以下、本発明に係る時刻差計測方法および装置、ならびに時刻差計測プログラムについて図面を参照にして説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る時刻差計測装置1の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、時刻差計測装置1は、通信網である光ファイバ2に接続された光タップ3に接続されている。
光ファイバ2を介して伝送される光信号は、光タップ3を通過する際に時刻差計測装置1方向へ取り出される(タップされる)ようになっており、光タップ3は、光分波器、ハーフミラー、ビームスプリッタ等の光受動部品から構成されている。
なお、「光信号がタップされる」とは、スプリッタ、ハーフミラーのように、光ファイバ2上を伝送される光信号が時刻差計測装置1方向に分岐して時刻差計測装置1に取り出される機能、光ファイバ2上を伝送される光信号の内、少なくとも後述する光ファイバ2上の基準周波数に同期する光信号がドロップされる機能等を含み、かつ時刻差計測装置1側から光ファイバ2へ向かう信号の伝達を遮断する機能を含む概念である。
時刻差計測装置1は、図1に示すように、被監視対象時刻源である簡易時刻源4および時刻源5に対してそれぞれ通信可能である。
この時刻源5は、例えばGPS、電波時計、原子時計等の各種の時刻供給方式を有する時計が対応可能である。
一方、光ファイバ2には、標準時刻源{例えば、国際的なトレーサビリティ(追跡可能性;すなわち、国際標準時刻に繋がる校正経路が確立されていること)が確保され、信頼できる標準時刻を供給可能な時刻源を表す}に接続された時刻供給装置6が通信可能に接続されており、時刻差計測装置1は、時刻供給装置6から供給された標準時刻に対応する時刻信号に基づいて時刻源5の監視を行うようになっている。
すなわち、時刻差計測装置1は、光タップ3から光ファイバ2上を伝送される光信号がタップされて装置1に対して送信されてきた際に、この光信号を受信してその基準周波数を取得する基準周波数取得機能10と、この基準周波数取得機能10により取得された基準周波数を用いて、装置1内部に備えられた内部フリーランカウンタ11を駆動するカウンタ駆動機能12とを備えている。
また、時刻差計測装置1は、通信データ読取機能14と、カウンタ値読取機能15とを備えている。
通信データ読取機能14は、例えば特定ビット列やバイト列(以下、バイト列として説明する)から成る時刻計測命令に対応する光信号が光ファイバ2上を通過して光タップ3により装置1へタップされた際に、その光信号から時刻計測命令を読み取り、この時刻計測命令に同期して内部カウンタ11の値を読み取るためのカウンタ値読取指令をカウンタ値読取機能15へ送る機能と、特定バイト列により示される時刻計測命令以外の光信号が光ファイバ2上を通過して光タップ3により装置1へタップされた際に、その光信号を読み取り、読み取った光信号に対応するデータとして後述する時刻差計測機能へ送信する機能とを有している。
また、カウンタ値読取機能15は、通信データ読取機能14からカウンタ値読取指令を受信した際に、内部カウンタ11のカウンタ値を読み取り、後述する時刻差計測機能へ送信する機能である。
そして、時刻差計測装置1は、被監視対象時刻源である簡易時刻源4および時刻源5から供給される時刻信号{例えば、1秒毎に出力される高精度パルス(1PPS)や現在時刻を表す時刻情報等}が受信された際に、その時刻信号が例えば1PPSの場合、その1PPS受信に応じて、PPSに対応する精度である秒の境界に同期して内部カウンタ11の値を読取り、読み取ったカウンタ値を後述する時刻差計測機能へ送信するカウンタ値読取機能20と、時刻差計測機能21とを備えている。
この時刻差計測機能21は、カウンタ値読取機能15から送信されたカウンタ値、カウンタ値読取機能20から送信されたカウンタ値、時刻源5から送信された時刻情報、通信データ読取機能14から送信されたデータ等に基づいて、時刻源5により供給される時刻と時刻供給装置6から供給される時刻との間の時刻差を計測し、その結果である時刻差計測結果を、時刻源5および時刻供給装置6にそれぞれ送信する機能と、上記時刻差計測結果を、光ファイバ2以外の通信網を経由して計測結果集計装置25に対して送信可能になっている。
また、時刻差計測装置1は、基準周波数取得機能10により取得された基準周波数に同期して計時する時計機能23と、この時計機能23により計時された時計情報および時刻差計測機能21により求められた時刻差計測結果を、監視用時刻源4から提供された時刻情報と比べて監視する時計監視機能24とを備えており、この時計監視機能24により、基準周波数や時刻差計測結果が正常か否かを判断できるようになっている。
なお、時刻差計測装置1は、少なくとも通信網である光ファイバ2に対するインタフェース機能である光信号および電気信号変換機能等を含む光/電気信号インタフェース回路と、この光/電気信号インタフェース回路に電気的に接続され、上記内部カウンタ、内部時計、内部メモリおよび外部メモリ等を含むコンピュータと、上記光ファイバ2以外の通信網に対するインタフェース回路とをハードウェア的に有するコンピュータ回路として実現可能である。
コンピュータは、外部メモリから内部メモリにロードされた時刻差計測用プログラムに基づく処理により、上記カウンタ駆動機能12、カウンタ値読取機能15・20、時刻差計測機能21、時計機能23および時計監視機能24をそれぞれ実現するようになっている。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る時刻差計測装置1を利用して、複数(例えば3個)の時刻源5(5C1〜5C3)をそれぞれ監視するための時刻差監視システムTS1を示す図である。
すなわち、光ファイバ2の一端は、図1に示す時刻供給装置6に対応する時刻供給装置6Aに接続されており、この時刻供給装置6Aは、標準時刻源30Aから供給される標準時刻を運用する信頼できる標準時刻運用機関31Aに搭載され、標準時刻源30Aから供給された標準時刻情報に対応する光信号を光ファイバ2を介して供給可能になっている。
また、光ファイバ2の他端は、図1に示す時刻供給装置6に対応する時刻供給装置6Bに接続されており、この時刻供給装置6Bは、標準時刻源30Aとは異なる標準時刻源30Bから供給される標準時刻を運用する信頼できる標準時刻運用機関31Bに搭載され、標準時刻源30Bから供給された標準時刻情報に対応する光信号を光ファイバ2を介して供給可能になっている。
さらに、時刻差監視システムTS1には、時刻認証を行う信頼できる第三者機関等の監査機関35が設置されており、この監査機関35には、図1に示す時刻差計測装置1が符号1C1として搭載されている。また、監査機関35には、時刻差計測装置1C1に接続された被監視対象時刻源である時刻源5C1が接続されており、この時刻差計測装置1C1は、時刻供給装置6Aおよび6Bにより区切られた光ファイバ2に対して光タップ3C1(図1に示す光ファイバ3に対応)および分岐光ファイバ2C1を介して接続されている。
また、被監視対象時刻源5C2および5C3を有する時刻利用装置36および37には、図1に示す時刻差計測装置1が符号1C2および1C3としてそれぞれ搭載されており、この時刻差計測装置1C2および1C3は、時刻供給装置6Aおよび6Bにより区切られた光ファイバ2に対して光タップ3C2および3C3(図1に示す光タップ3に対応)と分岐光ファイバ2C2および2C3とを介してそれぞれ接続されている。
一方、標準時刻運用機関31Aには、図1に示す時刻差計測装置1が符号1Aとして搭載されており、この時刻差計測装置1Aは、光ファイバ2に対して光タップ3A(図1に示す光ファイバ3に対応)および分岐光ファイバ2Aを介して接続されている。さらに、時刻差計測装置1Aは、時刻供給装置6Aおよび標準時刻源30Aに対して通信可能に接続されている。
また、標準時刻運用機関31Bには、図1に示す時刻差計測装置1が符号1Bとして搭載されており、この時刻差計測装置1Bは、光ファイバ2に対して光タップ3B(図1に示す光ファイバ3に対応)および分岐光ファイバ2Bを介して接続されている。さらに、時刻差計測装置1Bは、時刻供給装置6Bおよび標準時刻源30Bに対して通信可能に接続されている。
被監視対象時刻源5C1〜5C3は、例えばGPS、電波時計、原子時計等のそれぞれ異なる時刻供給方式を有している。
そして、上述した装置群、すなわち、光ファイバ2に光タップ3C1〜3C3、3Aおよび3Bを介してそれぞれ接続された装置群は、この光ファイバ2の提供者(光回線提供者)が用意するマスタクロックから取り出された基準周波数(例えば、周波数f[Hz])に同期して上記光ファイバ2を利用して通信できるようになっている。
なお、標準時刻源30Aに接続された時刻供給装置6Aおよび時刻差計測装置30Aの内の少なくとも一方が本発明における標準時刻運用装置に相当し、同様に、標準時刻源30Bに接続された時刻供給装置6Bおよび時刻差計測装置30Bの内の少なくとも一方が本発明における標準時刻運用装置に相当する。
次に、本実施形態の全体処理について、各時刻差計測装置1C1〜1C3における対応する時刻源5C1〜5C3から供給される時刻と、時刻供給装置6Aおよび6Bから供給される時刻との時刻差を求める動作処理を中心に説明する。
最初に、標準時刻源5A、5Bが接続された時刻差計測装置1A、1Bのカウンタ11と、被監視対象である時刻源5C1〜5C3が接続された時刻差計測装置1C1〜1C3のカウンタ11との間のオフセットから上記時刻差を表す時刻差データを算出する処理について説明する。
