JP4304990B2 - 炭酸カルシウムの製造方法 - Google Patents

炭酸カルシウムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は製紙填料用の炭酸カルシウムを製造する方法であって、硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の蒸解液を再生する苛性化工程において、副生する炭酸カルシウムに製紙填料用の原料としての適性を与える方法に関するものであり、更に詳しくは、使用する酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムの硫黄含有率を規定することにより、製紙填料用の高白色炭酸カルシウムを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷あるいは筆記用に使用される紙には、白色度、不透明度、平滑性、筆記性、手触り、印刷適性等の改良を目的として通常、填料が内添されている。この抄紙方法としては、填料にタルク、クレー、酸化チタン等を使用してpH=4.5付近で紙を抄くいわゆる酸性抄紙と、pH=7〜8.5の中性〜弱アルカリ性領域で紙を抄く中性抄紙とがある。中性抄紙では、輸入品で高価なタルク、クレーに代えて、国産の炭酸カルシウムを填料として使用することができるという特徴がある。
【0003】
酸性で抄紙した紙は経年により劣化が進行するという欠点があることから、この紙の保存性等の問題から、中性抄紙によって抄紙される中性紙が近年、注目されるようになった。また、中性紙には、この他にも紙質、コスト、環境対策等の面でもメリットが多いことから、中性抄紙への移行が進んでおり、今後もその普及が拡大する情勢にある。また、最近の紙を需要面からみると、商業印刷では、チラシ、カタログ、パンフレット、ダイレクトメール等の分野が伸びており、出版印刷では、情報化社会の進展と共にコンピュータ、マルチメデイア、ファミコン関連書籍、雑誌、写真集、ムック、コミック紙の分野の伸びが大きい。この様な背景から、用紙のコストダウンの要請は一層強まっており、使用する紙に対しては、低価格化や軽量化が求められている。
【0004】
このように、安価で軽量な中性紙の要求が高まってくる中で、填料としての炭酸カルシウムの位置付けは非常に重要である。この中性抄紙に填料として用いられる炭酸カルシウムには、天然の石灰石を乾式或いは湿式で機械粉砕して製造する重質炭酸カルシウムと、化学的方法によって製造する軽質炭酸カルシウム(沈降性炭酸カルシウム、合成炭酸カルシウムとも称される)がある。ところが、天然石灰石をボールミル等の粉砕機で粉砕して得られる重質炭酸カルシウムは、粉砕粒子表面にシャープエッジが生じるため、填料として使用した場合、プラスチックワイヤーを激しく摩耗させてしまう。さらに、出発原料である石灰石を微粉砕した時の粒子径分布は、反応条件を制御して製造した軽質炭酸カルシウムに比べて極めてブロードなため、この填料を使用して抄紙した場合には、嵩、白色度、不透明度、平滑性、筆記性、手触り、印刷適性等の品質において不十分である。
【0005】
これまでの軽量印刷用紙の不透明度を向上させる手段としては、例えば微粉砕シリカ、ホワイトカーボン等の比表面積の大きい填料や、例えば二酸化チタンや軽質炭酸カルシウム等の屈折率の高い填料が使用されてきた。
【0006】
この軽質炭酸カルシウムはプラスチックワイヤー摩耗度が低いという特性を持っているが、その製造方法としては、次の方法が知られている。
(1)石灰の焼成装置などから発生する二酸化炭素を含有したガスと、石灰乳との反応。
(2)アンモニアソーダ法における炭酸アンモニウムと塩化カルシウムとの反応。
(3)炭酸ナトリウムの苛性化によって水酸化ナトリウムを製造するという、石灰乳と炭酸ナトリウムとの反応。
これらの方法のうち、(2)、(3)においては、その主生産物を得る製造法が新たな方法に転換されたり、生成する炭酸カルシウムが副産物であることから不純物含量が多い、などの理由で、その利用方法についてはあまり検討されていないのが実状である。一方、(1)は、反応系が比較的単純であり、様々な用途毎に目的に合った炭酸カルシウムを製造する方法について広く研究が進み、石灰メーカーから市販されている商品も数多く見られる。しかしながら、この方法は炭酸カルシウムが唯一の生産物であることから、製造コストが非常に高くなるため、安価な紙には使用しにくく、その使用量が大きく制限されている。
