発明の詳細な説明
本出願は、2001年10月16日付けで出願したドイツ特許出願第101 50 479.9号、2001年12月31号付けで出願した米国特許出願第60/345,666号、及び2002年7月15日付けで出願した米国特許出願第10/196,530号に基いて優先権を主張し、前記出願の各々の記載を引用により本明細書に完全に組み入れる。
発明の分野
本発明は、オレフィン流れからジメチルエーテルを除去することに関する。特に、本発明は、蒸留によりオレフィン流れからジメチルエーテルを除去し、ポリマー級のエチレン流れとポリマー級のプロピレン流れを生成することに関する。
発明の背景
オレフィン類、特にC2及びC3オレフィン類は、オリゴマー、例えば、より高度なオレフィン類、並びにポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリマーのような誘導生成物を製造するための供給源として望ましい。オレフィン供給源は、伝統的には、石油供給原料を分解することにより製造されている。
米国特許第5,090,977号には、水蒸気分解によりオレフィンを生成する方法が開示されている。その方法は、オレフィン生成物を、メタン、水素、エタン、エチレン、プロピレン及びC5+流れに分離することを含む。その開示された分離は、選択的にプロピレンを生成し、プロパン、ブタン、ブテン及びブタジエン流れは生成しない。
しかし、オキシジェネート供給原料が、より高度のオレフィン類及びプラスチック物質の製造のためのオレフィン類、特に多量のエチレン及びプロピレンを生成するための、石油供給原料の代替となってきている。一般的に、オレフィン類は、オキシジェネート成分を分子篩触媒と接触させて、オキシジェネートを触媒によりオレフィン類に変換することにより生成される。そのような方法は、例えば、全体的な式:
2CH3OH → C2H4 + 2H2O
により触媒作用により操作する。
例えば、米国特許第4,499,327号には、種々のシリコアルミノ燐酸塩(SAPO)分子篩触媒のいずれかを用いてメタノールからオレフィン類を製造する方法が開示されている。その方法は、300℃乃至500℃の温度、0.1気圧乃至100気圧の圧力、及び0.1乃至40時間−1の時間当り重量空間速度(WHSV)において行われる。その方法は、エチレン及びプロピレンに対して非常に選択的である。
米国特許第6,121,504号にも、分子篩触媒を用いてオキシジェネート供給原料からオレフィン生成物を製造する方法が開示されている。水及び他の望ましくない副生物が、急冷媒体と接触させることにより、オレフィン生成物から除去される。急冷媒体と接触させた後に、望ましいオレフィンを含有するが、ジメチルエーテル、CO、CO2、エタン、プロパン、並びに水及び未反応のオキシジェネート供給原料のような他の少量成分も含有する軽質生成物画分が得られる。
より特定すると、望ましくない副生物の1つは、ジメチルエーテルである。オレフィン生成物流れからジメチルエーテルを除去する問題は、現在まで、十分に解決されていない。生成物流れからジメチルエーテルを除去することが提示されている特定の吸収剤物質がすでに考えられている。しかし、この目的のために、適する吸収剤又は吸着剤を見出すことは困難である。
オレフィン類、特にエチレン、プロピレン及びブチレンをさらに処理するために、オレフィン組成物中に存在する望ましくない炭化水素副生物の量を低減させるか又は除去することはしばしば必要である。それは、誘導体製造方法は、特定の炭化水素の存在に対して非常に感受性を有する触媒を用い得るからである。例えば、望ましくない副生物のジメチルエーテルは、エチレン、プロピレン又はブチレンを他の生成物に変換させるために用いられる特定の触媒に対する毒として作用することが見出されている。
米国特許第4,474,647号には、例えば、ジメチルエーテルは、特定のオレフィン類のオリゴマー化に悪影響を及ぼし得ることが開示されている。この特許には、蒸留を用いる、C4及び/又はC5オレフィン流れを除去するための方法が記載されている。前記流れを蒸留し、塔頂流れ及びボトム流れに分離する。塔頂流れは、ジメチルエーテル、水、及び種々の炭化水素を含有し、ボトム流れは、精製されたオレフィンを含有する。
米国特許第5,609,734号には、混合された炭化水素流れからメタノール及びジメチルエーテルを除去する方法が開示されている。メタノール及びジメチルエーテルを含有する炭化水素流れは、塔頂流れにおいてジメチルエーテル及びメタノールを除去するように蒸留される。付加的な分離を得るために、メタノール透過性膜が用いられる側流において付加的なメタノールが回収される。精製された炭化水素は、ボトム流れから除去される。
オレフィン流れからのジメチルエーテルの除去は、非常に低含量のジメチルエーテルが触媒毒として作用し得るので、特に困難である。このことは、更にオレフィン流れの、触媒による処理が望ましい場合、C2−C4オレフィンのようなオレフィン流れは、あったとしても、ほとんどジメチルエーテルを含有すべきではないことを意味する。従って、オレフィン流れからジメチルエーテルを除去する他の方法を見出すことが非常に望ましい。
発明の概要
本発明は、オレフィン流れからジメチルエーテルを除去する方法を提供する。本方法の結果は、オレフィン流れを分離し、特に、ジメチルエーテル含量が実質的に低減されたエチレン、プロピレン及びブチレン流れが得られることである。
本発明において、オレフィン生成物流れから、ジメチルエーテルが、新規な、さらに経済的な方法で分離される。1つの態様において、本発明は、オレフィン含有流れを分別することを含む、オレフィン含有流れからジメチルエーテルを除去する方法を提供する。オレフィン含有流れは、C3炭化水素流れ及びジメチルエーテルを含有し、オレフィン流れは、分別され、オレフィン含有流れから、ジメチルエーテルとともにC3炭化水素流れを分離する。次に、ジメチルエーテルを含有するC3炭化水素流れを精留カラムに送る。プロピレンが精留カラムの上部から除去され、プロパンが精留カラムの下部から除去される。ジメチルエーテルも、プロパンとともに精留カラムの下部から除去される。
他の態様において、本発明は、オレフィンへのオキシジェネート反応プロセスへから製造されるオレフィン流れからジメチルエーテルを分離する方法を提供する。本方法は、オキシジェネートを分子篩触媒と接触させ、オレフィン流れを生成することを含む。オレフィン流れは、特に、水、プロピレン、プロパン及びジメチルエーテルを含有する。オレフィン流れを、乾燥し、蒸留し、プロピレンからジメチルエーテル及びプロパンを分離する。
本発明において、乾燥されたオレフィン流れは、約1,000wppmより多くの水を含有しない。好ましくは、乾燥されたオレフィン流れは、約500wppmより多くの水を含有せず、より好ましくは、乾燥されたオレフィン流れは、約10wppmより多くの水を含有しない。
1つの態様において、乾燥されたオレフィン流れから蒸留されたプロピレンは、実質的にジメチルエーテルを含有しない。好ましくは、乾燥されたオレフィンから蒸留されたプロピレンは、約25wppmより多くのジメチルエーテルを含有しない。
他の態様において、オレフィン流れは、少なくとも約0.05重量%のジメチルエーテルを含有する。さらに他の態様において、オレフィン流れは、さらに、ブチレン及びより高い沸点の化合物を含有し、乾燥されたオレフィン流れは蒸留されて、プロピレン、ブチレン及びより高い沸点の化合物からジメチルエーテル及びプロパンを分離する。そのような態様において、オレフィン流れは、望ましくは、約2重量%乃至45重量%のプロパン、約0.05重量%乃至約5重量%のジメチルエーテル、及び約30重量%乃至約95重量%の、ブチレン及びより高い沸点の化合物を含有する。
本発明は、さらに、プロパン及びジメチルエーテルを水と接触させて、プロパンからジメチルエーテルを分離させることを含む。次に、分離されたジメチルエーテルを分子篩触媒と接触させてオレフィンを生成する。
