JP4292785B2 - 弾性表面波装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フリップチップ工法により複数の弾性表面波素子を一つの実装基板に実装する弾性表面波装置の製造方法と、これを用いた弾性表面波装置並びに通信装置とに関するものであり、特に、実装基板に形成されているパターン電極と弾性表面波素子に形成されている突起電極とを接続する際に、被接続部位に超音波を印加する弾性表面波装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
弾性表面波装置は、弾性体の表面に沿って伝搬する弾性表面波を利用した弾性表面波素子を備える装置であり、遅延線、フィルタ、共振子などに利用されている。弾性表面波は電磁波に比べて波長が短いため、弾性表面波装置そのものを小型化し易いなどの利点がある。それゆえ、たとえば携帯電話などでは、高周波回路に設けられるフィルタとして弾性表面波装置が用いられている。
【0003】
しかしながら、近年では、特に携帯電話においては、より一層の小型化や低背化が求められており、それゆえ弾性表面波装置もさらに一層の小型化・低背化が求められている。そこで、より小型化・低背化された弾性表面波装置を製造する方法として、たとえば特開平11−122072号公報に開示されている弾性表面波装置のように、フリップチップ工法を用いて弾性表面波素子を実装基板に実装する方法が有効に用いられている。
【0004】
具体的には、上記公報の技術では、第5実施例として開示されているように、フリップチップ工法を用いて、複数の弾性表面波素子を一つの実装基板に搭載して弾性表面波装置を製造する。これによって、一つの弾性表面波装置で複数のフィルタ機能を実現することが可能になるため、複数のフィルタ機能を発揮する小型の弾性表面波装置を得ることができる。なお、フリップチップ工法を用いて弾性表面波素子を実装基板に実装することを、以下「フリップチップ接続する」と表現する。
【0005】
ここで、上記フリップチップ工法とは、弾性表面波素子の電極形成面の上にバンプ(突起電極)を形成し、この電極形成面を実装基板のパターン電極に対向させて接続する工法である。したがって、この工法では、弾性表面波素子と実装基板とを、バンプを介して電気的かつ機械的に接続することになる。つまり、上記バンプと実装基板上のパターン電極との間の接続部は、電気的な導通と、弾性表面波素子を固定保持する機械的な強度との二つの機能を同時に実現することになる。そのため、該接続部には高い信頼性が要求される。
【0006】
上記フリップチップ接続において、バンプとパターン電極とを接続する接続工程では、具体的な方法として、熱のみ、あるいは熱および押圧を用いて接続する方法、押圧と同時に超音波を印加する方法、押圧と同時に熱および超音波を併用して印加する方法などが用いられる。中でも、接続工程で超音波を利用すれば、バンプと電極パターンとの接続をより確実なものとすることができる。
【0007】
また、特開2001−189639号公報には、複数の弾性表面波チップをパッケージにフェイスダウンでボンディングすることが開示されている。複数の弾性表面波チップは、信号端子が配置されていない弾性表面波チップの隣り合う辺同士が略平行となるように配置され、信号端子は、相対する辺にそれぞれ配置された信号端子の列が互いに略平行となるように配置されている。
【0008】
また、特開2001−257236号公報には、複数の素子をパッケージにフリップチップボンディングすることが開示されている。このとき、厚みの異なる素子を用いたり、電極ランドの高さを異ならせている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、フリップチップ接続により複数の弾性表面波素子を実装基板に実装する場合、上記接続工程で超音波を利用すると、バンプとパターン電極との接続部における機械的な接続強度を低下させるという問題点が発生する。
【0010】
具体的には、実装基板に対して一つの弾性表面波素子をフリップチップ接続した後、次の弾性表面波素子をフリップチップ接続すると、後者の弾性表面波素子を接続するために印加する超音波が、すでに接続が完了している前者の弾性表面波素子に共振を生じさせる。そのため、バンプとパターン電極との接続部の機械的強度が低下し、弾性表面波素子を固定保持することに悪影響が及ぼされる上に、電気的導通が妨げられることにもなる。その結果、接続部の信頼性が大きく損なわれてしまう。
【0011】
上記特開平11−122072号公報では、フリップチップ接続で、複数の弾性表面波素子を実装基板に実装することは開示されているが、接続工程にて、上記超音波の利用による問題点を解消することについては何ら考慮されていない。それゆえ、接続部の信頼性を十分に向上させることができないという問題点が生じる。
【0012】
上記特開2001−189639号公報では、特開平11−22072号公報と同様に、先に1つの弾性表面波素子をフリップチップボンディング実装する際に印加する超音波が、すでに実装されている素子に共振を生じさせ、バンプとパターン電極部との接続部における機械的な接続強度を低下させるという問題が生じる。
【0013】
さらに、上記特開2001−258236号公報では、厚みの異なる素子を用いたり、電極ランドの高さを異ならせても、先に1つの素子をフリップチップボンディング実装した後、次の素子をフリップチップボンディング実装する際に印加する超音波が、すでに実装されている素子に共振を生じさせ、バンプとパターン電極部との接続部における機械的な接続強度を低下させるという問題が生じる。
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、超音波を利用したフリップチップ接続により、複数の弾性表面波素子を実装基板に実装する際に生じる、接続部の機械的強度の低下を防止できる弾性表面波装置の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解消するために鋭意検討した結果、後から弾性表面波素子をフリップチップ接続する際に、先に接続が完了している弾性表面波素子に、超音波による共振を生じさせないようにするためには、フリップチップ接続の条件をそれぞれ異なった条件に変えることが非常に有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0016】
すなわち、本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、上記の課題を解決するために、弾性表面波素子を実装基板に実装する際に、該弾性表面波素子に複数の突起電極を形成した上で、実装基板に形成されているパターン電極と上記突起電極とを接続するフリップチップ接続工程を含む弾性表面波装置の製造方法において、上記パターン電極と突起電極とを接続する際に、上記弾性表面波素子の重量を、各弾性表面波素子ごとで異ならせた上で、被接続部位に超音波を印加することを特徴としている。
【0017】
上記方法によれば、上記弾性表面波素子の重量を含めた弾性表面波素子の構成要素を実装する個々の弾性表面波素子ごとに変化させることになる。そのため、実質的に、複数の弾性表面波素子はそれぞれ「独立した媒体」となるので、複数の弾性表面波素子全体が実質的に「一つのまとまった媒体」を形成しない。
【0018】
それゆえ、弾性表面波素子の実装に際して超音波を印加しても、特に、パターン電極と突起電極との接続部が超音波振動により共振して機械的強度が低下する事態を回避することができる。その結果、弾性表面波装置の製造において、接続不良による歩留りの低下を押さえたり、接続部の信頼性の低下による弾性表面波装置の故障を回避することができる。
【0019】
本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、上記の方法において、前記実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子の重量が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子の重量に比べ重くなるようにフリップチップ接続の順序を選択することが好ましい。
【0020】
フリップチップ接続の超音波印加において、超音波振動は実装基板を通じ周囲へと伝わる。複数の弾性表面波素子を超音波接合する場合、かつ、既に接合された弾性表面波素子が存在する場合、前記のような共振には至らなくとも強い超音波振動が伝搬することにより、接合部の劣化が起こりえる。
【0021】
