, 1, 0, 1)で与えられる位相符号を設定する場合について説明する。以下の説明は、符号長が異なっても、また位相符号を与える数列の各項の符号値が異なっても、同様に成立する。
図4(A)に示すチップパルス生成手段34において、ブラッグ波長がλ1である位相符号部であるFBG 1に、符号列(1, 1, 0, 0, 1, 0, 0, 1, 0, 0, 1, 1, 1, 0, 1)で与えられる位相符号を設定するものとして説明する。この場合、[1]から[15]と示した15個の単位FBGの全てのブラッグ波長はλ1である。また、符号列(1, 1, 0, 0, 1, 0, 0, 1, 0, 0, 1, 1, 1, 0, 1)の左側から右側に向けて並んだ各チップは、それぞれ[1]から[15]と示した15個の単位FBGのそれぞれと一対一に対応する。以後、[1]から[15]と示した15個の単位FBGのそれぞれを、単位FBG[1]から単位FBG[15]と表記することもある。また、符号列の左側から右側に向けて並んだ各チップを、順に第1から第15チップと呼ぶこととする。
符号列 (1, 1, 0, 0, 1, 0, 0, 1, 0, 0, 1, 1, 1, 0, 1)で与えられる位相符号の第1チップの符号値は1であり、第2チップの符号値は1であるから、両者の符号値は等しい。従って、単位FBG[1]から反射されるブラッグ反射光と、単位FBG[2]から反射されるブラッグ反射光の位相差は、π/2となるように、単位FBG[1]と単位FBG[2]との間隔が設定される。すなわち、単位FBG[1]と単位FBG[2]との間隔は、光路長にしてπ/4に設定される。言い換えると、単位FBG[1]と単位FBG[2]との間には、π/4の位相跳躍量を与える位相跳躍部が設置されている。
ここで、単位FBG[1]と単位FBG[2]とから反射されたブラッグ反射光の位相差に対して、単位FBG[1]と単位FBG[2]との間隔(位相跳躍量)がその半分の値に設定される理由は、単位FBG[2]で反射されるブラッグ反射光は、単位FBG[1]で反射されるブラッグ反射光と比べて、単位FBG[1]と単位FBG[2]との間隙を往復する分だけ位相遅れが発生するためである。以後の説明において、単位FBG[1]と単位FBG[2]との間の部分を位相跳躍部、また、単位FBG[1]と単位FBG[2]との間隔を位相跳躍量とことわらない。
第2及び第3チップの符号値は、それぞれ1及び0と異なっているから、単位FBG[2]から反射されるブラッグ反射光と、単位FBG[3]から反射されるブラッグ反射光の位相差は、-π/2となるように、単位FBG[2]と単位FBG[3]との間隔が設定される。このほか、単位FBG[3]と単位FBG[4]との間隔から、単位FBG[14]と単位FBG[15]の間隔まで、それぞれの間隔は、符号列(1, 1, 0, 0, 1, 0, 0, 1, 0, 0, 1, 1, 1, 0, 1)に基づいて同様に設定される。このように単位FBG[1]から単位FBG[15]を設定することによって符号列(1, 1, 0, 0, 1, 0, 0, 1, 0, 0, 1, 1, 1, 0, 1)で与えられる符号が設定された、位相符号部が形成される。FBG 2及びFBG 3と示す位相符号部においても、与えられる位相符号に従って、同様に形成される。ただし、FBG 2及びFBG 3と示す位相符号部のそれぞれのブラッグ波長は、λ2及びλ3である。
チップパルス生成手段34は、図4(B)に示すように、FBG 1、FBG 2及びFBG 3の3つの位相符号部が光ファイバのコアに直列に配置されて構成されている。これら位相符号部FBG 1、FBG 2及びFBG 3のそれぞれから反射されるブラッグ反射光の波長は、それぞれλ1、λ2及びλ3である。そして、位相符号部FBG 1、FBG 2及びFBG 3のそれぞれから反射されるブラッグ反射光の、互いの相対的な時間遅延は、位相符号部FBG 1、FBG 2及びFBG 3が、光サーキュレータ36の入出力ポート36-2からどれだけ離れた光ファイバー上の位置に配置されるかによって定まる。
図4(B)に示すチップパルス生成手段34では、入出力部である光サーキュレータ36の入出力ポート36-2に近い側から、位相符号部がFBG 1、FBG 2及びFBG 3の順に配置されている。従って、チップパルス生成手段34によって、波長ホッピング方式によって符号化されたチップパルスの、波長軸上での並び順序は、λ1、λ2及びλ3の順であり、波長λ3のチップパルスに最も大きな時間遅延が与えられる。すなわち、光サーキュレータ36の入出力ポート36-2と位相符号部の設定される位置との距離に比例した時間遅延が、この位相符号部から反射されて出力される波長のチップパルスに与えられる。
従って、FBG 1、FBG 2及びFBG 3の順序及び、FBG 1、FBG 2及びFBG 3と光サーキュレータ36の入出力ポート36-2との距離をパラメータとして、波長ホッピング符号方式の符号を、チップパルス生成手段34に設定することができる。すなわち、チップパルス生成手段34に設置される位相符号部FBG 1、FBG 2及びFBG 3は、隣接するFBG 1とFBG 2及びFBG 2とFBG 3からのブラッグ反射光間の時間遅延が、設定される波長ホッピング方式の符号に応じて、必要とされるだけ発生する間隔を以って配置されている。
以上説明したように、チップパルス生成手段34が構成されるので、チップパルス生成手段34によって、入出力部である光サーキュレータ36から入力された光パルス35は、波長が異なるチップパルスとして波長ホッピングされると共に、波長の等しいチップパルス同士間に位相差を与えて成る当該チップパルスの列に変換されて、光サーキュレータ36に戻され、この光サーキュレータ36からこのチップパルスの列が符号化光パルス列37として出力される。
因みに、位相符号部FBG 1は、上述したように、ブラッグ波長がλ1である[1]から[15]と示した15個の単位FBGによって光ファイバのコアに直列に配置されて構成されているので、SSFBGである。また、図4(B)に示すチップパルス生成手段34は、FBG 1、FBG 2及びFBG 3の3つの位相符号部が光ファイバのコアに直列に配列されて構成されているので、これもまたSSFBGである。
<位相符号方式及び波長ホッピング方式の符号による符号化と復号化>
図5から図8を参照して、この発明の第2及び第3の目的である符号化光パルス信号を生成するための符号を変更することが可能である光符号器、及び受信する符号化光パルス信号の符号化に使用された符号に対応させて、復号化するための符号を自在に設定することが可能である光復号器が存在することによって得られる利点について説明する。まず、復号化するための符号を自在に設定することが可能である光復号器を利用してOCDM送受信装置を構成することによって生じる利点について説明する。なお、以下の説明において、光パルス信号は、その波長スペクトルが、後に説明する複数のブラッグ反射波長を含んでいるものと了解されたい。
図5-1の(A)及び(B)は、この発明の第1光符号器、及び後述する光復号器の概略的構成図である。図5-2は、光遅延調整器に設定する時間遅延量を設定するための光遅延調整器コントローラ及び、この光遅延調整器コントローラが具える調整テーブルについての説明に供する図である。
まず、図5-1の(A)を参照して第1光符号器の概略的構成及びその機能について説明する。第1光符号器については、図4(A)及び(B)を参照して詳細に説明したので、ここでは、光復号器の説明に必要な限度において、その説明をする。
