JP4302786B2 - 高ss廃液や汚泥の浄化処理法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高SS廃液や汚泥の浄化処理法に係り、特に従来の技術では処理困難な50000mg/リットル以上の高SS(浮遊物質量)廃液や汚泥等の産業廃液を有効に浄化処理する高SS廃液や汚泥の浄化処理法に関する。
【0002】
【従来の技術】
汚濁水や汚泥等の産業廃液である浄化対象物について、産業廃液中の粒径が一定の範囲にある粒度調整微粉炭を用いて、浄化処理を行う技術が従来から知られている(例えば特公昭54−36413号公報、特公昭61−17556、特公昭62−21596号公報等)。
【0003】
上記従来技術の基本は、廃液や汚泥の浄化対象物と粒度調整微粉炭を混合攪拌し、その後、酸性化剤や高分子凝集剤を添加し、シックナー等で連続的に沈降固液分離するという技術である。
【0004】
しかしながら、上記技術は高BOD、COD廃液のうち特に高SS(全浮遊物)を含有するものについては、連続処理が非常に困難であり、稀釈水等を用いて、処理可能な濃度にした後で、処理を行っており、高SS(全浮遊物)の処理は稀釈水等を用いなければ実用としては耐え得ないものである。
【0005】
即ち、従来公知の微粉炭を用いた沈降固液分離法は、微粉炭と廃液を混合攪拌した後、更に酸性化剤及び高分子凝集剤を添加し、それによって不純汚濁成分を吸着し微粉炭を核とする凝集沈殿物として補足するものであり、連続処理の場合は、その上澄液をシックナー等で分離するという浄化処理方法である。また、高SS廃液については、沈降固液分離が不能な為、3〜10倍の稀釈水を用いて、上記工程を行う方法である。
【0006】
例えば、下水道汚泥(10,000mg/リットル)等はSS中のMLVSS(有機性浮遊物)の割合が高く、このため、微粉炭と混合攪拌後に添加する酸性化剤や高分子凝集剤を用いても、SV30(30分間活性汚泥沈殿率)で95%以上となってしまい、上記下水道汚泥は沈降分離に極めて不向きである。
【0007】
また同様な現象において、高SS廃液(酒類の醸造及び蒸留廃液等)で30,000mg/リットルを越えるものについては事実上稀釈水を使用しない限り、沈降固液分離は不可能である。
【0008】
この他にも生し尿や浄化槽汚泥及び家畜し尿等に於ては、同様のプロセスで沈降固液分離をした場合に、添加した酸性化剤に有機物が反応してしまい、大量の発泡を生じてしまうため、連続処理は極めて困難である。
【0009】
上記のような酸性化剤による現象を無くする技術として、廃液や汚泥の処理工程に、前処理として加圧浮上法、電解法を用いて処理する技術がある。しかし前処理として加圧浮上法、電解法を用いて処理する技術では、処理費の高騰を免れず、経済活動として不都合である。
【0010】
特に、50000mg/リットル以上の高SS廃液や汚泥等の産業廃液は、上記従来技術における処理では、処理が非常に困難であった。50000mg/リットル以上の廃液については、DS(乾物汚泥重量)で設備規模の決まる加圧脱水方式では、イニシャルコストが高くなり過ぎるという不都合がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、浄化処理が極めて困難な50000mg/リットル以上の高SS廃液や汚泥等の産業廃液を有効に浄化処理する高SS廃液や汚泥の浄化処理法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、浄化処理が極めて困難な50000mg/リットル以上の高SS廃液や汚泥等の産業廃液を簡素な設備で経済活動に見合う有効な浄化処理する方法を提供することにあり、しかも酸性化剤やアルカリ性剤を使用しない浄化処理する高SS廃液や汚泥の浄化処理法を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、粒度調整微粉炭では捕捉吸着しにくい高SS廃液中の、窒素成分や脱離液中の色度を浄化処理するために粒度調整微粉炭に対し10〜30重量%粒度調整微粉炭を混合投入する事によって浄化処理する高SS廃液や汚泥の浄化処理法を提供することにある。
