JP4300616B2 - 仕上材貫通部の気密処理方法 - Google Patents

仕上材貫通部の気密処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリーンルーム等の気密性を要求される空間において、仕上材の開口部とこの開口部に挿通される貫通部材との間を、貫通部処理プレートを用いて気密に保持するために行う仕上材貫通部の気密処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塵埃、細菌、その他有害なものが空間の外部から内部に流入することや、あるいは内部で発生したものが外部に流出することを防止することが要求される空間においては、その空間を形成する仕上材は、内外部間の気密性を有するものとする必要がある。
【0003】
そのような空間としては、例えば、半導体や精密機器などの生産施設および研究施設、医薬品や食品の生産施設および研究施設、病院の手術室や集中施設等、あるいは原子力施設などがある。
【0004】
そのような空間に必要な配管、ダクト、ケーブル等の貫通部材が、天井等の仕上材を貫通する場合は、その貫通部は、仕上材と同様に内外部間の気密性が要求される。
【0005】
従来、このような仕上材貫通部の気密処理方法としては、図15に示すような方法が行われていた。
すなわち、まず、配管1を天井下地から天井下200mm程度立ち下げる。
次いで、仕上材としての天井ボード2を用いた天井ボード張り、および天井面にクロスを貼るなどの天井仕上げを行う。
次いで、天井ボード2の開口部3における天井ボード2と配管1との間に、ポリエチレン、ポリウレタンあるいはポリスチレン等の発泡体またはゴムなどの弾性体からなる横断面形状が円形の円環状のバックアップ材4を、挿入する。
次いで、天井ボード2の開口部3における天井ボード2と配管1との間に、シール材5を充填してシールする。
【0006】
次いで、図16に示すような貫通部処理プレートとしての円環状の化粧プレート6を、接着剤または両面テープを用いて、天井ボード2の仕上面7に貼り付ける。
次いで、化粧プレート6の下側の内周縁部と配管1の外周面との間に、シール材8を環状に施して三角シールを行う。また、同様に、化粧プレート6の外周端面と天井ボード2の仕上面7と間に、シール材9を環状に施して三角シールを行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の仕上材貫通部の気密処理方法においては、天井ボード2の厚さが20mm程度であることから、天井ボード2の開口部3における天井ボード2と配管1との間にバックアップ材4を挿入することが困難であるという問題があった。また、バックアップ材4の止めがないため、バックアップ材4が抜けてしまうという問題があった。
【0008】
また、天井ボード2の開口部3は、石膏の粉末に覆われていたり、あるいは平滑でなかったりするため、充填されたシール材5の付着力が弱いという問題があった。
また、天井ボード2の開口部3が規定の大きさより小さすぎたり、あるいは大きすぎたり、さらには配管1に対して偏心している場合があり、その場合は開口部3における気密処理が困難であるという問題があった。
【0009】
このような事情により、天井ボード2の開口部3における天井ボード2と配管1との間を気密処理せずに、化粧プレート6と配管1、および化粧プレート6と天井ボード2の仕上面7との間に、シール材による三角シールをするのみで、気密を確保する場合も多いが、この場合には、化粧プレート6の厚さが1〜2mm程度であることから、これらシール材8、9の付着面積がほとんどなく、気密性に対する信頼性が低いという問題があった。
【0010】
また、天井ボード2の開口部3は、化粧プレート6で隠れてしまうため、天井ボード2と配管1との気密処理が適正に施工されていなくとも、施工後は外見上問題なく見えてしまい、気密処理が適正に行われた否かの確認ができないという問題があった。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、確実に気密に保持することができるととともに、施工後に気密処理状況を確認することができる仕上材貫通部の気密処理方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の仕上材貫通部の気密処理方法は、仕上材の開口部とこの開口部に貫通される貫通部材との間を、上記貫通部材が貫通される貫通部処理プレートを用いて気密に保持するために行う仕上材貫通部の気密処理方法であって、上記貫通部処理プレートは、筒状の貫通部材挟持部と、環状の挫部と、上記貫通部材挟持部の半径方向内方に突出