任意に、本発明は、分離されたプロピレンを重合してポリプロピレンを製造することをさらに含む。又、プロピレンから、存在するならブチレン及びより高い沸点の化合物を分離し、ブチレンは、さらに反応され得る。例えば、分離されたブチレンは、アルデヒド類、酸類、アルコール類、C5−C13モノカルボン酸及びC5−C13モノアルコールから製造されるエステル類又は線状α−オレフィンに変換され得る。
本発明の他の態様において、オレフィン流れは、エチレンをさらに含み、乾燥されたオレフィン流れは、蒸留されて、エチレン及びプロピレンからジメチルエーテル及びプロパンを分離する。望ましい場合、分離されたエチレンは重合され得る。
本発明は、水、プロピレン、プロパン及びジメチルエーテルを含有するオレフィン流れからジメチルエーテルを除去する方法を提供する。オレフィン流れを乾燥し、プロピレンからプロパン及びジメチルエーテルを分離するように蒸留する。そのような態様において、プロパン及びジメチルエーテル流れは、オキシジェネートの変換の程度によって、約4.0乃至約99重量%のプロパン及び約1.0乃至約96重量%のジメチルエーテルを含有する。
本発明の他の態様において、オレフィン流れを水吸収剤又は水吸着剤と接触させることによりオレフィン流れを乾燥する。水吸収剤は、望ましくは極性の炭化水素である。水吸着剤は、望ましくは分子篩である。水吸収剤又は吸着剤と接触する前に、オレフィン流れを圧縮することも望ましい。
本発明は、オキシジェネートから生成されたプロピレンを重合する方法をさらに提供する。その方法は、オキシジェネートを分子篩触媒と接触させて、プロピレン、プロパン及びジメチルエーテルを含有するオレフィン流れを生成する。そのオレフィン流れを蒸留し、プロパン及びジメチルエーテルからプロピレンを分離し、分離されたプロピレンを重合する。好ましくは、分離されたプロピレン流れは、約25wppmより多くのジメチルエーテルを含有しない。蒸留する前に、オレフィン流れを乾燥させることも望ましい。
本発明は、エチレン及びプロピレンを重合する方法を提供する。その方法は、特に、エチレン、プロピレン、プロパン及びジメチルエーテルを含有するオレフィン流れを乾燥させることを含む。乾燥されたオレフィン流れを蒸留し、エチレン流れ及びプロピレン流れが各々、約10wppmより多くのジメチルエーテルを含有しないように、エチレン流れ、プロピレン流れ、及びプロパンとジメチルエーテル流れを分離する。次に、分離されたエチレン及びプロピレン流れを重合し得る。好ましくは、乾燥された流れは、約1,000wppmより多くの水を含有しない。
本発明の詳細な記載
本発明は、オレフィン流れ、特に、エチレン及び/又はプロピレンを含有するオレフィン流れからジメチルエーテルを除去する方法を提供する。一般的に、本方法は、共通の流れにおけるプロパン及びジメチルエーテルを分離するようにオレフィン流れを蒸留することを含む。蒸留されたオレフィン流れにおけるエチレン及び/又はプロピレンは、十分な品質、すなわち、ポリマー級の品質を有しており、重合法のための供給原料として使用することができる。
本発明は、プロピレン生成物流れからジメチルエーテルを分離するために必要である付加的な装置を必要としないという利点を提供する。プロピレンからプロパンを分離するために従来用いられているC3スプリッターも、プロピレンから望ましくないジメチルエーテルを分離するために用いられ得る。
本発明の他の面において、分別によりオレフィン生成物流れから、C3炭化水素を多量に含有する少なくとも部分的な流れを分離することにより、オレフィン流れからジメチルエーテルを除去することの問題が、本発明によって解決される。C3炭化水素を含有する分離された流れは、プロピレンとプロパンの分離のために精留カラム(C3スプリッター)に送られる。プロピレン生成物流れは、前記精留カラムの上部から取り出され、ジメチルエーテルと同様にプロパン及び恐らく他のC3炭化水素は、多くても痕跡量のみのジメチルエーテルしか含有しないプロピレン生成物流れが得られるように、精留カラムの下部から除去される。
本発明の他の面は、分離工程において、C3炭化水素にジメチルエーテルが加えられるようにオレフィン流れを分別することに基づく。従って、ジメチルエーテルは,プロピレン、プロパン及び恐らく他のC3炭化水素とともに分別プロセスにおけるC3スプリッター又は精留カラムに送られる。予期しないことに、ジメチルエーテルは、プロパンとともに、ほとんど完全に精留カラムの下部に送られる。プロピレンは、そのカラムの上部から取り出され、ジメチルエーテルを実質的に含有しない。
本発明のさらに他の面において、プロパン及びジメチルエーテルを分離するために、水含量が低いオレフィン流れを蒸留することが望ましい。低水分含量は、蒸留容器における包接化合物及び/又は遊離の水の形成の問題を回避する傾向を有する。包接化合物及び遊離の水の形成は、熱及び物質の移動を妨げ、比較的近い沸点を有する生成物を分離することを非常に困難にする。いくつかの場合、包接化合物及び遊離の水の形成の影響を実質的に低減させるために、オレフィン流れを乾燥させることにより、オレフィン流れの水含量を低減する必要を有し得る。
ジメチルエーテルを分離するために蒸留されるオレフィン流れは、望ましくは、約1,000wppmより多くの水を含有しない。好ましくは、オレフィン流れは、約500wppmより多くの水を含有せず、より好ましくは、約100wppmよりも多くの水を含有せず、最も好ましくは約10wppmより多くの水を含有しない。
本発明の方法は、プロパンも含有するエチレン及び/又はプロピレン流れからジメチルエーテルを除去するために特に有用である。プロパンとともにジメチルエーテルを分離するのに有効な圧力及び温度においてそのような流れを蒸留することにより、本方法の結果は、オレフィン流れの残存する部分をさらに蒸留して、各々が全体的に高い効率において生成される、ポリマー級のエチレンとポリマー級のプロピレン供給原料流れを提供することである。
本発明により、プロパン及びジメチルエーテルを含有するエチレン及び/又はプロピレン流れは、いずれかの供給源から得られる。しかし、いくつかの供給源は、他よりも1つの成分をより多く含有する。例えば、種々の炭化水素物質を分解することにより、分解される物質に依存して、エチレン及びプロピレンを生成されるが、ジメチルエーテルが生成されたとしてもほとんど生成されない。メタノールのようなオキシジェネートを分子篩触媒との触媒作用反応によりオレフィンに変換することは、エチレン及びプロピレンも生成するが、炭化水素を分解するよりもかなり多くのジメチルエーテルを生成する。それにもかかわらず、オレフィン流れがプロパン及びジメチルエーテルを含有する限り、本発明の方法は有効である。しかし、オレフィンへのオキシジェネートプロセスから製造されるオレフィン流れからジメチルエーテルを除去することにおいて、そのような流れに見出されるジメチルエーテルの比較的高含量のために、それは特に有効である。
本発明の1つの態様において、エチレン及び/又はプロピレン、ジメチルエーテル及びプロパンを含有するオレフィン流れが提供される。任意に、そのオレフィン流れはブチレン及びより高い沸点の化合物と同様にエタンを含有する。エチレン及び/又はプロピレン及び存在する場合に任意にエタンをプロパン及びジメチルエーテルから分離するように、オレフィン流れが蒸留され、好ましくは、従来の連続的蒸留技術により蒸留される。ブチレン及びより高い沸点の化合物がオレフィン流れに含有され、分離されたプロパン及びジメチルエーテル流れは、ブチレン及びより高い沸点の化合物を含むことが好ましい。
本発明の他の態様において、約2重量%乃至約45重量%のプロパンを含有するオレフィン流れを提供する。好ましくは、オレフィン流れは、約5重量%乃至約40重量%のプロパン、より好ましくは、約10重量%乃至約35重量%のプロパンを含有するオレフィン流れが提供される。
提供されたオレフィン流れは、又、ジメチルエーテルを望ましくは、少なくとも約0.05重量%含有する。好ましくは、提供されたオレフィン流れは、約0.05乃至約5重量%のジメチルエーテル、より好ましくは、約0.1重量%乃至約3重量%のジメチルエーテル、最も好ましくは、約0.2重量%乃至約2重量%のジメチルエーテルを含有する。
