JP2008115052A - 炭酸カルシウムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラフト法によるパルプ製造工程で得られる緑液を苛性化して生成する石灰スラッジから炭酸カルシウムを製造する方法において、製紙用填料又は塗被紙用顔料として使用可能な、高白色度の炭酸カルシウムを容易に製造できる方法を提供することを課題とする。
【解決手段】クラフト法によるパルプ製造工程で得られる緑液を苛性化して生成する石灰スラッジから炭酸カルシウムを製造する方法において、石灰スラッジから不純分を分離するフローテーション工程を含むことを特徴とする炭酸カルシウムの製造方法。また、フローテーション工程の前及び又は後に、石灰スラッジを湿式粉砕することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、クラフト法によるパルプ製造工程で得られる緑液を苛性化した際に生成する石灰スラッジから、製紙用填料あるいは塗被紙用顔料として使用可能な高白色度の炭酸カルシウムを製造する方法に関する。
炭酸カルシウムは、塗被紙用顔料として、あるいは製紙用填料として、従前から広く使用されている。この種の炭酸カルシウムは、化学的に合成して得られる軽質炭酸カルシウムと、天然より産出する石灰石を湿式粉砕した重質炭酸カルシウムとに大別することができる。軽質炭酸カルシウムは、炭酸ガス法によって製造するのが一般的であり、反応条件を変化させることによって、粒子径や形状をコントロールできる利点があるものの、重質炭酸カルシウムに比較して高価である。一方、重質炭酸カルシウムは、軽質炭酸カルシウムより安価であるばかりでなく、塗被組成物に高配合してもその塗工作業に支障をきたさないため、塗被紙用顔料として多用されている。
ところで、炭酸ガス法を代表例とする合成法や天然鉱物に頼らない炭酸カルシウム源としては、クラフト法によるパルプ製造工程で副生される緑液を苛性化した際に生成する石灰スラッジがある。苛性化は、生石灰または生石灰を水酸化ナトリウム含有液と反応させて得た消和液によって行われる。この石灰スラッジは、不定形の炭酸カルシウム粒子が凝集した塊状物であり、その主成分は炭酸カルシウムであるので、夾雑物を全く含まない又は殆ど含まない石灰スラッジとして精製させることができれば、これを適宜粉砕することにより、製紙用填料として、あるいは塗被紙用顔料として使用可能な高白色度の炭酸カルシウムを得ることができる。
緑液を苛性化した際に生成する石灰スラッジに、夾雑物を持ち込まないようにする従来技術としては、緑液の苛性化に先立ち、当該緑液中に空気を吹き込み、夾雑する遊離カーボンなどの黒色浮遊物を凝集させて緑液を清澄化させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、空気吹込みによって凝集させ得る成分は、緑液中の夾雑物の一部でしかないため、この方法では、高品質の炭酸カルシウムを回収する上で、一定の限界がある。
また、製紙用填料に使用できる炭酸カルシウムを石灰スラッジから製造する方法として、石灰スラッジに夾雑するシリカ及び不溶解物質含有量を所定量以下とした後、石灰スラッジを粉砕する方法が開示されている(例えば、特許文献2)。そして、シリカや不溶解物質の少ない石灰スラッジを取得する方法として、静置又はろ過手段による緑液の清澄化が記載されている。しかしながら、緑液の清澄化をどの程度進めれば、着色夾雑物が少ない高品質の炭酸カルシウムからなる石灰スラッジが得られるかを具体的に教示していない。
さらに、緑液200gを孔径1μmのガラス繊維製ろ紙に通過させ、ろ紙上に残るろ過残渣乾燥物を分光白色度測色計で測定した明度が50以上に保持されるように清澄化処理する工程と、小粒子化された石灰スラッジのスラリーをアルカリ成分の除去を目的とする水洗工程に供給し、排出されるろ液のpHが11.0以下になるまで洗浄し且つ脱水する工程とを組み合わせて、塗被紙用顔料を精製しようとする方法が提案されている。しかしながら、苛性化工程は複雑であり、以降の工程からも不純分が混入してくるため、この方法によっても塗被紙用顔料として必要とされる白色度に到達することは困難である(例えば、特許文献3参照)。
