JP4303031B2 - 有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4303031B2
JP4303031B2 JP2003130187A JP2003130187A JP4303031B2 JP 4303031 B2 JP4303031 B2 JP 4303031B2 JP 2003130187 A JP2003130187 A JP 2003130187A JP 2003130187 A JP2003130187 A JP 2003130187A JP 4303031 B2 JP4303031 B2 JP 4303031B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
film
organic
coating solution
mold
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003130187A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004335299A (ja
Inventor
康晴 大西
東口  達
淳一 山成
石川  仁志
智久 五藤
敦 上條
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Samsung Display Co Ltd
Original Assignee
Samsung Mobile Display Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2003130187A priority Critical patent/JP4303031B2/ja
Application filed by Samsung Mobile Display Co Ltd filed Critical Samsung Mobile Display Co Ltd
Priority to EP04090180.3A priority patent/EP1476002B1/en
Priority to KR1020040031901A priority patent/KR100667063B1/ko
Priority to DE602004022475T priority patent/DE602004022475D1/de
Priority to EP08152506A priority patent/EP1947910B1/en
Priority to US10/840,292 priority patent/US7695757B2/en
Priority to CN2004100794341A priority patent/CN1592506B/zh
Publication of JP2004335299A publication Critical patent/JP2004335299A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4303031B2 publication Critical patent/JP4303031B2/ja
Priority to US12/712,586 priority patent/US20100151608A1/en
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K59/00Integrated devices, or assemblies of multiple devices, comprising at least one organic light-emitting element covered by group H10K50/00
    • H10K59/80Constructional details
    • H10K59/875Arrangements for extracting light from the devices