任意に、提供された流れは、ブチレンと、より高い沸点の化合物を含有する。種々のC2及びより高い沸点のオレフィンを含有するオレフィン流れからプロパン及びジメチルエーテルが分離された場合に、典型的にこの流れは存在する。この態様において、蒸留により、プロピレン及びより低い沸点の化合物は、C2及びより高い沸点のオレフィンを含有するオレフィン流れから取り出される。
提供されたオレフィン流れ中に含まれ得るブチレンと、より高い沸点の化合物の量は、オレフィンの最終的な供給源に依存して変わり得る。オレフィン流れがエチレン及びプロピレンを含有する場合において、ブチレン及びより高い沸点の化合物は、より低い濃度で存在する。オレフィン供給源からエチレン及びプロピレンが分離される場合、ブチレン及びそれより高い沸点化合物は、より高い濃度で存在する。一般的に、提供されたオレフィン流れは、約30重量%乃至約95重量%の、ブチレン及びより高い沸点化合物を含有する。この態様において、好ましくは、提供されたオレフィン流れは、エチレン及びプロピレンを取り出すために予め蒸留され、提供された流れは、約40重量%乃至約95重量%のブチレン及びより高い沸点の化合物、より好ましくは、約50重量%乃至約90重量%のブチレン及びより高い沸点の化合物、最も好ましくは、約60重量%乃至約80重量%のブチレン及びより高い沸点の化合物を含有する。
本発明の他の態様において、プロパン及びジメチルエーテル流れを水と、好ましくは、液相において、接触させることにより、ジメチルエーテルをプロパン流れから分離する。接触は、いずれかの従来の種類の洗滌又は液体/液体接触容器において行なわれ得る。用いられる水の量は、少なくとも約85重量%のプロパン、好ましくは、少なくとも約90重量%のプロパン、より好ましくは少なくとも約95重量%のプロパンを含有するプロパン流れを回収するのに十分でなくてはならない。
ジメチルエーテル及びプロパン流れを接触させる水流れは、実質的な量のジメチルエーテルを吸収する。その水流れは、接触容器からボトム流れとして回収され、少なくとも約1重量%のジメチルエーテル、好ましくは、少なくとも約3重量%のジメチルエーテル、より好ましくは、少なくとも約5重量%のジメチルエーテルを含有する。ジメチルエーテルは、蒸発、好ましくは、圧力が低減されてジメチルエーテルが水から容易に分離されるようにジメチルエーテルを気化させるフラッシュ蒸発により水から分離され得る。次に、望ましい場合、分離されたジメチルエーテルは処理される。例えば、回収されたジメチルエーテルは、オレフィンへのオキシジェネート反応プロセスのための供給原料として用いられ得る。
本発明の1つの態様において、オレフィン流れは、オキシジェネートを分子篩触媒と接触させることにより得られる。オキシジェネートは、脂肪族アルコール類、エーテル類、カルボニル化合物類(アルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類、カーボネート類、エステル類等)のような、少なくとも1つの酸素原子を有する少なくとも1つの有機化合物を含む。オキシジェネートがアルコールの場合、アルコールは、1乃至10の炭素原子、より好ましくは1乃至4の炭素原子を有する脂肪族部分を有する。代表的なアルコールには、低級の直鎖及び分岐鎖脂肪族アルコール及びそれらの不飽和対応物が含まれるが、それらに必ずしも限定されない。適するオキシジェネート化合物の例には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、C4−C20アルコール、メチルエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ホルムアルデヒド、ジメチルカーボネート、ジメチルケトン、酢酸、及びそれらの混合物が含まれるがそれらに限定されない。好ましいオキシジェネート化合物はメタノール、ジメチルエーテル、又はそれらの混合物である。
オキシジェネートをオレフィン化合物に変換できる分子篩には、ゼオライト類及び非ゼオライト類が含まれ、大、中又は小細孔タイプのものである。しかし、本発明の1つの態様において、小細孔分子篩が好ましい。本明細書において定義されるように、小細孔の分子篩は、約5.0オングストローム未満の細孔サイズを有する。一般的に、適する触媒は、約3.5乃至約5.0オングストローム、好ましくは、約4.0乃至約5.0オングストローム、最も好ましくは、約4.3乃至約5.0オングストロームの範囲の細孔サイズを有する。
天然及び合成の両ゼオライト物質は、種々の種類の炭化水素変換法のための触媒特性を有することが示されている。又、ゼオライト物質は、吸着剤、種々の種類の炭化水素変換法のための触媒担体及び他の用途として用いられている。ゼオライト類は、共有される酸素原子により連結されたAlO2 −とSiO2四面体の網状構造を形成する複合結晶質アルミノ珪酸塩である。四面体の陰性は、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンのようなカチオンの含有によりバランスが取られる。いくつかのゼオライト類の製造において、合成中に、テトラメチルアンモニウム(TMA)又はテトラプロピルアンモニウム(TPA)のような非金属性カチオンが存在する。結晶質網状構造により形成される空き間又は孔路は、ゼオライト類を、分離方法における分子篩として、化学的反応のための触媒として、及び広範囲の炭化水素変換法における触媒担体として用いられることを可能にする。
ゼオライトには、シリカ及び任意にアルミナを含有する物質、シリカ及びアルミナ部分が全体的に又は部分的に他の酸化物で置換されている物質が含まれる。例えば、酸化ゲルマニウム、酸化錫及びそれらの混合物がシリカ部分に置換し得る。酸化硼素、酸化鉄、酸化ガリウム、酸化インディウム及びそれらの混合物がアルミナ部分を置換し得る。他に特定していなければ、本明細書で用いられる「ゼオライト」及び「ゼオライト物質」という用語は、それらの結晶質格子構造中に珪素原子及び任意にアルミニウム原子を含有する物質のみでなく、そのような珪素及びアルミニウム原子のための適する置換原子を含有する物質も意味する。
多量のエチレン及びプロピレンを製造することができるオレフィン生成触媒の1つの種類は、シリコアルミノ燐酸塩(SAPO)分子篩である。シリコアルミノ燐酸塩分子篩は、一般的に、8、10又は12員環構造を有する微孔質の物質であると分類される。それらの環構造は、約3.5乃至約15オングストロームの範囲の平均細孔サイズを有し得る。好ましいのは、約5オングストローム未満の平均細孔サイズ、好ましくは約3.5乃至5オングストロームの平均細孔サイズ、より好ましくは約3.5乃至約4.2オングストロームの範囲の平均細孔サイズを有する小細孔SAPO分子篩である。それらの細孔サイズは、8員環を有する典型的な分子篩である。
1つの態様によれば、置換されたSAPO類も、オレフィンへのオキシジェネート反応プロセスにおいて用いられ得る。それらの化合物は、MeAPSO類又は金属含有シリコアルミノ燐酸塩として一般的に知られている。その金属は、アルカリ金属イオン(IA族)、アルカリ土類金属イオン(IIA族)、稀土類イオン(ランタノイド元素:ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウム;並びにスカンジウム又はイットリウムを含む、IIIB族)並びにIVB族、VB族、VIB族、VIIB族、VIIIB族及びIB族の他の遷移カチオンであることができる。
好ましくは、Meは、Zn、Mg、Mn、Co、Ni、Ga、Fe、Ti、Zr、Ge、Sn及びCrのような原子を表わす。それらの原子は、[MeO2]四面体単位により四面体骨格に挿入される。[MeO2]四面体単位は、金属置換体の原子価状態に依存する正味電荷を有する。金属成分が、+2、+3、+4、+5又は+6の原子価状態を有するとき、正味電荷は−2と+2との間である。金属成分の組み込みは、分子篩の合成中に金属成分を添加することにより行われる。しかし、合成後のイオン交換も用いられ得る。合成後の交換において、金属成分は、骨格それ自体にではなく、分子篩の開放表面におけるイオン交換部位にカチオンを導入する。
