JP4297743B2 - Multilayer electronic components - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型電子部品に関するものであり、より詳細には、例えば誘電体層に印加される直流電圧が2V/μm以上であるような高電圧用の積層セラミックコンデンサ等の積層型電子部品に関する。
【0002】
【従来技術】
積層セラミックコンデンサ(MLC)の誘電体層の形成に使用される誘電体材料には、小型・高容量化の為に、高い比誘電率が要求されるのはもちろんのこと、誘電損失が小さく、誘電特性の温度に対する依存性(以下、温度依存性ということがある。)や、誘電特性の直流電圧に対する依存性(以下、DCバイアス依存性ということがある。)が小さい等の種々の特性が要求される。
また、誘電体層の薄層化に伴い、積層セラミックコンデンサに印加する電界の増大による信頼性低下を抑制するために、粒子径のより小さい誘電体材料が使用されるようになってきた。
ペロブスカイト型(ABO3型)酸化物であるチタン酸バリウム(BaTiO3)は、コンデンサ等の電子部品に用いる誘電体材料として広く使用されており、特に小型・高容量で温度特性に優れた積層セラミックコンデンサ用の誘電体材料として、大きな比誘電率を示すサブミクロンオーダー粒径のBT焼結体が主流となっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上述した公知のBT系材料では、DCバイアス依存性が高く、直流電圧印加による比誘電率の減少が大きいという欠点がある。即ち、小型化の為に誘電体層の薄層化を推し進めると、誘電体層に印加される電界が増大する為、このようなBT系材料で形成された誘電体層から成るコンデンサでは、静電容量の減少が大きく、実効的静電容量が小さくなるという問題があった。
また、BT結晶粒子の粒径をサブミクロンオーダーよりさらに小さくしていくと、DCバイアス依存性を改善できるが、粒子サイズの微小化に伴い比誘電率も減少してしまうため、小型で高容量、かつDCバイアス特性を同時に満足することはできなかった。
例えば、平均粒径が0.1ないし0.3μmであり、温度特性の異なる2種類以上の微粒子結晶により構成された誘電体磁器が提案されており、この誘電体磁器は、平坦な温度依存性と、優れたDCバイアス特性(誘電特性の直流電圧に対する依存性の少ない性質)を有していることが知られている(例えば特許文献2参照)。
即ち、微粒子化により誘電体磁器の誘電的活性を小さくすることにより、優れた温度特性(誘電特性の温度に対する依存性の少ない性質)及びDCバイアス特性を得ている。
【0004】
しかしながら、0.1ないし0.3μmの様な粒子サイズでは、最大でも2100程度の比誘電率しか得られず、高容量化に限界があった。
また、原料の粒子サイズが0.3μm以下になると、焼結時に容易に固溶体を形成し粒成長してしまうため、原料粒子サイズを維持したまま緻密な焼結体を作製するには種々の条件が必要であり、上記先行技術の誘電体磁器の作製は困難であった。
更にBaTiO3のBaを一部Caで置換した(Ba1−xCax)TiO3(以下、BCTということがある)を用い、コアシェル構造を形成することにより、平坦な温度特性と、優れたDCバイアス特性を実現できることが知られている(例えば特許文献3参照)。
しかし、BaTiO3のBaの一部をCaで置換した場合には、Ca置換量が少量であっても、比誘電率が大きく減少することが知られている。即ち、BCT焼結粒子の粒径をサブミクロンオーダーとすることにより、温度特性やDCバイアス特性を向上させることはできても、比誘電率を2000以上に高めることは困難であった。
【0005】
また、BCTは、比誘電率の温度特性を制御する上で必要不可欠であるMg、希土類元素と混合し、焼成すると、Caの拡散にともなって、粒成長が起こり易く、厳しい条件制御が必要であった。特に、サブミクロンオーダー以下の粒径を有する原料を用いた場合には、著しい粒成長を起こしてしまう。さらに、BCTに含まれるCa量が多いほど原子拡散による粒成長が起こりやすく、BCTのCa置換量が数%以上の場合、微粒子焼結体を作製する事は容易ではなかった。さらに、粒成長を抑制するため低温で焼成した場合、Mgと希土類元素の拡散が不充分となり易く、温度特性が制御できないという問題があった。
さらに、一般に磁器では厚みを薄くすることにより絶縁抵抗が低下し、特に直流電圧が2V/μm以上であるような高電圧を印加する積層セラミックコンデンサでは、絶縁破壊電圧が低下し、部品寿命が短くなるという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−241075号公報
【特許文献2】
特開2002−274937号公報
【特許文献3】
特開2000−58378号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、比誘電率が大きく、かつ比誘電率の温度特性、及びDCバイアス特性が良好で、薄層化しても絶縁破壊電圧を向上でき、高電圧が印加されても静電容量の低下率が小さい積層型電子部品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型電子部品は、内部電極と誘電体層とを交互に積層してなる積層型電子部品であって、(i)前記誘電体層は少なくとも内部電極の近傍に位置する最外層と、該最外層の間に位置する中間層とを有し、(ii)前記最外層はそれぞれAサイトの一部がCaで置換されたペロブスカイト型チタン酸バリウム(BCT型結晶粒子)を含有する焼結体層からなり、(iii)前記中間層は、Aサイトの一部がCaで置換されていないペロブスカイト型チタン酸バリウム(BT型結晶粒子)を含有する焼結体層、又は、前記BCT型結晶粒子及び前記BT型結晶粒子を含有する焼結体層からなり、かつ、(iv)前記最外層を構成する焼結体層中のCa含有量は、前記中間層を構成する焼結体層中のCa含有量よりも多いことを特徴とする。
【0009】
本発明においては更に、前記最外層を構成する焼結体層中のCa含有量が0.3ないし6.0質量%であること、前記中間層を構成する焼結体層中のCa含有量が0ないし1.0質量%であること、前記BT型結晶粒子の全域にわたってMgとMnとが存在していること、前記BCT型結晶粒子は、該粒子中にMg、Mn及び希土類元素が粒子中心部よりも粒子表面側に偏在するように固溶しているコアシェル構造であること、前記最外層を構成する焼結体層のBCT型結晶粒子の結晶粒界、及び前記中間層を構成する焼結体層のBT型結晶粒子、又はBCT型結晶粒子及びBT型結晶粒子の結晶粒界に、アルカリ土類金属、及びSiを含有する複合酸化物からなるガラス層が形成されていることが望ましい。
【0010】
一般に、BT型結晶粒子は、逐次相転移に伴う原子の揺らぎに起因して4000を越す大きな比誘電率を示すが、逐次相転移の前駆現象である原子の揺らぎに起因した高比誘電率の為、DCバイアスの印加による比誘電率の減少が大きく絶縁性も低下しやすい。
前記BT型結晶粒子に見られる3つの逐次相転移点の内、最も高温(125℃程度)にある相転移温度は、Aサイトの一部がCaで置換されても殆ど変わることがないが、室温近傍とそれよりさらに低温の構造相転移点は、置換Ca量の増大に比例して低温にシフトする。即ち、BT型結晶粒子が高誘電率を示す大きな要因は、室温近傍とより低温での構造相転移の前駆現象である原子の揺らぎの増大である為、Aサイトの一部がCaで置換されたBCT型結晶粒子では、室温近傍及びさらに低温での転移点が低温側にシフトしており、比誘電率は減少するが、一方、DCバイアス特性が大きく向上すると共に絶縁性も向上する。
【0011】
本発明では、このように誘電体層は、内部電極の近傍に位置する最外層に、Aサイトの一部がCaで置換されたペロブスカイト型チタン酸バリウム(BCT型結晶粒子)を使用することにより、誘電体層の絶縁性を向上させるとともに、最外層の間に位置する中間層がサイトの一部がCaで置換していないペロブスカイト型チタン酸バリウム(BT型結晶粒子)を含有する焼結体層、又は、前記BCT型結晶粒子及び前記BT型結晶粒子を含有する焼結体層とすることにより、高容量でかつ高絶縁性が実現できる。
本発明において、上記特性を発揮させるために、最外層を構成する焼結体層中のCa含有量を、中間層を構成する焼結体層中のCa含有量よりも多くする必要がある。
尚、本発明においては通常、中間層は2つの最外層の間に位置するが、積層型電子部品において、その積層方法により内部電極近傍に位置しない最外層が存在する場合もあるが、このような最外層は、本発明のBCT型結晶粒子を含有する焼結体層とする必要はない。
【0012】
