JP4299496B2 - 表示装置およびテレビ受像機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像表示装置に関するものであり、画面とは異なるアスペクト比を有する映像信号を受信した場合にも、その映像の大部分を画面の中央部に歪みなく表示する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のテレビ放送においては、通常のNTSC(national television system committee)方式のテレビジョン映像(アスペクト比4:3)の他に、ハイビジョンなどの横長の映像(アスペクト比16:9)が混在して送信されている。なお、この明細書において、アスペクト比というときは、映像もしくは画面の横の長さ:縦の長さの比(横縦比)を示すものとする。
【0003】
また、このような背景のもと、市場においては、映像表示領域のアスペクト比が4:3のモニタや、16:9のモニタが存在している。さらには、映像表示領域のアスペクト比が4:3のモニタにおいてアスペクト比16:9の映像を表示するための工夫がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
映像表示領域のアスペクト比が4:3であるモニタにおいて、アスペクト比が16:9である映像を入力した場合には、映像を画面中央部に表示し、映像の上部および下部に黒色のマスク表示を行う方法(レターボックス表示)が一般的である。このような方法がとられるのは、以下のような理由による。
【0005】
アスペクト比16:9の映像を、アスペクト比4:3の映像を有する液晶モニタに出力すると、表示された映像は水平方向に圧縮された映像となる。そこで、表示映像の歪みを無くすために、垂直方向に映像を圧縮して表示する必要があるが、垂直方向に映像を圧縮することにより、垂直方向の映像幅が小さくなる。そして、垂直方向の映像幅が画面の垂直方向の幅より小さくなると、液晶モジュールの特性により、映像が画面最上部から始まり、映像部下側には再度同じ映像が繰り返し表示されることになる。
【0006】
そこで、画面端より水平および垂直に映像を順次表示していくマトリクスタイプの表示パネルおよびそのような順次表示制御を行うドライバを有するモジュールを使用した液晶モニタにおいては、液晶モジュール前段の回路内にフレームメモリを備え、フレームメモリ内において、中央部に映像を配置するとともに映像の上部および下部に黒色の映像をそれぞれ配置した映像データを構成し、この映像データを液晶モジュールに表示するようにしていた。
【0007】
このため、アスペクト比4:3の液晶表示装置において、アスペクト比16:9の映像を歪みなく表示させるためには、フレームメモリを備える必要があり、回路規模が大きくなるという問題があった。また、コストが高くなるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、回路規模が小さく、低コスト化を図りながら、アスペクト比16:9を有する映像信号の大部分をアスペクト比4:3の表示画面中央部に歪みなく表示する技術を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願の発明の主題は、横縦比4:3の映像表示領域を有するマトリクスタイプの表示モジュールを備えた表示装置であって、前記表示装置が入力する1フレームの入力映像信号は、垂直方向に走査される水平方向の複数のライン信号からなり、垂直方向の上端および下端の所定数のライン信号、および、各ライン信号の左右端の所定数の映像信号は、表示する必要のない非映像用信号であって、前記入力映像信号のうち前記非映像用信号を除いた信号が映像用信号と定義されており、前記表示装置は、前記入力映像信号の種別を判定する映像判定手段と、前記入力映像信号が横縦比16:9の映像に対応した信号であると前記映像判定手段によって判定された場合、前記入力映像信号の横縦比を維持したまま前記入力映像信号の前記非映像用信号及び前記映像用信号を共に水平方向及び垂直方向に関して互いに等しい特定拡縮率で拡縮させることにより相似映像信号を生成する拡縮手段と、前記相似映像信号のうち前記非映像用信号に対応した垂直方向の上端および下端の所定数のライン信号を所定色でマスクするとともに、前記相似映像信号のうち前記映像用信号に対応した垂直方向の上端および下端のライン信号のうち特定割合のライン信号を前記所定色でマスクすることによって、前記映像表示領域内において横縦比16:9の実映像を表示する表示手段と、歪みの無い前記実映像が前記表示手段の表示画面中央よりも上部に偏って表示される様に、前記特定割合および前記特定拡縮率を決定する決定手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
{実施の形態1}
