JP4296867B2 - Optical film manufacturing method and optical film - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学用途に利用される光学フィルムの製造方法及び光学フィルム、特に液晶画像表示装置(LCD)等に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルム、あるいはまた有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等で使用される各種機能フィルムなどにも利用することができる光学フィルムの製造方法及び光学フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶画像表示装置が発展し、セルロースエステルフィルムが偏光板用保護フィルムや有機エレクトロルミネッセンス用フィルムなどに使用されるようになり、益々薄手のフィルムが求められるようになってきた。
【0003】
従来から光学フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムの製造方法は、溶液流延製膜方法によるもので、セルロースエステル溶液(以下ドープとも呼ぶ)を、鏡面処理された表面(キャスト面)を有しかつ無限移行する無端の支持体(ステンレス鋼製ベルトあるいはドラム)上に流延ダイから流延し、ドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を剥離ロール(剥離点)で剥離し、ついでウェブを乾燥装置に導入して乾燥風により乾燥し、さらに、巻取り機により巻き取ることにより、セルロースエステルフィルムを製造していた。
【0004】
そして、このような溶液流延製膜方法において、流延ダイのスリットよりドープを流下する際、流延ダイの幅方向の両端部(以下、流延ダイエッジという)に、いわゆるヒゲ状の皮膜(すなわちスケール、以下、ダイエッジ皮膜という)が発生しやすい。このダイエッジ皮膜は、ダイ・スリットより流延するドープの流れを乱し、安定なセルロースエステルフィルムの製造を阻害するだけでなく、脱落したダイエッジ皮膜の断片がフィルム表面に付着して、乾燥フィルムの品質を損なうという問題があった。
【0005】
一方、無限移行する無端の支持体のキャスト面にドープを流延する際、キャスト面に流延膜が安定に形成されるように、減圧チャンバを使用して流延膜の背面すなわち流延ダイ・スリットから出てくる流延膜に流延上流側から減圧を掛けて、流延膜をキャスト面に密着させていた。
【0006】
ところが、この方法では、減圧チャンバによる減圧がアップすることにより、支持体のキャスト面に対する流延膜の密着度は向上するが、同時に減圧チャンバの左右両サイドからの吹き込み風の風速もアップするため、流延ダイのエッジに皮膜が発生しやすくなるという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2003−1655号公報
この特許文献において、本出願人は、偏光板用保護フィルム等に有用なセルロースエステルフィルムを溶液流延製膜方法により製造する方法であって、流延ダイと減圧チャンバの両者の間隙精度の向上、とりわけ流延ダイ下端部の支持体に対向する面及び減圧チャンバ下端部の支持体に対向する面のそれぞれ間隙精度の向上を図ることにより、ドープ流延時のダイエッジ皮膜の発生を未然に防止し得るセルロースエステルフィルムの製造方法を提案した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1の発明によれば、セルロースエステルのドープを支持体上に高速で流延する場合には、充分な効果が得られず、流延ダイのエッジに皮膜(スケール)が発生するのを防止することができないという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、溶液流延製膜法により光学フィルムを製造する方法において、ドープ流延時のダイエッジ皮膜(スケール)の発生を防止し、これによってダイエッジ皮膜断片がフィルムに付着することなく、品質が向上した光学フィルムを効率良く、安定に製造することができ、歩留まりが向上する、光学フィルムの製造方法及び光学フィルムを提供しようとすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1記載の発明は、金属製回転エンドレスベルトまたは金属製回転ドラム(支持体)上に光学フィルムの原料溶液であるドープを流延ダイによって流延して支持体上に流延膜(ウェブ)を形成し、このとき、ウェブが支持体上に密着して形成されるように、流延上流側に設置した減圧チャンバによって50〜800Paの範囲に減圧し、支持体上からウェブを剥離後、ウェブを乾燥して、溶液流延製膜法により光学フィルムを製造する方法であって、上記減圧チャンバによる1分あたりの減圧変更速度を、5(Pa/min)以上、20(Pa/min)以下とすることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の方法により製造されたことを特徴とする膜厚50μm以下を有する光学フィルムである。
【0012】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
上記のように、本発明は、金属製回転エンドレスベルトまたは金属製回転ドラム(支持体)上に光学フィルムの原料溶液であるドープを流延ダイによって流延して支持体上に流延膜(ウェブ)を形成し、このとき、ウェブが支持体上に密着して形成されるように、流延上流側に設置した減圧チャンバによって50〜800Paの範囲に減圧する。そして、本発明の光学フィルムの製造方法では、減圧チャンバによる1分あたりの減圧変更速度を、5(Pa/min)以上、20(Pa/min)以下とすることを特徴としている。
【0014】
すなわち、本発明者は、光学フィルムの製造方法において、流延ダイ・スリットから出てくる流延膜に減圧を掛けて、エアの混入や、ドープの流延の際の流延リボン(リボン状樹脂溶液)のバタツキを抑制して、フィルム幅手方向に横段状のスジ(横段状の膜厚ムラ)が生じないようにするものであるが、このような光学フィルムの製造時中に、減圧チャンバによる減圧を変更する場合、減圧変更速度が急激であると、リボンの位置が急激に動き、それが起点となってダイエッジ皮膜(スケール)が発生することを見出した。
【0015】
上記本発明の光学フィルムの製造方法において、減圧変更速度が5(Pa/min)未満であれば、所定の減圧値に達するまでに非常に長い時間がかかるため、製造コスト上、不利となる。本発明の方法では、後述する実施例に示すように、減圧チャンバによる1分あたりの減圧変更速度を、5(Pa/min)以上、20(Pa/min)以下とする。減圧変更速度が20(Pa/min)以下であれば、リボンの位置の変化が少なく、緩やかであるため、ダイエッジ皮膜(スケール)の発生が見られないが、減圧変更速度が20(Pa/min)を超えると、リボンの位置の変化が大きく、急激なため、ダイエッジ皮膜(スケール)が発生するので、好ましくない。
【0016】
なお、本発明の溶液流延製膜法により光学フィルムを製造する方法において、流延ダイ・スリットと支持体表面との間隙は0.3〜2mmの範囲が好ましい。また、減圧チャンバの減圧は、流延膜厚や支持体のウェブ搬送速度によって適点が変わるが、減圧チャンバによる減圧値が、1〜1500Paの範囲であるのが、好ましい。その理由は、減圧チャンバによる減圧値が、1Pa未満であると、減圧が小さすぎて、流延ダイから流下される流延膜が支持体上に密着し難く、泡すじ等の原因になる。逆に、1500Paを超えると、減圧が強すぎて、減圧の際に該間隙から吹き込まれるエアの流速が大きくなり、流延ダイにエッジ皮膜が発生しやすいからである。とくに、50〜800Paの範囲が実用的である。