電極近傍の最外層中のCaの含有量は、好ましくは0.3ないし6.0質量%、特に好ましくは0.9ないし1.8質量%である。Ca含有量が前記0.3質量%以上で誘電体層の高絶縁性を確保することが十分可能となり、一方、前記6.0質量%以下で誘電率の低下を抑制することが可能となる。
また、誘電体層の中間層中のCa含有量は、1.0質量%以下が好ましい。Ca原子の含有量が前記1.0質量%以下の場合には、誘電体層全体の比誘電率の低下を防止することが可能で、積層型電子部品として必要な静電容量を得ることができる。
【0013】
本発明の誘電体層の中間層を構成するBT型結晶粒子は、その全域にわたってMg及びMnが存在し、非コアシェル構造であるのが望ましい。前述したようにBT型結晶粒子は、高比誘電率を示す一方、DCバイアス依存性が大きいが、Mg、Mnが結晶粒子中央部まで固溶することでその強誘電性が押さえられ、DCバイアス特性が向上する。
更に、前記BT型結晶粒子表面に、アルカリ土類金属、希土類元素及びSiを含有する複合酸化物からなる被覆層が形成されていることが望ましい。このように絶縁抵抗を向上するためのアルカリ土類元素が、希土類元素やSiとともに複合酸化物の形態でBT型結晶粒子表面に存在し、この複合酸化物が比較的高い絶縁抵抗を有するため、誘電体磁器の電界強度を高め、誘電体磁器の絶縁破壊電圧を向上することができる。
この場合、希土類元素としては、Y、Tb、Dy、Ho、Er及びYbから成る群より選択された少なくとも1種であることが好ましい。
アルカリ土類金属としては特に制限はないが、Ca又はSrが好ましい。
尚、BT型結晶粒子表面の被覆層中にBa、Tiは含まれない。
【0014】
最外層と、中間層の一部を構成する前記BCT型結晶粒子は、該粒子中にMg、Mn及び希土類元素が粒子中心部よりも粒子表面側に偏在するように固溶しているコアシェル構造であることが望ましい。
BCT型結晶粒子が粒子中心よりも粒子表面側に焼結助剤としての機能も有するMg、Mn、及び希土類元素が偏在したコアシェル型構造を形成することにより、高誘電率で、比誘電率の温度依存性やDCバイアス依存性が小さいという特性が顕著になる。
この場合、希土類元素としては、Y、Tb、Dy、Ho、Er及びYbから成る群より選択された少なくとも1種であることが好ましい。
【0015】
本発明の誘電体磁器の誘電体層には、中間層を構成する焼結体の全部又は一部に高比誘電率を示し、温度特性に優れたBT結晶粒子を使用し、最外層を構成する焼結体に、DCバイアス特性に優れ、コアシェル構造を有するBCT結晶粒子を使用する。このように、BT結晶粒子を含有する焼結体層と、BCT結晶粒子を含有する焼結体層との共存構造を実現して、誘電体層の高絶縁性を確保することにより、誘電体層をBT結晶粒子のみからなる焼結体とした場合に比べ、DCバイアス特性および絶縁性に優れ、また、BCTに比べ高誘電率であり、且つ誘電特性のDCバイアス依存性が小さいという特性を示すものである。
【0016】
本発明では、(i)最外層を構成する焼結体層のBCT型結晶粒子の結晶粒界、及び(ii)中間層を構成する焼結体層のBT型結晶粒子、又はBCT型結晶粒子及びBT型結晶粒子の結晶粒界に、アルカリ土類金属、及びSiを含有する複合酸化物からなるガラス層が形成されていることが望ましい。前記アルカリ土類金属として、Ca、Srが例示できる。
このガラス相は高絶縁性を有しており、添加成分が焼成時に液相を形成したもので、誘電体層の焼結を促進するとともに、その一部はBaTiO3粉末を被覆している希土類元素と反応して、焼結体中のBT型結晶粒子表面に被覆層を形成している。
【0017】
かくして本発明の積層型電子部品は、誘電体層が少なくとも内部電極の近傍に位置する最外層と該最外層の間に位置する中間層より構成され、該最外層はBCT型結晶粒子を含有する焼結体からなり、該中間層はBT型結晶粒子、又は前記BCT型結晶粒子及び前記BT型結晶粒子を含有する焼結体層からなり、該誘電体層の電極近傍における最外層のCa含有量が中間層よりも多い誘電体磁器にて形成されており、更に、好ましくは前記BT型結晶粒子の全域にわたってMg、Mnが存在するとともに、前記BT型結晶粒子表面に、アルカリ土類元素、希土類元素及びSiを含有する複合酸化物からなる被覆層を有し、かつ、前記BCT型結晶粒子がコアシェル構造を有することにより、高誘電率を有し、しかも、誘電特性の温度依存性やDCバイアス依存性も極めて小さく、絶縁抵抗、及び誘電体磁器の絶縁破壊電圧を高め、積層型セラミックコンデンサの誘電体層1層あたりの電界強度を向上することができるという極めて優れた特性を有している。
【0018】
【発明の実施の形態】
(結晶粒子)
誘電体層は、前記最外層の焼結体層を構成する、サイトの一部がCaで置換されたペロブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCT型結晶粒子)と、前記最外層の間に位置する中間層の全部又は一部を構成する、置換Caを含有していないペロブスカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BT型結晶粒子)、又は該BCT型結晶粒子とBT型結晶粒子によって構成される。
尚、中間層中におけるBCT型結晶粒子量は、BT型結晶粒子量よりも少ないことが望ましく、特に中間層はBT型結晶粒子を主体とすることが望ましく、更にはBT型結晶粒子のみからなることが望ましい。
BCT型結晶粒子は、Aサイト(Baサイト)の一部がCaで置換されたペロブスカイト型チタン酸バリウムであり、理想的には、下記式:
(Ba1−xCax)TiO3
で表されるが、本発明においては、Mg及び希土類元素が、通常、このBサイトに固溶している(Aサイトに固溶していることもある)。
一方、BT型結晶粒子は、Ca非置換型のペロブスカイト型チタン酸バリウムであり、理想的には、下記式:
BaTiO3
で表されるが、上記のBCT型結晶粒子と同様、このBT型結晶粒子においても、このBサイトに、通常、Mg、Mn及び希土類元素が固溶している。
【0019】
本発明において、上記BCT型結晶粒子におけるAサイト中のCa置換量は、2ないし30モル%、特に5ないし10モル%であることが好ましい。
Ca置換量が2ないし30モル%の範囲内であれば、室温付近の相転移点が十分低温にシフトし、BT型結晶粒子との共存構造により、コンデンサとして使用する温度範囲において優れたDCバイアス特性を確保できるからである。
例えば、Ca置換量が上記範囲よりも少量の時は、その誘電特性は、BT型結晶粒子との差異が少なく、BCT型結晶粒子を用いる有効性が小さくなってしまう。一方、Ca置換量が上記範囲よりも多くなると、CaTiO 3 の析出により、誘電率の低下を生じるおそれがある。
ただし、誘電近傍においては、BT及びBCT型結晶粒子に対して10モル%以下の割合でCaTiO3が析出しても構わない。
【0020】
本発明において、誘電体層の比誘電率を高め、且つ比誘電率の温度依存性を抑制するために、BCT型結晶粒子は0.2ないし0.8μmの平均粒径を有していることが好ましく、BT型結晶粒子は0.1ないし0.5μmの平均粒径を有していることが好ましい。
例えば、これら結晶粒子の平均粒径が前記粒径未満であると、これら結晶粒子の比誘電率は何れも低い値となり、誘電体磁器の比誘電率を高めることが困難となる場合が生じる。また、焼成に際して、両者の間で容易に固溶が生じ、共存構造の実現が困難になるおそれがある。一方、これら結晶粒子の平均粒径が前記粒径を超えると、その粒子サイズの増大に伴って誘電率が増大し、DCバイアス依存性が大きくなるおそれがある。
尚、本発明において、BCT型結晶粒子の平均粒径は前記0.2ないし0.8μmが好ましいが、0.3ないし0.7μmが特に好ましい、また、BT型結晶粒子の平均粒径は0.1ないし0.5μmがこの好ましいが、0.2ないし0.4μmが特に好ましい。
【0021】
Mg、Mnについては、殆どがBCT型結晶粒子及びBT型結晶粒子内に固溶するが、一部粒界に存在し、非晶質相を形成する場合がある。
本発明においては、既に述べた通り、BCT型結晶粒子及びBT型結晶粒子の何れにも、Mg及び希土類元素が固溶しているのが望ましい。これらの元素成分は、原料粒子の焼結性を高め、粒成長を抑制し、前述した平均粒径の結晶粒子を形成させるための焼結助剤として使用されるMg化合物及び希土類元素化合物の被覆成分に由来するものであり、希土類元素としては、特に制限されるものではないが、上記したように、特に希土類元素としてはY、Tb、Dy、Ho、Er及びYbを例示することができ、これら希土類元素は、一種単独でも2種以上であってもよい。
【0022】