Landscapes

  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば回折格子等の光学要素を有する基板を備える有機エレクトロルミネセンス素子に用いられる有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネセンス素子(以下、有機EL素子と略す)は、電界を印加することにより、陽極から注入された正孔と、陰極から注入された電子の再結合エネルギーにより蛍光物質が発光する原理を利用した自発光素子である。この有機EL素子の代表的な例としては、C.W.Tangらが報告した積層型素子による低電圧駆動有機EL素子(C.W.Tang、S.A.VanSlyke、アプライドフィジックスレターズ(Applied Physics Letters)、51巻、913頁、1987年等)が挙げられ、この積層型素子によって、有機EL素子の発光特性が飛躍的に改善された。そして、この高性能な有機EL素子の開発が発端となって、近年、実用化に向けた有機EL素子の研究・開発が活発に行われてきている。
【0003】
Tangらによる2層積層型構造の有機EL素子は、発光層にトリス(8−キノリノール)アルミニウム(AlQ)、正孔輸送層にトリフェニルジアミン誘導体(TPD)を用いたものである。この2層積層型構造が優れた発光特性を示す理由は、発光層への正孔の注入効率が高まること、陰極から注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子の生成効率が高まること、生成した励起子を発光層内に閉じ込めることができることによる。また、この2層積層型構造を発展させた例として、正孔輸送(注入)層、発光層、電子輸送(注入)層の3層積層型構造が報告されており、この3層積層型構造は、上述した正孔輸送(注入)層、電子輸送性発光層からなる2層積層型構造とともに有機EL素子の代表的な構造としてよく知られている。なお、このような積層型素子における課題の一つとして、正孔と電子の再結合効率を改善することが望まれており、これを解決するために数多くの工夫がなされている。
【0004】
ところで、有機EL素子は、高い応答速度を持ち、自発光素子であることから、携帯端末やテレビ用の高精細ディスプレイとしてその実用化が期待されているが、高精細有機ELディスプレイの製品化を実現するためには、有機EL発光体の光取り出し効率の改善が不可欠と考えられている。そこで、有機EL素子における光取り出し効率の改善の必要性について、以下詳細に説明する。
【0005】
まず、有機EL素子におけるキャリア再結合原理を考えた場合、電極から発光層に注入された電子と正孔は、クーロン相互作用により電子−正孔対となり、一部は一重項励起子となり、他の一部は三重項励起子を形成し、その生成割合は量子力学的密度によって1:3となってしまう。つまり、3重項状態からの燐光が観察されないとした場合、発光の量子収率は最高でも25%となり、このことは、有機EL素子では最高でも25%の効率しか得られないことを示している。また、有機EL素子では、発光体の屈折率の影響を受けるため、臨界角以上の出射角の光が全反射を起こし、外部に取り出すことができない問題点もある。
【0006】
すなわち、発光体の屈折率が1.6であるとすると、発光量は全体の20%程度しか有効にならず、更に上述の一重項の生成比率(生成効率:25%)を併せると、全体では5%程度となり、有機EL素子の光取り出し効率はかなりの低効率となってしまう(筒井哲夫「有機エレクトロルミネセンスの現状と動向」:月刊ディスプレイ、Vol.1、No3、p11、1995年9月)。このため、有機EL素子では、この致命的な低下をもたらす光取り出し効率の改善が不可欠である。
【0007】
そこで、光取り出し効率を改善する対策として、無機EL素子の技術を発展させる方向でいくつか検討されてきた。その対策例として、基板に集光性を持たせる構成(例えば、特許文献1参照。)や、素子の側面に反射面を形成する構成(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。
【0008】
しかしながら、ここに挙げる構成は、比較的大面積の基板には有効であるが、微小な画素面積で構成される高精細ディスプレイでは、集光性を持たせるレンズの作製や、素子側面の反射面の形成等が困難である問題点がある。さらに、発光層の厚さが数ミクロン以下である有機EL素子では、有機EL素子の側面に反射鏡を形成することが、超微細加工技術を用いても非常に難しく、反射鏡が形成できたとしても、製造コストが大幅に増加してしまい、実用化に大きな障害となる。
【0009】
一方、集光性や、側面の反射面を形成する構成と異なる技術例としては、ガラス基板と発光体との間に、ガラス基板と発光体における各々の屈折率の中間値を持つ平坦層を導入し、この平坦層を反射防止膜として利用する構成が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0010】
しかし、この構成では、前方への光取り出し効率を改善することは可能であるが、全反射を防止することができないと考えられる。すなわち、この反射防止膜の原理は、無機EL素子のような屈折率が大きな発光体には有効であるが、無機EL素子に比べて屈折率が小さい発光体である有機EL素子では、光取り出し効率を大きく改善することができない問題点がある。
【0011】
上述したように、有機EL素子での光取り出し効率については、数多くの構成が提案されているが、未だ要求される性能を満たしておらず、新規な概念を持った改善策が望まれてきた。そこで、光取り出し効率を改善する対策として、回折格子等の光学要素を基板上に形成する構成が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この構成は、有機EL素子の光取り出し効率を改善させるのに有効であると考えられている。
【0012】
【特許文献1】
特開昭63−314795号公報
【特許文献2】
特開平1−220394号公報
【特許文献3】
特開昭62−172691号公報
【特許文献4】
特開平11−283751号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献4のような光学要素を有する有機EL素子は、光取り出し効率を大幅に向上できる一方で、その製造が非常に困難であり、特に良好な光学要素を安定的に形成することが難しいとされている。
【0014】
また、この光学要素の形成工程の中でも、基板の溝を埋め込むための溝埋め込み工程が非常に困難であると考えられている。通常、基板の溝埋め込み工程では、スパッタリング法等の成膜技術が用いられているが、この手法では膜を溝内部に充分に埋め込むことができないことや、埋め込み膜が基板の表面の形状に沿って成膜されるため、平坦な埋め込み膜を得ることが困難であった。
【0015】
そこで、本発明は、発光特性のバラツキを低減し、かつ発光効率を向上させることが可能な有機エレクトロルミネセンス素子用基板を安価かつ安定的に製造できる有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明に係る有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法は、回折格子を有する基板を備える有機エレクトロルミネセンス素子に用いられる有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法おいて、前記基板に、平面視で同一形状の複数の溝を同一の間隔でマトリクス状に形成する第1工程と、前記基板の複数の溝が形成された面上に前記複数の溝全体の周囲を囲う型枠を配置し、前記型枠上に前記面に対向して天板を配置することにより、前記天板と前記型枠の一部分との間に形成された空隙を注入口として設ける第2工程と、前記注入口から前記型枠内にゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を充填する第3工程と、前記ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を焼成することによって前記基板に回折格子を形成する第4工程と、を有する。
【0017】
上述した本発明に係る有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法によれば、天板と型枠の一部分との間に形成された空隙に塗布液を注入することによって、回折格子を構成する溝内に塗布液が良好に充填されて、基板の溝が確実に埋め込まれるため、基板上に良好な回折格子が安定的かつ容易に形成される。したがって、製造された有機エレクトロルミネセンス素子用基板を有機エレクトロルミネセンス素子に用いることによって、基板上の位置による発光特性のバラツキを低減し、発光効率を向上させた有機EL素子を安定的に製造することが可能になる。
【0018】
また、本発明に係る有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法は、回折格子を有する基板を備える有機エレクトロルミネセンス素子に用いられる有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法おいて、前記基板に、平面視で同一形状の複数の溝を同一の間隔でマトリクス状に形成する第1工程と、前記基板の複数の溝が形成された面上に前記複数の溝全体の周囲を囲う型枠を配置する第2工程と、前記型枠で囲われた領域内にゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を充填する第3工程と、前記型枠内に、厚さ方向に通気孔を有する押圧部材である天板を挿入し、前記ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を前記複数の溝に押圧する第4工程と、前記ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を焼成することによって前記基板に回折格子を形成する第5工程と、を有する。
【0019】
上述した本発明に係る有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法によれば、回折格子を構成する溝内に、ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を充填して埋める工程で、基板上に塗布した塗布液を加圧するとともに塗布液を焼成成膜させることによって、基板の溝内に塗布液が良好に充填されて確実に埋め込まれるとともに、基板上に平坦な膜を形成することが可能になる。したがって、本発明によって製造された有機エレクトロルミネセンス素子用基板を有機EL素子に用いることによって、発光特性が良好で、発光効率を向上させた有機EL素子を安定的に製造することが可能になる。
