JP4302254B2 - 輸送用ホース - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、海上で油等を輸送するのに用いるホースに関し、特に流体の通過する通路を形成する内層が破損しても流体が外部に流出するのを防ぐことができるとともに異常の有無の確認を容易に行うことができる輸送用ホースの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
沖合に停泊したタンカーに石油、その他の流体を移送するには多数のホースを連結したホースラインを用いて行うが、このような用途に用いられるホースは通常、流体が通過する移送通路を形成する内層すなわち本体耐圧層と、内層が破損した場合に漏洩した流体が貯留される外層すなわち補助耐圧層とからなる二重構造のホース、所謂ダブルカーカスホースが多用される。ダブルカーカスホースは、流体が通過するゴムチューブ層を繊維コードまたはスチールコード等の耐圧コードで巻装した本体耐圧層と、本体耐圧層の外側に配され、ゴム層とこのゴム層を巻装する複数層に重ねた補助耐圧コードから形成される補助耐圧層とを含み、さらに補助耐圧層の外側をカバーゴムで被覆したものが一般的である。
このようなホースでは、内層が破損しても流体が直ちに外部に流出する虞はないが、安全性を考慮すると流体の漏洩が生じた場合には早期に新しいホースと交換する必要がある。従ってホースには通常、内層の異常を知らせる漏洩検出手段が設けられている。
【0003】
特開平5−272678号公報には、内層と外層とを含むダブルカーカスホースが開示されている。このホースでは、内層が破損して流体が漏洩すると漏洩流体が内層と外層の間に貯留され、この貯留された流体の圧力により外層に変形を生じる。このホースの外層は非対称なコード層で被覆されており、流体の漏洩に反応して捩じれが生じるため目視により漏洩の有無を判断することができるようになっている。
特開平6−147368号公報にも同様に、内層からの漏洩流体に反応してホースの外層に設けられた非対称コード層が捩じれを生じるダブルカーカスホースが開示されている。
【0004】
しかしながら、このようなホースにおいては漏洩流体に対する外層の強度を確保するのに十分な補助耐圧コードを複数層に重ねて巻装した後、捩じれを生じる非対称コード層を形成するためにさらに補助耐圧コードをホースの全長に亘って非対称に巻着することになるので、補助耐圧コードの巻着層数が増えコストが高くなり、コードプライ数に対する耐圧力効率が悪くなるという問題点を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、外層に非対称コード層を設けた従来の漏洩検出手段付きダブルカーカスホースに比べて補助耐圧コードの巻着量を減少させ、漏洩検出機能は保持したまま最小限のコードプライ数で外層の所望強度を確保し、コードプライ数に対する耐圧力効率を改善した新規なホースを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明では、流体の移送通路を形成する内層と、この内層の外側に配され、複数層に重ねた補助耐圧コード層により巻装された外層と、該外層を被覆するカバーゴム層と、ホース端部に固着されたニップルとを含み、これらの層が一体的に形成されたホースにおいて、前記補助耐圧コード層の外側に非対称コード層をホース全長の一部にのみ巻装している。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の輸送用ホースは、内層と外層とを含む二重構造のホースであって、外層に所望強度を得るのに必要な補助耐圧コードを対称に複数層巻装し、さらにその外側にホース全長の一部にのみ非対称コード層を漏洩検出手段として巻装した後、全体をカバーゴムで被覆することで一体的に構成される。
【0008】
【実施例】
以下、実施例を挙げて添付図面に沿って本発明を詳細に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施例に限定されるものではない。
【0009】