各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの基準周波数取得機能10は、光ファイバ2を伝送され光タップ3を介してタップされた光信号から、マスタクロックに対応する基準周波数fを取得し(図3;ステップS1)、内部カウンタ11をその基準周波数fに同期させて駆動させる(ステップS2)。
この結果、光ファイバ2に接続された各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bのカウンタ11の進みが等しくなり、全てのカウンタ11間の差分情報を表すオフセットが計測可能となる。
一方、時刻供給装置6Aは、特定のバイト列となる時刻計測命令に対応する光信号(以下、時刻計測命令とする)を光ファイバ2を介して時刻供給装置6Bへ送信する(ステップS10)。
この時刻計測命令は、光ファイバ2上を通過する際に光タップ3C1〜3C3、3Aおよび3Bにより時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの通信データ読取機能14は、タップされた時刻計測命令を読み取り、読み取った命令に対応するカウンタ値読取指令をカウンタ値読取機能15へ送信する(ステップS11)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3、および1Bのカウンタ値読取機能15は、受信したカウンタ値読取指令に応じて、各時刻差計測装置1C1〜1C3、および1Bの内部カウンタ11のカウンタ値を受信タイミング信号として読み取り、時刻差計測機能21へ送信する(ステップS12)。
一方、時刻計測命令送信元である時刻供給装置6Aに対応する時刻差計測装置1Aのカウンタ値読取機能15は、受信したカウンタ値読取指令に応じて、その内部カウンタ11のカウンタ値を上記時刻計測命令の送信タイミングを表す送信タイミング信号として読み取り、時刻差計測機能21へ送信する(ステップS12)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの時刻差計測機能21は、カウンタ値読み取り機能15から送信されてきたカウンタ値を、時刻供給装置6Aから送信されてきた時刻計測命令に対応するカウンタ値C(X,1)として例えば内部メモリに保存する(ステップS13)。
このXは、時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bに対応する値をとる変数であり、カウンタ値C(C1,1)は時刻差計測装置1C1のカウンタ値、カウンタ値C(C2,1)は時刻差計測装置1C2のカウンタ値、カウンタ値C(C3,1)は時刻差計測装置1C3のカウンタ値、カウンタ値C(A,1)は時刻差計測装置1Aのカウンタ値、カウンタ値C(B,1)は時刻差計測装置1Bのカウンタ値をそれぞれ表している。
このとき、カウンタ11の進みが全ての時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bにおいて等しいため、時刻供給装置6Aが時刻計測命令を送信した後に、各時刻差計測装置1C1〜1C3を通過するまでに要したカウンタ値の差は、時刻供給装置6Aと各時刻差計測装置1C1〜1C3との間の差分情報(オフセット)に対応するものとなっている。
一方、時刻供給装置6Bも、時刻供給装置6Aと同様に、特定のバイト列となる時刻計測命令を光ファイバ2を介して時刻供給装置6Aへ送信する(ステップS14)。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bは、上記ステップS11〜S13の処理と同様の処理を行うことにより、カウンタ値読み取り機能15から送信されてきたカウンタ値を、時刻供給装置6Bから送信されてきた時刻計測命令に対応するカウンタ値C(X,2)として例えば内部メモリに保存する(ステップS15)。
一方、時刻供給装置6Aは、対応する時刻差計測装置1Aにより保存されたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を時刻差計測装置1Aから受け取り、受け取ったカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を光ファイバ2を介して時刻供給装置6Bへ送信する(ステップS16)。
このカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)は、光ファイバ2上を通過する際に光タップ3C1〜3C3、3Aおよび3Bにより時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの通信データ読取機能14は、タップされたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を読み取り、読み取ったデータ{カウンタ値C(A,1)およびC(A,2)}が時刻計測命令ではないため、通信データ読取機能14は、読み取ったカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を時刻差計測機能21へ送信する(ステップS17)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの時刻差計測機能21は、送信されてきたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を例えば内部メモリに保存する(ステップS18)。
同様に、時刻供給装置6Bは、対応する時刻差計測装置1Bにより保存されたカウンタ値C(B,1)およびC(B,2)を時刻差計測装置1Bから受け取り、受け取ったカウンタ値C(B,1)およびC(B,2)を光ファイバ2を介して時刻供給装置6Aへ送信する(ステップS19)。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bは、上記ステップS17〜S18の処理と同様の処理を行うことにより、送信されてきたカウンタ値C(B,1)およびC(B,2)を読み取って例えば内部メモリに保存する(ステップS20)。
ここで、時刻供給装置6Aおよび6Bに対応する時刻差計測装置1Aおよび1B以外の時刻差計測装置1C1〜1C3の時刻差計測機能21は、ステップS18の処理により保存されたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)と、ステップS13およびステップS15の処理により保存されたカウンタ値であるC(Cn,1)およびC(Cn,2)(nは1〜3であり、時刻差計測装置1C1〜1C3に対応する)とを用いて、時刻差計測装置1Aのカウンタ11と各時刻差計測装置1C1〜1C3のカウンタ11との間のカウンタオフセットOFF(A,Cn)を下式(1)により求めて内部メモリに保存する(ステップS21)。
OFF(A,Cn)
={C(Cn,1)+C(Cn,2)−C(A,1)−C(A,2)}/2 ・・・(1)
すなわち、上記カウンタオフセットOFF(A,Cn)は、時刻差計測装置1Aと各時刻差計測装置1C1〜1C3との間の差分情報をカウンタオフセット値として表すものである。
ステップS21の処理と同様に、時刻供給装置6Aおよび6Bに対応する時刻差計測装置1Aおよび1B以外の時刻差計測装置1C1〜1C3の時刻差計測機能21は、ステップS20の処理により保存されたカウンタ値C(B,1)およびC(B,2)と、ステップS13およびステップS15の処理により保存されたカウンタ値であるC(Cn,1)およびC(Cn,2)(nは1〜3であり、時刻差計測装置1C1〜1C3に対応する)とを用いて、時刻差計測装置1Bのカウンタ11と各時刻差計測装置1C1〜1C3のカウンタ11との間のカウンタオフセットOFF(B,Cn)を下式(2)により求めて内部メモリに保存する(ステップS22)。
OFF(B,Cn)
={C(Cn,1)+C(Cn,2)−C(B,1)−C(B,2)}/2 ・・・(2)
すなわち、上記カウンタオフセットOFF(B,Cn)は、時刻差計測装置1Bと各時刻差計測装置1C1〜1C3との間の差分情報をカウンタオフセット値として表すものである。
一方、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bには、対応する時刻源(各時刻差計測装置1C1〜1C3→時刻源5C1〜5C3、時刻差計測装置1A、1B→標準時刻源5A、5B)から1PPS信号が送信されており、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bのカウンタ値読取機能20は、その1PPS信号に同期した内部カウンタ11のカウンタ値をカウンタ値PPS(X)として例えば内部メモリに保存する(図4;ステップS23)。
なお、PPS(C1)は時刻差計測装置1C1の1PPSに対応するカウンタ値、カウンタ値PPS(C2)は時刻差計測装置1C2の1PPSに対応するカウンタ値、カウンタ値PPS(C3)は時刻差計測装置1C3のカウンタ値、カウンタ値PPS(A)=時刻差計測装置1Aのカウンタ値、カウンタ値PPS(B)は時刻差計測装置1Bのカウンタ値をそれぞれ表している。
一方、時刻供給装置6Aは、対応する時刻差計測装置1Aにより保存されたカウンタ値PPS(A)を時刻差計測装置1Aから受け取り、受け取ったカウンタ値PPS(A)を光ファイバ2を介して時刻供給装置6Bへ送信する(ステップS24)。