図5-1の(A)は、チップパルス生成手段であるSSFBG 40を示しており、SSFBG 40は、ブラッグ波長がそれぞれλ1、λ2及びλ3である位相符号部40-1、40-2及び40-3が直列に光ファイバに配置されて構成されている。位相符号部40-1、40-2及び40-3には、それぞれ符号長が4である位相符号Code-1、Code-2及びCode-3が設定されている。Code-1、Code-2及びCode-3はそれぞれ、符号列(1, 0, 1, 0)、(1, 0, 0, 1)及び(0, 0, 1, 1)で与えられる符号である。
入出力部である光サーキュレータ44を介してSSFBG 40に入力される光パルス信号41は、SSFBG 40に入力される。SSFBG 40に入力された光パルス信号41は、まず、光パルス信号41を構成する波長λ1の成分が、位相符号部40-1において、Code-1で位相符号化される。また、光パルス信号41を構成する波長λ2及び波長λ3のそれぞれの成分は、位相符号部40-2及び40-3において、Code-2及びCode-3で位相符号化される。すなわち、SSFBG 40に入力される光パルス信号41は、位相符号部40-1、40-2及び40-3よって波長ホッピング方式による符号化が成されると共に、位相符号部40-1、40-2及び40-3のそれぞれにおいて、Code-1、Code-2及びCode-3による位相符号方式で符号化される。
以上説明したように、SSFBG 40に入力された光パルス信号41は、SSFBG 40で位相符号方式及び波長ホッピング方式による符号化が成されて、符号化光パルス信号43として生成されて、光サーキュレータ44を介して出力される。光サーキュレータ44を介して出力された符号化光パルス信号43は、図5-1の(B)に示す光復号器に入力され、復号化されて光パルス信号として再生される。
図5-1の(B)を参照して、光復号器の概略的構成及びその機能について説明する。図5-1の(B)に示す光復号器は、入出力部である光サーキュレータ46と光サーキュレータ46に接続された光パルス再生部76とを具えている。送信部において生成された上述の符号化光パルス信号43は、光伝送路である光ファイバ(図示を省略してある。)を伝播して、符号化光パルス信号45として光復号器に入力される。
符号化光パルス信号43は、光ファイバ伝送路を伝播する間にその強度が減少すると共に、符号化光パルス信号を構成するチップパルスの時間波形が変化するので、第1光符号器から出力された符号化光パルス信号を符号化光パルス信号43とし、光復号器に入力される符号化光パルス信号を符号化光パルス信号45と書き分けてある。しかしながら、この発明の光符号器及び光復号器の動作説明のためには重要な事項ではないので、符号化光パルス信号の強度の減少およびチップパルスの時間波形の変化については、以下の説明では問題としない。
符号化光パルス信号45は、光サーキュレータ46を介して光パルス再生部76に入力される。光パルス再生部76には、合分波器48と、合分波器48に互いに並列に接続された、第1から第3光パルス再生手段であるSSFBG 52-1、52-2及び52-3が具えられている。合分波器48とSSFBG 52-1、52-2及び52-3との間には、それぞれ光遅延調整器50-1、50-2及び50-3が配置されている。
第1光パルス再生手段であるSSFBG 52-1は、光サーキュレータ46の側から順にCode-1、Code-2及びCode-3が設定された、ブラッグ波長がλ1である3つの位相復号部が設置されている。図5-1の(B)では、光サーキュレータ46の側から順にCode-1、Code-2及びCode-3が設定された位相復号部が設置されている場合を示しているが、この位相復号部の配置の順序は、これに限定されない。例えば、光サーキュレータ46の側から順にCode-2、Code-1及びCode-3が設定された位相復号部を配置しても良い。後述する光遅延調整器50-1、50-2及び50-3に設定する時間遅延量は、光サーキュレータ46の入出力ポートからCode-2、Code-1及びCode-3が設定された各位相復号部までの距離によって定まり、配列順序には依存しないからである。
第2及び第3光パルス再生手段であるSSFBG 52-2及び52-3についても、その構成は第1光パルス再生手段であるSSFBG 52-1と同様であるから、同一の説明を繰り返さない。ただし、SSFBG 52-1に配置される3つの位相復号部のブラッグ波長がλ1である点が、SSFBG 52-2及びSSFBG 52-3と異なる。すなわち、SSFBG 52-2に配置される3つの位相復号部のブラッグ波長はλ2であり、SSFBG 52-3に配置される3つの位相復号部のブラッグ波長はλ3である。
光パルス再生部76に入力された符号化光パルス信号45は、合分波器48で符号化光パルス信号45-1、45-2及び45-3に3分割(強度分割)されて、それぞれ、光遅延調整器50-1、50-2及び50-3を介してSSFBG 50-1、50-2及び50-3に入力される。
SSFBG 52-1に入力された符号化光パルス信号45-1は、その波長がλ1である成分だけがブラッグ反射され、SSFBG 52-2に入力された光パルス信号45-2は、その波長がλ2である成分だけが反射され、及びSSFBG 52-3に入力された光パルス信号45-3は、その波長がλ3である成分だけが反射されて、再び光遅延調整器50-1を通り、合分波器48、及び光サーキュレータ46を介して出力される。
符号化光パルス信号として光復号器に入力される符号化光パルス信号45は、第1光符号器で符号化光パルス信号43として生成されたものである。ここでは、符号化光パルス信号45と符号化光パルス信号43とは、同一の信号として扱う。
符号化光パルス信号43を構成する波長λ1の成分は、第1光符号器の位相符号部40-1で位相符号化されたチップパルス成分である。同様に、符号化光パルス信号43を構成する波長λ2及びλ3の成分は、それぞれ第1光符号器の位相符号部40-2及び40-3で位相符号化されたチップパルス成分である。
従って、第1光符号器の位相符号部40-1でCode-1による位相符号化されたチップパルス成分は、光復号器のSSFBG 52-1に設定されているCode-1による位相復号化するための位相復号部(図5-1の(B)では、最も光遅延調整器50-1に近い位置に配置されている。)によって、位相復号化される。同様に、第1光符号器の位相符号部40-2でCode-2による位相符号化されたチップパルス成分は、光復号器のSSFBG 52-2に設定されているCode-2による位相復号化するための位相復号部(図5-1の(B)では、光遅延調整器50-2から2番目に近い位置に配置されている。)によって、位相復号化される。また、第1光符号器の位相符号部40-3でCode-3による位相符号化されたチップパルス成分は、光復号器のSSFBG 52-3に設定されているCode-3による位相復号化するための位相復号部(図5-1の(B)では、光遅延調整器50-3から一番遠い位置に配置されている。)によって、位相復号化される。
以上説明したように、符号化光パルス信号45の波長がλ1、λ2及びλ3の成分は、それぞれ光復号器のSSFBG 52-1に設定されているCode-1の位相復号部、SSFBG 52-2に設定されているCode-2の位相復号部、及びSSFBG 52-3に設定されているCode-3の位相復号部によって、位相復号化される。一方、符号化光パルス信号45の波長ホッピング方法による復号化は、光遅延調整器50-1、50-2及び50-3に設定する時間遅延量を調整することによって実行される。