図1は、本発明の実施の形態1にかかる映像表示装置である液晶モニタ1の機能ブロックを示す図である。図1において、ビデオ回路2は図示せぬ映像供給手段より供給される映像信号を入力し、当該映像信号からデジタル映像信号および同期信号を出力する。同期信号は入力映像信号のタイミング情報として利用される水平同期信号と垂直同期信号とを含んでいる。以下の説明においては、ビデオ回路2から出力されるデジタル映像信号についても、単に入力映像信号と表現することにする。
【0018】
ラインメモリ3はビデオ回路2によって出力された入力映像信号を数ライン分蓄えるメモリである。ここで、入力映像信号のラインとは、モニタ上で水平方向に表示される映像信号の集合を示している。つまり、入力映像信号は、水平方向のライン信号が垂直方向に複数本走査されることにより、1画面としてのフレーム映像を構成する。本実施の形態においては、ラインメモリ3は、1ラインのライン信号を格納できる容量を備えていればよい。ラインメモリ3が蓄積する必要のあるライン信号の数は後述する映像の垂直拡大率によって決定される。
【0019】
CPU4は、入力映像信号の種別によって、入力映像信号に対する垂直拡大率、水平拡大率を決定する。この垂直拡大率、水平拡大率は、実映像表示領域(A)が最大かつ歪なく表示されるように決定される。また、CPU4は、入力映像信号にマスクをかける位置およびマスクの色を設定する。なお、入力映像信号の種別は、インタレース方式(I)であるか、プログレッシブ方式(P)であるか、走査線数はいくつであるか、周波数はいくらであるか、などにより決定される。
【0020】
入力映像信号には、同期信号やフロントポーチ、バックポーチなどのモニタには表示する必要のない信号(これらをまとめて非映像用信号と呼ぶ)が含まれている。これに対してモニタに表示する必要のある信号を映像用信号と呼ぶことにする。そして、実映像表示領域(A)とは、映像用信号のうち、液晶モジュールの映像表示領域内に収まり、かつ、マスクされることなく実際に表示される領域を示している(図6において、黒色にマスクされていない領域)。
【0021】
以上、説明した定義をまとめると以下のようになる−
入力映像信号:ビデオ回路2が入力する映像信号であって、映像用信号および非映像用信号が含まれる信号、
映像用信号:被写体などの映像に対応する信号であって、モニタ上に映像として表示する必要のある信号、
非映像用信号:同期信号、フロント、バックポーチ信号など、モニタ上に映像として表示する必要のない信号、
実映像信号:映像用信号のうち、垂直方向においてはマスクされることなく、かつ、水平方向においては液晶モジュール9の映像表示領域内に収まる実映像表示領域(A)に対応した信号。
【0022】
垂直映像変換回路5はCPU4によって決定された垂直拡大率に従い、現在のライン信号またはラインメモリに蓄えられている以前のライン信号を利用して、入力映像信号に対して垂直方向の拡大もしくは縮小処理を行う。
【0023】
水平映像変換回路6はCPU4に決定された水平拡大率に従い、水平方向の映像信号の拡大もしくは縮小を行う。
【0024】
ここで、水平映像変換回路6から出力された映像信号は、垂直方向および水平方向の拡大もしくは縮小処理後の映像信号である。本実施の形態において、入力映像は横縦比を維持したまま垂直方向および水平方向に拡縮されるので、この映像信号を相似映像信号と呼ぶことにする。
【0025】
映像マスク回路7は水平映像変換回路6から出力された相似映像信号の任意の位置に任意の色でマスク処理を行う。マスク処理を行う色は、前述の如く、CPU4において決定されるが、本実施の形態においては、デフォルトで黒色のマスク処理を行うこととしている。
【0026】
タイミング信号発生回路8はビデオ回路2から出力された同期信号を入力する。そして、この同期信号から入力映像信号の種別を判定し、入力映像信号の種別をCPU4に知らせる。また、タイミング信号発生回路8は、CPU4において決定された垂直および水平拡大率に従って、ラインメモリ3に入力映像信号を書き込むタイミング信号、ラインメモリ3から映像信号を読み出すタイミング信号、垂直映像変換回路5における拡大もしくは縮小処理の開始および終了のタイミング信号、水平映像変換回路6における拡大もしくは縮小処理の開始および終了のタイミング信号、映像マスク回路7におけるマスク処理の開始および終了のタイミング信号、液晶モジュール9を駆動するタイミング信号、等を送出する。
【0027】
液晶モジュール9は液晶表示パネル、データドライバおよびゲートドライバを備え、映像マスク回路7から出力された映像信号と、タイミング信号発生回路8から出力されたタイミング信号に従いパネル上に映像を表示する。液晶表示モジュール9の映像表示領域は、上記液晶表示パネル、ドライバ等によって表示可能な画素の領域として規定される。
【0028】
