JP4295731B2 - フィルタの再生方法及びその装置 - Google Patents
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Description
前記ポーラスフィルタの寿命は、該ポーラスフィルタ内のエレメントにおける通気抵抗の増加量で判断され、前記のような逆洗をしながらの通常使用では2年程度であることから、寿命に達したポーラスフィルタを再生する手段が種々提供されている。
この技術においては、ディーゼルエンジンの排気ガス中のダストを捕獲するフィルタを再生するにあたり、該脱硝触媒層とフィルタとが併設された装置出口の排気ガスをフィルタ上流に還流させ、この排気ガスを温度が80〜400℃で、酸素を5〜20%含有するように調整し、この調整排気ガスをフィルタ内に徐々に通気させ、該フィルタのエレメントに付着したダスト中の未燃炭素を酸化反応させて除去している。
石炭ガス化炉用ポーラスフィルタを再生する際には、ポーラスフィルタ内に酸素を含有する灰化ガスを投入し、該ポーラスフィルタ内を所定の高温に加熱して前記チャーを灰化(酸化)しているが、かかるポーラスフィルタの再生に前記特許文献1(特開平8−309151号公報)の技術を適用する場合には、次のような問題点がある。
以上により、前記特許文献1の技術を石炭ガス化炉用ポーラスフィルタの再生に適用するのは困難となる。
従ってかかる発明によれば、電気ヒータ等の加熱手段でフィルタの温度を目標温度である400〜450℃の範囲に保持して、前記チャーを灰化させることにより、フィルタの構成部材に熱による破損の発生をみることなく、安全に、かつチャー内の低酸化反応成分を灰化することが可能となる。
尚、灰化ガスの投入は必ずしもフィルタが目標温度に達するのを待つ必要はなく、加熱と同時に行なっても構わない。
従ってかかる発明によれば、フィルタの温度を前記温度範囲(400〜450℃)に加熱後、灰化ガスの酸素濃度を目標濃度である5%〜15%(容積%)とすることにより、フィルタ内におけるチャー(未燃物)の爆発を伴うことなく、安全に、かつチャーを完全に灰化することができる。
これにより、フィルタにおけるチャーの灰化時間を短縮できて、フィルタ再生時間を短縮できる。
逆にフィルタに供給される灰化ガス中の酸素が灰化反応に対し過剰である場合には、灰化ガスの流量を減少させることで、灰化ガスによるフィルタの冷却を抑制し、フィルタの加熱量を削減することができる。
また、前記のように構成されたフィルタ再生装置は、石炭ガス化複合発電設備に適用するのが最適である。
さらにまた本発明によれば、差圧検出値が予め設定された目標差圧に収束したとき、あるいは酸素濃度検出値が予め設定された目標酸素濃度に収束したとき、あるいはCO2濃度検出値が予め設定された目標CO2濃度に収束したときの少なくとも一つにおいて、自動的に灰化ガス入口弁を閉止して灰化ガスのフィルタへの投入を遮断せしめるので、フィルタの再生が目標の状態までなされたことを自動的に検知してフィルタの再生を終了することができ、フィルタ再生時間を短縮できる。
さらにまた本発明のフィルタ再生装置を適用した石炭ガス化複合発電設備は、安全かつ短時間でフィルタの再生が可能であり、設備の運転停止時間を短縮することができる。
また、図2は前記実施例におけるポーラスフィルタ再生装置の制御ブロック図である。
図1及び図3において、1は石炭(微粉炭)をガス化する石炭ガス化炉、2は該石炭ガス化炉で生成されたガスを冷却する生成ガス冷却器、3は該生成ガス中のチャー(未燃物)を遠心分離するサイクロン、10は該サイクロン3を経た生成ガス中に残存しているチャーを捕獲するポーラスフィルタ、7は前記サイクロン3及びポーラスフィルタ10で分離されたチャーを収容するホッパ、18はガス精製装置である。
