以下、本発明の実施の形態による建設機械を、後方小旋回式の小型の油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図15は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は建設機械としてのキャブ仕様の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより構成されている。
そして、上部旋回体3の前側には、図1に示すように土砂の掘削作業等を行なうスイングポスト式の作業装置4が左,右方向に揺動可能で、かつ上,下方向に俯仰動可能に設けられている。また、上部旋回体3は、下部走行体2の車幅内でほぼ旋回できるように、上方からみて略円形状に形成されている(図2参照)。そして、上部旋回体3は、後述の旋回フレーム5、エンジン6、床板15、床板支持機構21、運転席26、キャブ29、傾転機構30等により構成されるものである。
5は上部旋回体3のベースフレームを構成する旋回フレームで、該旋回フレーム5は、図3、図4に示す如く、左,右方向の中間部を前,後方向に延びた平板状の底板5Aと、該底板5Aの上面側に左,右に離間して立設された一対の縦板5B,5Bと、該各縦板5Bの前端部に設けられ、作業装置4を支持する支持ブラケット5C等とにより構成されている。
また、旋回フレーム5は、その前側に位置して左,右方向に延びた前梁5Dと、前記各縦板5Bの後部位置で左,右方向に延びた中梁5Eと、前記前梁5Dと中梁5Eとの間に設けられたアンダカバー5F等とを備え、支持ブラケット5Cの後側近傍には、後述の床板支持機構21を取付けるための取付座5Gが設けられている。
6は旋回フレーム5の後側に搭載されたエンジンで、該エンジン6は、図3に示すように底板5Aの後部側に横置き状態で設置され、旋回フレーム5の左,右方向に延在しているものである。そして、エンジン6は、後述する床板15の隔壁板17等によって上方が覆われ、隔壁板17の下側に入り込むように配設されるものである。これによって、エンジン6は、後述のカウンタウエイト13等と共に前側へと詰めて設置することが可能となり、旋回フレーム5全体の設置スペースを有効利用して上部旋回体3を小型化するものである。
ここで、エンジン6の左側には、図3に示す如くエンジン6によって駆動される油圧ポンプ7が設けられ、エンジン6の右側にはラジエータ、オイルクーラ等の熱交換器8が配設されている。また、エンジン6の前側には、その左側に位置して交流発電機(充電器)となるオルタネータ9が設けられ、左,右方向の中間部にはエンジン6を起動する電動モータ等からなるスタータ10が設けられている。
11は旋回フレーム5のアンダカバー5F上に設けられたコントロールバルブで、該コントロールバルブ11は、複数の方向制御弁を含んだ多連弁からなり、後述する床板15の下側(床下)に位置して旋回フレーム5のアンダカバー5F上等に設置されている。
そして、コントロールバルブ11は、油圧ポンプ7から吐出される圧油を作業装置4の各シリンダ、旋回用の油圧モータ、走行用の油圧モータ(いずれも図示せず)等の油圧アクチュエータに給排するときに、各油圧アクチュエータ毎にそれぞれ個別に給排する圧油の流量と給排方向を制御するものである。
12はエンジン6を上側から跨ぐように旋回フレーム5の後側に設けられた支持部材で、該支持部材12は旋回フレーム5の一部を構成し、後述のキャブ29を床板15の隔壁板17と共に下側から支持するものである。そして、支持部材12は、図3、図4に示す如くエンジン6の上方に位置して左,右方向に延び、床板15の隔壁板17が後述の建屋取付板18を介して取付けられる支持ベース12Aと、該支持ベース12Aをエンジン6の上方位置で支持する複数(例えば4本)の支柱12B,12C,12D,12Eとにより大略構成されている。
また、各支柱12B,12C,12D,12Eのうち左前支柱12Bは、支持ベース12Aの左端部から前方下向きに延び、左後支柱12Cは支持ベース12Aの左端部から下向きに延びている。また、右前支柱12Dは支持ベース12Aの右端部から前方下向きに延び、右後支柱12Eは支持ベース12Aの右端部から下向きに延びている。そして、各支柱12B,12C,12D,12Eの下端部は、それぞれ旋回フレーム5に固定して取付けられている。
ここで、右前支柱12Dは、後述の床板15よりも右側に位置して設けられ、熱交換器8を塞がないように略L字状に屈曲している。また、右前支柱12Dの長さ方向中間部は、前向きに傾斜する傾斜面部12D1 となり、該傾斜面部12D1 には、後述の傾転機構30を構成するガイドレール33が図5、図6に示す取付ブラケット31を介して取付けられるものである。
13はエンジン6の後側に位置して旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイト(図1、図2参照)で、該カウンタウエイト13は、作業装置4との重量バランスをとるもので、凸湾曲形状をなして左,右方向に円弧状に延びている。
ここで、カウンタウエイト13は、エンジン6を床板15の隔壁板17の下側に入り込むように前側に詰めて配設することにより、旋回フレーム5の後端寸法小さく形成できるようにしている。これにより、カウンタウエイト13は、下部走行体2の車幅に対応する旋回半径内に収められるものである。
14は後述するキャブ29の後部側を周囲から覆うように設けられた外装カバーで、該外装カバー14は、旋回フレーム5上に設置されたエンジン6の後部側、熱交換器8およびカウンタウエイト13等を、後述の作動油タンク41、燃料タンク42等と共に覆うものである。