【0020】
また、本発明の有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法おいて、ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液によって形成された膜は、膜厚が300μm以内であることが好ましい。これによって、発光効率が良好に確保される。なお、膜は、膜厚が300μmを超える場合には、有機EL素子の発光効率が大幅に劣化してしまう問題点がある。
【0021】
また、本発明の有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法は、型枠及び天板が、テトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、低級アルコール類、高級アルコール類のいずれかに可溶性を有する樹脂材料からなることが好ましい。これによって、膜を形成した後に、型枠を溶解させることで、基板から型枠を容易に除去することが可能になる。
【0022】
なお、本発明において、光学要素とは、例えば、光を回折・散乱・反射・屈折させる光学部材を指している。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
まず、本発明に係る製造方法によって製造される有機EL素子用基板が用いられる有機EL素子について説明する。
【0025】
有機EL素子は、光学要素を有するガラス基板と、このガラス基板上に設けられる陽極と陰極と、これら陽極と陰極との間に位置して設けられた発光層を有する有機層とを備えて構成されている。また、有機EL素子用基板とは、ガラス基板上に光学要素が形成されたものを指している。
【0026】
また、光学要素とは、有機EL発光体から発せられた光の回折・散乱・反射・屈折現象に定量的もしく定性的に影響をもたらす光学的な構成要素を指している。そして、この光学要素の一例としては、回折格子、散乱構造、グレーティング、レンズ、カラーフィルタ、偏光フィルタ等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。なお、本発明における回折格子とは、光の回折を利用してスペクトルを得る光学素子であって、周期的に複数の溝が設けられ、溝の間の滑らかな面で反射される光線の間の干渉で生ずる回折像を利用するように構成された光学構造である。散乱構造は、散乱現象、すなわち1方向に進んできた波(光)が障害物に出会ったとき、光がその障害物を中心としてさまざまな方向に拡がっていく現象をもたらす光学構造であって、膜内に屈折率が異なる材料の微粒子や突起等を無作為にちりばめることで作製できる。
【0027】
そして、本発明の有機EL素子用基板の製造方法は、ガラス基板上に光学要素として回折格子を形成する際、ガラス基板上に形成された回折格子の溝内に、ゾルゲル法に用いられる塗布液(以下、ゾルゲル法塗布液と称する。)または有機金属分解法に用いられる塗布液(以下、有機金属分解法塗布液と称する。)を充填して埋め込むための埋め込み工程を有している。
【0028】
図1に示すように、この埋め込み工程では、上述の塗布液を基板11の溝12a内に充填するための型部材5が、回折格子12の主面全域を覆うように形成される。この埋め込み工程では、ガラス基板11上の回折格子12の側面および対向面に型部材5を形成した後、型部材5内に塗布液を注入する。
【0029】
また、埋め込み工程では、図1に示すように、回折格子12の側面に沿って型枠6を形成するとともに、回折格子12の主面に対向させて天板7を形成する。天板7は、回折格子12の主面に対向する内面が平坦面に形成されており、型枠6上に固定される。型部材5は、型枠6の一側と、天板7の一側との間に、型部材5内に塗布液を注入するための注入口8を有している。型部材5は、例えば金属材料、金属酸化膜、樹脂材料等のいかなる材料によって形成されてもよい。
【0030】
次に、埋め込み工程では、回折格子12の側面および対向面に型部材5を形成した後、図2に示すように、注入口8を鉛直上方にした状態で、型部材5内にゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を注入し、図3に示すように塗布液を焼成する。
【0031】
すわなち、ガラス基板11との濡れ性が比較的高いゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液等の液体を型部材5内に注入することで、基板11の溝12a内に塗布液が良好に充填される。このため、塗布液で基板11の溝12aを充分に埋め込むことができるうえに、回折格子12を覆う型部材5の天板7の内面に沿って注入された塗布液によって、埋め込み膜が形成されるので、焼成後、平坦な埋め込み膜が得られる。
【0032】
最後に、この有機EL素子用基板の製造方法では、埋め込み膜を成膜した後、回折格子12から型部材5を容易に除去することができる。すなわち、この型部材5は、例えば、有機溶剤等による溶解作用や、化学エッチング、機械研磨等を用いることで、ガラス基板11から容易に除去することができる。
【0033】
(他の実施形態)
次に、有機EL素子用基板の他の製造方法について、簡単に説明する。
【0034】
他の製造方法では、図4に示すように、回折格子12の側面に沿って型枠26のみを形成する。型枠26は、例えば、金属材料、金属酸化膜、樹脂材料等のいかなる材料によって形成されてもよい。
【0035】
この製造方法では、回折格子12の側面に型枠26を形成した後、型枠26内の回折格子12上にゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を滴下し、図5に示すように、型枠26内に挿入された天板27によって塗布液を加圧しながら塗布液を焼成して、埋め込み膜を成膜する。天板27は、回折格子12の主面に対向する内面が平坦面に形成されており、型枠26内の空気を外部に放出するための通気孔28が設けられている。埋め込み膜を成膜した後、型枠26から天板27を取り外し、ガラス基板11から型枠26を除去することで、平坦な埋め込み膜を得ることができる。
【0036】
すわなち、ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液等といったガラス基板11との濡れ性が比較的高い液体を型枠内に注入することで、基板11の溝12a内に膜を充分に埋め込むことができる。さらに、焼成時に、天板27の平坦面で塗布液を加圧しながら焼成させるために、焼成成膜時に分散媒が蒸発した後でも、埋め込み膜の平坦性が保たれる。
【0037】
ゾルゲル法または有機金属分解法に用いられる塗布液としては、市販のゾルゲル法または有機金属分解法に用いられる塗布液を使用することができるが、代表的な材料としては、スピン・オン・グラス(SOG)法で使用されるSOG膜塗布液等が挙げられる。
【0038】
また、ゾルゲル法または有機金属分解法に用いられる塗布液としては、例えば、酸化シリコン(SiO2)膜、酸化チタン(TiO2)膜、インジウム錫酸化物(ITO)膜、酸化亜鉛(ZnO2)膜、酸化ジルコニウム(ZrO2)膜、5酸化2タンタル(Ta25)膜、アルミナ(Al23)膜を形成する材料を使用することが好ましい。酸化シリコン(SiO2)膜、酸化チタン(TiO2)膜、インジウム錫酸化物(ITO)膜、酸化亜鉛(ZnO2)膜、酸化ジルコニウム(ZrO2)膜、5酸化2タンタル(Ta25)膜、アルミナ(Al23)膜を形成するゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を選択することで、光学要素上での光を回折・散乱・反射・屈折させる効果が向上するうえに、光学特性が安定した埋め込み膜を容易に作製することが可能となる。
【0039】
上述した実施形態の製造方法では、光学要素として回折格子をガラス基板上に形成された有機EL素子用基板を製造するために適用されたが、このような回折格子が形成された有機EL素子用基板を用いることで、発光効率を向上させた有機EL素子を製造することが可能になる。
【0040】
また、ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液によって形成された埋め込み膜は、膜厚が300μm以内であることが好ましい。埋め込み膜の膜厚が300μmを超える場合には、有機EL素子の発光効率が大幅に劣化してしまう問題点がある。
【0041】
また、型部材5に使用する材料は、樹脂材料であって、かつテトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、低級アルコール類、高級アルコール類等に可溶性を有することが好ましい。型枠が樹脂材料によって形成されることで、埋め込み膜の形成後に、型枠の除去工程で、有機溶剤による溶解作用を適応できるため、ガラス基板から型枠を容易に除去することが可能になり、製造容易性が向上する。
【0042】
続いて、本発明の製造方法によって製造された有機EL素子用基板が用いられる有機EL素子における有機層について詳細に説明する。有機EL素子は、陽極と陰極との間に有機層を1層、または2層以上積層した構造であり、その基本構造として、陽極/発光層/陰極から構成される構造、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる構造、陽極/正孔輸送層/発光層/陰極からなる構造、陽極/発光層/電子輸送層/陰極からなる構造等が挙げられる。
【0043】
まず、有機EL素子の正孔輸送材は、通常の正孔輸送材料として使用されている材料であればよく、その代表例として、例えば、ビス(ジ(P−トリル)アミノフェニル)−1,1−シクロヘキサン、N−N‘−ジフェニル−N−N‘−ビス(3−メチルフェニル)−1−1’−ビフェニル−4,4‘−ジアミン、N−N‘−ジフェニル−N−N−ビス(1−ナフチル−1,1’−ビフェニル)−4,4‘−ジアミン等のトリフェニルジアミン類や、スターバースト型分子等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0044】
