JP4293490B2 - 記録紙後処理装置およびその記録紙搬送方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンタまたはそれらの複合機などの画像形成装置から排出されてきた記録紙に各種の後処理を行う記録紙後処理装置およびこの記録紙後処理装置に使用する記録紙搬送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置によって画像が記録された各記録紙を、整合トレイに複数枚束ねて整合するとともに、その整合された記録紙束にステイプラでの綴じ処理、折り処理、パンチ孔を穿設するパンチ処理などの各種の後処理を施すことができる記録紙後処理装置が各種提案され開発されている。
【0003】
ところで、このような記録紙後処理装置の中には、例えば特公平5−25788号公報に記載のように、装置の小型化を図るため、スイッチバック動作を行わせて搬送路を短縮化させる構成のものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この公報に記載の記録紙後処理装置では、このようなスイッチバック搬送を行うと、記録紙束の先と後とが逆転された状態で排出トレイへ排出される一方、スイッチバック搬送を行わない搬送路を通る記録紙は、その先後が逆転されずに、先後が元のままの状態で排出トレイへ排出される。
【0005】
従って、このスイッチバック搬送された記録紙とスイッチバック搬送されないノンスイッチバック搬送の記録紙とでは、排出トレイ内での記録紙の向きが先後逆さまになってしまう。
【0006】
そこで、この請求項1ないし請求項5に係る発明は、上記した事情に鑑み、記録紙の先後が逆転することがなく同じ向きに揃えて排出することができることを課題とする。
【0007】
さらに、上述した公報に記載の記録紙後処理装置では、スイッチバック搬送された記録紙は、搬送の途中で90度以上の大きな角度で紙面が回転し、その結果、搬送方向が反転されてしまい、記録紙の表裏まで反転してしまう。
【0008】
そこで、請求項2に記載の発明は、記録紙の表裏が反転することがなく表裏を揃えて排出することができることを課題とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、排出する記録紙の後処理された部分が整合トレイ上に係止したり、外部へ排出された後にその次に排出される記録紙が係止することを有効に防止して、スムースな搬送動作をおこなうことができることを課題とするものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、比較的簡単な構成のもので、記録紙に第2のスイッチバックを行わせることができることを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1に記載の発明は、
画像記録済みの記録紙に後処理を行う後処理手段と、
その後処理手段で後処理後の記録紙を、前記後処理手段に記録紙が送り込まれると逆方向に搬送する第1のスイッチバックを行う第1のスイッチバック手段と、
その第1のスイッチバック手段で第1のスイッチバックを行った記録紙を受け止め、記録紙が送り込まれると逆方向に記録紙を搬送する第2のスイッチバックを行う第2のスイッチバック手段と、
記録紙に後処理を行う場合と行わない場合とで切り替える切替部材を備え、後処理を行った場合は、後処理後の記録紙を前記第2のスイッチバック手段にガイドする姿勢としてから、前記第2のスイッチバック手段で第2のスイッチバック動作された記録紙を多段トレイに排出する方向にガイドする姿勢とする一方、後処理を行わなかった場合は、画像記録済みの記録紙を前記第1,第2のスイッチバックを行うことなくそのまま前記多段トレイに排出する方向にガイドする姿勢とする切替ガイド手段と、
を備えてなるものである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、記録紙を搬送する各搬送路で、記録紙を反転しないか、反転する場合には総計すると偶数回反転してなるものである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、記録紙に後処理を行う場合には、後処理を行うか行った側から第2のスイッチバックを行い、後処理を行ったのとは反対の側から排出してなるものである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発明において、エンドレスベルトを逆転して、同エンドレスベルトに設ける放出爪を掛け止めし、後処理後の記録紙に第2のスイッチバックを行うように構成したものである。