するバックアップ材抜止め部を備えてなり、上記貫通部処理プレートの上記貫通部材挟持部と上記貫通部材との間に、弾性体からなる環状のバックアップ材を上記バックアップ材抜止め部に当接させて挟持させるとともに、上記貫通部処理プレートの上記座部と上記仕上材の仕上面との間に、弾性体からなる環状のバックアップ材を介在させ、次いで上記貫通部処理プレートの上記貫通部材挟持部と上記貫通部材との間に、シール材を環状に充填するとともに、上記貫通部処理プレートの上記座部と上記仕上材の仕上面との間に、シール材を環状に充填することを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項2に記載の仕上材貫通部の気密処理方法は、請求項1において、上記貫通部処理プレートは、上記座部に上記仕上材の上記仕上面方向に突出する突起部を備え、この突起部の先端部を上記仕上材の上記仕上面に当接させることを特徴とするものである。
【0016】
請求項1の発明においては、仕上材の開口部における仕上材と貫通部材との間に、気密処理を行わないので、従来のように開口部における石膏粉末等によるシール材の付着力低下の問題を生じることがない。
また、施工後であっても、各シール材の状態を目視により確認できるので、気密処理が適正に行われたか否かをチェックすることが可能となる。
【0017】
この際に、バックアップ材を、仕上材の仕上面と貫通部処理プレートの座部との間に介在させるので、シール材の厚さを所要寸法確保することができるため、気密性を確実に保持することが可能となる。
【0018】
また、貫通部処理プレートの貫通部材挟持部と貫通部材との間に挟持させるバックアップ材の挿入位置を変えることにより、シール材の厚さを変化させることが可能となる。さらに、貫通部処理プレートの座部と仕上材の仕上面との間に介在させるバックアップ材の径あるいは太さを変えることにより、シール材の幅あるいは厚さを変化させることが可能となる。
【0019】
また、バックアップ材が、貫通部材と貫通部材挟持部との間に挟持されているので、バックアップ材が、これらによって径方向において押圧された状態で、これらの間に介在されるので、接着剤等を使用することなく、貫通部処理プレートを貫通部材の所定位置に固定することが可能となる。
【0020】
加えて、貫通部処理プレートにバックアップ材抜止め部を設け、このバックアップ材抜止め部にバックアップ材を当接させるので、バックアップ材を挿入する際、バックアップ材が抜け落ちてしまうことがない。
さらには、貫通部材が上下方向に延在する場合には、バックアップ材が、貫通部材と貫通部材挟持部との間に挟持されていることに加え、さらにバックアップ材抜止め部がバックアップ材によって下側から支持されることになるので、貫通部処理プレートを貫通部材の所定位置により強固に固定することが可能となる。
【0021】
請求項2の発明においては、貫通部処理プレートの座部に突起部を設け、この突起部の先端を仕上材の仕上面に当接させるので、貫通部処理プレートの座部と仕上材の仕上面との間に充填させるシール材の厚さおよび幅がこの突起部により設定されるため、シール材の厚さおよび幅を容易に均一にすることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の仕上材貫通部の気密処理方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。なお、各図において、図15と同一構成要素には、同一符号を付してその説明を簡略化する。
【0023】
(実施の形態1)
図1および図2において、符号10は、本実施の形態の仕上材貫通部の気密処理方法において使用される貫通部処理プレートである。この貫通部処理プレート10は、円環状の平板からなる座部11と、この座部11の内周より少し外側の位置から下方に向かって突出された円筒状の貫通部材挟持部12とを備えている。座部11の内径は、配管1の外径より僅かに大きく設定されているとともに、その外径は、天井ボード2の開口部3の径より大きく設定されている。
【0024】
貫通部処理プレート10は、ステンレス鋼やアルミニウムなどにより座部11および貫通部材挟持部12を別個に作製し、これらを全周溶接により一体化することにより作製される。または、貫通部処理プレート10は、合成樹脂により座部11および貫通部材挟持部12を別個に作製し、これらを溶着により一体化することにより作製されるか、あるいは当初から射出成形等により一体的に作製される。
【0025】
次に、本実施の形態1の仕上材貫通部の気密処理方法について説明する。
まず、配管(貫通部材)1を天井下地から天井下200mm程度立ち下げる。