有機EL素子の電荷輸送材料は、通常使用されている電荷輸送材料であればよく、その代表例として、例えば、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ビス{2−84−t−ブチルフェニル}−1,3,4−オキサジアゾール}−m−フェニレン等のオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、キノリノール金属錯体等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0045】
有機EL素子に用いられる有機EL発光物質は、通常に使用されている発光材料であればよく、その代表例として、ジスチリルアリーレン誘導体、クマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ペリレン誘導体、および特開平8−298186号公報や特開平9−268284号公報で開示される芳香族系材料、特開平9−157643号公報や特開平9−268283号公報で開示されるアントラセン系材料、特開平5−70773号公報で開示されるキナクリドン誘導体等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0046】
有機EL素子で使用される陽極は、正孔輸送材料または発光材料に正孔を注入する機能を有し、その仕事関数が4.5eV以上であることが好ましい。仕事関数が4.5eV未満の陽極を有機EL素子に使用した場合、十分な正孔注入特性が得られず、充分な発光効率が得られない問題点がある。なお、代表的な陽極材料としては、酸化インジウム錫合金(ITO)、酸化インジウム亜鉛合金(IZO)、酸化錫、金、銀、白金、銅等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0047】
有機EL素子で使用される陰極は、電荷輸送体または発光材料に電子を注入することを目的とするもので、仕事関数が小さい材料が好ましい。仕事関数の大きな材料を陰極に使用した場合、良好な発光特性を再現することが困難になる。なお、代表的な陰極材料としては、例えば、インジウム、アルミニウム、マグネシウム、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−スカンジウム−リチウム合金、マグネシウム−銀合金等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0048】
有機EL素子における各層は、公知の方法により形成することができる、その代表的な手法として、真空蒸着法、分子線蒸着法(MBE法)や、層を構成する材料を溶剤に溶かし、その溶液を用いて塗布する手法であるディッピング法や、スピンコート法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0049】
上述したように、有機EL素子用基板の製造方法によれば、ガラス基板11に回折格子12を形成する際、基板11の溝12a内に、ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を充填して埋める工程で、ガラス基板11に、塗布液を溝内に充填するための型部材5を取り付けて、型部材5と基板11との間隙に塗布液を注入することによって、ガラス基板11上に良好な回折格子12を安定的かつ容易に形成することができる。
【0050】
また、有機EL素子用基板の他の製造方法によれば、基板11を構成する溝12a内に、ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を充填して埋める工程で、ガラス基板11上に塗布した塗布液を加圧するとともに塗布液を焼成成膜させることによって、基板11の溝12a内に塗布液が良好に充填されて確実に埋め込まれるとともに、ガラス基板11上に平坦な膜を形成することができる。
【0051】
したがって、本発明によれば、ガラス基板11上に回折格子12が高精度に形成されるため、ガラス基板11上の位置による発光特性のバラツキを低減し、発光効率を向上させた有機EL素子を安定的に製造することが可能になる。
【0052】
なお、上述した本実施形態の有機EL素子用基板の製造方法では、光学要素として回折格子12が適用されたが、散乱部等の他の光学作用をもたらす光学要素が形成されてもよいことは勿論である。
【0053】
【実施例】
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されない。
【0054】
(実施例1)
実施例1では、図6に示すように、50mm×50mmのガラス基板11(HOYA社製:NA(開口数)45、厚さ1.1mm)上に、回折格子12を形成した。まず、ガラス基板11上に幅0.1μm、間隔0.1μmのパターンをフォトリソグラフィ工程によって形成した。そして、ガラス基板11上にi線レジスト(東京応化社製:THMR−iP1700)をスピンコート法により厚さ2μmに形成し、i線ステッパーを用いてパターンを形成した。その後、ガラス基板11をフッ化水素酸溶液に浸漬させ、深さ100nmの溝を形成した後、残存レジストを専用の剥離液で除去することにより、回折格子12を得た。
【0055】
続いて、ガラス基板11に形成された回折格子12を覆うように型部材5を形成した。型部材5は、回折格子12の側面に形成される型枠6と、回折格子12の主面に対向する天板7とを有し、材料としてエポキシ樹脂材料を使用して、金属製の金型に硬化前のエポキシ樹脂材料を注入することによって形成した。
【0056】
なお、型部材5は、回折格子12の主面と天板7の内面との間の距離を10μmとした。また、型部材5は、型枠6の一側と、天板7の一側との間に、型部材5内に塗布液を注入するための注入口8を有している。
【0057】
ガラス基板11上の回折格子12に、型部材5を形成した後、ガラス基板11の主面を垂直にして、型枠6と天板7の間に設けられた注入口8からTiO2膜成膜用の有機金属分解法に用いられる塗布液(高純度化学研究所製:Ti−05)を注入し、150℃で30分間加熱し、テトラヒドロフラン中にガラス基板11を浸漬させて型部材5を取り除いた。そして、ガラス基板11を純水で洗浄した後、400℃で3時間焼成させ、埋め込み膜としてのTiO2膜を得た。なお、TiO2膜は、膜厚が約1μmで、屈折率が2.1であった。続いて、TiO2膜上に、図7に示すように、陽極13、正孔注入層14、発光層15、陰極16を順次形成し、有機EL素子を作製した。
【0058】
陽極13、正孔注入層14、発光層15、陰極16からなる有機層の形成工程について、以下詳細に説明する。
【0059】
ガラス基板11上に酸化インジウム錫合金(ITO)をスパッタリング処理することにより、ガラス基板11上にITO膜をシート抵抗が20Ω/□になるように厚さ100nmで成膜して陽極13を形成した。そして、ガラス基板11上に形成された陽極13を、2mm×50mmの帯状になるように、メタルマスクを用いてパターンニング処理し、図8に示すように、ガラス基板11上に2mm×50mmの帯を5本形成した。
【0060】
続いて、ガラス基板11の陽極13上に、正孔注入層14、発光層15、陰極16の順に各層を抵抗加熱式真空蒸着法によりそれぞれ成膜した。使用した真空蒸着装置では、真空槽上部に設置したガラス基板11に対して、下方250mmの位置に、蒸着させる材料を充填したモリブテン製のボートを設置し、ガラス基板11の主面に対する入射角が38度になるように配置した。ガラス基板11の回転数は30rpmとした。また、本実施例における成膜(蒸着)条件は、圧力が5×10-7Torrに到達した時点で蒸着を開始して、ガラス基板11の側面に装着した水晶振動子式膜厚制御装置により蒸着速度を制御した。
【0061】
なお、蒸着速度を0.15nm/sとし、正孔注入層としてN,N‘−ジフェニル−N−N−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル)−4,4‘−ジアミン(以下、α−NMPと略す)を50nm、発光材料としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、AlQと略す)を70nm、そして、陰極16としてマグネシウム銀合金を蒸着速度比10:1で共蒸着により150nmと、順次形成して、有機EL素子を作製した。なお、陰極16は、メタルマスクを用いて、図9に示すようなパターンに形成した。したがって、陰極16と陽極13の各パターンの形状から、本実施例の有機EL素子では、図10に示すように、ガラス基板11の主面上に、2mm×2mmサイズの5つの発光部18a〜18eがそれぞれ形成される。
【0062】
(実施例2)
実施例2は、実施例1の構造、製造工程中で、回折格子12のピッチのみを変更したもので、ピッチを幅0.05μm、間隔0.05μm、深さ100nmとした。なお、回折格子12の形成工程、回折格子12の溝埋め込み工程、および有機層の形成工程は実施例1と同一方法で行った。
【0063】
(実施例3)
実施例3では、50mm×50mmのガラス基板11(HOYA社製:NA45、厚さ1.1mm)の表面を紙ヤスリ(#300)で研磨することによって散乱部を形成した。続いて、散乱部の埋め込み工程、有機層の形成工程を実施例1と同一方法で行い、有機EL素子を作製した。
【0064】
(実施例4)
実施例4は、実施例1の構造、製造工程中で、埋め込み用の材料のみを変更し、インジウム錫酸化物(ITO)成膜用の有機金属分解法に用いられる塗布液(高純度化学研究所製:ITO−05C)を使用した。なお、成膜されたITO膜は、膜厚が1μm、屈折率が1.86であった。
【0065】
(実施例5)
実施例5は、実施例1の構造、製造工程中で、埋め込み用の材料のみを変更し、酸化亜鉛(ZnO)膜成膜用の材料(高純度化学研究所製:Zn−05)を使用した。なお、成膜されたZnO膜は、膜厚が1μm、屈折率が1.92であった。
【0066】
(実施例6)
実施例6は、実施例1の構造、製造工程中で、埋め込み用の材料のみを変更し、酸化亜鉛(ZrO2)膜成膜用の材料(高純度化学研究所製:Zr−05P)を使用した。なお、成膜されたZrO2膜は、膜厚が1μm、屈折率が2.03であった。
【0067】
(実施例7)
実施例7は、50mm×50mmのガラス基板11(HOYA社製:NA45、厚さ1.1mm)上に、幅0.1μm、間隔0.1μm、深さ100nmの回折格子を実施例1と同一の方法で形成した。
【0068】