そして、外装カバー14は、図1、図2、図5に示すように、カウンタウエイト13の左端側から前方に向けて滑らかに連続する左側面カバー14Aと、カウンタウエイト13の右端側から前方に向けて滑らかに連続する右側面カバー14Bと、キャブ29の後側に位置して前記左側面カバーと右側面カバー14B間に開閉可能に設けられたエンジンカバー14C等とにより構成されている。
また、外装カバー14には、図1、図2に示すようにキャブ29の右側に位置して後述の作動油タンク41、燃料タンク42等を上側から覆うタンクカバー14Dが開閉可能に設けられている。そして、タンクカバー14Dは、後述の傾転機構30を取付けるために、キャブ29との間に間隔をもって配設されている。なお、図5中では、後述の傾転機構30等を明示するためにタンクカバー14Dが取外された状態を示しているものである。
15は旋回フレーム5上に開閉可能に設けられた床板で、該床板15は、旋回フレーム5の縦板5B,5Bおよびコントロールバルブ11等を上側から覆うように旋回フレーム5上で左,右方向の一側(車両の後方からみて左側)に片寄らせて設けられている。
そして、床板15は、図7、図8に示すように後述の運転席26に着座したオペレータの足乗せ場となる足乗せ板16と、該足乗せ板16の後端から上向きに立上げるように設けられエンジン6を部分的に覆う隔壁板17と、該隔壁板17の上端部に設けられた建屋取付板18と、足乗せ板16の右側位置から立上った側面板19とにより大略構成されている。
ここで、足乗せ板16の前側部分は、後述の走行操作レバー・ペダル28等を取付けるためのレバー・ペダル取付部16Aとなり、該レバー・ペダル取付部16Aの前側には、後述の床板支持機構21が設けられている。また、床板15の後部側を構成する隔壁板17は、足乗せ板16の後側から立上がった後にエンジン6を上側から覆うように後方に延びて設けられ、これにより、エンジン6は、隔壁板17の下側に入り込むように配設される。
そして、隔壁板17は、図8に示すように足乗せ板16の後端から上方に立上った立上り壁17Aと、該立上り壁17Aの上端から後方に延びた運転席支持台17Bと、該運転席支持台17Bの後端から上側に延びた背板部17Cと、前記運転席支持台17B、背板部17Cの一側(車両の後方からみて右側)に位置する計器類取付部17Dとにより形成されている。この場合、運転席支持台17Bには、後述の運転席26が搭載され、計器類取付部17Dにはスイッチ、モニタ等の計器類(図示せず)が取付けられるものである。
また、建屋取付板18は、図8に示すように左,右方向に延びて設けられ、この建屋取付板18には、複数個の取付穴18A,18A,…が左,右に離間して設けられている。そして、これらの取付穴18Aのうち、例えば左,右両側に位置する取付穴18Aには、建屋を構成するキャブ29の後部側を取付けるためのボルト(図示せず)等が挿通される。また、残余の各取付穴18Aには、建屋取付板18を支持部材12の支持ベース12Aに取付けるときにボルトが挿通され、これらのボルトを取外すことにより床板15を後述の如くチルトアップすることができる。
一方、床板15の側面板19は、足乗せ板16の右側後部から隔壁板17の計器類取付部17Dに沿って立上がった略長方形状の板体として形成されている。そして、側面板19は、後述するキャブ29の側面部29Aとほぼ面一となるように切欠き部29Bの位置に配置される。これにより、側面板19は、キャブ29の側面部29Aと共に外部に露出され、後述の傾転機構30に対する床板15(キャブ29)側の接続部を構成するものである。
この場合、床板15は、運転席26、キャブ29等を下側から支持するのに十分な強度をもって側面板19が足乗せ板16、計器類取付部17Dに接合されているものである。また、側面板19の上部側には、図8ないし図10に示すように後述のスリーブ20が充分な強度をもって取付けられている。
20は側面板19の上部側に接合して設けられたスリーブで、該スリーブ20は、後述する傾転機構30の移動部材35が回動可能に挿着される円筒体として図11に示すように形成されている。そして、スリーブ20は、図9、図10に示す如く側面板19に溶接等の手段で取付けられ、床板15の左,右方向に延びるように配設されている。
21は旋回フレーム5の前側で床板15を支持する床板支持機構で、該床板支持機構21は、図6ないし図8に示す如く旋回フレーム5の前側位置と床板15(足乗せ板16)の前側位置との間に設けられ、旋回フレーム5上で床板15が図12、図13中の矢示A,B方向に開閉されるの許すように床板15を傾転可能に支持している。
そして、床板支持機構21は、図7、図8に示すように、旋回フレーム5の前側位置に設けられた前梁5D、取付座5Gに取付けられる2個の取付ブラケット22と、該各取付ブラケット22に対応するように足乗せ板16の前側位置に設けられた左,右2枚ずつの取付片23と、前記取付ブラケット22と取付片23との間に設けられた防振ゴム(図示せず)と、該防振ゴムを介して前記取付ブラケット22と取付片23とを傾転可能に連結する連結ピン24等とにより構成されているものである。
そして、床板支持機構21の連結ピン24は、例えば床板15の左,右方向に延び、床板15の前側位置を旋回フレーム5の前側位置に傾転可能に連結するものである。これにより床板15をチルトアップするときには、図12、図13に示すように床板支持機構21の連結ピン24を支点として床板15が前方(矢示A方向)へと傾転され、床板15の後部側は上方へと持上げられる。