次いで、仕上材としての天井ボード2を用いた天井ボード張り、および天井面にクロスを貼るなどの天井仕上げを行う。
次いで、配管1の下方から貫通部処理プレート10を挿入する。
【0026】
次いで、配管1と貫通部処理プレート10の貫通部材挟持部12との間に、ポリエチレン、ポリウレタンあるいはポリスチレン等の発泡体またはゴムなどの弾性体からなる断面形状が円形の円環状のバックアップ材20を、座部11に当接するまで挿入し、そしてこれらの間に挟持させる。
ここで、このバックアップ材20の幅は、配管1と貫通部処理プレート10の貫通部材挟持部12との間隔より若干大きく設定されており、これによりバックアップ材20は、配管1と貫通部材挟持部12とよって径方向において押圧された状態で、配管1と貫通部材挟持部12との間に介在され、その結果貫通部処理プレート10が落下することなく配管1の所定位置に固定される。
また、座部11における貫通部材挟持部12の内側に位置するバックアップ材抜止め部11Aは、バックアップ材20によって下側から支持されており、これにより貫通部処理プレート10が下方に落下するのを、さらに阻止されている。
【0027】
次いで、天井ボード2の仕上面7と貫通部処理プレート10の座部11との間に、ポリエチレン、ポリウレタンあるいはポリスチレン等の発泡体またはゴムなどの弾性体からなる断面形状が円形の円環状のバックアップ材21を挿入する。
次いで、貫通部処理プレート10を動かして、貫通部処理プレート10の取付位置および傾きを調整する。
次いで、バックアップ材20の下側における貫通部処理プレート10の貫通部材挟持部12と配管1との間、およびバックアップ材21の外側における貫通部処理プレート10の座部11と天井ボード2の仕上面7との間に、シリコンやウレタンなどからなるシール材22およびシール材23を、それぞれ円環状に充填してシールする。
【0028】
このような仕上材貫通部の気密処理方法にあっては、貫通部処理プレート10の座部11の内径が配管1の外径より僅かに大きいだけなので、貫通部処理プレート10を配管1に対して偏心させることなく配置することはできることから、貫通部材挟持部12と配管1の外周との間隔を均一にすることができ、その結果バックアップ材20およびシール材22の偏りを防ぐことができる。
【0029】
また、天井ボード2の開口部3における天井ボード2と配管1との間に、気密処理をしないため、従来のように開口部3における石膏粉末等によるシール材5の付着力低下の問題を生じることがない。
また、バックアップ材21を、天井ボード2の仕上面7と貫通部処理プレート10の座部11との間に介在させることにより、シール材23の厚さを所要寸法確保することができるため、気密性を確実に保持することができる。
【0030】
また、バックアップ材20の挿入位置を変えることにより、シール材22の厚さを変化させることができる。さらに、バックアップ材21の径あるいは太さを変えることにより、シール材23の幅あるいは厚さを変化させることができる。また、施工後であっても、シール材22およびシール材23の状態を目視により確認できるため、気密処理が適正に行われたか否かをチェックすることができる。
【0031】
また、バックアップ材20が、配管1と貫通部材挟持部12との間に挟持されているので、バックアップ材20が、これらによって径方向において押圧された状態で、これらの間に介在され、さらにバックアップ材抜止め部11Aがバックアップ材20によって下側から支持されているので、接着剤等を使用することなく、貫通部処理プレート10を配管1の所定位置に固定することができる。
【0032】
(実施の形態2)
図3および図4は、実施の形態2を説明するための図である。
本実施の形態2における貫通部処理プレート30は、座部11の上面に、その上端が天井ボード2の仕上面7に当接する円筒状の突起部31が形成されている以外は、貫通部処理プレート10と同様に構成されている。そして、本実施の形態における気密処理は、貫通部処理プレート30を用いて、上記実施の形態1と同様にして行われる。
【0033】
この貫通部処理プレート30を使用すれば、突起部31を設けたので、シール材23の厚さおよび幅がこの突起部により設定することができるため、シール23の厚さおよび幅を容易に均一にすることができる。
【0034】
(実施の形態3)
図5は、実施の形態3を説明するための図である。
本実施の形態3における貫通部処理プレート40は、貫通部処理プレート30における円筒状の突起部31の代わりに、円筒が部分的に何個所か切り欠かれ残った状態の複数の突起部41とされている以外は、貫通部処理プレート30と同様に構成されている。そして、本実施の形態における気密処理は、上記実施の形態と同様にして行われる。