続いて、ガラス基板11上の回折格子12の側面には、回折格子12の主面と天板27の内面との間の距離が10μmになるように型枠5を形成した。なお、型枠26は、エポキシ樹脂を用いて、金属製の金型内に、硬化前のエポキシ樹脂モノマーを注入することで形成した。天板27は、型枠と同様にエポキシ樹脂によって、外形寸法が型枠26の内周寸法よりもやや小さくされて、型枠内に挿入可能に形成した。また、天板27は、回折格子12の主面に対向する内面が平坦面に形成され、型部材内の空気を外部に放出するための通気孔28が設けられている。
【0069】
続いて、ガラス基板11に形成した型枠26内の回折格子12上に、TiO2膜成膜用の有機金属分解法に用いられる塗布液(高純度化学研究所製:Ti−05)を塗布した後、この塗布液の表面に天板27を載置し、この天板27上に200gの重りの載せることによって加圧するとともに、焼成を行った。焼成条件は、150℃で30分とした。
【0070】
次に、型部材をテトラヒドロフランに浸漬させて取り除き、ガラス基板11の洗浄後、400℃で3時間焼成させ、埋め込み膜としてのTiO2膜を得た。なお、TiO2膜は、膜厚が約0.8μm、屈折率が2.1であった。そして、ガラス基板11に設けられたTiO2膜の表面上に、陽極13、正孔注入層14、発光層15、陰極16を順次形成し、有機EL素子の作製を行った。なお、陽極13から陰極16までの有機層の形成工程、成膜条件は、実施例と同様に行った。
【0071】
(実施例8)
実施例8は、実施例7の構造、製造工程中で、埋め込み用の材料のみを変更し、インジウム錫酸化物(ITO)成膜用の有機金属分解法に用いられる塗布液(高純度化学研究所製:ITO−05C)を使用した。なお、成膜されたITO膜は、膜厚が1μm、屈折率が1.86であった。
【0072】
(実施例9)
実施例9は、実施例7の構造、製造工程中で、埋め込み用の材料のみを変更し、酸化亜鉛(ZnO)膜成膜用の材料(高純度化学研究所製:Zn−05)を使用した。なお、成膜されたZnO膜は、膜厚が1μm、屈折率が1.92であった。
【0073】
(実施例10)
実施例10は、実施例7の構造、製造工程中で、埋め込み用の材料のみを変更し、酸化亜鉛(ZrO2)膜成膜用の材料(高純度化学研究所製:Zr−05P)を使用した。なお、成膜されたZrO2膜は、膜厚が1μm、屈折率が2.03であった。
【0074】
(比較例1)
比較例1の有機EL素子の作製手順を示す。この有機EL素子は、ガラス基板11上に、陽極13、正孔注入層14、発光層15、陰極16が順次積層されてなる。
【0075】
比較例1は、50mm×25mmのガラス基板11(HOYA社製:NA45、厚さ1.1mm)上に、酸化インジウム錫合金(ITO)をスパッタリング処理によって成膜して、ITO膜を陽極とした。ITO膜は、膜厚が100nm、シート抵抗が20Ω/□であった。そして、成膜されたITO膜を2mm×50mmの帯状になるように、メタルマスクを用いてパターンニングした。
【0076】
続いて、このITO膜上に、正孔注入層14、発光層15、陰極16の順で各層を積層した。なお、正孔注入層14、発光層15、陰極16は、抵抗加熱式真空蒸着法を用いて成膜した。以下、真空蒸着法による成膜工程について詳しく説明する。使用した真空蒸着装置は、真空槽上部に設置したガラス基板11に対して、下方250mmの位置に、蒸着させる材料を充填したモリブテン製のボートを設置し、ガラス基板11に対する入射角が38度になるように配置した。ガラス基板11の回転数は30rpmとした。比較例1における成膜(蒸着)では、圧力が5×10-7Torrに到達した時点で蒸着を開始して、ガラス基板11の側面に装着した水晶振動子式膜厚制御装置により蒸着速度を制御した。なお、蒸着速度を0.15nm/sとし、正孔注入層14としてN,N‘−ジフェニル−N−N−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル)−4,4‘−ジアミン(以下、α−NMPと略す)を50nm、発光材料としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、AlQと略す)を70nm、そして、陰極16としてマグネシウム銀合金を蒸着速度比10:1で共蒸着により150nmと、順次積層して、有機EL素子を作製した。
【0077】
(比較例2)
比較例2は、実施例1の構造、製造工程中で、基板11の溝埋め込み工程のみが異なる。基板11の溝埋め込み工程では、スパッタリング法でTiO膜を厚さ1μmで成膜した。なお、成膜されたTiO膜は、屈折率が2.13であった。
【0078】
比較例3は、実施例1の構造、製造工程中で、基板の溝埋め込み工程のみが異なる。基板11の溝埋め込み工程では、TiO膜をTiO膜成膜用有機金属分解法によって成膜した。また、塗布液は、スピンコート法によって、ガラス基板11を回転数2000〜5000rpmで回転させて塗布した。そして、塗布液の焼成温度は400℃とし、TiO膜が膜厚1μmになるまで塗布および焼成を数回繰り返した。なお、成膜されたTiO膜は、屈折率が2.06であった。
【0079】
(比較例4)
比較例4は、比較例3の構造、製造工程中で、埋め込み用の材料のみを変更し、インジウム錫酸化物(ITO)成膜用有機金属分解法に用いられる塗布液(高純度化学研究所製:ITO−05C)を使用した。なお、成膜されたITO膜は、膜厚が1μm、屈折率が1.86であった。
【0080】
(比較例5)
比較例5は、比較例3の構造、製造工程中で、埋め込み用の材料のみを変更し、酸化亜鉛(ZnO)膜成膜用材料(高純度化学研究所製:Zn−05)を使用した。なお、成膜されたZnO膜は、膜厚が1μm、屈折率が1.92であった。
【0081】
(比較例6)
比較例6は、実施例3の構造、製造工程中で、埋め込み用の材料のみを変更し、酸化亜鉛(ZrO2)膜成膜用材料(高純度化学研究所製:Zr−05P)を使用した。なお、成膜されたZrO2膜は、膜厚が1μm、屈折率が2.03であった。
【0082】
(評価)
上述した各実施例、各比較例の有機EL素子について、特性評価として、第1の評価〜第4の評価をそれぞれ行った。なお、実施例、比較例の各ガラス基板は、図10に示したように、主面上に2mm×2mmサイズの5つの発光部18a〜18dを有している。
【0083】
(第1の評価)発光効率
有機EL素子に10Vの電圧を印加して、電流密度(mA/cm2)と輝度(cd)を測定し、輝度/電流密度から発光効率(cd/m2)を算出した。なお、輝度計を用いて測定し、ガラス基板11の中心部を測定位置とした。そして、この発光効率は、各ガラス基板11の4つの発光部18a〜18dについてそれぞれ評価した。評価結果を表1に示す。
【0084】
(第2の評価)発光特性
有機EL素子に10Vの電圧を印加して、発光部の発光状態を観察した。この観察は目視で行い、下記の基準で発光特性を評価した。そして、この発光特性は、各ガラス基板11の4つの発光部18a〜18dについてそれぞれ評価した。評価結果を表2に示す。
【0085】
○ : すべての発光部の全面で良好な発光を示す。
△ : 局部的な非発光が観察される。
× : 発光しない発光部が比較的大きな領域として観察される。
【0086】
(第3の評価)寿命評価
有機EL素子に5mA/cm2の直流電流を100時間印加して、寿命測定を行った。この評価は、印加後100時間経過時の発光効率(La)と、電流印加後2分以内の発光効率(Lb)との間の変化率(La/Lb)を算出して、下記の基準で寿命性能を評価した。なお、この寿命測定は、発光部18eを測定した。評価結果を表3に示す。
【0087】
○ : La/Lbが0.90以上である。
△ : La/Lbが0.80以上0.90未満である。
× : La/Lbが0.80未満である。
【0088】
(第4の評価)ガラス基板11の主面上での発光特性のバラツキの評価
各実施例、各比較例のガラス基板11の主面内での発光特性のバラツキを評価した。この評価は、各ガラス基板での4つの発光部18a〜18dにおける発光効率をそれぞれ測定して、4つの発光部18a〜18dの中で最大値を示すものをEmax、最小値を示すものをEminとして、下記に示す基準で発光特性を評価した。なお、発光効率の評価は、第1の評価と同様に10V電圧の印加時の発光効率を測定した。評価結果を表3に示す。
【0089】
○ : Emin/Emaxが0.90以上である。
△ : Emin/Emaxが0.80以上0.90未満である。
× : Emin/Emaxが0.80未満である。
【0090】
【表1】
Figure 0004303031
【0091】
【表2】
Figure 0004303031
【0092】
【表3】
Figure 0004303031
表1,2,3に示したように、上述した各実施例および各比較例の評価結果から、本発明の有機EL素子用基板の製造方法によって製造された有機EL素子用基板を有機EL素子に用いることによって、ガラス基板11上の位置による発光特性のバラツキが低減されて発光状態が良好で、かつ発光効率を向上させた有機EL素子を安定的に製造できることができた。
【0093】
【発明の効果】
上述したように本発明に係る有機エレクトロルミネセンス用基板の製造方法によれば、基板に光学要素を形成する際、基板の溝内に、ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を充填して埋める工程で、基板に、塗布液を溝内に充填するための型部材を取り付けて、型部材と基板との間隙に塗布液を注入することによって、基板上に良好な光学要素を安定的かつ容易に形成することができる。したがって、本発明によれば、基板上に光学要素が高精度に形成されるため、基板上の位置による発光特性のバラツキを低減し、発光効率を向上させた有機EL素子を安定的に製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学要素の側面および対向面に形成された型部材を示す模式図である。
【図2】光学要素に形成された型部材内に、塗布液を注入する工程を示す模式図である。
【図3】型部材内に注入された塗布液を焼成する工程を示す模式図である。
【図4】ガラス基板上の光学要素の側面に形成された型枠を示す模式図である。
【図5】塗布液を加圧するための天板を示す模式図である。
【図6】ガラス基板上に形成された回折格子を示す横断面図である。
【図7】有機エレクトロルミネセンス素子を示す縦断面図である。
【図8】ガラス基板上に形成された陽極のパターンを示す模式図である。
【図9】ガラス基板上に形成された陰極のパターンを示す模式図である。
【図10】有機エレクトロルミネセンス素子が有する各発光部を示す模式図である。
【符号の説明】
5 型部材
6 型枠
7 天板
8 注入口
11 ガラス基板
12 回折格子
13 陽極
14 正孔注入層
15 発光層
16 陰極
18a〜18e 発光部