また、Mg及び希土類元素は、一部がこれら結晶粒子の粒界に存在する場合がある。粒界に存在する場合は主として非晶質として存在する。
Mg及び希土類元素は焼結過程においては以下のような役割を果たしている。BT及びBCT結晶粒子は、何れも、焼結時に原子拡散による粒成長を起こしやすく、微小粒径の緻密焼結体を得にくい。特に、用いた原料粒子サイズがサブミクロンより小さい場合、粒子体積に対し、表面積が大きな割合を占め、表面エネルギーが大きいことによって、エネルギー的に不安定な状態になってしまう。このため、焼成に際して、原子拡散による粒成長を生じ、表面積が小さくなって表面エネルギーの低下による安定化が生じる。
【0023】
従って、粒成長が起こりやすく、微小サイズの粒子からなる緻密焼結体は得にくいものとなっている。具体的には、0.1μmより小さい微小粒子サイズのBT及びBCTの焼結体は、容易に固溶・粒成長を生じ、粒子間の原子の移動を抑制するものを粒子間に導入しなければ容易に1μmを越える大きな粒子サイズからなる焼結体が形成されてしまい、サブミクロン以下の微小粒子サイズからなる緻密な焼結体を得るのは困難である。
しかるに、微小結晶原料とともに、MgとYの様な希土類元素を添加剤として導入し、さらに焼成条件を調整する事により、原料結晶粒子のサイズを反映した微小粒子焼結体を得る事ができる。これらの添加物は、粒子表面に拡散し液相を形成する事により、焼結を促進するとともに、粒界近傍及び粒界に存在して母相であるBT、BCT結晶粒子間におけるBa、Ca、Ti原子の移動を妨げ、粒成長を抑制する。
尚、BT、BCT結晶粒子中における各元素の固溶、拡散状態は、これらの結晶粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
【0024】
また本発明の積層型電子部品の誘電体層においては、焼結助剤成分として、BT粉末、BCT粉末の合計100質量部に対して、それぞれ酸化物換算で、Mgが0.05ないし0.5質量部、特に0.08ないし0.3質量部、希土類元素が0.1ないし1.7質量部、特に0.1ないし1.5質量部含有していることが好ましい。これらは、前記の如く、焼結助剤に由来する元素成分であり、少なくとも一部はBCT型結晶粒子のシェル部及びBT型結晶粒子中に固溶している。これら元素成分の量が上記範囲の下限以上にすると、緻密な焼結体を得られ易くなり、誘電体磁器の温度特性やDCバイアス特性の低下を抑制できる。また、これらの元素成分の量が上記範囲の上限以下にすると、上記結晶粒子の粒界への析出量を抑制できる結果、誘電体磁器の優れた特性を維持できる。
【0025】
さらに、本発明の積層型電子部品は、上述した結晶粒子やMg、希土類元素成分以外の他の成分を含有していてもよく、例えば、Mnを、BT粉末、BCT粉末の合計100質量部に対して、MnO換算で0.25質量部以下、特に0.03ないし0.15質量部の割合で含有してもよい。Mnは、還元雰囲気における焼成によって生成するBT、BCT結晶中の酸素欠陥を補償し、絶縁的信頼性を向上させるために使用される。このようなMn成分を含有させることにより、誘電体磁器の電気的絶縁性が増大し、また高温負荷寿命を大きくし、コンデンサ等の電子部品としての信頼性が高められる。尚、Mn含量が上記範囲よりも多量となると、誘電体磁器の比誘電率及び絶縁性が低下するおそれがある。このようなMnは、主としてBT結晶粒子やBCT結晶粒子内部に拡散し固溶するが、粒界に非晶質として存在することもある。
また耐還元性を向上するとともに、異常粒成長を抑制するために少量のBaCO3を含有していてもよい。
【0026】
(誘電体層)
本発明の積層型電子部品は、誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなるものであり、内部電極に挟まれた誘電体層の電極近傍における最外層を構成する焼結体のCa含有量が中間層を構成する焼結体のCa含有量よりも多いという組成分布を有する。誘電体層厚みは、高い絶縁性が要求されるという点から、本発明は、誘電体層の厚みが4μm以下の場合に好適に用いられる。このような積層型電子部品は、例えば、先ず、誘電体層となるグリーンシートを作製する。このグリーンシートは、(Ba,Ca)TiO3原料粉末及びBaTiO3原料粉末の混合物を用いて形成され、上記組成分布を実現するためには、たとえばBT原料を主としたグリーンシートをBCT原料を主としたグリーンシートで挟んで形成する。
【0027】
主原料の(Ba、Ca)TiO3粉及びBaTiO3粉の合成法は、固相法、液相法(シュウ酸塩を経過する方法等)、水熱合成法等があるが、そのうち粒度分布が狭く、結晶性が高いという理由から水熱合成法が望ましい。BaTiO3粉の平均粒径は(Ba、Ca)TiO3粉の平均粒径よりも小さく、(Ba、Ca)TiO3粉、被覆BaTiO3粉の平均粒径はそれぞれ0.2ないし0.8μm、0.1ないし0.5μmが好ましい。
そして、本発明の誘電体磁器を作製するには、BaTiO3原料粉末として、その表面を希土類元素、Mg及びMnのそれぞれの酸化物の混合物で被覆したもの(以下、被覆BaTiO3粉ということもある)を用いる。このようなBaTiO3原料粉末の被覆手法としては、固相法、液相法、気相法などがあるが、手法は特に限定されるものではない。上記のBaTiO3粉の表面に形成された被覆膜は、Mg、Mn、及び希土類元素の3種類の元素が混合されており、これらの元素が酸化物の状態で混在した状態となっている。被覆層には少なくとも希土類元素を含む必要がある。
【0028】
また、Mg、Mn、及び希土類元素による被覆量は、BaTiO3粉100質量部に対して酸化マグネシウム(MgO)を0.1ないし0.3質量部、酸化マンガン(MnO)を0.1ないし0.3質量部、酸化イットリウム(Y2O3)を0.5ないし1.5質量部が望ましい。
グリーンシートの組成は、(Ba、Ca)TiO3粉と、被覆BaTiO3粉に対して、Li2O、SiO2及びCaOを含む添加物成分(ガラス成分)を、(Ba、Ca)TiO3粉及び被覆BaTiO3粉の混合粉100質量部に対して0.5ないし2質量部添加して構成されている。さらに上記した焼結助剤として所望のMg化合物、Mn化合物、希土類酸化物粉末を添加することもできる。
次に、上記グリーンシートに内部電極ペーストを塗布して内部電極パターンを形成し、これを乾燥させ、この内部電極パターンが形成されたグリーンシートを複数枚積層し、熱圧着させる。その後、この積層物を格子状に切断して、電子部品本体の成形体を得る。この電子部品本体の成形体の両端面には、内部電極パターンの端部が交互に露出している。
【0029】
次に、この電子部品本体成形体を大気中で5〜40℃/hの昇温速度で200〜400℃にて脱バインダ処理を行い、その後、還元雰囲気中で500℃からの昇温速度を100〜400℃/hとし、1100〜1250℃の温度で2〜5時間焼成し、続いて100〜400℃/hの降温速度で冷却し、窒素雰囲気中900〜1100℃で再酸化処理を行う。
特に、500℃からの昇温速度を100〜400℃/hとし、1180〜1240℃の温度で焼成することにより、内部電極に挟まれた誘電体層の電極近傍における最外層のCa含有量が中間層のCa含有量よりも多く、コアシェル構造を有するBCT型結晶粒子と中央部までMg、Mnが固溶したBT型結晶粒子の共存を実現し、アルカリ土類金属、希土類元素及びSiを含有する複合酸化物をBT型結晶粒子表面に存在させることができる。
【0030】
即ち、コアシェル構造を有するBCT結晶粒子と、アルカリ土類元素、希土類元素及びSiからなる被覆層を有し、中央部までMg、Mnが固溶したBT型結晶粒子が共存している誘電体磁器は、(Ba、Ca)TiO3粉よりも平均粒径の小さいBaTiO3粉に、Y、Mg、Mnの3種類の元素を同時に湿式法により化学的に被覆し、(Ba、Ca)TiO3粉と被覆BaTiO3粉に対して、CaO、Li2O及びSiO2とを含む添加物成分を混合し、この誘電体磁器を還元雰囲気中で500℃から焼結温度までの昇温速度を100〜400℃/hとし、1100〜1250℃の温度で2〜5時間焼結し、続いて100〜400℃/hの降温速度で冷却することによって生成させることができる。
この後、焼成した電子部品本体の両端面に、外部電極ペーストを塗布して窒素中で焼き付けることによって外部電極を形成する。さらに外部電極の表面を脱脂、酸洗浄、純水を用いた水洗を行った後、バレル方式により、メッキを行う。
【0031】
このような積層セラミックコンデンサからなる積層型電子部品では、高誘電率で、誘電体層1層あたりの電界強度を高め、絶縁破壊電圧を向上させることができ、高温負荷試験における信頼性をも向上することができるため、高容量化・小型化をさらに推し進めることができる。更に、平均粒径の小さい誘電体磁器を用いていることにより、誘電体層厚みを容易に薄層化することができ、静電容量の向上、小型化が可能になると共に、Ni、Cu等の卑金属を導体として用いることにより、安価な積層セラミックコンデンサが得られる。