【0015】
請求項5に記載の発明は、
切替ガイド手段で記録紙に後処理を行う場合と行わない場合とで切替部材を切り替え、
画像記録済みの記録紙に後処理を行う場合は、画像記録済みの記録紙に後処理手段で後処理を行い、その後処理後の記録紙を第1のスイッチバック手段で、前記後処理手段に記録紙が送り込まれると逆方向に搬送する第1のスイッチバックを行い、前記切替部材でガイドしてその第1のスイッチバックを行った記録紙を第2のスイッチバック手段で受け止め、記録紙が送り込まれると逆方向に搬送する第2のスイッチバックを行い、切り替えられた前記切替部材でガイドしてその第2のスイッチバック動作された記録紙を排出し、多段トレイに分配する一方、
後処理を行わない場合は、前記第1,第2のスイッチバックを行うことなくそのまま排出するように、切り替えられた前記切替部材でガイドして画像記録済みの記録紙を排出し、前記多段トレイに分配してなるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態について添付図面に基づき説明する。
図1には、この発明による記録紙後処理装置の全体概略構成を示す。この図中符号1は、複写機・ファクシミリ・プリンタやそれらの複合機などの画像形成装置である。この画像形成装置1の側部には、この発明に係る記録紙後処理装置2を隣接して設置する。
【0017】
記録紙後処理装置2は、主に、画像形成装置1から排出された画像記録済みの記録紙にパンチ処理を行うパンチユニット3と、その記録紙とは別にファックス紙や割り込み紙をスタックさせるプルーフトレイ4と、記録紙を一時的にスタックする整合トレイ5と、記録紙の後処理手段であるステイプラ6と、記録紙をスタックするための大量トレイ7と、記録紙を仕分けしてスタックする複数多段のメイルボックストレイ8と、ノンステイプル処理もしくはステイプル処理された記録紙束をメイルボックストレイ8へ排出するために設けた記録紙の排出装置9とで構成されている。
【0018】
画像形成装置1から排出された画像記録済みの記録紙を、入口ローラ10によって水平方向に搬送し、パンチユニット3に送る。このパンチユニット3は、記録紙の搬送に同期したロータリーパンチであり、画像形成装置1に設けられた図示せぬ操作パネルで選択することによって記録紙に穿孔したりしなかったりするが、いずれの場合も記録紙の搬送動作は停止しない。
【0019】
パンチユニット3を通過した記録紙は、搬送ローラによって搬送され、分岐爪11がある分岐路に至る。分岐爪11は、記録紙処理のモード条件によって、図示せぬソレノイドで作動させて、搬送路をAとBの2方向に切り換える。
【0020】
搬送路Bは、たとえば記録紙にステイプルを行わず、記録紙を整合トレイ5上を介さずに直ちに後述する搬送路Fへと導き、多段のメイルボックストレイ8へ分配して排出する場合に使う。搬送路Aは、記録紙をプルーフトレイ4へ排出する場合、大量排出トレイ7へ排出する場合、および記録紙にステイプル処理をする場合に使う。
【0021】
搬送路Aに進んだ記録紙は、分岐爪12がある分岐路に至り、その分岐爪12で、プルーフトレイ4へ向かう搬送路Cと、整合トレイ5や大量トレイ7に向かう搬送路Dの2方向に切り換えられる。
【0022】
搬送路Cを通る記録紙は、搬送ローラ13によってプルーフトレイ4へスタックされる。搬送路Dを通る記録紙は、ステイプルモードの場合と、ノンステイプルモードの場合とで搬送の仕方が異なるが、いずれの場合にも外部へ排出させたときの記録紙の向きは一定であって、先後が逆転したり表裏が反転することがない。
【0023】
ノンステイプルモードの場合は、図6に示すように、ガイド板14が支点位置14aを中心に下に下がった状態で待機しており、記録紙は、搬送路Eへ進み駆動ローラ15と従動コロ16によって大量トレイ7へ排出される。
【0024】
ステイプルモードの場合は、ガイド板14が支点14aを中心に上に上がった状態(図1の2点鎖線で示す位置)で待機しており、記録紙は、ガイド板14の下側を通り、整合トレイ5に一時スタックされる。
【0025】
整合トレイ5の長さを小さくするため、図2に示すように、伸縮トレイ17を設ける。伸縮トレイ17は、整合トレイ5の奥行き方向の中央部に設ける。これは、記録紙束の幅方向の揃えを行うジョガーフェンス36と干渉しないようにするためである。