Claims (6)

  1. 回折格子を有する基板を備える有機エレクトロルミネセンス素子に用いられる有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法おいて、
    前記基板に、平面視で同一形状の複数の溝を同一の間隔でマトリクス状に形成する第1工程と、
    前記基板の複数の溝が形成された面上に前複数の全体の周囲を囲う型枠を配置し、前記型枠上に前記面に対向して天板を配置することにより、前記天板と前記型枠の一部分との間に形成された空隙を注入口として設ける第2工程と、
    前記注入口から前記型枠内にゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を充填する第3工程と、
    前記ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を焼成することによって前記基板に回折格子を形成する第4工程と、
    を有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法。
  2. 前記第2工程と前記第3工程との間に、前記注入口が鉛直上方に位置するように前記基板を傾斜させる工程を有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法。
  3. 回折格子を有する基板を備える有機エレクトロルミネセンス素子に用いられる有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法おいて、
    前記基板に、平面視で同一形状の複数の溝を同一の間隔でマトリクス状に形成する第1工程と、
    前記基板の複数の溝が形成された面上に前複数の全体の周囲を囲う型枠を配置する第2工程と、
    前記型枠で囲われた領域内にゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を充填する第3工程と、
    前記型枠内に、厚さ方向に通気孔を有する押圧部材である天板を挿入し、前記ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を前記複数の溝に押圧する第4工程と、
    前記ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液を焼成することによって前記基板に回折格子を形成する第5工程と、
    を有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法。
  4. 前記ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液によって形成される膜が、酸化シリコン(SiO)膜、酸化チタン(TiO)膜、インジウム錫酸化物(ITO)膜、酸化亜鉛(ZnO)膜、酸化ジルコニウム(ZrO)膜、5酸化2タンタル(Ta)膜、アルミナ(Al)膜のいずれかである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法。
  5. 前記ゾルゲル法塗布液または有機金属分解法塗布液によって形成された膜は、膜厚が300μm以内である請求項1ないしのいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法。
  6. 前記型枠及び前記天板は、テトラヒドロフラン、アセトン、トルエン、低級アルコール類、高級アルコール類のいずれかに可溶性を有する樹脂材料からなる請求項1からのいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法。
JP2003130187A 2003-05-08 2003-05-08 有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法 Expired - Lifetime JP4303031B2 (ja)

