JP4300861B2 - 発泡樹脂製コア内蔵frpおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のボディ部品、バンパー、スポイラーなどに適用できる軽量であって、かつ耐たわみ性にも優れた発泡樹脂成形品コア内蔵FRPに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、金属成型材料、特に自動車のボディ、バンパー、スポイラーなどの各種部品の軽量化が検討されてきているが、最近では特に軽量化とともに強靱性をも兼ね備えた樹脂成型品が開発されている。例えばポリスチレンなどからなる発泡樹脂成型品をコアとし、その外側にガラス繊維やカーボン繊維などの繊維基材を被覆したのち、樹脂を含浸、硬化させた繊維強化プラスチック(以下、FRPという。)製のバンパー(特許文献1)や、発泡ポリウレタンコアの表面に不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂系塗料あるいはアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂の溶剤型塗料を塗布したのち、乾燥硬化させた薄い樹脂層を繊維基材とともに成型型内にセットし、FRP用樹脂液を注入硬化させた発泡ポリウレタンコア内蔵FRP製品の製造方法(特許文献2)などが提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−215519号公報(請求項1、第1〜第4図)
【0004】
【特許文献2】
特開平5−147048号公報(請求項1、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1および2に提案されている発泡樹脂製成形品をコアとするFRPにおいては、以下のような問題点があった。
【0006】
すなわち、特許文献1においては、前述したとおり発泡樹脂成型品をコアとし、その外側に繊維基材を被覆した後、樹脂を含浸硬化させるものであるが、発泡樹脂製コアの表面からその内部に樹脂が浸透するため軽量化が損なわれたり、浸透斑によって製品の表面が変色して見えたり、極端な場合には凹凸が発生して著しく品位と光沢を低下させたりするため、極めて生産性の悪いものであった。
【0007】
一方、特許文献2においては、その欠点を改良、すなわち発泡ポリウレタンコアの表面に樹脂を塗布して繊維基材を通して注入される樹脂のポリウレタンコアへの浸透を防止するものである。確かに樹脂層形成材料を選択することで内部への浸透をある程度防止できるかも知れないが、塗膜によって形成された層は強度的に不十分であり、通常0.2〜2MPa程度の樹脂注入時の圧力などにより部分的に破壊され、注入樹脂がコアに浸透する可能性を伴うものである。また、注入された樹脂とポリウレタンコアを被覆する薄い樹脂層との接着が不十分な場合には、製品に重力を掛けてたわませた場合、きしみ音がするという問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来技術の課題を解決し、樹脂含浸時のコア内部への浸透と浸透斑による変色を防止するとともに、FRP成型体のきしみ音の発生を抑制することにより、軽量化と耐たわみ性の両方に優れた発泡樹脂製コア内蔵FRPおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の発泡樹脂製コア内蔵FRPは、発泡樹脂製コアの表面が、加熱によって粘接着性を発現する接着層を介して熱収縮性ナイロンフィルムで被覆され、さらに該熱収縮性ナイロンフィルムを介して、熱硬化性樹脂が含浸された繊維基材が積層されてなる発泡樹脂製コア内蔵FRPであって、該熱収縮性ナイロンフィルムが、少なくとも熱硬化性樹脂が含浸された繊維基材と接触する面においてコロナ処理されており、該熱収縮性ナイロンフィルムと、熱硬化性樹脂が含浸された繊維基材との180度剥離接着力が、100g/cm以上であることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するため、本発明の発泡樹脂製コア内蔵FRPの製造方法は、発泡樹脂製コアの表面を、加熱によって粘接着性を発現する接着層を介して少なくとも片面にコロナ処理された熱収縮性ナイロンフィルムで被覆し、該被覆物を減圧下で加熱収縮させ、その後、該熱収縮性ナイロンフィルム上を、該熱収縮性ナイロンフィルムのコロナ処理された面と接触するように繊維基材を被覆した後に、金型のキャビティ内にセットし、熱硬化性樹脂を注入硬化させることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について詳細に記述する。