【0007】
硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程において、蒸解薬品を回収・再生する苛性化工程で白液を製造する際に生成する炭酸カルシウムは副産物であり、これを製紙用原料として使用する方法では、安価な炭酸カルシウムを得ることができる。硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程では、木材からパルプ繊維を取り出すために、木材チップに水酸化ナトリウムや硫化ナトリウムを溶解した白液を添加して高温、高圧下で蒸解する。パルプ繊維は固相として分離精製され、蒸解廃液(黒液)は濃縮された後、回収ボイラーで燃焼される。その場合、リグニンやヘミセルロースなどの有機性の木材溶出成分は熱源となり、薬液中の無機物は炭酸ナトリウムや硫化ソーダとの混合物を主成分とするスメルトとして回収される。スメルトは、弱液と呼ぶ白液成分が一部溶解した水溶液に溶解して緑液とする。この緑液と酸化カルシウムを混合して、下記[1]、[2]式で示す消和と苛性化の二段反応により、炭酸ナトリウムを水酸化ナトリウムに転換し、白液を再生すると同時に炭酸カルシウムが副生する。パルプ工場では緑液と酸化カルシウムをスレーカーと呼ばれる反応槽で混合するため、実際にはこの二段の反応は同時に進行する。
CaO+H2O→Ca(OH)2 [1]
Ca(OH)2+Na2CO3→CaCO3+2NaOH [2]
ここで生成する炭酸カルシウムは、主生産物である白液を製造する際の副産物であるため、製紙原料として使用した場合、非常に低コストで利用できる。また、閉鎖系である苛性化工程のカルシウム循環サイクルから、炭酸カルシウムを系外に抜き取ることによって、系内の清浄化及び循環石灰の高純度化が達成され、上記[1]、[2]の反応性向上や白液の清澄性向上、さらには廃棄物の低減が期待できる。しかし、この従来の方法では上記[1]、[2]の反応が殆ど同時に起こるため、得られる炭酸カルシウムの形状は、ほとんどは塊状であり、重質炭酸カルシウムに近いものであった。従ってこれを粉砕し、填料として抄紙した場合、プラスチックワイヤーの摩耗性が大きく、また重質炭酸カルシウムを微粉砕した時と同様の理由により、白色度、不透明度、平滑性、筆記性、手触り、印刷性等において不十分である、等の問題を抱えていた。このように従来の苛性化方法で得られる炭酸カルシウムは、抄紙時にプラスチックワイヤー摩耗性が劣り、また、この炭酸カルシウムを填料として使用した場合、印刷品質を維持しながら不透明性の高い紙を得るためことは困難であった。
【0008】
以上のような状況から、ワイヤー摩耗性に優れ、これを填料に用いた場合には不透明性が高く印刷品質等の優れた紙を提供するため、本発明者らは、苛性化工程を利用して製造する軽質炭酸カルシウムの形状をコントロールする技術を研究し、特定の反応条件下で、米粒状、紡錘状、針状、イガグリ状と言った安価な炭酸カルシウムを製造する技術を確立し、これを出願し、特許登録(特許文献1、2参照)または公開されている(特許文献3〜7参照。)。これらの苛性化反応改良法で生成する軽質炭酸カルシウムは、粒子が従来法に比べ極めて微細であり、形状が米粒状や紡錘状などを呈し、製紙填料として使用した場合には、プラスチックワイヤーの摩耗性が低く、紙品質の向上等において優れた性能が得られる。しかし、これら改良法で製造した炭酸カルシウムは、製造工程がクラフトパルプ製造工程の一部であるため、クラフトパルプ製造工程の変動の影響を受けやすく、得られる軽質炭酸カルシウムの白色度が不安定であるという根本的な問題を抱えている。
【0009】
苛性化工程で副生する軽質炭酸カルシウム(以下、苛性化軽質炭酸カルシウムと記述する)の白色度向上を課題とした従来の技術としては、例えば、(1)苛性化軽質炭酸カルシウムのスラリーにハイドロサルファイトを添加し、その後、リン酸塩を添加する技術が開示されている(特許文献8参照。)。また、(2)苛性化軽質炭酸カルシウムのスラリーにハイドロサルファイトを添加し、その後、界面活性剤を添加する技術が開示されている(特許文献9参照。)。更に、(3)緑液に空気を吹き込んで浮上した不純物を凝集・除去し、続いて苛性化反応を行う緑液清澄化技術が開示されている(特許文献10参照。)。