前記のように共振を防ぐため、複数の弾性表面波素子間で条件を変化させる場合、さらに周囲への影響の大きい接合条件が必要な弾性表面波素子を先に接合し、その後、周囲への影響の小さい接合条件を有する弾性表面波素子を接合することにより、接合部の劣化を最小にとどめることができる。これにより、単に複数の弾性表面波素子における条件を異ならせる場合に比べて、より一層接続不良による歩留りの低下を押さえたり、接続部の信頼性の低下による弾性表面波装置の故障を回避することができる。
【0022】
なお、弾性表面波素子の重量が重い場合、十分な出力の超音波振動を印加された弾性表面波素子は、弾性表面波素子の重量がより小さい場合に比べて、周囲への影響が大きい。
【0023】
本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、上記方法において、上記突起電極の形成条件を上記各弾性表面波素子ごとで異ならせ、上記突起電極の形成条件には、突起電極の材質、突起電極の平均重量、および突起電極の形状の少なくとも一つが含まれていてもよい。
【0024】
上記方法によれば、各種突起電極の形成条件という、突起電極とパターン電極との接続部に直接影響を及ぼす具体的な条件を変化させている。そのため、これら各条件を少なくとも一つ変化させることで、接続部の共振を確実に回避することが可能になる。その結果、弾性表面波装置の製造において、接続不良による歩留りの低下をより一層抑制したり、接続部の信頼性の低下による弾性表面波装置の故障をより確実に回避することができる。
【0025】
本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、上記の方法において、前記実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子の突起電極の数が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子の突起電極に比べ、多くなるようにフリップチップ接続の順序を選択することが好ましい。
【0026】
上記の方法によれば、先に接続した弾性表面波素子の接合部への影響を小さくすることができる。これは、突起電極の数が少ないほうが、超音波振動の実装基板への伝搬による周囲への影響を小さくすることができるためである。
【0027】
本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、上記の方法に加えて、前記パターン電極と突起電極とを接続する際に、前記弾性表面波素子の実装基板への押圧力、実装基板の温度、超音波出力、超音波振動周波数、および超音波印加時間の少なくとも何れかを各弾性表面波素子ごとで異ならせることが好ましい。
【0028】
上記の方法によれば、フリップチップ接続時の弾性表面波素子への印加荷重や、超音波出力など、突起電極と実装基板との接続に直接関係のある具体的な上記の条件を変化させている。そのため、これらの各条件を少なくとも一つ変化させることで、接続部の共振を回避することが可能となる。この結果、弾性表面波装置の製造方法において、接続不良の発生を抑制することができる。
【0029】
本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、上記の方法において、前記実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波出力が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波出力に比べ、大きくなるようにフリップチップ接続の順序を選択することが好ましい。
【0030】
超音波出力が大きい場合、超音波出力が小さい場合と比べ、周囲への影響は大きい。超音波出力の小さい弾性表面波素子を後に接続することにより、先に接続した弾性表面波素子の接合部への影響を小さくすることができる。
【0031】
本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、上記の方法において、前記実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波印加時間が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波印加時間に比べ、長くなるようにフリップチップ接続の順序を選択することが好ましい。
【0032】
これにより、先に接続した弾性表面波素子の接合部への影響を小さくすることができる。これは、超音波印加時間が短くなると、長い場合と比べて周囲への影響が小さくなるからである。
【0033】
本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、上記の方法において、前記実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波周波数が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波周波数に比べ、低くなるようにフリップチップ接続の順序を選択することが好ましい。
【0034】
これにより、先に接続した弾性表面波素子の接合部への影響を小さくすることができる。これは、超音波周波数が高いほうが波としての伝搬損失が高く実装基板上を伝搬しにくいため周囲への影響を小さくできるからである。
【0035】
本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、上記の方法に加えて、パターン電極と突起電極とを接続する際に、前記弾性表面波素子を形成する素子基板の裏面における、金属膜形成の有無、形成された金属膜の厚み、形成された金属膜の金属材料の種類の少なくとも何れかを各弾性表面波素子ごとで異ならせることが好ましい。
【0036】
上記の方法によれば、フリップチップ接続する弾性表面波素子の裏面の金属膜の有無を各弾性表面波素子で異ならせている。また、弾性表面波素子の裏面に金属膜が存在する場合は、該金属膜の厚み、および金属膜の金属材料の種類の少なくとも何れかを各弾性表面波素子ごとで変化させている。フリップチップ接続の際の超音波の印加は、通常弾性表面波素子をその裏面から実装基板に押圧すると同時に、弾性表面波素子の裏面に接触したボンディングツールから超音波を伝えている。このとき、ボンディングツールから弾性表面波素子への超音波の伝搬は、ボンディングツールと弾性表面波素子の裏面との摩擦に依る。そのため、弾性表面波素子の裏面の金属の有無、厚み、金属の種類等を変えることにより、ボンディングツールと弾性表面波素子との摩擦状態が変化し、その結果、突起電極と実装基板上のパターン電極との間の超音波振動の状態が変化する。それにより、接続部の共振を回避することが可能となり、この結果、弾性表面波装置の製造において、接続不良の発生を抑制することができるようになる。
【0037】
本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、上記方法に加えて、さらに、超音波の印加とともに、被接続部位同士の押圧、および被接続部位の加熱の少なくとも一方を実施することを特徴としている。
【0038】
上記方法によれば、互いに対向している突起電極およびパターン電極に対して熱を加えたり荷重を印加することになるので、超音波振動による被接続部位の接続作用が向上する。そのため、突起電極とパターン電極との接続がより容易になるとともに、これらの接続状態もより一層安定化することになる。その結果、製造プロセスの効率性を向上することができるとともに、得られる弾性表面波装置の品質を向上することができる。
【0039】
本発明にかかる弾性表面波装置は、上記製造方法を用いて製造されることを特徴とし、本発明にかかる通信装置は、上記弾性表面波装置を用いることを特徴としている。
【0040】
上記各構成によれば、上記方法を用いて弾性表面波装置を製造するので、パターン電極と突起電極との接続部の機械的強度が低下せず、信頼性の高い弾性表面波装置や通信装置を得ることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、少なくとも二つ以上の弾性表面波素子を、超音波を用いたフリップチップ工法により実装基板に実装する際に、各弾性表面波素子を実装基板に接続する時点で、弾性表面波素子と実装基板との接続に影響を及ぼす要素を意図的に異ならせるものである。
【0043】
弾性表面波素子を後から接続して実装基板に実装する際には超音波が印加されるので、先に実装が完了している弾性表面波素子は超音波の印加により共振し易くなる。しかしながら、上記要素を異なったものとすれば、共振の発生を回避することが可能になるので、実装が完了している弾性表面波素子の接続強度が悪化することを防止することができる。その結果、弾性表面波素子の接続・実装の信頼性の低下を回避することが可能になる。