【0012】
本発明のFRPで用いる発泡樹脂製コアとは、本発明のFRPのコアをなす発泡樹脂製成形品のことであり、その成型品は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィンなどからなる発泡体であって、一般的な製造方法によって製造され、独立あるいは連続気泡を有するものである。その発泡倍率は特に限定するものではないが軽量化を目的とするため、出来る限り発泡倍率高いものが好ましい。成型体の強度とのバランスを考慮すると5倍から20倍程度の発泡倍率とするのが好ましい。
【0013】
発泡成型の方法としては、特に限定するものではなく、従来公知の方法によって成型することができる。例えば炭酸ガス、フレオン、メチレンジクロライド、ペンタン、空気等の他、熱分解型の有機系発泡剤などを適用することができる。特にポリウレタンのようなポリオールとイソシアネートの反応により副成する炭酸ガスを封入することによって製造する方法が簡易で均一発泡出来る点で好ましい。このような成型方法としては一般的にはワンショット法やプリポリマー法が知られている。本発明に用いるコアは半硬質、硬質発泡体が好ましい。
【0014】
ところで、前述したように本発明のコア内蔵FRPでは、発泡樹脂製コア表面が熱収縮性フィルムで被覆されていることを特徴とする。
【0015】
このような熱収縮性フィルムとして、ナイロンフィルムを用いる。熱収縮性ナイロンフィルム(単に「熱収縮性フィルム」と称することもある。)が柔軟性、強靱性、耐熱性の点で必須とされる。
【0017】
ナイロンフィルムは特に限定しないがナイロン6、ナイロン12,ナイロン11,6−6ナイロン、6−10ナイロンなどの任意のものを使用することができ、これらの2元、3元以上の共重合体であっても良い。融点は熱硬化性樹脂含浸時の硬化温度に耐えることが必要であり、通常、150℃以上であるのが好ましい。
【0018】
熱収縮性ナイロンフィルムとしては、一軸延伸、二軸延伸(逐次あるいは同時二軸延伸を含む)のいずれのフィルムでも使用することができ、例えばその代表例としてはユニロンS300(出光ユニテック(株)製)、エンブレムNK(ユニチカ(株)製)、ボニールSW(興人(株)製)、スーパーニールSP−R・SH(三菱樹脂(株)製)などを挙げることができる。また、熱収縮性フィルムの収縮率は95℃熱水中で30分間浸漬したときに5〜40%、好ましくは10%〜30%、更に好ましくは15%〜25%であるの望ましい。5%未満の場合には、コアの形状によってはコアへのフィット性に劣る場合があり、40%を越える場合には収縮応力によってコアが変形する場合がある。熱収縮性フィルムの厚みは3μm以上75μm以下であるのが好ましい。3μm未満の場合には強度が不足し、被覆過程や後述する熱硬化性樹脂注入時の圧力によって破れる場合があり、75μmを越えるとコアにうまく追従せず、製品の表面状態が悪くなる場合がある。
また、熱収縮性フィルムの表面は空気中、窒素中、炭酸ガス中などでコロナ処理されたものが注入する熱硬化性樹脂との接着の点で必要とされる。当該コロナ処理は片面であっても両面であっても良いが熱硬化性樹脂と接触する側がコロナ処理面であることが接着性の点で必要とされる。このような処理を施すことにより、熱収縮性フィルムと熱硬化性樹脂とのより高い接着性を発現することができ、FRPの上から重力をかけた時のきしみ音などを抑制することができる。熱収縮性フィルムと、熱硬化性樹脂含浸繊維基材との接着力は、180度剥離において100g/cm以上、好ましくは200g/cm以上であるのが望ましく、上記の処理を施すことでより強固な接着力を発現することができる。発泡樹脂製コアの表面を熱収縮性フィルムで被覆するに際し、その被覆の目的が発泡樹脂成形品への熱硬化樹脂の浸透防止であり、浸透を防止するような被覆が必要である。
【0019】