【0026】
伸縮トレイ17は、図1に示すセンサ31が記録紙先端を検知後所定時間で伸びる動作を完了し、記録紙がスタックされるのを待つ。このとき、伸縮トレイ17の伸びる長さを、搬送されてくる記録紙の長さにより調整する。たとえばA4縦のサイズが通紙されてくれば、伸縮トレイ17の先端位置はA4縦の先端位置まで伸びる。A3縦のサイズが通紙されてくれば、伸縮トレイ17の先端位置はスタックされるA3縦の先端位置まで伸びる。
【0027】
伸縮トレイ17は、長さを小さくするため2段階に伸びる構成である。伸縮させる構成は、図3に示すように、整合トレイ5からスプリング20の案内棒18をのばし、1段目の伸縮トレイ19の内部にはスプリング20の案内ガイド19aを設ける。図4は、スプリング20を前記案内棒18にセットし、1段目の伸縮トレイ19を整合トレイ5にセットしたものである。
【0028】
これによって、スプリング20が前記案内棒18の基部と前記案内ガイド19aの奥壁とにより圧縮され、1段目の伸縮トレイ19は常に整合トレイ5から飛び出す力が加わるので、その力によって1段目の伸縮トレイ19を整合トレイ5から伸ばすことができる。
【0029】
2段目の伸縮トレイ21も、図5に示すように、1段目の伸縮トレイ19と同様に構成され、常に1段目の伸縮トレイ19から飛び出す力が加わるので、その力によって2段目の伸縮トレイ21を1段目の伸縮トレイ19から伸ばすことができる。
【0030】
一方、図2に示すように、2段目の伸縮トレイ21の基部に紐状部材22が係止され、整合トレイ5に軸支されているプーリ23を介して角度を変換し、巻き取りプーリ24に巻かれている。巻き取りプーリ24と同軸上にホイールギヤ25を設け、それに駆動モータ27のウォームギヤ26をかみ合わす。また、2段目の伸縮トレイ21には検知フィラ28、整合トレイ5にはそれを検知するセンサ29を設けている。
【0031】
図5に示すように、1段目および2段目の両伸縮トレイ19・21ともコロ30を設け、伸縮動作を滑らかにしている。これにより、伸縮トレイ19・21が縮んだ状態(ホームポジション)から駆動モータ27を正回転させれば、巻き取りプーリ24から紐状部材22が繰り出され、伸縮トレイ19・21が伸びる。そのとき、伸縮トレイ19・21を、駆動モータ27のパルス制御によって所定の位置で停止させる。
【0032】
また、伸縮トレイ19・21を縮める場合は、駆動モータ27を逆転させ紐状部材22を巻き取る。そして、そのときの停止位置は、センサ29が検知フィラ28を検知することによって、所定の位置で停止するように設定されている。
【0033】
さて、図1に示すように、整合トレイ5に一時スタックされた記録紙は、排紙ローラ32の同軸上に配されたブラシローラ33と、たたきローラ34によって記録紙をストップ部材35に突き当てて搬送方向を揃え、ジョガーフェンス36によって横方向の揃え動作を行い、ステイプラ6によってステイプル動作を行う。その場合、ステイプラ6は、駆動部361によりスライド移動することが可能であり、指示された位置へステイプルする。
【0034】
コピーモードの場合は、その後、伸縮トレイ17が前述の機構によって整合トレイ5に収納される。その後ガイド板14が下に下がって、ガイド板14に取り付けられている従動コロ16が記録紙を加圧し、駆動ローラ15の回転によって大量トレイ7へ搬送する。この大量トレイ7へ搬送されてきた記録紙は、先後の向きや表裏が元の状態のままであり、向きが逆転したり表裏が反転されることはない。
【0035】
記録紙は、所定枚数分だけ次々に大量トレイ7に排出され、図8に示すように、センサ40によりその上面が検知されることによって、積載された記録紙が常に一定の位置になるように積載される。大量トレイ7上で転写紙が満杯になると、下限センサ41によって検出される。
【0036】
大量トレイ7は、図8に示すように、上下リフトベルト42に吊るされている。上下リフトベルト42は、ギヤ列およびタイミングベルトを介して昇降モータ43により駆動され、昇降モータ43の正転または逆転によって昇降する。また、必要に応じて、大量トレイ7は、記録紙の排出方向に対して直交する方向にシフト動作を行い、記録紙の仕分けを行う。
【0037】
搬送路Fを、駆動ローラ52側の固定ガイド板60と、従動コロ51側の位置可動な可動ガイド部材とで構成する。なお、これら駆動ローラ52および従動コロ51は、搬送路Fでの搬送手段を構成するとともに、メイルボックストレイ8への送り手段を構成している。
