JP4301655B2 - デンタルフロスホルダー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デンタルフロスを着脱自在に張設でき、しかも、構造が単純で、操作性に優れたデンタルフロスホルダ、及び該ホルダとともに使用するに適したデンタルフロスケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、デンタルフロスは、リールに巻き取られた状態でフロスケースに収容して販売されている。そして、使用者は、デンタルフロスをリールから解いて切断し、指で歯間に挿入して使用していた。近年、プラスチック製の竿体の先端に設けられたフォーク状部分にデンタルフロスを予め張設して固定した歯間清掃具が販売されている。しかし、この歯間清掃具は、デンタルフロスとプラスチック製竿体とが一体化されているので、使用後、清掃具全体を廃棄することになり、経済的に無駄が多い。
【0003】
そこで、デンタルフロスを着脱可能に固定できるデンタルフロスホルダが各種提案されている。例えば、米国特許第4,655,233号には、ホルダのフォーク状先端部に重ねて、これに対して摺動可能なフォーク状の摺動部材を取り付け、該フォーク状先端部とフォーク状摺動部材とでデンタルフロスの端部を把持するようにしたホルダが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、米国特許第4,655,233号のホルダの場合、両端部にアタッチメントが形成された所定長のデンタルフロスしか装着することができず、リールに巻かれた通常のデンタルフロスを解いて装着することはできない。
【0005】
そこで、本発明は、リールに巻かれたデンタルフロスでもワンタッチで簡単に着脱自在に張設することができ、しかも、構造が単純で、操作性が優れたデンタルフロスホルダを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、デンタルフロスを張設する一対の枝部を備えたフォーク状の本体と、この一対の枝部の夫々を挿通させる一対のスリーブ部を備えた摺動部材とを備え、前記枝部は、夫々の先端にデンタルフロスと係合する係合部を備え、前記摺動部材は、該係合部を露出させてデンタルフロスの脱着を可能にする第一の位置と、該係合部を閉じてデンタルフロスを固定する第二の位置との間を摺動可能に前記本体に取り付けられていることを特徴とするデンタルフロスホルダーが提供される。
【0007】
本発明のデンタルフロスホルダは、摺動部材を上記第一の位置に配置させ、デンタルフロスを本体の一対の枝部に設けられた係合部の間に架け渡し、その後、摺動部材を上記第二の位置に移動させるだけで、該係合部に係合したデンタルフロスを、例えばスリーブ部と枝部との間に挟持することにより、簡単にホルダに固定できる。
【0008】
本発明においては、前記本体にレバーを揺動可能に取り付け、該レバーと前記摺動部材とを、両者に対して回動可能に取り付けられたリンク部材によって連接し、該レバーを揺動させることにより摺動部材を前記第一の位置と前記第二の位置との間に移動できるようにするとよい。この場合、レバーの揺動操作のみで、デンタルフロスやこれが装着されるホルダの先端部を手で触れること無く、デンタルフロスを簡単にホルダに固定できるので、操作上及び衛生上好ましい。
【0009】
また、本発明の別の局面によれば、デンタルフロスを収容する本体と、該本体に収容されたデンタルフロスを挿通させて該本体の外側に導く案内孔と、該案内孔から該本体の外側に導かれたデンタルフロスの自由端を係合させるフック部とを備えたデンタルフロスケースであって、前記案内孔と前記フック部との間には、その間に架け渡されたデンタルフロスを挿通させる別のフック部が設けられていることを特徴とするデンタルフロスケースが提供される。この別のフック部は、本体の上端を切り欠いて形成された段部に配置することが好ましい。さらに好ましくは、この段部を、本発明のデンタルフロスホルダの前記一対の枝部又は前記一対のスリーブ部の全体を収容する寸法に設計するとよい。この場合、ホルダの先端部をケースの段部に進入させることができるので、デンタルフロスを該ケースの段部に架け渡したまま、ホルダの枝部の間に簡単に装着できる。したがって、このデンタルフロスケースは、本発明のデンタルフロスホルダとともに使用したり、キットとして販売するのに好適である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明のデンタルフロスホルダを、具体例に基づいて説明するが、本発明は、図示の具体例のみに限定されるものではない。