【0044】
本発明にかかる弾性表面波装置は、図1または図2に示すように、実装基板20に対して複数の弾性表面波素子10…が実装される構成となっている。図1では、第1素子10aおよび第2素子10bの二つ、図2では、第1素子10a、第2素子10b、および第3素子10cの三つが実装されるようになっている。勿論、四つ以上の弾性表面波素子10…が実装されるようになっていてもよい。また、説明の便宜上、図示しないが、本発明における弾性表面波装置には、実装基板20および弾性表面波素子10以外に部材が含まれていても構わない。
【0045】
上記実装基板20としては、図1または図2に示すような、弾性表面波素子10をはめ込んだ状態で実装するようなキャビティ構造(函状構造)を有する基板が用いられてもよいし、平坦な単板構造を有する基板が用いられてもよい。すなわち、実装基板20は、複数の弾性表面波素子10…を実装可能となっていれば、その形状は特に限定されるものではない。
【0046】
実装基板20の材質としても特に限定されるものではなく、セラミックやプラスチックなど従来公知の材料が好適に用いられる。また、実装基板20のサイズとしても特に限定されるものではなく、複数の弾性表面波素子10…が実装できるサイズであり、一般的な弾性表面波装置よりも小型化・低背化されているサイズであればよい。
【0047】
実装基板20の実装面21には、図1または図2に示すように、弾性表面波素子10…を実装するための電極パッド(パターン電極)22が形成されている。この電極パッド22は、後述するバンプ(突起電極)15を接続するための被接続部位を含んでいるとともに、完成した弾性表面波装置における入力側端子や出力側端子につながる電気配線としても機能する。上記電極パッド22の具体的な構成についても特に限定されるものではなく、従来公知の構成であればよいが、一般的には、その表面に上記バンプ15と同成分が含まれていることが好ましい。これによってバンプ15と電極パッド22とを直接接合し易くなる。
【0048】
また、上記電極パッド22は多層構造となっていてもよい。たとえば、上記のように、表面がバンプ15と同成分を含んでいる接続層であれば、その下層に電気的な導通性の高い電極層が形成され、さらにその下層に、実装基板20に対して電極層・接続層を密着させるための密着層が形成されている三層構造となっていてもよい。
【0049】
上記弾性表面波素子10としても、従来公知の一般的な構成のものが好適に用いられ、特に限定されるものではない。
【0050】
具体的には、一般的な弾性表面波素子10は、図3にも示すように、少なくとも平板状の素子基板11からなっており、その第1面(表面)が素子電極12の形成される電極形成面13となっている一方、第2面(裏面)がラップ加工またはホーニング加工などにより荒らされた状態の面(粗面14)となっている。なお、図1や図2、あるいは図4ないし図6においては、バンプ15の形成状態を説明する便宜上、電極形成面13には素子電極12を記載していない。
【0051】
上記素子基板11は、弾性表面波(SAW)材料を主成分とする基板であれば特に限定されるものではない。SAW材料としては、具体的には、たとえば、タンタル酸リチウム(LiTaO3 )、ニオブ酸リチウム(LiNbO3 )、水晶などの圧電単結晶材料;Pb(Zr,Ti)O3 、Pb(Zr,Ti,Mg,Nb)O3 、Pb(Zr,Ti,Sb,Nb)O3 、Pb(Zr,Ti,Mn,Nb)O3 、Pb(Zr,Ti,Co,Nb)O3 、Pb(Zr,Ti,Cd,Nb)O3 などの圧電セラミックス材料;ZnO薄膜などの圧電薄膜;などが挙げられるが特に限定されるものではない。
【0052】
上記素子基板11の第1面、すなわち電極形成面13に形成される上記素子電極12の構成についても特に限定されるものではなく、従来公知の構成であればよいが、通常、素子電極12には、櫛型のパターンで形成される櫛型電極が含まれている。また、上記電極パッド22と同様に、素子電極12も多層構造となっていてもよい。
【0053】
また、素子電極12の第2面、すなわち粗面14における加工方法についても、上記ラップ加工やホーニング加工のみに限定されるものではなく、その他公知の粗面加工法を用いることが可能である。
【0054】
さらに、本発明では、フリップチップ工法により弾性表面波素子10を実装基板20に実装するので、弾性表面波素子10の上記電極形成面13(第1面)に上記バンプ(突起電極)15…が複数形成されている。このバンプ15…は、素子電極12の表面に突起状に形成されており、その先端が、実装基板20に形成されている上記電極パッド22と接続するための被接続部位となっている。
【0055】
上記バンプ15は、図3に示すように、上記電極パッド22と接続した状態で、弾性表面波素子10と実装基板20とを接続する接続部30を構成する。それゆえ、該バンプ15は、接続部30を形成した状態で十分な機械的強度を発揮できるとともに、十分な導通性を発揮できるようになっておれば、その形状や材質については特に限定されるものではない。
【0056】
一般的には、上記バンプ15は、素子電極12から突出して設けられていればよく、その材質としても、金(Au)、銅(Cu)、これら金属材料を含む各種の合金、はんだなどの従来公知の材料を好適に用いることができる。なお、本発明では、後述するように、弾性表面波素子10ごとに、このバンプ15のバンプ数、サイズや重量、材質、配置などを変化させることが好ましい。
【0057】
上記バンプ15の形成方法としても特に限定されるものではない。一般的には、金などのバンプ15用の材料からなる原料ワイヤを準備しておき、ボールボンディング法によって素子電極12の所定の位置にバンプ15を形成する。なお、原料ワイヤの径を変えることによって、後述するように、形成されるバンプ15の重量を変化させることが可能になる。また、バンプ15の数が多い場合には、フォトリソグラフィーを利用したメッキ形成方式や、転写バンプ方式などの他の方法でバンプ15を形成してもよい。
【0058】
本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法では、フリップチップ工法によって弾性表面波素子10を実装基板20に実装する。具体的には、図1や図2に示すように、上記弾性表面波素子10の電極形成面13と実装基板20の実装面21とを対向させ(図中矢印A)、電極形成面13に複数形成された上記バンプ15…を、実装面21に形成されている電極パッド22と接続する。その結果、弾性表面波素子10と実装基板20とを、バンプ15…を介して電気的かつ機械的にまとめて接続することができる。
【0059】
その結果、バンプ15と電極パッド22との接続部30は、電気的な導通と、弾性表面波素子10を固定保持する機械的な強度との二つの機能を同時に実現することができる。それゆえ、弾性表面波素子10を、配線用ワイヤなどを用いないで実装基板20に対して安定して接続かつ固定することができる。
【0060】
さらに、上記接続時には、超音波振動とともに、熱および荷重の少なくとも一方を印加することが好ましく、双方を印加することがより好ましい。すなわち、上記接続時には、超音波の印加とともに、被接続部位同士の押圧、および被接続部位の加熱の少なくとも一方を実施することが好ましく、双方を実施することがより好ましい。
【0061】
被接続部位の加熱や押圧を実施することによって、超音波振動による被接続部位の接続作用が向上する。そのため、バンプ15と電極パッド22との接続がより容易になるとともに、これらの接続状態もより一層安定化することになる。その結果、製造プロセスの効率性を向上することができるとともに、得られる弾性表面波装置の品質を向上することができる。
【0062】
ここで、バンプ15と電極パッド22とは、上述したように、接続された状態で電気的な導通と機械的な強度との双方を実現しなければならない。それゆえ、接続部30には高い信頼性が要求される。しかしながら、複数の弾性表面波素子10…を実装基板20に実装する場合、接続段階で超音波を印加すると、被接続部に超音波振動が生じるだけでなく、先に接続されている弾性表面波素子10の接続部30に超音波振動が伝達され、該接続部30が共振し易くなる。このような共振が発生すると、接続部30の機械的強度が低下し、弾性表面波素子10を固定保持できなくなるだけでなく、電気的導通にも影響がおよぼされるため、接続部30の信頼性が大幅に低下する。
【0063】