以上の如く構成された液晶モニタ1の映像処理の動作について説明する。ここでは、入力映像信号が750P映像(走査線750本、プログレッシブ方式の映像)である場合を例に説明する。また、液晶モジュール9の映像表示領域は、水平dot幅Ho=1024dot、垂直dot幅Vo=768dotであり、パネルクロックPCLK=75MHzであるものとする。
【0029】
図2は750P映像のフォーマットおよび入力映像イメージである。750P映像とは、ドットクロックDCLK=74.1758MHz、水平周期Ht=1650dot、垂直周期Vt=750ラインのフォーマットで構成される映像である。
【0030】
水平周期Ht=1650dotは、水平フロントポーチHfp=70dot、水平同期信号Hd=80dot、水平バックポーチHbp=220dot、水平映像領域Hap=1280dotより構成される。
【0031】
垂直周期Vt=750ラインは、垂直フロントポーチVfp=5ライン、垂直同期信号Vd=5ライン、垂直バックポーチVbp=20ライン、垂直映像領域Vap=720ラインより構成される。
【0032】
そして、水平映像領域Hapと垂直映像領域Vapの共通領域の信号が映像用信号であり、それ以外の信号が非映像用信号である。
【0033】
従来、液晶モニタは入力映像信号内の垂直および水平同期信号、フロントポーチ、バックポーチ部分などの非映像用信号は表示不要であること、また、画像信号以外の信号が含まれていることもあることから、映像用信号のみを処理、表示していた。しかし、本発明では垂直方向の映像領域を出来るだけ多く表示するため、垂直方向の同期信号Vd、フロントポーチVfp、バックポーチVbp部も含め処理、表示を行う(最終的には、マスク処理されることになるが)。
【0034】
液晶モニタ1に供給された図2のような750P映像信号はビデオ回路2に入力され、同期信号が抽出される。タイミング信号発生回路8に入力された同期信号により、CPU4は供給された映像信号が750P映像であることを特定することができるので、実映像表示領域(A)が最大となり、かつ、歪のない映像が表示されるように、垂直拡大率Vzおよび水平拡大率Hzを算出する。
【0035】
CPU4において垂直拡大率Vzおよび水平拡大率Hzを算出する処理手順について説明する。以下の説明におけるSoは、映像表示率を示している。映像表示率Soとは、仮に全ての映像用信号が表示されたとした場合の映像領域に対する、実映像表示領域(A)の割合を示しており、ここでは、面積比ではなく、垂直方向もしくは水平方向の長さの比で表している。
【0036】
図3は、垂直方向の入力映像信号(入力In)と、垂直方向の表示信号(出力Out)との関係を示す図である。
【0037】
上述したように、本発明においては、入力映像信号のうち実際の表示には不要なVd、Vbp、Vfp部分も表示する。また、液晶モジュールの垂直方向において、画面の最下部に至る前に垂直1周期が終わってしまう場合には、それより下側には、画面上部に表示している1ライン目からの映像と同じ映像が繰り返し表示される。この繰り返し部分も含めて1フレーム中における入力映像信号として考えると、入力映像信号の垂直入力幅は数1式で表される。
【0038】
【数1】
【0039】
ここで、実映像表示領域(A)は、垂直映像領域Vapの垂直方向の中央部分から上下均等に選択されるようにしている。そして、液晶モジュール9に表示される垂直表示幅はVoであるから、垂直拡大率Vzは、数2式で表される。
【0040】
【数2】
【0041】
一方、図4は、水平方向の入力映像信号(入力In)と、水平方向の表示信号(出力Out)との関係を示す図である。水平表示領域は水平入力Hap×Soに相当する。そして、液晶モジュール9に表示される水平表示幅はHoであるので、水平拡大率Hzは、数3式で表される。
【0042】
【数3】
【0043】
ここで、750P映像の横縦比は16:9であるので、数4式の関係が成り立つ。
【0044】
【数4】
【0045】
ここで、Sqとは、入力映像の正方画素比率を表している。D4映像(750p映像信号等)などにおいては、入力映像の横縦比は1280dot:720dot=16:9であり、出力の横縦比(液晶モジュール9の横縦比)と同じであるのでSq=1である。D2映像(525p映像信号等)においては、入力映像の横縦比が756dot:483dot=14.087:9であるので、Sq=16/14.087=1.136となる。ここで、750P映像の縦横比は16:9なのでSq=1として計算する。
【0046】
したがって、数3式および数4式より、数5式が成立する。
【0047】
【数5】
【0048】
さらに、液晶モジュール9への表示において、映像が歪まないようにするため、つまり、入力映像の横縦比を維持したまま表示するためには、Vz=Hzとなる必要があるので、数2式および数5式より数6式が成立する。
【0049】
【数6】
【0050】
そして、数6式に実際の値を代入すると、数7式で表される。
【0051】
【数7】