【0038】
搬送路Fの従動コロ51側には、図9(a)に示すように、記録紙を案内する位置可動な可動ガイド部材を、ワイヤ61よって構成する。そのワイヤ61の先端は、軸62に空転するように取り付けられたプーリ65に係止しており、複数個のアーム64を上下方向に間隔をあけて平行に設けておき、このアーム64の先端部に取り付けられたプーリ63で張設する。ワイヤ61の基端は、最下位のアーム64のプーリ63に係止し、図示外のばねを介して搬送の邪魔にならない位置に掛ける。
【0039】
従動コロ51は、アーム64の先端部にプーリ63と併設され、アーム64とともにメイルボックストレイ8の数だけ上下方向に配設する。そのとき、従動コロ51は、ワイヤ61よりも1〜2mm駆動ローラ52側に突出している。
【0040】
メイルボックストレイ8側へ記録紙束を搬送させるための放出爪53は、プーリ66とプーリ67に掛け渡されたエンドレスベルト76に固定されており、駆動モータ68で回転させることによってエンドレスベルト76とともに回転させる。
【0041】
アーム64は、支点64aによって記録紙後処理装置2の図示しない側板に回転動作可能に軸支し、後端部64bでレバー69と各々連結している。レバー69は、引っ張りスプリング70によって下方に引っ張られており、それによって従動コロ51、プーリ63、ワイヤ61は駆動ローラ52側に付勢され、駆動ローラ52に従動コロ51を突き当たる位置で揺動可能に静止している。揺動動作は、レバー69が各々のアーム64に連結されているので、ワイヤ61の上流側と下流側は同時にかつ搬送路Fに対して並行に動作する。なお、この実施例では、レバー69は片側のみである。
【0042】
搬送路Fの駆動ローラ52側は、図1に示すように、駆動ローラ52と、分配爪54と、前述の固定ガイド板60とで構成される。駆動ローラ52は、固定ガイド板60と分配爪54から1〜2mm突出している。したがって、搬送路Fの従動コロ51側と駆動ローラ52側の間隔は、通常2〜4mm程度にしている。なお、分配爪54は、上方向から搬送されてくる記録紙または記録紙束の搬送方向をメイルボックストレイ8へ偏向させるものであり、図1および図7に示すように、中央部を中心として回動する略三角形状のものから構成されている。
【0043】
搬送路Fへこの搬送路の幅よりも薄い(2〜4mm未満)記録紙束が進入してきた場合は、ワイヤ61は変位することなく記録紙束は搬送される。搬送路Fの幅よりも厚い(2〜4mm以上)記録紙束が進入してきた場合は、記録紙束がワイヤ61を押し広げて記録紙束が搬送される。記録紙詰まりを起こした場合は、従動コロ51の圧を解除すれば、ワイヤ61の間から記録紙を取り除くことができる。
【0044】
図9(b)、(c)に示すように、搬送路Fの従動コロ51側の可動ガイド部材(ワイヤ61)は、駆動源であるモータ81と、その回転駆動が伝達される偏心カム82とによって、アーム64を揺動させることにより、変位させてもよい。その変位させる大きさは、記録紙束の厚さ(枚数)に応じて変えることができる。記録紙束の枚数は、画像形成装置からの信号やセンサによってカウントすることができ、変位の大きさはモータ81の回転角で制御することができる。
【0045】
搬送路Fへ進んだ記録紙束は、図7に示す駆動ローラ52と従動コロ51によって下方へ搬送され、排紙されるべきメイルボックストレイ8の分配爪54により搬送方向が偏向され、所定のメールボックスへ放出される。
【0046】
搬送路Bに向かった記録紙は、図7に示すように、搬送路Fに入って排出されるメイルボックストレイ8の分配爪54が切り換わることによって、記録紙先端側から排出される。この場合、前述のステイプルされた記録紙束の場合と違ってスイッチバック動作はしない。
【0047】
メイルボックストレイ8へ記録紙が排出されれば、図1に示す紙検知センサ54によって、パソコン上でユーザに対してメールの有無を通知し、さらに排出された記録紙がメイルボックストレイ8の許容量を超えると、満杯検知センサ55によってプリントアウトユーザや画像形成装置1に対してそれを知らせる。
【0048】