そこで本発明では、上記フリップチップ工法により複数の弾性表面波素子10…を順次実装していく場合に、超音波の印加主体となる弾性表面波素子10の構成要素を適宜変化させた状態で、被接続部位に超音波を印加するようになっている。
【0064】
共振は、ある媒体に対して外部から与えられる振動周波数が、その媒体の固有周波数に等しくなった状態を指す。ここで、複数の弾性表面波素子10…が何れも同じ構成かつ同じ条件で実装基板20に実装されると、実質的に、複数の弾性表面波素子10…全体が「一つにまとまった媒体」を構成することになってしまう。それゆえ複数の弾性表面波素子10…全体が「固有周波数」を持つことになり、そのため、接続時に超音波を印加すると、超音波振動によって共振が発生し易くなる。
【0065】
ところが、本発明のように、バンプ15の形成条件を含めた弾性表面波素子10の構成要素を各弾性表面波素子10ごとに変化させると、実質的に、複数の弾性表面波素子10…全体が「一つのまとまった媒体」を形成せず、各弾性表面波素子10が「独立した媒体」となる。それゆえ、複数の弾性表面波素子10…全体が共振するような事態が回避される。その結果、上記接続部30の機械的強度の低下を回避することが可能になり、弾性表面波装置の製造において、接続不良による歩留りの低下を押さえたり、接続部30の信頼性の低下による弾性表面波装置の故障を回避することができる。
【0066】
ここで、弾性表面波素子10の構成要素には、該弾性表面波素子10そのものに関わる一次的な要素と、バンプ15の形成条件という弾性表面波素子10に外的付加された二次的な要素とが含まれる。
【0067】
まず、上記一次的な要素としては、たとえば、弾性表面波素子10の形状、弾性表面波素子10の基板材質、および弾性表面波素子10の重量を好ましく挙げることができる。勿論、一次的な要素には、これら以外の要素が含まれていてもよい。
【0068】
たとえば、図1に示すように、二つの弾性表面波素子10・10のそれぞれの形状をそれぞれ変化させる。この場合では、各弾性表面波素子10は何れも長方形状であるが、その長方形における短辺の長さが異なっている。具体的には、第1素子10aは幅(短辺)が狭く「細長い」長方形となっているが、第2素子10bは、幅(短辺)が広く「太短い」長方形となっている。このように、複数の弾性表面波素子10…の形状をそれぞれ変化させれば、複数の弾性表面波素子10…全体で見れば「媒体」の均質性が低下することになるので、共振の発生を回避できる。
【0069】
さらに、上記二つの弾性表面波素子10・10は、図1に示すように、長方形状の実装面21に対して互いに並列配置されて実装される。そのため、各弾性表面波素子10・10の形状を比較すると、何れも長辺の長さは同じである。それゆえ、細長い第1素子10aに比べると太短い第2素子10bは大きなサイズを有していることになる。つまり、上記形状の変化には弾性表面波素子10の大きさ(サイズ)の変化も含まれる。また、素子基板11の材質が同一であれば、第1素子10a・第2素子10bの間では重量が変化していることになる。
【0070】
このように各弾性表面波素子10の重量を変化させることで、複数の弾性表面波素子10…全体で見れば「媒体」の均質性が低下することになるので、共振の発生を回避できる。この重量の変化としては、上記弾性表面波素子10の大きさ、すなわち素子基板11の大きさを変化させるだけでなく、素子基板11の厚みを変化させたり、大きさは同じでも素子基板11の材質を変化させたりすることで実現可能である。
【0071】
また、素子基板11の材質を変化させた場合には、比重の違いによって重量を変化させるのみならず、素子基板11の固さなども変化する。したがって、超音波を伝搬する「媒質」そのものを変化させていることになるため、複数の弾性表面波素子10…全体で見れば「媒体」の均質性が低下するので共振の発生を回避できる。しかも、弾性表面波素子10の機能に応じて素子基板11の材質を選択することができるので、弾性表面波素子10の設計の自由度を向上することもできる。
【0072】
なお、上記各構成要素は何れか一つのみを変化させるだけで十分であるが、複数変化させることで共振の発生をより一層確実に回避することができる。
【0073】
また、弾性表面波素子10の形状や大きさを変化させることは、弾性表面波装置の設計に大きな自由度を与えることができるという利点もある。
【0074】
つまり、弾性表面波素子10においては、素子電極12の面積は、該弾性表面波素子10が機能する弾性表面波の周波数(機能周波数とする)により異なる。一般に、この機能周波数が低くなると、必要な電極面積は大きくなる。
【0075】
たとえば、二つの弾性表面波素子10・10を実装する場合に、一方を機能周波数の低い(たとえば1GHz以下)フィルタ機能を有する低周波数素子とし、他方を機能周波数の高い(たとえば約2GHz)のフィルタ機能を有する高周波数素子とする。この場合、低周波素子については、図1における太短い第2素子10bのようにサイズを大きくし、高周波素子については、細長い第1素子10aのようにサイズを小さくすると、実装基板20における弾性表面波素子10の搭載スペースを効率的に利用することができる。その結果、弾性表面波装置の設計に大きな自由度を与えることができる。
【0076】
次に、上記二次的な要素であるバンプ15の形成条件には、たとえば、形成されるバンプ15の数、バンプ15の材質、バンプ15の平均重量、バンプ15の形状、およびバンプ15の配置を好ましく挙げることができる。勿論、バンプ15の形成条件には、これら以外の形成条件が含まれていてもよい。
【0077】
まず、図4に示すように、二つの同じ形状の弾性表面波素子10・10を用いたとする。このとき、各弾性表面波素子10でバンプ15の数を変化させれば、各弾性表面波素子10はそれぞれ異なった数のバンプ15で固定保持されることになる。図4では、第1素子10aでは10個のバンプ15が形成されているのに対し、該第1素子10aと同形状である第2素子10dには、8個のバンプ15が形成されている。それゆえ、ほぼ同一の構成である各弾性表面波素子10であっても、超音波振動は接続部30で異なった条件にて伝搬される。その結果、複数の弾性表面波素子10…全体でみれば「媒体」の均質性が低下することになるので、共振の発生を回避できる。
【0078】
ここで、ボールボンディング法のように、上記バンプ15が一括して形成されず、個々に形成されるのであれば、バンプ15の数は少ない方が好ましい。しかしながら、バンプ15は、電極パッド22と接続されて接続部30となった状態で、弾性表面波素子10を固定支持する機能を果たすため、少な過ぎると好ましくない。それゆえ、上記バンプ15の数を変える場合でも、バンプ15の必要最小限の数は常に考慮する必要がある。
【0079】
また、各弾性表面波素子10においてバンプ15の材質を変化させると、バンプの固さが異なるために、超音波振動の伝搬も異なることになる。たとえば、図5に示すように、第1素子10aおよび第2素子10bの構成は図1に示した場合と同様であって、第2素子10bに形成されているバンプ15…が、金または金を含む合金製であるのに対し、第1素子10aでは、はんだ製のバンプ16…が形成されているとする。この場合、はんだの方が金または金を含む合金よりも柔らかいため、超音波振動は、各弾性表面波素子10ごとに硬さの異なるバンプ15・16を伝搬することになる。その結果、複数の弾性表面波素子10…全体でみれば「媒体」の均質性が低下することになるので、共振の発生を回避する効果を得ることができる。
【0080】
さらに、図6に示すように、図4に示した場合と同様に、それぞれ同じ形状の第1素子10aおよび第2素子10bにおいて、第1素子10aでは、第2素子10dに形成されているバンプ15…よりも大きなバンプ17…が形成されているとする。バンプ15・17の材質が同じであれば、これはバンプ15・17の間で大きさ(たとえば平均径)を変えたり、平均重量を変えたりしていることになる。その結果、超音波振動がバンプ15を伝搬する条件を変化することになるので、上記のような共振の発生を回避する効果を得ることができる。
【0081】
上記のようにバンプ15の平均重量を変える、あるいはバンプ15の平均径(大きさ)を変化させるには、たとえば、上述したようにボールボンディング法を利用する場合には、例えば、原料ワイヤの径を変えればよい。また、バンプ15の径を変化させることは、バンプ15の形状を変化させることにもなり、平均重量の変化同様、共振の発生を回避する効果を得ることができる。勿論、形状の変化は平均径の変化に限定されるものではない。
【0082】
あるいはバンプ15の配置、すなわちバンプ15形成のレイアウトを変えても、伝搬される超音波振動は接続部で異なった条件にて伝搬される。