【0032】
【実施例】
積層型電子部品の一つである積層セラミックコンデンサを以下のようにして作製した。まず、誘電体素材料として、BaTiO3100質量部に対して、MgOを0.2質量部、MnOを0.1質量部と、表1に示すY2O3、Tb2O3、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3及びYb2O31.0質量部とからなる被覆層を有する、平均粒径0.2〜0.4μmの被覆BaTiO3粉末を用い、この被覆BaTiO3粉末100質量部に対してLi2O、SiO2、BaO、CaOを含有する低融点ガラス粉末1.0質量部とを混合し、直径5mmのZrO2ボールを用いたボールミルにて湿式粉砕したものに有機バインダを加えてスリップを作製した(スリップA)。また、(Ba、Ca)TiO3粉末100質量部に対して、Li2O、SiO2、BaO、CaOを含有する低融点ガラス粉末を1.0質量部と、さらに表1に示す粉末添加物成分を、表1に示す割合で添加し、直径5mmのZrO2ボールを用いたボールミルにて湿式粉砕したものに有機バインダを加えスリップを作製した(スリップB)。尚、表1において、BCT粉末のAサイトのCa置換量は、式:(Ba1−xCax)TiO3におけるxの値で示した。
【0033】
次に、スリップBを用いてドクターブレードにより厚み1.5μmのグリーンシートを作製し、その上にスリップAを用いて厚み2.0μmのグリーンシートを作製し、さらにその上にスリップBを用いて厚み1.5μmのグリーンシートを作製し、合計5.0μmのグリーンシートを得た。更に、スリップAとスリップBを1:1の割合で混合したスリップCを作製し、上記スリップAの代わりに使用してグリーンシートを作製した。
次にこのグリーンシート上に、Niを主成分とする内部電極ペーストをスクリーン印刷した。
【0034】
次に、内部電極ペーストを印刷したグリーンシートを100枚積層し、その上下面に、内部電極ペーストを印刷していないグリーンシートをそれぞれ20枚積層し、プレス機を用いて一体化し、積層成形体を得た。
次に、積層成形体を10℃/hの昇温速度で大気中で300℃/hにて脱バインダ処理を行い、500℃からの昇温速度が300℃/hの昇温速度で、1100〜1250℃(酸素分圧10−11atm)で2時間焼成し、続いて300℃/hの降温速度で1000℃まで冷却し、窒素雰囲気中1000℃で4時間再酸化処理をし、300℃/hの降温速度で冷却し、電子部品本体を作製した。この誘電体層の厚みは3.7μmであり、最外層の厚みは1.1μm、中間層の厚みは1.5μmであった。
比較例(表1〜2中の試料No.に*印を付して示す。)として、BT粉末のみ(試料No.13)、BCT粉末のみ(試料No.14)を用いて電子部品本体を作製した。
【0035】
次に、焼成した電子部品本体をバレル研磨した後、電子部品本体の両端部にCu粉末とガラスを含んだ外部電極ペーストを塗布し、850℃、窒素中で焼き付けを行い外部電極を形成した。その後、電解バレル機を用いて、この外部電極の表面に、順にNiメッキ及びSnメッキを行い、積層セラミックコンデンサを作製した。
次に、これらの積層セラミックコンデンサの比誘電率の温度特性、DCバイアス特性及び高温負荷寿命(MTTF)の測定を行った。比誘電率の温度特性は周波数1.0kHz、測定電圧0.5Vrmsの測定条件で、DCバイアス特性は20℃、0Vの場合に対して室温で8Vの直流電圧をかけた場合の容量変化として示した。
また、高温負荷試験は、温度125℃、電圧64Vの条件で、試料数100個につき絶縁破壊時間を測定し、その平均値(MTTF)を算出した。また、比誘電率は、静電容量と内部電極層の有効面積、誘電体層の厚みから算出した。誘電体層のCa元素分布はEPMAにより、最外層、中間層の部分を確認した。その結果を表2に記載する。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
表2から、本発明の積層型電子部品であるセラミックコンデンサは、誘電体層の比誘電率2000以上を示し、温度変化率、DCバイアス、高温負荷寿命とも優れた特性を示した。
一方、BT粉末のみを用いた場合(試料No.13)では、耐絶縁性に優れたBCT結晶粒子が存在しないため、比誘電率は高いが耐絶縁性が低いものであった。さらに、BCT原料のみを用いた場合(試料No.14)では、比誘電率が低く、充分な容量が得られなかった。
また、中央部にBTとBCTが共存している場合(試料No.15、16)でも必要な特性を満足する積層コンデンサが得られた。
【0039】
【発明の効果】
本発明の積層型電子部品では、誘電体層の比誘電率が2000以上で、比誘電率の温度特性が±10%以内で、かつ2V/μmのDCバイアス印加による比誘電率の変化率が20%以内の特性を有し、絶縁破壊電圧を向上でき、それにより高電圧が印加されても静電容量の低下率が小さい小型・高容量・高信頼性の積層型セラミックコンデンサ等の積層型電子部品を実現することができる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a multilayer electronic component, and more specifically, for example, a multilayer electronic component such as a high voltage multilayer ceramic capacitor in which a DC voltage applied to a dielectric layer is 2 V / μm or more. About.
[0002]
[Prior art]
The dielectric material used for the formation of the dielectric layer of the multilayer ceramic capacitor (MLC) is required to have a high relative dielectric constant for miniaturization and high capacity, as well as low dielectric loss. Various characteristics such as low dependence of dielectric characteristics on temperature (hereinafter also referred to as temperature dependence) and low dependence of dielectric characteristics on DC voltage (hereinafter sometimes referred to as DC bias dependence). Required.
Further, as the dielectric layer is made thinner, a dielectric material having a smaller particle diameter has been used in order to suppress a decrease in reliability due to an increase in the electric field applied to the multilayer ceramic capacitor.
Perovskite type (ABO3Type) barium titanate (BaTiO)3) Is widely used as a dielectric material for electronic components such as capacitors, and is a submicron order that exhibits a large relative dielectric constant, especially as a dielectric material for multilayer ceramic capacitors with excellent temperature characteristics and small size. A BT sintered body having a particle size has become the mainstream (see, for example, Patent Document 1).
