JP4291738B2 - 二軸式ガスタービン - Google Patents

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本発明は、圧縮空気を燃料と燃焼して得た燃焼ガスによって軸動力を得る二軸式ガスタービンに関する。
圧縮機ロータとタービンロータと発電機等とを同軸上に連結した一軸式のガスタービンにおいて、圧縮機ロータ及びタービンロータを連結する中間軸に中心孔を設け、この中間軸の中心孔を介して圧縮機から抽気した圧縮空気の一部を冷却空気としてタービンロータに導く構造を採用する場合がある(例えば、特許文献1等参照)。
特開平2−301627号公報
近年、圧縮機と中間軸で連結されてガスジェネレータを構成する高圧タービンと、例えば発電機やポンプ等の負荷機器と接続される出力タービンである低圧タービンとを有する二軸式ガスタービンに対するニーズが拡大している。この二軸式ガスタービンにおいても圧縮機から抽気した冷却空気をロータの中心孔を介して高圧タービンに導く場合があるが、二軸式ガスタービンでは中間軸が圧縮機ロータの圧縮機軸部と一体形成されるのが通常であり、一般に中心孔は中間軸のみに設けられ、圧縮機ロータの近傍、すなわち圧縮機軸部にまでは設けられない。このような構成であると、圧縮機の後段部において圧縮機の動翼と圧縮機軸部との間の温度差が大きくなるため、ガスタービン起動時の熱応力が非常に大きくなりそれだけ起動時間を長く確保する必要がある。
本発明の目的は、ガスタービン起動時に圧縮機後段部に生じる熱応力を減少させ起動時間を短縮することができる二軸式ガスタービンを提供することにある。
上記目的を解決するために、本発明は、高圧タービン及び低圧タービンを有する二軸式ガスタービンにおいて、圧縮機と高圧タービンとの間の軸の中心孔に圧縮機からの冷却空気を導き、中心孔に導入された冷却空気を高圧タービンに導くとともに、一部を高圧タービンとは反対側に分岐させて圧縮機の最終段近傍にまで流通させる。
本発明によれば、圧縮機軸や圧縮機ロータに内周側から熱を流入させることができるので、圧縮機ロータ及び圧縮機軸を一様に暖気することができ、ガスタービン起動時に圧縮機後段部に生じる熱応力を減少させ起動時間を短縮することができる。
以下、本発明の二軸式ガスタービン及びその冷却空気導入方法の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の二軸式ガスタービンの第1実施形態の要部構造を表す軸方向断面図、図2は圧縮機ロータの最終段近傍の拡大図、図3は図2中のIII−III断面による軸断面図である。
図1〜図3に示したガスタービンは、圧縮機10を駆動する高圧タービン21と、例えば発電機やポンプ等といった負荷機器(図示せず)を駆動する出力タービンである低圧タービン(図示せず)とを有するタービン20を備えた二軸式ガスタービンである。
圧縮機10に備えられた圧縮機ロータ11は、詳細には図示していないが、外周部に圧縮機動翼12を複数備えた圧縮機ホイール13を軸方向に積層しスタッキングボルト14で締結して形成した回転体であり、最終段の圧縮機ホイール13は、その下流側(図1中右側)に突出した圧縮機軸15と一体形成されている。圧縮機ホイール13と圧縮機ケーシング16との間には圧縮機主流路17が形成されている。圧縮機主流路17内においては、圧縮機ケーシング16の内壁に固定した圧縮機静翼18が圧縮機動翼12と軸方向に交互に設けられている。
