JP4304587B2 - 電圧検出端子付き電池及び電池の電圧検出方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池の端子電圧を測定する電圧検出端子付き電池及び電池の電圧検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の小型化に伴い、これらの情報関連機器、通信機器の分野に用いる電源として、エネルギー密度の高い二次電池が実用化され広く普及している。一方で、自動車の分野においても、環境問題、資源問題から電気自動車の開発が急がれており、この電気自動車用の電源としても二次電池が検討されている。
【0003】
二次電池の性能を最大限に発揮するには充電状態などの二次電池の状態を常に監視する必要がある。二次電池の状態を監視する手段としては端子電圧を検査することは欠かせない。
【0004】
ところで、二次電池などの電池には外部と電力を授受するバスバーが正負極端子に接続されいる。バスバーは正負極端子に溶接したり、保守性を高めるためなどの理由から取り外し可能にねじ止めしたりして固定することが広く行われている。
【0005】
外部から端子電圧を検出する際にバスバーを介して行うと、バスバーに流れる大電流により、バスバー及び正負極端子の間の界面(接触)抵抗の部分で電圧降下が生じ、正確な端子電圧が測定できないことが知られている。そこで、端子電圧の検出は正負極端子に直接接続した電圧検出端子を用いて行われている(いわゆる四端子法)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−30762号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者の研究の結果、従来の電圧検出端子を用いて検出した端子電圧はばらつきが大きいことが判明した。
【0008】
上記実情に鑑み、本発明では正確な端子電圧が検出できる電圧検出端子付き電池及び電池の電圧検出方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、端子電圧のばらつきの原因として、バスバー及び電圧検出端子の間の接触抵抗に着目した。つまり、バスバーに大電流が流れる際に接触している電圧検出端子にも漏れ電流が流れる結果、電圧降下が生じて端子電圧の検出値がばらついていることを発見した。図2(a)に示すように、従来の電圧検出端子30は、バスバー20に直接接するように重ね合わせて電池(図略)が有する電極端子10に接続している。その結果、バスバー20に電流を流すと電極端子10から電流が流れるばかりでなく、バスバー20及び電圧検出端子30間の接触抵抗R3を介して電圧検出端子30にも一部電流が流れることによって電圧降下が生じ、電圧検出端子から出力される端子電圧が変動する。以上の知見に基づき本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の電圧検出端子付き電池は、正負極端子をもつ電池と、
該正負極端子に固定されて、外部に対して電力の授受を行うバスバーと、
該正負極端子に固定されて、外部に該電池の端子電圧を出力する電圧検出端子と、
該バスバー及び該電圧検出端子の間に狭持される絶縁部材とを有することを特徴とする。
【0011】
更に本発明の電池の電圧検出方法は、正負極端子に固定され且つ外部に対して電力の授受を行うバスバーをもつ電池に対して、該正負極端子に固定された電圧検出端子を用いて該電池の端子電圧を測定する電池の電圧検出方法であって、
該バスバー及び電圧検出端子の間に絶縁部材を狭持することで絶縁を保つことを特徴とする。
【0012】
つまり、バスバー及び電圧検出端子の間を絶縁することでバスバーに流れる電流による影響を抑制できる。以下、図により説明する。図1(a)に示すように、バスバー20及び電圧検出端子30との間に絶縁部材40を狭持することで、図1(b)に示すように、バスバー20及び電圧検出端子30間での電流の流れが抑制され、バスバー20に流れる大電流により、電圧検出端子30の電圧が影響を受けるおそれがなくなる。
【0013】
特に、前記バスバー、前記絶縁部材及び前記電圧検出端子はこの順で積層される板状部材であることが簡便な構造であり好ましい。
【0014】
なお、特許文献1に示す従来技術の蓄電池用検査装置には充放電用の正負極端子及び電圧検査用の正負極端子のそれぞれについて、絶縁部材を介して配設した形態が示されている(図1)。しかしながら、特許文献1の装置は蓄電池用検査装置や導電接触装置に関するもので、検査を行う場合に電池の正負極端子に対して一時的に接触させることで電圧検査を行うものであって、本発明のように電池を使用するに際して正負極端子に恒久的に固定して用いるものではない点で目的・構成が大きく異なるものである。特許文献1の装置は、電圧検査用及び充放電用を兼ね取り外し自在な端子について、いわゆる四端子法を実現するために採用された構成であり、電圧検査用及び充放電用の端子間での漏れ電流を防止するための構成ではないと考えられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(構成)
本発明の電圧検出端子付き電池について以下に詳細に説明する。本電圧検出端子付き電池は電池とバスバーと電圧検出端子と絶縁部材とを有する。
【0016】
電池は電力の入出力を行う正負極端子をもつ。正負極端子はバスバーが接続される。本明細書中において電池とは単電池、組電池を問わない。また、組電池の場合に、組電池を構成する各単電池毎に本実施形態の電圧検出端子付き電池を適用して各単電池の電圧を検出しても良い。組電池を構成する単電池毎に本実施形態の電圧検出端子付き電池を適用することで、組電池を構成する単電池毎に正確に端子電圧を測定することができ、より適正な組電池制御を行うことができる。電池は二次電池であることが好ましいが特に限定しない。
【0017】