【0035】
この貫通部処理プレート40を使用しても、貫通部処理プレート30の場合と同様に、シール23の厚さおよび幅を容易に均一にすることができる。
【0036】
(実施の形態4)
図6および図7は、実施の形態4を説明するための図である。
本実施の形態4における貫通部処理プレート50は、円環状の平板からなる座部51と、この座部51の内周端から上方に向かって突出された貫通部材挟持部52とを備えている。貫通部材挟持部52は、円筒状の円筒部53とこの円筒部53の上端から半径方向内方に延在する円環状の平板からなるバックアップ材抜止め部54とを有している。貫通部材挟持部52の円筒部53の外径は、天井ボード2の開口部の径よりも小さく設定され、またバックアップ材抜止め部54の内径は、配管1の外径より僅かに大きく設定されている。
【0037】
次に、本実施の形態4の仕上材貫通部の気密処理方法について説明する。
上記実施の形態1と同様に、まず、配管1を天井下地から天井下200mm程度立ち下げた後、天井ボード張りおよび天井仕上げを行う。
次いで、配管1の下方から貫通部処理プレート50を挿入する。この場合、貫通部処理プレート50の貫通部材挟持部52の大部分は天井ボード2の開口部3内に位置される。
【0038】
次いで、配管1と貫通部処理プレート50の貫通部材挟持部52の円筒部53との間に、バックアップ材20をバックアップ材抜止め部54に当接するまで挿入し、そしてこれらの間に挟持させる。
ここで、このバックアップ材20の幅は、配管1と円筒部53との間隔より若干大きく設定されており、これによりバックアップ材20は、配管1と円筒部53とよって径方向において押圧された状態で、配管1と円筒部53との間に介在され、その結果貫通部処理プレート50が落下することなく配管1の所定位置に固定される。
また、貫通部材挟持部52のバックアップ材抜止め部54は、バックアップ材20によって下側から支持されており、これにより貫通部処理プレート50が下方に落下するのを、さらに阻止されている。
【0039】
次いで、天井ボード2の仕上面7と貫通部処理プレート50の座部51との間に、バックアップ材21を挿入する。
次いで、貫通部処理プレート50を動かして、貫通部処理プレート50の取付位置および傾きを調整する。
次いで、バックアップ材20の下側における貫通部処理プレート50の円筒部53と配管1との間、およびバックアップ材21の外側における貫通部処理プレート50の座部51と天井ボード2の仕上面7との間に、それぞれシール材22およびシール材23を円環状に充填してシールする。
【0040】
このような仕上材貫通部の気密処理方法にあっては、貫通部処理プレート50の円筒部52の内径が配管1の外径より僅かに大きいだけなので、貫通部処理プレート50を配管1に対して偏心させることなく配置することはできることから、円筒部53と配管1の外周との間隔を均一にすることができ、その結果バックアップ材20およびシール材22の偏りを防ぐことができる。
【0041】
その他上述の実施の形態1と同様の効果を得ることができ、さらには、貫通部処理プレート50の座部51の下面が外観として表れることになるので、意匠上すっきりとした外観が得られるという利点がある。
【0042】
(実施の形態5)
図8は、実施の形態5を説明するための図である。
本実施の形態5における貫通部処理プレート60は、貫通部処理プレート50における円環状のバックアップ材抜止め部54の代わりに、円環状の形状が部分的に何個所か切り欠かれ残った状態の複数の扇形状の平板からなるバックアップ材抜止め部64とされている以外は、貫通部処理プレート50と同様に構成されている。そして、本実施の形態における気密処理は、上記実施の形態4と同様にして行われる。
【0043】
この貫通部処理プレート60を使用しても、貫通部処理プレート50の場合と同様の効果を得ることができる。
【0044】
(実施の形態6)
図9および図10は、実施の形態6を説明するための図である。
本実施の形態6における貫通部処理プレート70は、合成樹脂により一体的に作製されており、円環状の平板からなる座部71と、この座部71の内周より少し外側の位置から下方に向かって突出された円筒状の貫通部材挟持部72とを備えている。座部71の内径は、配管1の外径より僅かに小さく設定されているとともに、その外径は、天井ボード2の開口部3の径より大きく設定されている。
座部71における貫通部材挟持部72の内側に位置するバックアップ材抜止め部71Aは、可撓性を有しているとともに、複数の切り込み73が放射状に形成されている。
【0045】
次に、本実施の形態6の仕上材貫通部の気密処理方法について説明する。