このカウンタ値PPS(A)は、光ファイバ2上を通過する際に光タップ3C1〜3C3、3Aおよび3Bにより時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの通信データ読取機能14は、タップされたカウンタ値PPS(A)を読み取り、読み取ったカウンタ値PPS(A)を時刻差計測機能21へ送信する(ステップS25)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの時刻差計測機能21は、送信されてきたカウンタ値PPS(A)を例えば内部メモリに保存する(ステップS26)。
同様に、時刻供給装置6Bは、対応する時刻差計測装置1Bにより保存されたカウンタ値PPS(B)を時刻差計測装置1Bから受け取り、受け取ったカウンタ値PPS(B)を光ファイバ2を介して時刻供給装置6Aへ送信する(ステップS27)。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bは、上記ステップS25〜26の処理と同様の処理を行うことにより、送信されてきたカウンタ値PPS(B)を読み取って例えば内部メモリに保存する(ステップS28)。
そして、時刻供給装置6Aおよび6Bに対応する時刻差計測装置1Aおよび1B以外の時刻差計測装置1C1〜1C3の時刻差計測機能21は、ステップS26およびステップS28の処理により保存されたカウンタ値PPS(A)およびPPS(B)と、ステップS23の処理により保存されたカウンタ値PPS(Cn)(nは1〜3であり、時刻差計測装置1C1〜1C3に対応する)とを用いて、時刻供給装置6Aおよび時刻供給装置6Bと時刻源5C1〜5C3との時刻差を表す時刻差データPPSOFF(A,Cn)およびPPSOFF(B,Cn)を、周波数単位の時刻差データとして下式(3)および(4)により求める(ステップS29)。
PPSOFF(A,Cn)
={PPS(Cn)−OFF(A,Cn)−PPS(A)} ・・・(3)
PPSOFF(B,Cn)
={PPS(Cn)−OFF(B,Cn)−PPS(B)} ・・・(4)
なお、上記時刻供給装置6Aおよび時刻供給装置6Bと時刻源5C1〜5C3との時刻差を周波数単位で表す時刻差データPPSOFF(A、Cn)およびPPSOFF(B、Cn)を、上記基準周波数f[Hz]で除することにより、秒単位の時刻差データを得ることができる。
なお、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bは、上述したステップS19、S20、S22、S27およびS28を実行せず、ステップS29においてPPSOFF(A、Cn)のみを求めることもできる。
次に、標準時刻源5A、5Bが接続された時刻差計測装置1A、1Bから、被監視対象である時刻源5C1〜5C3が接続された時刻差計測装置1C1〜1C3までの通信遅延時間を算出して時刻差データを算出する処理について説明する。
なお、図3のステップS1およびS2で示したように、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの内部カウンタ11は、その基準周波数fに同期して駆動している。
このとき、時刻供給装置6Aは、特定のバイト列となる時刻計測命令を光ファイバ2を介して時刻供給装置6Bへ送信する(図5;ステップS30)。
この時刻計測命令は、光ファイバ2上を通過する際に光タップ3C1〜3C3、3Aおよび3Bにより時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの通信データ読取機能14は、タップされた時刻計測命令を読み取り、読み取った命令に応じてカウンタ値読取指令をカウンタ値読取機能15へ送信する(ステップS31)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3、および1Bのカウンタ値読取機能15は、受信したカウンタ値読取指令に応じて、各時刻差計測装置1C1〜1C3、および1Bの内部カウンタ11のカウンタ値を受信タイミング信号として読み取り、時刻差計測機能21へ送信する(ステップS32)。
一方、時刻計測命令送信元である時刻供給装置6Aに対応する時刻差計測装置1Aのカウンタ値読取機能15は、受信したカウンタ値読取指令に応じて、その内部カウンタ11のカウンタ値を上記時刻計測命令の送信タイミングを表す送信タイミング信号として読み取り、時刻差計測機能21へ送信する(ステップS32)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの時刻差計測機能21は、カウンタ値読み取り機能15から送信されてきたカウンタ値を読取り、時刻供給装置6Aから送信されてきた時刻計測命令に対応するカウンタ値C(X,1)として例えば内部メモリに保存する(ステップS33)。
このXは、上述したように、時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bに対応する値をとる変数であり、カウンタ値C(C1,1)は時刻差計測装置1C1のカウンタ値、カウンタ値C(C2,1)は時刻差計測装置1C2のカウンタ値、カウンタ値C(C3,1)は時刻差計測装置1C3のカウンタ値、カウンタ値C(A,1)は時刻差計測装置1Aのカウンタ値、カウンタ値C(B,1)は時刻差計測装置1Bのカウンタ値をそれぞれ表している。
一方、時刻供給装置6Bも、時刻供給装置6Aと同様に、特定のバイト列となる時刻計測命令を光ファイバ2を介して時刻供給装置6Aへ送信する(ステップS34)。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bは、上記ステップS31〜S33の処理と同様の処理を行うことにより、カウンタ値読み取り機能15から送信されてきたカウンタ値を、時刻供給装置6Bから送信されてきた時刻計測命令に対応するカウンタ値C(X,2)として例えば内部メモリに保存する(ステップS35)。
一方、時刻供給装置6Aは、対応する時刻差計測装置1Aにより保存されたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を時刻差計測装置1Aから受け取り、受け取ったカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を光ファイバ2を介して時刻供給装置6Bへ送信する(ステップS36)。
このカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)は、光ファイバ2上を通過する際に光タップ3C1〜3C3、3Aおよび3Bにより時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの通信データ読取機能14は、タップされたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を読み取り、読み取ったデータ{カウンタ値C(A,1)およびC(A,2)}が時刻計測命令ではないため、通信データ読取機能14は、読み取ったカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を時刻差計測機能21へ送信する(ステップS37)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの時刻差計測機能21は、送信されてきたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を例えば内部メモリに保存する(ステップS38)。
同様に、時刻供給装置6Bは、対応する時刻差計測装置1Bにより保存されたカウンタ値C(B,1)およびC(B,2)を時刻差計測装置1Bから受け取り、受け取ったカウンタ値C(B,1)およびC(B,2)を光ファイバ2を介して時刻供給装置6Aへ送信する(ステップS39)。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bは、上記ステップS37〜S38の処理と同様の処理を行うことにより、送信されてきたカウンタ値C(B,1)およびC(B,2)を例えば内部メモリに保存する(ステップS40)。
ここで、時刻供給装置6Aおよび6Bに対応する時刻差計測装置1Aおよび1B以外の時刻差計測装置1C1〜1C3の時刻差計測機能21は、ステップS18の処理により保存されたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)と、ステップS33およびステップS35の処理により保存されたカウンタ値であるC(Cn,1)およびC(Cn,2)(nは1〜3であり、時刻差計測装置1C1〜1C3に対応する)とを用いて、時刻差計測装置1Aと各時刻差計測装置1C1〜1C3との間の通信遅延時間DELAY(A,Cn)を下式(5)により求めて内部メモリに保存する(ステップS41)。
DELAY(A、Cn)
=[C(A,2)−C(A,1)−{C(Cn,2)−C(Cn,1)}]/2 ・・・(5)
ステップS41の処理と同様に、時刻供給装置6Aおよび6Bに対応する時刻差計測装置1Aおよび1B以外の時刻差計測装置1C1〜1C3の時刻差計測機能21は、ステップS40の処理により保存されたカウンタ値C(B,1)およびC(B,2)と、ステップS13およびステップS15の処理により保存されたカウンタ値であるC(Cn,1)およびC(Cn,2)(nは1〜3であり、時刻差計測装置1C1〜1C3に対応する)とを用いて、時刻差計測装置1Bと各時刻差計測装置1C1〜1C3との間の通信遅延時間DELAY(B,Cn)を下式(6)により求めて内部メモリに保存する(ステップS42)。