【0052】
数7式を計算することによりSo=0.86が算出される。これによると、実映像信号は映像用信号の0.86倍であり、つまり、映像用信号の86%を表示することが可能となる。このときの垂直拡大率Vzは、数2式に各値を代入して数8式で求められる。
【0053】
【数8】
【0054】
これより、垂直拡大率Vz=0.931で縮小すればよいことがわかる。さらに、映像を歪みなく表示するための水平拡大率HzはVzと等しくなればよいから、Hz=0.931倍に縮小すればよいことになる。
【0055】
一方、ビデオ回路2でデジタル化された入力映像信号は、垂直同期信号、垂直バックポーチ、垂直フロントポーチも含めラインメモリ3に順次蓄えられる。ここで、ラインメモリ3の必要水平方向画素数をHmとすると、Hmは数9式で表される。
【0056】
【数9】
【0057】
これより、必要水平方向画素数Hm=1101dotである。そして、モニタ上に表示されない同期信号Hd、バックポーチHbp、および、映像領域信号のうち非表示となる領域の合計は、数10式より求められる。
【0058】
【数10】
【0059】
数9式、数10式より、ラインメモリ3は水平同期信号Hdの開始から390dot目より1101dot分の画像データを順次蓄えるよう制御すればよいことがわかる。
【0060】
このような処理を行う理由は以下の通りである。後の工程において、映像信号は、水平映像変換回路6において水平方向の映像幅を0.931倍に縮小されるが、その0.931倍に縮小された映像のうち、最終的に、液晶モジュール9に表示される映像は、水平方向中央の86%の映像である。したがって、ラインメモリ3にライン信号を格納する時点で、不要となる先頭の映像信号を削除しているのである。
【0061】
このような環境、つまり、750Pの映像を上述した仕様の液晶モニタ1で表示する場合においては、垂直拡大率Vz=0.931であることから、ラインメモリ3は1ライン分のライン信号を記憶可能な容量があればよいことになる。つまり、垂直映像変換回路5では現在の映像信号(ライン信号)および1ライン前の映像信号(ライン信号)に対して、入力映像信号を垂直方向に0.931倍に縮小した映像を出力する。
【0062】
具体的には、入力された特定のライン信号(この特定のライン信号は、縮小率によって所定間隔ごとに選択される)と、1ライン前のライン信号とから、1本のライン信号を出力することによって、垂直方向の映像の縮小処理(間引き処理)を行う。この出力後のライン信号は、特定のライン信号の画素値と1ライン前のライン信号の画素値に所定の係数を掛け合わせることにより生成することで、縮小後の映像に不自然さが残らないようにしている。
【0063】
垂直映像変換回路5において、垂直方向の縮小処理が行われた後、水平映像変換回路6において、水平方向の映像信号も0.931倍に縮小処理される。
【0064】
図5は図2のような750P映像を液晶モニタ1に入力した時の水平映像変換回路6の出力イメージである。つまり、垂直映像変換回路5からの出力映像を水平映像変換回路6において水平方向に0.931に縮小し、その出力映像を液晶モジュール9に直接接続した場合(マスク処理を施すことなく)の画像表示をイメージしたものである。
【0065】
水平映像変換回路6の出力には、垂直同期信号Vd、垂直バックポーチVbp、垂直フロントポーチVfpが含まれているため、これらの信号内に不要信号が存在した場合には、不要信号も表示してしまう。また、垂直の1周期が698ラインしかないため、液晶パネル上の699ライン目からは1ライン目からと同じ映像が繰り返し表示されることになる。
【0066】
そこで、これら不要信号や繰り返し信号の映像に対してマスク処理を行うのが映像マスク回路7である。映像マスク回路7は前記不要部のマスクを任意の指定色で行う。
【0067】
マスクを必要とする領域のうち、表示画像上部における領域Muについては数11式で表される。
【0068】
【数11】
【0069】
これより、1ライン目から70ライン目までは、マスク処理を行う必要があることがわかる。また、表示画像下部における領域Mlについては数12式で表される。
【0070】
【数12】
【0071】
これより、647ライン目から698ライン目までは、マスク処理を行う必要があることがわかる。
【0072】
図6は図2で示した750P映像に対してマスク処理を施した後、液晶モジュール9において表示された映像のイメージである。ここでは、実映像表示領域(A)の上部の70ラインを黒色でマスクしている。同時に、繰り返し映像として表示されている698〜768の70ラインも黒色が表示される。また、実映像表示領域(A)の下部の51ラインについても黒色でマスクしている。これにより、マスクされることなく表示される実映像表示領域(A)は映像用信号に対応する映像領域の86%に相当する。
【0073】
