JP4302359B2 - 締付工具の締付能力判定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、任意に設定した締付条件下において、機械的な機構によって、締付工具の締付能力を判定することができるようにした締付工具の締付能力判定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ボルト・ナットやビス等を所定の設定トルクで締め付けるために用いられる締付工具として、例えば、油圧式のトルクレンチ等が汎用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これらの締付工具においては、動力源である空気圧源や電源(バッテリ)の状態、締付工具自体の状態(例えば、油圧式のトルクレンチの場合において、トルクレンチに封入されている作動油の漏れや温度)等によっては、所定の設定トルクで締め付けが行われない場合があり、製品の品質にばらつきが生じ、製品の信頼性を低下させる要因となっていた。
【0004】
この問題点に対処するために、従来から、締付工具による締付トルクを制御したり、測定する種々の装置が提案され、実用化されているが、これらの装置の多くは、電気的に締付トルクを制御したり、測定するものであり、高価なだけでなく、その操作や管理に専門性を必要とし、取り扱いが困難であるという問題があり、このため、任意に設定した締付条件下において、機械的な機構によって、簡易に、締付工具の締付能力を判定することができる装置が要請されていた。
【0005】
本発明は、上記従来の締付工具に関する問題点に鑑み、任意に設定した締付条件下において、機械的な機構によって、簡易に、締付工具の締付能力を判定することができる締付工具の締付能力判定装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の締付能力判定装置は、内部に作動油を充填し、ピストンを配設したシリンダ状の密閉容器と、密閉容器に形成した雌ねじに螺合し、締付工具による回転締付操作によって、前記ピストンを押圧操作する雄ねじと、密閉容器に形成した小孔を介して密閉容器内の作動油の圧力がかかるようにした締付能力判定部材とからなる締付工具の締付能力判定装置において、締付能力判定部材が、密閉容器に螺合して該密閉容器から突出するように取り付けた締付能力判定部材本体と、締付能力判定部材本体に配設された密閉容器内の作動油の圧力を受ける小ピストンと、小ピストンを作動油の圧力に抗する方向に付勢するばね部材と、小ピストンの移動に応じて移動する判定表示部材と、判定表示部材を摺動可能に納めることができるようにする鞘管と、ばね部材の付勢力を調節する調節部材とからなり、小ピストンの移動に応じて判定表示部材に形成した帯状の表示部が鞘管から露出することにより、締付工具の締付能力を判定するようにしたことを特徴とする。
【0007】
この締付工具の締付能力判定装置は、締付能力を判定する締付工具を用いて、密閉容器に形成した雌ねじに螺合した雄ねじを回転締付操作することによって、ピストンを押圧操作し、密閉容器に形成した小孔を介して密閉容器内の作動油の圧力が締付能力判定部材にかかるようにする。
そして、密閉容器内の作動油の圧力が締付能力判定部材にかかると、作動油の圧力を受けた小ピストンが、作動油の圧力に抗する方向に付勢するばね部材を圧縮して移動し、この小ピストンの移動に応じて移動する判定表示部材の位置によって、作動油の圧力の大きさ、すなわち、締付工具によって雄ねじに加えられたトルクの大きさを検出することができる。
そして、調節部材によりばね部材の付勢力を調節することによって、任意に設定した締付条件下における、締付工具の締付能力を判定することができる。
【0008】
特に、小ピストンの移動に応じて判定表示部材に形成した帯状の表示部が鞘管から露出することにより、締付工具の締付能力を判定するようにすることにより、判定表示部材に形成した帯状の表示部が、鞘管から露出するか否かを目視するだけで、瞬時に締付工具の締付能力が所定の設定トルクに達しているか否かを判定することができる。
【0009】