適するシリコアルミノ燐酸塩分子篩には、SAPO−5、SAPO−8、SAPO−11、SAPO−16、SAPO−17、SAPO−18、SAPO−20、SAPO−31、SAPO−34、SAPO−35、SAPO−36、SAPO−37、SAPO−40、SAPO−41、SAPO−42、SAPO−44、SAPO−47、SAPO−56、それらの金属含有形態、及びそれらの混合物が含まれる。好ましいのは、それらの金属含有形態及びそれらの混合物を含む、SAPO−18、SAPO−34、SAPO−35、SAPO−44及びSAPO−47であり、特にSAPO−18及びSAPO−34である。本明細書で用いられているように、混合物という用語は、組合わせと同意語であり、2つ以上の成分を、それらの物理的状態にかかわらず、異なる割合で有する物質組成物であると考えられる。
アルミノ燐酸塩(ALPO)分子篩も、触媒組成物において含有され得る。アルミノ燐酸塩分子篩は、ALPO4骨格を有し得る結晶質微孔質酸化物である。それらは、骨格内に付加的な元素を有し得て、典型的には、約3オングストローム乃至約10オングストロームの範囲の均一の細孔寸法を有し、分子種のサイズ選択性分離をすることができる。ゼオライトの位相的類似物を含む24より多い構造種が報告されている。アルミノ燐酸塩の基礎知識及び合成の、より詳細な記載は、米国特許第4,310,440号に見出され、その記載を引用により本明細書に完全に組み込む。好ましいALPO構造は、ALPO−5、ALPO−11、ALPO−18、ALPO−31、ALPO−34、ALPO−36、ALPO−37及びALPO−46である。
ALPO類は、又、その骨格に金属置換体を含有する。好ましくは、金属は、マグネシウム、マンガン、亜鉛、コバルト及びそれらの混合物から成る群から選ばれる。それらの物質は、好ましくは、吸着、イオン交換及び/又はアルミノ珪酸塩、アルミノ燐酸塩及びシリカアルミノ燐酸塩分子篩組成物と類似の触媒的特性を示す。この種の構成化合物及びそれらの製造は、米国特許第4,567,029号に記載されており、その記載を引用により本明細書に完全に組み込む。
その金属含有ALPO類は、MO2、AlO2及びPO2四面体単位の三次元微孔質結晶骨格構造を有する。製造された構造(か焼前のテンプレートを含有する)としてそれらは、無水ベースで、実験的化学組成物、
mR:(MxAlyPz)O2
(式中、Rは、結晶内細孔系中に存在する少なくとも1つの有機テンプレート剤を表わし、mは、(MxAlyPz)O2のモル当りに存在するRのモル数を表わし、0乃至0.3の値であり、各々の場合における最大値は、テンプレート剤の分子寸法及び関係する特定のアルミノ燐酸金属塩の細孔系の利用できる空洞体積に依存し、x、y及びzは、四面体酸化物として存在する、それぞれ、金属M(すなわち、マグネシウム、マンガン、亜鉛及びコバルト)、アルミニウム及び燐のモル分率を表わす)により表わされ得る。
金属含有ALPO類は、時には、頭字語によりMeAPOという。又、組成物中の金属Meがマグネシウムである場合において、その組成物に頭字語MAPOが用いられる。同様に、それぞれ、亜鉛、マンガン及びコバルトを含有する組成物に、ZAPO、MnAPO及びCoAPOが用いられる。亜族種のMAPO、ZAPO、CoAPO及びMnAPOの各々を組成する種々の構造種を特定するために、各種は、数を指定し、例えば、ZAPO−5、MAPO−11、CoAPO−34等と特定される。
シリコアルミノ燐酸塩分子篩は、典型的には、他の物質と混合(すなわち、ブレンド)される。ブレンドされる場合、得られる組成物は、典型的には、SAPO触媒と呼ばれ、その触媒は、SAPO分子篩を含有する。
シリコアルミノ燐酸塩分子篩とブレンドされ得る物質は、種々の不活性又は触媒として活性な物質又は種々のバインダー物質であることができる。それらの物質には、カオリン及び他のクレーのような組成物、稀土金属の種々の形態、金属酸化物、他の非ゼオライト触媒成分、ゼオライト触媒成分、アルミナ又はアルミナゾル、チタニア、ジルコニア、マグネシア、トリア、ベリリア、石英、シリカ又はシリカゾル、及びそれらの混合物が含まれる。それらの成分は、又、特に、全体的な触媒コストを低減すること、熱吸い込みとして作用し、再生中の触媒を熱遮蔽するのを助けること、触媒の密度を高めること及び触媒強度を増大することにおいて有効である。熱吸い込みとして作用するために触媒中に用いられる不活性物質は、約0.05乃至約1カロリー/g・℃、より好ましくは約0.1乃至約0.8カロリー/g・℃、最も好ましくは、約0.1乃至約0.5カロリー/g・℃の熱容量を有することが特に望ましい。
SAPO触媒組成物の一部として付加的な分子篩物質が用いられ得るか、又は、望ましい場合、SAPO触媒との混合物において別の分子篩触媒として用いられ得る。本発明における使用のために適する小細孔分子篩の構造的種類には、AEI、AFT、APC、ATN、ATT、ATV、AWW、BIK、CAS、CHA、CHI、DAC、DDR、EDI、ERI、GOO、KFI、LEV、LOV、LTA、MON、PAU、PHI、RHO、ROG、THO及びそれらの置換された形態が含まれる。本発明における使用のために適する中細孔分子篩の構造的種類には、MFI、MEL、MTW、EUO、MTT、HEU、FER、AFO、AEL、TON及びそれらの置換された形態が含まれる。それらの小細孔及び中細孔分子篩は、W.M. Meier及びD.H. OlsenによるAtlas of Zeolite Structural Types、 Butterworth Heineman、3版(1997年)において詳細に記載されており、その詳細な記載を引用により本明細書に完全に組み込む。シリコアルミノ燐酸塩触媒と組合わせられ得る好ましい分子篩には、ZSM−5、ZSM−34、エリオナイト及びシャバサイトが含まれる。
1つの態様により、触媒組成物は、好ましくは約1重量%乃至約99重量%、より好ましくは約5重量%乃至約90重量%、最も好ましくは約10重量%乃至約80重量%の分子篩を含有する。又、触媒組成物は、約20オングストローム乃至約3,000オングストローム、より好ましくは約30オングストローム乃至約200オングストローム、最も好ましくは約50オングストローム乃至約150オングストロームの粒度を有する。
触媒は、望ましい物理的及び化学的特徴を得るために、種々の処理に付され得る。そのような処理には、熱水処理、か焼、酸処理、塩基処理、微粉砕、ボールミル粉砕、粉砕、噴霧乾燥及びそれらの組合わせが含まれるが、それらに必ずしも限定されない。
エチレン及びプロピレンを製造するのに特に有用な分子篩触媒は、SAPO−34とSAPO−18又はALPO−18分子篩の組合わせを含有する触媒である。特定の態様において、分子篩は、SAPO−34とSAPO−18又はALPO−18の結晶質互生体である。
オキシジェネートをオレフィンに変換するために、固定床、流動床又は移動床系を含む従来の反応器系が用いられ得る。1つの態様の好ましい反応器は、並流上昇管反応器及び短接触時間、向流フリーフォール反応器である。望ましくは、反応器は、オキシジェネート供給原料が、少なくとも約1時間−1、好ましくは約1時間−1乃至約1,000時間−1の範囲、より好ましくは約20時間−1乃至約1,000時間−1の範囲、最も好ましくは約50時間−1乃至約500時間−1の範囲の毎時重量空間速度(WHSV)において分子篩触媒と接触され得る反応器である。WHSVは、本明細書において、反応器中の分子篩の重量当り時間当りの、オキシジェネート、及び供給原料中に任意に存在し得る反応性炭化水素の重量として定義される。触媒又は供給原料は、不活性物質又は稀釈剤として作用する他の物質を含有し得るので、WHSVは、オキシジェネート供給原料、オキシジェネート供給原料とともに存在し得る反応性炭化水素、及び反応器に含有する分子篩の重量ベースで計算される。
好ましくは、オキシジェネートが蒸気相中に存在する場合、オキシジェネート供給原料を触媒と接触させる。代替として、そのプロセスを、液相又は混合された蒸気/液相において行い得る。そのプロセスを液相中又は混合された蒸気/液相中で行う場合、触媒及び反応条件によって、生成物への供給原料の異なる変換及び選択性がもたらされ得る。