光遅延調整器50-1、50-2及び50-3に設定する時間遅延量を調整する手段としては、図5-2に示すように光遅延調整器コントローラを利用する。この光遅延調整器コントローラは、波長ホッピング方式の符号ごとに各光遅延調整器に設定する時間遅延量を定めた調整テーブルを具えており、波長ホッピング方式の符号を変更する際には、この調整テーブルが参照されて、各光遅延調整器に設定する時間遅延量が調整される。
例えば、光遅延調整器50-1に対して、Code-1の符号を対応させる場合には、調整テーブルの50-1とCode-1とが交差する欄に指定されているs ps(ピコ秒)が時間遅延量として設定される。同様に光遅延調整器50-2に対して、Code-1の符号を対応させる場合には、調整テーブルの50-2とCode-1とが交差する欄に指定されているt ps(ピコ秒)が時間遅延量として設定される。このように、光遅延調整器50-1から50-3に対して、それぞれCode-1からCode-Nを対応させる場合には、調整テーブルに示されているそれぞれの対応欄に与えられた時間遅延量が設定される。
なお、光遅延調整器コントローラが常に光遅延調整器に接続されている必要はない。例えば、新規な送受信装置を追加設置する際や、波長ホッピング方式の符号の変更の必要が生じたときのみ、光遅延調整器コントローラを光遅延調整器に接続し、時間遅延量の調整を行うという構成にしてもよい。また、光遅延調整器コントローラ1台を用いて、光遅延調整器の全てを並列に制御する構成としても、あるいは光遅延調整器ごとに専用の光遅延調整器コントローラを設置する構成としてもよい。
以後の説明において、同様に光遅延調整器が利用される場合には、上述したように、光遅延調整器コントローラによって調整される時間遅延量が、光遅延調整器に設定される構成を採用することができる。従って、以後の説明においては、光遅延調整器に時間遅延量を設定する手段である光遅延調整器コントローラに関する説明を省略する。
次に、この符号化光パルス信号45の波長ホッピング方法による復号化について説明する。
符号化光パルス信号45は、第1光符号器によって生成されて出力された符号化光パルス信号43が光ファイバ伝送路を伝送されて光復号器に入力される信号である。従って、符号化光パルス信号45は、波長がλ1、λ2及びλ3である3成分を含む光パルス信号41が、第1光符号器のSSFBG 40に設定された波長ホッピング符号(λ1, λ2, λ3)によって符号化されて生成された信号である。
SSFBG 40に設定される波長ホッピング符号は、第1光符号器の入出力部である光サーキュレータ44の入出力ポートから、ブラッグ波長がそれぞれλ1、λ2及びλ3である位相符号部40-1、40-2及び40-3が設置されている場所までの距離によって決定される。すなわち、光サーキュレータ44の入出力ポートから離れるに従って、時間遅延は増大するように変化するので、光サーキュレータ44の入出力ポートから、位相符号部40-1、40-2及び40-3のそれぞれに至るまでの距離を指定することによって波長ホッピング符号は決定される。
従って、第1光符号器において、波長ホッピング符号によって符号化されて生成された符号化光パルス信号43は、光復号器に入力されると次のようにして、波長ホッピング符号に基づいて復号化される。すなわち、光復号器では、符号化光パルス信号45の、波長がλ1、λ2及びλ3であるチップパルス成分のそれぞれが、同時に光サーキュレータ46の入出力ポートに到達するように、光遅延調整器50-1、50-2及び50-3のそれぞれに設定する時間遅延量を調整することによって、符号化光パルス信号45の波長ホッピング方法による復号化が行われる。
ここで、符号化光パルス信号45の、波長がλ1、λ2及びλ3であるチップパルス成分のそれぞれが、同時に光サーキュレータ46の入出力ポートに到達するように、光遅延調整器50-1、50-2及び50-3のそれぞれに設定する時間遅延量を調整するとは、具体的には次のことである。すなわち、第1光符号器において、光サーキュレータ44の入出力ポートから、位相符号部40-1、40-2及び40-3が設置されている場所までの距離の相違に基づいて、波長がλ1、λ2及びλ3であるそれぞれのチップパルス成分には、相異なる時間遅延量が付加されている。第1光符号器において、波長がλ1、λ2及びλ3であるそれぞれのチップパルス成分に付加された相異なる時間遅延量が、光復号器が具える光遅延調整器50-1、50-2及び50-3のそれぞれに設定する時間遅延量を調整することによって、全て等しくすることである。
上述したように、この発明の光復号器によれば、波長ホッピング符号が変更されて符号化光パルス信号45が送信されてきても、その変更された波長ホッピング符号に対応させて光遅延遅延器50-1、50-2及び50-3のそれぞれに設定する時間遅延量を調整することによって、符号化光パルス信号45の波長ホッピング方法による復号化が行われる。
このことによって、OCDM送受信装置の送信側において、特定のチャンネルの出力ポートを故障等の理由で変更せざるを得なくなった場合、別の波長ホッピング符号が設定されている別のチャンネルから送信したとしても、対応が容易である。すなわち、受信側の具える光復号器がこの発明の光復号器であれば、送られてきた符号化光パルス信号を波長ホッピング符号化するため使われた符号に対応させて、光遅延調整器50-1、50-2及び50-3のそれぞれに設定する時間遅延量を調整し直すことで、光復号器の構成そのものを変更することなく、簡単に対応可能である。
次に、図6を参照して、第1光符号器及び後述する第2光符号器に設置することが可能である位相符号部について、そのブラッグ波長及び設定される位相符号について説明する。また、光復号器に設置する位相復号部について、そのブラッグ波長及び設定される位相符号についても説明する。図6は、光符号器及び光復号器に設置する位相符号部及び位相復号部の種類を整理して示す図である。位相符号部と位相復号部とは、位相符号部で発生させた位相差を位相復号部が相殺するという、それぞれ別の機能を有しているが、ここでは、位相符号部に設定される位相符号と、これを復号化するための位相符号とを区別せずに扱う。すなわち、図6に示す位相符号がCode-i(iは1からnまでの整数であり、nは1以上の整数である。)であって、ブラッグ波長がλj(jは1からnまでの整数である。)である区画は、位相符号部及び位相復号部のいずれを意味するかについて区別して示していない。
図6では、横軸方向に位相符号をCode-1からCode-nまで順に並べてあり、縦軸方向にブラッグ波長がλ1からλnまで順に並べて示している。図6では、位相符号をn通り、ブラッグ波長もn通りと、両者等しい数を揃えて示してあるが、この発明の第1または第2光符号器、及び光復号器をOCDM送受信装置に応用する場合には、一般的に、必ずしも両者等しい数をそろえる必要はない。以後の説明においては、図6に示す位相符号部及び位相復号部a1、a2、b1、b2、c1、c2、d1、及びd2を用いて形成される光符号器及び光復号器について説明する。
図7を参照して位相符号部a1、a2、b1、b2、c1、c2、d1、及びd2を用いて形成される4種類の第1光符号器の構成及びその動作について説明する。図7は、この発明の第1光符号器について、4種類を例にとって示す概略的構成図である。以後の説明において、第1光符号器と第2光符号器とを特に区別する必要がある場合以外、第1光符号器及び第2光符号器と記載せず、単に光符号器と記載する場合もある。例えば、以下に説明する第1光符号器A、B、C及びDは、いずれも単に光符号器A、B、C及びDと記載する。