Priority Applications (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003130187A JP4303031B2 (ja) 2003-05-08 2003-05-08 有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法
KR1020040031901A KR100667063B1 (ko) 2003-05-08 2004-05-06 유기 전계 발광 소자용 기판의 제조방법
DE602004022475T DE602004022475D1 (de) 2003-05-08 2004-05-06 Verfahren zur Herstellung eines Substrats für organische elektrolumineszente Vorrichtungen
EP08152506A EP1947910B1 (en) 2003-05-08 2004-05-06 Method of manufacturing a substrate for organic electroluminescent device
EP04090180.3A EP1476002B1 (en) 2003-05-08 2004-05-06 Method of manufacturing a substrate for organic electroluminescent device
US10/840,292 US7695757B2 (en) 2003-05-08 2004-05-07 Method of manufacturing a substrate for organic electroluminescent device
CN2004100794341A CN1592506B (zh) 2003-05-08 2004-05-08 制造有机场致发光器件基片的方法
US12/712,586 US20100151608A1 (en) 2003-05-08 2010-02-25 Method of manufacturing a substrate for organic electroluminescent device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003130187A JP4303031B2 (ja) 2003-05-08 2003-05-08 有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004335299A JP2004335299A (ja) 2004-11-25
JP4303031B2 true JP4303031B2 (ja) 2009-07-29