さらに、緑液を65℃以上の温度でろ過して、緑液に含まれる固形不純物を予め除去した後、ろ液に生石灰を加えて消和を行って未反応物質を除去した後、液中の炭酸カルシウムを粉砕又は粉砕することなく回収し、これを80℃以上の温水で洗浄した後、粉砕処理と酸化剤による漂白処理とを施すことからなる炭酸カルシウムの回収方法が記載されている。しかし、この方法では、回収する炭酸カルシウムの粒度が微細すぎて、苛性化本来の目的である白液製造に大きな難点が生じてしまうという欠点がある。このようなことから、その実用化は困難である(例えば、特許文献4参照)。
これらの従来技術によって得られた炭酸カルシウムを塗被紙用顔料として適用する場合は、適当な粒子径まで粉砕処理を行なうが、微粒子化するに伴い、苛性化反応由来のソーダ分等のアルカリ成分が溶出して、スラリーの増粘の問題を引き起こすため、粉砕作業に支障をきたすため、湿式粉砕する際に、顔料分散液のpHが8.0〜12.0となるように炭酸ガスを直接吹込むことで、少ない分散剤添加量で顔料分散液の粘度が低く、粉砕負荷の低い軽質炭酸カルシウムの湿式粉砕方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、パルプ製造工程の苛性化反応を利用した炭酸カルシウムのように、そのpHが13を越える炭酸カルシウム分散液の場合には、炭酸ガスの吹込みによってpHが12を下回るまで中和するのに、長い滞留時間と多量の炭酸ガスを必要とし、効率が悪いのみならず、経済的にも不利である。
特開昭61−53112号公報 特開昭61−179398号公報 特開2004−26639号公報 特開昭61−183120号公報 特開2000−239017号公報
本発明の課題は、クラフト法によるパルプ製造工程で得られる緑液を苛性化して生成する石灰スラッジから炭酸カルシウムを製造する方法において、製紙用填料又は塗被紙用顔料として使用可能な、高白色度の炭酸カルシウムを容易に製造できる方法を提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記手段を見出した。すなわち、本発明は、クラフト法によるパルプ製造工程で得られる緑液を苛性化して生成する石灰スラッジから炭酸カルシウムを製造する方法において、石灰スラッジから不純分を分離するフローテーション工程を含むことを特徴とする炭酸カルシウムの製造方法である。また、フローテーション工程の前及び又は後に、石灰スラッジを湿式粉砕することが好ましい。
クラフト法によるパルプ製造工程において、緑液に生石灰または消和液を加えて生成される石灰スラッジは、通常、パルプ製造工程に使用される白液(水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム、炭酸ナトリウム等を主成分として含む)から分離され、次いで弱液(アルカリ成分)の回収を目的として、1段の希釈脱水洗浄工程に付されるのが通常である。本発明の炭酸カルシウムの製造方法では、白液回収工程と弱液回収工程を経た後、フローテーション工程によって、石灰スラッジから未燃カーボンなどの不純分の分離を行うことで、白色度の高い高品質の炭酸カルシウムを、容易に製造することができる。
本発明に係わるパルプ製造工程を概説する。クラフト法によるパルプ製造工程では、苛性ソーダと硫化ソーダを主成分とする蒸解薬液を収めた蒸解釜中で、木材チップが高温・高圧下にて蒸煮される。この蒸煮によって、木材に含まれるリグニンなどの成分は蒸解薬液中に溶出され、目的物であるパルプは、この薬液に分散した状態で蒸解釜から取り出される。これを固液分離することにより、紙の素材となるパルプが得られる。そして、固液分離によりパルプから分離された黒液と呼ばれるパルプ廃液は、薬品回収および熱回収の目的で、多重効用缶などで濃縮され、黒液回収ボイラーで燃焼せしめられる。