光符号器Aのチップパルス生成手段は、位相符号部a1及びa2が直列に配列して構成され、光符号器Bのチップパルス生成手段は、位相符号部b1及びb2が直列に配列して構成され、光符号器Cのチップパルス生成手段は、位相符号部c1及びc2が直列に配列して構成され、光符号器Dのチップパルス生成手段は、位相符号部d1及びd2が直列に配列して構成されている。また、光符号器A、B、C及びDそれぞれ入出力部は、それぞれ光サーキュレータ54-a、54-b、54-c及び54-dによって実現されている。
光符号器A、B、C及びDのチップパルス生成手段を構成する全ての位相符号部に設定された位相符号による時間拡散長は、X ps(ピコ秒)である。そして、光符号器Aのチップパルス生成手段は、位相符号部a1からのブラッグ反射光と位相符号部a2からのブラッグ反射光との位相差が2(n-1)X ps(ピコ秒)となるように、位相符号部a1と位相符号部a2との間の空隙が設定されている。位相符号部a1と位相符号部a2との間の空隙を、光の伝播時間に換算して(n-1)X ps(ピコ秒)に設定すると、位相符号部a2からのブラッグ反射光の位相符号部a1からのブラッグ反射光に対する時間遅延量は、この空隙を往復する時間に等しい2(n-1)X ps(ピコ秒)となる。
また、光符号器B、C及びDのチップパルス生成手段は、それぞれ次のように構成されている。すなわち、位相符号部b1からのブラッグ反射光と位相符号部b2からのブラッグ反射光との位相差、位相符号部c1からのブラッグ反射光と位相符号部c2からのブラッグ反射光との位相差及び位相符号部d1からのブラッグ反射光と位相符号部d2からのブラッグ反射光との位相差は、全て2X ps(ピコ秒)となるように、位相符号部b1と位相符号部b2間、位相符号部c1と位相符号部c2間及び位相符号部d1と位相符号部d2間のそれぞれに空隙が設定されている。これらの空隙の間隔も、上述のように、光の伝播時間に換算してX ps(ピコ秒)に設定されている。
ここで、位相符号による時間拡散長とは、次のように定義される。すなわち、位相符号による時間拡散長とは、光パルスが位相符号によってチップパルスの列として時間軸上に拡散された場合、このチップパルスの列が時間軸上で存在する範囲の間隔である。例えば、一つの光パルスに対して、位相符号によって符号化されて生成されたチップパルスの列が、時間軸上で時刻Δ1から時刻Δ2の間にわたって存在する場合、時間拡散長は、|Δ1-Δ2|に等しい。
図8を参照して、図7に示した4種類の光符号器A、B、C及びDによって符号化された、4チャンネル分の符号化光パルス信号を多重化した符号分割多重光パルス信号を、復号化するための光復号器の構成例を説明する。図8は、この発明の光復号器の概略的構成図である。
図8に示す光復号器は、入出力部である光サーキュレータ60と光サーキュレータ60に接続された光パルス再生部とを具えている。図7で示す4種類の光符号器A、B、C及びDによって符号化されて、かつこれらの光符号器で符号化されたそれぞれの符号化光パルス信号を合波して生成された符号分割多重信号は、光伝送路である光ファイバ(図示を省略してある。)を伝播して、符号分割多重信号61として図8に示す光復号器に入力される。
符号分割多重信号61は、光サーキュレータ60を介して光パルス再生部に入力される。光パルス再生部には、合分波器62と、合分波器62に互いに並列に接続された、第1から第n光パルス再生手段が具えられている。合分波器62と第1から第n光パルス再生手段との間には、それぞれ光遅延調整器64-1から64-nが配置されている。
第1光パルス再生手段は、光サーキュレータ60の側から順にCode-1からCode-nが設定された、ブラッグ波長がλnであるn個の位相復号部が、互いの空隙が0となるように設置されている。第2から第n光パルス再生手段のブラッグ波長がそれぞれλn-1からλ1である。
ここで、図7に示した光符号器Aで符号化されたチャンネルの光パルス信号を再生する場合を説明する。この場合光符号器Aの位相符号部a1でブラッグ反射されるチップパルス成分(波長λ1)と、位相符号部a2でブラッグ反射されるチップパルス成分(波長λn)との時間遅延差2(n-1)X ps(ピコ秒)を相殺するように、光遅延調整器に設定する時間遅延量を調整すればよい。図8に示す光復号器において、ブラッグ波長がλ1であり位相符号がCode-1である位相復号部は、第n光パルス再生手段の入出力部に一番近い位置に設定されている。また、ブラッグ波長がλnであり位相符号がCode-nである位相復号部は、第1光パルス再生手段の入出力部から一番遠い位置に設定されている。
図8に示す光復号器に入力される、ブラッグ波長がλ1であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分が光サーキュレータ60の入出力ポートに到達してから、2(n-1)X ps(ピコ秒)だけ遅れて、ブラッグ波長がλnであり位相符号Code-nで符号化されたチップパルス成分が同じく光サーキュレータ60の入出力ポートに到達する。
ブラッグ波長がλ1であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分は、光サーキュレータ60の入出力ポートから出力されると、光遅延調整器64-nを介して第n光パルス再生手段に入力されて、入出力部に一番近い位置に設定されているブラッグ波長がλ1であり位相符号がCode-1である位相復号部でブラッグ反射されることによって位相符号方式による復号化がなされて、再度第n光パルス再生手段から出力されて光遅延調整器64-nを介して光サーキュレータ60の入出力ポートに到達する。この到達時刻を仮にT1とする。
一方、ブラッグ波長がλnであり位相符号Code-nで符号化されたチップパルス成分は、光サーキュレータ60の入出力ポートから出力されると、光遅延調整器64-1を介して第1光パルス再生手段に入力されて、入出力部に一番遠い位置に設定されているブラッグ波長がλnであり位相符号がCode-nである位相復号部でブラッグ反射されることによって位相符号方式による復号化がなされて、再度第1光パルス再生手段から出力されて光遅延調整器64-1を介して光サーキュレータ60の入出力ポートに到達する。この到達時刻を仮にTnとする。
上述のブラッグ波長がλ1であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分が位相符号方式による復号化がなされて光サーキュレータ60の入出力ポートに到達する到達時刻T1と、ブラッグ波長がλnであり位相符号Code-nで符号化されたチップパルス成分が位相符号方式による復号化がなされて光サーキュレータ60の入出力ポートに到達する到達時刻Tnとが等しくなるように、光遅延調整器64-nと光遅延調整器64-1とに設定する時間遅延量を調整することが、波長ホッピング符号による復号化を行うための符号を設定することに相当する。
仮に、ブラッグ波長がλ1であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分が光サーキュレータ60の入出力ポートから出力されてから、位相復号化されて光サーキュレータ60の入出力ポートに戻るまでの時間をt1とし、ブラッグ波長がλnであり位相符号Code-nで符号化されたチップパルス成分が光サーキュレータ60の入出力ポートから出力されてから、位相復号化されて光サーキュレータ60の入出力ポートに戻るまでの時間をtn(ただしt1<tnである。)とする。このとき、光遅延調整器64-nと光遅延調整器64-1とにそれぞれ設定する時間遅延量τn及びτ1(ただし、τ1<τnである。)のそれぞれの値は、(τn-τ1)が、(tn-t1)/2に等しくなるように選択すればよい。なぜならば、ブラッグ波長がλ1であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分及びブラッグ波長がλnであり位相符号Code-nで符号化されたチップパルス成分のそれぞれは、合分波器62から出力されて再び戻ってくるまでに、光遅延調整器64-n及び光遅延調整器64-1を、それぞれ2度通過しているからである。すなわち、合分波器62から出力されてそれぞれの第n及び第1光パルス再生手段に入力される途中で1回、そして第n及び第1光パルス再生手段でブラッグ反射されて合分波器62に戻るときに1回の合計2回、それぞれ光遅延調整器64-n及び光遅延調整器64-1を通過している。