【0011】
図1は、本発明のデンタルフロスホルダの一具体例を示す分解図である。図1から明らかなように、このホルダは、フォーク状の本体1を備え、該本体1は、手で把持するための細長の竿部11と、その一端から二股状に概略平行に延在する一対の枝部12a及び12bとからなる。歯間の清掃を容易にするために、竿部11は枝部12a及び12bの方向に向かって上方に屈曲した形状を備え、枝部12a及び12bは竿部11の先端から下方に傾斜した角度で延在している。枝部12a及び12bの先端には、デンタルフロス6の係合部として、その上面を切り欠いて形成されたフック部13a及び13bが設けられている。竿部11には、後述するレバー3を収容するために、長手方向に延在する上面開口の溝部14が枝部12a及び12bに隣接して形成されている。
【0012】
さらに、図1のホルダは、本体1の枝部12a及び12bへ摺動可能に取り付けられる摺動部材2を備えている。該摺動部材2は、基部21と、そこから二股状に互いに概略平行に延在する一対のスリーブ部22a及び22bとを備えた概略U字状の部材からなる。基部21には、スリーブ部22a及び22bと直交する方向に延在する円筒状の軸23が設けられている。
【0013】
さらに、図1のホルダは、摺動部材2の摺動操作を容易にするために、レバー3とリンク部材4を備えている。図1の具体例では、レバー3は、本体1の溝部14に収容される細長の形状を備え、詳しくは、幅広の後部31と幅狭の前部32と、該前部32の先端に取り付けられたノブ33とからなる。該ノブ33には、レバーの操作を容易にするために、表面に凹凸が形成されている。レバー3は、後部31の両側面の対向する位置に、それぞれ円柱状の凸部34を備えており、該凸34を溝14の内面に設けられた円形開口または凹部15に挿入させることにより、本体1に揺動可能に取り付けられる。また、レバー3は、前部32の両側面の対向する位置に、それぞれ円柱状の凸部25を備えている。リンク部材4は、中実の前部41と該前部41から後方に向けて平行に延在する一対の側板部材42a及び42bとからなる。側板部材42a及び42bの間隔は、レバー3の前部32の幅よりも若干大きな寸法とされ、両部材42a及び42bの間に該前部32を収容できるようにしている。リンク部材4は、前部41の端部付近に、摺動部材2の軸23とスナップ式に係合する断面略円形の凹部43を備えている。また、リンク部材4は、側板部材42a及び42bの端部付近に、レバー3の凸部35とスナップ式に係合する断面略円形の凹部44a及び44bを備えている。したがって、リンク部材2の凹部44a及び44bを、本体1に揺動可能に取り付けられたレバー3の凸部35に係合させ、さらに、リンク部材2の凹部43を、枝部12a及び12bにスリーブ部22a及び22bを挿通させて本体1に取り付けられた摺動部材2の軸23に係合させることにより、レバー3の揺動操作によって摺動部材2を摺動させることができる。
【0014】
使用時、図2及び図3に示されるように、ノブ33を上方に持ち上げてレバー3を凸部34の回りに回転させると、リンク部材4が本体1の後方へ移動され、それに伴って、摺動部材2が本体1の後方へ摺動される。この位置(第一の位置)では、摺動部材2のスリーブ部22a及び22bの先端から枝部12a及び12bの先端が突出し、フック部13a及び13bが露出しているので、図2に示されるように、使用者は、デンタルフロスケース7から取り出したデンタルフロス6をフック部13a及び13bに架け渡し、デンタルフロス6の装着の準備をすることができる。そして、ノブ33を下方に押し下げてレバー3を突部34の回りに回転させて溝14内に収容させると、リンク部材4が本体1の前方に移動され、それに伴って、摺動部材2が本体の前方に摺動される。この位置(第二の位置)では、図4に示されるように、摺動部材2のスリーブ部22a及び22bは、枝部12a及び12bのフック部13a及び13bを格納するため、フック部13a及び13bに架け渡されたデンタルフロス6を、スリーブ部22a,22bと枝部12a,12bとの間に挟持して、デンタルフロス6を張設した状態で本体1に固定することができる。この時、ノブ33は、溝14及び摺動部材2の上方に載置しているため、デンタルフロス6の交換が必要な場合、使用者は、ノブ33の操作によってレバー3を上昇させて、摺動部材を簡単に第一の位置に戻すことができる。