また、床板15をチルトダウンさせるときには、床板15の後部側が後方(矢示B方向)へと傾転され、床板15の建屋取付板18が支持部材12の支持ベース12A上に載置されるものである。なお、床板支持機構21は、取付ブラケット22と取付片23との間に設けた前述の防振ゴムにより、旋回フレーム5に対し床板15の前側を防振可能に支持している。
25は床板15の後部側に配置される台座部材で、該台座部材25は、図8に示すように隔壁板17の立上り壁17A前面に取付けられる。そして、台座部材25は、隔壁板17の運転席支持台17Bと一緒に後述の運転席26を支持するものである。
26は床板15上に台座部材25等を介して設けられる運転席で、該運転席26は、後述のキャブ29等と共にオペレータが乗降する操作運転部を構成するものである。そして、運転席26は、図7、図8に示すように隔壁板17の運転席支持台17Bと台座部材25との上側に配設され、オペレータが着席する座席を構成するものである。また、運転席26の左,右両側には、作業装置4等を操作するため作業用の操作レバー27,27が図7に示す如く配設される。
28は運転席26の前方に配置される走行操作レバー・ペダルで、該走行操作レバー・ペダル28は、床板15を構成する足乗せ板16のレバー・ペダル取付部16Aに設けられている。そして、走行操作レバー・ペダル28は、オペレータが手動操作または足踏み操作することにより、コントロールバルブ11を切換操作して車両(下部走行体2)を走行させるものである。
29は運転席26の周囲を覆うように床板15上に設けられた操作運転部としてキャブで、該キャブ29は、略四角形のボックス構造をなして形成され、左,右方向の一側(車両の後方からみて左側)には、キャブ29内に乗降するためのドア(図示せず)が開閉可能に取付けられている。そして、キャブ29は、その前部側が床板15の足乗せ板16の前側部分にボルト止めされ、後部側は建屋取付板18の取付穴18Aにボルト止めされている。
また、キャブ29には、左,右方向の他側(車両の後方からみて右側)の側面部29Aに図5、図6に示す如くL字状をなす切欠き部29Bが形成され、床板15の側面板19は、この切欠き部29Bを介してキャブ29の外部へと露出した状態に配置される。そして、キャブ29の切欠き部29Bは、側面板19により外部に対して閉塞されるものである。
ここで、キャブ29は、床板15、運転席26、作業用の操作レバー27、走行操作レバー・ペダル28等と共に単一のユニットとして構成され、例えばエンジン6等のメンテナンス作業を行うときに、図13に示す如く床板支持機構21を支点として前側上方(矢示A方向)に傾転される。そして、メンテナンス作業の終了時には、キャブ29が床板15等と共に後側下方(矢示B方向)に傾転されて図6に示す位置まで戻されるものである。
次に、30は床板支持機構21よりも後側に位置して旋回フレーム5と床板15との間に設けられた傾転機構で、該傾転機構30は、床板15の右側位置をキャブ29の側面部29Aに沿って前,後方向へと伸長して配設される。そして、傾転機構30は、図9ないし図11に示すように後述の取付ブラケット31、ガイドレール33、ねじ軸34、移動部材35等によって大略構成されるものである。
ここで、傾転機構30は、旋回フレーム5に対して床板15を上,下に傾転させるときに、旋回フレーム5側に位置する後述の連結ピン32が回動支点となり、床板15側の移動部材35が移動支点となる。そして、傾転機構30は、移動部材35がガイドレール33の長さ方向(矢示C,D方向)で任意の位置に変位することにより、前記床板15を移動部材35の変位量に応じて矢示A,B方向に傾転させるものである。
31は傾転機構30を旋回フレーム5側の支持部材12に取付けるための取付ブラケットで、該取付ブラケット31は、図9、図10に示すように支持部材12を構成する右前支柱12Dの傾斜面部12D1 にボルト止めされるベース板31Aと、該ベース板31Aの表面に前,後方向に延びて平行に立設された一対の支持板31B,31Bとにより構成されている。そして、取付ブラケット31の各支持板31Bは、後述するガイドレール33の取付枠部33Aを連結ピン32(回動支点)を介して上,下方向に回動可能に支持するものである。
33は傾転機構30の枠体となるガイドレールで、該ガイドレール33は、基端側が取付ブラケット31を介して支持部材12の右前支柱12Dに回動可能に取付けられ、自由端となる先端側まで細長く延びた枠体として形成されている。そして、ガイドレール33は、基端側と先端側(自由端)との間で後述の移動部材35を直線的に案内するものである。
この場合、ガイドレール33は、取付ブラケット31の各支持板31Bに連結ピン32を介して上,下方向に回動可能に取付けられた基端側の取付枠部33Aと、該取付枠部33Aから上,下方向に間隔をもった状態で互いに平行に延びた一対のレール部33B,33Bと、該各レール部33Bの先端部を互いに連結する先端連結部としての連結板部33Cとにより構成されている。また、先端側の連結板部33Cには、図10に示すように後述のねじ軸34がスラスト軸受34Bを介して回転可能に取付けられる段付穴33Dが形成されている。
34はガイドレール33のレール部33B,33B間に配置されるねじ軸で、該ねじ軸34は、その外周に1条または多条ねじからなる雄ねじが形成された細長い棒状体により構成され、その長さ方向一側には、例えば六角形状をなす角部34Aが設けられている。また、ねじ軸34の外周側には、角部34Aに当接する位置にスラスト軸受34Bが取付けられ、該スラスト軸受34Bは、連結板部33Cの段付穴33D内に嵌合される。