そのプロセスは、一般的に、広範囲な温度で行われ得る。有効な操作温度は、約200℃乃至約700℃、好ましくは約300℃乃至約600℃、より好ましくは約350℃乃至約550℃であることができる。温度範囲の下限において、望ましいオレフィン生成物の生成は、著しくゆっくりと行なわれ得て、オレフィン生成物中に比較的高含量のオキシジェネート化されたオレフィン副生物が見出される。しかし、低温度において、エチレン及びプロピレンに対する選択性は増大し得る。温度範囲の上限において、そのプロセスは、最適量のエチレン及びプロピレン生成物を生成し得ないが、オキシジェネート供給原料の変換は、一般的に高い。
自己圧を含む操作圧力も、広範囲に変わり得る。有効な圧力には、少なくとも1psia(7kPa)、好ましくは少なくとも約5psia(34kPa)の全圧が含まれるが、それらに必ずしも限定されない。少なくとも約20psia(138kPa)の全圧を含む、より高い全圧において、そのプロセスは、特に有効である。好ましくは、全圧は、少なくとも約25psia(172kPa)、より好ましくは少なくとも約30psia(207kPa)である。実際の設計目的のためには、主オキシジェネート供給原料成分としてメタノールを用い、反応器を約500psia(3,445kPa)以下、好ましくは約400psia(2,756kPa)以下、最も好ましくは約300psia(2,067kPa)以下の圧力で操作することが望ましい。
適する気体見掛け速度において操作することにより望ましくない副生物を回避することができる。気体見掛け速度が増大すると、その変換は、望ましくない副生物の回避を低減させる。本明細書で用いられるように、「気体見掛け速度」は、変換生成物と同様に、供給原料中に存在する場合に稀釈剤を含む気化した供給原料の合わされた体積流量を反応域の横断面積で割った値として定義される。オキシジェネートは、反応域を流動しながら、かなりの量のエチレン及びプロピレンを有する生成物に変換されるので、気体見掛け速度は、反応域内の異なる位置において異なり得る。変換の程度は、存在する気体の総モル数及び反応域における特定の位置の横断面、温度、圧力及び他の関連する反応パラメーターに依存する。
1つの態様において、気体見掛け速度は、反応域における少なくとも1つの地点において秒当り1m(1m/秒)より大きい速度で維持される。他の態様において、気体見掛け速度は、反応域における少なくとも1つの地点において約2m/秒より大きい。より望ましくは、気体見掛け速度は、反応域における少なくとも1つの地点において約2.5m/秒より大きい。さらにより好ましくは、気体見掛け速度は、反応域における少なくとも1つの地点で約4m/秒より大きい。最も望ましくは、気体見掛け速度は、反応域における少なくとも1つの地点において約8m/秒より大きい。
本発明のさらに他の態様によれば、気体見掛け速度が、反応域におけるすべての地点において1m/秒より大きい速度で維持されるように、気体見掛け速度は、反応域において比較的一定に維持される。又、気体見掛け速度は、反応域におけるすべての地点において約2m/秒より大きいことが望ましい。より望ましくは、気体見掛け速度は、反応域におけるすべての地点において約2.5m/秒より大きい。さらにより望ましくは、気体見掛け速度は、反応域におけるすべての地点において約4m/秒より大きい。最も望ましくは、気体見掛け速度は、反応域におけるすべての地点において約8m/秒より大きい。
オレフィンへのオキシジェネートプロセスにおいて製造されるエチレン及びプロピレンの量は、オレフィンへのオキシジェネート反応におけるオキシジェネートの変換を低減させることにより増大され得る。しかし、オキシジェネート変換反応において供給原料オキシジェネートの変換を低減させることは、オレフィン生成物中に存在する、特に、ジメチルエーテルを含む、オキシジェネート化炭化水素の量を増大する傾向を有する。従って、オキシジェネート反応プロセスへの供給原料の変換の制御は、重要であり得る。
1つの態様によれば、主なオキシジェネート、例えばメタノール、の変換は、90重量%乃至98重量%である。他の態様によれば、メタノールの変換は、92重量%乃至98重量%、好ましくは94重量%乃至98重量%である。
他の態様によれば、メタノールの変換は、98重量%より多く、100重量%未満である。他の態様によれば、メタノールの変換は、98.1重量%から100重量%未満まで、好ましくは98.2重量%乃至99.8重量%である。他の態様によれば、メタノールの変換は、98.2重量%から99.5重量%未満まで、好ましくは98.2重量%乃至99重量%である。
本発明において、重量%変換は、他に特定していなければ、水非含有ベースで計算される。水非含有ベースにおける重量%変換は、100 × (水非含有ベースでの供給された重量オキシジェネート − 水非含有ベースでの生成物中の重量オキシジェネート化炭化水素)と計算される。水非含有ベースのオキシジェネートは、供給原料及び生成物におけるオキシジェネートの水部分を引き、生成物において生成された水を除くことにより計算される。例えば、オキシジェネート非含有ベースでのメタノールの重量流量は、メタノールの重量流量に14/32をかけ、メタノールの水成分を除くことにより、計算される。他の例として、オキシジェネート非含有ベースでのジメチルエーテルの重量流量は、ジメチルエーテルの重量流量に、28/46をかけて、ジメチルエーテルの水成分を除くことにより、計算される。供給原料又は生成物においてオキシジェネートの混合物がある場合、痕跡量のオキシジェネートは、含まれない。供給原料としてメタノール及び/又はジメチルエーテルが用いられる場合、水非含有ベースでの変換を計算するために、メタノールとジメチルエーテルのみが用いられる。
本発明において、選択性も、他に特定されなければ、水非含有ベースで計算される。供給原料としてメタノール及び/又はジメチルエーテルが用いられる場合、選択性は、100 × 重量%成分/(100 − 重量%水 − 重量%メタノール − 重量%ジメチルエーテル)と計算される。
オレフィンへのオキシジェネート反応のオレフィン生成物におけるジメチルエーテルの量が多ければ多いほど、変換%は低くなる。エチレン及びプロピレンへの選択性を増大させるために、より低い変換で反応を実施させることが望ましいので、生成されるオレフィン中にいくらかの量のジメチルエーテルを有することが望ましい。しかし、全体のプロセスを非効率的とするか又はジメチルエーテルの除去をより困難にするので、存在するジメチルエーテルの量をそれほど多くしてはならない。
望ましくは、ジメチルエーテルは、オレフィンへのオキシジェネート反応プロセスにおいて生成されるオレフィン中に、水非含有基準で少なくとも約100重量ppmの量で存在する。好ましくは、ジメチルエーテルは、少なくとも約500重量ppm、より好ましくは、少なくとも約1,000重量ppmの量で存在する。好ましくは、水非含有基準で、オレフィンへのオキシジェネート反応プロセスからのオレフィン流れにおけるジメチルエーテルの量は、約10重量%より多くなく、より好ましくは、約5重量%より多くなく、最も好ましくは、約2重量%よりも多くない。
オレフィンへのオキシジェネートプロセスは、副生物として実質的な量の水を生成する。流れにおける水蒸気の凝縮温度よりも低い温度にその流れを冷却することにより、蒸留の前にこの水副生物の多くを除去し得る。好ましくは、生成物流れの温度を、オキシジェネート供給原料の凝縮温度より低い温度に冷却する。特定の態様において、生成物流れをメタノールの凝縮温度より低く冷却することが望ましい。
オレフィンへのオキシジェネート反応プロセスからのオレフィン流れを冷却し、冷却されたオレフィン流れを凝縮された水含有流れとオレフィン蒸気流れに分離することが望ましい。凝縮された水含有流れは、オレフィン流れからの水のほとんど及びオレフィン流れからのオキシジェネート化された炭化水素のかなりの割合を含有する。オレフィン蒸気流れは、大部分のオレフィン類、例えば、エチレン及びプロピレンを含有する。