[0003]
By the way, the above-mentioned known BT materials have the disadvantages that they are highly dependent on DC bias and that the relative permittivity is greatly reduced by applying a DC voltage. In other words, if the thickness of the dielectric layer is reduced for miniaturization, the electric field applied to the dielectric layer increases. Therefore, in a capacitor composed of a dielectric layer formed of such a BT-based material, There has been a problem that the capacitance is greatly reduced and the effective capacitance is reduced.
In addition, if the particle size of the BT crystal particles is made smaller than the submicron order, the DC bias dependency can be improved, but the relative permittivity also decreases as the particle size becomes smaller, so the size and capacity are reduced. In addition, the DC bias characteristics could not be satisfied at the same time.
For example, a dielectric ceramic composed of two or more kinds of fine crystal having an average particle diameter of 0.1 to 0.3 μm and different temperature characteristics has been proposed. This dielectric ceramic has a flat temperature dependence. In addition, it is known to have excellent DC bias characteristics (characteristics that the dielectric characteristics are less dependent on the DC voltage) (see, for example, Patent Document 2).
That is, by reducing the dielectric activity of the dielectric ceramic by making the particles fine, excellent temperature characteristics (characteristics with less dependence of dielectric characteristics on temperature) and DC bias characteristics are obtained.
[0004]
However, when the particle size is 0.1 to 0.3 μm, only a relative dielectric constant of about 2100 is obtained at the maximum, and there is a limit to increasing the capacity.
In addition, when the particle size of the raw material is 0.3 μm or less, a solid solution is easily formed during grain sintering and grain growth occurs. Therefore, there are various conditions for producing a dense sintered body while maintaining the raw material particle size. Therefore, it is difficult to produce the dielectric ceramic according to the prior art.
Furthermore BaTiO3Ba was partially substituted with Ca (Ba1-xCax) TiO3It is known that a flat temperature characteristic and an excellent DC bias characteristic can be realized by forming a core-shell structure (hereinafter also referred to as BCT) (see, for example, Patent Document 3).
However, BaTiO3It is known that when a part of Ba is replaced with Ca, the relative dielectric constant is greatly reduced even if the amount of Ca substitution is small. That is, although the temperature characteristics and DC bias characteristics can be improved by setting the particle size of the BCT sintered particles to the submicron order, it is difficult to increase the relative dielectric constant to 2000 or more.
[0005]
In addition, when BCT is mixed with Mg and rare earth elements, which are indispensable for controlling the temperature characteristics of relative permittivity, and fired, grain growth is likely to occur as Ca diffuses, and strict condition control is required. there were. In particular, when a raw material having a particle size of submicron order or less is used, significant grain growth occurs. Further, as the amount of Ca contained in BCT increases, grain growth is more likely to occur due to atomic diffusion. When the amount of Ca substitution in BCT is several percent or more, it is not easy to produce a fine particle sintered body. Furthermore, when firing at a low temperature to suppress grain growth, there is a problem that the diffusion of Mg and rare earth elements tends to be insufficient and the temperature characteristics cannot be controlled.
Furthermore, in general, the insulation resistance of a porcelain is reduced by reducing the thickness. In particular, in a multilayer ceramic capacitor that applies a high voltage such that the DC voltage is 2 V / μm or more, the dielectric breakdown voltage is reduced and the life of the component is shortened. There was a problem of becoming.
[0006]
[Patent Document 1]
JP-A-9-241075
[Patent Document 2]
JP 2002-274937 A
[Patent Document 3]
JP 2000-58378 A
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has a large relative dielectric constant, good temperature characteristics and DC bias characteristics of the relative dielectric constant, can improve the dielectric breakdown voltage even when the layer is thinned, and lower the capacitance even when a high voltage is applied. An object of the present invention is to provide a multilayer electronic component having a low rate.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The multilayer electronic component of the present invention includes an internal electrode and a dielectric layer.When(I) The dielectric layer is at least an outermost layer located in the vicinity of the internal electrode, and an intermediate layer located between the outermost layers.When(Ii)AboveEach outermost layer is composed of a sintered body layer containing perovskite-type barium titanate (BCT-type crystal particles) in which a part of the A site is substituted with Ca, and (iii)AboveMiddle classASintered body layer containing perovskite-type barium titanate (BT type crystal particles) in which a part of the site is not substituted with Ca, or a sintered body layer containing the BCT type crystal particles and the BT type crystal particles And (iv)AboveThe Ca content in the sintered body layer constituting the outermost layer isAboveMore than the Ca content in the sintered body layer constituting the intermediate layer.
[0009]
In the present invention,The aboveCa content in the sintered body layer constituting the outermost layer is 0.3 to 6.0% by massThat,AboveThe Ca content in the sintered body layer constituting the intermediate layer is 0 to 1.0% by mass, and Mg and Mn over the entire area of the BT type crystal particlesWhenexistHaveThe BCT-type crystal particles have a core-shell structure in which Mg, Mn and rare earth elements are solid-dissolved in the particles so as to be unevenly distributed on the particle surface side rather than the particle center portion;AboveA grain boundary of BCT-type crystal grains of the sintered body layer constituting the outermost layer, andAboveA glass layer made of a complex oxide containing an alkaline earth metal and Si is formed at the crystal grain boundary of the sintered body layer constituting the intermediate layer or the BCT type crystal particles and the BT type crystal particles. It is desirable that
[0010]
In general, BT type crystal particles show a large relative dielectric constant exceeding 4000 due to atomic fluctuation accompanying sequential phase transition, but high relative dielectric constant due to atomic fluctuation, which is a precursor of sequential phase transition. For this reason, the dielectric constant is greatly reduced by the application of the DC bias, and the insulating property is likely to be lowered.
Of the three sequential phase transition points found in the BT crystal grains, the phase transition temperature at the highest temperature (about 125 ° C.) hardly changes even when a part of the A site is replaced with Ca. The structural phase transition point near room temperature and lower than that shifts to a low temperature in proportion to an increase in the amount of substituted Ca. That is, the major factor that the BT type crystal particles exhibit a high dielectric constant is an increase in atomic fluctuation, which is a precursor of the structural phase transition near room temperature and at a lower temperature, so that a part of the A site is replaced with Ca. In the BCT-type crystal particles, the transition point near room temperature and at a lower temperature is shifted to a lower temperature side, and the relative dielectric constant is decreased. On the other hand, the DC bias characteristics are greatly improved and the insulation is also improved.
[0011]
In the present invention, the dielectric layer is formed by using perovskite-type barium titanate (BCT-type crystal particles) in which a part of the A site is replaced with Ca in the outermost layer located in the vicinity of the internal electrode. A sintered body containing perovskite-type barium titanate (BT-type crystal particles) in which the insulating layer of the dielectric layer is improved and the intermediate layer located between the outermost layers is partially replaced with Ca By using a layer or a sintered body layer containing the BCT type crystal particles and the BT type crystal particles, high capacity and high insulation can be realized.
In this invention, in order to exhibit the said characteristic, it is necessary to make Ca content in the sintered compact layer which comprises an outermost layer larger than Ca content in the sintered compact layer which comprises an intermediate | middle layer.
In the present invention, the intermediate layer is usually located between the two outermost layers. However, in the laminated electronic component, there may be an outermost layer that is not located in the vicinity of the internal electrode depending on the lamination method. The outermost layer need not be a sintered body layer containing the BCT type crystal particles of the present invention.
[0012]
The Ca content in the outermost layer in the vicinity of the electrode is preferably 0.3 to 6.0% by mass, particularly preferably 0.9 to 1.8% by mass. When the Ca content is 0.3% by mass or more, it is possible to sufficiently ensure the high insulating property of the dielectric layer. On the other hand, when the Ca content is 6.0% by mass or less, a decrease in dielectric constant can be suppressed. .
Further, the Ca content in the intermediate layer of the dielectric layer is preferably 1.0% by mass or less. When the content of Ca atoms is 1.0% by mass or less, it is possible to prevent a decrease in the dielectric constant of the entire dielectric layer, and to obtain a necessary capacitance for the multilayer electronic component. it can.
[0013]
The BT crystal particles constituting the intermediate layer of the dielectric layer of the present invention desirably have a non-core shell structure in which Mg and Mn are present throughout the entire region. As described above, the BT type crystal particles exhibit a high relative dielectric constant and have a large DC bias dependency. However, the Mg and Mn are dissolved in the center of the crystal particles to suppress the ferroelectricity, and the DC bias. Improved characteristics.