【0015】
なお、リンク部材4の長さや凸部35及び凸部23の位置を、ホルダの寸法に応じて適宜選択することにより、図4に示されるように、摺動部材を第二の位置にスナップ式に固定することが可能となる。また、この具体例の各部材は、如何なる材料で作製してもよいが、代表的には、プラスチックを射出成形等で成形することにより簡単に作製できる。
【0016】
図2に示されるホルダの枝部12a及び12bのそれぞれは、図5に示されるように、先端部が二股に形成されており、すなわち、平行する二つのブレード部分121及び122から構成されている。そして、それぞれのブレード部分にフック部13a及び13bが形成されている。一方、スリーブ部22a及び22bの先端部には、各ブレード部121,122を個別に案内するように中央に隔壁25が設けられている。この場合、摺動部材が第二の位置に移動してデンタルフロスを固定する際に、デンタルフロスをスリーブ部22a及び22b内に引き寄せる量が増加するため、固定されたデンタルフロスに与えられる張力を高めることができる。また、スリーブ部22a及び22bの先端部の内方側面には、それぞれ切欠部24を設けてもよく、この場合、固定されたデンタルフロスが容易に脱離することが防止される。また、図6に示されるように、枝部12a及び12bに設けられるフック部13a及び13bは、スリーブ部22a及び22bの先端から寸法Dだけ異なった間隔をおいて形成することが好ましい。この場合、摺動部材2を摺動させてデンタルフロスをホルダに取り付ける際、フロスは、最初に一方の枝部12bに固定され、その後、他方の枝部12bに引張られてホルダに固定されるので、デンタルフロスを確実にしかも高い張力が付与された状態で固定できる。
【0017】
また、図2に示されるように、本発明のホルダの枝部12a及び12b又はスリーブ部22a及び22bの間隔は、デンタルホルダケース7の寸法に適合するように設計すると好都合である。図2のデンタルホルダケース7は、リール状に巻かれたデンタルフロス6を収容する箱型の本体71とこれに折り可能に連接された蓋体72とから基本的に構成されている。また、該蓋体72は本体71にスナップ式に係合する舌部73を備えている。そして、本体71の上端の一方の側には、本体71内に収容されたデンタルフロス6の自由端を挿通させて本体71からの取り出しを可能にするために、小さな案内孔74が設けられている。また、本体71の上端の他方の側には、取り出されたデンタルフロス6の自由端を係合するフック部75が設けられている。したがって、本体71から取り出されたデンタルフロス6は、案内孔74とフック部75との間に架け渡しておくことができる。この架け渡されたデンタルフロス6へのアクセスを容易にするために、案内孔74とフック部75との間には、本体71の上端を切り欠いて形成された段部76が設けられている。なお、この段部76は蓋体72の舌部73によって閉じられる。デンタルフロス6を案内孔74とフック部75との間に架け渡した状態でホルダ1に装着できるように、段部76の幅寸法は、枝部13a及び13bまたはスリーブ部22a及び22bの全幅寸法よりも大きくなるように設計することが好ましい。この場合、ホルダ1の枝部13a及び13bまたはスリーブ部22a及び22bを段部76に収容させることができるので、そこに架け渡されたデンタルフロス6を簡単に装着できる。
【0018】
さらに、図示のように、段部76には、案内孔74とフック部75との間に架け渡されたデンタルフロス6を通過させる別のフック部77を設けると好都合である。このフック部77は、段部76の中央部から上方へ突出させることによって形成することができる。かくして、図2に示されるように、使用者は、案内孔74とフック部75との間に架け渡されたデンタルフロス6をホルダ1のフック部13a,13bに係合させた後、レバー3を溝14に収容させてデンタルフロス6を固定する前に、ホルダ1をケース7から離隔させてデンタルフロス6を適宜引き出すことにより、フック部13a及び13bに架け渡されるデンタルフロス6の長さを調節できる。これによって、使用者は、フック部13a及び13bの間に最終的に固定されるデンタルフロス6の張力を好みに応じて容易に調節できる。
