JP4305731B2 - 動力作業機の静電気除去装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワーブロワー、動力散布機等の動力作業機の静電気除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
前記パワーブロワー、動力散布機等の動力作業機は、作業者に背負われて使用され、空冷4サイクル、空冷2サイクルガソリンエンジン等の原動機と、該原動機によって駆動させられるブロワーのファンケース、燃料タンク、エアークリーナ、さらには薬剤タンク等で構成され、前記原動機本体部分以外の殆どの部材は、軽量化のために合成樹脂で構成されている。
【0003】
前記結果として、例えば、前記パワーブロワーの場合には、作業中に砂、その他のゴミ等を吸い込み、該砂、その他のゴミと、それ等が流過する前記ファンケース等との摩擦により静電気が発生し、該静電気が作業機各部に蓄積され、作業者が前記作業機各部に接触すると、強烈な電気的衝撃を受けることがあった。
【0004】
また、前記動力散布機では、前記ブロワーによって前記薬剤タンクから吐出される粉粒体と、噴管を構成する撓み噴管、直噴管、曲噴等との摩擦により、前記パワーブロワーと同様に静電気が発生し、前記噴管、その他の作業機各部に蓄積されるものであった。
【0005】
前記のごとくして前記動力作業機各部に発生及び蓄積される静電気を除去するため、前記動力作業機から地面に到達するアース部材を吊り下げることが行われている(例えば、特許文献1参照)。その他、静電気を空中へ放電することも行われている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
実公昭61−45898号公報
【0007】
【特許文献2】
実公平4−37641号公報
前記特許文献1の場合には、鎖等のアース部材を準備する必要があるとともに、作業中に前記アース部材が作業者歩行の邪魔になる等して取扱いが面倒であり、作業者が踏み付けて転倒したり、また、踏み付けにより前記アース部材を切断したり、さらに前記アース部材が接続された作業機本体部分を損傷する等のおそれがあった。また、前記特許文献2の場合も同様に、特殊構成部材を準備する必要があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記事情に鑑み、従来のごとき、鎖等特別のアース専用部材等を準備する必要がなく、簡単な構成により、前記動力作業機各部に発生する静電気、特に、操作ハンドル部の静電気を効果的に除去することができる静電気除去装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1に示す本発明は、操作ハンドルと、該操作ハンドルの内部に延長されたスロットルケーブルとを、導電材を介して導電接続せしめたことを特徴とする。
【0010】
前記請求項1の発明は、従来、スロットルケーブル(のインナーケーブル)として導電材であるスチールワイヤーが使用されていることに鑑み、前記スロットルケーブルをアースとして利用するものである。すなわち、作業中に作業機各部に発生し、特に、操作ハンドルに溜まった静電気を、前記導電材及びスロットルケーブルを介してキャブレター部に導いて放出するものである。なお、前記キャブレターにおける静電気の放出は、消費燃料等により行われる。
【0011】
請求項2に示す本発明の実施の一形態は、前記請求項1の導電材が、前記操作ハンドルの外側面に導出され、導出された前記導電材に放電板を導電接続せしめたことを特徴とする。なお、前記放電板は、出来る限り面積が大きいことが好ましい。
【0012】
この請求項2の実施の一形態によれば、作業中に作業機各部に発生した静電気のうち、特に、操作ハンドルに至った静電気が前記放電板に集められ、該放電板に集められた静電気が、前記導電材及びスロットルケーブルを介して前記キャブレターに供給されて放出される。また、前記放電板自体からも作業者の体を介する等して放出が行われる。
【0013】
また、前記放電板の面積を大きくすると、前記操作ハンドルに帯電した静電気が効果的に集められ、前記導電材及び前記スロットルケーブルを介して前記キャブレターに供給されて放出される。また、前記放電板からも放出される。
【0014】
請求項3に示す実施の一形態は、前記請求項2の前記放電板を、前記操作ハンドルのグリップ部に設けたことを特徴とする。この請求項3の実施の一形態によれば、前記放電板は、作業中、作業者の手によって常に握り締められることになる。したがって、前記導電体及びスロットルケーブルを介したキャブレターからの静電気の放出に加えて、作業者自身がアースとして機能し、特に、前記操作ハンドル、さらに、その他の作業機各部における静電気の帯電が有効に防止される。
【0015】
請求項4に示す実施の一形態は、前記請求項1の前記スロットルケーブルが、ボーデンケーブルのインナーケーブルであることを特徴とする。すなわち、従来、一般に、キャブレターの操作は、操作ハンドルのグリップ部との間をボーデンケーブルで連繋して行っている。すなわち、前記ボーデンケーブルのインナーケーブル(スチールワイヤー)によって、前記グリップ部のスロットルレバーと前記キャブレター間が連結され、前記ボーデンケーブルを構成するアウターチューブの両端は、作業機側に固定されて前記インナーケーブルを案内している。
【0016】
前記構成において、前記スロットルレバーと連結されるのは前記インナーケーブルのみである。この実施の一形態は、前記ボーデンケーブルのアウターチューブから引き出され田前記インナーケーブル部分に、前記導電材を接触させて前記操作ハンドルとを導電接続するものであり、従来、一般に採用されているボーデンケーブル構成をそのまま利用できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の一形態に係るパワーブロワーのハンドルグリップ部の要部横断面図、図2は、二つ割り半部の一方を取り外した図1の要部正面図、図3は、動力作業機の一例としてのパワーブロワーの斜視図である。
【0018】