DELAY(B,Cn)
=[C(Cn,2)−C(Cn,1)−{C(B,2)−C(B,1)}]/2 ・・・(6)
一方、時刻供給装置6Aは、標準時刻源30Aから時刻情報MTIME(A)を受け取り、受け取った時刻情報MTIME(A)を光ファイバ2を介して時刻供給装置6Bへ送信する(図6;ステップS43)。
この時刻情報MTIME(A)は、光ファイバ2上を通過する際に光タップ3C1〜3C3、3Aおよび3Bにより時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの通信データ読取機能14は、タップされた時刻情報MTIME(A)を読み取り、読み取った時刻情報MTIME(A)を時刻差計測機能21へ送信すると同時に、時刻情報取得命令を対応する時刻源5C1〜5C3、30Aおよび30Bに送信する(ステップS44)。
各時刻源5C1〜5C3、30Aおよび30Bは、送信された時刻取得命令に応じて時刻情報を各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの時刻差計測機能21に対して送信する。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bの時刻差計測機能21は、送信されてきた時刻情報MTIME(A)を内部メモリに保存するとともに、各時刻源5C1〜5C3、30Aおよび30Bから送信されてきた時刻情報をTIME(X,1)として例えば内部メモリに保存する(ステップS45)。
なお、Xは、時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bに対応する値をとる変数であり、TIME(C1,1)は時刻差計測装置1C1に保存された時刻情報、TIME(C2,1)は時刻差計測装置1C2に保存された時刻情報、TIME(C3,1)は時刻差計測装置1C3に保存された時刻情報、TIME(A,1)は時刻差計測装置1Aに保存された時刻情報、TIME(B,1)は時刻差計測装置1Bに保存された時刻情報をそれぞれ表している。
同様に、時刻供給装置6Bは、対応する時刻差計測装置1Bにより保存された時刻情報MTIME(B)を時刻差計測装置1Bから受け取り、受け取った時刻情報MTIME(B)を光ファイバ2を介して時刻供給装置6Aへ送信する(ステップS46)。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bは、上記ステップS44〜45の処理と同様の処理を行うことにより、送信されてきた時刻情報MTIME(B)を読み取って例えば内部メモリに保存するとともに、対応する時刻源5C1〜5C3、30Aおよび30Bから送信されてきた時刻情報をTIME(X,2)として例えば内部メモリに保存する(ステップS47)。
そして、時刻供給装置6Aおよび6Bに対応する時刻差計測装置1Aおよび1B以外の時刻差計測装置1C1〜1C3の時刻差計測機能21は、ステップS46およびステップS48の処理により保存された時刻情報MTIME(A)および時刻情報MTIME(B)と、ステップS45およびステップS47の処理により保存された時刻情報TIME(Cn,1)およびTIME(Cn,2)(nは1〜3であり、時刻差計測装置1C1〜1C3に対応する)
とを用いて、時刻供給装置6Aおよび時刻供給装置6Bと時刻源5C1〜5C3との時刻差を表す時刻差データTIMEOFF(A,Cn)およびTIMEOFF(B,Cn)を、周波数単位の時刻差データとして下式(7)および(8)により求める(ステップS48)。
TIMEOFF(A,Cn)
=[TIME(Cn,1)−{MTIME(A)+DELAY(A,Cn)}] ・・・(7)
TIMEOFF(B、Cn)
=[TIME(Cn,2)−{MTIME(B)+DELAY(B,Cn)}] ・・・(8)
なお、上記時刻供給装置6Aおよび時刻供給装置6Bと時刻源5C1〜5C3との時刻差を周波数単位で表す時刻差データTIMEOFF(A,Cn)およびTIMEOFF(B,Cn)を、上記基準周波数f[Hz]で除することにより、秒単位の時刻差データを得ることができる。
また、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bは、上述したステップS39、S40、S42、S46およびS47を実行せず、ステップS48においてTIMEOFF(A,Cn)のみを求めることもできる。
以上述べたように、本実施形態によれば、時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bを光ファイバ2に接続し、同一の基準周波数を利用した時刻差計測を実施することにより、同一の基準周波数で駆動できるカウンタ11を利用することができる。この全ての時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bにおいて同期したカウンタ11を利用することにより、例えば、標準時刻源30A、30Bを接続した時刻差計測装置1A、1Bのカウンタ11と、各被監視時刻源5C1〜5C3を接続した時刻差計測装置1C1〜1C3のカウンタ11の進みが等しくなり、時刻差計測装置1A(標準時刻源30A)、時刻差計測装置1B(標準時刻源30B)および時刻差計測装置1C1〜時刻差計測装置1C3(時刻源5C1〜5C3)間の差分情報、すなわち、カウンタ・オフセットOFF(A,Cn)、カウンタ・オフセットOFF(B,Cn)、あるいは上記カウンタ11に基づいて求められる伝送遅延量DELAY(A,Cn)、DELAY(B,Cn)をそれぞれ正確に計測(算出)することが可能になる。
したがって、この差分情報(カウンタオフセット/伝送遅延量)を用いることにより、標準時刻源30A、30Bと時刻源5C1〜5C3との間の時刻差を算出することができる。
また、本実施形態によれば、全ての時刻差計測装置1C1〜1C3、1A、1Bは光タップ3C1〜3C3、3Aおよび3Bを介して接続されている。このため、時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bは、光ファイバ2に対してデータを流すことができない。
この特徴により、光ファイバ2上を流れる時刻差計測用のデータ(時刻計測命令等)が改竄される可能性が非常に低くなる。また、全ての時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bは、通信遅延時間の差はあるが、ほぼ同時に同一の通信データを受信可能となる。これにより、同一の時刻計測用の通信データを全ての時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bが受信することができる。
さらに、本実施形態によれば、例えば監査機関35が第三者機関の場合、その第三者機関に設置された時刻差計測装置(例えば1C1)は、他の全ての時刻差討測装置と同一の方式により常時監視を実施することができる。また、光ファイバ2上を流れる時刻計測用の通信情報を記録することが可能となる。
すなわち、各時計差計測装置が求めた計測結果を第3者機関に送信し、第3者機関は自組織で計測した時刻差情報と、受信した情報全てとを比較することにより、第3者機関において全ての時刻源の状態を記録・監視することが可能となる。
したがって、被監視時刻源N個と標準時刻源M個の場合に、従来N×M本の相互リンクが必要であったのに対し、光ファイバ2に対してのみ時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bを接続することにより、標準時刻源30A、30Bと全ての被監視時刻源5C1〜5C3の相互比較を行うことができる。また、光ファイバ2として信頼性のあるSDH回線を利用することも可能であり、インターネットのように品質変動の大きい網を避けて精度の高い時刻差計測を実現することができる。
なお、本実施形態においては、図2に示した装置群、すなわち、光ファイバ2に光タップ3C1〜3C3、3Aおよび3Bを介してそれぞれ接続された装置群は、この光ファイバ2の提供者が用意するマスタクロックから得られた基準周波数f[Hz]に同期する信号により光ファイバ2を介して通信できるものとしたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
例えば、図7に示す時刻差監視システムTS2として、一台の時刻供給装置6Aに対してクロック(周波数f)を与えてクロックマスタとして動作させ、他の装置群(時刻供給装置6B、時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1B)は、この時刻供給装置6Aから送信される上記クロックfに同期する信号により上記光ファイバ2を利用して通信できるように構成してもよい。
なお、図7に示す構成においても、図3〜図6と同一の時刻差データ算出処理を実行することができ、上述した効果を得ることができる。
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る時刻差計測装置1を利用して、複数(例えば3個)の時刻源5(5C1〜5C3)をそれぞれ監視するための第2の実施の形態に係る時刻差監視システムTS3を示す図である。