【0014】
本発明のもうひとつの目的は、浄化処理が極めて困難な50000mg/リットル以上の高SS廃液や汚泥等の産業廃液から有効な固形燃料を形成することができる高SS廃液や汚泥の浄化処理法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、請求項1に係る高SS廃液や汚泥の浄化処理法によれば、高SS廃液(50000mg/リットル以上)や汚泥(50000mg/リットル以上)を浄化する、一次処理と、二次処理と、を備えた処理方法であって、高SS廃液(50000mg/リットル以上)や汚泥(50000mg/リットル以上)に、少なくとも真空乾燥による乾燥処理工程と凝縮工程とを備えた一次処理と、該一次処理の凝縮工程後の処理対象液に、粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上含有される粒度調整微粉炭、粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上含有される粒度調整活性化炭と、を混合攪拌し、更に凝集剤を添加し、フロック形成後に加圧脱水によって、前記処理対象液を汚泥と脱離液と汚泥ケーキとに分離する工程を備えた二次処理を行い、該二次処理で得られた汚泥ケーキを前記一次処理の廃液に投入すること、により解決される。
【0016】
前記課題は、請求項2に係る高SS廃液や汚泥の浄化処理法によれば、高SS廃液(50000mg/リットル以上)や汚泥(50000mg/リットル以上)を浄化する、一次処理と、二次処理と、三次処理とを備えた処理方法であって、前記高SS廃液(50000mg/リットル以上)や汚泥(50000mg/リットル以上)に、少なくとも真空乾燥による乾燥処理工程によって固形物を抽出すると共に、固形物以外を凝縮させる凝縮工程を備えた一次処理を行い、該一次処理の凝縮工程後で、粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上含有される粒度調整微粉炭、粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上含有される粒度調整活性化炭と、を混合攪拌し、更に凝集剤を添加し、フロック形成後に加圧脱水によって、汚泥と脱離液と汚泥ケーキに分離する二次処理を行い、該二次処理によって分離された汚泥を前記二次処理のための処理対象液へ投入し、前記二次処理によって分離された汚泥ケーキを前記一次処理の廃液に投入し、前記二次処理の分離液に対して三次処理工程を行うこと、により解決される。
【0017】
このとき、一次処理のうち真空乾燥で処理された水分20%以下の固形物を含炭汚泥燃料とするように構成すると好適である。特に固形物を真空乾燥に用いられる装置の燃料として使用するとシステム全体として経済効率を高めることができる。
【0018】
例えば、後述する実施例から明らかな通り、50000mg/リットル以上の廃液を、微粉炭を用いた沈降固液分離による浄化処理に付した場合には、従来の技術では浄化処理が極めて困難であるが、本発明のように先ず最初に真空乾燥処理を行い、さらにその後に加圧脱水という工程により、固液分離は勿論のこと、驚くべき事にその脱離液は沈降固液分離法の上澄液よりも、実質的に数倍すぐれた浄化処理を行う事が可能となる。
【0019】
そして本発明によれば、高SS廃液を無稀釈で微粉炭及び活性炭と混合攪拌し、酸性化剤は添加せず、高分子凝集剤のみで廃液の全量を脱水(加圧及び真空乾燥)することによって酸性化剤による発泡現象を起こさずに、しかも短時間で有効に浄化されることになる。
【0020】