かかる被覆方法としては、常温では非粘着性であって熱によって粘接着性を発現する接着層を設ける手段を採用する。すなわち、コアをフィルムで簡易被覆する時にフィルム同士が粘着せず、熱をかけて収縮させコアにフィットさせる工程において接着する。このような接着剤としてはホットメルト型の接着剤が好ましく、例えばポリエステル系、アクリル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系およびその共重合体、変性体、アイオノマーなどが使用できるが80〜140℃に融点もしくは軟化点を有するものが好適である。熱収縮性フィルムがナイロンフィルムの場合には共重合ポリアミドフィルム(例えば熱接着用フィルムタイプCF8000:東レ合成(株)製)とのラミネート、変性ポリオレフィン系接着ポリマーであるアドマーNFシリーズ、HBシリーズ、LFシリーズ、LBシリーズ、VFシリーズ(三井化学(株)製)などとのラミネートによりナイロンフィルムと積層したものが好ましく使用できる。接着層の厚みは特に限定しないがコア材にフィットさせ、かつコア材との接着性を保持する点から1μm以上50μm以下、好ましくは3μm以上30μm以下、更に好ましくは5μm以上20μm以下であるのが望ましい。また、熱硬化性樹脂注入時に熱収縮性フィルムの隙間から熱硬化性樹脂が浸透しないようにする必要があり、フィルム接合部分は接着剤や粘着テープなどで補修するなどの方法を適用するのが好ましい。
【0020】
粘着テープの基材は熱硬化性樹脂の硬化による発熱などを考慮すると170℃以上の融点を有するフィルムが好ましく、ポリエステル、ナイロンなどが好適である。粘着層はアクリル系、シリコーン系などの耐熱性を有するものが好ましい。簡易被覆は通常の巻き付けなどの方法でも良いが、簡易被覆したコアをプラスチックフィルム製の袋に入れて内部を真空にしてコアにフィットさせる方法が特に好ましい。熱収縮性フィルムで被覆されたコアは80℃〜130℃で加熱され、コアへ熱収縮性フィルムを接着させると同時に収縮によってコアの形状にフィットさせる。コアの形状が複雑な場合には凹部を治具で押さえた状態で熱処理を行うと形状に応じてフィットさせることができる。
【0021】
上記発泡樹脂成型品を熱収縮性フィルムで被覆したものは、その上から熱硬化性樹脂含浸繊維基材によって被覆される。これに使用する繊維基材としては、特に限定されず、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維などの耐熱高強度繊維が好ましく、特に炭素繊維からなる織物が強度と軽量性のバランスから好ましく使用できる。
【0022】
熱硬化性樹脂としては、特に限定しないが、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などの使用が可能である。特に成型性、硬化性、被覆フィルムとの接着性などからエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂を熱硬化させるためには硬化剤の併用が好ましく、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのアミン類、ポリアミド、無水フタル酸、ピロメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物−無水マレイン酸混合物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、クロレンディン酸無水物、メチルナジン酸無水物などの酸無水物系が好ましく、特に耐熱性などを考慮すると酸無水物系が好ましい。
【0023】
繊維基材による被覆は1層でも良いし、目的、用途に応じて2層以上としても良い。層数の増加によってFRPの強度を向上することができる。
【0024】
次に、本発明の発泡樹脂製コア内蔵FRPの製造方法について説明する。
【0025】
まず、前述した発泡樹脂製成型品(コア)、熱収縮性フィルムおよび繊維基材を用い「発泡樹脂製コア/熱収縮性フィルム/繊維基材」の積層順からなる複合積層体を作成する。この積層体の具体的な作成方法は前述したとおりであるので省略するが、上記発泡樹脂製コアを熱収縮性フィルムで被覆する工程においては、コア表面を接着剤を介して熱収縮性フィルムで簡易被覆した該被覆物を減圧下で加熱収縮させる。具体的には、該被覆物をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロンなどからなる袋状物の中に入れて袋内部を減圧し、コアの表面に熱収縮性フィルムをフィットさせる。減圧の程度は熱収縮性フィルムがコアにフィットする状態で判断すれば良いが通常、100〜3万Pa程度の減圧雰囲気下で80〜130℃の温度で加温すればよく、このようにするとフィルムの収縮によりコアとのフィット性、コアとの密着性が向上し、FRPでの外観、きしみ音などの改良効果が生じる。
【0026】