Family

ID=33505785

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003130187A Expired - Lifetime JP4303031B2 (ja) 2003-05-08 2003-05-08 有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4303031B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6264950B2 (ja) * 2013-05-22 2018-01-24 パナソニックIpマネジメント株式会社 有機el照明の光取り出し基板
JP7140495B2 (ja) * 2017-12-28 2022-09-21 株式会社ミツトヨ スケールおよびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004335299A (ja) 2004-11-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4220305B2 (ja) 有機エレクトロルミネセンス素子
US6476550B1 (en) Organic Electroluminescent device with a defraction grading and luminescent layer
US6396208B1 (en) Organic electroluminescent device and its manufacturing process
JP4226835B2 (ja) 発光素子、その製造方法およびこれを用いた表示装置
KR100495703B1 (ko) 발광 소자, 그 제조 방법 및 상기 발광 소자를 사용한표시 장치
US7696687B2 (en) Organic electroluminescent display device with nano-porous layer
US20100151608A1 (en) Method of manufacturing a substrate for organic electroluminescent device
WO2002035890A1 (fr) Element lumineux, dispositif d'affichage et dispositif d'eclairage mettant cet element en application
JP2003036969A (ja) 発光素子、及びそれを用いた表示装置と照明装置
JP3902566B2 (ja) 有機el発光素子
JP2947250B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
JP2848386B1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
JP4323859B2 (ja) 有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法
JPH09129375A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4303031B2 (ja) 有機エレクトロルミネセンス素子用基板の製造方法
JP4104339B2 (ja) 発光素子及びその製造方法、並びに表示装置
JP4382388B2 (ja) 有機エレクトロルミネセンス素子用基板、ならびにこれを用いた有機エレクトロルミネセンス素子
JP2003282276A (ja) 光源装置
JP2019079725A (ja) 有機el素子、ならびに、当該有機el素子を含む照明装置、面状光源、および表示装置
JP2007172949A (ja) 有機el素子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080318

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080722

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20081020

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081117

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20081127

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20081208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090324

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090423

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120501

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4303031

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080318

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130501

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130501

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130501

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term