また、(4)緑液の清澄化処理方法として苛性化工程において添加する酸化カルシウムを二段に分割し、前段の添加で生成した苛性化軽質炭酸カルシウムを不純物と共に系外に除去し、これにより清澄化された緑液と、後段で添加する酸化カルシウムとの反応で、高白色の苛性化軽質炭酸カルシウムを得る技術が開示されている(特許文献11参照。)。しかし、上記(1)(2)の技術では、着色成分が苛性化軽質炭酸カルシウムに残留するため、これを填料や顔料に利用した場合、再発色の恐れが有る。また、(3)の技術では、浮上分離装置等の特別の設備が必要となって、経費が嵩むばかりでなく、還元性の硫化ナトリウムの空気酸化によって硫化度の低下を来してしまうので、好ましくない。(4)の酸化カルシウム二段添加方法では、不純物除去の観点からは優れた効果が期待できるが、二段に分割添加する酸化カルシウム毎に生成する苛性化軽カルを分離、洗浄する装置が必要になり、好ましくない。
【0010】
【特許文献1】
特許第3227421号明細書
【特許文献2】
特許第3227422号明細書
【特許文献3】
特開2000-264628号
【特許文献4】
特開2000-264629号
【特許文献5】
特開2000-264630号
【特許文献6】
特開 2001-199720
【特許文献7】
特開 2002-284522
【特許文献8】
特開昭51−47597号
【特許文献9】
特開昭51−47598号
【特許文献10】
特開昭61−53112号
【特許文献11】
特開平1−226719号
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の蒸解用白液を再生する苛性化工程において、副生する苛性化軽質炭酸カルシウムの白色度を向上させる技術の提供にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程において、硫黄含有率が0.001〜0.15重量%の酸化カルシウムまたは該酸化カルシウムを消和した水酸化カルシウムと、苛性化工程で発生する緑液とを混合し、攪拌あるいは捏和しながら苛性化反応を行い、製紙填料用の苛性化軽質炭酸カルシウムを製造する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、上記課題を解決するため、原料となる酸化カルシウムの品質と、苛性化で生成する苛性化軽質炭酸カルシウムの品質との関係を検討した結果、原料酸化カルシウム中の硫黄含量と生成した苛性化軽質炭酸カルシウムの粉体白色度に高い相関関係を認めた。更に、酸化カルシウム中の硫黄含量は石灰石を焼成して酸化カルシウムを製造時に使用するの重油などの燃料に含まれる硫黄成分の含量で決まることを見いだした。硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程において、苛性化工程で発生した緑液と酸化カルシウムとを混合して苛性化反応を開始させるに当たり、特定範囲の硫黄含有量の酸化カルシウムを使用することにより、白液の再生は勿論のこと、副生する炭酸カルシウムを高白色度にできること、また該炭酸カルシウムを必要に応じて粉砕処理を施すことによって、優れた製紙用填料が得られることを見いだして本発明を完成させるに至った。
【0014】
本発明の苛性化工程において使用する酸化カルシウムは、炭酸カルシウムを主成分とする天然石灰石を焼成したものであればよい。なお、その際の焼成装置に関しては、ベッケンバッハ炉、メルツ炉、ロータリーキルン、国井式炉、KHD(カーハーディー)炉、コマ式炉、カルマチック炉、流動焼成炉、混合焼き立炉等の、炭酸カルシウムを酸化カルシウムに転化する装置であれば特に制限されることはない。
【0015】
本発明の高白色の苛性化軽質炭酸カルシウムを製造するには、硫黄含量の低い燃料を適宜選定して使用しなければならない。例えばJIS規格(K2205、1980)示される3種よりも2種、2種よりも1種、1種の中でも2号よりも1号と言ったように硫黄分含量の少ない重油、更により硫黄分含量の少ない燃料として低硫黄ミナス重油などを用いて石灰石を焼成し、製造される酸化カルシウム中の硫黄含有率を特定の値以下に抑える必要がある。
【0016】
酸化カルシウム中の硫黄含量は、酸化カルシウムに対する硫黄の含量が重量基準で0.15%以下、好ましくは0.05%以下であることが必要である。酸化カルシウムの硫黄含量が0.15%以上の場合、苛性化軽カルの白色度が劣り、これを製紙填料用の原料に使用した場合、紙の白色度に悪影響を及ぼし目標とする紙質が得られないので好ましくない。酸化カルシウム中の硫黄含量は低いほど苛性化軽質炭酸カルシウムの白色度にとって有利であるが、酸化カルシウム中の硫黄含量を0.001%以下にするためには、石灰石焼成用重油中の硫黄含量を高度に除去する必要が有り、重油単価が高くなり、安価な苛性化軽質炭酸カルシウムを製造できなくなるため、好ましくない。