50000mg/リットル以上の廃液については、DS(乾物汚泥重量)で設備規模の決まる加圧脱水方式では、イニシャルコストが高くなり過ぎるが、このような高濃度の廃液や汚泥は、本発明のように真空乾燥を行い、水分20%以下の固形物と、それ以外に分離して、固形物以外の凝縮液を所定の処理、粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上含有される粒度調整微粉炭と、粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上含有される粒度調整活性化炭と、を混合攪拌し、更に凝集剤を添加し、フロック形成後に加圧脱水によって、汚泥と脱離液と汚泥ケーキに分離することが、最も好適である。
【0021】
一般的に真空乾燥後の固形物以外のものを凝縮した凝縮液は、原液の10%程度の汚濁となり、SSについては殆ど回収されている為、原液に直接微粉炭を混合する場合の10%程度で良い事になる。従って、ランニングコストの面でも安価にする事が可能である。またこの場合、二次処理の加圧脱水機で発生する含炭ケーキ(水分60〜65%)は、一次処理の原液中にフィードバックし、最終的には真空乾燥装置から取り出して、含水率を20%以下に下げて、水分20%以下の含炭汚泥燃料として、真空乾燥用ボイラーに、再利用燃料として使用する事も可能である。
【0022】
そして、一次処理の後で、凝縮された廃液に、二次処理を行い、この二次処理で加圧脱水機を用いると、その混合液が10Kg/cm2以上の圧力中を通過する為、微粉炭粒子の周囲に存在する汚水水膜に、汚濁成分が取り込まれ易くなると同時に、活性炭粒子についても細孔中に汚濁成分が取り込まれ易くなる。実際にこの脱離液の汚濁度調査してみると、従来公知の沈降固液分離法の上澄液に比較し、数倍の浄化状態となった。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明において対象とする処理廃液及び汚泥は、従来の技術では処理困難な50000mg/リットル以上の高SS(浮遊物質量)廃液や汚泥等の産業廃液を対象にしており、例えば既に述べたような下水道汚泥、浄化槽汚泥、醸造及び蒸留排水、家畜し尿、湖沼及び川河ヘドロ、生厨芥の汚汁、各種産業系から発生する廃液及び汚泥等である。しかし、もちろん処理工程の途中で、50000mg/リットル以下の高SS(浮遊物質量)廃液や汚泥等の産業廃液を加えて処理することもできる。
【0024】
本発明の高SS廃液や汚泥の浄化処理法は、高SS廃液(50000mg/リットル以上)や汚泥(50000mg/リットル以上)等を一次処理、二次処理、三次処理を行うものである。処理対象物としては、予め集めておいたもの、通常の汚泥処理では、処理できないものも汚泥処理工程から導入される。
【0025】
本例の一次処理は、図2で示すように、処理対象物である原液と、管路(或いは通路)を介して、原液を真空乾燥機に導入する。この真空乾燥機は加熱手段としてのボイラー及び真空ポンプ(図示せず)と連結されている。また真空乾燥機(塚本商事機械製 KVD−01型)では、原液を真空乾燥して、処理対象液として凝縮器へ送出する。同時に真空乾燥機で水分20%以下にされた固形物を取り出す。
【0026】
真空乾燥機により取り出された固形物は、固形燃料として使用することができるので、別途商品化を図るが、同時に取り出された固形物は、上記真空乾燥機を加熱するためのボイラーの燃料として供給する。これにより処理物である原液の一部固形化及び焼却処理と同時に、加熱装置への燃料供給のリサイクルを確保できる。なおボイラーで焼却したときに排出される気体は、フィルタによって無害な気体とする。
【0027】
以上のように真空乾燥機により処理された廃液は、固形物を除き、凝縮器により凝縮される。これにより高SS廃液(50000mg/リットル以上)や汚泥(50000mg/リットル以上)の原液に、前処理が行われる。このとき前処理が行われた処理対象液が、十分に通常の処理で行える場合には、図2で示すように、従来から行われている後述する三次処理に導入される。そして三次処理に導入されるもの以外の処理対象液(凝縮液)は、次の二次処理を行う。
【0028】