本実施形態においては、図2に示す時刻差監視システムTS1において、標準時刻運用機関31Bを省略し、図2に示す光ファイバ2に対応する光ファイバ2Xの両端を標準時刻運用機関31Aの時刻供給装置6AにインタフェースAおよびインタフェースBを介してそれぞれ接続してループを構成し、このループ状光ファイバ2Xに対して光タップ3C1〜3C3および分岐ファイバ2C1〜2C3を介して時刻差計測装置1C1〜1C3がそれぞれ接続されている。
なお、その他の構成要素については、図1および図2に示す構成要素と略同等であるため、同一の符号を付してその説明は省略する。
次に、本実施形態の全体処理について、各時刻差計測装置1C1〜1C3における対応する時刻源5C1〜5C3から供給される時刻と、時刻供給装置6Aから供給される時刻との時刻差を求める動作処理を中心に説明する。
最初に、標準時刻源5Aが接続された時刻差計測装置1Aのカウンタ11と、被監視対象である時刻源5C1〜5C3が接続された時刻差計測装置1C1〜1C3のカウンタ11との間のオフセットから上記時刻差を表す時刻差データを算出する処理について説明する。
なお、第1の実施形態と同様に、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aでは、光ファイバ2Xを伝送される光信号から取りだされた基準周波数fに同期して内部カウンタ11を駆動させている(ステップS1およびS2参照)。
このとき、時刻供給装置6Aは、特定のバイト列となる時刻計測命令を光ファイバ2Xを介してインタフェースA、あるいはインタフェースB(例えば、インタフェースAとする)から送信する(図9;ステップS50)。
この時刻計測命令は、光ファイバ2Xを一周する際に光タップ3C1〜3C3および3Aにより時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの通信データ読取機能14は、タップされた時刻計測命令を読み取り、読み取った命令に対応するカウンタ値読取指令をカウンタ値読取機能15へ送信する(ステップS51)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3、および1Bのカウンタ値読取機能15は、受信したカウンタ値読取指令に応じて、各時刻差計測装置1C1〜1C3の内部カウンタ11のカウンタ値を受信タイミング信号として読み取り、時刻差計測機能21へ送信する(ステップS52)。
一方、時刻計測命令送信元である時刻供給装置6Aに対応する時刻差計測装置1Aのカウンタ値読取機能15は、受信したカウンタ値読取指令に応じて、その内部カウンタ11のカウンタ値を上記時刻計測命令の送信タイミングを表す送信タイミング信号として読み取り、時刻差計測機能21へ送信する(ステップS52)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3、および1Aの時刻差計測機能21は、カウンタ値読み取り機能15から送信されてきたカウンタ値を、インタフェースAから送信されてきた時刻計測命令に対応するカウンタ値C(X,1)として例えば内部メモリに保存する(ステップS53)。なお、C(X,1)の意味は、第1の実施の形態と同様である。
第1の実施形態と同様に、本実施形態においても、カウンタ11の進みが全ての時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aにおいて等しいため、時刻供給装置6Aが時刻計測命令を送信した後に、各時刻差計測装置1C1〜1C3を通過するまでに要したカウンタ値の差は、時刻供給装置6Aと各時刻差計測装置1C1〜1C3との間の差分情報に対応するものとなっている。
一方、時刻供給装置6Aは、特定のバイト列となる時刻計測命令を光ファイバ2Xを介して、ステップS50とは逆方向(インタフェースB)から送信する(ステップS54)。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aは、上記ステップS51〜S53の処理と同様の処理を行うことにより、カウンタ値読み取り機能15から送信されてきたカウンタ値を、インタフェースBから送信されてきた時刻計測命令に対応するカウンタ値C(X,2)として例えば内部メモリに保存する(ステップS55)。
そして、時刻供給装置6Aは、対応する時刻差計測装置1Aにより保存されたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を時刻差計測装置1Aから受け取り、受け取ったカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)をインタフェースAあるいはインタフェースBを介して光ファイバ2Xへ送信する(ステップS56)。
このカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)は、光ファイバ2X上を通過する際に光タップ3C1〜3C3および3Aにより時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの通信データ読取機能14は、タップされたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を読み取り、読み取ったデータ{カウンタ値C(A,1)およびC(A,2)}が時刻計測命令ではないため、通信データ読取機能14は、読み取ったカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を時刻差計測機能21へ送信する(ステップS57)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの時刻差計測機能21は、送信されてきたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を例えば内部メモリに保存する(ステップS58)。
ここで、時刻供給装置6Aに対応する時刻差計測装置1A以外の時刻差計測装置1C1〜1C3の時刻差計測機能21は、ステップS58の処理により保存されたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)と、ステップS53およびステップS55の処理により保存されたカウンタ値であるC(Cn,1)およびC(Cn,2)(nは1〜3であり、時刻差計測装置1C1〜1C3に対応する)とを用いて、時刻差計測装置1Aのカウンタ11と各時刻差計測装置1C1〜1C3のカウンタ11との間のカウンタオフセットOFF(A,Cn)を下式(9)により求めて内部メモリに保存する(ステップS59)。
OFF(A、Cn)
={C(Cn,1)+C(Cn,2)−C(A,1)−C(A,2)}/2 ・・・(9)
一方、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aには、対応する時刻源から1PPS信号が送信されており、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aのカウンタ値読取機能20は、その1PPS信号に同期した内部カウンタ11のカウンタ値をカウンタ値PPS(X)として例えば内部メモリに保存する(ステップS60)。
なお、PPS(C1)は時刻差計測装置1C1の1PPSに対応するカウンタ値、カウンタ値PPS(C2)は時刻差計測装置1C2の1PPSに対応するカウンタ値、カウンタ値PPS(C3)は時刻差計測装置1C3のカウンタ値、カウンタ値PPS(A)は時刻差計測装置1Aのカウンタ値をそれぞれ表している。
一方、時刻供給装置6Aは、対応する時刻差計測装置1Aにより保存されたカウンタ値PPS(A)を時刻差計測装置1Aから受け取り、受け取ったカウンタ値PPS(A)をインタフェースAあるいはインタフェースBから光ファイバ2Xを介して送信する(ステップS61)。
このカウンタ値PPS(A)は、光ファイバ2X上を通過する際に、光タップ3C1〜3C3および3Aにより時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの通信データ読取機能14は、タップされたカウンタ値PPS(A)を読み取り、読み取ったカウンタ値PPS(A)を時刻差計測機能21へ送信する(ステップS62)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの時刻差計測機能21は、送信されてきたカウンタ値PPS(A)を例えば内部メモリに保存する(ステップS63)。
そして、時刻供給装置6Aに対応する時刻差計測装置1A以外の時刻差計測装置1C1〜1C3の時刻差計測機能21は、保存されたカウンタ値PPS(A)と、保存されたカウンタ値PPS(Cn)(nは1〜3であり、時刻差計測装置1C1〜1C3に対応する)とを用いて、時刻供給装置6Aと時刻源5C1〜5C3との時刻差を表す時刻差データPPSOFF(A,Cn)を、周波数単位の時刻差データとして下式(10)により求める(ステップS64)。
PPSOFF(A,Cn)
={PPS(Cn)−OFF(A,Cn)−PPS(A)} ・・・(10)
なお、上記時刻差データPPSOFF(A,Cn)を、上記基準周波数f[Hz]で除することにより、秒単位の時刻差データを得ることができる。
次に、標準時刻源5Aが接続された時刻差計測装置1Aから、被監視対象である時刻源5C1〜5C3が接続された時刻差計測装置1C1〜1C3までの通信遅延時間を算出して時刻差データを算出する処理について説明する。