図3には、本発明を実施した動力作業機の一例として、背負い式のパワーブロワーPが示されている。該パワーブロワーPは、背負フレーム20と該フレーム20に取り付けられた空冷2サイクルガソリンエンジンよりなる原動機ユニット21及び遠心ブロワー22を有し、前記原動機ユニット21によって前記ブロワー22を駆動すると、該ブロワー22が吸入空気を加圧して噴管23から外部に噴出する構成になっている。
【0019】
図中、24は背負いバンド、25は操作ハンドルであり、作業者が前記パワーブロワーPを前記背負いバンド24で背負った状態において、前記噴管23が作業者の右側に位置し、前記操作ハンドル25が作業者の左側に位置するように構成されている。また、前記操作ハンドル25は作業者が把持して、矢印X方向の任意の角度に傾倒させることができるにように構成されている。
【0020】
図1及び図2には、前記操作ハンドル25の実施の一形態が示されている。まず、前記操作ハンドル25の先端部が、合成樹脂一体成形品である二つ割り構成のグリップ部1とされ、該グリップ部1に、回動式スロットルレバー2が設けられている。
【0021】
前記スロットルレバー2は、合成樹脂製の円盤状基部3の周面から突出一体形成され、該円盤状基部3の中心が金属製ビス4及びナット5によって、前記グリップ部1の内部に回動自在に支持されてなる。その他、前記グリップ部1には、図示しないが、エンジン停止スイッチ等が設けられる。
【0022】
さらに前記操作ハンドル25及び前記グリップ部1の内部に、前記原動機ユニット21のキャブレター21aからボーデンケーブル6が延長され、該ボーデンケーブル6を構成するインナーケーブル7(スチールワイヤー)の先端部7aが、前記円盤状基部3の適位置に連結される。図面実施の一形態では、前記インナーケーブル7の前記先端部7aに円柱状ストッパー8を固着し、該円柱状ストッパー8を、前記円盤状基部3の適位置に予め設けた円筒係止孔9に適合させている。
【0023】
また、前記ボーデンケーブル6を構成するアウターチューブ10の先端部10aが、前記円盤状基部3から離された地点で前記グリップ部1に保持される。図面実施の一形態では、前記アウターチューブ10の前記先端部10aが、前記グリップ部1内に、予め形成された保持部11に適合させられて保持されている。
【0024】
前記構成において、前記ボーデンケーブル6の先端には、該ボーデンケーブル6を形成する前記アウターチューブ10によりカバーされない前記インナーケーブル7の前記先端部7aが露出形成される。
【0025】
本発明では、前記インナーケーブル7の先端部7aに、適度の弾性を有する導電材12の、摺動抵抗とならぬ様に丸く曲げられた一端部12aが軽く圧接状に接触させられ、該導電材12のL形に曲げられた他端部12bが、前記操作ハンドル25側に固定される。すなわち、前記操作ハンドル25、好ましくは該操作ハンドル25の前記グリップ部1と、該操作ハンドル25の内部に延長された前記スロットルケーブル7とが、導電材12を介して導電接続される。
【0026】
なお、図面実施の一形態では、前記導電材12の前記他端部12bを、前記操作ハンドル25の外側面に導出し、導出された前記導電材12に所定表面積を有する円盤状の放電板13を導電連結している。すなわち、図面実施の一形態では、前記導電材12の前記他端部12bを、直接前記操作ハンドル25の外側面に延長して導出することなく、製造上の便宜のため、前記導電材12の前記他端部12bと、前記操作ハンドル25の外側面の放電板13とを、金属製リベット14にて導電固着してなる。
【0027】
なお、前記構成にあって、前記導電材12は、予め所定幅に構成される。すなわち、前記スロットルレバー2の操作時には、前記インナーケーブル7の前記先端部7aは、一直線状に引張及び復帰させられずに、前記円盤状基部3の回動によって所定角度で屈曲揺動させられる(図2参照)。したがって、前記導電材12は、前記インナーケーブル7の前記先端部7aが揺動した場合にも、関連部材3、7、8、12が互いに外れることがなく、常に適切に各部材の動きを案内して接続を維持する幅及び形状に予め構成される。
【0028】
前記構成によれば、作業中に、動力作業機Pに発生し、特に、操作ハンドル部1に至った静電気を、導電材12、スロットルケーブル7を介してキャブレター21aに導いて放出し、さらに放電板13及び作業者自身を介して放出するため、作業者が強烈な電気的衝撃を受けることが防止される。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る動力作業機の静電気除去装置によれば、鎖等特別のアース専用部材等を準備する必要がなく、簡単な構成により、前記動力作業機各部に発生する静電気、特に、操作ハンドル部の静電気を効果的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るパワーブロワーのハンドルグリップ部の要部横断面図である。
【図2】二つ割り半部の一方を取り外した図1の要部正面図である。
【図3】動力作業機の一例としてのパブロワーの斜視図である。
【符号の説明】
1 グリップ部
6 ボーデンケーブル
7 スロットルケーブル(インナーケーブル)
12 導電材
13 放電板
25 操作ハンドル

Claims (4)

  1. 操作ハンドル(25)と、該操作ハンドル(25)の内部に延長されたスロットルケーブル(7)とを、導電材(12)を介して導電接続せしめたことを特徴とする動力作業機の静電気除去装置。
  2. 前記導電材(12)が、前記操作ハンドル(25)の外側面に導出され、導出された前記導電材(12)に放電板(13)を導電接続せしめたことを特徴とする請求項1に記載の動力作業機の静電気除去装置。
  3. 前記放電板(13)を、前記操作ハンドル(25)のグリップ部(1)に設けたことを特徴とする請求項2に記載の動力作業機の静電気除去装置。
  4. 前記スロットルケーブル(7)が、ボーデンケーブル(6)のインナーケーブル(7)であることを特徴とする請求項1に記載の動力作業機の静電気除去装置。
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