この二次処理工程は、図3で示すように、処理A〜処理Iまでを行うものである。つまり一次処理で前処理された処理対象液(凝縮液)は、タンク槽(凝縮液)Aに集められる。このとき、本発明の処理対象よりも濃度の低い処理対象液(凝縮液)も同時にタンク槽Aに導入される。そしてタンク槽Aから撹拌槽Bに処理対象液を導入し、C工程で形成される粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上含有される粒度調整微粉炭と、粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上含有される粒度調整活性化炭が上記撹拌槽Bに添加され、撹拌される。ここで、粒度調整微粉炭及び粒度調整活性化炭が投入されて撹拌されることにより臭気等が除去される。
【0029】
撹拌されたものはタンク(槽)Dに集められる。この槽Dは後述する脱水処理Gをしたときの汚泥ケーキや清浄な離脱液を除いたものも導入される。
【0030】
次に槽Eでは凝集剤Fが添加されて撹拌される。この撹拌後に、脱水処理Gを行う。脱水処理のうち清浄な離脱液は、三次処理を行う。三次処理は通常の汚水処理を適用することができる。脱水されてケーキ状となった汚泥ケーキは、一次処理真空乾燥機以前の原液へ導入される。ケーキ状のもの及び清浄な離脱液以外のものは、槽Dへ再度導入される。
【0031】
なお上記説明中、経済性を考慮すると、微粉炭と混合攪拌後高分子凝集剤を添加し、フロック形成後は直接加圧脱水機{スクリュープレス方式、バルート方式(アムコン社、特公平7−10440号公報)}にかけて、その脱離液を浄化処理水とするのに好適なものは、SSが50000mg/リットル以下のものである。
【0032】
本発明で用いられる加圧脱水機の例としては、上記特公平7−10440号公報で示される固液分離装置が好適に用いられる。つまり、図3で示すように、内部が中空なケーシング1を有し、その左側の下部には、汚泥水が流入する流入口2が形成され、同じく右側の下部には固形分が排出される排出口3が形成されている。またケーシング1の中央下部には、分離された水分が流出する排水口4が形成され、ケーシング1の内部の中央には、ほぼ水平状態に配置された固液分離部5が設けられている。
【0033】
流入口2からケーシング1の内部に流入した汚泥水は、固液分離部5を通り、ここで分離された水分は排水口4から下方に流下し、固形分は排出口3から排出される。
【0034】
固液分離部5は、固定リング6を複数個有しており、これらのリング6は、同心状に配列され、その全体がほぼ円筒状をなしている。各固定リング6の間にはスペーサ9が挟み込まれ、各固定リング6の耳6aに形成された孔8とスペーサ9には、ボルト10が挿通されている。この例では4本のボルト10が用いられ、これらが同一円周上に配列されている。各ボルト10の端部は、図1に示すように、ケーシング1に固定された支持板11,12に、ナット32によって固定されている。
【0035】
このように、複数の固定リング6は、スペーサ9により互いに所定の間隙をあけて、その軸線方向に配列され、かつ複数のボルト10とナット32とによって互いに一体的に固定され、ケーシング1に対して不動に支持されている。
【0036】
各固定リング6の間の間隙には、遊動リング30がそれぞれ配置されている。図4に示すように、各遊動リング30の厚さTは、各固定リング間の間隙幅Gより小さく設定され(T<G)、各固定リング6の端面と、これに対向する遊動リング30の端面の間に所定の微小ギャップgが形成されるように構成されている。例えば、間隙幅Gが6mm、遊動リング30の厚さTが5mmに設定されているとき、これらの間の各微小ギャップgは0.5mmとなる。また各遊動リング30の外径D1は、そのまわりに位置する4本のスペーサ9の内側面により形成される円Cの径D2よりも小さく、しかも各固定リング6の内径D3よりも大きく設定されている。この構成により、各遊動リング30は、各固定リング6の間から離脱することなく、その半径方向に可動であり、しかも中心軸線まわりを回転可能となる。このように、遊動リング30は固定リング間の間隙に遊動可能に配置されている。
【0037】