【0017】
そして、減圧チャンバ下端と支持体との間隙は、吸引風量が大きくなり過ぎず、すなわち吸引風量が大きくなり過ぎると、流延ダイ・スリット端部にドープの乾燥皮膜ができるため、また充分な減圧値を得るために、0.5〜5mm程度が好ましく、減圧チャンバを−100Pa以上まで減圧する場合は、0.5〜3mmがより好ましい。
【0018】
なお、本発明による光学フィルムの製造方法において、ドープを無限移行する無端の支持体(ステンレス鋼製ベルトあるいはドラム)の上部移行部の表面(キャスト面)上に流延する工程では、ドープを加圧型定量ギヤポンプを通して流延ダイに送液し、流延位置において、支持体上に流延ダイからドープを流延する。流延ダイとしては、口金部分のスリットの形状を調整できる流延ダイを用いるのが好ましい。膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、流延ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力及び支持体の移行速度等をコントロールするのがよい。
【0019】
そして、流延ダイ下端部のドープ流出用開口部(スリット)の前後両側の支持体に対向する面、減圧チャンバの調整プレート下端部の支持体に対向する面、及び減圧チャンバの左右サイドプレート下端部の支持体に対向する面の、それぞれの面の表面粗さを1μm以下とするのが、好ましい。その理由は、これらの面の表面粗さが1μmを超えると、やはり均一な間隙を保つことができず、流延ダイよりドープを流下する時、流延ダイの幅方向の両端部すなわち流延ダイエッジに、いわゆるヒゲ状の皮膜(スケール)が発生しやすいからである。
【0020】
さらに、減圧チャンバのバックプレートの調整プレート下端部の支持体に対向する面と支持体表面(キャスト面)との間隙は、0.2〜7mmであるのが、好ましい。その理由は、この間隙が0.2mm未満であると、狭すぎて、支持体の上下動に伴う間隙の変動率が大きく、減圧が安定せず、流延膜に乱れが発生しやすくなる。また支持体(ベルト)の上下動が大きい場合、支持体(ベルト)にキズが生じてしまう。逆に、この間隙が7mmを超えると、必要減圧を発生させるために、巨大な減圧用ファンが必要になるし、仮に、必要な減圧が得られても、減圧チャンバの左右両端部からの吹込み風量が多いため、流延ダイのエッジに皮膜が発生しやすいからである。
【0021】
本発明の光学フィルムの製造方法において対象となるセルロースエステルとしては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。セルローストリアセテートの場合は、特に重合度250〜400、結合酢酸量が54〜62.5%のセルローストリアセテートが好ましく、結合酢酸量が58〜62.5%のセルローストリアセテートはベース強度が強く、より好ましい。セルローストリアセテートは綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートと木材パルプから合成されたセルローストリアセテートのどちらかを単独あるいは混合して用いることができる。
【0022】
このセルロースエステルを溶解する溶剤(溶媒)としては、単独でも併用でもよいが、良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが、生産効率の点で好ましい。
【0023】
ここで、本発明の方法において用いる良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルの結合酢酸量によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いるときには、セルロースエステルの結合酢酸量55%では良溶剤になり、結合酢酸量60%では貧溶剤となってしまう。
【0024】
セルロースエステルの溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどの低級アルコール類、シクロヘキサン、ジオキサン類、メチレンクロライドのような低級脂肪族塩化炭化水素類などを用いることができる。
【0025】
ドープ中のセルロースエステルの濃度は10〜35%程度であり、好ましくは15〜25%である。ドープを調製する時のセルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができるが、好ましい方法としては、セルロースエステルを貧溶剤と混合し、湿潤あるいは膨潤させ、さらに良溶剤と混合する方法があげられる。このとき加圧下で、溶剤の常温での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱し、撹拌しながら溶解する方法が、「ゲル」や「ママコ」と呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため、より好ましい。
【0026】
溶剤比率としては、例えばメチレンクロライド70〜95重量%、その他の溶剤は5〜30重量%が好ましい。またセルロースエステルの濃度は10〜50重量%が好ましい。溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましく例えば60℃以上、80〜110℃の範囲に設定するのが好適である。また、圧力は設定温度において、溶剤が沸騰しないうに定められる。
【0027】
溶解後、ドープは冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器などで冷却し、これを製膜に供する。
【0028】
光学フィルム中に、紫外線吸収剤、可塑剤、酸化防止剤、加工安定剤、及びマット剤などを含有させることにより、光学フィルムに起因する液晶画像表示装置の性能を向上させることができる。
【0029】
これらの可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、予め溶剤と混合し、溶解または分散してからセルロースエステル溶解前の溶剤に投入しても、セルロースエステル溶解後のドープへ投入しても良い。
【0030】
本発明で用いる可塑剤としては、特に限定しないが、リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート(TPP)、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を単独あるいは併用するのが好ましい。上記の可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用して用いてもよい。これらの可塑剤を含有することにより、寸法安定性、耐水性に優れた光学フィルムが得られるため、特に好ましい。
【0031】
本発明において、吸水率ならびに水分率を特定の範囲内にするために、好ましい可塑剤の添加量は、セルロースエステルに対して1〜15重量%である。液晶画像表示部材用としては、寸法安定性の観点から5〜15重量%がさらに好ましく、特に好ましくは、7〜12重量%である。また、セルロースエステルに対して凝固点が20℃以下の可塑剤の含有量は1〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは、3〜7重量%である。
【0032】
本発明による光学フィルムの製造方法において、好ましく用いられる紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたもので、紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶画像表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものが好ましく用いられる。