このとき、タイミング信号発生回路8より液晶モジュール9に出力する垂直タイミング信号の周期Vsは数13式で表される。
【0074】
【数13】
【0075】
つまり、垂直タイミング信号の周期Vsは698ラインである。また、水平タイミング信号の周期Hsは数14式で表される。
【0076】
【数14】
【0077】
つまり、水平タイミング信号の周期Hsは1792dotである。
【0078】
図7および図8は、以上説明した実施の形態1にかかる液晶モニタ1における処理の流れを示すタイミングチャートである。
【0079】
図7において、(a)は、入力映像信号について垂直方向を横軸として示した図である。各ライン信号には連続番号が付されている。(b)は、入力映像信号について水平方向を横軸として示した図である。各1ライン信号は、390dot目から1101dotがラインメモリ3に格納される。
【0080】
(c)は、垂直映像変換回路5の出力であり、入力映像信号を垂直方向に0.931倍した縮小信号を示したものである。(d)は、垂直映像変換回路5の出力であり、ラインメモリ3に格納された1101dotが、そのまま出力されており、(e)は、水平方向変換回路6の出力であり、水平方向に0.931倍に縮小された1024dotが出力されている。
【0081】
図8において、(f)は、水平変換回路6の出力であり、(g)は、映像マスク回路7の出力である。非映像用信号の領域および映像用信号の上下端の領域(約7%程度づつ)が黒色にマスクされている。(h)は、液晶モジュール9の駆動信号Vs、(i)は、液晶モジュール9の駆動信号Hs、(j)は、液晶モジュール9に送信するイネーブル信号Enであり、この信号がHighの期間においてモジュールに入力された映像信号が表示される。
【0082】
以上のように本実施の形態における液晶モニタ1は、ラインメモリを備えるだけでアスペクト比16:9を有する映像信号の大部分を4:3の表示画面中央部に歪みなく表示出来る。つまり、フレームメモリを備える必要がないので、回路規模が小さく、低コスト化を図ることが可能である。
【0083】
また、本実施の形態における映像表示方法において、入力映像が750Pの場合、表示可能な映像部分は入力映像領域の86%である。しかし、従来のテレビジョンはオーバースキャン表示を行っているため、入力映像領域の90〜95%程度を表示しているのみである。よって、従来のテレビジョンと比較しても違和感は少なく、実用面においても優れていると言える。
【0084】
{実施の形態2}
実施の形態1においては、アスペクト比16:9の映像信号をアスペクト比4:3の映像表示領域の中央部に表示させるようにした。実施の形態2においては、実施の形態1において説明した上記機能に加え、さらに、以下のような機能を備える。すなわち、入力映像信号のアスペクト比が4:3の場合には、液晶モジュール9の4:3の映像表示領域の全面に入力映像を表示させるように表示方法を切り替えるのである。
【0085】
ここでは、入力映像信号として525i映像信号(走査線が525本でインタレース方式の映像)が入力された場合を例に説明する。
【0086】
525i映像は、ドットクロックDCLK=14.318MHz、水平周期Ht=910dot、垂直周期Vt=262.5ラインのフォーマットで構成される映像である。
【0087】
水平周期Ht=910dotは、水平フロントポーチHfp=22dot、水平同期信号Hd=68dot、水平バックポーチHbp=64dot、水平映像領域Hap=756dotから構成される。
【0088】
垂直周期Vt=262.5ラインは、垂直フロントポーチVfp=3ライン、垂直同期信号Vd=3ライン、垂直バックポーチVbp=15ライン、垂直映像領域Vap=241.5ラインで構成される。
【0089】
タイミング信号発生回路8に入力された同期信号により入力映像信号が525i映像信号であると判定されると、CPU4は、実映像表示領域(A)が最大となり、かつ、歪のないような映像が表示されるように、垂直拡大率および水平拡大率を決定する。
【0090】
このとき、入力映像が4:3であるので映像表示率So=1、つまり100%で表示することができ、このときの垂直拡大率Vzは数15式で表される、なお、この実施の形態では、実際には入力映像は4.7:3であるので、4:3の映像表示領域に100%表示させることで多少縦長の映像となる。このように、多少の歪みであっても実用上許容範囲があれば4:3に類似するアスペクト比に対しても本発明が適用できることを示している。そして、入力映像が4:3の場合には、歪みを生じさせることなく100%の表示を行うことができるのである。
【0091】
【数15】
【0092】
これより、垂直拡大率Vz=3.18倍に拡大する。歪みなく表示するための水平拡大率Hzは、数16式で表される。
【0093】
【数16】
【0094】
これより、水平拡大率Hz=1.35倍に拡大すればよいことがわかる。
【0095】