濃縮黒液の燃焼で生成するスメルト(炭酸ナトリウム及び硫化ナトリウムを主成分とする無機溶融物)を、後述する弱液に溶解させたものが緑液である。通常のパルプ製造工程では、この緑液に含まれるドレッグス(不溶性夾雑物)を沈降分離する。ドレッグスが分離除去された緑液は、苛性化工程に供される。苛性化工程では、生石灰又は生石灰を水酸化ナトリウム含有液と反応させて得た消和液を使用し、消和反応と苛性化反応により、石灰スラッジを含むスラリー(石灰乳)が得られる。通常の工程では、消和反応と苛性化反応は同時に行われる。
次に、この石灰乳を固液分離し、その液状成分に含まれる水酸化ナトリウム及び硫化ナトリウムは、白液として木材チップの蒸解に再利用される。一方、液状成分から分離された石灰スラッジは、ロータリーキルン、カルサイナーなどで焼成されて生石灰に転化し、その生石灰は緑液の苛性化工程に循環使用される。分離されたドレッグスや石灰スラッジを洗浄した際に得られる液状成分は弱液として、上記したスメルトの溶解に使用される。
連続操業されている通常のパルプ製造工程では、蒸解工程で消失するナトリウム分及び硫黄分を補う目的で、例えば、硫酸ナトリウムを添加することと、緑液の苛性化に使用する生石灰が不足している場合には、これを系外から補充することを除いて、蒸解に必要な薬品は、緑液の苛性化工程で回収される白液で賄い、緑液の苛性化に必要な生石灰は、当該苛性化工程で生成される石灰スラッジの焼成物で賄うのが一般的である。
石灰スラッジから製紙用填料あるいは塗被紙用顔料を製造する場合、石灰スラッジに残存しているドレッグス成分である有色の未燃カーボンや金属塩が問題となる。これらの不溶性夾雑物は、炭酸カルシウムの白色度に大きく影響する。石灰スラッジよりこのドレッグス成分を洗浄などの方法で分離精選して、炭酸カルシウムとして再生する提案がなされているが、ドレッグス成分は基本的に不溶性であり、希釈洗浄や置換洗浄などの方法はドレッグス成分の分離精選には効果がない。本発明では、この石灰スラッジに含まれるドレッグス成分をフローテーション工程により清浄化し製紙用填料、或いは塗被紙用顔料として使用できる水準の白色度にまで向上することができる。
本発明に係わるフローテーション工程とは、粒子の表面的性質のひとつである疎水性、親水性に基づいて、粒子相互の分離を行う浮遊選別法をいう。すなわち、疎水性粒子は水に濡れにくいが、その表面が気体または油状物質などと親和性を有するため浮遊性を示す。反対に親水性粒子は水に濡れやすいため水相にとどまり浮遊しにくい。実際の浮遊選別は、単に粒子本来の表面的性質を利用するのみならず、種々の浮遊選別試薬を用い、粒子表面の本来の疎水性または親水性を人為的に調節し、その浮遊性を変化させて相互の分離が行われる。
浮遊選別法は、多油法、表面張力法および泡沫浮遊選別法の3つに大別される。本発明で好適に用いられる方法は泡沫浮遊選別法である。これは、石灰スラッジを懸濁した分散液の中に、適宜浮遊選別助剤を加えて粒子の表面の性質を調節し、その後細かい多数の気泡を発生または導入し、その気泡表面に疎水性粒子であるドレッグス成分を付着させ、浮上させ分離回収する方法である。浮遊選別助剤としては高級アルコール誘導体、脂肪酸誘導体などが使用される。
以下代表的な浮遊選別機について説明するが、本発明において使用される浮遊選別の機種には、特に限定はない。
ファーレンワルド(Fahrenwald)型浮遊選別機は、FW型、あるいはデンバー・サブ・A(Denver Sub−A)型浮遊選別機とも称され、現在もっとも普及している機種のひとつである。フィードパイプから供給される石灰スラッジ分散液と、スタンドパイプを通って吸引される空気とは、槽の下部において攪拌、混和され、不溶性夾雑物を付着させた気泡は上昇して、石灰スラッジ分散液上層に泡沫を形成する。
フェジャーグレン(Fagergren)型浮遊選別機は、ローター下部のインペラにより石灰スラッジ分散液をローター内部に引上げ、スタンドパイプより導かれた空気と十分混和させる。ローターの周囲にはステーターのロッドが並んでおり気泡の分散が十分行われ、またステーターの内側の激しい攪拌に比べて、外側の石灰スラッジ分散液の動揺が少ない。