そして、ねじ軸34は、図9に示すようにガイドレール33の各レール部33B間を長さ方向に沿って平行に延びるように伸長し、その長さ方向一側がスラスト軸受34Bを介してガイドレール33の連結板部33C(図10に示す段付穴33D内)に回転可能に支持されるものである。また、ねじ軸34は、その途中部位が後述する移動部材35のねじ穴35C内に螺合して取付けられ、ねじ軸34の回転を移動部材35の直線方向変位に変換するものである。
即ち、ねじ軸34をガイドレール33に対して回転させるときには、例えばインパクトレンチ等のねじ締め用工具(図示せず)をねじ軸34の角部34Aに係合させ、この状態でねじ軸34を正方向または逆方向に回転させると、移動部材35がレール部33B,33Bの間を図9中の矢示C,D方向に沿って直線方向に変位するものである。
35はねじ軸34に螺合して取付けられる移動部材で、該移動部材35は、図9、図10に示すように床板15の側面板19にスリーブ20等を介して回動可能に取付けられ、傾転機構30の移動支点を構成するものである。そして、移動部材35は、ねじ軸34が正,逆方向に回転駆動されるに伴ってガイドレール33の各レール部33B間を矢示C,D方向に移動(変位)するものである。
この場合、移動部材35は、図10、図11に示す如く、左,右方向に延びて設けられた段付円柱状の軸体35Aと、軸体35Aの一側端部(側面板19から離れた端部側)に位置し径方向外向きに突出して設けられた円形状の鍔部35Bと、該鍔部35Bに近い位置で軸体35Aの径方向に穿設されたねじ穴35C等とにより構成されている。
そして、移動部材35の軸体35Aは、ガイドレール33の各レール部33B間に移動可能に挟まれた状態で、側面板19と一体のスリーブ20内へと挿通される。また、軸体35Aの先端側にはボルト36が螺着され、該ボルト36は、軸体35Aをスリーブ20に対して抜止め状態に保持するものである。また、この状態で移動部材35のねじ穴35C内には、ねじ軸34の先端側を螺合され、これにより傾転機構30は、ねじ軸34の回転を移動部材35の直線方向変位に変換できるように組立てられる。
即ち、このように構成された傾転機構30は、外部に突出したねじ軸34の角部34Aにインパクトレンチ等の工具を係合させ、ねじ軸34を正方向に回転駆動したときには、ねじ軸34に螺合した移動部材35が各レール部33B間をガイドレール33の取付枠部33Aから離間する方向(矢示C方向)へと直線方向に変位する。
これにより、移動部材35にスリーブ20等を介して連結された床板15の側面板19は、旋回フレーム5(支持部材12)側の取付ブラケット31から離間する矢示C方向に移動されるので、床板15およびキャブ29等は、床板支持機構21を支点として図13中の矢示A方向に傾転(チルトアップ)されるものである。
また、傾転機構30は、ねじ軸34と移動部材35とが1条または多条ねじ等を用いて互いに螺合しているので、ねじ軸34と移動部材35との間には所謂セルフロック機能が付与され、ねじ軸34の回転を停止させている限り(即ち、外部から力を加えない限り)は、移動部材35が不用意に変位して床板15が下向きに降りてくるような事態を規制することができ、ストッパ等の部材を特別に設ける必要はないものである。
一方、傾転機構30は、ねじ軸34を逆方向に回転駆動して移動部材35をガイドレール33に沿って取付枠部33Aに近付く方向(矢示D方向)に変位させたときには、支持部材12側の取付ブラケット31と移動部材35との離間寸法が漸次小さくなり、床板15を床板支持機構21を支点として矢示B方向に傾転(チルトダウン)させることができる。
37は本実施の形態で採用したインジケータで、該インジケータ37は、図14、図15に示す如く床板15がキャブ29等と一緒に傾転するときの傾転位置を表示するもので、移動部材35の鍔部35B側に設けた基準位置用の目盛りマーク38と、ガイドレール33のレール部33Bに設けられレール部33Bの長さ方向に予め決められた間隔で離間した傾転位置表示用の目盛り39A,39B,39C,39D,…,39N(図15中に7個のみ図示)等とにより構成されている。
ここで、ガイドレール33のレール部33Bには、図15に例示するように傾転位置表示用の目盛り39A,39B,39C,…に隣接して表示部40A,40B,40C,…が設けられ、これらの表示部40A,40B,40C,…は、インジケータ37の一部を構成している。
そして、表示部40A,40B,40C,…は、傾転機構30を用いて床板15を旋回フレーム5上から矢示A方向に傾転させたときに、その傾転位置に応じてエンジン6、コントロールバルブ11等のいずれの部位がメンテナンス可能であるかを、文字、記号、絵模様等を用いて表示するものである。
即ち、表示部40A,40B,40C,…のうち、例えば表示部40Bには、「スタータ」なる文字が書込まれている。そして、この場合の表示部40Bは、図14、図15に示すように移動部材35のマーク38がガイドレール33の目盛り39Bに一致する位置まで床板15を矢示A方向に傾転させたときに、図3に例示したスタータ10のメンテンスが可能であることを表示するものである。
また、表示部40Aには、例えば「C/V」なる記号が書込まれている。そして、この場合の表示部40Aは、移動部材35のマーク38がガイドレール33の目盛り39Aに一致する位置まで床板15を矢示A方向に大きく傾転させたときに、図3に例示したコントロールバルブ11のメンテンスが可能であることを表示するものである。
また、表示部40Cには、例えば「オルタネータ」なる文字が書込まれる。そして、この場合の表示部40Cは、移動部材35のマーク38がガイドレール33の目盛り39Cに一致する位置まで床板15を傾転させたときに、図3に例示したオルタネータ9のメンテンスが可能であることを表示する。なお、目盛り39A,39B,39C以外の目盛り39D,…,39Nにも、表示部40A,40B,40C,…と同様の表示がなされるものである。