図1は、内層からの漏洩が生じていない正常な状態でのホース1の端部断面を示したものである。ホース1は、ホース本体2とその端部に固着された継ぎ手3とからなるものである。ホース本体2は、内層すなわち本体耐圧コード層5、5とその外側を被覆する外層すなわち補助耐圧コード層10とからなる二重構造のダブルカーカスホースで、該補助耐圧コード層10の外側は、非対称コード層11を介してカバーゴム層14で被覆されている。継ぎ手3は、フランジ3aとニップル3bとからなり、フランジ3aを介してホース同士の接続を行う。ニップル3bの外周にはホース本体2の内層及び外層の端部を固着するためにリング3c,3c...が突設されている。
【0010】
図1に示すホース本体2の内層は、移送流体が通過する通路を形成するゴムチューブ層4の外側をブレーカー(耐圧コード層)5,5と補強耐圧層6で被覆したものである。内層の端部は、図示したように各ブレーカー5を締結ワイヤー7によってニップル3b上に固定した後、両ブレーカー5を補強耐圧コードで巻装することでニップル3bに固定される。ブレーカー5を形成する耐圧コードは、周知の繊維コードまたはスチールコード等の撚り合わせコードが用いられる。補強耐圧層6は、外圧によるホース本体2の潰れを防止するとともに内層を補強するために設けられたもので、ゴム層内にスチールコードやスチールワイヤー等の補強スチールが螺旋状に巻着され埋設されている。
ホース本体2の外層は、内層からの漏洩流体を貯留し外部へ流体を漏らさないために設けられるもので、内層の外側に緩衝部8を介してゴム層9と補助耐圧コード層10を巻装したもので、外層の外側には漏洩検出手段を形成する非対称コード層11が設けられる。
【0011】
緩衝部8はスポンジ等の緩衝部材からなり、低強度の剥離ゴム等によってゴム層9に接着されている。緩衝部8に漏洩流体が流入すると、ゴム層9が流体の圧力を受けて剥離する。緩衝部8を設けることにより、破損した内層から漏洩した流体の圧力を吸収し衝撃負荷を減少することができるので、外層の破損を有効に防止することができる。
【0012】
外層の端部はゴム層9を締結ワイヤー7によってニップル3b上に固定した後、ゴム層9を巻装した補助耐圧コード層10の端部を接着接合することでニップル3bに固定される。補助耐圧コード層10を形成する補助耐圧コードは、周知の繊維コードまたはスチールコード等の撚り合わせコードで、耐圧コード層5の耐圧コードと同一素材であっても異なる素材であっても良い。
【0013】
補助耐圧コード層10は、内層からの漏洩流体に対する外層の強度を確保するために設けられるもので、ホース本体2の全長に亘って対称に巻装される。非対称コード層11は、内層からの漏洩流体に反応して捩じれを生じるように構成されるものであって、本実施例では補助耐圧コード層10の端部のみに配されている。非対称コード層11は補助耐圧コード層10との間に剥離層12を形成するとともに、その内方端部が補助耐圧コード層10に固着され、外方端部がニップル外周面の外方より部位に回転自在に位置する環状回転部材13に固定される。非対称コード層11は、図2に示すように補助耐圧コードのコード配向を非対称にする他、コードプライ数を奇数としたり、異なる材料の補助耐圧コードを用いたり、或はこれらを組み合わせることによって形成することができる。
【0014】
ホース本体2の内層が破損して流体が漏洩すると、漏洩流体は内層の破損箇所から補強耐圧層6とゴム層9の間に配された緩衝部8に流入し、ホース端部に向かって浸透して行く。緩衝部8に漏洩流体が流入すると、ゴム層9及びこれを被覆する補助耐圧コード層10と非対称コード層11は漏洩流体の圧力を受けて外側に膨らむ力を受けることになる。このように漏洩流体の圧力に起因して補助耐圧コード層10が外側に膨張すると、非対称コード層11には捩じれ力が発生する。
【0015】
非対称コード層11と補助耐圧コード層10との間には剥離層12が形成されており、さらに非対称コード層11の内方端部が補助耐圧コード層10に固着され、その外方端部がニップル3b上に回転自在に位置する環状回転部材13に固定されているので、内側から漏洩した流体による圧力が加わると非対称コード層11には捩じれが起こる。従って外層を被覆するカバーゴム層14は、非対称コード層11の捩じれを生じた部分で同様に捩じれを起こすことになるので、外部からカバーゴム層14の捩じれを目視することで内層に漏洩が生じているかどうかを検知することができる。
尚、環状回転部材13は、低強度の剥離ゴム等を介してニップル3bに接着し、非対称コード層11が捩じれる際に剥離し回転自在となるようにするのが好ましい。
捩じれの原理及び非対称コード層の構成についての詳細は、上述の特開平5−272678号公報及び特開平6−147368号公報に記載されているので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0016】