記録紙の排出装置9は、ステイプラ6で綴じ処理(ステイプル処理)された記録紙束もしくはステイプラ6での綴じ処理を行われていない(ノンステイプル処理)記録紙束にその仕分けを行なってメイルボックストレイ8へ排出するものであり、記録紙の先後の逆転や表裏の反転を起こすことなく、全てのトレイ8において、同じ向きに揃えて排出されている。なお、この実施例の記録紙の排出装置9には、整合トレイ5への記録紙の搬送方向とは逆向きに搬送させて第1のスイッチバック動作を行う、チャックアーム対37、カム38、弁39からなる第1のスイッチバック手段である移送手段と、搬送ローラ対406と、第2のスイッチバック動作を行う第2のスイッチバック手段であるスイッチバック搬送手段と、切替ガイド手段90とを備えている。
【0049】
チャックアーム対37には、図10に示すように、回転軸370(これが図1に示す回動支点37aに相当する)に回転自在に取り付けられた固定側チャックアームを構成する下側チャックアーム371と移動側チャックアームを構成する上側チャックアーム372とを備えており、それぞれ上部には記録紙束を把持する把持部が形成されている。
【0050】
この下側チャックアーム371には、長さ方向に沿ってガイド溝371a、371bが設けてある。下側チャックアーム371のガイド溝371a、371bには、それぞれ上側チャックアーム372に設けた凸部372a、372bが係合されており、上側チャックアーム372をスライド自在に移動できるようにしている。
【0051】
上側チャックアーム372には、凸部372aの直下位置に凸部372bが形成されており、後述するカム38のカム面に係合するようになっている。なお、この上側チャックアーム372には、下側チャックアーム371との間に掛け渡されたスプリング373によって下方へ引張されるようになっており、常に把持部を閉じるような力が作用している。
【0052】
チャックアーム対37には、図10に示すように、回転軸370近傍に、記録紙後処理装置2の本体側に固定されたカム38を有する。
【0053】
固定されたカム38には、高いカム面(以下、高カム面)38aと、低いカム面(以下、低カム面)38bとを有している。上側チャックアーム372の凸部372bが高カム面38aに当接するときには、図10、16に示すように、カム38によって凸部372bが押し上げられて上側チャックアーム372の把持部が押し広げられるようになっている。
【0054】
一方、上側チャックアーム372の凸部372bが低カム面38bに当接するときには、図12、18に示すように、チャックアーム対37に掛けられたスプリングの力によって、上側チャックアーム372の把持部が閉じられる。
【0055】
さらに、このカム38には、高カム面38aに連なる同一曲面を有するカム面39aを備えた略円弧状の弁39が併設されている。この弁39は、記録紙後処理装置2本体側のカム38とは異なる回動軸39bに回動可能に取り付けられている。チャックアーム対37の把持動作を解除することができるようになっている。
【0056】
従って、図14に示すように、上側チャックアーム372の凸部372bが、このカム面39aの回動軸39bを設けた基端側とは逆の先端部を内周面側から押圧すると、この弁39が回動して開く。これにより、凸部372bが、高カム面38aと低カム面38bと間でカム38内に拘束された状態から、カム外へ開放されるわけである。
【0057】
搬送ローラ406は、左右一対のものが相対する位置に設けられており、チャックアーム対37から受け渡された記録紙束をこれら双方のローラのニップ部分で挟着しながら下方の搬送路Gへ送り出すようになっている。
【0058】
第2のスイッチバック手段であるスイッチバック搬送手段は、後処理手段であるステイプラ6で後端部側に綴じ処理され後端部側から排紙部へ送り込まれてきた記録紙束をエンドレスベルト76に沿って反時計回りに回送させるスイッチバック搬送を行い、メイルボックストレイ8へ排紙するものである。
【0059】
この実施例のスイッチバック搬送手段は、図1および図9に示すように、エンドレスベルト76に設けた鍵型の放出爪53から構成されている。この放出爪53は、エンドレスベルト76のメイルボックストレイ8を配設している前面側とは反対側の後面側をホームポジションとして待機するような状態に設けられている。
【0060】
切替ガイド手段90は、ステイプリラ6によって端面綴じ処理された記録紙束をエンドレスベルト76の後面側に待機する放出爪53の近傍(以下、ここをスイッチバック部とよぶ)へ向けて送り込むか、ステイプラ6での綴じ処理をなされずに搬送路Bから搬送されてきた記録紙束を搬送ベルトの前面側の搬送路Fへ送り込むかして、2つの搬送路F,Gへ送込先を仕分けるものである。