また、雄ねじの押圧力を、鋼球を介してピストンに伝達するようにすることができる。
【0010】
これにより、雄ねじの押圧力をピストンに円滑に伝達することができ、締付工具の締付能力の判定を正確に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の締付工具の締付能力判定装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1〜図2に、本発明の締付工具の締付能力判定装置の一実施例を示す。
【0013】
この締付工具の締付能力判定装置は、内部に作動油3を充填し、ピストン2を配設したシリンダ状の密閉容器1と、この密閉容器1に形成した雌ねじ1aに螺合し、締付工具による回転締付操作によって、鋼球4を介してピストン2を押圧操作する雄ねじ5と、密閉容器1に形成した小孔6を介して密閉容器1内の作動油3の圧力がかかるようにした締付能力判定部材7とからなる。
【0014】
そして、締付能力判定部材7は、密閉容器1に螺合して取り付けるようにした締付能力判定部材本体70と、密閉容器1内の作動油3の圧力を受ける小ピストン71と、この小ピストン71を作動油3の圧力に抗する方向に付勢するばね部材72と、小ピストン71の移動に応じて移動する判定表示部材73と、判定表示部材73を摺動可能に納めることができるようにする鞘管74と、ばね部材72の付勢力を調節する調節部材75とからなる。
【0015】
この場合において、鞘管74内に摺動可能に配設した判定表示部材73の先端部には、帯状の表示部73aを形成し、この表示部73aが鞘管74から露出することにより、締付工具の締付能力を判定するようにする。
【0016】
また、鞘管74の先端部には、ストッパリング74aを取り付け、調節部材75の抜け止めを行うようにする。
【0017】
また、調節部材75が螺合する締付能力判定部材本体70の表面には、調節部材75が螺合する位置に合わせて、調節部材75の設定値を示す表示部76を形成するようにする。
【0018】
上記の構成からなるこの締付工具の締付能力判定装置は、締付能力を判定する締付工具を用いて、密閉容器1に形成した雌ねじ1aに螺合した雄ねじ5を回転締付操作することによって、鋼球4を介してピストン2を押圧操作し、密閉容器1に形成した小孔6を介して密閉容器1内の作動油3の圧力が締付能力判定部材7にかかるようにする。
【0019】
このようにして、密閉容器1内の作動油3の圧力が締付能力判定部材7にかかると、作動油3の圧力を受けた小ピストン71が、作動油3の圧力に抗する方向に付勢するばね部材72を圧縮して移動し、この小ピストン71の移動に応じて移動する判定表示部材73の位置によって、具体的には、判定表示部材73に形成した帯状の表示部73aが、鞘管74から露出するか否かにより、作動油3の圧力の大きさ、すなわち、締付工具によって雄ねじ5に加えられたトルクの大きさを検出することができるものとなる。
【0020】
そして、調節部材75によりばね部材72の付勢力を調節することによって、任意に設定した締付条件下における、締付工具の締付能力を判定することができるものとなる。
【0021】
例えば、特に限定されるものではないが、雄ねじ5のねじ径をM20、ピストン2の直径を58mm、小ピストン71の直径を3mmに形成した場合、調節部材75によりばね部材72の付勢力を調節するとともに、ばね部材72に線径、外径、巻数、自由長等の異なる複数種類のばね部材を選択して用いることにより、最小トルク1kg・m〜最大トルク20kg・mの範囲の締付工具の締付能力を判定することが可能となる。
【0022】
ところで、本実施例において、締付能力判定部材7の判定表示部材73を鞘管74内に摺動可能に配設し、判定表示部材73に形成した帯状の表示部73aが、鞘管74から露出するか否かにより、締付工具の締付能力を判定するようにしているが、これにより、判定表示部材73に形成した帯状の表示部73aが、鞘管74から露出するか否かを目視するだけで、瞬時に締付工具の締付能力が所定の設定トルクに達しているか否かを判定することができ、作業性を著しく向上することができるものとなる。
【0023】