一方、ビデオ回路2でデジタル化される映像信号のアスペクト比が4:3の場合には、ビデオ回路2は、垂直同期信号、垂直バックポーチ、垂直フロントポーチを除く映像用信号のみをラインメモリ3に対して出力する。そして、ラインメモリ3は、順次映像用信号のみを蓄積する。
【0096】
ここで、ラインメモリ3の必要水平方向画素数Hmは、数17式より求められる。
【0097】
【数17】
【0098】
これより、必要水平方向画素数Hmは756dotであることがわかる。また、不要映像信号のdot数は、数18式で求められる。
【0099】
【数18】
【0100】
したがって、ラインメモリ3は水平同期信号Hdの開始から133dot目より756dot分の画像データを順次蓄えるよう制御される。
【0101】
そして、入力映像信号が525iである場合には垂直拡大率がVz=3.18であることより、ラインメモリ3は3ライン分のライン信号を記憶するだけの容量を備えていればよいこととなる。
【0102】
垂直映像変換回路5では現在の映像信号および1ライン前の映像信号から、または、1ライン前の映像信号および2ライン前の映像信号から、または、2ライン前の映像信号および3ライン前の映像信号から、入力映像信号を垂直方向に3.18倍に拡大した映像を出力する。このように、拡大処理のために増加させるライン信号は、時間的に前後する複数のライン信号を演算することによって出力するので、拡大映像が自然な映像となるようにしている。また、水平映像変換回路6では垂直映像変換回路5の出力信号を水平方向に1.35倍に拡大して出力する。
【0103】
そして、本実施の形態においては、映像マスク回路7はマスク処理を行はない。つまり、入力映像のアスペクト比が4:3であると判定された場合にはマスク処理は行われない。
【0104】
このとき、タイミング信号発生回路8より液晶モジュール9に出力する水平タイミング信号の周期Hsは、数19式で表される。
【0105】
【数19】
【0106】
これより水平タイミング信号Hsは、1495dotとなる。また、垂直タイミング信号の周期Vsは、数20式で求められる。
【0107】
【数20】
【0108】
これより垂直タイミング信号の周期Vsは836ラインとなる。
【0109】
図9および図10は、以上説明した実施の形態2にかかる液晶表示装置1の処理の流れを示すタイミングチャートである。
【0110】
図9において、(a)は、入力映像信号について垂直方向を横軸として示した図である。各ライン信号には連続番号が付されている。(b)は、入力映像信号について水平方向を横軸として示した図である。各1ライン信号は、133dot目から756dotがラインメモリ3に格納される。
【0111】
(c)は、垂直映像変換回路5の出力であり、入力映像信号を垂直方向に3.18倍に拡大した信号を示したものである。(d)は、垂直映像変換回路5の出力であり、ラインメモリ3に格納された756dotが、そのまま出力されており、(e)は、水平方向変換回路6の出力であり、水平方向に1.35倍に拡大された1024dotが出力されている。
【0112】
図10において、(f)は、水平変換回路6の出力であり、(g)は、映像マスク回路7の出力である。本実施の形態においては、マスク処理はされない。(h)は、液晶モジュール9の駆動信号Vs、(i)は、液晶モジュール9の駆動信号Hs、(j)は、液晶モジュール9に送信するイネーブル信号Enであり、この信号がHighの期間においてモジュールに入力された映像信号が表示される。
【0113】
このように本実施の形態の液晶モニタ1は、3ライン分のライン信号を記憶可能なラインメモリを備えることで、アスペクト比16:9の映像の大部分を歪みなく表示するとともに、4:3の映像の全部を歪みなく表示することが可能である。そして、これらの機能を実現するために映像信号を格納するフレームメモリを不要としているので、回路規模を小さくするとともに、低コスト化を図ることが可能である。
【0114】
{実施の形態3}
実施の形態1,2では、4:3のアスペクト比を有する画面を備える液晶モジュール9に16:9のアスペクト比を有する画像と、4:3のアスペクト比を有する画像を表示する場合を例に説明したが、任意のアスペクト比a:bを有する映像を入力し、この映像信号を所定の割合で拡大または縮小して、液晶モジュール上の任意のアスペクト比c:dを有する画面の中央部に歪みなく表示して、該中央部の周辺に所定色のマスク領域を配置することが可能である。
【0115】
即ち、入力映像のアスペクト比a:bと表示画面のアスペクト比c:dの関係が、a/b≦c/dの場合は、実施の形態2に従い入力映像の垂直および水平の拡大または縮小を行い、c:dの画面の中央部に入力画像領域100%を歪みなく表示する。ただし、a/b<c/dの場合は該中央部の左部および右部を任意の指定色でマスクする。実施の形態2のようにa/b=c/dの場合はマスクの必要はない。
【0116】