上記実施の形態1と同様に、まず、配管1を天井下地から天井下200mm程度立ち下げた後、天井ボード張りおよび天井仕上げを行う。
次いで、配管1の下方から貫通部処理プレート70を挿入する。そうすると、バックアップ材抜止め部71Aが下方に湾曲して、その内周縁部で配管1を挟み込み、その結果貫通部処理プレート70が落下することなく配管1の所定位置に固定される。
【0046】
次いで、配管1と貫通部処理プレート70の貫通部材挟持部72との間に、バックアップ材20を、座部71に当接するまで挿入し、そしてこれらの間に挟持させる。
ここで、このバックアップ材20の幅は、配管1と貫通部材挟持部72との間隔より若干大きく設定されており、これによりバックアップ材20は、配管1と貫通部材挟持部72とよって径方向において押圧された状態で、配管1と貫通部材挟持部72との間に介在され、その結果貫通部処理プレート70が配管1にさらに強固に固定される。
また、座部71における貫通部材挟持部72の内側に位置するバックアップ材抜止め部71Aは、バックアップ材20によって下側から支持されており、これにより貫通部処理プレート70が下方に落下するのを、さらに阻止されている。
【0047】
次いで、天井ボード2の仕上面7と貫通部処理プレート70の座部71との間に、バックアップ材21を挿入する。
次いで、貫通部処理プレート70を動かして、貫通部処理プレート70の取付位置および傾きを調整する。
次いで、バックアップ材20の下側における貫通部処理プレート70の貫通部材挟持部72と配管1との間、およびバックアップ材21の外側における貫通部処理プレート70の座部71と天井ボード2の仕上面7との間に、それぞれシール材22およびシール材23を円環状に充填してシールする。
【0048】
このような仕上材貫通部の気密処理方法にあっては、バックアップ材抜止め部71Aが、その内径が配管1の外径より僅かに小さく設定されているとともに、可撓性を有しており、さらに複数の切り込み73が放射状に形成されているので、その内周縁部で配管1を挟み込むことができるため、貫通部処理プレート70自体で配管1の所定の位置に固定することができる。
【0049】
(実施の形態7)
図11および図12は、実施の形態7を説明するための図である。
本実施の形態7における貫通部処理プレート80は、合成樹脂により一体的に作製されており、円環状の平板からなる座部81と、この座部81の内周端から上方に向かって突出されたの貫通部材挟持部82とを備えている。貫通部材挟持部82は、円筒状の円筒部83とこの円筒部83の上端から半径方向内方に延在する円環状の平板からなるバックアップ材抜止め部84とを有している。貫通部材挟持部82の円筒部83の外径は、天井ボード2の開口部の径よりも小さく設定され、またバックアップ材抜止め部84の内径は、配管1の外径より僅かに小さく設定されている。
バックアップ材抜止め部84は、可撓性を有しているとともに、複数の切り込み85が放射状に形成されている。
【0050】
次に、本実施の形態7の仕上材貫通部の気密処理方法について説明する。
上記実施の形態4と同様に、まず、配管1を天井下地から天井下200mm程度立ち下げた後、天井ボード張りおよび天井仕上げを行う。
次いで、配管1の下方から貫通部処理プレート80を挿入する。そうすると、バックアップ材抜止め部84が下方に湾曲して、その内周縁部で配管1を挟み込み、その結果貫通部処理プレート70が落下することなく配管1の所定位置に固定される。この場合、貫通部処理プレート80の貫通部材挟持部82の大部分は天井ボード2の開口部3内に位置される。
【0051】
次いで、配管1と貫通部処理プレート80の貫通部材挟持部82の円筒部83との間に、バックアップ材20をバックアップ材抜止め部84に当接するまで挿入し、そしてこれらの間に挟持させる。
ここで、このバックアップ材20の幅は、配管1と円筒部83との間隔より若干大きく設定されており、これによりバックアップ材20は、配管1と円筒部83とよって径方向において押圧された状態で、配管1と円筒部83との間に介在され、その結果貫通部処理プレート80が落下することなく配管1にさらに強固に固定される。
また、貫通部材挟持部82のバックアップ材抜止め部84は、バックアップ材20によって下側から支持されており、これにより貫通部処理プレート80が下方に落下するのを、さらに阻止されている。
【0052】
次いで、天井ボード2の仕上面7と貫通部処理プレート80の座部81との間に、バックアップ材21を挿入する。
次いで、貫通部処理プレート50を動かして、貫通部処理プレート80の取付位置および傾きを調整する。