また、11は後述するポーラスフィルタ10の再生時に該ポーラスフィルタ10の内部を加熱する電気ヒータである。
14は前記ポーラスフィルタ10内に灰化用ガスを供給するための灰化ガス入口通路、12は該ポーラスフィルタ10内を通した灰化用ガスを排出するための灰化ガス出口通路である。
8は前記サイクロン3のチャー出口と前記ホッパとを接続するチャー通路、9は前記ポーラスフィルタ10のチャー出口と前記ホッパとを接続するチャー通路、19は前記ホッパのチャー出口と前記石炭ガス化炉1の下部とを接続するチャー戻し通路である。
20は前記サイクロン3からのチャー通路8を開閉する開閉弁、21は前記ポーラスフィルタ10からのチャー通路9を開閉する開閉弁である。
前記のような弁の開閉状態での前記通常運転時には、石炭ガス化炉1で石炭(微粉炭)と空気によるガス化によって生成されたガスは、生成ガス冷却器2で450℃程度に冷却され、ガス通路4を通ってサイクロン3に入り、該サイクロン3において該生成ガス中の比較的粗い粒径のチャー(未燃物)が遠心分離される。
また、前記サイクロン3で分離されたチャーはチャー通路8を通ってホッパ7に溜められ、ポーラスフィルタ10で分離されたチャーはチャー通路9を通ってホッパ7に溜められる。該ホッパ7に溜められたチャーはチャー戻し通路19を通って石炭ガス化炉1に再投入される。
55はコントローラで、前記入口酸素濃度計50及び出口酸素濃度計52から入力されるポーラスフィルタ10入口及び出口における酸素濃度の検出値、前記出口CO2濃度計から入力されるポーラスフィルタ10出口におけるCO2濃度の検出値、前記温度センサ57から入力されるポーラスフィルタ10の容器温度の検出値、前記入口圧力計53及び出口圧力計54から入力されるポーラスフィルタ10の灰化ガス入口側圧力及び灰化ガス出口側圧力の検出値に基づき、後述する演算、制御を行うものである。
56は前記コントローラの制御信号を受けて前記電気ヒータ11の電流値を制御するヒータコントローラである。
次いでポーラスフィルタ10内の非加熱状態で、前記灰化ガス入口弁16及び灰化ガス出口弁6を開き、前記灰化ガス入口通路14から窒素ガス(酸素濃度が5%以下である不活性ガスであればよい)を前記ポーラスフィルタ10内に封入して該ポーラスフィルタ10内を非加熱状態にて窒素ガスで置換する。
尚、石炭ガス化装置の点検等のための停止時には、通常、安全のために系内を窒素ガスで置換する。この状態を利用し、上述のように別途不活性ガスを供給することなく以下の操作を行なってもよい。
該電流量算出部562においては、電流量/温度設定部563に予め設定されている電気ヒータ11の電流量とポーラスフィルタ10の容器温度との関係から、前記温度偏差に対応する電流量の調整値を算出し、電気ヒータ11の電流量を調整値で調整する。これにより、前記ポーラスフィルタ10の容器温度は前記目標温度範囲(400〜450℃)に保持される。
従って、かかるポーラスフィルタ10の温度のフィードバック制御によって、ポーラスフィルタ10の温度は前記目標温度範囲(400〜450℃)に精度よく保持される。この場合、フィルタの内部温度は、該容器温度よりも若干低くなる。
灰化ガス酸素濃度調整判断部555においては、前記入口濃度偏差に対応する窒素ガスと酸素ガスの調整量を判断し、窒素調整弁と空気調整弁に出力する。これによって、窒素と空気の混合ガスである灰化ガスが目標酸素濃度に調整されてポーラスフィルタ10へ投入されるので、ポーラスフィルタ10の酸素濃度は前記目標酸素濃度5〜15%(容積%)に保持される。
灰化ガス流量調整判断部556においては、前記出口濃度偏差に対応する灰化ガス入口弁16の開度調整量を算出し、灰化ガス入口弁16に出力する。これにより、灰化ガス入口弁16の開度は前記開度調整量だけ補正されて前記出口目標酸素濃度に相当する開度となる。前記出口酸素濃度計の計測下限を下回った場合には、前記灰化ガス入口弁16の開度を大きくして灰化ガス量を増加させる。