高圧タービン21に備えられた高圧タービンロータ22は、外周部にタービン動翼23を複数備えたタービンホイール24をスペーサ25と交互に軸方向に積層し、後述する中間軸(スタブシャフト)40とともにスタッキングボルト26で締結して形成した回転体である。タービンホイール24とタービンケーシングとの間には燃焼器30からの燃焼ガスが通過するガスパス27が形成されている。このガスパス27内においては、タービンケーシングの内壁に固定したタービン静翼28がタービン動翼23と軸方向に交互に設けられている。本実施形態において、初段のタービンホイール24はその中心に中心孔29を有する中空のホイールであり、それよりも後段のタービンホイール24は中実のホイールとなっている。図示しない低圧タービンに備えられた低圧タービンロータ(図示せず)は、高圧タービンロータ22の後段に設けられ、高圧タービンロータ22と独立して回転可能な構成である。
圧縮機ロータ11の圧縮機軸15はスタッキングボルト41により、高圧タービンロータ22は先のスタッキングボルト26によりそれぞれ中間軸40と締結されており、圧縮機ロータ11及び高圧タービンロータ22は、中間軸40によって同軸上に連結されて一体的に回転するようになっている。このように、本実施形態においては、圧縮機ロータ11の最終段ホイール13と高圧タービンロータ22との間の軸は、圧縮機軸15と中間軸40とで構成されている。
中間軸40は、軸受(ジャーナル軸受)42により軸受け支持されている。この軸受42を包囲する軸受箱43には、圧縮機ケーシング16の外部に連通する通気管路44が接続しており、軸受箱43の内部空間、すなわち軸受42の周囲空間はほぼ外気圧に近い状態となっている。軸受箱43と中間軸40との間隙はシール45,46によってシールされている。
圧縮機ロータ11と高圧タービンロータ22との間には、圧縮機10からの圧縮空気のパスを形成するインナーケーシング47が配置されている。このインナーケーシング47は、圧縮機軸15、中間軸40及び軸受箱43の外周側を覆うように設けられており、ストラット48等を介して圧縮機ケーシング16に固定されている。インナーケーシング47と圧縮機軸15又は中間軸40との間にはシール49〜51が介設されており、軸方向に3箇所介設されたこれらシール49〜51によって軸受箱43の周囲空間への圧縮空気の流入を防止している。本実施形態においては、これらシール49〜51のうちシール49,50によって軸(圧縮機軸15及び中間軸40)とインナーケーシング47との間にキャビティ52を形成している。
また、インナーケーシング47には圧縮機10の最終段よりも下流側に位置するように抽気孔53が設けられており、この抽気孔53を介することによって圧縮機主流路17とキャビティ52とが互いに連通している。また、圧縮機軸15にはキャビティ52から径方向中心側に向かって延びる空気導入孔54が設けられており、この空気導入孔54を介することにより、圧縮機軸15及び中間軸40の回転中心に設けた中心孔55とキャビティ52とが互いに連通している。
上記中心孔55は、空気導入孔54を介して導入されるキャビティ54からの冷却空気を高圧タービン21に導く流路であって、その一方側(図1中の左側)は空気導入孔54よりも上流側(高圧タービンロータ22とは反対側)に伸び、一方側端部は圧縮機10の最終段近傍に位置している。つまり、この中心孔55は、圧縮機軸15における最終段圧縮機ホイール13近傍から中間軸40を介し高圧タービンロータ22にかけて軸方向に延びている。これにより、図1中に点線矢印で空気の流れを示したように、キャビティ52から中心孔55に流入した冷却空気の一部が、下流側に向かう高圧タービンロータ22への流れと分岐して空気導入孔54よりも上流側に導入され圧縮機10の最終段近傍にまで流通するようになっている。
以上のように構成された本実施形態の二軸式ガスタービンにおいて、圧縮機10に吸い込まれた外気は、圧縮機主流路17にて圧縮機動翼12及び圧縮機静翼18を通過することによって圧縮され、圧縮機主流路17から吐出された高温高圧の圧縮空気が燃焼器30に供給される。燃焼器30では、供給された圧縮空気が燃料とともに燃焼され、これにより生じた燃焼ガスがタービン20のガスパス27に供給される。タービン30では、ガスパス27を流れる燃焼ガスがタービン動翼23及びタービン静翼28を通過することで高圧タービンロータ22及び低圧タービンロータ(図示せず)の軸動力が得られる。高圧タービンロータ22は圧縮機10の駆動装置の役割を果たし、その軸動力が中間軸40、圧縮機軸15を介して伝達されることによって圧縮機ロータ11を回転駆動させる。一方、低圧タービンロータは、例えば発電機やポンプ等の負荷機器の駆動装置の役割を果たし、その軸動力が図示しない連結軸を介して伝達されることにより負荷機器のロータを回転駆動させる。