次いで、バックアップ材20の下側における貫通部処理プレート80の円筒部83と配管1との間、およびバックアップ材21の外側における貫通部処理プレート80の座部81と天井ボード2の仕上面7との間に、それぞれシール材22およびシール材23を円環状に充填してシールする。
【0053】
このような仕上材貫通部の気密処理方法にあっては、バックアップ材抜止め部84が、その内径が配管1の外径より僅かに小さく設定されているとともに、可撓性を有しており、さらに複数の切り込み85が放射状に形成されているので、その内周縁部で配管1を挟み込むことができるため、貫通部処理プレート80自体で配管1の所定の位置に固定することができる。
【0054】
(実施の形態8)
図13および図14は、実施の形態8を説明するための図である。
本実施の形態8における貫通部処理プレート90は、円環状の座部91と、この座部91の内周端から上方に向かって突出された円筒状の貫通部材挟持部92とを備えている。そして、この貫通部処理プレート90では、側方に分離可能な接合部93が座部91と貫通部材挟持部92とに渡って設けられており、図14に示すように、接合部93を分離することによって、これと反対側に位置する支点軸部94を中心として、側方に開くことができるようになっている。図13に示すように、接合部93は、円筒状に閉じられたときには、重ね合わせられるようになっている。
【0055】
この貫通部処理プレート90を使用すれば、これを配管(貫通部材)に装着するときに、接合部93を側方に開いて配管の側方から配管に近づけて行って、配管を内部に位置させた後、円筒状に閉じ、その後接合部93を接着剤または両面テープなどで接着することにより、配管の側方から装着することができる利点がある。
その他の気密処理は、上記実施の形態と同様にして行われる。
【0056】
なお、上記実施の形態6および7では、バックアップ材20を設けたが、これを設けず、バックアップ材抜止め部71A、84のみによって、貫通部処理プレート70、80を配管1に固定するようにしても良い。この場合、バックアップ材抜止め部71Aおよび84は、バックアップ材20の抜け止めとして機能はなくなり、貫通部材挟み込み部として機能する。
【0057】
また、上記実施の形態6および7では、バックアップ材抜止め部71A、84に切り込み73、85を形成したが、これを設けず、その内径を配管1の外径より小さく設定するとともに、可撓性を有するように構成することにより、貫通部処理プレート70、80を配管1に固定するようにしても良い。
【0058】
また、上記各実施の態様では、貫通部処理プレート10、20、30、40、50、60、70、80に、バックアップ材抜止め部11A、54、64、71A、84を設けたが、これを設けなくても良い。
【0059】
また、上記各実施の態様では、貫通部処理プレート10、20、30、40、50、60、70、80、90に、バックアップ材20および21を設けたが、これらを省略して、シール材22および23のみにすることも可能である。
【0060】
また、上記各実施の態様では、仕上材として天井ボード2、貫通部材として配管1の場合について説明したが、これに限らず、例えば、貫通部材が横方向に延在する壁などの仕上材貫通部にも適用可能である。
【0061】
また、上記各実施の態様では、配管1を天井下地から天井下200mm程度立ち下げた後、天井ボード張りおよび天井仕上げを行ったが、この順序を入れ替えて、天井ボード張りおよび天井仕上げを行った後に、配管1を天井下地から天井下200mm程度立ち下げても良い。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の仕上材貫通部の気密処理方法によれば、貫通部処理プレートに、筒状の貫通部材挟持部と、環状の挫部とを設け、そして貫通部材挟持部と貫通部材との間に、シール材を環状に充填するとともに、座部と上記仕上材の仕上面との間に、シール材を環状に充填するようにしたから、仕上材の開口部における仕上材と貫通部材との間に、気密処理を行わないため、従来のように開口部における石膏粉末等によるシール材の付着力低下の問題を生じることがないという効果を奏する。
【0063】
また、施工後であっても、各シール材の状態を目視により確認できるため、気密処理が適正に行われたか否かをチェックすることができる。
【0064】
さらに、バックアップ材を、仕上材の仕上面と貫通部処理プレートの座部との間に介在させるから、シール材の厚さを所要寸法確保することができるため、気密性を確実に保持することができる。
【0065】