【0083】
たとえば図2に示すように、同形状(細長い長方形状)の第1素子10aおよび第3素子10cと、異なる形状(太短い長方形状)の第2素子10bとを実装する場合で、しかも第1素子10aおよび第3素子10cの何れも弾性表面波素子10としてほぼ同様の構成となっており、バンプ15の数も同一の8個であるとする。ここで、たとえば第1素子10aでは、バンプ15の配置を長辺に沿って整列したレイアウトとし、第3素子10cでは、バンプ15の配置を比較的ランダムとなるレイアウトとしておく。これだけで、接続部30では異なった条件にて超音波振動が伝搬されるので、共振の発生を回避することが可能になる。
【0084】
上記各形成条件は何れか一つのみを変化させるだけで十分であるが、複数変化させることで共振の発生をより一層確実に回避することができる。
【0085】
また、上記バンプ15の配置、すなわちバンプ15形成のレイアウトを変化させることは、弾性表面波素子10の電極形成面13のレイアウトを変化させることにもなるので、櫛型電極(素子電極12)のパターンを変化させてもよいことになる。その結果、弾性表面波素子10の設計に大きな自由度を与えることができ、実装基板20など弾性表面波装置の構成に応じて、バンプ15や素子電極12の配置を変更することが容易になる。勿論、上述した弾性表面波素子10の形状を変化させる場合と組み合わせれば、設計の自由度をさらに一層大きくすることができる。
【0086】
勿論、弾性表面波装置の構成に応じて、特定の要素またはその組み合わせによって、より一層確実に共振の発生を回避できる場合もあり得る。
【0087】
さらに、上記二次的な要素には、バンプ15の形成条件以外の要素が含まれていてもよい。たとえば、弾性表面波素子10にその他の部材や手段を外的付加するような場合には、その付加条件を変化させるようになっていてもよい。
【0088】
本発明においては、上述した各構成要素の中でも、特に素子重量、バンプ形成条件を変化させることがより好ましい。これら構成要素を変化させる場合、さらに効果的であるという利点がある。また、構成要素の変化の組み合わせとしても、上記各条件の組み合わせが特に好ましい。
【0089】
上記フリップチップ工法による弾性表面波素子10の実装(フリップチップ接続)のより具体的な例について、図1および図7を参照して説明する。すなわち実装基板20に対して第1素子10aおよび第2素子10bの二つの弾性表面波素子10を実装する場合を例に挙げて説明する。
【0090】
まず、プロセス(以下、プロセスを適宜Pと略する)1として、実装基板20を加熱する。この加熱プロセスは、バンプ15と電極パッド22との接続性をより向上させるためのものである。それゆえ上記加熱温度についても特に限定されるものではなく、実装基板20の材質やバンプ15の材質に応じて、接続に有利になるような温度範囲が適宜設定されればよい。
【0091】
次に、P2として、複数の弾性表面波素子10…の電極形成面13(第1面)を、実装基板20の実装面21に形成されている電極パッド22に対向させて位置合わせする。この位置合わせプロセスでは、電極形成面13に形成された複数のバンプ15と電極パッド22との位置合わせがなされるとともに、各弾性表面波素子10に個別に割り当てられている位置に該弾性表面波素子10を配置するようにもなっている。本実施の形態では、第1素子10aおよび第2素子10bをそれぞれ並列させて位置合わせする(図7参照)。
【0092】
実装基板20は、実装面21を上方となるように載置されている。そのため、位置合わせプロセスで、弾性表面波素子10の電極形成面13と実装基板20の表面とを対向させれば(図中矢印A)、弾性表面波素子10の粗面14、すなわち電極形成面13の反対面が上方となる。
【0093】
次にP3として、図7に示すように、上方となっている弾性表面波素子10の粗面14に対して、接続用のボンディングツール40の押圧面41を接触させ、弾性表面波素子10を実装基板20に接続する。これによって弾性表面波素子10がフリップチップ接続される。このボンディングツール40は、本実施の形態では、弾性表面波素子10に対して超音波振動(図中矢印B)と荷重(図中矢印C)との双方を印加するようになっているが、超音波振動のみであってもよい。なお、図7では、第2素子10bにボンディングツール40を接触させている場合を図示しているが、第1素子10aにおいても同様である。
【0094】
このフリップチップ接続プロセスで、弾性表面波素子10に印加される超音波の条件については特に限定されるものではなく、バンプ15の材質の特性に応じて、接続が可能となる振動を与えることができる条件が適宜設定されればよい。さらに、弾性表面波素子10に印加される荷重についても特に限定されるものではない。この荷重の印加は、加熱プロセスと同様、バンプ15と電極パッド22との接続性をより向上させるためのものである。それゆえバンプ15の材質の特性に応じて、接続に有利になるような押圧状態となっていればよい。
【0095】
上記P2およびP3によって第1素子10aが実装されるので、その後、P2およびP3と同様のプロセスであるP4およびP5を繰り返すことによって第2素子10bが実装される。このとき、上述したように、弾性表面波素子10の構成要素を適宜変化させる(図7参照)。その結果、先に接続された第1素子10aでは、バンプ15と電極パッド22との接続部で共振を回避できるため、接続の信頼性の低下を防止することができる。
【0096】
さらに、第3素子10cを実装するのであれば、弾性表面波素子10の構成要素を適宜変化させてP2・P3と同様のプロセスを繰り返し実施すればよい。したがって、本発明にかかる製造方法では、弾性表面波素子10を実装する数だけ、弾性表面波素子10の構成要素を変化させた上でP2・P3のプロセスを繰り返す。そして、全ての弾性表面波素子10が実装されることで、弾性表面波装置が完成する。
【0097】
また、本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、複数の弾性表面波素子10を実装基板20に実装する場合には、先に実装基板20にフリップチップ接続する弾性表面波素子10の重量が、その後に実装基板20にフリップチップ接続する弾性表面波素子10の重量に比べ重くなるようにフリップチップ接続の順序を選択することが好ましい。
【0098】
上記ボンディングツール40によるフリップチップ接続の超音波印加において、超音波振動は実装基板20を通じ周囲へと伝わる。複数の弾性表面波素子10を超音波接合する場合、かつ、既に接合された弾性表面波素子10が存在する場合、既に接合された弾性表面波素子10における共振には至らなくとも強い超音波振動が伝搬することにより、接合部の劣化が起こりえる。
【0099】
前記のように共振を防ぐため、複数の弾性表面波素子10間で条件を変化させる場合、さらに周囲への影響の大きい接合条件が必要な弾性表面波素子10を先に接合し、その後、周囲への影響の小さい接合条件を有する弾性表面波素子10を接合することにより、接合部の劣化を最小にとどめることができる。これにより、単に複数の弾性表面波素子10における条件を異ならせる場合に比べて、より一層接続不良による歩留りの低下を押さえたり、接続部の信頼性の低下による弾性表面波装置の故障を回避することができる。
【0100】
なお、弾性表面波素子10の重量が重い場合、十分な出力の超音波振動を印加された弾性表面波素子10は、弾性表面波素子10の重量がより小さい場合に比べて、周囲への影響が大きい。
【0101】
一例としては、先に接合する弾性表面波素子10の重量を3.5mgとし、後に接合する弾性表面波素子10の重量を2.7mgとすることができる。
【0102】
また、本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、複数の弾性表面波素子10を実装基板20に実装する場合には、先に前記実装基板20にフリップチップ接続する弾性表面波素子10のバンプ(突起電極)15の数が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子10のバンプ(突起電極)15に比べ、多くなるようにフリップチップ接続の順序を選択することが好ましい。
【0103】
上記の方法によれば、先に接続した弾性表面波素子10の接合部への影響を小さくすることができる。これは、バンプ(突起電極)15の数が少ないほうが、超音波振動の実装基板20への伝搬による周囲への影響を小さくすることができるためである。
【0104】
一例としては、先に接合する弾性表面波素子10のバンプ(突起電極)15の数を8個とし、後に接合する弾性表面波素子10のバンプ(突起電極)15の数を6個とすることができる。