【0061】
切替ガイド手段90は、この実施例では、略板状三日月形の切替部材としての切替板91(図1,7,9,16,17参照)を備えており、プーリ65、66間に複数個回動自在に配設されている。この切替板91は、上側の周面が、記録紙を搬送路BからFへスムースに案内するとともに、ステイプラ6側の記録紙束を搬送ローラ対406から後述する搬送路Gへスムースに案内するような曲面を形成している。
【0062】
また、この実施例の切替板91は、下側の周面が、図1に示すように直下に設けたプーリ66の外周に沿った形状に形成されている。なお、この切替板91は、図9に示すように、互いに回動軸91Aで連結されており、図示外のモータなどによって適宜案内方向を切り替えるようになっている。
【0063】
搬送路Gは、搬送路Fとは逆に位置して設けてある。この搬送路Gに沿って先の切替板91が設けられており、チャックアーム対37に把持された記録紙束がこの搬送路Gに放出されると、この放出された記録紙束が切替板91の下側の周面とエンドレスベルト76との間の搬送路に沿って搬送路Fへ送り出されていく。
【0064】
次に、この実施例の記録紙の搬送装置を使用した記録紙搬送方法について説明する。
プリンタモードの場合で、ステイプルされた記録紙をメイルボックストレイ8へ排出する場合、図1に示すように、チャックアーム対37が、回動支点37aを中心として反時計方向に回転し、整合トレイ5上の記録紙束を挟む。その後、ストップ部材35とステイプラ6を手前側あるいは奥側のどちらか近い方の記録紙束側面よりも外側にスライドさせて待避させる。そのとき、ストップ部材35は、ステイプラ6の一部に係合しスライド動作に追従することによって移動する。
【0065】
次に、図12に示す記録紙束を挟んだチャックアーム対37が、回動支点37aを中心に時計回りに回転し、記録紙束を搬送ローラ対406のニップ部分へ受け渡す。このように、チャックアーム対37により把持されて搬送される記録紙束は、整合トレイ5へ搬送していくときの方向とは逆向きに搬送されることになるので、第1のスイッチバック動作が行われることとなる。
【0066】
ここで、チャックアーム対37を用いた移送手段による整合トレイ5から搬送ローラ対406への記録紙束の受け渡し動作について、説明する。
【0067】
記録紙束を整合トレイ5からチャックアーム対37が受け取るために、チャックアーム対37が反時計方向に回動するときには、上側チャックアーム372の凸部372bは、弁39のカム面39aの外側を通り、高いカム面38aへ向けて移動する。このとき、上側チャックアーム372は、把持部を開いたまま、図10の状態から図12に示すように、整合トレイ5のところまで移動するわけである。
【0068】
その後、図12、13に示すように、上側チャックアーム372の凸部372bが、低カム面38bと高カム面38aまたはカム面39aとの間のカム38内に入り込む。把持部で記録紙束を把持すると、その厚さに応じた分だけ低カム面38bよりも離間したところに(上側に)位置するので、低カム面38bに凸部372bが当接することはない。チャックアーム対37が整合トレイ5から記録紙束を受け取って時計方向に回動するときには、図13に示すように、上側チャックアーム372の凸部372bは、低カム面38bと高カム面38aまたはカム面39aとの間を下方へ向けて移動する。
【0069】
図14に示すように、上側チャックアーム372の凸部372bが、カム38の右下方に傾斜した低カム面38bに押されながら下方へ誘導されて移動していき、カム38内から凸部372bが脱出する。このようにして、上側チャックアーム372の凸部372bが、弁39を反時計方向に押圧・回動しながらこの開放部分から抜け出し、カム38内から脱出することにより、図14に示す、高カム面38a´へ移動する。このカム38内からの脱出動作により、把持部が開いて記録紙束が搬送ローラ対406へ受け渡されるのである。
【0070】
このようにして、記録紙束を搬送ローラ対406のニップ部分へ受け渡したならば、その把持部がこれら搬送ローラ406と従動コロ407の邪魔にならぬよう、チャックアーム対37は、下方へ移動する。
【0071】
次に、図16に示す切替板91による記録紙束Pの送込先の仕分作用により、メイルボックストレイ8を設けたエンドレスベルト76の前面側とは逆の後面側に待機する放出爪53の近傍へ記録紙束Pが放出される。
【0072】