【0017】
硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程において、硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程で発生した緑液と、上記の硫黄含有率0.001〜0.15重量%、好ましくは0.001〜0.05重量%である酸化カルシウムとを混合し、攪拌あるいは捏和しながら苛性化反応を行う。
【0018】
苛性化工程では、酸化カルシウムの緑液への添加に代えて、硫黄含有率0.001〜0.15重量%、好ましくは0.001〜0.05重量%である酸化カルシウムを水で消和した水酸化カルシウムを粉体またはスラリー状で添加することも可能である。
【0019】
苛性化反応の条件としては従来からの苛性化反応条件で実施することができる。また、従来の技術で前述した特許第3227421号明細書、特許第3227422号明細書、特開2000-264628号、特開2000-264629号、特開2000-264630号、特開 2001-199720 特開 2002-284522 で記載の苛性化反応条件と本発明の硫黄含有率0.001〜0.15重量%、好ましくは0.001〜0.05重量%である酸化カルシウムとを組み合わせれば、特定形状であり、プラスチックワイヤー摩耗度が低く、かつ高白色度の苛性化軽質炭酸カルシウムを製造することが可能である。
【0020】
本発明で得られる苛性化軽質炭酸カルシウムは、必要に応じて、湿式あるいは乾式粉砕により、粒子径を調整後、填料として使用することもできる。
【0021】
本発明によって、苛性化反応で生成する苛性化軽質炭酸カルシウムの白色度が向上するため、苛性化軽質炭酸カルシウムを抄紙用填料として利用できる範囲が大幅に広がる。この付随効果として、白液製造工程からの苛性化軽質炭酸カルシウムの抜き取り量が増大し、工程内を循環する石灰に蓄積し易い不純物が低減できると共に、焼成用キルンの負荷の低減が達成できる。更には、工程から炭酸カルシウムを全量抜き取ることができれば、キルン停止も可能となり、苛性化工程での主生産物である白液の生産コストを大幅に削減することが可能となる。
【0022】
本発明によって得られる苛性化軽質炭酸カルシウムは、従来の苛性化工程で得られた炭酸カルシウムに比べて白色度が優れ、これを製紙填料の原料として紙の製造に使用することで、填料配合紙の白色度、不透明度、印刷適性等に優れた特徴を与える。填料配合紙には特に限定は無く、新聞用紙、中質紙、印刷用紙、書籍用紙、証券用紙、辞典用紙、両更クラフト紙、晒クラフト紙、薄葉紙、ライスペーパー、インディアンペーパー、板紙、ノーカーボンペーパー等の紙、更にアート紙、軽量コート紙、キャストコート紙などの各種コート紙の原紙などに使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下に本発明を実施例および比較例をあげて、詳細に説明するが、当然ながら本発明は実施例のみに限定されるものではない。
[供試緑液]
日本製紙株式会社のクラフトパルプ製造プラントの苛性化工程から採取した。
[試験法]
(1)アルカリ分析法:TAPPI624hm-85,TAPPI625hm-85に準じて測定した。
(2)酸化カルシウム中の硫黄含量:JIS K 0119に従って測定した。
(3)酸化カルシウム中の炭酸カルシウム含量:金属中炭素分析装置(堀場製作所EMIA-100)により、二酸化炭素量を測定し、その量より炭酸カルシウム含量を計算した。
(4)生成炭酸カルシウムの白色度:乾燥粉体を加圧式錠剤成形器でペレットとし、分光測色計(CMS-35SPX、株式会社村上色彩技術研究所製)で測定した。
(5)生成炭酸カルシウムの平均粒子径:生成物を水洗浄・濾過し、水で希釈後、レーザー回折式粒度分布計(シーラス社モデル715)で平均粒子径を測定した。短径、長径については、生成物を水洗濾過し乾燥後、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM-5300)で実測した。