これに対して、a/b>c/dの関係があるときは、実施の形態1に従い入力画像の垂直および水平の拡大または縮小を行い、c:d画面の中央部に入力映像領域100×So%を歪みなく表示する。さらに、該中央部の上部および下部を任意の指定色でマスクする。
【0117】
上記のように本発明は、任意のアスペクト比a:bを有する入力映像を、任意のアスペクト比c:dを有する表示画面に歪みなく表示する場合に広く適用可能である。
【0118】
{変形例}
実施の形態1〜3の液晶モニタ1では水平画像変換回路6は垂直映像変換回路5の後段に接続されたが、図11で示す液晶モニタ11のように水平画像変換回路6をビデオ回路2の後段に接続しても同様の効果が得られる。
【0119】
実施の形態2〜3では入力映像領域の100%を画面上に表示する場合を例に説明したが、従来のテレビジョンの様に入力画像領域の90〜95%程度のオーバースキャン表示をしてもよい。
【0120】
この発明は525I、750Pの映像信号に限らず、525P、1125I、NTSC、PAL方式の映像信号等に広く適応可能である。
【0121】
さらに、上記実施の形態1〜3においては、表示モジュールとして、液晶モジュールを使用する場合を例に本発明を説明したが、本発明は他のマトリクスタイプの表示パネルと、データドライバおよびゲートドライバを備えた表示モジュールにも同様に適用可能である。この種の表示モジュールとしてはプラズマモジュール(PDP)、LEDモジュール、エレクトロルミネッセンスモジュール(EL)等がある。
【0122】
なお、実施の形態1では、入力映像領域の86%を歪みなく画面上に表示する割合を例に説明したが、歪みが気にならない程度に水平方向に圧縮した映像で表示すれば、86%以上の領域を画面上に表示させることも可能である。
【0123】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明では、4:3の表示領域を有するマトリクスタイプの表示装置の画面中央に、16:9のアスペクト比を有する映像の大部分を歪みなく表示することが可能である。
【0124】
請求項2記載の発明では、ラインメモリに格納されているライン信号を用いて映像信号の拡縮処理を行うので、回路規模を小さくし、低コスト化を図ることが可能である。
【0125】
請求項3記載の発明では、4:3のアスペクト比を有する映像を受信した場合にも、歪みのない映像を最大表示させることが可能である。
【0126】
請求項4記載の発明では、様々なアスペクト比を有する映像表示領域と様々なアスペクト比を有する映像との組み合わせにおいて、歪みのない映像を、最大表示させることが可能である。
【0127】
請求項5記載の発明では、非映像用信号を映像用信号と同様に表示させた上でマスク処理を行うことにより、表示領域を大きく確保することが可能である。
【0128】
請求項6記載の発明では、マトリクスタイプの表示装置として液晶表示装置を採用することで、様々な製品に利用可能となる。
【0129】
請求項7記載の発明は、テレビ受像機に関するものであり、受信映像信号のアスペクト比に応じて、歪みのない映像を最大表示させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1にかかる液晶モニタの構造を示すブロック図である。
【図2】 液晶モニタに入力される750P映像信号について、映像フォーマットおよび映像領域のイメージを示す図である。
【図3】 水平方向の入力映像と出力映像の関係を示す図である。
【図4】 垂直方向の入力映像と出力映像の関係を示す図である。
【図5】 水平映像変換回路の出力イメージ図である。
【図6】 750P映像信号にマスク処理を施した後、液晶モニタの画面に出力した映像表示イメージ図である。
【図7】 実施の形態1における動作を示したタイミングチャートである。
【図8】 実施の形態1における動作を示したタイミングチャートである。
【図9】 実施の形態2にかかる液晶モニタの構造を示すタイミングチャートである。
【図10】 実施の形態2における動作を示したタイミングチャートである。
【図11】 実施の形態1から3の変形例にかかる液晶モニタの構造を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 液晶モニタ、2 ビデオ回路、3 ラインメモリ、4 CPU、5 垂直映像変換回路、6 水平映像変換回路、7 映像マスク回路、8 タイミング発生回路、9 液晶モジュール。
Claims (7)
- 横縦比4:3の映像表示領域を有するマトリクスタイプの表示モジュールを備えた表示装置であって、
前記表示装置が入力する1フレームの入力映像信号は、垂直方向に走査される水平方向の複数のライン信号からなり、垂直方向の上端および下端の所定数のライン信号、および、各ライン信号の左右端の所定数の映像信号は、表示する必要のない非映像用信号であって、前記入力映像信号のうち前記非映像用信号を除いた信号が映像用信号と定義されており、