時刻供給装置6Aは、特定のバイト列となる時刻計測命令を光ファイバ2Xを介してインタフェースA、あるいはインタフェースB(例えば、インタフェースAとする)から送信する(図10;ステップS70)。
この時刻計測命令は、光ファイバ2Xを一周する際に光タップ3C1〜3C3および3Aにより時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの通信データ読取機能14は、タップされた時刻計測命令を読み取り、読み取った命令に対応するカウンタ値読取指令をカウンタ値読取機能15へ送信する(ステップS71)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3のカウンタ値読取機能15は、受信したカウンタ値読取指令に応じて、各時刻差計測装置1C1〜1C3の内部カウンタ11のカウンタ値を受信タイミング信号として読み取り、時刻差計測機能21へ送信する(ステップS72)。
一方、時刻計測命令送信元である時刻供給装置6Aに対応する時刻差計測装置1Aのカウンタ値読取機能15は、受信したカウンタ値読取指令に応じて、その内部カウンタ11のカウンタ値を上記時刻計測命令の送信タイミングを表す送信タイミング信号として読み取り、時刻差計測機能21へ送信する(ステップS72)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの時刻差計測機能21は、カウンタ値読み取り機能15から送信されてきたカウンタ値を、インタフェースAから送信されてきた時刻計測命令に対応するカウンタ値C(X,1)として例えば内部メモリに保存する(ステップS73)。
一方、時刻供給装置6Aは、特定のバイト列となる時刻計測命令を光ファイバ2Xを介して、ステップS70とは逆方向(インタフェースB)から送信する(ステップS74)。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aは、上記ステップS71〜S73の処理と同様の処理を行うことにより、カウンタ値読み取り機能15から送信されてきたカウンタ値を読取り、インタフェースBから送信されてきた時刻計測命令に対応するカウンタ値C(X,2)として例えば内部メモリに保存する(ステップS75)。
そして、時刻供給装置6Aは、対応する時刻差計測装置1Aにより保存されたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を時刻差計測装置1Aから受け取り、受け取ったカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)をインタフェースAあるいはインタフェースBを介して光ファイバ2Xへ送信する(ステップS76)。
このカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)は、光ファイバ2X上を通過する際に光タップ3C1〜3C3および3Aにより時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの通信データ読取機能14は、タップされたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を読み取り、読み取ったデータ{カウンタ値C(A,1)およびC(A,2)}が時刻計測命令ではないため、通信データ読取機能14は、読み取ったカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を時刻差計測機能21へ送信する(ステップS77)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの時刻差計測機能21は、送信されてきたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を例えば内部メモリに保存する(ステップS78)。
ここで、時刻供給装置6Aに対応する時刻差計測装置1A以外の時刻差計測装置1C1〜1C3の時刻差計測機能21は、保存されたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)と、保存されたカウンタ値であるC(Cn,1)およびC(Cn,2)(nは1〜3であり、時刻差計測装置1C1〜1C3に対応する)とを用いて、時刻差計測装置1Aから各時刻差計測装置1C1〜1C3までの通信遅延時間DELAY(A,Cn)を下式(11)により求めて内部メモリに保存する(ステップS79)。
DELAY(A,Cn)
=[C(A,2)−C(A,1)−{C(Cn,2)−C(Cn,1)}]/2 ・・・(11)
一方、時刻供給装置6Aは、標準時刻源30Aから時刻情報MTIME(A)を受け取り、受け取った時刻情報MTIME(A)をインタフェースAあるいはインタフェースBから光ファイバ2Xを介して送信する(ステップS80)。
この時刻情報MTIME(A)は、光ファイバ2上を通過する際に光タップ3C1〜3C3および3Aにより時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの通信データ読取機能14は、タップされた時刻情報MTIME(A)を読み取り、読み取った時刻情報MTIME(A)を時刻差計測機能21へ送信すると同時に、時刻情報取得命令を対応する時刻源5C1〜5C3および30Aに送信する(ステップS81)。
各時刻源5C1〜5C3および30Aは、送信された時刻取得命令に応じて時刻情報TIME(X,1)を各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの時刻差計測機能21に対して送信する。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの時刻差計測機能21は、送信されてきた時刻情報MTIME(A)および時刻情報TIME(X,1)をそれぞれ内部メモリに保存する(ステップS82)。TIME(X,1)の意味については、第1の実施形態と同様である。
そして、時刻供給装置6Aに対応する時刻差計測装置1A以外の時刻差計測装置1C1〜1C3の時刻差計測機能21は、ステップS82の処理により保存された時刻情報MTIME(A)および時刻情報TIME(Cn,1)(nは1〜3であり、時刻差計測装置1C1〜1C3に対応する)を用いて、時刻供給装置6Aと時刻源5C1〜5C3との時刻差を表す時刻差データTIMEOFF(A,Cn)を、周波数単位の時刻差データとして下式(12)により求める(ステップS83)。
TIMEOFF(A,Cn)
=MTIME(Cn,1)−{MTIME(A)+DELAY(A、Cn)} ・・・(12)
なお、上記時刻差データTIMEOFF(A,Cn)を、上記基準周波数f[Hz]で除することにより、秒単位の時刻差データを得ることができる。
以上述べたように、本実施形態においても、全ての時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aにおいて同期したカウンタ11を利用することにより、標準時刻源30Aを接続した時刻差計測装置1Aのカウンタ11と、各被監視時刻源5C1〜5C3を接続した時刻差計測装置1C1〜1C3のカウンタ11の進みが等しくなり、時刻差計測装置1A(標準時刻源30A)、および時刻差計測装置1C1〜時刻差計測装置1C3(時刻源5C1〜5C3)間の差分情報、すなわち、カウンタ・オフセットOFF(A,Cn)、あるいは上記カウンタ11に基づいて求められる伝送遅延量DELAY(A,Cn)をそれぞれ正確に計測(算出)することが可能になる。
したがって、この差分情報(カウンタオフセット、伝送遅延量)を用いることにより、標準時刻源30Aと時刻源5C1〜5C3との間の時刻差を算出することができる
なお、本実施形態においては、図8に示した装置群、すなわち、光ファイバ2Xに光タップ3C1〜3C3および3Aを介してそれぞれ接続された装置群は、この光ファイバ2Xの提供者が用意するマスタクロックに基づく基準周波数f[Hz]に同期する信号により、上記光ファイバ2Xを利用して通信できるものとしたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
例えば、図11に示す時刻差監視システムTS4として、時刻供給装置6Aに対してクロック(周波数f)を与えてクロックマスタとして動作させ、他の装置群(時刻差計測装置1C1〜1C3および1A)は、この時刻供給装置6Aから送信される上記クロックfに同期する信号により上記光ファイバ2Xを利用して通信できるように構成してもよい。
なお、図11に示す構成においても、図9〜図10と同一の時刻差データ算出処理を実行することができ、上述した効果を得ることができる。
(第3の実施の形態)
図12は、本発明の第1の実施の形態に係る時刻差計測装置1を利用して、複数(例えば3個)の時刻源5(5C1〜5C3)をそれぞれ監視するための第3の実施の形態に係る時刻差監視システムTS5を示す図である。
本実施形態においては、図2に示す時刻差監視システムTS1において、標準時刻運用機関31Bを省略し、図2に示す光ファイバ2に対応する一対の光ファイバ2Y1、2Y2それぞれの一端を時刻供給装置6Aに接続し、他端を短絡装置40に接続して短絡し、この時刻供給装置6Aおよび短絡装置40間の区間である光ファイバ2Y1、2Y2に対して光タップ3C1〜3C3および分岐ファイバ2C1〜2C3を介して時刻差計測装置1C1〜1C3がそれぞれ通信可能に接続されている。