【0105】
また、本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、複数の弾性表面波素子10を実装基板20に実装する場合において、実装基板20に形成された電極パッド(パターン電極)22と弾性表面波素子10に形成されたバンプ(突起電極)15とを接続する際に、ボンディングツール40で加える前記弾性表面波素子10の実装基板20への押圧力、実装基板20の温度、ボンディングツール40における超音波出力、ボンディングツール40における超音波振動周波数、ボンディングツール40で弾性表面波素子10と実装基板20とにかける超音波の印加時間、および超音波を印加するボンディングツール40の押圧面の形状の少なくとも何れかを各弾性表面波素子10ごとで異ならせることが好ましい。
【0106】
上記の方法によれば、フリップチップ接続時の弾性表面波素子10への印加荷重や、超音波出力など、バンプ(突起電極)15と実装基板20との接続に直接関係のある具体的な上記の条件を変化させている。そのため、これらの各条件を少なくとも一つ変化させることで、接続部の共振を回避することが可能となる。この結果、弾性表面波装置の製造方法において、接続不良の発生を抑制することができる。
【0107】
また、本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、先に前記実装基板20にフリップチップ接続する弾性表面波素子10のフリップチップ接続工程におけるボンディングツール40の超音波出力が、その後に実装基板20にフリップチップ接続する弾性表面波素子10のフリップチップ接続工程におけるボンディングツール40の超音波出力に比べ、大きくなるように、実装基板20へ接続する弾性表面波素子10の順序を選択することが好ましい。つまり、実装基板20に接続するために、より大きな超音波出力が必要な弾性表面波素子10から先に実装基板20にフリップチップ接続することが好ましい。
【0108】
超音波出力が大きい場合、超音波出力が小さい場合と比べ、周囲への影響は大きい。そのため、超音波出力の小さくてすむ弾性表面波素子10を後に接続することにより、先に接続した弾性表面波素子10と実装基板20との接合部への影響を小さくすることができる。
【0109】
一例としては、先に実装基板20に接合する弾性表面波素子10にかける超音波の出力を1.4Wとし、後に実装基板20に接合する弾性表面波素子10にかける超音波の出力を1.0Wとすることができる。
【0110】
また、本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、先に前記実装基板20にフリップチップ接続する弾性表面波素子10のフリップチップ接続工程においてボンディングツール40により印加される超音波の時間(超音波印加時間)が、その後に実装基板20にフリップチップ接続する弾性表面波素子10のフリップチップ接続工程における超音波印加時間に比べ、長くなるように、実装基板20へ接続する弾性表面波素子10の順序を選択することが好ましい。
【0111】
これにより、先に接続した弾性表面波素子10の接合部への影響を小さくすることができる。これは、超音波印加時間が短くなると、長い場合と比べて周囲への影響が小さくなるからである。
【0112】
一例としては、ボンディングツール40からの超音波出力を1.0Wとした場合、先に実装基板20に接合する弾性表面波素子10にかける超音波の印加時間を0.30秒とし、後に実装基板20に接合する弾性表面波素子10にかける超音波の印加時間を0.15秒とすることができる。
【0113】
また、本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、先に前記実装基板20にフリップチップ接続する弾性表面波素子10のフリップチップ接続工程におけるボンディングツール40の超音波周波数が、その後に実装基板20フリップチップ接続する弾性表面波素子10のフリップチップ接続工程におけるボンディングツール40の超音波周波数に比べ、低くなるように、フリップチップ接続の順序を選択することが好ましい。
【0114】
これにより、先に接続した弾性表面波素子10の接合部への影響を小さくすることができる。これは、超音波周波数が高いほうが波としての伝搬損失が高く実装基板20上を伝搬しにくいため周囲への影響を小さくできるからである。
【0115】
一例としては、先に実装基板20に接合する弾性表面波素子10にかける超音波の周波数を120kHzとし、後に実装基板20に接合する弾性表面波素子10にかける超音波の周波数を60kHzとすることができる。
【0116】
また、本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、上記の方法に加えて、電極パッド(パターン電極)22とバンプ(突起電極)15とを接続する際に、前記弾性表面波素子10を形成する圧電基板等からなる素子基板11の裏面(第2面)における、金属膜の形成の有無を各弾性表面波素子10ごとに異ならせてもよい。また、上記金属膜が形成されている場合には、形成された金属膜の厚み、形成された金属膜の金属材料の種類の少なくとも何れかを各弾性表面波素子ごとで異ならせることが好ましい。上記金属膜には、例えばAl膜、Ti膜等が挙げられる。
【0117】
上記の方法によれば、フリップチップ接続の際における超音波の印加は、通常、弾性表面波素子10の素子基板11の裏面から実装基板20に押圧すると同時に、弾性表面波素子10の素子基板11裏面に接触したボンディングツール40から超音波を伝えている。このとき、ボンディングツール40から弾性表面波素子10への超音波の伝搬は、ボンディングツール40と弾性表面波素子10の素子基板11の裏面との摩擦に依る。そのため、弾性表面波素子10の素子基板11の裏面の金属膜の有無、厚み、金属の種類等を変えることにより、ボンディングツール40と弾性表面波素子10との摩擦状態が変化して超音波の伝達効率が変化し、その結果、弾性表面波素子10のバンプ(突起電極)15と実装基板20上の電極パッド(パターン電極)22との間の超音波振動の状態が変化する。それにより、接続部の共振を回避することが可能となり、この結果、弾性表面波装置の製造において、接続不良の発生を抑制することができるようになる。
【0118】
ここで、実装基板20にフリップチップ接続する弾性表面波素子10は、該弾性表面波素子10における超音波の伝達効率が高いほど、実装基板20と弾性表面波素子10との接合性が良好となる。さらに、弾性表面波素子10における超音波の伝達効率が高いほど、実装基板20における周囲への超音波の影響が大きくなる。このため、周囲への超音波の影響を考慮して弾性表面波素子10を実装基板20にフリップチップ接続する必要がある。つまり、接合性が良い(超音波の伝達効率が高い、周囲への影響が大きい)順番に弾性表面波素子10を実装基板20にフリップチップ接続することが好ましい。したがって、実装基板20には、弾性表面波素子10の素子基板11の裏面における金属膜の有無、厚み、金属の種類により超音波の伝達効率が高い弾性表面波素子10から順にフリップチップ接続することが好ましい。
【0119】
例えば、弾性表面波素子10の素子基板11の裏面には、蒸着膜があったほうが実装基板20との接合性が良好であり、さらに、金属材料は柔らかい材料の方が実装基板20との接合性が良好である。より具体的に例を挙げると、上記裏面には、蒸着膜なし、Ti蒸着膜、Al蒸着膜の順で接合性が良くなる。
【0120】
また、弾性表面波素子10の素子基板11の裏面における金属膜の厚みは、厚いほうが実装基板20との接合性が良好であり、一般的には、500Å、300Åの蒸着膜が形成される。
【0121】
勿論、本発明にかかる製造方法では、弾性表面波装置の構成に応じて、その他のプロセスが含まれていても構わない。
【0122】
次に、具体的な実施例と、従来例および比較例とに基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0123】
〔実施例〕
従来公知の一般的なフリップチップ工法により、2チップのフリップチップボンディング製品(FCB品と略す)を、合計64個製造した。このとき、各弾性表面波素子ごとに、バンプの形成条件、各弾性表面波素子の重量、弾性表面波素子の基板材質、および弾性表面波素子の形状の少なくとも何れかが異なるよう設計した。
【0124】