本発明の1つの面において、オレフィンに富んだ蒸気流れを、凝縮された水含有流れから分離し得るように、オレフィンへのオキシジェネート反応プロセスからのオレフィン流れを冷却する。蒸気流れが、約20重量%より多くの水を含有せず、好ましくは、約15重量%より多くの水を含有せず、より好ましくは約12重量%より多くの水を含有しないことが望ましい。
急冷カラムは、オキシジェネートへのオレフィン反応プロセスからオレフィン流れを冷却するのに有効である装置の1つの種類である。急冷カラムにおいて、急冷流体をオレフィン流れと直接接触させて、その流れを望ましい凝縮温度に冷却する。凝縮により、重質ボトム流れともいう、凝縮された水含有流れを生成する。オレフィン生成物流れのオレフィン部分は、蒸気のままであり、塔頂蒸気流れとして急冷カラムを出る。塔頂蒸気流れは、オレフィン生成物に富み、水と同様にいくらかのオキシジェネート化された炭化水素副生物も含有し得る。
1つの態様において、急冷する流体は、凝縮された水を含有する、急冷カラムの重質ボトム流れの再循環流れである。望ましくは、この水含有流れを、例えば、熱交換器により、冷却し、急冷カラムに注入して戻す。急冷カラムの他の分離装置下流流れにおいては、急冷カラムに外部供給源から冷却媒体を注入することが望ましいかもしれないが、この態様においては、急冷カラムに外部供給源から冷却媒体を注入しないことは好ましい。
本発明の1つの態様において、プロパン及びジメチルエーテル流れを分離する前に、ジメチルエーテルを含有するオレフィン流れを乾燥する。この態様において、ジメチルエーテルをより有効に除去するための蒸留の前に、ジメチルエーテルを含有するオレフィン流れから水を除去する(すなわち、オレフィン流れを乾燥する)ために、固体又は液体乾燥系を用い得る。
固体乾燥系において、オレフィン流れを固体吸着剤と接触させ、水を非常に低い量にまで、さらに除去する。従来のいずれの方法も用いられ得る。典型的には、吸着プロセスは、適する固体吸着剤を含有する1つ以上の固定床において行なわれる。
他の処理系を用いることにより、通常、除去され得ない特定のオキシジェネート化された炭化水素を除去するために、及び低濃度の水を除去するために、吸着は有用である。好ましくは、本発明の一部として用いられる吸着系は、複数の吸着床を有する。複数床は、固体吸着剤を再生するための工程を閉鎖する必要なしに連続的分離を可能にする。例えば、3つの床系において1つの床はオンラインであり、1つの床は再生されたオフラインであり、第三の床は待機中である。
吸着剤床において用いらる特定の1つ又は複数の吸着剤固体は、除去される汚染物質の種類に依存する。水、並びにオキシジェネート化された炭化水素及び吸収剤液のような種々の極性有機化合物を除去するための固体吸着剤の例には、アルミナ、シリカ、分子篩及びアルミノ珪酸塩が含まれる。水を非常に低い含量まで除去するために、それらの篩類の混合物を含有する床又は異なる吸着剤固体を有する複数の床が有効に用いられ得る。
吸着剤床は周囲温度で又は望ましい場合は高温で、上方流れ又は下方流れのいずれかを用いて操作され得る。吸着剤物質の再生は、高温における窒素のような乾燥不活性気体の流れでの処理を含む従来の方法により行なわれ得る。
液体乾燥系において、ジメチルエーテルを含有するオレフィン流れから水を除去するために水吸収剤が用いられる。水吸収剤は、オレフィン流れから水を除去するのに有効ないずれかの液体であることができる。用いられる水吸収剤の量は、蒸留工程中に包接化合物及び遊離の水の生成を実質的に低減するのに有効な量である。
約1:1乃至約1:5,000、より好ましくは、約1:10乃至約1:1,000、最も好ましくは、約1:25乃至約1:500の、水吸収剤対吸収容器に入る総供給原料のモル比において、水吸収剤を水吸収容器に加えることが好ましい。
本発明において用いられ得る水吸収剤は、1気圧の液体である。又、望ましくは、それらの吸収剤が少なくとも100゜F(38℃)、好ましくは、少なくとも120゜F(49℃)、より好ましくは、少なくとも150゜F(66℃)の平均沸点を有する。本明細書において定義されているように、平均沸点は、重量平均基準で、吸収剤中の各化合物の沸点を考慮に入れる。例えば、100度の沸点を有する化合物を90重量%及び200度の沸点を有する化合物を10重量%含有する吸収剤は、110度の平均沸点を有する。
水吸収剤は、又、望ましくは、極性炭化水素組成物である。そのような組成物は、一価のアルコール類、多価のアルコール類、アミン類又はそれらの混合物のような化合物を含有する。好ましい一価のアルコール類には、メタノール、エタノール及びプロパノールが含まれる。好ましい多価のアルコール類には、グリコール類が含まれる。好ましいグリコール類には、エチレングリコール及びトリエチレングリコールが含まれる。吸収剤組成物は、少なくとも約75重量%の液体水吸収剤を含有するのが望ましい。組成物の残りは、希釈剤が水吸収に悪影響を及ぼさない限り、希釈剤であることができる。好ましくは、水吸収剤組成物は、少なくとも約85重量%の、より好ましくは、少なくとも約90重量%の、最も好ましくは、少なくとも約95重量%の水吸収化合物を含有する。
本発明において、吸収剤をオレフィンと接触するために従来の吸収系が用いられ得る。1つの態様において、吸収系は、プレート吸収カラムも用いられ得るが、充填カラムを用いる。他の態様において、吸収カラムは、吸収カラムの上部に位置する液体入口を有する。吸収剤液体は、カラムの上部にわたって均等に分布される。望ましくは、吸収剤液の均等な分布は、デイストリビュータープレート又は噴霧ノズルを用いることにより行なわれる。吸収カラムの下部に、水及びジメチルエーテルを含有するオレフィンが吸収カラムに入る気体入口が存在する。カラムを下方に移動する液体吸収剤に対して向流の蒸気成分がカラムを上方に移動する。このことは、向流吸収として知られている。
カラムにおける充填又はプレートは、カラム内の蒸気成分と液体成分の緊密な接触のための表面を提供する。向流吸収カラムにおいて、液相及び気相の両方において可溶性の気体の濃度は、カラムの下部で最大であり、カラムの上部で最小である。蒸気のための出口は、吸収カラムの下部に、典型的には気体入口の下に存在する。液体吸収剤において最も可溶性である気体が乏しい気相のための出口は、吸収カラムの上部、典型的には液体入口の上に存在する。
水の濃度を望ましい程度に低減し、オレフィンへのオキシジェネートプロセスからの多量のオレフィン組成物を処理するために、1つ以上の吸収カラムが直列又は並行で用いられ得る。吸収の後に、プロパンとジメチルエーテルの流れを除去するためにオレフィン流れを蒸留し得る。
吸収剤液体は、従来の方法により再生され得る。1つの態様において、吸収された気体を含有する吸収剤液体を蒸留カラムに供給し、水を塔頂生成物として除去する。再生された吸収剤液体を下部生成物として取り出す。
本発明の他の態様において、急冷された及び/又は乾燥されたオレフィン流れを、圧縮、好ましくは、複数段階の圧縮により、さらに処理し得る。2、3、4又はそれより多い段階が用いられ得て、2又は3段階が好ましい。
望ましくは、急冷された及び/又は乾燥されたオレフィン流れを、オレフィンへのオキシジェネート反応プロセスが行なわれる圧力よりも大きい圧力に圧縮する。好ましくは、オレフィン流れを、少なくとも約30psia(207kPa)、より好ましくは、少なくとも約50psia(345kPa)、最も好ましくは、少なくとも約100psia(689kPa)の圧力に圧縮される。高圧範囲が特に好ましく、上限は、設計のコスト及び操作の容易さに基づく実際的な圧力である。実際的な圧力の上限は、一般的に、約5,000psia(34,450kPa)であり、約1,000psia(6,895kPa)、約750psia(5,171kPa)、約500psia(3,447kPa)の下限が段々に好ましい。
本発明において、従来の蒸留技術が用いられ得る。本発明の1つの態様において、オレフィン流れからのプロパン及びジメチルエーテル流れの分離は、蒸留種のカラムにおいて生じ、カラムのボトム画分を、装置の汚れを制限するために比較的低い温度にするようにカラムの操作圧力を保つ。このボトム画分は、主に、オレフィン供給原料からのC4+オレフィン成分を含有する。この態様において、ボトム画分が、約300゜F(149℃)以下、より好ましくは、約275゜F(135℃)以下、最も好ましくは、250゜F(121℃)以下の平均温度を有することが好ましい。