【0033】
一般に用いられるものとしては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがあげられるが、これらに限定されない。
【0034】
また本発明による光学フィルムの製造方法において、光学フィルムに滑り性の向上、巻取り後のブロッキング防止等の目的でマット剤として加える微粒子は、主ドープに添加してもよいが、添加液に加えるのが生産性の上からは好ましい。
【0035】
本発明に用いられる微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。その中でも、微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。これらの例としては、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されているものがあり、使用することができる。さらに、二酸化ケイ素微粒子の1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見掛比重が70g/リットル以上の二酸化ケイ素微粒子であることが好ましい。これらを満足する二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジル200V、アエロジルR972Vがあり、フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
【0036】
本発明において、上記微粒子はセルロースエステルに対して、0.04〜0.4重量%添加して使用される。好ましくは、0.05〜0.3重量%、さらに好ましくは0.05〜0.2重量%である。
【0037】
本発明においては、セルロースエステルのドープを濾過した後、ドープを支持体上に流延(キャスト工程)し、加熱して溶剤の一部を除去(支持体上乾燥工程)した後、支持体から剥離し、剥離したフィルムを乾燥(フィルム乾燥工程)して、セルロースエステルフィルムを得る。
【0038】
キャスト工程における支持体には、ステンレス鋼製のベルトもしくはドラムの表面を鏡面仕上げした支持体が使用される。キャスト工程の支持体の温度は一般的な温度範囲、すなわち0℃から溶剤の沸点未満の温度で、流延することができるが、5〜30℃の支持体上に流延する方が、ドープをゲル化させ、剥離限界時間をあげられるため、好ましく、5〜15℃の支持体上に流延することがさらに好ましい。
【0039】
支持体上での乾燥は残留溶媒量60〜150%で支持体から剥離することが、支持体からの剥離強度が小さくなるため好ましく、80〜120%がより好ましい。
【0040】
製造時の光学フィルムが良好な平面性を示すためには、支持体から剥離する際の残留溶媒量は、10〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは、20〜80重量%であり、特に好ましくは20〜40重量%である。
【0041】
ここで、残留溶媒量は、下記の式で表わせる。
【0042】
残留溶媒量(重量%)={(M−N)/N}×100
式中、Mはウェブの任意時点での重量、Nは重量Mのものを110℃で3時間乾燥させたときの重量である。
【0043】
支持体からフィルムを剥離するときのドープの温度は0〜30℃にすることが剥離時のベース強度をあげることができ、剥離時のベース破断を防止できるため好ましく、5〜20℃がより好ましい。
【0044】
支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常20〜25kg/mで剥離が行なわれるが、従来よりも薄膜化されている本発明の製造方法による光学フィルムは、剥離の際にシワが入りやすいため、剥離できる最低張力〜17kg/mで剥離することが好ましく、さらに好ましくは、最低張力〜14kg/mで剥離することである。
【0045】
フィルムの乾燥工程においては支持体より剥離したフィルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を3重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であることが、寸法安定性が良好なフィルムを得る上で好ましい。フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、ピンテンター方式または、クリップテンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。
【0046】
フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行なう。簡便さの点で熱風で行なうのが好ましい。乾燥温度は40℃〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好ましく、80℃〜140℃の範囲で行なうことが寸法安定性を良くするためさらに好ましい。これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。
【0047】
本発明の光学フィルムの製造に係わる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
【0048】
本発明による光学フィルムの厚みは、特に限定されないが、LCDに使用される液晶画像表示素子すなわち偏光板用の保護フィルムに用いられることから、通常、100μm以下であることが好ましく、中でも、厚み50μm以下の光学フィルムが好ましい。その理由は、厚み50μm以下の光学フィルムは、例えば偏光板用保護フィルムとして用いられる際に、より品質に対して厳しい性能が求められるためである。特に好ましい光学フィルムの厚み範囲は、20〜50μmである。
【0049】
上記本発明による光学フィルムの製造方法によれば、ドープ流延時のダイエッジ皮膜(スケール)の発生を防止し、これによってダイエッジ皮膜断片がフィルムに付着することなく、品質が向上した光学フィルムを効率良く、安定に製造することができ、歩留まりが向上するものである。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
実施例1と2及び比較例1
(ドープの調製)
セルローストリアセテートのドープを、以下のように調製した。
【0052】
セルローストリアセテート 100重量部
メチレンクロライド 350重量部
エタノール 12重量部
トリフェニルホスフェート 12重量部
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社製) 0.5重量部
アエロジル200V(日本アエロジル社製) 0.1重量部
上記の組成物を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解してドープを調整した。つぎに、得られたドープを、図示しない溶液流延製膜装置により、流延ダイを通して駆動回転ステンレス製エンドレスベルトの上部移行部の表面(キャスト面)上に、製膜速度80m/分、減圧300(Pa)で流延した。ただし、流延の開始時は、減圧を0(Pa)とし、上記減圧300(Pa)に達するまでの減圧変更速度をつぎのように変えた。
【0053】
すなわちこの場合、実施例1と2では、減圧変更速度を5(Pa/min)、及び20(Pa/min)と変えて、本発明の範囲内のものとし、比較例1では、減圧変更速度を30(Pa/min)と変えて、本発明の範囲外のものとした。