ここで、一般的な二軸式ガスタービンの要部構造を表す断面図を図4に示した。
この図4に示した二軸式ガスタービンも、中心孔55を介して圧縮機10から抽気した冷却空気を高圧タービンロータ22に導く構成である。しかし、二軸式ガスタービンでは、図示したように、一般に中間軸40が圧縮機軸15と一体形成されるため、穴あけ加工の困難性などの理由から、中心孔55は主に中間軸40部分に設けられ圧縮機軸15部分には十分に長く設けられないのが通常であった。このような構成であると、圧縮機10の後段部において圧縮機動翼12と圧縮機軸15部分の間の温度差が大きくなるため、ガスタービン起動時に圧縮機ロータ11に作用する熱応力が非常に大きくなりそれだけ起動時間を長く確保する必要があった。
それに対し、本実施形態によれば、圧縮機10の最終段よりも下流側の位置に設けた抽気孔53を介し圧縮機主流路17から冷却空気を抽気して軸(圧縮機軸15、中間軸40)周りに形成したキャビティ52に導入するので、外周側から軸に十分な熱が流入する。その後、キャビティ52に導入された冷却空気は空気導入孔54を介し中心孔55に流入し高圧タービンロータ22に導かれるが、中心孔55に流入した冷却空気の一部は空気導入孔54を出て上流側に分岐し、そこから上流側に延びる中心孔55の一方側(図1中の左側)に流通し圧縮機ロータ11の最終段ホイール13付近にまで導かれる。これにより、圧縮機軸15や圧縮機ロータ11に対し内周側からも熱を流入させることができるので、圧縮機ロータ11及び圧縮機軸15を一様に暖気して各部の温度差を緩和することができ、ガスタービン起動時に圧縮機10の後段部に生じる熱応力を減少させ起動時間を短縮することができる。
また、圧縮機ロータ11と高圧タービンロータ22との間の軸に中心孔55を設ける場合、中心孔55に高い応力がかかり易いため、中心孔55の加工精度や仕上げ精度が悪いと欠陥部分に応力集中が発生し軸の信頼性が低下する。図4に示した一般的な二軸式ガスタービンでは、高圧タービンロータ22との連結軸である中間軸40が、圧縮機ロータ11の圧縮機軸15と一体構造である。そのため、中心孔55は、中間軸40に対し高圧タービン22側からボーリング加工や中ぐり加工によって形成することになるが、圧縮機軸15部分にまで中心孔55を延長しようとすると、加工機のアームの剛性が低下して撓み量が増大するため芯ずれを起こしたり、表面仕上げ精度が低下したりする。特に空気導入孔54部分では断続切削となるためにその影響は大きい。
それに対し、本実施形態では、中間軸40を圧縮機軸15と分割して独立した部材としているので、中間軸40及び圧縮機軸15のそれぞれの中心孔55を別々に加工することができる。したがって、加工機のアームの剛性が十分に確保されるストロークの範囲内で中心孔55を加工することができるので、中心孔55の加工精度及び表面仕上げ精度を向上させることができる。したがって、中心孔55における局所的な応力集中の発生を抑制することができ、高い信頼性を確保することができる。
図5は、本発明の二軸式ガスタービンの第2実施形態の要部構造を表す軸方向断面図である。この図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
本実施形態が前述した第1実施形態と相違する点は、第1実施形態では空気導入孔54を圧縮機軸15の軸方向中間部分に穴あけ加工して設けていたのに対し、圧縮機軸15と中間軸40との対向端面にスリット加工して空気導入孔54を設けた点である。