同様に、光符号器Bで符号化されたチャンネルの光パルス信号を再生する場合を説明する。この場合光符号器Bの位相符号部b1でブラッグ反射されるチップパルス成分(波長λ2)と、位相符号部b2でブラッグ反射されるチップパルス成分(波長λn-1)との時間遅延差X ps(ピコ秒)を相殺するように、光遅延調整器に設定する時間遅延量を調整すればよい。図8に示す光復号器において、ブラッグ波長がλ2であり位相符号がCode-1である位相復号部は、第(n-1)光パルス再生手段の入出力部に一番近い位置に設定されている。また、ブラッグ波長がλn-1であり位相符号がCode-2である位相復号部は、第2光パルス再生手段の入出力部から二番目の位置に設定されている。
図8に示す光復号器に入力される、ブラッグ波長がλ2であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分が光サーキュレータ60の入出力ポートに到達してから、2X ps(ピコ秒)だけ遅れて、ブラッグ波長がλn-1であり位相符号Code-2で符号化されたチップパルス成分が同じく光サーキュレータ60の入出力ポートに到達する。
ブラッグ波長がλ2であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分は、光サーキュレータ60の入出力ポートから出力されると、光遅延調整器64-(n-1)を介して第(n-1)光パルス再生手段に入力されて、入出力部に一番近い位置に設定されているブラッグ波長がλ2であり位相符号がCode-1である位相復号部でブラッグ反射されることによって位相符号方式による復号化がなされて、再度第(n-1)光パルス再生手段から出力されて光遅延調整器64-(n-1)を介して光サーキュレータ60の入出力ポートに到達する。この到達時刻を仮にT2とする。
一方、ブラッグ波長がλn-1であり位相符号Code-2で符号化されたチップパルス成分は、光サーキュレータ60の入出力ポートから出力されると、光遅延調整器64-2を介して第2光パルス再生手段に入力されて、入出力部から二番目の位置に設定されているブラッグ波長がλn-1でありであり位相符号がCode-2である位相復号部でブラッグ反射されることによって位相符号方式による復号化がなされて、再度第2光パルス再生手段から出力されて光遅延調整器64-2を介して光サーキュレータ60の入出力ポートに到達する。この到達時刻を仮にTn-1とする。
上述のブラッグ波長がλ2であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分が位相符号方式による復号化がなされて光サーキュレータ60の入出力ポートに到達する到達時刻T2と、ブラッグ波長がλn-1であり位相符号Code-2で符号化されたチップパルス成分が位相符号方式による復号化がなされて光サーキュレータ60の入出力ポートに到達する到達時刻Tn-1とが等しくなるように、光遅延調整器64-(n-1)と光遅延調整器64-2とに設定する時間遅延量を調整することが、波長ホッピング符号による復号化を行うことに相当する。
仮に、ブラッグ波長がλ2であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分が光サーキュレータ60の入出力ポートから出力されてから、位相復号化されて光サーキュレータ60の入出力ポートに戻るまでの時間をt2とし、ブラッグ波長がλn-1であり位相符号Code-2で符号化されたチップパルス成分が光サーキュレータ60の入出力ポートから出力されてから、位相復号化されて光サーキュレータ60の入出力ポートに戻るまでの時間をtn-1(ただしt2<tn-1である。)とする。このとき、光遅延調整器64-(n-1)と光遅延調整器64-2とにそれぞれ設定する時間遅延量τn-1及びτ2(ただし、τ2<τn-1である。)のそれぞれの値は、(τn-1-τ2)が、(tn-1-t2)/2に等しくなるように選択すればよい。
光符号器C及びDで符号化されたチャンネルの光パルス信号を再生する場合についても、上述した光符号器A及びBで符号化されたチャンネルの光パルス信号を再生する場合と同様であるので、重複する説明を省略する。
<第2の実施形態>
図9を参照して、第2光符号器の構成およびその動作について説明する。第2光符号器は、入出力部である光サーキュレータ120と、光サーキュレータ120に接続されたチップパルス生成部とを具えている。チップパルス生成部は、合分波器122と、合分波器122に互いに並列に接続される位相符号部126-1及び126-2を具えており、合分波器122と、位相符号部126-1及び126-2との間には、それぞれ光遅延器124-1及び124-2が配置されている。位相符号部126-1及び126-2のブラッグ波長及び設定されている位相符号は、それぞれ互いに異なっている。図9では、位相符号部を2つ具える第2光符号器について示しているが、2つに限定されるものではない。
位相符号部126-1及び126-2のそれぞれは、ブラッグ波長がそれぞれλ1及びλnである複数の単位回折格子が、光導波路である光ファイバに直列に配置されて構成されたSSFBGである。これらの複数の単位回折格子は、隣接するこれらの単位回折格子からのブラッグ反射光に、位相符号部に設定される位相符号方式の符号に応じて、必要とされる位相差が発生するように配置されている。そして、位相符号部126-1及び126-2に設定されている位相符号は、それぞれCode-1及びCode-nである。
チップパルス生成部が具える位相符号部126-1及び126-2のそれぞれに設定する時間遅延量を変化させることによって波長ホッピング方式の符号を変更することが可能とされている。そして、光サーキュレータ120から入力された光パルスを、光遅延器124-1及び124-2のそれぞれに設定する時間遅延量によって確定される波長ホッピング符号によって波長が異なるチップパルスとして波長ホッピングすると共に、波長の等しいチップパルス同士間に位相差を与えて成るこれらのチップパルスの列に変換して、光サーキュレータ120に戻し、光サーキュレータ120からこのチップパルスの列を符号化光パルス列として出力することが可能とされている。
図9に示す第2光符号器は、2つの位相符号部126-1及び126-2によって形成されているが、位相符号部が2つに限定されるわけではなく、3つ以上具えてもよい。また、2つの位相符号部126-1及び126-2に設定されている位相符号は、それぞれCode-1及びCode-nであり、それぞれのブラッグ波長はλ1及びλnであるから、遅延器124-1に設定する時間遅延量よりも遅延器124-2に設定する時間遅延量を(n-1)X ps(ピコ秒)だけ大きく設定すれば、第1光符号器として図7に示す光符号器Aと同一の機能を有する光符号器となる。
<第3の実施形態>
上述した第1光符号器を、図1に示すOCDM送受信装置の送信部10が具える光符号器14として利用して、上述したこの発明の光復号器を受信部20が具える光復号器24として利用することによって、この発明の第1のOCDM送受信装置が構成される。