Furthermore, it is desirable that a coating layer made of a composite oxide containing an alkaline earth metal, a rare earth element and Si is formed on the surface of the BT crystal particles. Since the alkaline earth element for improving the insulation resistance is present on the surface of the BT crystal particles in the form of a complex oxide together with rare earth elements and Si, the complex oxide has a relatively high insulation resistance. The electric field strength of the dielectric ceramic can be increased, and the dielectric breakdown voltage of the dielectric ceramic can be improved.
In this case, the rare earth element is preferably at least one selected from the group consisting of Y, Tb, Dy, Ho, Er, and Yb.
The alkaline earth metal is not particularly limited, but Ca or Sr is preferable.
Incidentally, Ba and Ti are not contained in the coating layer on the surface of the BT type crystal particles.
[0014]
The BCT type crystal particles constituting the outermost layer and a part of the intermediate layer have a core-shell structure in which Mg, Mn and rare earth elements are solid-dissolved in the particles so as to be unevenly distributed on the particle surface side from the particle center portion. It is desirable that
By forming a core-shell type structure in which BCT-type crystal particles have Mg, Mn, and rare earth elements unevenly distributed on the particle surface side from the particle center, the dielectric constant is high. The characteristic that temperature dependency and DC bias dependency are small becomes remarkable.
In this case, the rare earth element is preferably at least one selected from the group consisting of Y, Tb, Dy, Ho, Er, and Yb.
[0015]
The dielectric layer of the dielectric ceramic according to the present invention uses BT crystal particles that exhibit a high relative dielectric constant for all or part of the sintered body constituting the intermediate layer and have excellent temperature characteristics, and constitute the outermost layer. As the sintered body, BCT crystal particles having excellent DC bias characteristics and a core-shell structure are used. Thus, by realizing a coexistence structure of the sintered body layer containing the BT crystal particles and the sintered body layer containing the BCT crystal particles and ensuring high insulation of the dielectric layer, Compared with the case where the layer is made of a sintered body composed only of BT crystal particles, it has excellent DC bias characteristics and insulation properties, has a higher dielectric constant than BCT, and has low DC bias dependency of dielectric characteristics. It is shown.
[0016]
In the present invention, (i) the grain boundary of the BCT type crystal particles of the sintered body layer constituting the outermost layer, and (ii) the BT type crystal particles of the sintered body layer constituting the intermediate layer, or the BCT type crystal particles It is desirable that a glass layer made of a complex oxide containing an alkaline earth metal and Si is formed at the grain boundary of the BT crystal grains. Examples of the alkaline earth metal include Ca and Sr.
This glass phase has a high insulating property, and the additive component forms a liquid phase at the time of firing, and promotes the sintering of the dielectric layer, and part of it is BaTiO.3It reacts with the rare earth element covering the powder to form a coating layer on the surface of the BT crystal particles in the sintered body.
[0017]
Thus, in the multilayer electronic component of the present invention, the dielectric layer is composed of at least the outermost layer located in the vicinity of the internal electrode and the intermediate layer located between the outermost layers, and the outermost layer contains BCT type crystal particles. It consists of a sintered body, and the intermediate layer is made of BT type crystal particles, or a sintered body layer containing the BCT type crystal particles and the BT type crystal particles, and contains Ca in the outermost layer near the electrode of the dielectric layer It is formed of a dielectric ceramic whose amount is larger than that of the intermediate layer, and more preferably, Mg and Mn are present over the entire area of the BT type crystal particles, and an alkaline earth element on the surface of the BT type crystal particles, It has a coating layer made of a complex oxide containing rare earth elements and Si, and the BCT type crystal particles have a core-shell structure, so that it has a high dielectric constant, and the temperature dependence of dielectric properties C bias dependence is extremely small, and it has extremely excellent characteristics that it can increase the insulation resistance and the dielectric breakdown voltage of the dielectric ceramic, and can improve the electric field strength per dielectric layer of the multilayer ceramic capacitor. ing.
[0018]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
(Crystal particles)
The dielectric layer is located between the outermost layer and the perovskite-type barium titanate crystal particles (BCT-type crystal particles) constituting a part of the outermost sintered body layer, the sites of which are replaced with Ca. Perovskite-type barium titanate crystal particles (BT-type crystal particles) that do not contain substituted Ca and that constitute all or part of the intermediate layer, or the BCT-type crystal particles and BT-type crystal particles.
The amount of BCT-type crystal particles in the intermediate layer is preferably smaller than the amount of BT-type crystal particles. In particular, the intermediate layer is preferably mainly composed of BT-type crystal particles, and further comprises only BT-type crystal particles. It is desirable.
The BCT type crystal particle is a perovskite type barium titanate in which a part of the A site (Ba site) is substituted with Ca, and ideally the following formula:
(Ba1-xCax) TiO3
In the present invention, Mg and rare earth elements are usually dissolved in the B site (sometimes dissolved in the A site).
On the other hand, the BT-type crystal particles are Ca-free perovskite-type barium titanate, and ideally the following formula:
BaTiO3
As in the BCT type crystal particle, Mg, Mn and rare earth elements are usually dissolved in the B site in the BT type crystal particle.
[0019]
In the present invention, the amount of Ca substitution in the A site in the BCT type crystal particles is preferably 2 to 30 mol%, particularly 5 to 10 mol%.
If the amount of Ca substitution is in the range of 2 to 30 mol%, the phase transition point near room temperature shifts to a sufficiently low temperature, and a DC bias excellent in the temperature range used as a capacitor due to the coexistence structure with BT type crystal particles. This is because the characteristics can be secured.
For example, when the amount of Ca substitution is smaller than the above range, the dielectric property is less different from that of the BT type crystal particles, and the effectiveness of using the BCT type crystal particles is reduced. On the other hand, when the amount of Ca substitution exceeds the above range, CaTiO 3 ofPrecipitation may cause a decrease in dielectric constant.
However, in the vicinity of the dielectric, CaTiO is used at a ratio of 10 mol% or less with respect to the BT and BCT type crystal particles.3May be deposited.
[0020]
In the present invention, in order to increase the dielectric constant of the dielectric layer and suppress the temperature dependence of the dielectric constant, the BCT type crystal particles have an average particle diameter of 0.2 to 0.8 μm. It is preferable that the BT crystal particles have an average particle diameter of 0.1 to 0.5 μm.
For example, if the average particle size of these crystal particles is less than the above particle size, the relative dielectric constant of these crystal particles will be low, and it may be difficult to increase the relative dielectric constant of the dielectric ceramic. Further, during firing, solid solution is easily generated between the two, which may make it difficult to realize a coexistence structure. On the other hand, when the average particle size of these crystal particles exceeds the particle size, the dielectric constant increases with the increase in the particle size, and the DC bias dependency may increase.
In the present invention, the average particle size of the BCT type crystal particles is preferably 0.2 to 0.8 μm, particularly preferably 0.3 to 0.7 μm, and the average particle size of the BT type crystal particles is 0. 0.1 to 0.5 μm is preferable, and 0.2 to 0.4 μm is particularly preferable.
[0021]
Most of Mg and Mn are solid-solved in the BCT type crystal particles and BT type crystal particles, but some of them are present at the grain boundaries and may form an amorphous phase.
In the present invention, as already described, it is desirable that Mg and rare earth elements are dissolved in both the BCT type crystal particles and the BT type crystal particles. These elemental components improve the sinterability of raw material particles, suppress grain growth, and coat Mg compounds and rare earth element compounds used as sintering aids to form crystal particles with the average particle diameter described above. It is derived from the components, and the rare earth element is not particularly limited, but as described above, particularly as the rare earth element, Y, Tb, Dy, Ho, Er and Yb can be exemplified, These rare earth elements may be used alone or in combination of two or more.
[0022]
Further, some of Mg and rare earth elements may exist at the grain boundaries of these crystal grains. When it exists at the grain boundary, it exists mainly as amorphous.