前記表示装置は、
前記入力映像信号の種別を判定する映像判定手段と、
前記入力映像信号が横縦比16:9の映像に対応した信号であると前記映像判定手段によって判定された場合、前記入力映像信号の横縦比を維持したまま前記入力映像信号の前記非映像用信号及び前記映像用信号を共に水平方向及び垂直方向に関して互いに等しい特定拡縮率で拡縮させることにより相似映像信号を生成する拡縮手段と、
前記相似映像信号のうち前記非映像用信号に対応した垂直方向の上端および下端の所定数のライン信号を所定色でマスクするとともに、前記相似映像信号のうち前記映像用信号に対応した垂直方向の上端および下端のライン信号のうち特定割合のライン信号を前記所定色でマスクすることによって、前記映像表示領域内において横縦比16:9の実映像を表示する表示手段と、
歪みの無い前記実映像が前記表示手段の表示画面中央よりも上部に偏って表示される様に、前記特定割合および前記特定拡縮率を決定する決定手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。 - 請求項1に記載の表示装置において、さらに、
前記入力映像信号のライン信号を格納するラインメモリ、
を備え、
前記拡縮手段は、
現在の走査対象であるライン信号と、前記ラインメモリに格納されている以前のライン信号とを演算処理することにより、前記入力映像信号を拡縮する手段、
を含むことを特徴とする表示装置。 - 請求項1または請求項2に記載の表示装置において、
前記拡縮手段は、さらに、
前記入力映像信号が横縦比4:3の映像に対応した信号であると前記映像判定手段によって判定された場合、前記入力映像信号によって生成される映像の横縦比を維持したまま当該映像を拡縮させる手段、
を含み、
前記決定手段は、さらに、
前記入力映像信号のうち前記映像用信号に対応する横縦比4:3の映像が、前記映像表示領域の全体に表示されるように前記拡縮率を決定する手段、
を備えることを特徴とする表示装置。 - 横縦比a:bの映像表示領域を有するマトリクスタイプの表示モジュールを備えた表示装置であって、
前記表示装置が入力する1フレームの入力映像信号は、垂直方向に走査される水平方向の複数のライン信号からなり、垂直方向の上端および下端の所定数のライン信号、および、各ライン信号の左右端の所定数の映像信号は、表示する必要のない非映像用信号であって、前記入力映像信号のうち前記非映像用信号を除いた信号を映像用信号と定義されており、
前記表示装置は、
前記入力映像信号の種別を判定する映像判定手段と、
前記入力映像信号が横縦比c:dの映像に対応した信号であると前記映像判定手段によって判定された場合、前記入力映像信号の横縦比を維持したまま前記入力映像信号の前記非映像用信号及び前記映像用信号を共に水平方向及び垂直方向に関して互いに等しい特定拡縮率で拡縮させることにより相似映像信号を生成する拡縮手段と、
前記相似映像信号のうち前記非映像用信号に対応した所定の周辺信号を所定色でマスクするとともに、前記相似映像信号のうち前記映像用信号に対応した周辺信号のうち特定割合の周辺信号を前記所定色でマスクすることによって、前記映像表示領域内において横縦比c:dの実映像を表示する表示手段と、
歪みの無い前記実映像が前記表示手段の表示画面中央よりも上部に偏って表示される様に、前記特定割合および前記特定拡縮率を決定する決定手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。 - 横縦比4:3の映像表示領域を有するマトリクスタイプの表示モジュールを備えた表示装置であって、前記表示装置が入力する1フレームの入力映像信号は、垂直方向に走査される水平方向の複数のライン信号からなり、垂直方向の上端および下端の所定数のライン信号は、表示する必要のない非映像用信号であり、
前記表示装置が入力した映像信号が横縦比16:9の映像であった場合、前記非映像用信号を、表示する必要のある映像用信号と同様に前記映像表示領域に表示させるとともに、当該非映像用信号を所定色でマスク処理することにより、横縦比16:9の実映像を前記映像表示領域の中央よりも上部に偏って表示させることを特徴とする、
表示装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の表示装置において、前記マトリクスタイプの表示モジュールを備えた表示装置が液晶表示装置であることを特徴とする表示装置。
- テレビ映像信号を受信する装置と、
受信した前記テレビ映像信号を入力および表示する請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の表示装置と、
を備えることを特徴とするテレビ受像機。
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