OCDM送受信装置で扱われる光パルス信号は、送受信情報が2値デジタル化されたRZフォーマットの光パルス信号であり、RZフォーマットの光パルス信号は、単一の光パルスが時間軸上に2値デジタル化された送受信情報に応じた光パルス列であるので、単一の光パルスに対する動作が確定すれば、OCDM送受信装置で扱われる光パルス信号に対する動作も確定する。従って、以下の説明においては、光パルス信号の代わりに単一の光パルスを取り上げて説明する。
送信部10において、光パルスは、例えば、図7に示すように第1光符号器である光符号器Aが具える位相符号部a1及びa2で位相符号化され、かつ位相符号部a1及びa2の配置によって定まる波長ホッピング符号によって波長ホッピング符号化されて符号化光パルス列として生成される。
この符号化光パルス列は、受信部20に伝送され、受信部20において、図8に示したこの発明の光復号器が具える第1から第n光パルス再生手段において、これら第1から第n光パルス再生手段をそれぞれ構成する単位回折格子のブラッグ波長に等しいチップパルス同士間の位相差が相殺される。一番単純な具体的方法は、既に説明したように、位相復号部a1及びa2を構成する単位回折格子の配置を、光符号器Aが具えるチップパルス生成手段の位相符号部a1及びa2を構成する単位回折格子の配置とは、入出力部に対して逆の順序にするという手段を講ずることである。
第1光符号器である光符号器Aが具える位相符号部a1及びa2の配置によって発生した、波長λ1と波長λnの波長成分のチップパルス同士間の時間遅延差を、図8に示す光復号器が、光遅延調整器64-n及び64-1のそれぞれに設定する時間遅延調整量を調整することによって相殺することが可能であり、波長ホッピング方式による復号化が実行されることについては、既に説明した。
また、上述した第2光符号器を、図1に示すOCDM送受信装置の送信部10が具える光符号器14として利用して、上述したこの発明の光復号器を受信部20が具える光符号器24として利用することによって、この発明の第2のOCDM送受信装置が構成される。
送信部10において、光パルスは、図9に示した第2光符号器が具える位相符号部126-1及び126-2でそれぞれCode-1及びCode-nで位相符号化され、かつ第2光符号器が具える光遅延器124-1及び124-2のそれぞれに設定された時間遅延量によって定まる波長ホッピング符号によって波長ホッピング符号化されて符号化光パルス列として生成される。
この符号化光パルス列は、受信部20に伝送され、受信部20において、図8に示したこの発明の光復号器が具える第1から第n光パルス再生手段において、上述した第1のOCDM送受信装置の場合と同様に、これら第1から第n光パルス再生手段をそれぞれ構成する単位回折格子のブラッグ波長に等しいチップパルス同士間の位相差が相殺される。
第2光符号器が具える光遅延器124-1及び124-2のそれぞれに設定された時間遅延量によって発生した、波長λ1と波長λnの波長成分のチップパルス同士間の時間遅延差を、図8に示す光復号器が、光遅延調整器64-n及び64-1のそれぞれに設定する時間遅延調整量を調整することによって相殺することによって、波長ホッピング方式による復号化が実行される。
図10から図17を参照して、この発明の第1のOCDM送受信装置の動作の確認を行うためのシミュレーションについて説明する。具体的には、第1光符号器で符号化されて光符号分割多重光パルス列として伝送された信号を、この発明の光復号器で、この光復号器に設置されている光遅延調整器に設定する時間遅延量を調整することによって、復号化されることを確かめた。
第2のOCDM送受信装置については、光符号器として第2光符号器を利用している点が異なるだけで、復号化の方法は同一であるので、以下に説明するシミュレーションの結果によって、第2のOCDM送受信装置についての動作も同様に確認される。すなわち、第2のOCDM送受信装置については、波長ホッピング符号による符号が、第2光符号器の構成を変更することなく変更可能である点が異なるだけであるので、第2光符号器で符号化されて光符号分割多重光パルス列として伝送された信号を、この発明の光復号器に設置されている光遅延調整器に設定する時間遅延量を調整することによって、復号化されることは、明らかである。
図10を参照して、シミュレーションに用いた第1光符号器及び光復号器に設置した、位相符号部及び位相復号部のブラッグ波長及び位相符号について説明する。図10は、前述した図6と同様の図であり、シミュレーションに用いた第1光符号部及び光復号部に設置する位相符号部及び位相復号部の種類を整理して示してある。図6と同様に、位相符号部に設定される位相符号と、これを復号化するための位相符号とを区別せずに扱う。すなわち、図10に示す位相符号がCode-i(iは1から4までの整数)であって、ブラッグ波長がλj(jは1または2)であるブロックは、位相符号部及び位相復号部のいずれをも意味する。
図10では、横軸方向に位相符号をCode-1からCode-4まで順に並べてあり、縦軸方向にブラッグ波長がλ1及びλ2を並べて示している。図10では、位相符号を4通り、ブラッグ波長を2通りとしてある。以後、説明するシミュレーションにおいては、図10に示す位相符号部及び位相復号部a1、a2、b1、b2、c1、c2、及びd1、d2を用いて形成される光符号器及び光復号器が使われる。
図11を参照して、シミュレーションに用いた符号化部の構成について説明する。図11は、シミュレーションに用いた符号化部の概略的構成図である。シミュレーションに用いた符号化部は、光符号器A'、B'、C'及びD'が、分波器70と合波器74との間に並列して設けられて構成される。光符号器A'、B'、C'及びD'のそれぞれは、入出力部として光サーキュレータ72-1、72-2、72-3及び72−4を具えている。分波器70の4つの出力端は、それぞれ光サーキュレータ72-1、72-2、72-3及び72−4の入力ポートに接続されている。また、光サーキュレータ72-1、72-2、72-3及び72−4の出力ポートは、それぞれ合波器74の4つの入力端に接続されている。
分波器70に入力された光パルス列69は、分波器70によって光パルス70-1、70-2、70-3及び70-4に分岐されて、それぞれ光符号器A'、B'、C'及びD'に入力されて、それぞれ符号化されて符号化光パルス列73-1、73-2、73-3及び73-4として生成されて出力される。符号化光パルス列73-1、73-2、73-3及び73-4は、合波器74で合波されて光符号分割多重光パルス列75として生成されて出力される。
光符号器A'のチップパルス生成手段は、位相符号部a1及びa2が直列に配列して構成され、光符号器B'のチップパルス生成手段は、位相符号部b1及びb2が直列に配列して構成され、光符号器C'のチップパルス生成手段は、位相符号部c1及びc2が直列に配列して構成され、光符号器D'のチップパルス生成手段は、位相符号部d1及びd2が直列に配列して構成されている。また、光符号器A'、B'、C'及びD'それぞれの入出力部は、それぞれ光サーキュレータ72-1、72-2、72-3及び72−4によって実現されている。
光符号器A'、B'、C'及びD'のチップパルス生成手段を構成する全ての位相符号部に設定された位相符号による時間拡散長は、全て25 ps(ピコ秒)である。そして、光符号器A'のチップパルス生成手段は、位相符号部a1からのブラッグ反射光と位相符号部a2からのブラッグ反射光との位相差が50 ps(ピコ秒)となるように、位相符号部a1と位相符号部a2との間の空隙が設定されている。また、光符号器B'のチップパルス生成手段は、位相符号部b1からのブラッグ反射光と位相符号部b2からのブラッグ反射光との位相差が50 ps(ピコ秒)となるように、位相符号部b1と位相符号部b2との間の空隙が設定されている。