アジテヤ(Agitair)型浮遊選別機は、スタンドパイプより空気が圧入され、かご型のインペラで石灰スラッジとの空気混和がなされる。槽の底にはインペラを囲んで放射状にスタビライザが固定され、これにより石灰スラッジ分散液の渦流を防ぎ、かつ攪拌効果を強める。圧入される空気の量は、各浮遊選別槽ごとに、エアバルブで調節できる。
ワーマン(Warman)型浮遊選別機は、スタンドパイプより空気を自吸するが、場合によっては、低圧外気を圧入することもできる。ローターバーは、回転方向と逆に45゜の後退角で取り付けてある。ゆえに気泡混和パルプは底に向けて放出される。槽の底に固定されたバッフルプレートは、石灰スラッジ分散液の回転を妨げ上昇流に変えるように配列されている。
本発明では、フローテーション工程において、浮遊選別の一種である加圧浮上法も利用することができる。加圧浮上法では、気泡の大きさは50〜100μmと小さい。加圧浮上法では、石灰スラッジ分散液を空気と一緒に加圧タンクに入れ、3000〜5100hPaをかけて一定時間おき、その後石灰スラッジ分散液を細かい穴から、普通の気圧(1013hPa)におかれた水の中に吹き出させると、分散液に過剰に溶け込んだ空気が一気に気体に戻る。この気泡の界面を利用して、不溶性夾雑物を分離する。石灰スラッジ分散液に、あらかじめ凝集剤を加えておくことにより浮力を向上させることができる。
未燃カーボンなどは疎水性であり、フローテーション工程における気泡により炭酸カルシウムなどの親水性成分からは分離される。これにより石灰スラッジから純粋な炭酸カルシウムを生成することが出来る。未燃カーボン以外にも不純分は存在するが、これらも脂肪酸など各種の添加剤を加えることにより疎水性を調節でき分離効率をあげることができる。
緑液の苛性化には、パルプ製造工程で常用されている反応条件を採用することができ、この苛性化により石灰スラッジが生成する。ここで得られた石灰スラッジの分散液(石灰乳)は、白液を回収する目的で固液分離され、次いでアルカリ成分の回収を目的として、固液分離された石灰スラッジを水に再分散して脱水し、ここで得られたろ液は弱液として再使用される。このための脱水機には、ベルトフィルター、ドラムフィルター、ディスクフィルター、フィルタープレス、シリンダープレス、デカンター、またはこれらを加圧条件下で行なう装置が挙げられる。これら脱水機から適宜選択された装置の1種を単段で用いることにより、目的とする白液とアルカリ成分の回収を行なうことができる。
白液を分離し、清水で洗浄した苛性化処理後の石灰スラッジは、通常80質量%以上の濃度を有する。つまり含有水分率が低いため、そのままではフローテーション工程を行うことができない。そのため、適宜希釈してからフローテーション工程を行う。フローテーション工程は30%質量以下の濃度で実施される、これ以上の濃度では処理液の粘度が高いためフローテーション効果が得られない。一定のフローテーション効果を得るには30質量%以下の濃度で実施する。
本発明において、フローテーション処理後の炭酸カルシウムにおいて、白色度、濃度、粒子径が満足できるような使用目的によってはこれで炭酸カルシウムの製造が終了する。
本発明の製造方法によって炭酸カルシウムを製造する場合、粒子径、粒子形状を制御することを目的として、フローテーション工程の前及び/又は後に、石灰スラッジの湿式粉砕工程を設けることができる。フローテーション工程の前に石灰スラッジの湿式粉砕工程を設けた場合、さらに高い白色度が得られる。
一般に、緑液の苛性化によって生成される石灰スラッジは、不定形粒子の塊状物であって、その平均粒子径は25〜35μmの範囲にある。粉砕の進行により、炭酸カルシウム粒子が小粒子化するが、キルンや回収ボイラーでの燃焼処理に由来する二次凝集によって結晶内部に閉じこめられていた未燃カーボンなどの不純分がそれに伴い粒子内部から分離する。この湿式粉砕工程を付加することによりフローテーション工程の効果が高まり、更に白色度が上昇するものである。