また、窒素調節弁及び空気調節弁の開度調整量を算出し、前記窒素調節弁及び空気調節弁に出力し前記出口目標酸素濃度に相当する開度となるようにしてもよい。
さらにまた、各弁は、開度により流量を調整する流量調整弁ではなく、単なる開閉弁として前記出口目標酸素濃度に相当する流量を供給する構成としても構わない。
出口酸素濃度が計測下限を下回る場合は、チャーの灰化が進行することによって、ポーラスフィルタ容器内の酸素量が足りなくなっていることを示している。よって、灰化ガス量または灰化ガス中の酸素成分を爆発の危険がない範囲で増やすことで、ポーラスフィルタ容器内の酸素量を補充する。その結果、灰化時間を短縮することができる。
即ち図2の制御ブロック図において、入口圧力計53及び出口圧力計54からのポーラスフィルタ10の灰化ガス入口側圧力及び灰化ガス出口側圧力の検出値は、コントローラ55の差圧算出部557に入力され、該差圧算出部557においてポーラスフィルタ10の差圧(入口側圧力−出口側圧力)が算出され、差圧比較部565に入力される。
該差圧比較部565においては、最小差圧設定部567に予め設定された最小差圧ΔP0(図4参照)と比較し、その比較結果を灰化ガス入口弁遮断判断部566に入力する。
該出口濃度算出部559には、前記灰化ガス入口弁16を閉じてポーラスフィルタ10への灰化ガスの供給を遮断する条件となる出口遮断酸素濃度目標値Os(図4参照)及び出口遮断CO2濃度目標値Cs(図4参照)が設定されている。該出口遮断酸素濃度目標値Osは前記目標酸素濃度(入口酸素濃度設定値と同値)に設定され、該出口遮断CO2濃度目標値Csはポーラスフィルタ10内での灰化が十分に進んだ最少CO2濃度(ほぼ0%)に設定されている。
該前記灰化ガス入口弁遮断判断部566においては、図4に示すように、前記差圧の検出値(算出値)が最小差圧ΔP0に収束するか、あるいは前記出口酸素濃度検出値が出口遮断酸素濃度目標値Osに収束するか、あるいは出口CO2濃度検出値が前記出口遮断CO2濃度目標値Csに収束することの少なくとも一つにより、前記灰化ガス入口弁16を閉じて前記ポーラスフィルタ10内への灰化ガスの供給を遮断せしめる。
即ち図5は、前記実施例におけるポーラスフィルタ逆洗時の構成を示し、(A)は縦断面図、(B)は(A)におけるZ矢視図である。
図5において、10aはポーラスフィルタ10のエレメント、32は該エレメント10aの上部に、図5(B)のように複数(この例では4個)形成された逆洗ガス通路、31は逆洗ガスとしての圧縮窒素を導入する逆洗ガス管、30は該逆洗ガス管31を開閉する開閉弁である。13はポーラスフィルタ10入口側のガス通路である。
ポーラスフィルタ10の逆洗時には、前記逆洗ガス通路31からポーラスフィルタ10内に導入された圧縮窒素を複数(この例では4個)の逆洗ガス通路32からエレメント10aに吹き付け、該エレメント10aに付着している着脱ダスト層Yを除去する。該着脱ダスト層Yは、チャーともにチャー戻し通路19(図1参照)を通って石炭ガス化炉1に導入される。
かかる永久ダスト層Zを、前記のような要領でポーラスフィルタ10の再生を行うことにより除去することとなるが、該ポーラスフィルタ10の再生後には、再生時に灰化したチャー(永久ダスト層中の灰分)がエレメント10aの表面に付着しているので、該ポーラスフィルタ10の再生後に前記のような逆洗を行うことにより、前記灰化したチャーを除去することができ、これにより、ポーラスフィルタ10はほぼ新品に近い状態まで再生される。
2 生成ガス冷却器
3 サイクロン
6 灰化ガス出口弁