光符号器C'のチップパルス生成手段は、位相符号部c1からのブラッグ反射光と位相符号部c2からのブラッグ反射光との位相差が0 ps(ピコ秒)となるように、位相符号部c1と位相符号部c2との間の空隙が設定されている。また、光符号器D'のチップパルス生成手段は、位相符号部d1からのブラッグ反射光と位相符号部d2からのブラッグ反射光との位相差が0 ps(ピコ秒)となるように、位相符号部d1と位相符号部d2との間の空隙が設定されている。
ここで、位相符号部a1、a2、b1、b2、c1、c2、d1、及びd2に設定されている符号であるCode-1、Code-2、Code-3及びCode-4を、表1に一覧にして示す。Code-1、Code-2、Code-3及びCode-4の符号長は15である。
図12を参照して、図11に示した4種類の光符号器A'、B'、C'及びD'によって符号化された、4チャンネル分の符号化光パルス列73-1、73-2、73-3及び73-4を多重化した光符号分割多重光パルス列75を、シミュレーションに用いた復号化するための光復号器の構成を説明する。図12は、シミュレーションに用いた光復号器の概略的構成図である。
図12に示す光復号器は、入出力部である光サーキュレータ80と光サーキュレータ80に接続された光パルス再生部とを具えている。図11で示す4種類の光符号器A'、B'、C'及びD'によって符号化されて、かつこれらの光符号器で符号化された符号化光パルス列73-1、73-2、73-3及び73-4を合波して生成された光符号分割多重光パルス列75は、光伝送路である光ファイバ(図示を省略してある。)を伝播して、光符号分割多重光パルス列79として図12に示す光復号器に入力される。
符号分割多重パルス列79は、光サーキュレータ80を介して光パルス再生部に入力される。光パルス再生部には、合分波器82と、合分波器82に互いに並列に接続された、第1及び第2光パルス再生手段が具えられている。合分波器82と第1及び第2光パルス再生手段との間には、それぞれ光遅延調整器84-1及び84-2が配置されている。
第1光パルス再生手段は、光サーキュレータ80の側から順にCode-1からCode-4が設定された、ブラッグ波長がλ1である4個の位相復号部が、互いの空隙が25 ps(ピコ秒)となるように設置されている。第2光パルス再生手段は、光サーキュレータ80の側から順にCode-1からCode-4が設定された、ブラッグ波長がλ2である4個の位相復号部が、互いの空隙が25 ps(ピコ秒)となるように設置されている。また、位相復号部a1、a2、b1、b2、c1、c2、及びd1、d2の時間拡散長は25 ps(ピコ秒)である。
図13から図17を参照して、この発明の第1のOCDM送受信装置による符号化及び復号化について行ったシミュレーションの結果を、具体的に説明する。
図13は、シミュレーションにおいて想定したOCDM送受信装置の概略的ブロック構成図である。シミュレーションにおいて想定したOCDM送受信装置では、まず、波長がλ1及びλ2の連続波光を発生させる光源100及び102を具え、光源100及び102から出力される、波長がλ1及びλ2の連続波光を合波器104で合波することによって、波長がλ1及びλ2を含む連続波光105を生成する。連続波光105を電界吸収型変調器(Electroabsorption Modulator、以後、EA変調器という。)106に入力して、10GHzの繰り返し周波数の光パルス列69に変換して出力し、この光パルス列69を符号化部110に入力する。
符号化部110は、図11に示す符号化部であって、詳細は省略して示してある。光パルス列69は、分波器70で4分波されて、それぞれ分波器70に対して並列して配置されている光符号器A'、B'、C'及びD'に入力される。光符号器A'、B'、C'及びD'において、それぞれの光符号器に設定された符号に基づいて符号化された符号化光パルス列は合波器74で合波されて光符号分割多重光パルス列75として生成されて、符号化部110から出力される。
符号化部110から出力された光符号分割多重光パルス列75は、光増幅器114で増幅されて、図12を参照して説明した光復号器116に入力されて復号化されて光パルス列117として再生されて出力される。
図14(A)、(B)及び(C)を参照して、図13に示したOCDM装置による符号化及び復号化動作について説明する。図14(A)、(B)及び(C)は、入力光パルス列及び符号分割多重光パルス列の時間波形、並びにスペクトル波形を示す図である。図14(A)及び(C)において、横軸は時間軸であり100 ps(ピコ秒)に相当する時間間隔を、横軸に平行な線分の両端に矢印をつけて示してある。縦軸は、それぞれ光強度をmW単位で目盛って示してある。図14(B)の横軸は波長をμm単位で目盛って示してあり、縦軸は光強度をdBm単位で目盛って示してある。
図14(A)に示す時間波形は、図13に示すOCDM送受信装置において、EA変調器106から出力される光パルス列69の時間波形である。光パルス列69は、10GHzで変調されてEA変調器106から出力された光パルス列であるので、100 ps(ピコ秒)間隔で光パルスが並んだ光パルス列である。また、このシミュレーションで利用した光パルスは、図14(B)に示すように、中心波長が1550nm(=λ1)及び1559.6nm(=λ2)である2波長成分を含んでいる。図14(C)に示す時間波形は、図13に示すOCDM送受信装置において、符号化部110から出力された光符号分割多重光パルス列75の時間波形である。光符号分割多重光パルス列75は、光符号器A'、B'、C'及びD'のそれぞれにおいて符号化された符号化光パルス列が多重化されているので、極めて多数の光パルスの列から構成されていることがわかる。
図15(A)から(D)を参照して、符号化部110を構成する光符号器A'、B'、C'及びD'からそれぞれ出力される符号化光パルス列の時間波形について説明する。図15(A)から(D)は、光符号器A'、B'、C'及びD'からそれぞれ出力される符号化光パルス列の時間波形を示す図である。横軸は時間軸であり100 ps(ピコ秒)に相当する時間間隔を、横軸に平行な線分の両端に矢印をつけて示してある。縦軸は、それぞれ光強度をμW単位で目盛って示してある。図15(A)から(D)に示す時間波形を足し合わせた時間波形が、図14(C)に示した光パルス列75の時間波形となる。
図14(C)に示した時間波形を有する光パルス列75は、実用上では、数十キロメートルの長さの光伝送路を伝播して受信部に伝送される。従って、光パルス列75は、この光伝送路に入力される前に、受信側で十分な強度を持って受信されるために必要な程度の光パルス列として増幅される。そこで、今回のシミュレーションにおいても、光パルス列75を光増幅器114によって増幅して、光パルス列115として十分な強度を有する信号として光伝送路に入力する構成とした。
図16(A)から(E)を参照して、一例として、光符号器B'で符号化された符号化光パルス列を、光復号器116で復号化される様子を説明する。図16(A)から(E)は、光符号器B'で符号化された符号化光パルス列の復号化の説明に供する図である。すなわち、光符号器B'で符号化された符号化光パルス列73-2が、光復号器116で復号化されて出力される光パルス列117の時間波形を示す図である。横軸は時間軸であり100 psに相当する時間間隔を、横軸に平行な線分の両端に矢印をつけて示してある。縦軸は、それぞれ光強度をμW単位で目盛って示してある。光復号器116の構成の詳細は、図12に示されているので、以下では図12を適宜参照しつつ説明する。