このようにして、記録紙束Pが放出されたならば、図17に示すように、切替板91が回動軸91Aを中心として反時計方向に回動し、この切替板91の下面がプーリ66の外周面に沿って平行状態となるところで停止する。これにより、この切替板91の下面側とエンドレスベルト76との間に搬送路Fへつながる搬送路が形成される。
【0073】
その後、後面側に放出された記録紙束Pは、放出爪53によって後端部(下端部)から後押しされ、図18に示すように、この搬送路に沿って地点βで第2のスイッチバック動作されながらスイッチバック搬送されていく。最後に、この搬送路Fに搬送されてきた記録紙束Pは、この搬送路Fにおいて、分配爪54で所望のメイルボックストレイ8へ取り込まれて外部へ排出されていく。
【0074】
なお、これらの地点α、βで第1、第2のスイッチバック動作が行われることで、記録紙束の先後が元の状態に戻る。また、このステイプル処理用の搬送路の全行程において、例えば地点γで記録紙に対して90度以上の角度で反転動作を行っていないので、表裏も反転されていない。
【0075】
一方、ステイプラ6での綴じ処理が行われないノンステイプル処理の記録紙については、図1に示すように、切替板91の上面に沿って搬送路Fへ搬送される。その後、同様にして、分配爪54で所望のメイルボックストレイ8へ取り込まれて外部へ排出されていくので、記録紙の先後の逆転や表裏の反転がされずに、元の状態のままで排出される。
【0076】
これにより、ステイプル処理された記録紙とステイプル処理されない記録紙とでは、同一向きに揃った状態でメイルボックストレイ8へ排出されるから、ステイプル処理されたものとステイプル処理されていないものとが、混合して排出される場合であっても、記録紙を揃える手間が要らない。
【0077】
従って、この実施例によれば、上下一対のプーリ66、67に掛け渡したエンドレスベルト76の上部側半分での搬送路を利用して第2のスイッチバック動作を行わせているから、エンドレスベルト76の下部側半分の搬送路を利用したスイッチバック動作を行う構成に比べて、分配爪54が上半分のもので済むから、一対のものを必要とする後者の構成に比べて、部品点数および製造コストを削減することもできる。
【0078】
【発明の効果】
以上、説明したように、この請求項1ないし請求項5に係る発明によれば、後処理を行う場合には2度スイッチバックさせて先後の逆転を2回おこなっており、記録紙の先後を元の状態に戻すことができるので、画像記録済みの記録紙に後処理を行う場合と行わない場合とで、記録紙の排出の先後を一致させることができ、先後を逆転しなくとも、そのまま、まとめてファイルしたり内容を読み取ることができるようになり、使い勝手のよい記録紙後処理装置およびその記録紙搬送方法が実現できる。
【0079】
さらに、請求項2に係る発明によれば、記録紙を搬送する各搬送路で、記録紙を反転しないか、偶数回反転してなるようになっており、表裏を反転させる場合には、偶数回反転させるようになっているから、記録紙を反転しない元の状態に戻るので、記録紙の表裏も一致させることができ、さらに使い勝手のよい記録紙後処理装置が実現できる。
【0080】
さらに、請求項3に係る発明によれば、記録紙に後処理行う場合には後処理を行うか行った側から第2のスイッチバックを行い、後処理を行ったのとは反対の側から排出しており、記録紙の先後のうち後処理を行った側が後になって排出されるようになっているから、後処理を行った部分が整合トレイ上で係止してしまったり、外部へ排出したときにその前に排出された記録紙面に引っ掛かったりすることがなく、スムースに排出させることができ、信頼度の高い記録紙後処理装置が実現できる。
【0081】
さらに、請求項4に係る発明によれば、エンドレスベルトを逆転して、同エンドレスベルトに設ける係止爪を掛け止めし、後処理後の記録紙に第2のスイッチバックをするようになっており、簡易な構成で確実に記録紙にスイッチバックをさせることができ、さらに信頼度の高い記録紙後処理装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る画像形成装置の記録紙後処理装置を示す概略構成図である。
【図2】その整合トレイを伸縮トレイとともに示す斜視図である。
【図3】その1段目伸縮トレイ部分の分解斜視図である。
【図4】その組付け後の斜視図である。
【図5】1,2段目の伸縮トレイ部分の分解斜視図である。
【図6】整合トレイ部分周辺をガイド板とともに示す斜視図である。
【図7】記録紙が搬送路へ導かれた状態を示す説明図である。