【0019】
【発明の効果】
本発明のデンタルフロスホルダは、デンタルフロスが架け渡されるフォーク状の枝部の夫々にスリーブ部を摺動可能に挿通して、枝部とスリーブ部との間にデンタルフロスを挟持する構成としたため、このスリーブ部の摺動操作のみで、デンタルフロスを確実にホルダに張設及び固定できる。また、このスリーブ部は、本体に揺動可能に取り付けられたレバーの昇降操作で摺動させることができ、単純な構造でデンタルフロスを簡単に装着できる。
【0020】
本発明のデンタルフロスケースは、前記デンタルフロスホルダのフォーク状の枝部の間に架け渡したデンタルフロスの中央部に係合するフック部を備えているので、使用者はホルダに架け渡されるデンタルフロスの張力を容易に調節できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデンタルフロスホルダーの具体例を示す分解図である。
【図2】図1の具体例を組み立てた状態で示す斜視図である。
【図3】図2の断面図である。
【図4】図3の具体例をデンタルフロス固定状態で示す断面図である。
【図5】図2のホルダの枝部を拡大して示す斜視図である。
【図6】ホルダのフック部の配置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 本体
11 竿部
12a、12b 枝部
13a、13b 係合部(フック部)
14 溝部
15 開口または凹部
2 摺動部材
21 基部
22a、22b スリーブ部
23 軸
3 レバー
31 後部
32 前部
33 ノブ
34 凸部
35 凸部
4 リンク部材
41 前部
42a、42b 側板部材
43 凹部
44a、44b 凹部
6 デンタルフロス
7 デンタルフロスケース
71 本体
72 蓋体
73 舌部
74 案内孔
75 フック部
76 段部
77 フック部
Claims (6)
- デンタルフロス(6)を張設する一対の枝部(12a、12b)を備えたフォーク状の本体(1)と、この一対の枝部(12a、12b)の夫々を挿通させる一対のスリーブ部(22a、22b)を備えた摺動部材(2)とを備え、前記枝部(12a、12b)は、夫々の先端にデンタルフロス(6)と係合する係合部(13a、13b)を備え、前記摺動部材(2)は、前記枝部に沿って後方に摺動して前記スリーブ部の先端から該係合部を露出させてデンタルフロスの脱着を可能にする第一の位置と、前記枝部に沿って前方に摺動して前記スリーブ部の先端で該係合部を閉じてデンタルフロスを固定する第二の位置との間を摺動することを特徴とするデンタルフロスホルダー。
- 前記本体(1)は、これに揺動可能に取り付けられたレバー(3)と、該レバー(3)と前記摺動部材(2)とに回動可能に取り付けられたリンク部材(4)とを備え、前記摺動部材(2)は、該レバー(3)を揺動させることにより前記第一の位置と前記第二の位置との間を移動できるようにされている請求項1に記載のデンタルフロスホルダー。
- 前記本体(1)は、前記レバー(3)を収容する溝部(14)を備え、前記レバー(3)は該溝部(14)内に設けられた回転軸(15、34)回りに揺動可能に取り付けられている請求項2に記載のデンタルフロスホルダー。
- デンタルフロス(6)を収容する本体(71)と、該本体(71)に収容されたデンタルフロス(6)を挿通させて該本体(71)の外側に導く案内孔(74)と、該案内孔(74)から該本体(71)の外側に導かれたデンタルフロス(6)の自由端を係合させるフック部(75)とを備えたデンタルフロスケース(7)であって、前記案内孔(74)と前記フック部(75)との間には、その間に架け渡されたデンタルフロス(6)を挿通させる別のフック部(77)が設けられていることを特徴とするデンタルフロスケース。
- 前記別のフック部(77)は、本体(71)の上端を切り欠いて形成された段部(76)に配置されている請求項4に記載のケース。
- 請求項1のデンタルフロスホルダと、請求項5のデンタルフロスケースに収容されたデンタルフロスとからなるデンタルフロスキットであって、前記デンタルフロスケースの段部(76)は、前記デンタルフロスホルダの一対の枝部(12a、12b)又は一対のスリーブ部(22a、22b)を収容する寸法に設計されているデンタルフロスキット。
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