まず、光復号器116(図12参照)の光遅延調整器84-1に設定する時間遅延量を0 psとする。この状態で光遅延調整器84-2に設定すべき時間遅延量75 psから-2 ps小さい値(73 ps)から1 psずつ増大させて+2 ps大きな値(77 ps)まで変化させた。図16(A)から(E)のそれぞれに示す時間波形は、光遅延調整器84-2に設定された時間遅延量を、後述する75 psから-2 ps、-1 ps、0 ps、+1 ps及び+2 psだけずらせて設定した場合に得られた時間波形である。光遅延調整器84-1に設定する時間遅延量を0 psとした場合、この状態で光遅延調整器84-2に設定すべき時間遅延量が75 psとなる理由は、後述する。
図16(A)から(E)を比較すると、光遅延調整器84-2に設定すべき時間遅延量である75 psからのずれ量を0 psとした場合の時間波形を示す図16(C)において、100 ps間隔に並ぶ強度の大きな光パルス列が認められる。すなわち、図16(C)に示すように、光遅延調整器84-2の時間遅延量を75 psとした場合に、光符号器B'で符号化された符号化光パルス列が、光パルス列として再生されることが確かめられた。
上述の、光符号器B'で符号化された符号化光パルス列が、上述のように光復号器116で復号化される原理を、図11及び図12を参照して説明すると次のようになる。
ブラッグ波長がλ2であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分が光サーキュレータ80の入出力ポートから出力されてから、位相復号化されて光サーキュレータ80の入出力ポートに戻るまでの時間をt1とし、ブラッグ波長がλ1であり位相符号Code-4で符号化されたチップパルス成分が光サーキュレータ80の入出力ポートから出力されてから、位相復号化されて光サーキュレータ80の入出力ポートに戻るまでの時間をt4(ただしt1<t4である。)とする。
ブラッグ波長がλ1であり位相符号Code-4で符号化されたチップパルス成分は、75 psかかって光サーキュレータ80から位相復号部b2に到達してブラッグ反射されて、75 psかかって位相復号部b2から光サーキュレータ80に到達する。従って、ブラッグ波長がλ1であり位相符号Code-4で符号化されたチップパルス成分は、光サーキュレータ80から出力後、位相復号部b2に到達してブラッグ反射されて再び戻ってくるまでに、150 ps(=75 ps×2)の時間がかかっていることになる。
一方、ブラッグ波長がλ2であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分は、光サーキュレータ80から位相復号部b1に直ちに到達して直ちにブラッグ反射されて光サーキュレータ80に戻るので、遅延時間は0 psであるとみなすことができる。従って、ブラッグ波長がλ1であり位相符号Code-4で符号化されたチップパルス成分は、ブラッグ波長がλ2であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分よりも150 ps遅れて光復号器B'を出力される。
光伝送路を伝播するブラッグ波長がλ1であり位相符号Code-4で符号化されたチップパルス成分と、ブラッグ波長がλ2であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分とは同一の速度で伝播するとみなせるので、図12に示す光復号器の入出力部である光サーキュレータ80に、ブラッグ波長がλ1であり位相符号Code-4で符号化されたチップパルス成分は、ブラッグ波長がλ2であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分よりも150 ps遅れて到達する。
従って、ブラッグ波長がλ2であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分に対する、ブラッグ波長がλ1であり位相符号Code-4で符号化されたチップパルス成分の150 psだけの遅れを相殺するには、光復号器において、ブラッグ波長がλ1であり位相符号Code-4で符号化されたチップパルス成分に対して、ブラッグ波長がλ2であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分が150 psだけ遅れるようにすればよい。
従って、ブラッグ波長がλ2であり位相符号Code-1で符号化されたチップパルス成分が光サーキュレータ80の入出力ポートから出力されてから、位相復号化されて光サーキュレータ80の入出力ポートに戻るまでの時間をt1とし、ブラッグ波長がλ1であり位相符号Code-4で符号化されたチップパルス成分が光サーキュレータ80の入出力ポートから出力されてから、位相復号化されて光サーキュレータ80の入出力ポートに戻るまでの時間をt4としたとき、t4−t1=150 psとなるように設定すればよいことがわかる。
従って、図12に示す光復号器において、光遅延調整器84-2と光遅延調整器84-1とにそれぞれ設定する時間遅延量τ4及びτ1(ただし、τ1<τ4である。)のそれぞれの値は、(τ4-τ1)=(t4-t1)/2となるように選択すれば、正しく復号化される。そこで、τ4-τ1=75 psと設定(すなわち、τ4=75 ps、τ1=0 psと設定)すれば、正しく復号化されることになる。
同様に、光符号器A'、C'及びD'でそれぞれ符号化された符号化光パルス列についても、光復号器116で復号化されることを確かめた。図17(A)から(D)を参照して、光符号器A'、C'及びD'でそれぞれ符号化された符号化光パルス列の復号化について説明する。図17(A)から(D)は、光符号器A'、B'、C'及びD'で符合化された符号化光パルス列の自己相関波形を示す図である。すなわち、光遅延調整器84-2と光遅延調整器84-1とにそれぞれ設定する時間遅延量が、図11に示す光符号器A'、B'、C'及びD'がそれぞれ具える位相符号部a1、a2、b1、b2、c1、c2、d1及びd2の配置によって発生した、波長成分がλ1、λ2、λ3及びλ4の波長成分のチップパルス同士間の時間遅延差を相殺するように調整したときに、光復号器116から出力される光パルス列117の時間波形を示す図である。
図17(A)から(D)の横軸は時間軸であり100 psに相当する時間間隔を、横軸に平行な線分の両端に矢印をつけて示してある。縦軸は、それぞれ光強度をμW単位で目盛って示してある。図17(B)に示す自己相関波形は、図16(A)から(E)を参照して説明した、光符号器B'で符号化された符号化光パルス列が光パルス列として再生された場合を示しており、図16(C)と同一の図である。
図17(A)に示す自己相関波形は、光符号器A'で符号化された符号化光パルス列を、光復号器116で復号化された場合を示しており、図17(C)に示す自己相関波形は、光符号器C'で符号化された符号化光パルス列を、光復号器116で復号化された場合を示しており、図17(D)に示す自己相関波形は、光符号器D'で符号化された符号化光パルス列を、光復号器116で復号化された場合を示している。図17(A)から(D)に示すいずれの時間波形も、強度の大きな光パルスが100 ps間隔に並ぶ光パルス列が認められる。すなわち、光符号器A'、B'、C'及びD'で符号化された符号化光パルス列が、それぞれ光パルス列として再生されることが確かめられた。
なお、この発明の光復号器の光遅延調整器及び第2光符号器の光遅延器としては、例えば、ジェネラルフォトニックス社のVariDelay(ジェネラルフォトニックス社:General Photonics Corporation 2005年発行のカタログ参照)等を適宜利用することができる。