フローテーション工程前の湿式粉砕において、未燃カーボンなどの不純分除去に供される石灰スラッジの平均粒子径を、予め3〜20μmの範囲に調節するのが望ましい。石灰スラッジの平均粒子径が3μm未満であると、未燃カーボンなどの不純分除去は容易になるが、フローテーション工程後の石灰スラッジの含水率を低くすることが難しくなり、その結果、製紙用填料、被塗紙用顔料としての利用が難しくなる。特に、塗被紙用塗料は、後の乾燥などの理由から75質量%以上に濃度調整されて利用されるが、3μm未満の平均粒子径ではこの濃度に濃縮することが著しく困難になるため、フローテーションに先立つ湿式粉砕では3μmまでの粉砕が好ましい。但し、フローテーション工程後に湿式粉砕を行わない場合は、フローテーション工程前の湿式粉砕で製紙用填料や被塗紙顔料として使用できる平均粒子径にまで小粒子化する必要があり、その場合は平均粒子径を3μm未満とする。一方、石灰スラッジの平均粒子径が20μmを超えると、未燃カーボンなどの不純分は石灰スラッジの二次凝集粒子に包含されたままになるため、分離が難しくなり、結果的に得られる白色度が不十分となる。
フローテーション工程前の湿式粉砕使用する分散装置としては、コーレスミキサー、ニーダー、ボールミル、アトライター等から選ばれる1種が用いられ、ポリアクリル酸ソーダ、ポリリン酸ナトリウムなどの各種分散剤と水を適宜添加して粉砕処理が行われ、石灰スラッジ分散液が調製される。
フローテーション工程を終了した石灰スラリーは狙いの平均粒子径にするために、湿式粉砕を行うが、それに先立って濃縮を行う。75質量%程度に濃縮するのが好ましい。濃縮機は、遠心分離、シックナーなど一般に濃縮に利用される汎用的な機器が適用される。その後、狙いの平均粒子径を得る湿式粉砕を行うが、これには縦型サンドミル、横型サンドミル、ボールミル、アトライターなどの各種湿式粉砕装置を用いることができる。平均粒子径は0.5〜2.5μmに調節することが好ましく、製紙用填料、被塗紙顔料として使用する。
また、フローテーション工程の前後に行われる湿式粉砕工程では、粉砕工程の増粘を防止する目的、石灰スラッジ分散液のpHを調節する目的で、粉砕処理前後にスルファミン酸、酢酸などの有機酸、リン酸、ポリリン酸、硫酸などの無機酸、ポリアクリル酸などの酸性型分散剤、二酸化炭素ガス、および二酸化炭素含有ガスなどの酸性物質を該分散液へ添加することも可能である。
以下に実施例をあげて本発明をより具体的に説明するが、これら実施例は本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、特に断らない限り、例中の百分率は質量基準である。さきに、平均粒子径及び白色度の測定方法を示す。
[平均粒子径]
マイクロトラック粒度分析計(モデルMT3300、日機装社製)を使用して、分散粒子の平均粒子径(d50%値)を測定した。
[白色度]
乾燥させた炭酸カルシウム粉末を真ちゅう製の型枠に入れ、鏡面処理を施した平板を型枠の上に置き、686N/cmで30秒間プレスしてペレット状とし、分光白色度測色計(SC−10WN、スガ試験機社製)を用いて、鏡面にあたっていた側のペレットの白色度を測定した。なお、白色度の測定に際しては、D65光源,10度視野の条件を用いた。
実施例1
パルプ製造プロセスにおいて、濃縮黒液の燃焼によって得られるスメルトを弱液に溶解させて緑液を調製し、ステンレスビーカーに収め、オイルバス中で104℃まで加温した。次いで生石灰を緑液1リットル当り70gの割合で緑液に混合し、104℃で2時間、消和・苛性化反応を行って石灰乳を得た。白液回収を目的として、この石灰乳をポリプロピレン製ろ布にて吸引ろ過し、平均粒子径が31μmで、且つケーキ固形分濃度が75%の石灰スラッジの脱水ケーキを得た。次に、得られた石灰スラッジの脱水ケーキに水を添加して固形分濃度15%のスラリーとした後、脂肪酸(商品名:DI600R、花王社製)0.5%を加え、ラボフローテーター(ホイト式)にてフローテーション処理を行い、不純分の除去を行った。フローテーション処理は、フロス率(投入した石灰スラッジの乾燥質量に対する分離される不純分の乾燥質量の比率)が5%となるまで実施した。