図6(a)及び図6(b)は、空気導入孔54を径方向外周側から見た圧縮機軸15及び中間軸40の対向端面付近の図である。
図6(a)及び図6(b)に示すように、本実施形態における空気導入孔54は、圧縮機軸15と中間軸40との対向端面にスリット加工して設けられている。図6(a)に示すように圧縮機軸15における中間軸40との対向端面に空気導入孔54を設けても良いし、逆に中間軸40における圧縮機軸15との対向端面に空気導入孔54を設けても良い。また、図6(b)に示すように、圧縮機軸15及び中間軸40を連結すると互いに形状及び位置が一致するよう、圧縮機軸15及び中間軸40の互いの対向端面にそれぞれ空気導入口54を設けても良い。つまり、空気導入孔54は、中間軸40又は圧縮機軸15の互いの対向端面のうちのいずれかにスリットを形成して設けられている。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、第1実施形態では、圧縮機軸15又は中間軸40の少なくともいずれかにスリットを形成することで空気導入孔54を容易に形成することができ、圧縮機軸15に穴あけ加工して空気導入孔54を形成する場合に比して空気導入孔54の加工性が向上する。これも圧縮機15と中間軸40とを分割した構成によるメリットである。
本発明の二軸式ガスタービンの第1実施形態の要部構造を表す軸方向断面図である。 本発明の二軸式ガスタービンの第1実施形態における圧縮機ロータの最終段近傍の拡大図である。 図2中のIII−III断面による軸断面図である。 一般的な二軸式ガスタービンの要部構造を表す断面図である。 本発明の二軸式ガスタービンの第2実施形態の要部構造を表す軸方向断面図である。 本発明の二軸式ガスタービンの第2実施形態における空気導入孔を径方向外周側から見た圧縮機軸及び中間軸の対向端面付近の図である。
符号の説明
10 圧縮機
11 圧縮機ロータ
15 圧縮機軸
17 圧縮機主流路
20 タービン
21 高圧タービン
22 高圧タービンロータ
40 中間軸
47 インナーケーシング
49 シール
50 シール
52 キャビティ
53 抽気孔
54 空気導入孔
55 中心孔

Claims (3)

  1. 空気を圧縮して圧縮空気を吐出する圧縮機と、
    この圧縮機と同軸上に連結された高圧タービン及びこの高圧タービンと独立して回転可能な低圧タービンを有するタービンと、
    前記圧縮機及び前記高圧タービン間の軸の外周側に設けたインナーケーシングと、
    このインナーケーシングと前記軸との間に介設され、前記軸とインナーケーシングとの間にキャビティを形成する複数のシール手段と、
    前記圧縮機の最終段よりも下流側に位置するように前記インナーケーシングに設けられ、前記圧縮機主流路と前記キャビティとを連通する抽気孔と、
    前記キャビティから径方向中心側に向かうように前記軸に設けた空気導入孔と、
    前記空気導入孔を介して導入される前記キャビティからの冷却空気を前記高圧タービンに導くように前記軸の回転中心に設けた流路であって、その一方側が前記空気導入孔よりも上流側に伸び、前記キャビティからの冷却空気の一部を上流側に導入し前記圧縮機の最終段近傍にまで流通させる中心孔と
    を備えたことを特徴とする二軸式ガスタービン。
  2. 請求項1に記載の二軸式ガスタービンにおいて、前記軸は、前記圧縮機の圧縮機軸と、この圧縮機軸と前記高圧タービンとを連結する中間軸とに分割されていることを特徴とする二軸式ガスタービン。
  3. 請求項2に記載の二軸式ガスタービンにおいて、前記空気導入孔は、前記中間軸又は前記圧縮機軸の互いの対向端面のうちのいずれかに形成されたスリットであることを特徴とする二軸式ガスタービン。
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