【0054】
また、エンドレスベルトの温度を25℃に制御し、移動する流延膜(ウェブ)を乾燥し、流延膜中の残留溶媒質量が25%になるまで溶媒を蒸発して剥離した。剥離後、テンター乾燥装置に流延膜(ウェブ)を導入し、その幅を保持しながら乾燥し、引き続いてロール乾燥装置で乾燥し、得られたフィルムを最終的に20℃に冷却して巻取機に巻き取り、それぞれ乾燥膜厚40μmの実施例1と2及び比較例1のセルローストリアセテートフィルムを得た。なお、フィルムの搬送張力は、それぞれ100〜120N/mとした。
【0055】
ついで、こうして製造した各セルローストリアセテートフィルムの品質を、フィルムにダイエッジ皮膜(スケール)断片が付着しているか、どうかを基準として評価し、得られた結果を表1にまとめて示した。
【0056】
【表1】
【0057】
上記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1と2によれば、得られたセルローストリアセテートフィルムにダイエッジ皮膜断片が付着しておらず、ダイエッジ皮膜断片による膜品質の劣化のない光学フィルムとして優れた品質を有するセルローストリアセテートフィルム製品を製造することができた。
【0058】
これに対し、比較例1によれば、得られたセルローストリアセテートフィルムにダイエッジ皮膜断片が付着しており、光学フィルムとしての品質が劣るものであった。
【0059】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の発明は、上述のように、金属製回転エンドレスベルトまたは金属製回転ドラム(支持体)上に光学フィルムの原料溶液であるドープを流延ダイによって流延して支持体上に流延膜(ウェブ)を形成し、このとき、ウェブが支持体上に密着して形成されるように、流延上流側に設置した減圧チャンバによって50〜800Paの範囲に減圧し、支持体上からウェブを剥離後、ウェブを乾燥して、溶液流延製膜法により光学フィルムを製造する方法であって、上記減圧チャンバによる1分あたりの減圧変更速度を、5(Pa/min)以上、20(Pa/min)以下とすることを特徴とするもので、本発明の光学フィルムの製造方法によれば、ドープ流延時のダイエッジ皮膜(スケール)の発生を防止し、これによってダイエッジ皮膜断片がフィルムに付着することなく、品質が向上した光学フィルムを効率良く、安定に製造することができ、しかも、歩留まりが向上することから、フィルム製品の製造コストが安くつくという効果を奏する。
【0060】
また、本発明の請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の光学フィルムの製造方法により製造された膜厚50μm以下を有することを特徴とする光学フィルムであって、本発明の光学フィルムによれば、ダイエッジ皮膜(スケール)の付着がなく、偏光板の保護フィルム等に適した品質の良い光学フィルムを提供することができるという効果を奏する。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
INDUSTRIAL APPLICABILITY The present invention relates to a method for producing an optical film used for optical applications and an optical film, particularly a polarizing plate protective film, a retardation film, a viewing angle widening film and a plasma display used for a liquid crystal image display (LCD). The present invention relates to an optical film manufacturing method and an optical film that can be used for various anti-reflection films or various functional films used in organic EL (electroluminescence) displays.
[0002]
[Prior art]
In recent years, liquid crystal image display devices have been developed, and cellulose ester films have been used for protective films for polarizing plates, organic electroluminescence films, and the like, and thin films have been increasingly demanded.
[0003]
Conventionally, a method for producing a cellulose ester film used as an optical film is based on a solution casting film forming method. A cellulose ester solution (hereinafter also referred to as a dope) has a mirror-treated surface (cast surface) and is infinite. Cast from a casting die onto a moving endless support (stainless steel belt or drum), peel off the dope film (also called web) with a peeling roll (peeling point), and then introduce the web into the dryer. Then, the cellulose ester film was produced by drying with a wind and further winding with a winder.
[0004]
In such a solution casting film forming method, when the dope flows down from the slit of the casting die, a so-called beard-like film (hereinafter referred to as casting die edge) is formed on both ends in the width direction of the casting die (hereinafter referred to as casting die edge). That is, a scale, hereinafter referred to as a die edge film) is likely to occur. This die edge coating not only disturbs the flow of the dope cast from the die slit and hinders the production of a stable cellulose ester film, but also the pieces of the die edge coating that fall off adhere to the film surface, There was a problem of losing quality.