複数の固定リング6と遊動リング30によって形成された円筒状体の内部には、空間Sが区画されるが、この空間Sには、スクリューコンベア31が配置され、このコンベア31の各端部の軸部13は、両支持板11,12にベアリング14,15を介して回転自在に支持されている。
【0038】
上述の如く固定リング6と遊動リング30の内部に回転可能に配置されたスクリューコンベア31は、その一端が、ケーシング1に支持されたギアドモータ17に駆動連結されている。ギアドモータ17は、スクリューコンベアを回転駆動する駆動手段の一構成例をなすものである。
【0039】
そしてケーシング1に固定された両支持板11,12には、多数の固定リング6と多数の遊動リングの内部空間Sに対応する位置に適数の貫通孔22がそれぞれ形成されている。
【0040】
脱離液に対する第三次の処理としては、通常の浄化処理方法を採用することができる。即ち、脱離液に対しては、従来技術で十分対応することができるために、生物処理や、従来公知のシックナー等で連続的に沈降固液分離する技術に連続して添加することができる。
【0041】
本例では一次反応J、二次反応K、三次反応L等を経て処理済Mとなる。本発明で重要なのは、三次処理そのものの内容ではなく、一次処理として真空乾燥処理を行い、処理原液を高SS廃液(50000mg/リットル以下)や汚泥(50000mg/リットル以下)を処理し、次に二次処理として前記した高SS廃液(50000mg/リットル以下)や汚泥(50000mg/リットル以下)に、粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上含有される粒度調整微粉炭と、粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上含有される粒度調整活性化炭と、を混合攪拌し、更に凝集剤を添加し、フロック形成後に加圧脱水によって、汚泥と脱離液と汚泥ケーキとに分離し、汚泥ケーキを前記した一次処理の原液に導入することにある。
【0042】
つまり従来技術では対応できない高SS(全浮遊物)を含有するもの、蒸留廃液や汚泥について、本発明に係る処理を行った後で、清浄な離脱液を従来技術の浄化処理方法へ添加する。また従来技術で分離できないものを、本発明の処理方法での浄化対象物とすることにより、本発明の処理方法で処理した後で、従来技術の処理方法の処理対象物とすることができる。
【0043】
本発明において用いる材料は、粒度調整微粉炭、粒度調整活性化炭、高分子凝集剤である。
【0044】
(粒度調整微粉炭)
本発明において、使用される粒度調整微粉炭は、汚濁成分との凝集フロック形成と、加圧脱水時の吸着反応剤として使用されるものであり、粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上、特に好適には、粒径100〜200メッシュのものが80重量%以上となるように加工されたものである。
【0045】
これは50メッシュを越える粗大粒径のものは、混合攪拌時に汚濁成分との接触面積が小さくなる為、凝集及び吸着反応効果が小さくなる。また400メッシュ以下の極小粒径のものは、かさ比重が小さくなる為、混合攪拌に長時間を要することになる。
【0046】
この粒度調整微粉炭には、無煙炭、れき青炭、褐炭、亜炭、泥炭等があるが、本発明において使用するものは性質上吸着反応効果が大きく、しかもある程度の発熱量を有するものが好適の為、褐炭、亜炭の微粉炭を選定するのが望ましい。無煙炭、れき青炭は発熱量では有利であるが、汚濁成分の吸着反応という点で上記2種に劣り、また泥炭はこの逆の性質で、脱水ケーキにした場合、燃料としての発熱量が小さくなり過ぎる。
【0047】
この粒度調整微粉炭は、廃液及び汚泥中のBOD、COD、SSの格納度によっても異なるが、一般にBOD、SSのうちどちらか濃度の高い方に対して、重量比が1:1乃至1:2の割合となるよう混合されるのが望ましい。
【0048】
(粒度調整活性化炭)
本発明においては、上記の凝集フロック形成及び吸着反応剤である、粒度調整微粉炭と共に、粒度調整活性化炭が併用される。この粒度調整活性化炭の粒径は、粒度調整微粉炭選定理由と同じ内容で、かさ比重の違いから50〜200メッシュのものが最も好適である。