この場合、傾転機構30は、ねじ軸34を角部34A側に配置した工具により正方向に複数回分だけ回転させれば、移動部材35のマーク38がガイドレール33の目盛り39Bから目盛り39Aの位置に達するように移動部材35が矢示C方向に変位する。また、移動部材35のマーク38がガイドレール33の目盛り39Bから目盛り39Cの位置に移動するように移動部材35を矢示D方向に変位させるときには、角部34A側に配置した工具によりねじ軸34を逆方向に複数回分だけ回転させればよいものである。
なお、図3中の41は作動油タンクを示し、該作動油タンク41は、熱交換器8の前側に位置して旋回フレーム5の右側部位に設置されるものである。また、42は作動油タンク41の前側に設けられた燃料タンクを示している。そして、作動油タンク41および燃料タンク42は、図1、図2に示すタンクカバー14Dによって上側から覆われるものである。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
まず、キャブ29内に乗り込んだオペレータは運転席26に着座し、この状態で走行操作レバー・ペダル28を操作することにより、下部走行体2を走行させる。また、左,右の作業用の操作レバー27,27を操作することにより、例えば作業装置4を左,右方向に揺動しつつ、上,下方向に俯仰動させて土砂の掘削作業等を行なうことができる。
次に、油圧ショベル1のメンテナンス作業を行なう場合について説明する。このメンテナンス作業の対象となる機械、即ちエンジン6、油圧ポンプ7、熱交換機8、オルタネータ9、スタータ10およびコントロールバルブ11等は床板15の下側に配設されている。このため、メンテナンス作業時には、床板15を図12ないし図15に示すように、傾転機構30を用いてキャブ29等と一緒に矢示A方向にチルトアップする必要がある。
そこで、傾転機構30により床板15、キャブ29等をチルトアップするときには、まず、床板15の建屋取付板18を旋回フレーム5の支持部材12に取付けているボルト等を取外す。このときに、傾転機構30はねじ軸34と移動部材35との螺合によって、旋回フレーム5側と床板15側とを連結しているだけであるから、例えばガスダンパのようにボルトを外した瞬間に床板15が跳ね上がるように傾転することはなく、円滑かつ安全に傾転操作、メンテナンス作業を行なうことができる。
次に、この状態で傾転機構30を操作するため、ねじ軸34の角部34Aにインパクトレンチ等の工具を係合させ、この工具によりねじ軸34を正方向に回転駆動する。そして、ねじ軸34を回転駆動するに伴い、移動部材35がガイドレール33に沿って矢示C方向に移動するので、該移動部材35が取付けられた床板15、キャブ29等を、図12ないし図14に示すように床板支持機構21の連結ピン24等を支点として矢示A方向にチルトアップすることができる。
また、傾転機構30のガイドレール33と移動部材35には、目盛りマーク38と傾転位置表示用の目盛り39A,39B,39C,39D,…,39N等からなるインジケータ37が設けられ、床板15がキャブ29等と一緒に傾転するときの傾転位置を表示する構成としている。
そして、ガイドレール33のレール部33Bには、図15に例示するように傾転位置表示用の目盛り39A,39B,39C,…に隣接して表示部40A,40B,40C,…が設けられ、これらの表示部40A,40B,40C,…は、傾転機構30を用いて床板15を旋回フレーム5上から矢示A方向に傾転させたときに、その傾転位置に応じてエンジン6、コントロールバルブ11等のいずれの部位がメンテナンス可能であるかを、文字、記号、絵模様等を用いて表示している。
このため、例えば「オルタネータ」なる文字を予め表示部40Cに書込んでおくことによって、図3に例示したオルタネータ9のメンテンス作業を行うときには、移動部材35のマーク38がガイドレール33の目盛り39Cに一致する位置まで床板15を傾転させればよく、ねじ軸34の回転操作を必要最小限の操作に減じることができ、床板15を必要最小限の大きさに傾転させるだけで、例えばオルタネータ9のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
また、例えば図15に示す表示部40Bには「スタータ」なる文字を予め表示しておくことにより、図3に例示したスタータ10のメンテンス作業を行うときには、移動部材35のマーク38がガイドレール33の目盛り39Bに一致する位置まで床板15を傾転させればよく、ねじ軸34の回転操作を必要最小限の操作に減じることができる。
そして、この場合には図14、図15に示す如く床板15を必要最小限の大きさに傾転させるだけで、例えばスタータ10のメンテナンス作業を容易に行うことができ、床板15を全開位置まで大きく傾転させる必要をなくすことにより、メンテナンス時の作業性を確実に向上することができる。
また、図15に示す表示部40Aには「C/V」なる記号を予め書込んでおくことにより、図3中に例示したしたコントロールバルブ11のメンテンス作業を行うときには、移動部材35のマーク38がガイドレール33の目盛り39Aに一致する位置まで床板15を矢示A方向に大きく傾転させればよい。そして、この場合にはねじ軸34を回転させ、ガイドレール33の先端側まで移動部材35を移動させることにより、床板15の後側を大きく持上げることができる。