[0005]
On the other hand, when casting the dope onto the casting surface of the endless support that moves infinitely, the back surface of the casting film, i.e., the casting die, is used so that the casting film is stably formed on the casting surface. -The casting film coming out of the slit was depressurized from the upstream side of the casting, thereby bringing the casting film into close contact with the cast surface.
[0006]
However, in this method, the pressure reduction in the decompression chamber increases, so that the adhesion of the cast film to the cast surface of the support is improved, but at the same time, the wind speed of the blown air from both the left and right sides of the decompression chamber is also increased. There is a problem that a film tends to be generated on the edge of the casting die.
[0007]
[Patent Document 1]
In this patent document, the present applicant is a method for producing a cellulose ester film useful for a protective film for a polarizing plate by a solution casting film forming method, which comprises a casting die and a vacuum chamber. Improvement of the gap accuracy between the two, in particular, by improving the gap accuracy of the surface facing the support at the lower end of the casting die and the surface facing the support at the lower end of the decompression chamber, A method for producing a cellulose ester film capable of preventing the occurrence of the above has been proposed.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
However, according to the invention of Patent Document 1, when a cellulose ester dope is cast on a support at high speed, a sufficient effect cannot be obtained, and a film (scale) is generated at the edge of the casting die. There was a problem that it could not be prevented.
[0009]
The object of the present invention is to solve the above-mentioned problems of the prior art and to prevent the formation of a die edge film (scale) during dope casting in a method for producing an optical film by a solution casting film forming method. An object of the present invention is to provide an optical film manufacturing method and an optical film, in which an optical film with improved quality can be efficiently and stably manufactured without fragments being attached to the film, and the yield is improved.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, according to the first aspect of the present invention, a dope, which is a raw material solution of an optical film, is flowed by a casting die on a metallic rotating endless belt or a metallic rotating drum (support). Then, a casting film (web) is formed on the support, and at this time, a range of 50 to 800 Pa is provided by a decompression chamber installed on the upstream side of the casting so that the web is formed in close contact with the support. under reduced pressure, after stripping the web from the support, and drying the web, a method of manufacturing an optical film by a solution casting film forming method, a vacuum change rate per minute by the decompression chamber, 5 (Pa / min) or more and 20 (Pa / min) or less.
[0011]
The invention according to claim 2 of the present invention is an optical film having a film thickness of 50 μm or less, which is manufactured by the method according to claim 1.
[0012]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, an embodiment of the present invention will be described.
[0013]
As described above, the present invention casts a dope, which is a raw material solution of an optical film, onto a metal rotating endless belt or a metal rotating drum (support) by a casting die and casts a film ( At this time, the pressure is reduced to a range of 50 to 800 Pa by a decompression chamber installed on the upstream side of the casting so that the web is formed in close contact with the support. And in the manufacturing method of the optical film of this invention, the pressure reduction change speed per minute by a pressure reduction chamber shall be 5 (Pa / min) or more and 20 (Pa / min) or less.
[0014]
That is, the present inventor, in the method of manufacturing an optical film, applies a reduced pressure to the casting film coming out of the casting die / slit to introduce air and to cast a ribbon (ribbon-like) during dope casting. Resin solution) is controlled to prevent horizontal streaks (transverse film thickness unevenness) in the width direction of the film. During the production of such optical films, When changing the pressure reduction in the pressure reduction chamber, it was found that if the speed of pressure reduction change is abrupt, the position of the ribbon moves abruptly and the die edge film (scale) is generated starting from that position.
[0015]
In the method for producing an optical film of the present invention, if the pressure reduction rate is less than 5 (Pa / min) , it takes a very long time to reach a predetermined pressure reduction value, which is disadvantageous in terms of production cost. In the method of the present invention, as shown in the examples described later, the pressure reduction rate per minute by the pressure reduction chamber is set to 5 (Pa / min) or more and 20 (Pa / min) or less. If the reduced pressure change rate is 20 (Pa / min) or less, the change in the ribbon position is small and gentle, and no die edge film (scale) is observed, but the reduced pressure change rate is 20 (Pa / min). ), The change in the position of the ribbon is large and abrupt and a die edge film (scale) is generated, which is not preferable.
[0016]
In the method for producing an optical film by the solution casting method of the present invention, the gap between the casting die / slit and the support surface is preferably in the range of 0.3 to 2 mm. In addition, although the appropriate point of the vacuum in the vacuum chamber varies depending on the cast film thickness and the web transport speed of the support, the vacuum pressure in the vacuum chamber is preferably in the range of 1 to 1500 Pa. The reason is that if the reduced pressure value in the reduced pressure chamber is less than 1 Pa, the reduced pressure is too small, and the casting film flowing down from the casting die hardly adheres to the support, causing bubbles and the like. On the other hand, when the pressure exceeds 1500 Pa, the reduced pressure is too strong, the flow rate of air blown from the gap during the reduced pressure is increased, and an edge film is likely to be generated on the casting die. In particular, the range of 50 to 800 Pa is practical.
[0017]
The gap between the lower end of the decompression chamber and the support does not increase the suction air volume, that is, if the suction air volume becomes too large, a dry film of the dope is formed at the end of the casting die / slit. In order to obtain a value, about 0.5-5 mm is preferable, and when depressurizing a decompression chamber to -100 Pa or more, 0.5-3 mm is more preferable.