フローテーターで不純分を除去した石灰スラッジの一部を分取して乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(JSM−5800LV、日本電子社製)を使用して観察したところ、粒子形状は不定形の一次粒子が凝集した塊状物であった。なお、上記石灰スラッジ(炭酸カルシウム)の平均粒子径は29μmであった。得られた炭酸カルシウムの白色度は91.4%であった。
実施例2
パルプ製造プロセスにおいて、濃縮黒液の燃焼によって得られるスメルトを弱液に溶解させて緑液を調製し、これをステンレスビーカーに収め、オイルバス中で104℃まで加温した。次いで生石灰を緑液1リットル当り70gの割合で緑液に混合し、104℃で2時間、消和・苛性化反応を行って石灰乳を得た。白液回収を目的として、この石灰乳をポリプロピレン製ろ布にて吸引ろ過し、平均粒子径が31μmで、且つケーキ固形分濃度が75%の石灰スラッジの脱水ケーキを得た。次に、得られた石灰スラッジの脱水ケーキに水を添加して固形分濃度15%のスラリーとした後、10mm径のアルミナボールを充填したアトライター(モデルMA1S型、三井鉱山社製)にて、軽度の湿式粉砕処理(小粒子化処理)を行い、スラリー中の分散粒子の平均粒子径を5μmに調節した。
その後、脂肪酸(商品名:DI600R、花王社製)0.5%を加えラボフローテーター(ホイト式)にてフローテーション処理を行い、不純分の除去を行った。フローテーション処理は、フロス率(投入した石灰スラッジの乾燥質量に対する分離される不純分の乾燥質量の比率)が5%となるまで実施した。
フローテーターで不純分を除去した石灰スラッジ一部を分取して乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(JSM−5800LV、日本電子社製)を使用して観察したところ、粒子形状は不定形の一次粒子が凝集した塊状物であった。
次に、この石灰スラッジをフィルタープレス機(ISD型リーフテスト機、石垣社製)にて、固形分濃度74.7%のスラリーとし、さらに固形分換算で0.5%に相当する分散剤(アロンT−40、東亜合成社製)を加えた。
次いで、このスラリーを、粉砕メディアとして、粒子径が0.5mmのガラスビーズを80容量%となるよう充填したベッセル容量0.6リットルの横型サンドミル(ダイノーミルKDL)に供給し、回転数4500RPM、吐出量毎分300ミリリットルの運転条件のもと、湿式粉砕処理を行った。サンドミルで炭酸カルシウムの平均粒子径が0.9μmとなるまで粉砕処理を行った。また、得られた炭酸カルシウムの白色度は96.3%であった。
実施例3
実施例2において、フローテーション処理前に、アトライター(MA1S型、三井鉱山社製)における軽度の湿式粉砕処理(小粒子化処理)を行い、スラリー中の分散粒子の平均粒子径を20μmに調節することと、横型サンドミルの処理時間を1μmの平均粒子径を得るように調節する以外は、すべて実施例2と同様に処理した。フィルタープレス後の固形分濃度は75.2%となった。得られた炭酸カルシウムの平均粒子径は1.2μm、白色度は95.8%となった。
実施例4
実施例2において、フローテーション処理前に、アトライター(MA1S型、三井鉱山社製)における軽度の粉砕処理(小粒子化処理)を行い、スラリー中の分散粒子の平均粒子径を25μmに調節することと、横型サンドミルの処理時間を1μmの平均粒子径を得るように調節する以外は、すべて実施例2と同様に処理した。フィルタープレス後の固形分濃度は77.3%となった。得られた炭酸カルシウムの平均粒子径は1.1μm、白色度は92.2%となった。
実施例5
実施例2において、フローテーション処理前に、アトライター(MA1S型/三井鉱山社製)における軽度の粉砕処理(小粒子化処理)を行い、スラリー中の分散粒子の平均粒子径を、2.0μmに調節することと横型サンドミルの処理時間を1μmの平均粒子径を得るように調節する以外は、すべて実施例2と同様に処理した。フィルタープレス後の固形分濃度は60.5%となった。得られた炭酸カルシウムの平均粒子径は1.3μm、白色度は97.5%となった。