【図8】大量トレイ近傍の概略構成を示す斜視図である。
【図9】(a)は記録紙搬送路の搬送従動用ローラ側の構成を示す斜視図,(b)・(c)はそのワイヤの変位状態を示す説明図である。
【図10】記録紙後処理装置の要部を示す概略構成図である。
【図11】その装置のチャックアーム対による戻り動作を示す説明図である。
【図12】そのチャックアーム対の記録紙束把持動作を示す説明図である。
【図13】そのチャックアーム対による搬送ローラへの記録紙束の受け渡し動作を示す説明図である。
【図14】そのチャックアーム対のホームポジションへの移動動作を示す説明図である。
【図15】そのチャックアーム対のホームポジションへ後退したときの記録紙束の搬送動作を示す説明図である。
【図16】整合トレイから排紙部への記録紙束の搬送動作を示す説明図である。
【図17】その後のスイッチバック搬送動作を示す説明図である。
【図18】この発明に係る記録紙の搬送装置の作用を示す説明図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
2 記録紙後処理装置
3 パンチユニット
37 チャックアーム対
370 回動支点
371 上側チャックアーム
371b ガイド溝
372 下側チャックアーム
372b 凸部
38 カム
38a 高カム面
38b 低カム面
39 弁
39a カム面
39b 回動軸
406 搬送ローラ対
5 整合トレイ
53 放出爪
6 ステイプラ(後処理手段)
7 大量トレイ
76 エンドレスベルト
8 メイルボックストレイ(排出トレイ)
9 記録紙の排出装置
90 切替ガイド手段
91 切替板(切替部材)
P 記録紙
Claims (5)
- 画像記録済みの記録紙に後処理を行う後処理手段と、
その後処理手段で後処理後の記録紙を、前記後処理手段に記録紙が送り込まれると逆方向に搬送する第1のスイッチバックを行う第1のスイッチバック手段と、
その第1のスイッチバック手段で第1のスイッチバックを行った記録紙を受け止め、記録紙が送り込まれると逆方向に記録紙を搬送する第2のスイッチバックを行う第2のスイッチバック手段と、
記録紙に後処理を行う場合と行わない場合とで切り替える切替部材を備え、後処理を行った場合は、後処理後の記録紙を前記第2のスイッチバック手段にガイドする姿勢としてから、前記第2のスイッチバック手段で第2のスイッチバック動作された記録紙を多段トレイに排出する方向にガイドする姿勢とする一方、後処理を行わなかった場合は、画像記録済みの記録紙を前記第1,第2のスイッチバックを行うことなくそのまま前記多段トレイに排出する方向にガイドする姿勢とする切替ガイド手段と、
を備えてなることを特徴とする記録紙後処理装置。 - 記録紙を搬送する各搬送路で、記録紙を反転しないか、反転する場合には総計すると偶数回反転してなることを特徴とする請求項1に記載の記録紙後処理装置。
- 記録紙に後処理を行う場合には、後処理を行うか行った側から第2のスイッチバックを行い、後処理を行ったのとは反対の側から排出してなることを特徴とする請求項1または2に記載の記録紙後処理装置。
- エンドレスベルトを逆転して、同エンドレスベルトに設ける放出爪を掛け止めし、後処理後の記録紙に第2のスイッチバックを行うように構成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の記録紙後処理装置。
- 切替ガイド手段で記録紙に後処理を行う場合と行わない場合とで切替部材を切り替え、
画像記録済みの記録紙に後処理を行う場合は、画像記録済みの記録紙に後処理手段で後処理を行い、その後処理後の記録紙を第1のスイッチバック手段で、前記後処理手段に記録紙が送り込まれると逆方向に搬送する第1のスイッチバックを行い、前記切替部材でガイドしてその第1のスイッチバックを行った記録紙を第2のスイッチバック手段で受け止め、記録紙が送り込まれると逆方向に搬送する第2のスイッチバックを行い、切り替えられた前記切替部材でガイドしてその第2のスイッチバック動作された記録紙を排出し、多段トレイに分配する一方、
後処理を行わない場合は、前記第1,第2のスイッチバックを行うことなくそのまま排出するように、切り替えられた前記切替部材でガイドして画像記録済みの記録紙を排出し、前記排出トレイに分配してなることを特徴とする記録紙搬送方法。
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