【0049】
一般に活性炭の性質は、脱臭剤として利用されるのであるが、本発明に関しては、これ以外に微粉炭では吸着反応されにくい汚濁成分(窒素及び燐)の吸着のため用いる。また汚濁物質と直接関連はないが、系外排出の為色度についても除却したいためにこれを用いる。
【0050】
活性炭の種類は、やし殻炭、木粉及び天然無煙炭等があるが、本発明では微粉炭と同じ内容の使用目的もある為、価格の安く、しかも灰分の少ない、比較的性能のすぐれた天然無煙炭からの精製品を用いるのが有利である。
【0051】
上記粒度調整微粉炭と粒度調整活性化炭は、本発明の処理工程における早い段階で、浄化対象物に投入される。これは浄化対象物に対する異臭等を処理の早い段階で処理するためである。
【0052】
(高分子凝集剤)
本発明において、高SS廃液もしくは汚泥と、粒度調整微粉炭及び粒度調整活性化炭を混合攪拌した後に、高分子凝集剤を添加し、汚濁物質との凝集フロックを形成する。
【0053】
上記高分子凝集剤としては、ポリメタアクリル酸エステル系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアクリルアミン系、ポリアクリルアミド系、ポリアクリル酸ソーダ系、キトサン系、アルギン酸ソーダ系等、一般に使用されているカチオン系、アニオン系或はノニオン系の高分子凝集剤を単独または、2種以上の組み合わせででき、特にカチオン、アニオン両性系の高分子凝集剤が、本発明では好適に使用される。
【0054】
これら高分子凝集剤は処理すべき廃液及び汚泥の状態等によっても異なるが、通常対象廃液及び汚泥のSSに対して0.01〜0.02重量%程度で良い。
【0055】
その後、加圧脱水機にかけられる事によって、BOD、COD、SS、T−N、T−P、N−H成分が実質的に除去された脱離液と、微粉炭及び活性化炭を核とした凝集フロック、及び前記石炭中に吸着された汚濁汚泥物質を含む脱水ケーキに分離される。
【0056】
本発明によれば、酸性化剤(ポリ硫酸第2鉄、塩化第2鉄、硫酸アルミニウム)等を使用せずとも、上記高分子凝集剤のみで、脱水工程に十分に応えるフロックを形成する事が可能で、本発明の目的を達成し得るものである。
【0057】
(具体的実施例)
処理原水の性状
処理廃液として次のものを使用した。
・ 麦焼酎の蒸留廃液焼酎の蒸留廃液については、芋、そば、麦等の廃液があるがその内でもっとも高濃度である、麦を用いた。
水質は以下の通り
BOD 97000mg/リットル
COD 54900mg/リットル
SS 12000mg/リットル
T−N 4700mg/リットル
T−P 1100mg/リットル
【0058】
上記、麦焼酎の蒸留廃液を処理廃水として用いた。この排水はBOD、SSともに50000mg/リットルを越える為、そのまま真空乾燥機(塚本商事機械製 KVD−01型)にかけて、この真空乾燥機の後に凝縮器で凝縮した凝縮液に粒度調整微粉炭を10000mg/リットル、粒度調整活性化炭を2500mg/リットルを加え、混合攪拌後、更に高分子凝集剤を50mg/リットル加えて加圧脱水を行った。
【0059】
一次処理の真空乾燥機(1m3)がバッチ式の為、二次処理の加圧脱水機から排出された汚泥ケーキは全量フィードバックする形で、一次処理の2バッチ目の採水を実施した。
この際の真空乾燥機から導出された廃液を凝縮器で凝縮した凝縮液と、二次処理における加圧脱水機の脱離液の水質を第1表に示す。
【0060】
(比較例)
沈降固液分離法との比較の為、上記実施例の検体に全く同量の微粉炭、活性化炭を混合攪拌し、酸性化剤(塩化第2鉄)でPH3.0とし、中和剤(苛性ソーダ)でPH8.0に戻した後、高分子凝集剤を加えて分離した。その水質を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、浄化処理が極めて困難な50000mg/リットル以上の高SS廃液や汚泥等の産業廃液等について、従来公知の微粉炭による沈降固液分離法では、稀釈水等を用いなければ実質的には浄化処理困難であったものが、真空乾燥処理と凝縮処理を行い、次の段階で圧力脱水工程を入れることによって、無稀釈のまま、しかも沈降固液分離法よりもはるかに有効に浄化処理ができるようになった。