(6)生成炭酸カルシウムの形態観察:生成物を水洗濾過し乾燥後、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM-5300)で形態観察した。
(7)結晶系:Rigaku製X線回折RAD-2Cにより測定した。
(8)ワイヤー摩耗測定は、日本フィルコン式摩耗試験装置で測定。
・日本フィルコンCOS-60ポリエステルワイヤー
・スラリー濃度:2重量%
・荷重:1250g
・摩耗時間:90分間
・摩耗量:摩耗試験前後のワイヤー重量減量(mg)
【0024】
【実施例1】
撹拌機(撹拌速度450rpm、Kyoei Power Stairrer Type PS-2N)、及び加熱用のマントルヒーターを備えたセパラブルフラスコ(容積1L)を苛性化反応装置とした。フラスコに50℃の温水を90ml注入、次いで硫黄含量0.02重量%の酸化カルシウム(工業用酸化カルシウム、宇部マテリアルズ社製)60gを加え、消石灰スラリーを得た。更に、50℃の緑液(組成:Na2CO3=95g/L、Na2S=25g/L、NaOH=12g/L、いずれもNa2O換算値)を630mL、2時間で逐添して苛性化した。反応液から生成した炭酸カルシウムを吸引ろ過回収し、水道水で充分洗浄後脱水し、105℃の送風乾燥機中で乾燥し、粉体状の炭酸カルシウムを得た。炭酸カルシウムの白色度測定結果を表1に示す。
【0025】
【実施例2】
硫黄含量0.12%の酸化カルシウム(工業用酸化カルシウム、宇部マテリアルズ社製)を使用した以外は実施例1と同様の操作で炭酸カルシウムを回収した。白色度測定結果を表1に示す。
【0026】
【比較例1】
硫黄含量0.29%の酸化カルシウム(工業用酸化カルシウム、宇部マテリアルズ社製)を使用した以外は実施例1と同様の操作で炭酸カルシウムを回収した。白色度測定結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
Figure 0004304990
【0028】
実施例1の苛性化軽質炭酸カルシウムは比較例1に比べて、白色度が3.1%高い。実施例2の苛性化軽質炭酸カルシウムは比較例1に比べて、白色度が2.1%高い。苛性化反応で使用する酸化カルシウム中の硫黄含有率が低いほど、得られる炭酸カルシウムの白色度が高くなることが解る。
【0029】
本発明の高白色度の苛性化軽質炭酸カルシウムに、プラスチックワイヤー摩耗適性を付与する目的で、特定の苛性化反応条件下で特定形状としたケースを、以下の実施例で示す。
【0030】
【実施例3】
本発明の高白色度苛性化軽質炭酸カルシウムの製造技術と、特許第3227421号の紡錘状・針状の苛性化軽質炭酸カルシウムの製造技術とを組み合わせた実施例である。1Lの4ツ口フラスコ容器に、硫黄含有率0.02重量%で、かつ炭酸カルシウム含有率1.6%の酸化カルシウム50gと、pH=13.1の弱液を用い、酸化カルシウム濃度が30重量%になる割合で混合後、消和させて水酸化カルシウムのスラリー液をつくり、緑液(組成:Na2CO3=95g/L、Na2S=25g/L、NaOH=12g/L、いずれもNa2O換算値)添加速度0.22cc/min/g(酸化カルシウム)、添加時間60分、温度80℃、撹拌速度450rpm(Kyoei Power Stairrer Type PS-2N)の条件で苛性化反応を行わせた。反応液から生成した炭酸カルシウムを吸引ろ過回収し、水道水で充分洗浄後脱水し、105℃の送風乾燥機中で乾燥し、粉体状の炭酸カルシウムを得た。生成反応物の白色度、平均粒子径、プラスチックワイヤー摩耗度の測定および形態観察などを行った。結果を表2に示す。
【0031】
【比較例2】
苛性化反応で添加する酸化カルシウムを、硫黄含有率0.29重量%で、かつ炭酸カルシウム含有率1.6%の酸化カルシウムの代えた以外は実施例3と同様に行った。結果を表2に示す。
【0032】
【実施例4】