本発明において、プロピレンの沸点とプロパンの沸点との間のオレフィン供給流れの分別をさせる温度で蒸留を行なうことが望ましい。このようにプロパンを分離することは、オレフィン流れ中に含有するプロパンとジメチルエーテルを含有する流れをもたらす。次に、より軽質の沸点オレフィン化合物、例えば、エチレン及びプロピレンをさらに蒸留し、エチレン流れとプロピレン流れとを分離する。それらの流れは、約10wppmより多くのジメチルエーテルを含有せず、好ましくは、約5wppmより多くのジメチルエーテルを含有せず、最も好ましくは約1wppmより多くのジメチルエーテルを含有しない実質的にポリマー級供給原料品質である。
本発明において、ジメチルエーテルを含有するオレフィン流れを、オレフィン流れの他の成分からプロパン及びジメチルエーテル含有流れを分離するように蒸留する。好ましくは、約4重量%乃至約99重量%のプロパン、より好ましくは、約10重量%乃至約85重量%のプロパン、最も好ましくは約15重量%乃至約90重量%のプロパンを含有するオレフィン流れからプロパン及びジメチルエーテルを分離するように、ジメチルエーテルを含有するオレフィン流れを蒸留する。プロパン及びジメチルエーテルを含有する流れは、ジメチルエーテルを約1重量%乃至約96重量%、好ましくは、約15重量%乃至約90重量%、より好ましくは、約20重量%乃至約85重量%、含有する。オレフィンへのオキシジェネート変換プロセスからのオレフィンが用いられる場合、オキシジェネートのオレフィンへの望ましい変換により、その流れにおけるプロパンとジメチルエーテルの相対量は変わり得る。オキシジェネートのオレフィンへの変換は、望ましくは、約95%乃至約99%である。
本発明の他の態様において、蒸留の後に、エチレン及び/又はプロピレン流れを回収する。エチレン及び/又はプロピレン流れは、ジメチルエーテルを実質的に含有せず、実質的に含有せずとは、エチレン及びプロピレンの下流プロセス処理に実質的に悪影響を及ぼさないように、ジメチルエーテルの濃度が実質的に低いことを意味する。好ましくは、分離されたエチレン及び/又はプロピレン流れは、約25wppmより多くない、好ましくは、約10wppmより多くの、より好ましくは、約6又は3又は1wppmより多くのジメチルエーテルを、最も好ましくは、約0.5wppmより多くのジメチルエーテルを含有しない。
他の態様において、ジメチルエーテルを含有するオレフィン流れにおける少なくとも約75%のジメチルエーテルが、蒸留において分離される。好ましくは、前記オレフィン流れにおけるジメチルエーテルの少なくとも約85%が、蒸留において分離され、より好ましくは、少なくとも約95%、最も好ましくは、少なくとも約99%が分離される。
本発明により、プロパン及びジメチルエーテル流れを分離するためにオレフィン流れを蒸留する例が図1乃至5に示されている。
それらの例は、開始する供給原料の品質及び選ばれる流路に依存して、オレフィン流れを蒸留するいくつもの方法があることを示している。しかし、本発明における共通の因子は、従来の蒸留技術を用いる、オレフィン流れのプロパン成分とともにジメチルエーテルの分離である。
図1は、オキシジェネートからのオレフィンを製造し、そのオレフィンを乾燥し、その乾燥されたオレフィンからプロパンとジメチルエーテル流れを分離することを示す流れ図である。オキシジェネートとしてメタノールが用いられ、メタノールは、ライン100により、オレフィンへのオキシジェネート反応器102に送られ、そこで、メタン、エチレン、プロピレン、アセトアルデヒド、C4+オレフィン類、水及び他の炭化水素成分を含有するオレフィン流れに変換される。オレフィン流れは、ライン104により、急冷塔106に送られ、そこで、オレフィンは冷却され、水及び他の凝縮可能な成分が凝縮される。
実質的な量の水を含有する凝縮された成分は、ボトムライン108により急冷塔106から取り出される。凝縮された成分の一部は、ライン110により再循環されて急冷塔106の上部にもどされる。急冷塔106における成分をさらに冷却するための冷却媒体を提供するように、凝縮された成分をさらに冷却するために、ライン110は、冷却単位装置、例えば、熱交換器(示されていない)を含む。
オレフィン蒸気は、ライン112により急冷塔106の上部から出る。オレフィン蒸気は、圧縮機114により圧縮され、その圧縮されたオレフィンは、ライン116を通過し、乾燥単位装置118に進み、オレフィン蒸気からの付加的な水を除去する。乾燥されたオレフィンはライン120により、蒸留単位装置122に送られる。蒸留単位装置を操作して、プロパン及びジメチルエーテル(DME)流れから軽質及び重質成分を分離する。軽質成分中に含有されるのはエチレン及び/又はプロピレンであり、それらは、重合又は他の誘導化処理のような更なる処理のために送られる。水洗滌により、ジメチルエーテルがプロパンから分離され、分離されたジメチルエーテルは、オレフィン反応器に再循環され、オレフィン反応器における分子篩触媒を接触させて、付加的なオレフィンを生成する(示されていない)。
図2は、脱エタン塔の第一の態様を示す。図2において、エテン、エチレン、プロパン、プロピレン、ジメチルエーテル並びにC4+オレフィン及び他の炭化水素を含有するオレフィン流れ120は脱エタン塔カラム202に供給される。脱エタン塔カラム202は、オレフィン流れ120を分別するか又は蒸留し、エタン、エチレン及びより軽質の沸点成分を含有する塔頂流れ204と、プロピレン、プロパン、ジメチルエーテル並びにC4+オレフィン及び他の炭化水素を含有するボトム流れ206を生成する。塔頂流れ204は、脱メタン塔カラム207に供給される。脱メタン塔カラム207は、メタン及びより軽質の沸点成分を含有する塔頂流れ208と、エタン及びエチレンを含有するボトム流れ210を生成する。ボトム流れ210は、C2スプリッター212に供給される。C2スプリッター212は、エチレンを含有する塔頂流れ214と、エタンを含有するボトム流れ216を生成する。脱エタン塔202からのボトム流れ206は、C3スプリッター218に供給される。C3スプリッターは、ボトム流れ206を分別するか又は蒸留して、プロピレンを含有する塔頂流れ220と、プロパン、ジメチルエーテル並びにC4+オレフィン及び他の炭化水素を含有するボトム流れ222を生成する。ボトム流れ222は、蒸留カラム224に供給される。蒸留カラム224は、ボトム流れ222を分別するか又は蒸留し、プロパン及びジメチルエーテルを含有する塔頂流れ226と、C4+オレフィン及び他の炭化水素を含有するボトム流れ228を生成する。
図3は、C3スプリッター第一分別又は蒸留の態様である。図3において、オレフィン流れ120は、最初にC3スプリッター302に供給され、プロピレン、エタン、エチレン及びより軽質の沸点化合物を含有する塔頂流れ304と、プロパン、ジメチルエーテル並びにC4+オレフィン及び他の炭化水素を含有するボトム流れ305を生成する。塔頂流れ304は、脱エタン塔306に供給され、エタン、エチレン及びより軽質の沸点化合物を含有する塔頂流れ308と、プロピレンを含有するボトム流れ310を生成する。塔頂流れ308は脱メタン塔312に供給されて、メタン及びより軽質の沸点の成分を含有する塔頂流れ314と、エタン及びエチレンを含有するボトム流れ316を生成する。ボトム流れ316はC2スプリッター318に供給され、エチレンを含有する塔頂流れ320と、エタンを含有するボトム流れ322を生成する。C3スプリッター302からのボトム流れは蒸留カラム324に供給され、プロパン及びジメチルエーテルを含有する塔頂流れ326と、C4+オレフィン及び他の炭化水素を含有するボトム流れ328を生成する。