また、貫通部処理プレートの貫通部材挟持部と貫通部材との間に挟持させるバックアップ材の挿入位置を変えることにより、シール材の厚さを変化させることができる。さらに、貫通部処理プレートの座部と仕上材の仕上面との間に介在させるバックアップ材の径あるいは太さを変えることにより、シール材の幅あるいは厚さを変化させることができる。
【0066】
また、バックアップ材を、貫通部材と貫通部材挟持部との間に挟持させるから、バックアップ材が、これらによって径方向において押圧された状態で、これらの間に介在されるので、接着剤等を使用することなく、貫通部処理プレートを貫通部材の所定位置に固定することができる。
【0067】
さらに、貫通部処理プレートにバックアップ材抜止め部を設け、このバックアップ材抜止め部にバックアップ材を当接させるから、バックアップ材を挿入する際、バックアップ材が抜け落ちてしまうのを防止することができる。
また、貫通部材が上下方向に延在する場合には、バックアップ材が、貫通部材と貫通部材挟持部との間に挟持されることに加え、さらにバックアップ材抜止め部がバックアップ材によって下側から支持されることになるから、貫通部処理プレートを貫通部材の所定位置により強固に固定することができる。
【0068】
さらに、請求項2に記載の仕上材貫通部の気密処理方法によれば、貫通部処理プレートの座部に突起部を設け、この突起部の先端を仕上材の仕上面に当接させるから、貫通部処理プレートの座部と仕上材の仕上面との間に充填させるシール材の厚さおよび幅をこの突起部により設定することができるため、シール材の厚さおよび幅を容易に均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の仕上材貫通部の気密処理方法の実施の形態1を説明するための縦断面図である。
【図2】実施の形態1に係る貫通部処理プレートの斜視図である。
【図3】本発明の仕上材貫通部の気密処理方法の実施の形態2を説明するための縦断面図である。
【図4】実施の形態2に係る貫通部処理プレートの斜視図である。
【図5】実施の形態3に係る貫通部処理プレートの斜視図である。
【図6】本発明の仕上材貫通部の気密処理方法の実施の形態4を説明するための縦断面図である。
【図7】実施の形態4に係る貫通部処理プレートの斜視図である。
【図8】実施の形態5に係る貫通部処理プレートの斜視図である。
【図9】本発明の仕上材貫通部の気密処理方法の実施の形態6を説明するための縦断面図である。
【図10】実施の形態6に係る貫通部処理プレートの斜視図である。
【図11】本発明の仕上材貫通部の気密処理方法の実施の形態7を説明するための縦断面図である。
【図12】実施の形態7に係る貫通部処理プレートの斜視図である。
【図13】本発明の仕上材貫通部の気密処理方法の実施の形態8に係る貫通部処理プレートの斜視図である。
【図14】実施の形態8に係る貫通部処理プレートを開いた状態の斜視図である。
【図15】従来の仕上材貫通部の気密処理方法を説明するための縦断面図である。
【図16】従来の仕上材貫通部の気密処理方法に係る化粧板の斜視図である。
【符号の説明】
1 配管(貫通部材)
2 天井ボード(仕上材)
3 開口部
7 仕上面
10、20、30、40、50、60、70、80、90 貫通部処理プレート
11、51、71、81、91 座部
11A、54、64、71A、84 バックアップ材抜止め部
12、52、72、82、92 貫通部材挟持部
20、21 バックアップ材
22、23 シール材
31、41 突起部

Claims (2)

  1. 仕上材の開口部とこの開口部に貫通される貫通部材との間を、上記貫通部材が貫通される貫通部処理プレートを用いて気密に保持するために行う仕上材貫通部の気密処理方法であって、
    上記貫通部処理プレートは、筒状の貫通部材挟持部と、環状の挫部と、上記貫通部材挟持部の半径方向内方に突出するバックアップ材抜止め部を備えてなり、上記貫通部処理プレートの上記貫通部材挟持部と上記貫通部材との間に、弾性体からなる環状のバックアップ材を上記バックアップ材抜止め部に当接させて挟持させるとともに、上記貫通部処理プレートの上記座部と上記仕上材の仕上面との間に、弾性体からなる環状のバックアップ材を介在させ、次いで上記貫通部処理プレートの上記貫通部材挟持部と上記貫通部材との間に、シール材を環状に充填するとともに、上記貫通部処理プレートの上記座部と上記仕上材の仕上面との間に、シール材を環状に充填することを特徴とする仕上材貫通部の気密処理方法。
  2. 上記貫通部処理プレートは、上記座部に上記仕上材の上記仕上面方向に突出する突起部を備え、この突起部の先端部を上記仕上材の上記仕上面に当接させることを特徴とする請求項1に記載の仕上材貫通部の気密処理方法。
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