JP4292970B2 - 巻取装置のライン速度制御装置 - Google Patents
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Description
このような従来のライン速度制御技術の欠点として、大きく2つあり、以下、それらについて簡単に説明を行う。
1)電動機パルスジェネレータフィードバック制御
図4は、電動機パルスジェネレータフィードバック制御(電動機速度一定制御)を行った場合における巻取装置の巻取り状態を表した図である。
2)ラインタコジェネレータ+電動機パルスジェネレータ制御
図5は、ラインタコジェネレータ+電動機パルスジェネレータ制御装置の一例を示したブロック図である。
この装置は、電動機が最高速度に達したときに、ライン速度指令を制限するというものである。ここではライン速度は許容できる最大のライン速度指令としているが、電動機の最高速度でライン速度が自動的に制限される。制限は電動機の最高速度を現在の速度が越えたとき、その差分をPI調節器を介して、ライン速度制限値に加算するものである。しかしPI調節器の定数を調整しても、電動機速度の最高速度付近における速度変動が問題となる。この変動は、電動機速度が最高速度に達したときに速度制限動作が働き、電動機速度が最高速度以下の場合は働かないような、本質的にはON/OFF制御に由来している。速度制限が働くときには減速し、次に増速し、また減速するような、いわゆる、ハンチング現象となって現れる。
一方、上述のライン速度制御とは逆の電動機速度制御を主体とした場合の、電動機速度制御+ライン速度制限装置の場合も、同様に、ライン速度が最高速度に達したときに、電動機速度指令を減速させる制御システムであり、ライン速度最高速度付近における速度変動という問題が発生する。ただし、速度フィードバックにパルスジェネレータを利用しているので、制御性能は、上記ライン速度制御(タコジェネレータを使用)よりは良い。
先ず、電動機パルスジェネレータフィードバック制御(電動機速度一定制御)では、全工程を電動機速度で一定運転を行い、ライン速度が許容できる最高速度に達すると電動機速度への速度指令を減速させなければならない。この場合、手動もしくは、巻径計算により最適な減速時間を計算して、速度指令を徐々に低下させるなどのシーケンス制御が必要となるが、計算で求める減速時間ではライン速度が一定となるとは限らず、そのための調整が必要となる。特に電動機速度制御からライン速度制御への切り替えポイントでは少なからぬショックが発生し、巻取りロールの品質を劣化させるという問題点があった。
そこで、本発明の課題は、巻取装置の性能、信頼性、メンテナンス性の向上が、より図られた高性能な巻取装置のライン速度制御装置を提供することにある。
また、本発明の巻取装置のライン速度制御装置は、前記比率演算手段からの出力値を監視し、当該出力値が所定のレベル以上となる状態が所定時間継続した場合に、前記ライン速度検出手段の断線を検出する断線検出手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、本発明の巻取装置のライン速度制御装置は、前記比率演算手段からの出力信号の低域成分を濾波するLPFと、前記LPFからの出力を微分する微分手段と、前記微分手段の出力値がプラスとなった場合に、媒体切れの発生を検出する媒体切れ検出手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、電動機速度フィードバック用の速度検出器とライン速度フィードバック用の速度検出器を要するシステムにおいて、電動機制御からライン速度制御への切り替えが極めてスムーズに移行でき、そのための特別な調整が不要となる。また従来技術のように最高速度付近において速度ハンチングの発生がないことから、巻き取るロールの品質の向上が可能となる。
(発明の実施の形態)
図1は、本発明を適用した巻取装置のライン速度制御装置の構成を示したブロック図である。また、図2は、本発明の巻取装置のライン速度制御装置における巻取装置の巻取り状態を表した図である。
まず、構成を説明する。
図1における巻取装置のライン速度制御装置は、大きく、巻取り装置100、指令部101、比率演算部102、PG(パルスジェネレータ)フィードバック部103、断線・紙切れ検出部104にて構成される。
タコジェネレータ(TG)から求められたライン速度VLは、LPF15、制限部16とを介して、演算器17に供給される。一方、モータ速度演算器14により求められた電動機速度VMは、フィルタ21、切換制御器22、フィルタ23にそれぞれ供給される。フィルタ21を介して演算器17に供給されたモータ速度VMは、演算器17にて比率(rate)演算がなされ、切換スイッチ18の入力端bに供給される。
切換制御器22は、切換スイッチ18を制御し、モータ速度VMの絶対値が、所定の値より小さい場合には出力端cと入力端aとを接続(rateを1に固定)し、大きい場合には出力端cと入力端bとを接続するよう制御する。
さて、図1に示す如くに、本発明の巻取装置のライン速度制御装置(巻取機の自動変速システム)は、常時パルスジェネレータフィードバックを用いた電動機速度制御を行うために、外部(外部速度設定器1)からのライン指令速度VSを、電動機速度設定(トルク指令)に変換して運転を行うものである。ここで、制御ブロックの主な項目について、さらに説明する。