バスバーは電池の正負極端子に固定され、電気的に接続されている。バスバーは電池から外部に電力の授受を行う部材である。つまり、バスバーを介して電池に充電したり、電池から負荷に電力を流したりできる。また、本実施形態の電圧検出端子付き電池を組電池を構成する単電池に適用する場合にはバスバーは組電池において単電池間を接続することに用いる。バスバーとしては、金属製の板状部材が例示できる。
【0018】
電圧検出端子は電池の正負極端子に固定され、電気的に接続されている。電圧検出端子は電圧計に端子電圧を出力する部材である。例えば、金属製の板状部材が挙げられる。電圧検出端子は、組電池において単電池毎に設けることもできる。電圧計は入力された端子電圧を測定する。例えば、電圧計はA/Dコンバータが採用できる。A/Dコンバータは電圧値の測定結果をそのまま制御手段のコンピュータに出力することができ、構成要素を減らすことができる。
【0019】
絶縁部材はバスバー及び電圧検出端子の間に狭持され、両者の間を絶縁する部材である。絶縁部材を構成する材料は特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなオレフィン樹脂、PETのようなポリエステルなどの一般的な樹脂や、マイカ等の無機材料などを用いることができる。絶縁部材はできるだけ薄いことが電池のエネルギー密度向上の観点から好ましい。
【0020】
バスバー、絶縁部材及び電圧検出端子はこの順で積層される板状部材であることが特に好ましい。これらは順に積層されてねじなどで簡易に固定することができる。
【0021】
(作用)
上記構成を有することから本実施形態の電圧検出端子付き電池はバスバーに流す電流の大きさに関わらず、電圧検出端子にて正確な端子電圧を測定することができる。バスバーに流れる電流は絶縁部材により電圧検出端子に流れないので、電圧検出端子における電圧降下は問題にならない。
【0022】
【実施例】
(試験)
リチウムイオン二次電池である試験電池1〜4に対し、電流値一定の条件で端子電圧を測定した。測定した端子電圧の値から電圧降下を求め、内部抵抗を算出した。リチウムイオン二次電池の正負極端子に対して、一定の電流を取り出すバスバー、ポリプロピレン製のワッシャ(絶縁部材)及び電圧検出端子をこの順に固定した。正負極端子は雄ねじであり、バスバー、ワッシャ及び電圧検出端子はそれぞれ正負極端子の雄ねじの径に応じた穴を設けた板状部材であり、この順に積層した後にねじ止めすることで固定した。電圧検出端子には電圧計を測定した。
【0023】
バスバーに一定電流(65A)を流しながら、電圧計により端子電圧を測定した。電圧の測定は31回行った。1〜19回目まで、25回目及び31回目はそのまま測定し、20〜24回目及び26〜30回目はワッシャを外してバスバーと電圧検出端子との間を接触させた状態で電圧を測定した。
【0024】
(結果)
各試験電池1〜4について内部抵抗を測定した結果を図3に示す。図3より明らかなように、バスバー及び電圧検出端子の間に、絶縁部材としてのPP製ワッシャを狭持した1〜19回目では内部抵抗の値のばらつきは小さかった。ところがPP製ワッシャを外した20〜24回目の結果では内部抵抗の値が大きくばらついた。その後、PP製ワッシャをバスバー及び電圧検出端子の間に再度狭持した25回目では1〜19回目の測定値と同程度の値が得られた。更に、PP製ワッシャを外して測定を行った26〜30回目は再び内部抵抗の値が大きくばらついた。最後にもう一度PP製ワッシャをバスバー及び電圧検出端子の間に狭持すると再び内部抵抗の値が1〜19回目と同程度の値が得られた。
【0025】
PP製ワッシャを狭持した場合の各試験電池の内部抵抗の値(1〜19回目、25回目及び31回目)の標準偏差に対して、PP製ワッシャを外した後の内部抵抗の値(20〜24回目及び26〜30回目)の標準偏差後は8〜14倍程度大きくなった。つまり、バスバー及び電圧検出端子の間に絶縁部材を狭持することで内部抵抗(端子電圧)の値のばらつきを大幅に小さくできた。
【0026】
【発明の効果】
本発明の電圧検出端子付き電池及び本発明の電池の電圧検出方法は、バスバー及び電圧検出端子の間に絶縁部材を狭持することで、バスバーを流れる電流が電圧検出端子に流れるおそれがなくなり、大電流が流れることによる電圧降下がなくなる効果がある。
【0027】
更にバスバー、絶縁部材及び電圧検出端子はこの順で積層される板状部材にすることで、簡易に組み立てることができることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の電圧検出端子付き電池を示す概略図である。
【図2】従来の電圧検出端子付き電池を示す概略図である。
【図3】実施例において測定した電池の内部抵抗の測定値を示したグラフである。
【符号の説明】
10…電極端子(正負極端子:ボルト)
20…バスバー
30…電圧検出端子
40…PP製ワッシャ(絶縁部材)
50…電極端子(ナット)

Claims (4)

  1. 正負極端子をもつ電池と、
    該正負極端子に固定されて、外部に対して電力の授受を行うバスバーと、
    該正負極端子に固定されて、外部に該電池の端子電圧を出力する電圧検出端子と、
    該バスバー及び該電圧検出端子の間に狭持される絶縁部材とを有することを特徴とする電圧検出端子付き電池。
  2. 前記バスバー、前記絶縁部材及び前記電圧検出端子はこの順で積層される板状部材である請求項1に記載の電圧検出端子付き電池。
  3. 正負極端子に固定され且つ外部に対して電力の授受を行うバスバーをもつ電池に対して、該正負極端子に固定された電圧検出端子を用いて該電池の端子電圧を測定する電池の電圧検出方法であって、
    該バスバー及び電圧検出端子の間に絶縁部材を狭持することで絶縁を保つことを特徴とする電池の電圧検出方法。
  4. 前記バスバー、前記絶縁部材及び前記電圧検出端子はこの順で積層される板状部材である請求項3に記載の電池の電圧検出方法。
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