このように、床板15を全開位置までチルトアップしたときには、図3に示すように旋回フレーム5の前部側でアンダカバー5F上に設置したコントロールバルブ11を、ほぼ全体に亘って外部に露出させることができるから、作業者はこれらの部分に手を伸ばすことにより、コントロールバルブ11の点検、整備、修理等のメンテナンス作業を容易に行うことができ、コントロールバルブ11の交換作業も行うことができる。
また、ねじ軸34と移動部材35とが互いに螺合している傾転機構30は、ねじ軸34と移動部材35との間に所謂セルフロック機能が付与されているので、インパクトレンチ等の工具を用いてねじ軸34の回転操作を行うときに、ガイドレール33の長さ方向へと移動部材35を所望の位置まで移動させた段階で、ねじ軸34の回転操作を中断すれば、移動部材35の移動を停止させて床板15を所望の傾転位置で固定することができ、このときの傾転位置にストッパ等を用いることなく床板15を保持することができる。
従って、傾転機構30のねじ軸34を回転操作するオペレータ(メンテナンス作業者)は、床板15の下側に配置しているエンジン6、油圧ポンプ7、熱交換機8、オルタネータ9、スタータ10およびコントロールバルブ11等のメンテナンスを行うときに、これらの機械のいずれの部位をメンテナンス(保守、点検)するかに応じて、インジケータ37の表示を見ながら床板15の傾転位置を可変に調整でき、傾転操作を行う上でのオペレータの負担を大幅に軽減することができる。
そして、メンテンス作業時には、その作業内容に応じて床板15を必要最小限の大きさに傾転させ、必要以上に床板15を傾転させることなく、メンテナンス作業時の作業内容に応じた最適な傾転位置に床板15を保持することができ、床板15を常に全開位置まで傾転させる必要をなくし、メンテナンス時の作業効率を確実に向上することができる。
しかも、旋回フレーム5と床板15との間には、ガスダンパ等の障害物が存在しないため、メンテナンス作業のための作業スペースを十分に大きく確保することができる。また、傾転機構30は、ねじ軸34と移動部材35とを螺合させているから、上向きに傾転させた状態の床板15が、例えばガスダンパのようにガス漏れ等によって降りてくるような事態をなくすことができ、ストッパ部材等を特別に設ける必要性がなく、組立時の作業性等を向上することができる。
一方、前述の如きメンテナンス作業が完了したときには、インパクトレンチ等の工具でねじ軸34を逆方向に回転駆動すれば、移動部材35をガイドレール33に沿って取付枠部33A側に矢示D方向へと移動することができ、床板15、キャブ29等を矢示B方向へと下向きに傾転(チルトダウン)することができる。そして、その後は床板15の建屋取付板18を支持部材12にボルト止めすることにより、油圧ショベルの運転操作等を安全に行うことができる。
かくして、本実施の形態によれば、旋回フレーム5と床板15との間には、ガイドレール33、ねじ軸34および移動部材35等からなる傾転機構30を設け、床板15の傾転位置をインジケータ37により表示する構成としているので、床下側のメンテナンス作業のために、傾転機構30によって床板15をキャブ29等と一緒に上向きに傾転させるときには、エンジン6を含めた機械のいずれの部位をメンテナンス(保守、点検)するかに応じて、インジケータ37の表示を見ながら床板15の傾転位置を選択することができ、傾転操作を行う上でのオペレータの負担を大幅に軽減することができる。
また、インジケータ37の表示部40A,40B,40C,…は、床板15の傾転位置に応じて前記機械のいずれの部位がメンテナンス可能であるかを表示する構成としているので、インジケータ37の表示部40A,40B,40C等によって、例えばエンジン6、油圧ポンプ7、熱交換機8、オルタネータ9、スタータ10およびコントロールバルブ11等のいずれの部位がメンテナンス可能であるかを、オペレータに容易に報知することができ、床板15を傾転させるときの操作性や取扱い性を大幅に高めることができる。
また、床板15を上向きに傾転させたときには、旋回フレーム5と床板15との間にメンテナンス用の作業スペースを十分に確保でき、エンジン6、油圧機器等のメンテナンス作業を容易に行なうことができる。そして、傾転機構30は、ガスダンパのように常時付勢力を発生するものではないから、床板15を急に傾転させたり、押下げるのに大きな力を必要とすることはない。このため、床板15のチルトアップ作業、チルトダウン作業を安全に、かつ簡単に行なうことができる。
一方、傾転機構30のガイドレール33は、取付ブラケット31を介して支持部材12に取付け、移動部材35は床板15の側面板19に取付ける構成としているので、既存の部材を利用して傾転機構30を容易かつ安価に設置することができる。また、移動部材35は床板15の側面板19にスリーブ20等を介して取付けているから、床板15上にキャブ29を取付ける場合と、キャノピ(図示せず)を取付ける場合との両方に対応することができる。
また、傾転機構30は、床板15を傾転させたときに先端側が斜め上側を向くことになる。そして、傾転機構30の基端側は、支持部材12を構成する右前支柱12Dの傾斜面部12D1 に設けているから、床板15を傾転させたときに作用する大きな荷重を傾斜面部12D1 で確実に受承することができる。
また、傾転機構30のねじ軸34は、角部34Aに近い端部側をガイドレール33の連結板部33Cに取付け、他方の端部側は自由端となるようにレール部33B,33B間に配置している。これにより、例えばねじ軸34に歪が生じた状態で該ねじ軸34を回転させた場合でも、自由端となったねじ軸34の端部側が振れることで歪による動作抵抗を低減でき、ねじ軸34の耐久性、寿命を向上することができる。