[0018]
In the method for producing an optical film according to the present invention, the dope is added in the step of casting on the surface (cast surface) of the upper transition part of an endless support (stainless steel belt or drum) for infinitely transferring the dope. The liquid is fed to the casting die through the pressure type quantitative gear pump, and the dope is cast from the casting die onto the support at the casting position. As the casting die, it is preferable to use a casting die capable of adjusting the shape of the slit of the base portion. To adjust the film thickness, it is necessary to control the dope concentration, the pumping amount of the pump, the slit gap of the die of the casting die, the extrusion pressure of the die and the transfer speed of the support so as to obtain the desired thickness. Good.
[0019]
And a surface facing the supports on both sides before and after the dope outflow opening (slit) at the lower end of the casting die, a surface facing the support at the lower end of the adjustment plate of the decompression chamber, and lower ends of the left and right side plates of the decompression chamber It is preferable that the surface roughness of each surface of the portion facing the support is 1 μm or less. The reason is that when the surface roughness of these surfaces exceeds 1 μm, a uniform gap cannot be maintained, and when the dope flows down from the casting die, both ends in the width direction of the casting die, that is, casting. This is because a so-called beard-like film (scale) is likely to occur on the die edge.
[0020]
Furthermore, it is preferable that the gap between the surface facing the support at the lower end of the adjustment plate of the back plate of the decompression chamber and the support surface (cast surface) is 0.2 to 7 mm. The reason is that if this gap is less than 0.2 mm, the gap is too narrow, the fluctuation rate of the gap accompanying the vertical movement of the support is large, the decompression is not stable, and the cast film is likely to be disturbed. Further, when the vertical movement of the support (belt) is large, the support (belt) is scratched. On the other hand, if this gap exceeds 7 mm, a huge decompression fan is required to generate the necessary decompression. Even if the necessary decompression is obtained, the blowers from the left and right ends of the decompression chamber are blown. This is because a large amount of air flow makes it easy for a film to form on the edge of the casting die.
[0021]
Examples of the cellulose ester to be used in the method for producing an optical film of the present invention include cellulose triacetate, cellulose diacetate, cellulose acetate butyrate, and cellulose acetate propionate. In the case of cellulose triacetate, cellulose triacetate having a polymerization degree of 250 to 400 and a bound acetic acid amount of 54 to 62.5% is particularly preferable, and a cellulose triacetate having a bound acetic acid amount of 58 to 62.5% has a strong base strength and is more preferable. . As the cellulose triacetate, either cellulose triacetate synthesized from cotton linter or cellulose triacetate synthesized from wood pulp can be used alone or in combination.
[0022]
The solvent (solvent) for dissolving the cellulose ester may be used alone or in combination, but it is preferable to use a mixture of a good solvent and a poor solvent in terms of production efficiency.
[0023]
Here, the good solvent and the poor solvent used in the method of the present invention define a good solvent that dissolves the cellulose ester used alone, and a poor solvent that swells or does not dissolve alone. Therefore, depending on the amount of acetic acid bonded to the cellulose ester, the good solvent and the poor solvent change. For example, when acetone is used as the solvent, the amount of the acetic acid bonded to the cellulose ester is 55% and the amount of the acetic acid is 60%. turn into.
[0024]
Examples of the cellulose ester solvent include lower alcohols such as methyl alcohol, ethyl alcohol, n-propyl alcohol, isopropyl alcohol, and n-butyl alcohol, lower aliphatic chlorinated hydrocarbons such as cyclohexane, dioxane, and methylene chloride. Can be used.
[0025]
The concentration of the cellulose ester in the dope is about 10 to 35%, preferably 15 to 25%. As a method for dissolving the cellulose ester at the time of preparing the dope, a general method can be used. As a preferable method, the cellulose ester is mixed with a poor solvent, wetted or swollen, and further mixed with a good solvent. There are methods. At this time, under pressure, the method of heating at a temperature above the boiling point of the solvent at a room temperature and in a range where the solvent does not boil, and dissolving with stirring, generates the generation of massive undissolved substances called "gel" and "Mamako". In order to prevent, it is more preferable.
[0026]
As the solvent ratio, for example, methylene chloride is preferably 70 to 95% by weight, and other solvents are preferably 5 to 30% by weight. The cellulose ester concentration is preferably 10 to 50% by weight. The heating temperature with the addition of the solvent is preferably a temperature not lower than the boiling point of the solvent used and in a range where the solvent does not boil, for example, preferably 60 ° C. or higher and 80 to 110 ° C. The pressure is determined so that the solvent does not boil at the set temperature.
[0027]
After dissolution, the dope is taken out from the container while being cooled, or extracted from the container with a pump or the like and cooled with a heat exchanger or the like, and used for film formation.
[0028]
By including an ultraviolet absorber, a plasticizer, an antioxidant, a processing stabilizer, a matting agent, and the like in the optical film, the performance of the liquid crystal image display device resulting from the optical film can be improved.
[0029]
These additives such as plasticizers and ultraviolet absorbers may be mixed with a solvent in advance and dissolved or dispersed, and then added to the solvent before dissolving the cellulose ester, or may be added to the dope after dissolving the cellulose ester. .
[0030]
Although it does not specifically limit as a plasticizer used by this invention, In a phosphate ester type | system | group, a triphenyl phosphate (TPP), a biphenyl diphenyl phosphate (BDP), a tricresyl phosphate, a cresyl diphenyl phosphate, an octyl diphenyl phosphate, a trioctyl Phosphate, tributyl phosphate, etc., phthalate esters, diethyl phthalate, dimethoxyethyl phthalate, dimethyl phthalate, dioctyl phthalate, dibutyl phthalate, di-2-ethylhexyl phthalate, etc., glycolate esters, triacetin, tributyrin, butyl phthalyl butyl Glycolate, ethyl phthalyl ethyl glycolate (EPEG), methyl phthalyl ethyl glycolate, butyl phthalyl butyl glycolate, etc. Preferably alone or in combination. The above plasticizers may be used in combination of two or more as required. By containing these plasticizers, an optical film excellent in dimensional stability and water resistance can be obtained, which is particularly preferable.