Mg and rare earth elements play the following roles in the sintering process. Both BT and BCT crystal particles are liable to cause grain growth due to atomic diffusion during sintering, and it is difficult to obtain a dense sintered body having a small particle diameter. In particular, when the raw material particle size used is smaller than submicron, the surface area occupies a large proportion of the particle volume, and the surface energy is large, resulting in an energetically unstable state. For this reason, during firing, grain growth is caused by atomic diffusion, the surface area is reduced, and stabilization is caused by a reduction in surface energy.
[0023]
Therefore, grain growth is likely to occur, and it is difficult to obtain a dense sintered body made of fine particles. Specifically, BT and BCT sintered compacts with microparticle sizes smaller than 0.1 μm must be introduced between the particles, which easily causes solid solution and grain growth and suppresses the movement of atoms between the particles. Thus, a sintered body having a large particle size exceeding 1 μm is easily formed, and it is difficult to obtain a dense sintered body having a fine particle size of submicron or less.
However, by introducing rare earth elements such as Mg and Y as additives together with the fine crystal raw material and adjusting the firing conditions, a fine particle sintered body reflecting the size of the raw crystal particles can be obtained. These additives diffuse to the surface of the particles to form a liquid phase, thereby promoting the sintering, and also present in the vicinity of the grain boundary and at the grain boundary as the parent phase of BT and BaCT between the BCT crystal grains. , Preventing the movement of Ti atoms and suppressing grain growth.
The solid solution and diffusion state of each element in the BT and BCT crystal particles can be confirmed by observing these crystal particles with a transmission electron microscope.
[0024]
Further, in the dielectric layer of the multilayer electronic component of the present invention, Mg is 0.05 to 0.00 in terms of oxide, respectively, with respect to a total of 100 parts by mass of BT powder and BCT powder as a sintering aid component. It is preferable to contain 5 parts by mass, particularly 0.08 to 0.3 parts by mass, and 0.1 to 1.7 parts by mass, particularly 0.1 to 1.5 parts by mass of rare earth elements. As described above, these are elemental components derived from the sintering aid, and at least a part thereof is dissolved in the shell portion of the BCT type crystal particles and the BT type crystal particles. If the amount of these element components is equal to or higher than the lower limit of the above range, a dense sintered body can be easily obtained, and the deterioration of the temperature characteristics and DC bias characteristics of the dielectric ceramic can be suppressed. Moreover, when the amount of these element components is less than or equal to the upper limit of the above range, it is possible to suppress the amount of precipitation of the crystal grains at the grain boundaries, so that excellent characteristics of the dielectric ceramic can be maintained.
[0025]
Furthermore, the multilayer electronic component of the present invention may contain components other than the above-described crystal particles, Mg, and rare earth element components. For example, Mn is added to a total of 100 parts by mass of BT powder and BCT powder. On the other hand, you may contain in the ratio of 0.25 mass part or less in conversion of MnO, especially 0.03 thru | or 0.15 mass part. Mn is used to compensate for oxygen defects in the BT and BCT crystals generated by firing in a reducing atmosphere and to improve the insulation reliability. By including such a Mn component, the electrical insulation of the dielectric ceramic is increased, the high temperature load life is increased, and the reliability as an electronic component such as a capacitor is enhanced. When the Mn content is larger than the above range, the dielectric constant and insulation of the dielectric ceramic may be lowered. Such Mn mainly diffuses and dissolves in the BT crystal particles and BCT crystal particles, but may exist as an amorphous substance at the grain boundary.
A small amount of BaCO is also used to improve reduction resistance and suppress abnormal grain growth.3May be contained.
[0026]
(Dielectric layer)
The multilayer electronic component of the present invention is formed by alternately laminating dielectric layers and internal electrode layers, and is a sintered body constituting the outermost layer in the vicinity of the electrodes of the dielectric layer sandwiched between the internal electrodes. It has a composition distribution in which the Ca content is higher than the Ca content of the sintered body constituting the intermediate layer. The dielectric layer thickness is preferably used when the thickness of the dielectric layer is 4 μm or less because high insulation is required. In such a multilayer electronic component, for example, first, a green sheet to be a dielectric layer is produced. This green sheet is (Ba, Ca) TiO3Raw material powder and BaTiO3In order to realize the above composition distribution by using a mixture of raw material powders, for example, a green sheet mainly made of BT raw material is sandwiched between green sheets mainly made of BCT raw material.
[0027]
Main raw material (Ba, Ca) TiO3Powder and BaTiO3Powder synthesis methods include solid-phase method, liquid-phase method (method of passing oxalate, etc.), hydrothermal synthesis method, etc. Among them, hydrothermal synthesis method because of its narrow particle size distribution and high crystallinity Is desirable. BaTiO3The average particle size of the powder is (Ba, Ca) TiO3Smaller than the average particle size of the powder, (Ba, Ca) TiO3Powder, coated BaTiO3The average particle size of the powder is preferably 0.2 to 0.8 μm and 0.1 to 0.5 μm, respectively.
In order to produce the dielectric ceramic according to the present invention, BaTiO3Raw material powder whose surface is coated with a mixture of rare earth elements, Mg and Mn oxides (hereinafter referred to as coated BaTiO).3(Sometimes called powder). Such BaTiO3Examples of the raw material powder coating method include a solid phase method, a liquid phase method, and a gas phase method, but the method is not particularly limited. Above BaTiO3The coating film formed on the surface of the powder is mixed with three kinds of elements of Mg, Mn, and rare earth elements, and these elements are mixed in the form of oxides. The coating layer needs to contain at least a rare earth element.
[0028]
Also, the coverage with Mg, Mn, and rare earth elements is BaTiO.3Magnesium oxide (MgO) 0.1 to 0.3 parts by mass, manganese oxide (MnO) 0.1 to 0.3 parts by mass, yttrium oxide (Y2O3) Is preferably 0.5 to 1.5 parts by mass.
The composition of the green sheet is (Ba, Ca) TiO3Powder and coated BaTiO3Li against the powder2O, SiO2And an additive component (glass component) containing CaO, (Ba, Ca) TiO3Powder and coated BaTiO30.5 to 2 parts by mass is added to 100 parts by mass of the powder mixture. Furthermore, a desired Mg compound, Mn compound, and rare earth oxide powder can be added as the above-mentioned sintering aid.
Next, an internal electrode paste is applied to the green sheet to form an internal electrode pattern, which is dried, and a plurality of green sheets on which the internal electrode pattern is formed are stacked and thermocompression bonded. Thereafter, the laminate is cut into a lattice shape to obtain a molded body of the electronic component main body. End portions of the internal electrode pattern are alternately exposed on both end faces of the molded body of the electronic component main body.
[0029]
Next, the electronic component body molded body is subjected to binder removal treatment at 200 to 400 ° C. at a temperature rising rate of 5 to 40 ° C./h in the atmosphere, and then the temperature rising rate from 500 ° C. in a reducing atmosphere. Baked at a temperature of 1100 to 1250 ° C. for 2 to 5 hours, followed by cooling at a cooling rate of 100 to 400 ° C./h, and a reoxidation treatment at 900 to 1100 ° C. in a nitrogen atmosphere. .
In particular, by setting the rate of temperature increase from 500 ° C. to 100 to 400 ° C./h and firing at a temperature of 1180 to 1240 ° C., the Ca content of the outermost layer in the vicinity of the electrode of the dielectric layer sandwiched between the internal electrodes can be reduced. Realizes coexistence of BCT type crystal particles with a core-shell structure and BT type crystal particles in which Mg and Mn are solid solution up to the central part, and contains alkaline earth metals, rare earth elements and Si. The composite oxide to be present can be present on the surface of the BT crystal particles.
[0030]
That is, a dielectric ceramic comprising a BCT crystal particle having a core-shell structure and a BT type crystal particle having a coating layer composed of an alkaline earth element, a rare earth element, and Si and containing Mg and Mn as a solid solution up to the center. (Ba, Ca) TiO3BaTiO with smaller average particle size than powder3Three kinds of elements of Y, Mg, and Mn are simultaneously chemically coated on the powder by a wet method, and (Ba, Ca) TiO3Powder and coated BaTiO3For powder, CaO, Li2O and SiO2The dielectric ceramic was mixed in a reducing atmosphere at a rate of temperature increase from 500 ° C. to the sintering temperature of 100 to 400 ° C./h, and a temperature of 1100 to 1250 ° C. for 2 to 5 hours. It can be produced by sintering and subsequently cooling at a rate of temperature reduction of 100-400 ° C./h.