さらに、ねじ軸34には、ガイドレール33の連結板部33Cから突出する端部側にインパクトレンチ等の工具が係合可能な角部34Aを設けているので、インパクトレンチ等の工具をねじ軸34の角部34Aに簡単に係合(連結)することができ、ねじ軸34の回転操作を円滑化し、傾転機構30を容易に作動させることができる。
次に、図16ないし図18は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、床板の傾転位置を表示するインジケータを、傾転機構のガイドレールを外側から覆うカバーと、該カバーの長さ方向に離間して穿設された複数の覗き穴とによって構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51は本実施の形態で採用したインジケータを示し、該インジケータ51は、第1の実施の形態で述べたインジケータ37に替えて傾転機構30に設けられるもので、後述のカバー52と複数の覗き穴53A,53B,…等とにより構成されている。このため、傾転機構30の移動部材35には、特別な表示等を形成する必要がなく、ガイドレール33のレール部33Bにも目盛り表示等は形成していないものである。
52はインジケータ51の主要部をなすカバーで、該カバー52は、図16に示すように横断面がコ字形状をなす板材を用いて形成され、ガイドレール33のレール部33B,33Bを外側から覆うようにガイドレール33に着脱可能に取付けられるものである。そして、カバー52は、図16、図17に示す如くガイドレール33の長さ方向に延び、その長さ寸法は、レール部33Bと同等または僅かに短い寸法に形成されている。
また、カバー52は、ガイドレール33のレール部33B,33Bを外側から覆うことにより、傾転機構30のねじ軸34、移動部材35のねじ穴35C等を外側から保護し、これらのねじ部材に外部の塵埃(ダスト)等が付着するのを防ぐ機能を有している。
53A,53B,53C,53D,…,53Nはカバー52に形成された複数の覗き穴(図17中に10個のみ図示)で、該覗き穴53A〜53Nは、カバー52の長さ方向に予め決められた間隔をもって穿設されている。そして、覗き穴53A〜53N間の間隔は、例えば図17にも示す如く取付枠部33Aに近い覗き穴53N側で穴間隔が比較的大きく、連結板部33C側に近づくに従って覗き穴53D,53C,53B,53A間の間隔は、漸次小さくなるように形成されている。
即ち、床下側のメンテナンス(保守、点検)を行うために床板15を上向き(矢示A方向)に傾転させるときには、この傾転角度が大きくなるにつれてメンテナンス箇所も増えてくる。このため、覗き穴53A〜53N間の間隔を、連結板部33C側に近づくに従って漸次小さくなるように設定しているものである。また、覗き穴53A〜53Nは、図16に示すようにカバー52の幅方向で下側寄りに配置され、カバー52内に雨水等が入っても水抜き穴を兼用できる構成となっている。
そして、傾転機構30のねじ軸34を回転操作するオペレータ(メンテナンス作業者)は、カバー52の外側から覗き穴53A〜53N内を覗くことにより、移動部材35の鍔部35Bが覗き穴53A〜53Nのうちいずれの位置に達しているかを視認でき、移動部材35の移動位置から床板15の傾転位置を確認できるものである。なお、図17、図18中では、移動部材35の鍔部35Bが覗き穴53Dの位置に達している場合を、一例として示している。
また、カバー52には、図17に例示するように覗き穴53A,53B,53C,…に隣接して表示部54A,54B,54C,…が設けられ、これらの表示部54A,54B,54C,…は、インジケータ51の一部を構成している。そして、表示部54A,54B,54C,…は、第1の実施の形態で述べた表示部40A,40B,40C,…と同様に、傾転機構30を用いて床板15を旋回フレーム5上から矢示A方向に傾転させたときに、その傾転位置に応じてエンジン6、コントロールバルブ11等のいずれの部位がメンテナンス可能であるかを、文字、記号等を用いて表示するものである。
即ち、表示部54A,54B,54C,…のうち表示部54Aには、図18に例示するように「C/V」なる記号が書込まれている。そして、この場合の表示部54Aは、移動部材35の鍔部35Bがカバー52の覗き穴53Aに達する位置まで、床板15を図17中の矢示A方向に大きく傾転させたときに、コントロールバルブ11(図3参照)のメンテンスが可能であることを表示するものである。
また、表示部54Bには図18に例示するように「スタータ」なる文字が書込まれている。そして、この場合の表示部54Bは、移動部材35の鍔部35Bがカバー52の覗き穴53Bに対応した位置まで床板15を傾転させたときに、図3に例示したスタータ10のメンテンスが可能であることを表示するものである。
さらに、表示部54Cには、例えば「オルタネータ」なる文字が書込まれ、この場合の表示部54Cは、移動部材35の鍔部35Bがカバー52の覗き穴53Cに対応した位置まで床板15を傾転させたときに、図3に例示したオルタネータ9のメンテンスが可能であることを表示する。なお、覗き穴53A,53B,53C以外の覗き穴53D,…,53Nにも、表示部54A,54B,54C,…と同様の表示がなされるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、インジケータ51の表示を確認することにより床板15の傾転位置を知ることができ、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態によれば、インジケータ51をカバー52と複数の覗き穴53A,53B,…等とにより構成している。