2チップ目の弾性表面波素子を実装した後、1チップ目および2チップ目の弾性表面波素子について、電気的な導通があるか否かを検出した。導通がある場合を良好(G)とし、導通が無い場合をNGとして、64個中のNG数を算出した。その結果を表1に示す。なお、上記NGとは、厳密に仕様に対する特性NGではなく、根本的にFCBの接合性がNGであることを指す。
【0125】
〔従来例〕
上記各条件を全く変えずに、従来と同様にして、2チップのFCB品を64個製造した。その後、実施例と同様にして、1チップ目および2チップ目の弾性表面波素子のGまたはNGを検出し、64個中のNG数を算出した。その結果を表1に示す。
【0126】
〔比較例〕
実施例と同一の条件で、1チップのみのFCB品を64個製造し、電気的導通の有無を検出した。その結果を表1に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
表1に示すように、上記実施例では、1チップ目も2チップ目もNGは発生しなかったが、従来例では、1チップ目にNGが発生している。また、2チップ目にはNGは見られず、比較例の1チップのFCB品でもNGは発生していない。また、2チップ目を実装中、共振によると見られる異常音が発生する場合があった。
【0129】
このことから、2チップ目の弾性表面波素子をフリップチップ工法で実装する際の影響が1チップ目に及ぼされることが明らかである。つまり、従来では、上記影響により、後から実装される弾性表面波素子に電気的導通のNGが発生し易くなっていたが、本発明にかかる製造方法を用いれば、先に実装された弾性表面波素子に対する上記影響を回避できるため、電気的導通のNGの発生を回避することができる。
【0130】
以上のように、本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、複数の弾性表面波素子を実装する際に、各弾性表面波素子に超音波を印加しても、発生する超音波振動によって先に実装された弾性表面波素子の接続部に共振が生じないように条件を変化させている。そのため、バンプと電極パッドとの接続部における接続強度の低下を防止することが可能になり、該接続部の信頼性の低下を回避することができる。
【0131】
〔実施の形態2〕
本発明の第2の実施の形態について図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。また、説明の便宜上、前記実施の形態1で使用した部材と同じ機能を有する部材には同一の番号を付記し、その説明を省略する。
【0132】
本実施の形態では、前記実施の形態1で得られた高品質の弾性表面波装置を通信装置に応用した例についてより具体的に説明する。
【0133】
図8に示すように、本実施の形態における通信装置100は、具体的には、受信を行うレシーバ側(Rx側)として、アンテナ101、アンテナ共用部/RFTopフィルタ102、アンプ103、Rx段間フィルタ104、ミキサ105、1stIFフィルタ106、ミキサ107、2ndIFフィルタ108、1st+2ndローカルシンセサイザ111、TCXO(temperature compensated crystal oscillator(温度補償型水晶発振器))112、デバイダ113、ローカルフィルタ114を備えている。
【0134】
また、上記通信装置100は、送信を行うトランシーバ側(Tx側)として、上記アンテナ101および上記アンテナ共用部/RFTopフィルタ102を共用するとともに、TxIFフィルタ121、ミキサ122、Tx段間フィルタ123、アンプ124、カプラ125、アイソレータ126、APC(automatic power control (自動出力制御))127を備えている。
【0135】
そして、上記のRx段間フィルタ104、1stIFフィルタ106、TxIFフィルタ121、Tx段間フィルタ123には、前記実施の形態1で説明した製造方法により得られた弾性表面波装置を好適に用いることができる。
【0136】
このように、本実施の形態における通信装置は、前記実施の形態1の製造方法により得られた弾性表面波装置を用いているので、弾性表面波装置そのものが多機能化や小型化されており、さらに良好な伝送特性を備えている。その結果、良好な送受信機能と共に小型化、特にGHz帯域以上において小型化を図れるものとなる。
【0137】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0138】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法は、パターン電極と突起電極とを接続する際に、弾性表面波素子の重量を、各弾性表面波素子ごとで異ならせた上で、被接続部位に超音波を印加する方法である。
【0139】
上記方法では、複数の弾性表面波素子全体が実質的に「一つのまとまった媒体」を形成しないため、弾性表面波素子の実装に際して超音波を印加しても、パターン電極と突起電極との接続部が共振して機械的強度が低下する事態を回避することができる。その結果、弾性表面波装置の製造において、接続不良による歩留りの低下を押さえたり、接続部の信頼性の低下による弾性表面波装置の故障を回避することができるという効果を奏する。
【0140】
上記弾性表面波装置の製造方法においては、実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子の重量が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子の重量に比べ重くなるようにフリップチップ接続の順序を選択することが好ましい。
【0141】
上記方法によれば、弾性表面波素子の重量が重い場合、十分な出力の超音波振動を印加された弾性表面波素子は、弾性表面波素子の重量がより小さい場合に比べて、周囲への影響が大きいため、複数の弾性表面波素子間で条件を変化させる場合、さらに周囲への影響の大きい接合条件が必要な弾性表面波素子を先に接合し、その後、周囲への影響の小さい接合条件を有する弾性表面波素子を接合することにより、接合部の劣化を最小にとどめることができる。これにより、単に複数の弾性表面波素子における条件を異ならせる場合に比べて、より一層接続不良による歩留りの低下を押さえたり、接続部の信頼性の低下による弾性表面波装置の故障を回避することができるという効果を奏する。
【0142】
上記弾性表面波装置の製造方法においては、上記突起電極の形成条件を上記各弾性表面波素子ごとで異ならせ、上記突起電極の形成条件には、突起電極の材質、突起電極の平均重量、および突起電極の形状の少なくとも一つが含まれていることが好ましい。
【0143】
上記方法では、突起電極とパターン電極との接続部に直接影響を及ぼす具体的な条件を変化させているので、接続部の共振を確実に回避することが可能になる。その結果、弾性表面波装置の製造において、接続不良による歩留りの低下をより一層抑制したり、接続部の信頼性の低下による弾性表面波装置の故障をより確実に回避することができるという効果を奏する。
【0144】
上記弾性表面波装置の製造方法においては、実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子の突起電極の数が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子の突起電極に比べ、多くなるようにフリップチップ接続の順序を選択することが好ましい。
【0145】
上記の方法によれば、突起電極の数が少ないほうが、超音波振動の実装基板への伝搬による周囲への影響を小さくすることができるため、先に接続した弾性表面波素子の接合部への影響を小さくすることができるという効果を奏する。
【0146】
上記弾性表面波装置の製造方法に加えて、前記パターン電極と突起電極とを接続する際に、前記弾性表面波素子の実装基板への押圧力、実装基板の温度、超音波出力、超音波振動周波数、および超音波印加時間の少なくとも何れかを各弾性表面波素子ごとで異ならせることが好ましい。
【0147】
上記の方法によれば、上記各条件を少なくとも一つ変化させることで、接続部の共振を回避することが可能となる。この結果、弾性表面波装置の製造方法において、接続不良の発生を抑制することができるという効果を奏する。
【0148】
上記弾性表面波装置の製造方法においては、前記実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波出力が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波出力に比べ、大きくなるようにフリップチップ接続の順序を選択することが好ましい。
【0149】