実施例6
パルプ製造プロセスにおいて、濃縮黒液の燃焼によって得られるスメルトを弱液に溶解させて緑液を調製し、ステンレスビーカーに収め、オイルバス中で104℃まで加温した。次いで生石灰を緑液1リットル当り70gの割合で緑液に混合し、104℃で2時間、消和・苛性化反応を行って石灰乳を得た。白液回収を目的として、この石灰乳をポリプロピレン製ろ布にて吸引ろ過し、平均粒子径が31μmで、且つケーキ固形分濃度が75%の石灰スラッジの脱水ケーキを得た。この石灰スラッジの脱水ケーキにさらに固形分換算で0.5%に相当する分散剤(アロンT−40、東亜合成社製)を加えて、スラリーとした。次いで、このスラリーを、粉砕メディアとして、粒子径が0.5mmのガラスビーズを80容量%となるよう充填したベッセル容量0.6リットルの横型サンドミル(ダイノーミルKDL)に供給し、回転数4500RPM、吐出量毎分300ミリリットルの運転条件のもと、湿式粉砕処理を行った。サンドミルで炭酸カルシウムの平均粒子径が1.1μmとなるまで粉砕処理を行った。
次に、湿式粉砕処理後の石灰スラッジの脱水ケーキに水を添加して固形分濃度15%のスラリーとした後、脂肪酸(商品名:DI600R、花王社製)0.5%を加え、ラボフローテーター(ホイト式)にてフローテーション処理を行い、不純分の除去を行った。フローテーション処理は、フロス率(投入した石灰スラッジの乾燥質量に対する分離される不純分の乾燥質量の比率)が5%となるまで実施した。
フローテーターで不純分を除去した石灰スラッジの一部を分取して乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(JSM−5800LV、日本電子社製)を使用して観察したところ、粒子形状は不定形の一次粒子が凝集した塊状物であった。なお、上記石灰スラッジ(炭酸カルシウム)の平均粒子径は1.1μmであった。得られた炭酸カルシウムの白色度は96.5%であった。
(比較例1)
パルプ製造プロセスにおいて、濃縮黒液の燃焼によって得られるスメルトを弱液に溶解させて緑液を調製し、ステンレスビーカーに収め、オイルバス中で104℃まで加温した。次いでの生石灰を緑液1リットル当り70gの割合で緑液に混合し、104℃で2時間、消和・苛性化反応を行って石灰乳を得た。白液回収を目的として、この石灰乳をポリプロピレン製ろ布にて吸引ろ過し、平均粒子径が31μmで、且つケーキ固形分濃度が75%の石灰スラッジを得た。この石灰スラッジ一部を分取して乾燥させた後、白色度は84.3%となった。
上記した各実施例並びに比較例において、得られた炭酸カルシウムの白色度、炭酸カルシウムの平均粒子径をまとめて表1に示す。
Figure 2008115052
本発明の製造方法によれば、クラフト法によるパルプ製造工程で得られる石灰スラッジから、フローテーション工程により未燃カーボンなどの不純分を分離除去することにより、従来法では取得することが困難であった高品質の炭酸カルシウムを容易に製造することができる。また、フローテーション工程前に湿式粉砕工程を設けることで白色度が上昇し、フローテーション工程後に湿式粉砕工程を設けることで所望の平均粒子径を有する炭酸カルシウムを得ることができる。

Claims (3)

  1. クラフト法によるパルプ製造工程で得られる緑液を苛性化して生成する石灰スラッジから炭酸カルシウムを製造する方法において、石灰スラッジから不純分を分離するフローテーション工程を含むことを特徴とする炭酸カルシウムの製造方法。
  2. フローテーション工程の前に、石灰スラッジを湿式粉砕する工程を含む請求項1記載の炭酸カルシウムの製造方法。
  3. フローテーション工程の後に、石灰スラッジを湿式粉砕する工程を含む請求項1又は2記載の炭酸カルシウムの製造方法。
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