このため、傾転機構30のガイドレール33、移動部材35の鍔部35B等に特別な目盛り表示等を形成する必要がなくなり、オプション等での取付け、取外し等を容易に行うことができる。また、カバー52は、ガイドレール33のレール部33B,33Bを外側から覆うことにより、傾転機構30のねじ軸34、移動部材35のねじ穴35C等を外側から保護できる等の効果を奏する。
次に、図19は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態では前記第2の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。しかし、本実施の形態の特徴は、覗き穴53A,53B,53C,…に隣接して設ける表示部61A,61B,61C,…を、図形模様等を用いて形成する構成としたことにある。
ここで、表示部61A,61B,61C,…のうち表示部61Aには、図18に例示するように「C/V」なる記号が、コントロールバルブを示す図形(絵模様)と共に書込まれている。また、表示部61Bには、エンジンを示す略図形のなかでスタータに該当する部位を黒く塗り潰した絵模様が書込まれている。
また、表示部61Cには、エンジンを示す略図形のなかでオルタネータに該当する部位を黒く塗り潰した絵模様が書込まれている。なお、覗き穴53A,53B,53C以外の覗き穴53D,…にも、表示部61A,61B,61C,…と同様の表示がなされるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、インジケータ51の表示部61A,61B,61C,…に従って床板15の傾転位置(メンテナンス可能な部位)を知ることができ、前述した第2の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
次に、図20は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、フレームと傾転機構との相対位置を床板の傾転角度として表示する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、70は本実施の形態で採用した傾転機構で、該傾転機構70は、第1の実施の形態で述べた傾転機構30とほぼ同様に構成され、取付ブラケット71、連結ピン72、ガイドレール73およびねじ軸74等を有している。そして、この場合のねじ軸74にも、第1の実施の形態で述べた移動部材35と同様の移動部材(図示せず)が螺合して設けられるものである。
ここで、傾転機構70の取付ブラケット71は、第1の実施の形態で述べた取付ブラケット31と同様に、支持部材12の右前支柱12Dにボルト止めされるベース板71Aと、該ベース板71Aの表面に前,後方向に延びて平行に立設された一対の支持板71B(一方のみ図示)とにより構成されている。そして、取付ブラケット71の各支持板71Bは、ガイドレール73の取付枠部73Aを連結ピン72を介して上,下方向に回動可能に支持するものである。
しかし、この場合の取付ブラケット71には、支持板71Bの外側面に後述の目盛りマーク76が形成されている。また、ガイドレール73についても、第1の実施の形態で述べたガイドレール33と同様に構成され、基端側の取付枠部73A、一対のレール部73B,73B等を有しているものである。
75は本実施の形態で採用したインジケータで、該インジケータ75は、第1の実施の形態で述べたインジケータ37に替えて用いられ、床板15がキャブ29等と一緒に傾転するときの傾転位置を表示するものである。
しかし、この場合のインジケータ75は、取付ブラケット71の支持板71B側に設けた基準位置用の目盛りマーク76と、ガイドレール73の取付枠部73Aに設けられ連結ピン72を中心とした周方向に予め決められた間隔で離間した傾転位置または傾転角度表示用の目盛り77A,77B,77C,77D,…,77N(図20中に5個のみ図示)等とにより構成されている。
また、ガイドレール73の取付枠部73Aには、第1の実施の形態で述べた表示部40A,40B,40C,…と同様の表示部(いずれも図示せず)が、前記目盛り77A,77B,77C,77D,…,77Nに隣接して設けられるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、インジケータ75の表示に従って床板15の傾転位置(メンテナンス可能な部位)を知ることができ、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
なお、前記第4の実施の形態では、支持板71B側に設けた目盛りマーク76と、ガイドレール73の取付枠部73Aに設けた目盛り77A,77B,77C,77D,…等とによってインジケータ75を構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、床板15を傾転させるときの移動軌跡に従って、例えばキャブ29の側面部29A側に目盛り表示を行い、移動部材35側の移動位置を前記目盛り表示と比較して床板15の傾転位置を判別する構成としてもよい。
また、前記各実施の形態では、建設機械として床板15上にキャブ29を搭載したキャブ仕様の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、運転席の上方を覆うキャノピを備えたキャノピ仕様の油圧ショベル、または、キャブ、キャノピ等を備えずに、床板上に運転席のみが搭載された形式の油圧ショベルに適用してもよい。
さらに、本発明は油圧ショベルに限るものではなく、例えば油圧クレーン、ホイールローダ、ブルドーザ、またはリフトトラックと呼ばれる作業車両等、床板や運転席等を備えた他の建設機械にも広く適用できるものである。