本発明の輸送用ホースは、上述した実施例以外にも適宜変更を行うことが可能である。環状回転部材13は、図示した例ではニップル3bの外方端部に配されているが、ニップル3bの内方端部すなわちゴムチューブ層4との接着端部に配しても良い。この場合、環状回転部材13はニップル3b上ではなく、内層のニップル固着部位に対応する補助耐圧コード層10の表面位置に回転自在に配される。
【0017】
非対称コード層11を環状回転部材13に固定せずに、単に補助耐圧コード層10に巻着したものとしても良い。このようにしても非対称コード層11の内方端部のみを補助耐圧コード層10に固着すると、非対称コード層11は非接着部位において捩じれを発生するので、漏洩流体に反応した所望の捩じれを得ることができるからである。さらに非対称コード層11は、その内方端部を補助耐圧コード層10に固着せずに単に補助耐圧コード層を巻装するものとしても良い。
【0018】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の輸送用ホースにおいては漏洩流体に対する外層の所望強度を得るために必要な補助耐圧コード層を全長にわたり巻装し、漏洩検出手段として捩じれを生じる非対称コード層をホース全長の一部にのみ巻装するので、補助耐圧コードの巻着量を減少させることができるとともに最小限のコードプライ数で外層の所望強度を確保し、コードプライ数に対する耐圧力効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の輸送用ホースの一実施例を端部断面図に示したものである。
【図2】本発明の輸送用ホースにおける非対称コード層のコード配向例を示したものである。
【符号の説明】
1 ホース
2 ホース本体
3 継ぎ手
3a フランジ
3b ニップル
3c リング
4 ゴムチューブ層
5 ブレー力一
6 補強耐圧層
7 締結ワイヤー
8 緩衝部
9 ゴム層
10 補助耐圧コード層
11 非対称コード層
12 剥離層
13 環状回転部材
14 カバーゴム層
Claims (3)
- 流体の移送通路を形成する内層と、この内層の外側に配され、複数層に重ねた補助耐圧コード層により巻装された外層と、該外層を被覆するカバーゴム層と、ホース端部に固着されたニップルとを含み、これらの層が一体的に形成されたホースであって、
前記補助耐圧コード層の外側を巻装してなる非対称コード層をホース端部のみに設け、この非対称コード層の外方端部を前記ニップル外周面のホース外方より部位における前記外層とカバーゴム層との間に同軸状に回転自在に配された環状回転部材に固定するとともに前記外層と非対称コード層の間に剥離層を設けて前記非対称コード層の捩じれに応じて環状回転部材を回転可能とした輸送用ホース。 - 流体の移送通路を形成する内層と、この内層の外側に配され、複数層に重ねた補助耐圧コード層により巻装された外層と、該外層を被覆するカバーゴム層と、ホース端部に固着されたニップルとを含み、これらの層が一体的に形成されたホースであって、
前記補助耐圧コード層の外側を巻装してなる非対称コード層を、該非対称コード層の内方端部を補助耐圧コード層に固着するとともに、その外方端部を前記ニップルに於ける前記外層の固着部位よりも外側で前記外層とカバーゴム層との間に回転自在に同軸状に配された環状回転部材に固定することによって設けて、内層から移送流体が漏洩すると前記補助耐圧コード層の変形に対応して非対称コード層に捩じれを生じることを特徴とする輸送用ホース。 - 流体の移送通路を形成する内層と、この内層の外側に配され、複数層に重ねた補助耐圧コード層により巻装された外層と、該外層を被覆するカバーゴム層と、ホース端部に固着されたニップルとを含み、これらの層が一体的に形成されたホースであって、
前記補助耐圧コード層の外側を巻装してなる非対称コード層を、該非対称コード層の内方端部を前記補助耐圧コード層に固着するとともに、その外方端部を前記内層のニップル固着部位に対応する補助耐圧コード層の表面位置で前記カバーゴム層との間に回転自在に同軸状に配された環状回転部材に固定することによって設けて、内層から移送流体が漏洩すると前記補助耐圧コード層の変形に対応して非対称コード層に捩じれを生じることを特徴とする輸送用ホース。
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