本発明の高白色度苛性化軽質炭酸カルシウムの製造技術と、特許第3227422号の紡錘状・米粒状の苛性化軽質炭酸カルシウムの製造技術とを組み合わせた実施例である。1Lの4ツ口フラスコ容器に、硫黄含有率0.02重量%で、かつ炭酸カルシウム含有率1.6%の酸化カルシウム50gと、緑液(組成:Na2CO3=95g/L、Na2S=25g/L、NaOH=12g/L、いずれもNa2O換算値)を用い、酸化カルシウム濃度が30重量%になる割合で混合後、消和させて水酸化カルシウムのスラリー液をつくり、緑液(組成:Na2CO3=95g/L、Na2S=25g/L、NaOH=12g/L、いずれもNa2O換算値)添加速度0.22cc/min/g(酸化カルシウム)、添加時間60分、温度80℃、撹拌速度450rpm(Kyoei Power Stairrer Type PS-2N)の条件で苛性化反応を行わせた。反応液から生成した炭酸カルシウムを吸引ろ過回収し、水道水で充分洗浄後脱水し、105℃の送風乾燥機中で乾燥し、粉体状の炭酸カルシウムを得た。生成反応物の白色度、平均粒子径、プラスチックワイヤー摩耗度の測定および形態観察などを行った。結果を表2に示す。
【0033】
【比較例3】
苛性化反応で添加する酸化カルシウムを、硫黄含有率0.29重量%で、かつ炭酸カルシウム含有率1.6%の酸化カルシウムの代えた以外は実施例4と同様に行った。結果を表2に示す。
【0034】
【実施例5】
本発明の高白色度苛性化軽質炭酸カルシウムの製造技術と、特開2000-264628号のイガグリ状の苛性化軽質炭酸カルシウムの製造技術とを組み合わせた実施例である。硫黄含有率0.02重量%かつ炭酸カルシウム含有率1.6%の酸化カルシウムと水のモル比が、酸化カルシウム:水=1:1.4で消和して得られた水酸化カルシウムのスラリー液に、pH=6.8の水を加えて、水酸化カルシウム濃度30重量%のスラリー液を得た。これを、1Lの4ツ口フラスコ容器に入れ、緑液(組成:Na2CO3=95g/L、Na2S=25g/L、NaOH=12g/L、いずれもNa2O換算値)添加速度0.22cc/min/g(酸化カルシウム)、添加時間60分、温度50℃、撹拌速度250rpm(Kyoei Power Stairrer Type PS-2N)の条件で苛性化反応を行わせた。反応液から生成した炭酸カルシウムを吸引ろ過回収し、水道水で充分洗浄後脱水し、105℃の送風乾燥機中で乾燥し、粉体状の炭酸カルシウムを得た。生成反応物の白色度、平均粒子径、プラスチックワイヤー摩耗度の測定および形態観察などを行った。結果を表2に示す。
【0035】
【比較例4】
酸化カルシウムを、硫黄含有率0.29重量%で、かつ炭酸カルシウム含有率1.6%の酸化カルシウムの代えた以外は実施例5と同様に行った。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
Figure 0004304990
【0037】
実施例3で得られる苛性化軽質炭酸カルシウムは、比較例2と同様なアラゴナイト系針状結晶であり、プラスチックワイヤー摩耗度も同様に低い。しかし、硫黄含量が低いので白色度が3.2%高くなっている。実施例4で得られる苛性化軽質炭酸カルシウムは、比較例3と同様なカルサイト系米粒状結晶であり、プラスチックワイヤー摩耗度も同様に低い。しかし、硫黄含量が低いので白色度が3.3%高くなっている。実施例5で得られる苛性化軽質炭酸カルシウムは、比較例3と同様なアラゴナイト系イガグリ状結晶であり、プラスチックワイヤー摩耗度も同様に低い。しかし、硫黄含量が低いので白色度が3.0%高くなっている。
【0038】
【発明の効果】
硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程において、硫黄含有率が0.001〜0.15重量%の酸化カルシウムまたは該酸化カルシウムを消和した水酸化カルシウムと、苛性化工程で発生する緑液とを混合し、攪拌あるいは捏和しながら苛性化反応を行い、製紙用填料用の炭酸カルシウムを製造することにより、副生する炭酸カルシウムの白色度を向上できる。また、該炭酸カルシウムを原料とした填料は高白色度であり、製紙用填料として有用である。

Claims (2)

  1. 製紙填料用の炭酸カルシウムを製造する方法であって、硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程において、硫黄含量の低い重油を燃料として石灰石を焼成することにより、得られる硫黄含有率が0.001〜0.15重量%の酸化カルシウムまたは該酸化カルシウムを消和した水酸化カルシウムと、苛性化工程で発生する緑液とを混合し、攪拌あるいは捏和しながら苛性化反応を行うことを特徴とする炭酸カルシウムの製造方法。
  2. 上記硫黄含量の低い重油が低硫黄ミナス重油であることを特徴とする請求項1記載の炭酸カルシウムの製造方法。
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