11 電気ヒータ
10 ポーラスフィルタ
12 灰化ガス出口通路
14 灰化ガス入口通路
16 灰化ガス入口弁
31 逆洗ガス管
32 逆洗ガス通路
50 入口酸素濃度計
52 出口酸素濃度計
52a 出口CO2濃度計
53 入口圧力計
54 出口圧力計
55 コントローラ
56 ヒータコントローラ
57 温度センサ
Claims (7)
- 石炭ガス化炉を含む排ガス源からの排ガス通路に排ガス中のチャー(未燃物)を捕獲するフィルタを設置してなる石炭ガス化装置において、前記フィルタの内部を酸素濃度が5%未満の不活性ガスで置換し、次いで該フィルタの温度が400〜450℃に保持されるように加熱し、酸素濃度が5%〜15%(容積%)となるように調整した灰化ガスを該フィルタ内に投入して、前記フィルタ内のチャーを灰化(酸化)させることを特徴とするフィルタの再生方法。
- 前記フィルタ出口における前記灰化ガス中の酸素濃度を検出し、該酸素濃度の検出値が予め設定された目標濃度になるように、灰化ガスの流量又は酸素濃度の少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項1記載のフィルタの再生方法。
- 前記フィルタ出入口間の差圧の目標差圧への収束、又は前記フィルタ出口の酸素濃度の目標濃度への収束、又は前記フィルタ出口のCO2濃度の目標濃度への収束の少なくとも一つをもって前記灰化ガスのフィルタへの投入を遮断し該フィルタの再生を終了することを特徴とする請求項1記載のフィルタの再生方法。
- 石炭ガス化炉を含む排ガス源からの排ガス通路に排ガス中のチャー(未燃物)を捕獲するフィルタを設置してなる石炭ガス化装置において、前記フィルタを加熱する加熱手段と、前記灰化ガス入口の酸素濃度を検出する酸素濃度計と、前記灰化ガスの酸素濃度を調整する灰化ガス酸素濃度調整手段と、前記フィルタの温度を検出する温度検出手段と、前記フィルタの温度の検出値が入力され、前記フィルタ温度の検出値に基づき前記フィルタの温度が400〜450℃になるように前記加熱手段の加熱量を制御するとともに、前記酸素濃度の検出値に基づき前記灰化ガス中の酸素濃度が目標濃度である5%〜15%(容積%)になるように灰化ガス酸素濃度調整手段を調整するコントローラとを備えたことを特徴とするフィルタの再生装置。
- 前記フィルタ出口の酸素濃度を検出するフィルタ出口酸素濃度検出手段と、前記灰化ガスの流量を調整する灰化ガス流量調整手段とを備えると共に、前記コントローラは、フィルタ出口の酸素濃度検出値が入力され、フィルタ出口の酸素濃度が予め設定された目標値になるように、前記灰化ガス流量調整手段又は前記灰化ガス酸素濃度調整手段の少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項4記載のフィルタの再生装置。
- 前記フィルタの出入口間の差圧を検出する差圧検出手段と、前記フィルタ出口の酸素濃度を検出する酸素濃度計と、前記フィルタ出口のCO2濃度を検出するCO2濃度計のうち少なくとも一つを備え、前記コントローラは、前記差圧検出手段から入力される差圧検出値が予め設定された目標差圧に収束したとき、あるいは前記酸素濃度計から入力される酸素濃度検出値が予め設定された目標酸素濃度に収束したとき、あるいは前記CO2濃度計から入力されるCO2濃度検出値が予め設定された目標CO2濃度に収束したときの少なくとも一つにおいて前記灰化ガス入口弁を閉止して前記灰化ガスのフィルタへの投入を遮断せしめるように構成されてなることを特徴とする請求項4記載のフィルタの再生装置。
- 請求項4乃至6の何れかに記載のフィルタ再生装置を備えた石炭ガス化複合発電設備。
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