[0031]
In this invention, in order to make a water absorption rate and a water content into a specific range, the addition amount of a preferable plasticizer is 1 to 15 weight% with respect to a cellulose ester. For a liquid crystal image display member, 5 to 15% by weight is more preferable from the viewpoint of dimensional stability, and particularly preferably 7 to 12% by weight. The content of the plasticizer having a freezing point of 20 ° C. or less with respect to the cellulose ester is preferably 1 to 10% by weight, and more preferably 3 to 7% by weight.
[0032]
In the method for producing an optical film according to the present invention, the ultraviolet absorber preferably used is highly transparent and has an excellent effect of preventing the deterioration of the polarizing plate and the liquid crystal element. From the point of view, it is preferable to use one having excellent absorption ability for ultraviolet rays having a wavelength of 370 nm or less and having as little absorption of visible light as possible with a wavelength of 400 nm or more from the viewpoint of good liquid crystal image display properties.
[0033]
Examples of commonly used compounds include, but are not limited to, oxybenzophenone compounds, benzotriazole compounds, salicylic acid ester compounds, benzophenone compounds, cyanoacrylate compounds, nickel complex compounds, and the like.
[0034]
In the method for producing an optical film according to the present invention, fine particles added as a matting agent for the purpose of improving slipperiness and preventing blocking after winding may be added to the main dope, but added to the additive solution. Is preferable from the viewpoint of productivity.
[0035]
Examples of the fine particles used in the present invention include inorganic compounds such as silicon dioxide, titanium dioxide, aluminum oxide, zirconium oxide, calcium carbonate, calcium carbonate, talc, clay, calcined kaolin, calcined calcium silicate, and hydrated calcium silicate. Mention may be made of aluminum silicate, magnesium silicate and calcium phosphate. Zirconium oxide fine particles are commercially available, for example, under the trade names Aerosil R976 and R811 (manufactured by Nippon Aerosil Co., Ltd.), and can be used. Among these, fine particles containing silicon are preferable in terms of low turbidity, and silicon dioxide is particularly preferable. Examples of these are those commercially available under the trade names Aerosil R972, R972V, R974, R812, 200, 200V, 300, R202, OX50, TT600 (above, Nippon Aerosil Co., Ltd.). Can do. Furthermore, the silicon dioxide fine particles are preferably silicon dioxide fine particles having a primary average particle diameter of 20 nm or less and an apparent specific gravity of 70 g / liter or more. Examples of the silicon dioxide fine particles that satisfy these requirements include Aerosil 200V and Aerosil R972V, which are particularly preferable because they have a great effect of reducing the friction coefficient while keeping the turbidity of the film low.
[0036]
In the present invention, the fine particles are used by adding 0.04 to 0.4% by weight to the cellulose ester. Preferably, it is 0.05 to 0.3% by weight, more preferably 0.05 to 0.2% by weight.
[0037]
In the present invention, after filtering the cellulose ester dope, the dope is cast on a support (casting process), heated to remove a part of the solvent (drying process on the support), and then from the support. It peels and the peeled film is dried (film drying process), and a cellulose-ester film is obtained.
[0038]
As the support in the casting process, a support having a mirror finished surface of a stainless steel belt or drum is used. The temperature of the support in the casting step can be cast in a general temperature range, that is, a temperature below 0 ° C. to the boiling point of the solvent, but it is more preferable to cast on a support at 5 to 30 ° C. It is preferable to cast it on a support at 5 to 15 ° C.
[0039]
For drying on the support, it is preferable to peel from the support with a residual solvent amount of 60 to 150% because the peel strength from the support becomes small, and more preferably 80 to 120%.
[0040]
In order for the optical film during production to exhibit good flatness, the residual solvent amount when peeling from the support is preferably 10 to 100% by weight, more preferably 20 to 80% by weight, and particularly preferably. Is 20-40% by weight.
[0041]
Here, the residual solvent amount can be expressed by the following equation.
[0042]
Residual solvent amount (% by weight) = {(M−N) / N} × 100
In the formula, M is the weight of the web at an arbitrary time point, and N is the weight when the weight M is dried at 110 ° C. for 3 hours.
[0043]
The temperature of the dope when peeling the film from the support is preferably 0 to 30 ° C., since the base strength at the time of peeling can be increased and the base breakage at the time of peeling can be prevented, and 5 to 20 ° C. is more preferable. .
[0044]
Peeling is usually performed at a peeling tension of 20 to 25 kg / m when the support and the film are peeled off. However, the optical film according to the production method of the present invention, which is thinner than the conventional film, is wrinkled during peeling. Since it is easy to enter, it is preferable to peel at a minimum tension that can be peeled to 17 kg / m, and more preferably to peel at a minimum tension to 14 kg / m.
[0045]
In the film drying step, the film peeled off from the support is further dried, and the residual solvent amount is 3% by weight or less, preferably 1% by weight or less, more preferably 0.5% by weight or less. Is preferable for obtaining a good film. In the film drying process, generally, a roll suspension system, a pin tenter system, or a clip tenter system is used for drying while transporting the film.