次に袋から取り出した被覆成型体のフィルム面上に繊維基材を被覆した複合成型体を作成する。
【0027】
複合成型体が得られたら熱硬化性樹脂の注入硬化を行うため、この複合成型体を所定の金型のキャビティ内にセットし、端部から前述の熱硬化性樹脂を注入する。注入圧力としては、樹脂が金型全体に均一にいきわたることが必要であり、樹脂の粘度や複合積層体の形状によって任意に設定することができるが、通常は0.2〜2MPa、好ましくは0.3〜1MPa、更に好ましくは0.3〜0.7MPaの範囲であるのが望ましい。この場合、金型の温度は予め加温しておくが、具体的温度としては使用する熱硬化性樹脂の種類に応じて設定するのが好ましく、例えばエポキシ樹脂の場合には80℃〜150℃であるのが好ましく、発泡樹脂成型品の耐熱寸法安定性から可能な限り低温であるのが望ましい。
【0028】
次に注入樹脂の熱硬化のため適当な時間加熱を行う。この加熱時間としては、熱硬化性樹脂の種類によって任意に設定できるが通常3分〜60分の範囲が望ましい。硬化完了後は金型から成型品を取り外して本発明の発泡樹脂製コア内蔵のFRPの完成品を得る。
【0029】
このようにして得られた発泡樹脂製コア内蔵FRPは外部を包埋する熱硬化性樹脂のコア内部への浸透を防止でき、かつ熱硬化性樹脂と熱収縮性フィルムとの接着に優れるため、発泡体本来の機能である軽量化およびFRPの耐久性の両機能に優れたものであり、例えば自動車のボディ部品、バンパー、スポイラーなどに適用できる軽量、耐たわみ性に優れたものとすることができる。
【0030】
【実施例】
本発明に関し、以下に実施例を用いて説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。まず、本発明のコア内蔵FRPの特性の測定方法と効果の評価方法は次の通りとした。
【0031】
【特性の測定方法および効果の評価方法】
(1)熱硬化樹脂含浸繊維基材とナイロンフィルムとの接着力
成型完了後のFRPを分解し、熱硬化樹脂含浸繊維とナイロンフィルム複合部分を取り出し、テンシロン型引っ張り試験機にて180度剥離時の応力を測定した。引っ張り速度は200mm/分とした。
【0032】
(2)発泡体コアへのフィルムのフィット性
発泡体成型品へのフィルム被覆状態での平坦部のシワの発生状況を目視で観察した。
【0033】
(3)FRP成型体の外観検査
成型完了後のFRPの外観を目視で観察し、色目の斑、表面の形状を評価した。
【0034】
(4)熱硬化樹脂の発泡成形体への熱硬化樹脂の浸透検査
成型完了後のFRPの断面を切り出し、発泡体表面の発泡部分への浸透状態を100倍の光学顕微鏡で観察した。
【0035】
(5)耐たわみ性
成型体をたわませた時のきしみ音の発生する変形量を評価した。変形量は成型体の中央部の無荷重時を0とし、徐々に荷重を掛けて変形させたときにきしみ音が発生した押さえ込み深さを測定した。
【0036】
「参考例1」
約10倍に発泡成形されたポリウレタン成型体コア(幅250mm×長さ700mm×厚み30mm)を用い、このコアの表面にスプレー糊55(住友スリーエム(株)製)を吹きつけ、常温で2分間乾燥させた。次いで片面にコロナ処理を施した厚み15μmの二軸延伸熱収縮性ナイロンフィルム(エンブレムNK:ユニチカ(株)製)を用い、非コロナ処理面をコアの表面に貼り付けた。端部はコアが露出しないように上記ナイロンフィルムで包み込み、ポリエステル製粘着テープを貼り付けた。これを厚み15μmのポリエチレン製袋に入れ、その端部から袋内部を4000Pa程度の減圧雰囲気になるように真空ポンプによって減圧した。この簡易被覆の状態で90℃熱水中に3分間浸漬した。その後、袋内を常圧に戻し、ポリエチレン袋からナイロンフィルムで被覆された成型体を取り出した。この成型体は端部でのシワが観察されたが平坦部ではナイロンフィルムがコアにフィットし、シワの発生のない綺麗な面を有していた。この成型体のナイロンフィルム上に炭素繊維からなる基布で包み込み、次いでこれを80℃に加熱した樹脂注入成型機の金型にセットした。端部からエポキシ樹脂と無水フタル酸の混合物を注入圧力0.5MPaで圧入し、その後120℃に昇温し、30分間硬化させた。その後、約40℃まで冷却し、成型機を開けて金型から成型品を取り出した。この成型品は外観が極めて美麗でコア部へのエポキシ樹脂の浸透がなく高い接着性(1kg/cm以上)を有していた。また、20mmのたわみ変形においてもきしみ音の発生が無かった。
【0037】
「比較例1」