また、雄ねじ5の押圧力を、鋼球4を介してピストン2に伝達するようにしているが、これにより、雄ねじ5の押圧力をピストン2に円滑に伝達することができ、締付工具の締付能力の判定を正確に行うことができるものとなる。
【0024】
なお、図1は、右回転の締付工具の場合を図示したが、左回転の締付工具の場合は、雌ねじ1aを形成した密閉容器1の蓋を、逆ねじのものに交換し、さらに、逆ねじの雄ねじ5を螺合することにより、容易に対応することができる。
【0025】
以上、本発明の締付工具の締付能力判定装置について、その一実施例に基づいて説明したが、本発明の締付工具の締付能力判定装置は、この実施例の構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することが可能である。
【0026】
【発明の効果】
本発明の締付工具の締付能力判定装置によれば、任意に設定した締付条件下において、機械的な機構によって、簡易に、締付工具の締付能力を判定することができ、これにより、製品の品質にばらつきが発生せず、製品の信頼性を向上することができる。
そして、この締付工具の締付能力判定装置は、機械的な機構によって、締付工具の締付能力を判定するものであるため、その操作や管理に専門性を必要とせず、取り扱いが容易であるため、例えば、製造現場の締付工具の設置位置にそれぞれに配備することにより、製品の製造中に、例えば、定期的に、締付工具の締付能力の判定を行うことが可能になるという利点がある。
【0027】
特に、小ピストンの移動に応じて判定表示部材に形成した帯状の表示部が鞘管から露出することにより、締付工具の締付能力を判定するようにすることにより、判定表示部材に形成した帯状の表示部が、鞘管から露出するか否かを目視するだけで、瞬時に締付工具の締付能力が所定の設定トルクに達しているか否かを判定することができる。
【0028】
また、雄ねじの押圧力を、鋼球を介してピストンに伝達するようにすることにより、雄ねじの押圧力をピストンに円滑に伝達することができ、締付工具の締付能力の判定を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の締付工具の締付能力判定装置の一実施例を示し、(a)は中立状態のときの正面断面図、(b)は締付能力の判定を行っているときの正面断面図である。
【図2】 同締付工具の締付能力判定装置の締付能力判定部材を示し、(a)は締付条件が低トルクのときの正面図、(b)は締付条件が高トルクのときの正面図である。
【図3】 (a)は図2(a)に対応する正面断面図、(b)は図2(b)に対応する正面断面図である。
【符号の説明】
1 密閉容器
1a 雌ねじ
2 ピストン
3 作動油
4 鋼球
5 雄ねじ
6 小孔
7 締付能力判定部材
70 締付能力判定部材本体
71 小ピストン
72 ばね部材
73 判定表示部材
74 鞘管
75 調節部材
76 調節表示部
Claims (2)
- 内部に作動油を充填し、ピストンを配設したシリンダ状の密閉容器と、密閉容器に形成した雌ねじに螺合し、締付工具による回転締付操作によって、前記ピストンを押圧操作する雄ねじと、密閉容器に形成した小孔を介して密閉容器内の作動油の圧力がかかるようにした締付能力判定部材とからなる締付工具の締付能力判定装置において、締付能力判定部材が、密閉容器に螺合して該密閉容器から突出するように取り付けた締付能力判定部材本体と、締付能力判定部材本体に配設された密閉容器内の作動油の圧力を受ける小ピストンと、小ピストンを作動油の圧力に抗する方向に付勢するばね部材と、小ピストンの移動に応じて移動する判定表示部材と、判定表示部材を摺動可能に納めることができるようにする鞘管と、ばね部材の付勢力を調節する調節部材とからなり、小ピストンの移動に応じて判定表示部材に形成した帯状の表示部が鞘管から露出することにより、締付工具の締付能力を判定するようにしたことを特徴とする締付工具の締付能力判定装置。
- 雄ねじの押圧力を、鋼球を介してピストンに伝達するようにしたことを特徴とする請求項1記載の締付工具の締付能力判定装置。
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