【0063】
また本発明によって、蒸留廃液のように極端に高濃度の為これまでは海洋投棄等の手段によらざるを得なかったものが、極めて容易にプラント化する事が可能になった。
【0064】
さらに本発明によれば、浄化処理が極めて困難な50000mg/リットル以上の高SS廃液や汚泥等の産業廃液から固形燃料を形成することができ、この固形燃料はそのまま商品化をしたり、一次処理の真空乾燥処理の加熱のための燃料にフィードバックすることが可能であり、システム全体として経済効率化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 高SS廃液や汚泥の浄化処理法の一次処理から三次処理までの概略流れ図である。
【図2】 本発明に係る高SS廃液や汚泥の浄化処理法の一次処理の概略流れ図である。
【図3】 高SS廃液や汚泥の浄化処理法の二次処理の概略流れ図である。
【図4】 脱水機としての固液分離装置の縦断面図である。
【図5】 固液分離部の分解斜視図である。
【図6】 固液分離部の断面図である。
【符号の説明】
A,B,D,E 槽
C 粒度調整微粉炭と粒度調整活性化炭
F 凝集剤
G 脱水処理
H コンテナ
I 清浄な離脱液槽
Claims (4)
- 高SS廃液(50000mg/リットル以上)や汚泥(50000mg/リットル以上)を浄化する、一次処理と、二次処理と、を備えた処理方法であって、高SS廃液(50000mg/リットル以上)や汚泥(50000mg/リットル以上)に、少なくとも真空乾燥による乾燥処理工程と凝縮工程とを備えた一次処理と、該一次処理の凝縮工程後の処理対象液に、粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上含有される粒度調整微粉炭、粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上含有される粒度調整活性化炭と、を混合攪拌し、更に凝集剤を添加し、フロック形成後に加圧脱水によって、前記処理対象液を汚泥と脱離液と汚泥ケーキとに分離する工程を備えた二次処理を行い、該二次処理で得られた汚泥ケーキを前記一次処理の廃液に投入することを特徴とする高SS廃液や汚泥の浄化処理法。
- 高SS廃液(50000mg/リットル以上)や汚泥(50000mg/リットル以上)を浄化する、一次処理と、二次処理と、三次処理とを備えた処理方法であって、前記高SS廃液(50000mg/リットル以上)や汚泥(50000mg/リットル以上)に、少なくとも真空乾燥による乾燥処理工程によって固形物を抽出すると共に、固形物以外を凝縮させる凝縮工程を備えた一次処理を行い、該一次処理の凝縮工程後で、粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上含有される粒度調整微粉炭、粒径50〜400メッシュのものが80重量%以上含有される粒度調整活性化炭と、を混合攪拌し、更に凝集剤を添加し、フロック形成後に加圧脱水によって、汚泥と脱離液と汚泥ケーキに分離する二次処理を行い、該二次処理によって分離された汚泥を前記二次処理のための処理対象液へ投入し、前記二次処理によって分離された汚泥ケーキを前記一次処理の廃液に投入し、前記二次処理の分離液に対して三次処理工程を行うことを特徴とする高SS廃液や汚泥の浄化処理法。
- 前記一次処理のうち前記真空乾燥で処理された水分20%以下の固形物を含炭汚泥燃料とすることを特徴とする請求項2記載の高SS廃液や汚泥の浄化処理法。
- 前記一次処理のうち前記真空乾燥で処理された水分20%以下の固形物を前記真空乾燥に用いられる装置の燃料として使用することを特徴とする請求項2記載の高SS廃液や汚泥の浄化処理法。
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