次に、参考例1のナイロンフィルムを使用しない以外は同様にしてFRP製成型体を作成した。この成型体は外観の色目に斑が見られ、部分的に凹みが観察された。また、断面観察で発泡体内部にエポキシ樹脂の浸透が見られた。
【0038】
「比較例2」
参考例1のナイロンフィルムに変えてポリエステル樹脂(バイロン200:東洋紡(株)製)100重量部にポリイソシアネート(コロネートL:日本ポリウレタン(株)製)を25重量部添加したトルエン/酢酸エチル(70/30重量%)で25重量%に希釈した塗剤を調合し、発泡ウレタンコア表面に乾燥後の厚みが約15μmとなるように塗布した。乾燥は120℃で10分とした。これ以外は参考例1と同様にして成型体を作成した。
【0039】
この成型体は断面観察から発泡体へのエポキシ樹脂の浸透が見られ、外観の色目斑、表面の凹状欠点が観察された。
【0040】
「参考例2」
参考例1の熱収縮性ナイロンフィルムに変えて熱収縮性ポリエステルフィルムとしてスペースクリーンSC−B(東洋紡(株)製)の両面にコロナ処理を行ったフィルムを用いた以外は同様にして成型体を作成した。この成型体は参考例1と同様、熱収縮させた後のコアへのフィット性に優れ、成型体の外観、接着性、耐たわみ性とも優れたものであった。
【0041】
「実施例1」
参考例1のナイロンフィルムの片面にエクストルージョンラミネート法により、接着性ポリオレフィンとしてアドマーLF300(三井化学(株)製)を12μmの厚みで積層した。このフィルムの積層面がコア側になるように被覆し、その後、減圧処理用袋として12μm厚のルミラーP60(東レ(株)製)を用い参考例1の熱水処理に変えて熱風乾燥機中で120℃5分間処理を行った。その後は参考例1と同様にして成型体を作成した。
【0042】
この成型体はコアへのフィット性、成型体の外観、接着性に優れ、30mmの変形量でもきしみ音の全くないものであった。また発泡体コアとナイロンフィルムとの接着にも優れていた。
【0043】
「比較例3」
参考例2の熱収縮性ポリエステルフィルムに変えて150℃30分での熱収縮率が2%以下のポリエステルフィルム(厚み12μmのルミラーP60(東レ(株)製))を用いた以外は参考例2と同様にして成型体を作成した。この成型体はフィルム被覆過程でのフィット性が不十分で表面にシワの多いものとなった。
【0044】
成型体の外観は良好であったが10mmの変形量できしみ音が発生した。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、発泡樹脂製コア内蔵のFRPにおいて、コア表面を熱収縮性フィルムで被覆させたので、注入樹脂が内部の発泡体コアに浸透せず、したがって変色も生じることがない。また、注入樹脂と熱収縮性フィルムとの接着性が高く、かつコアとフィルムとのフィット性に優れるため、軽量で外観に優れ、たわみによってきしみ音が発生しない優れた発泡樹脂製コア内蔵FRPを得ることができる。
Claims (4)
- 発泡樹脂製コアの表面が、加熱によって粘接着性を発現する接着層を介して熱収縮性ナイロンフィルムで被覆され、さらに該熱収縮性ナイロンフィルムを介して、熱硬化性樹脂が含浸された繊維基材が積層されてなる発泡樹脂製コア内蔵FRPであって、該熱収縮性ナイロンフィルムが、少なくとも熱硬化性樹脂が含浸された繊維基材と接触する面においてコロナ処理されており、該熱収縮性ナイロンフィルムと、熱硬化性樹脂が含浸された繊維基材との180度剥離接着力が、100g/cm以上であることを特徴とする発泡樹脂製コア内蔵FRP。
- 発泡樹脂製コアの表面を、加熱によって粘接着性を発現する接着層を介して少なくとも片面にコロナ処理された熱収縮性ナイロンフィルムで被覆し、該被覆物を減圧下で加熱収縮させ、その後、該熱収縮性ナイロンフィルム上を、該熱収縮性ナイロンフィルムのコロナ処理された面と接触するように繊維基材を被覆した後に、金型のキャビティ内にセットし、熱硬化性樹脂を注入硬化させることを特徴とする発泡樹脂製コア内蔵FRPの製造方法。
- 前記熱収縮性ナイロンフィルムの95℃熱水中1分の収縮率が5%以上50%以下である、請求項2に記載の発泡樹脂製コア内蔵FRPの製造方法。
- 請求項2または3に記載の方法で製造された発泡樹脂製コア内蔵FRPにおいて、前記熱収縮性ナイロンフィルムと、前記熱硬化性樹脂が含浸された繊維基材との180度剥離接着力が、100g/cm以上である発泡樹脂製コア内蔵FRP。
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