タコジェネレータから、低域通過フィルタ(LPF15)と制限(制限部16)を経由して求めたライン速度VLと、パルスジェネレータフィードバックから求めた電動機速度VMとから、その比率(rate=VM/VL)を、演算器17にて逐一演算する。LPF15は、タコジェネレータのノイズカットのために挿入され、制限部16は、演算器17における比率(rate)計算で、除数が0や小さい値にならないための補償のために挿入されるものであり、制限部16は、機械システムのありえる比率範囲が設定される。下式は工業値での比率(rate)を示し、実用上では最大ライン速度、電動機最大速度のときにrate=1.0となるように設定される。
モータ速度(VM)が、ある設定レベル以下では、切換制御器22が切換スイッチ18の可動接点を一方の入力側aに切り換えることにより、固定比率(rate)=1.0が乗算器3に供給され、これを、ライン指令速度VSを掛けた値を速度指令として制御する。モータ速度VMがある設定レベルを超えたら、外部(外部速度設定器1)からのライン速度設定(ライン指令速度VS)に上記で計算した比率(rate)を掛け、制限通過(制限部4、加減速演算器5、速度制限部6、LPF7通過)後、電動機速度設定値として速度調節器8の入力に供給する。
この制御システムにより以下のことが実現できる
a)工程の全域が、電動機パルスジェネレータフィードバックシステムによる速度制御となり、制御精度、応答などの性能がタコジェネレータフィードバックの場合と比べて格段に優れる。
b)速度制限において、誘動電動機12の最高速度で速度指令が制限されるので、最初から許容できる最大のライン速度指令を与えることができる。
c)巻取りロール11が巻き太っていくに従い、ライン指令速度VSとライン速度VLとが合致するときが来て、そのあとは図2に示す如くに、自動的に電動機速度が低下するような制御となる。このときは、ライン速度一定となるように、比率(rate)の変化から自動的に電動機への速度指令が減速するような仕組みとなっており、従来の速度ハンチングなどの問題は発生しない。
このシステムでは、タコジェネレータが断線しているとVL=0となり、検出器27には装置上取り得る最大値が供給されることになる。したがって、比率(rate)が最大値である時間が、ある期間連続した場合にタコジェネレータ断線と判断することができる。
3)紙切れ検出
比率(rate)は、巻き太りとなる工程においては必ず、比率の微分量(変化量)はマイナスの値となる。紙切れが発生すると、通常、ライン速度VLは減少に向かい、モータ速度VMは増速方向となるので、この微分器25の結果であるところの微分量はプラスに転じる。このプラスに転じるところを捉えて、紙切れと判断する。
2 LPF(低域通過フィルタ)
3 乗算器
4 制限部
5 加減速演算器
6 速度制限部
7 LPF
8 速度調節器
9 タコジェネレータ(TG)
10 ライン速度検出器
11 巻取りロール
12 誘導電動機(IM)
13 パルスジェネレータ(PG)
14 モータ速度演算器
15 LPF
16 制限部
17 演算器
18 切り替えスイッチ
19 制限部
20 LPF
21 フィルタ
22 切換制御器
23 フィルタ
24 フィルタ
25 微分器
26 検出器
27 検出器
28 巻戻しロール
29 ブレーキ
30 減速機
31 減算器
100 巻取り装置
101 指令部
102 比率演算部
103 PGフィードバック部
104 断線・紙切れ検出部
Claims (4)
- 減速機を介して接続された媒体を巻取る巻取りロールと、該巻取りロールを駆動する電動機と、前記巻取ロールが巻き取る媒体のライン速度を検出するライン速度検出手段と、前記電動機の速度を検出する電動機速度検出手段を備えた巻取装置のライン速度制御装置において、
前記ライン速度検出手段で検出したライン速度と、前記電動機速度検出手段から求めた電動機速度との比率を所定の間隔にて演算する比率演算手段と、
ライン速度指令を設定する外部速度設定手段と、
前記外部速度設定手段により設定された前記ライン速度指令に、前記比率演算手段により出力された比率を乗じて、速度指令値を演算する乗算手段と、
前記乗算手段により演算された速度指令値と、前記電動機速度検出手段で検出した電動機速度との差を演算する減算手段と、
前記減算手段の出力に基づいて、前記電動機の速度を制御する信号を出力する速度調節手段とを備え、
前記ライン速度が前記電動機速度より低いときに電動機速度を一定とし、前記ライン速度が前記電動機速度より高いときにライン速度を一定とする制御を行う
ことを特徴とする巻取装置のライン速度制御装置。 - 前記ライン速度検出手段は、タコジェネレータであることを特徴とする請求項1に記載の巻取装置のライン速度制御装置。
- 前記比率演算手段からの出力値を監視し、当該出力値が所定のレベル以上となる状態が所定時間継続した場合に、前記ライン速度検出手段の断線を検出する断線検出手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の巻取装置のライン速度制御装置。
- 前記比率演算手段からの出力信号の低域成分を濾波するLPFと、
前記LPFからの出力を微分する微分手段と、
前記微分手段の出力値がプラスとなった場合に、媒体切れの発生を検出する媒体切れ検出手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の巻取装置のライン速度制御装置。
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