上記方法によれば、超音波出力が大きい場合、超音波出力が小さい場合と比べ、周囲への影響は大きいため、超音波出力の小さい弾性表面波素子を後に接続することにより、先に接続した弾性表面波素子の接合部への影響を小さくすることができるという効果を奏する。
【0150】
上記弾性表面波装置の製造方法においては、前記実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波印加時間が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波印加時間に比べ、長くなるようにフリップチップ接続の順序を選択することが好ましい。
【0151】
これにより、超音波印加時間が短くなると、長い場合と比べて周囲への影響が小さくなるため、先に接続した弾性表面波素子の接合部への影響を小さくすることができるという効果を奏する。
【0152】
上記弾性表面波装置の製造方法においては、前記実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波周波数が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波周波数に比べ、低くなるようにフリップチップ接続の順序を選択することが好ましい。
【0153】
上記方法によれば、超音波周波数が高いほうが波としての伝搬損失が高く実装基板上を伝搬しにくいため周囲への影響を小さくできるため、先に接続した弾性表面波素子の接合部への影響を小さくすることができるという効果を奏する。
【0154】
上記弾性表面波装置の製造方法に加えて、パターン電極と突起電極とを接続する際に、前記弾性表面波素子を形成する素子基板の裏面における、金属膜形成の有無、形成された金属膜の厚み、形成された金属膜の金属材料の種類の少なくとも何れかを各弾性表面波素子ごとで異ならせることが好ましい。
【0155】
上記の方法によれば、弾性表面波素子の裏面に接触したボンディングツールから超音波を伝える際のボンディングツールと弾性表面波素子との摩擦状態が変化し、その結果、突起電極と実装基板上のパターン電極との間の超音波振動の状態が変化する。それにより、接続部の共振を回避することが可能となり、この結果、弾性表面波装置の製造において、接続不良の発生を抑制することができるという効果を奏する。
【0156】
上記弾性表面波装置の製造方法においては、上記方法に加えて、さらに、超音波の印加とともに、被接続部位同士の押圧、および被接続部位の加熱の少なくとも一方を実施することが好ましい。
【0157】
上記方法では、被接続部位に対して熱を加えたり荷重を印加することになるので、超音波振動による被接続部位の接続作用が向上する。そのため、突起電極とパターン電極との接続がより容易になるとともに、これらの接続状態もより一層安定化することになる。その結果、製造プロセスの効率性を向上することができるとともに、得られる弾性表面波装置の品質を向上することができるという効果を奏する。
【0158】
また、以上のように、本発明にかかる弾性表面波装置は、上記製造方法を用いて製造される構成であり、本発明にかかる通信装置は、上記弾性表面波装置を用いる構成である。
【0159】
上記各構成では、上記方法を用いて弾性表面波装置を製造するので、パターン電極と突起電極との接続部の機械的強度が低下せず、信頼性の高い弾性表面波装置や通信装置を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法における、弾性表面波素子と実装基板との対応関係の一例を示す説明図である。
【図2】図1に示す製造方法における、弾性表面波素子と実装基板との対応関係の他の例を示す説明図である。
【図3】図1に示す製造方法における、弾性表面波素子と実装基板との接続状態の一例を示す説明図である。
【図4】図1に示す製造方法における、弾性表面波素子と実装基板との対応関係のさらに他の例を示す説明図である。
【図5】図1に示す製造方法における、弾性表面波素子と実装基板との対応関係のさらに他の例を示す説明図である。
【図6】図1に示す製造方法における、弾性表面波素子と実装基板との対応関係のさらに他の例を示す説明図である。
【図7】図1に示す製造方法において、フリップチップ工法を用いて弾性表面波素子を実装基板に実装する一例を示す説明図である。
【図8】本発明にかかる弾性表面波装置の製造方法により得られた弾性表面波装置を用いてなる通信装置の要部ブロック図である。
【符号の説明】
10 弾性表面波素子
10a 第1素子(弾性表面波素子)
10b 第2素子(弾性表面波素子)
10c 第3素子(弾性表面波素子)
10d 第2素子
15 バンプ(突起電極)
16 バンプ(突起電極)
17 バンプ(突起電極)
20 実装基板
22 電極パッド(パターン電極)
Claims (5)
- 複数の弾性表面波素子を実装基板に実装する際に、該弾性表面波素子に複数の突起電極を形成した上で、実装基板に形成されているパターン電極と上記突起電極とを接続するフリップチップ接続工程を含む弾性表面波装置の製造方法において、
上記パターン電極と突起電極とを被接続部位に超音波を印加することにより接続する際に、前記実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子の重量が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子の重量に比べ、重いことを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。 - 複数の弾性表面波素子を実装基板に実装する際に、該弾性表面波素子に複数の突起電極を形成した上で、実装基板に形成されているパターン電極と上記突起電極とを接続するフリップチップ接続工程を含む弾性表面波装置の製造方法において、
上記パターン電極と突起電極とを被接続部位に超音波を印加することにより接続する際に、前記実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子の突起電極の数が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子の突起電極に比べ、多いことを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。 - 複数の弾性表面波素子を実装基板に実装する際に、該弾性表面波素子に複数の突起電極を形成した上で、実装基板に形成されているパターン電極と上記突起電極とを接続するフリップチップ接続工程を含む弾性表面波装置の製造方法において、
前記パターン電極と突起電極とを被接続部位に超音波を印加することにより接続する際に、前記実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波出力が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波出力に比べ、大きいことを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。 - 複数の弾性表面波素子を実装基板に実装する際に、該弾性表面波素子に複数の突起電極を形成した上で、実装基板に形成されているパターン電極と上記突起電極とを接続するフリップチップ接続工程を含む弾性表面波装置の製造方法において、
前記パターン電極と突起電極とを被接続部位に超音波を印加することにより接続する際に、前記実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波印加時間が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波印加時間に比べ、長いことを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。 - 複数の弾性表面波素子を実装基板に実装する際に、該弾性表面波素子に複数の突起電極を形成した上で、実装基板に形成されているパターン電極と上記突起電極とを接続するフリップチップ接続工程を含む弾性表面波装置の製造方法において、
前記パターン電極と突起電極とを被接続部位に超音波を印加することにより接続する際に、前記実装基板に、先にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波周波数が、その後にフリップチップ接続する弾性表面波素子のフリップチップ接続工程における超音波周波数に比べ、低いことを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
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