[0046]
The means for drying the film is not particularly limited, and is generally performed with hot air, infrared rays, a heating roll, microwaves, or the like. It is preferable to carry out with hot air in terms of simplicity. The drying temperature is preferably in the range of 40 ° C. to 150 ° C. and divided into 3 to 5 stages, and it is preferable to increase the temperature step by step, more preferably in the range of 80 ° C. to 140 ° C. to improve dimensional stability. . These steps from casting to post-drying may be performed in an air atmosphere or an inert gas atmosphere such as nitrogen gas.
[0047]
The winding machine relating to the production of the optical film of the present invention may be a generally used winding method such as a constant tension method, a constant torque method, a taper tension method, a program tension control method with a constant internal stress. Can be rolled up.
[0048]
The thickness of the optical film according to the present invention is not particularly limited. However, since it is used for a liquid crystal image display element used for LCD, that is, a protective film for a polarizing plate, it is usually preferably 100 μm or less, and above all, a thickness of 50 μm. The following optical films are preferred. The reason is that, when an optical film having a thickness of 50 μm or less is used as, for example, a protective film for a polarizing plate, stricter performance is required for quality. A particularly preferable thickness range of the optical film is 20 to 50 μm.
[0049]
According to the method for producing an optical film according to the present invention, it is possible to prevent generation of a die edge film (scale) at the time of casting a dope, thereby efficiently producing an optical film having improved quality without adhering a die edge film fragment to the film. Therefore, it can be manufactured stably and the yield is improved.
[0050]
【Example】
EXAMPLES The present invention will be specifically described below with reference to examples, but the present invention is not limited to these examples.
[0051]
Examples 1 and 2 and Comparative Example 1
(Preparation of dope)
A dope of cellulose triacetate was prepared as follows.
[0052]
Cellulose triacetate 100 parts by weight Methylene chloride 350 parts by weight Ethanol 12 parts by weight Triphenyl phosphate 12 parts by weight Tinuvin 326 (manufactured by Ciba Specialty Chemicals) 0.5 part by weight Aerosil 200V (manufactured by Nippon Aerosil Co., Ltd.) 0.1 part by weight The dope was prepared by putting the product into a closed container and dissolving it with stirring. Next, the obtained dope is reduced in pressure by a solution casting film forming apparatus (not shown) on the surface (cast surface) of the upper transition portion of the driving rotating stainless steel endless belt through a casting die at a film forming speed of 80 m / min. Casting was performed at 300 (Pa). However, at the start of casting, the reduced pressure was set to 0 (Pa), and the reduced pressure change rate until reaching the reduced pressure 300 (Pa) was changed as follows.
[0053]
That is, in this case, in Examples 1 and 2, the pressure change rate is changed to 5 (Pa / min) and 20 (Pa / min) to be within the scope of the present invention. In Comparative Example 1, the pressure change rate is changed. Was changed to 30 (Pa / min) to make it outside the scope of the present invention.
[0054]
Further, the temperature of the endless belt was controlled at 25 ° C., the moving cast film (web) was dried, and the solvent was evaporated and peeled until the residual solvent mass in the cast film became 25%. After peeling, a cast film (web) is introduced into the tenter dryer, dried while maintaining its width, subsequently dried with a roll dryer, and the resulting film is finally cooled to 20 ° C. and wound. The sample was wound on a take-up machine to obtain cellulose triacetate films of Examples 1 and 2 and Comparative Example 1 having a dry film thickness of 40 μm. In addition, the conveyance tension | tensile_strength of the film was 100-120 N / m, respectively.
[0055]
Subsequently, the quality of each cellulose triacetate film produced in this way was evaluated based on whether or not a die edge film (scale) fragment adhered to the film, and the results obtained are summarized in Table 1.
[0056]
[Table 1]
[0057]
As is apparent from the results of Table 1 above, according to Examples 1 and 2 of the present invention, no die edge film fragments are attached to the obtained cellulose triacetate film, and there is no deterioration in film quality due to the die edge film fragments. A cellulose triacetate film product having excellent quality as an optical film could be produced.
[0058]
On the other hand, according to the comparative example 1, the die edge film | membrane fragment has adhered to the obtained cellulose triacetate film, and the quality as an optical film was inferior.
[0059]
【The invention's effect】
According to the first aspect of the present invention, as described above, a dope, which is a raw material solution of an optical film, is cast on a metal rotating endless belt or a metal rotating drum (support) and supported by a casting die. Form a casting film (web) on the body, and at this time, the pressure is reduced to a range of 50 to 800 Pa by a decompression chamber installed on the upstream side of the casting so that the web is formed in close contact with the support, A method of producing an optical film by a solution casting film-forming method after peeling a web from a support, wherein the pressure change rate per minute by the vacuum chamber is 5 (Pa / min) ) above, characterized in that the 20 (Pa / min) or less, according to the manufacturing method of an optical film of the present invention, to prevent the occurrence of die edge coating of dope-casting (scale), whereby It is possible to produce an optical film with improved quality efficiently and stably without sticking to the edge film fragment, and the yield is improved, so that the production cost of the film product is reduced. .
[0060]
The invention according to claim 2 of the present invention is an optical film having a film thickness of 50 μm or less produced by the method for producing an optical film according to claim 1, wherein the optical film of the present invention is used. According to the above, there is an effect that it is possible to provide a high-quality optical film suitable for a protective film for a polarizing plate without adhesion of a die edge film (scale).
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