図4は、脱エタン塔への脱メタン塔の第一の態様である。図4において、オレフィン流れ120は、脱メタン塔カラム402に供給され、メタン及びより軽質の沸点の化合物を含有する塔頂流れ404と、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ジメチルエーテル及びC4+オレフィンを含有するボトム流れ406を生成する。ボトム流れ406は脱エタン塔カラム408に供給され、エタン及びエチレンを含有する塔頂流れ410と、プロピレン、プロパン、ジメチルエーテル並びにC4+オレフィン及び他の炭化水素を含有するボトム流れ412を生成する。その塔頂流れ410は、C2スプリッターに供給され、エチレン供給原料流れを含有する塔頂流れ416と、エタンを含有するボトム流れ418を生成する。ボトム流れ412は、C3スプリッター420に供給され、プロピレンを含有する塔頂流れ422と、プロパン、ジメチルエーテル並びにC4+オレフィン及び他の炭化水素を含有するボトム流れ424を生成する。ボトム流れ424は、蒸留カラム426に供給され、プロパン及びジメチルエーテルを含有する塔頂流れ428と、C4+オレフィン及び他の炭化水素を含有するボトム流れ430を生成する。
図5は、C3スプリッターへの脱メタン塔の第一の分別態様である。図5において、オレフィン流れ120は、脱メタン塔カラム502に供給され、メタン及びより軽質の沸点の化合物を含有する塔頂流れ504と、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ジメチルエーテル並びにC4+オレフィン及び他の炭化水素を含有するボトム流れ506を生成する。脱メタン塔カラムからのボトム流れ506はC3スプリッター508に供給され、プロピレン、エタン及びエチレンを含有する塔頂流れ510と、プロパン、ジメチルエーテル並びにC4+オレフィン及び他の炭化水素を含有するボトム流れ512を生成する。塔頂流れ510は脱エタン塔カラム514に供給され、エタン及びエチレンを含有する塔頂流れ516と、プロピレンを含有するボトム流れ518を生成する。塔頂流れ516は、C2スプリッター520に供給され、エチレンを含有する塔頂流れ522と、エタンを含有するボトム流れ524を生成する。C3スプリッターからのボトム流れ512は、蒸留カラム526に供給され、プロパン及びジメチルエーテルを含有する塔頂流れ528と、C4+オレフィン及び他の炭化水素を含有するボトム流れ530を生成する。
図6は、他の種類の脱エタン塔の本発明の第一の態様を示す。図6によると、メタノールからのオレフィン合成のための反応器からのオレフィン含有生成物流れ(図に示されていない)は、管(7)により、予備冷却及び乾燥工程(10)に送られる。集められた凝縮体(主に水)は、管(31)により除去される。次に、予備冷却され、乾燥された生成物流れは、C2/C3分離工程(11)に送られる。C1/C2炭化水素は分離され、管(32)によりC1/C2分離工程(12)に送られる。分離されたC1炭化水素は、管(34)及び(35)により、高圧(HP)及び低圧(LP)燃料ガスとして回収される。分離されたC2炭化水素は、管(36)によりC2スプリッターに送られる。
このC2スプリッターにおいて、エチレンがエタンから分離され、管(37)により取り出される。いくらかのアセチレンを含有し得るこのエチレンは、アセチレン水素化工程(14)に送られ、管(38)によりエチレン生成物として回収される。C2燃焼ガス(主にエタン)は、C2スプリッターから取り出され、管(39)により送られる。
C2/C3分離工程(11)におけるオレフィン流れから分離されるC3+炭化水素(すなわち、プロピレンと同じ又はそれより高い沸点を有する炭化水素)は、管(33)によりC3/C4分離工程(15)に送られ、そこで、より重質な炭化水素(すなわち、C4+炭化水素)からのC3炭化水素の分離が行なわれる。そのより重質なC4+炭化水素は、管(43)によりC4/C5分離工程(17)に送られる。C5+炭化水素は、C4炭化水素から分離され、最終的に、ガソリン画分としての使用のためにライン(45)により送られる。C4炭化水素は、分離され、管(44)によりブテン二量体化工程(18)に送られ、二量体化された炭化水素を生成する。その二量体化された炭化水素も、最終的には、ガソリン画分としての使用のために管(45)により送られる。
C3/C4分離工程(15)において分離されるC3炭化水素は、管(40)によりC3スプリッター(16)に送られる。オレフィン流れ中に存在するジメチルエーテルは、先の分別工程においてプロパンのように挙動するので、C3炭化水素とともにC3スプリッターに送られる。C3スプリッター(16)において、プロパンとともにジメチルエーテルは、そのスプリッターの下部に送られ、それらは管(42)により取り出される。管(41)により、C3スプリッター(16)の上部から、実質的に純粋な、例えば、3ppm未満しかジメチルエーテルを含有しないプロピレン生成物が得られる。
本発明により分離されるエチレン及びプロピレンは、重合され、プラスチック組成物、例えば、ポリオレフィン類、特にポリエチレン及びポリプロピレンを生成する。ポリエチレン又はポリプロピレンを生成するためのいずれかの従来の方法が用いられ得る。触媒による方法が好ましい。特に好ましいのは、メタロセン、チーグラー・ナッタ、酸化クロム及び酸触媒系である。例えば、米国特許第3,258,455号、3,305,538号、3,364,190号、5,892,079号、4,659,685号、4,076,698号、3,645,992号、4,302,565号、4,243,691号を参照(各々の触媒及び方法の記載を引用により本明細書に組み入れる)。一般的に、それらの方法は、ポリオレフィン生成物を生成するのに有効な圧力及び温度において、エチレン又はプロピレン生成物をポリオレフィン生成触媒と接触させることに関する。
本発明の1つの態様において、エチレン又はプロピレン生成物をメタロセン触媒と接触させてポリオレフィンを生成する。望ましくは、ポリオレフィン生成プロセスは、約50℃乃至約320℃の範囲の温度で行なわれる。本反応は、約1バール乃至約3,200バールの範囲内のいずれかである、低圧、中圧又は高圧で行なわれ得る。溶液中で行なわれる方法では、不活性希釈剤が用いられ得る。このタイプの操作において、圧力は約10バール乃至約150バールの範囲であるのが望ましく、好ましくは、約120℃乃至約250℃の温度範囲である。気相法では、温度は、一般的には、約60℃乃至120℃の範囲であり、操作圧力は、約5バール乃至約50バールであるのが好ましい。
ポリオレフィン類の他に、本発明により分離された、エチレン、プロピレン及びC4+オレフィン、特にブチレンから、種々の他のオレフィン誘導体が生成され得る。本発明により分離されたオレフィンは、アルデヒド類、C2−C13モノカルボン酸のような酸類、C2−C12モノアルコールのようなアルコール類、C2−C12モノカルボン酸とC2−C12モノアルコールから製造されたエステル類、線状α−オレフィン類、酢酸ビニル、二塩化エチレン、並びに塩化ビニル、エチルベンゼン、酸化エチレン、クメン、アクロレイン、塩化アリル、酸化プロピレン、アクリル酸、エチレン−プロピレンゴム及びアクリロニトリル、並びにエチレン及びプロピレンの二量体及び三量体のような化合物の製造にも用いられ得る。C4+オレフィン、特にブチレンは、アルデヒド類、酸類、アルコール類、C5−C13モノカルボン酸とC5−C13モノアルコールから製造されるエステル類及び線状α−オレフィンの製造に特に適している。
本発明を完全に記載したが、当業者には、本発明が、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに、特許請求の範囲において記載された範囲内の広範な範囲のパラメーター内で行なわれ得ることを認識するであろう。
本発明の種々の態様の例を図面により示す。
図1は、オキシジェネートからオレフィンを生成し、そのオレフィンを乾燥し、その乾燥されたオレフィンからプロパン及びジメチルエーテル流れを分離することを示す流れ図である。
図2は、本発明の脱エタン塔第一分別態様の流れ図である。
図3は、本発明のC3スプリッター第一分別態様の流れ図である。
図4は、本発明の脱エタン塔への脱メタン塔の第一分別態様の流れ図である。
図5は、本発明の脱メタン塔第一分別態様の流れ図である。
図6は、本発明の脱エタン塔第一分別態様の流れ図である。