Thereafter, an external electrode paste is applied to both end faces of the fired electronic component main body and baked in nitrogen to form external electrodes. Further, the surface of the external electrode is degreased, acid washed, and washed with pure water, and then plated by a barrel method.
[0031]
A multilayer electronic component comprising such a multilayer ceramic capacitor has a high dielectric constant, can increase the electric field strength per dielectric layer, improve the breakdown voltage, and improve the reliability in high-temperature load tests. Therefore, higher capacity and smaller size can be further promoted. Furthermore, by using a dielectric ceramic having a small average particle diameter, the thickness of the dielectric layer can be easily reduced, the capacitance can be improved and the size can be reduced, and Ni, Cu, etc. By using the base metal as a conductor, an inexpensive multilayer ceramic capacitor can be obtained.
[0032]
【Example】
A multilayer ceramic capacitor, which is one of the multilayer electronic components, was produced as follows. First, as a dielectric material, BaTiO30.2 parts by mass of MgO and 0.1 parts by mass of MnO with respect to 100 parts by mass, Y shown in Table 12O3, Tb2O3, Dy2O3, Ho2O3, Er2O3And Yb2O3Coated BaTiO having an average particle diameter of 0.2 to 0.4 μm having a coating layer composed of 1.0 part by mass3Using powder, this coated BaTiO3Li for 100 parts by mass of powder2O, SiO2, BaO, CaO containing low melting point glass powder 1.0 part by mass, ZrO having a diameter of 5 mm2A slip was prepared by adding an organic binder to a wet pulverized product using a ball mill using a ball (slip A). In addition, (Ba, Ca) TiO3Li to 100 parts by mass of powder2O, SiO21.0 parts by mass of low melting point glass powder containing BaO and CaO, and further the powder additive components shown in Table 1 were added in the proportions shown in Table 1, and ZrO having a diameter of 5 mm.2An organic binder was added to what was wet-ground by a ball mill using a ball to produce a slip (Slip B). In Table 1, the amount of Ca substitution at the A site of the BCT powder is expressed by the formula: (Ba1-xCax) TiO3It was indicated by the value of x.
[0033]
Next, a green sheet having a thickness of 1.5 μm is prepared by using a doctor blade using the slip B, a green sheet having a thickness of 2.0 μm is prepared by using the slip A, and a slip B is further formed thereon. A green sheet having a thickness of 1.5 μm was produced, and a total of 5.0 μm green sheets were obtained. Further, a slip C in which slip A and slip B were mixed at a ratio of 1: 1 was prepared, and used in place of the slip A to prepare a green sheet.
Next, an internal electrode paste containing Ni as a main component was screen-printed on the green sheet.
[0034]
Next, 100 green sheets on which the internal electrode paste is printed are laminated, and 20 green sheets on which the internal electrode paste is not printed are laminated on the upper and lower surfaces thereof, and are integrated using a press machine. Got.
Next, the laminated molded body was subjected to binder removal treatment at 300 ° C./h in the atmosphere at a temperature rising rate of 10 ° C./h, and the temperature rising rate from 500 ° C. was 1100 at a temperature rising rate of 300 ° C./h. ~ 1250 ° C (oxygen partial pressure 10-11atm) for 2 hours, then cooled to 1000 ° C. at a rate of temperature decrease of 300 ° C./h, reoxidized at 1000 ° C. for 4 hours in a nitrogen atmosphere, cooled at a rate of temperature decrease of 300 ° C./h, A component body was produced. The dielectric layer had a thickness of 3.7 μm, the outermost layer had a thickness of 1.1 μm, and the intermediate layer had a thickness of 1.5 μm.
As a comparative example (shown with an asterisk (*) attached to the sample No. in Tables 1 and 2), only the BT powder (sample No. 13) and only the BCT powder (sample No. 14) are used to mount the electronic component body. Produced.
[0035]
Next, the fired electronic component body was barrel-polished, and then an external electrode paste containing Cu powder and glass was applied to both ends of the electronic component body, followed by baking in nitrogen at 850 ° C. to form external electrodes. Thereafter, using an electrolytic barrel machine, Ni plating and Sn plating were sequentially performed on the surface of the external electrode to produce a multilayer ceramic capacitor.
Next, the temperature characteristics, DC bias characteristics, and high temperature load life (MTTF) of relative permittivity of these multilayer ceramic capacitors were measured. The temperature characteristics of the relative permittivity are shown as a change in capacity when a DC voltage of 8 V is applied at room temperature to a measurement condition of a frequency of 1.0 kHz and a measurement voltage of 0.5 Vrms, and a DC bias characteristic of 20 ° C. and 0 V. It was.
In the high temperature load test, the dielectric breakdown time was measured for 100 samples under the conditions of a temperature of 125 ° C. and a voltage of 64 V, and the average value (MTTF) was calculated. The relative dielectric constant was calculated from the capacitance, the effective area of the internal electrode layer, and the thickness of the dielectric layer. The Ca element distribution of the dielectric layer was confirmed by EPMA at the outermost layer and the intermediate layer. The results are listed in Table 2.
[0036]
[Table 1]
[0037]
[Table 2]
[0038]
From Table 2, the ceramic capacitor, which is the multilayer electronic component of the present invention, exhibited a dielectric layer having a relative dielectric constant of 2000 or more and excellent characteristics in terms of temperature change rate, DC bias, and high temperature load life.
On the other hand, when only BT powder was used (sample No. 13), since there was no BCT crystal particle having excellent insulation resistance, the dielectric constant was high but the insulation resistance was low. Furthermore, when only the BCT raw material was used (sample No. 14), the relative dielectric constant was low and a sufficient capacity could not be obtained.
In addition, even when BT and BCT coexist in the center (sample Nos. 15 and 16), a multilayer capacitor satisfying the required characteristics was obtained.
[0039]
【The invention's effect】
In the multilayer electronic component of the present invention, the dielectric constant of the dielectric layer is 2000 or more, the temperature characteristic of the dielectric constant is within ± 10%, and the rate of change of the dielectric constant by applying a DC bias of 2 V / μm is Multi-layered type such as small-sized, high-capacity, high-reliability multilayer ceramic capacitors that have characteristics within 20% and can improve dielectric breakdown voltage, thereby reducing the decrease rate of capacitance even when high voltage is applied. Electronic components can be realized.
Claims (5)
(i)前記誘電体層は、少なくとも内部電極の近傍に位置する最外層と、該最外層の間に位置する中間層とを有し、
(ii)前記最外層はそれぞれAサイトの一部がCaで置換されたペロブスカイト型チタン酸バリウム(BCT型結晶粒子)を含有する焼結体層からなり、
(iii)前記中間層は、Aサイトの一部がCaで置換されていないペロブスカイト型チタン酸バリウム(BT型結晶粒子)を含有する焼結体層、又は、前記BCT型結晶粒子及び前記BT型結晶粒子を含有する焼結体層からなり、
かつ、(iv)前記最外層を構成する焼結体層中のCa含有量は、前記中間層を構成する焼結体層中のCa含有量よりも多いことを特徴とする積層型電子部品。 The internal electrode and the dielectric layer a multilayer electronic component formed by alternately stacking,
(I) said dielectric layer has an outermost layer located in the vicinity of at least the internal electrode, and an intermediate layer located between the outermost layer,
(Ii) Each of the outermost layers comprises a sintered body layer containing perovskite-type barium titanate (BCT-type crystal particles) in which a part of the A site is substituted with Ca,
(Iii) said intermediate layer is sintered layer partially containing a perovskite barium titanate that is not substituted with Ca (BT type crystal grains) of the A site or the BCT type crystal particles and the BT-type Consisting of a sintered body layer containing crystal particles,
And, (iv) Ca content of the sintered body layer constituting the outermost layer, the multilayer electronic component, characterized in that more than the Ca content of the sintered body layer constituting the intermediate layer.
前記中間層を構成する焼結体層中のCa含有量が0ないし1.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の積層型電子部品。It is 0.3 Ca content of the sintered body layer constituting the outermost layer was 6.0 wt%,
2. The multilayer electronic component according to claim 1, wherein a Ca content in a sintered body layer constituting the intermediate layer is 0 to 1.0 mass%.
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