なお、その他の構成要素については、図1および図2に示す構成要素と略同等であるため、同一の符号を付してその説明は省略する。
次に、本実施形態の全体処理について、各時刻差計測装置1C1〜1C3における対応する時刻源5C1〜5C3から供給される時刻と、時刻供給装置6Aから供給される時刻との時刻差を求める動作処理を中心に説明する。
最初に、標準時刻源5Aが接続された時刻差計測装置1Aのカウンタ11と、被監視対象である時刻源5C1〜5C3が接続された時刻差計測装置1C1〜1C3のカウンタ11との間のオフセットから上記時刻差を表す時刻差データを算出する処理について説明する。
なお、第1の実施形態と同様に、各時刻差計測装置1C1〜1C3、1Aおよび1Bでは、光ファイバ2Xを伝送される光信号から取りだされた基準周波数fに同期して内部カウンタ11を駆動させている(ステップS1およびS2参照)。
このとき、時刻供給装置6Aは、特定のバイト列となる時刻計測命令を光ファイバ2Y1を介して送信する(図13;ステップS90)。
この時刻計測命令は、一方の光ファイバ2Y1を通って短絡装置40に至る間、および短絡装置40を介して他方の光ファイバ2Y2を通って時刻供給装置6Aに戻る間に合計2回光タップ3C1〜3C3および3Aにより時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aへそれぞれタップされる。
上記2回の時刻計測命令により、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの通信データ読取機能14は、2回のカウンタ値読取指令をカウンタ値読取機能15へ送信し(ステップS91)、カウンタ値読取機能15は、受信したカウンタ値読取指令に応じて、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの内部カウンタ11のカウンタ値を2回読み取り、時刻差計測機能21へ送信する(ステップS92)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの時刻差計測機能21は、カウンタ値読み取り機能15から送信されてきた2回のカウンタ値を、C(X,m)(m=1、2)として例えば内部メモリに保存する(ステップS93)。なお、C(X,m)における“X”の意味は、第1の実施の形態と同様である。
そして、時刻供給装置6Aは、対応する時刻差計測装置1Aにより保存されたカウンタ値C(A,m)、すなわち、カウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を時刻差計測装置1Aから受け取り、受け取ったカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を光ファイバ2Y1を介して送信する(ステップS94)。
このカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)は、光ファイバ2Y1上を通過する際に光タップ3C1〜3C3および3Aより時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの通信データ読取機能14は、タップされたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を読み取り、読み取ったデータ{カウンタ値C(A,1)およびC(A,2)}が時刻計測命令ではないため、通信データ読取機能14は、読み取ったカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を時刻差計測機能21へ送信する(ステップS95)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの時刻差計測機能21は、送信されてきたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を例えば内部メモリに保存する(ステップS96)。
ここで、時刻供給装置6Aに対応する時刻差計測装置1A以外の時刻差計測装置1C1〜1C3の時刻差計測機能21は、保存されたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)と、保存されたカウンタ値であるC(Cn,1)およびC(Cn,2)(nは1〜3であり、時刻差計測装置1C1〜1C3に対応する)とを用いて、時刻差計測装置1Aのカウンタ11と各時刻差計測装置1C1〜1C3のカウンタ11との間のカウンタオフセットOFF(A,Cn)を下式(13)により求めて内部メモリに保存する(ステップS97)。
OFF(A,Cn)
={C(Cn,1)+C(Cn,2)−C(A,1)−C(A,2)}/2 ・・・(13)
一方、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aには、対応する時刻源から1PPS信号が送信されており、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aのカウンタ値読取機能20は、その1PPS信号に同期した内部カウンタ11のカウンタ値をカウンタ値PPS(X)として例えば内部メモリに保存する(ステップS98)。
一方、時刻供給装置6Aは、対応する時刻差計測装置1Aにより保存されたカウンタ値PPS(A)を時刻差計測装置1Aから受け取り、受け取ったカウンタ値PPS(A)を光ファイバ2Y1を介して送信する(ステップS99)。
このカウンタ値PPS(A)は、光ファイバ2Y1上を通過する際に、光タップ3C1〜3C3および3Aにより時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの通信データ読取機能14は、タップされたカウンタ値PPS(A)を読み取り、読み取ったカウンタ値PPS(A)を時刻差計測機能21へ送信する(ステップS100)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの時刻差計測機能21は、送信されてきたカウンタ値PPS(A)を例えば内部メモリに保存する(ステップS101)。
そして、時刻供給装置6Aに対応する時刻差計測装置1A以外の時刻差計測装置1C1〜1C3の時刻差計測機能21は、保存されたカウンタ値PPS(A)と、保存されたカウンタ値PPS(Cn)(nは1〜3であり、時刻差計測装置1C1〜1C3に対応する)とを用いて、時刻供給装置6Aと時刻源5C1〜5C3との時刻差を表す時刻差データPPSOFF(A,Cn)を、周波数単位の時刻差データとして下式(14)により求める(ステップS102)。
PPSOFF(A,Cn)
={PPS(Cn)−OFF(A、Cn)−PPS(A)} ・・・(14)
なお、上記時刻差データPPSOFF(A,Cn)を、上記基準周波数f[Hz]で除することにより、秒単位の時刻差データを得ることができる。
次に、標準時刻源5Aが接続された時刻差計測装置1Aから、被監視対象である時刻源5C1〜5C3が接続された時刻差計測装置1C1〜1C3までの通信遅延時間を算出して時刻差データを算出する処理について説明する。
時刻供給装置6Aは、特定のバイト列となる時刻計測命令を光ファイバ2Y1を介して送信する(図14;ステップS110)。
この時刻計測命令は、一方の光ファイバ2Y1を通って短絡装置40に至る間、および短絡装置40を介して他方の光ファイバ2Y2を通って時刻供給装置6Aに戻る間に合計2回光タップ3C1〜3C3および3Aにより時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aへそれぞれタップされる。
上記2回の時刻計測命令により、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの通信データ読取機能14は、2回のカウンタ値読み込み指令をカウンタ値読取機能15へ送信し(ステップS111)、カウンタ値読取機能15は、受信したカウンタ値読取指令に応じて、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの内部カウンタ11のカウンタ値を2回読み取り、時刻差計測機能21へ送信する(ステップS112)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの時刻差計測機能21は、カウンタ値読み取り機能15から送信されてきた2回のカウンタ値を、C(X,m)(m=1、2)として例えば内部メモリに保存する(ステップS113)。
そして、時刻供給装置6Aは、対応する時刻差計測装置1Aにより保存されたカウンタ値C(A,m)、すなわち、カウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を時刻差計測装置1Aから受け取り、受け取ったカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を光ファイバ2Y1を介して送信する(ステップS114)。
このカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)は、光ファイバ2Y1上を通過する際に光タップ3C1〜3C3および3Aより時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの通信データ読取機能14は、タップされたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を読み取り、読み取ったデータ{カウンタ値C(A,1)およびC(A,2)}が時刻計測命令ではないため、通信データ読取機能14は、読み取ったカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を時刻差計測機能21へ送信する(ステップS115)。
各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの時刻差計測機能21は、送信されてきたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)を例えば内部メモリに保存する(ステップS116)。
ここで、時刻供給装置6Aに対応する時刻差計測装置1A以外の時刻差計測装置1C1〜1C3の時刻差計測機能21は、保存されたカウンタ値C(A,1)およびC(A,2)と、保存されたカウンタ値であるC(Cn,1)およびC(Cn,2)(nは1〜3であり、時刻差計測装置1C1〜1C3に対応する)とを用いて、時刻差計測装置1Aから各時刻差計測装置1C1〜1C3までの通信遅延時間DELAY(A、Cn)を下式(15)により求めて内部メモリに保存する(ステップS117)。
DELAY(A、Cn)
=[C(A,2)−C(A,1)−{C(Cn,2)−C(Cn,1)}]/2 ・・・(15)
一方、時刻供給装置6Aは、標準時刻源30Aから時刻情報MTIME(A)を受け取り、受け取った時刻情報MTIME(A)を光ファイバ2Y1を介して送信する(ステップS118)。
この時刻情報MTIME(A)は、光ファイバ2Y1上を通過する際に光タップ3C1〜3C3および3Aにより時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aへそれぞれタップされる。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの通信データ読取機能14は、タップされた時刻情報MTIME(A)を読み取り、読み取った時刻情報MTIME(A)を時刻差計測機能21へ送信すると同時に、時刻情報取得命令を対応する時刻源5C1〜5C3および30Aに送信する(ステップS119)。
各時刻源5C1〜5C3および30Aは、送信された時刻取得命令に応じて時刻情報TIME(X,1)を各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの時刻差計測機能21に対して送信する。
このとき、各時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aの時刻差計測機能21は、送信されてきた時刻情報MTIME(A)および時刻情報TIME(X,1)をそれぞれ内部メモリに保存する(ステップS120)。TIME(X,1)の意味については、第1の実施形態と同様である。
そして、時刻供給装置6Aに対応する時刻差計測装置1A以外の時刻差計測装置1C1〜1C3の時刻差計測機能21は、ステップS120の処理により保存された時刻情報MTIME(A)および時刻情報TIME(Cn,1)(nは1〜3であり、時刻差計測装置1C1〜1C3に対応する)を用いて、時刻供給装置6Aと時刻源5C1〜5C3との時刻差を表す時刻差データTIMEOFF(A,Cn)を、周波数単位の時刻差データとして下式(16)により求める(ステップS121)。
TIMEOFF(A,Cn)=MTIME(Cn,1)−{MTIME(A)+DELAY(A,Cn)} ・・・(16)
なお、上記時刻差データTIMEOFF(A,Cn)を、上記基準周波数f[Hz]で除することにより、秒単位の時刻差データを得ることができる。
以上述べたように、本実施形態においても、全ての時刻差計測装置1C1〜1C3および1Aにおいて同期したカウンタ11を利用することにより、標準時刻源30Aを接続した時刻差計測装置1Aのカウンタ11と、各被監視時刻源5C1〜5C3を接続した時刻差計測装置1C1〜1C3のカウンタ11の進みが等しくなり、両方のカウンタ・オフセットOFF(A,Cn)、あるいは上記カウンタ11に基づいて求められる伝送遅延量DELAY(A,Cn)をそれぞれ正確に計測(算出)することが可能になる。
したがって、このオフセット量(カウンタオフセット、伝送遅延量)を用いることにより、標準時刻源30Aと時刻源5C1〜5C3との間の時刻差を算出することができる。
なお、本実施形態においては、図12に示した装置群、すなわち、光ファイバ2Y1、2Y2に光タップ3C1〜3C3および3Aを介してそれぞれ接続された装置群は、この光ファイバ2Y1、2Y2の提供者が用意するマスタクロックに基づく基準周波数f[Hz]に同期する信号により、上記光ファイバ2Y1、2Y2を利用して通信できるものとしたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
例えば、図15に示す時刻差監視システムTS6として、時刻供給装置6Aに対してクロック(周波数f)を与えてクロックマスタとして動作させ、他の装置群(時刻差計測装置1C1〜1C3および1A)は、この時刻供給装置6Aから送信される上記クロックfに同期する信号により上記光ファイバ2Y1、2Y2を利用して通信できるように構成してもよい。
なお、図15に示す構成においても、図13〜図14と同一の時刻差データ算出処理を実行することができ、上述した効果を得ることができる。
(第4の実施の形態)
図16は、本発明の第1の実施の形態に係る時刻差計測装置1を利用して、複数(例えば3個)の時刻源5(5C1〜5C3)をそれぞれ監視するための第4の実施の形態に係る時刻差監視システムTS7を示す図である。なお、第1〜第3の実施の形態の構成要素と略同等の機能を有する構成要素については、同一または類似した符号を付してその説明を省略または簡略化する。
本実施形態における時刻差監視システムTS7は、光ファイバ2として、2本の光ファイバ2Z1、2Z2を利用して時刻差を求めるシステムである。
一方の光ファイバ2Z1は、その一端部が時刻供給装置6Aに接続され、他端部が(1)図1に示した構成、すなわち、他の時刻供給装置に接続された構成、(2)図7に示した構成、すなわち、他端部も同一の時刻供給装置6Aに接続されてループ状となる構成、および(3)図12に示した構成、すなわち、光ファイバ2Z1自体が対構造を有しており、それぞれの他端部が短絡装置により短絡された構成の内の何れか1つの構成を有している。
この光ファイバ2Z1には、上述した各実施の形態と同様に、光タップ3A、光タップ3C2、および光タップ3C3を介して時刻差計測装置1A、時刻差計測装置1C2および時刻差計測装置1C3がそれぞれ接続されている。
同様に、他方の光ファイバ2Z2は、その一端部が時刻供給装置6Cに接続され、他端部が上記(1)、(2)および(3)の何れか1つの構成を有している。
また、光ファイバ2Z2には、上述した各実施の形態と同様に、光タップ3C1および光タップ3C4を介して時刻差計測装置1C1および時刻差計測装置1C4(図1の時刻差計測装置1と同等の構成を有している)がそれぞれ接続されている。
一方、時刻源5C3は、時刻差計測装置2C3、時刻供給装置6Cおよび時刻差計測装置1C4にそれぞれ通信可能に接続されており、上記時刻差計測装置2C3、時刻供給装置6Cおよび時刻差計測装置1C4に対する共通の時刻源(共通時刻源)となっている。
このように構成された時刻差監視システムTS7によれば、光ファイバ2Z1に接続された時刻差計測装置1A、時刻差計測装置1C2および1C3については、第1〜第3の実施形態で説明したカウンタオフセット算出処理の内、上記光ファイバ2Z1の構成に対応する何れか1つの処理により、互いのカウンタオフセットがそれぞれ算出される。
一方、光ファイバ2Z2に接続された時刻差計測装置1C1および時刻差計測装置1C4においても、第1〜第3の実施形態で説明したカウンタオフセット算出処理の内、上記光ファイバ2Z2の構成に対応する何れか1つの処理により互いのカウンタオフセットを算出する。
例えば、光ファイバ2Z1側において、標準時刻源30Aと共通時刻源5C3との間の差分情報を、時刻差計測装置1Aおよび時刻差計測装置1C3間において図3、図4に示す処理により計測した結果をカウンタオフセットOFF1とし、光ファイバ2Z2側において、共通時刻源5C3と時刻源5C1との間の差分情報を、時刻差計測装置1C3および時刻差計測装置1C1間において図3、図4に示す処理(共通時刻源5C3を標準時刻源30A、時刻供給装置6Cを時刻供給装置6Aとして考える)により計測した結果をカウンタオフセットOFF2とする。このカウンタオフセットOFF1およびカウンタオフセットOFF2は、カウンタ値として示される。
今、図16における光ファイバ2Z1における通信用の回線クロック(マスタクロック/クロック)から作成された基準周波数(基準クロック)をf1とし、光ファイバ2Z2における通信用の回線クロック(マスタクロック/クロック)から作成された基準周波数(基準クロック)をf2とする。
ここで、標準時刻源30Aと時刻源5C1との間の時刻差を求める方法について説明する。
上述したように、標準時刻源30Aと共通時刻源5C3との間のカウンタオフセット量がカウンタオフセットOFF1、および共通時刻源5C3と時刻源5C1との間のカウンタオフセット量がカウンタオフセットOFF2としてそれぞれ求められている。
このとき、光ファイバ2Z1および2Z2における回線クロックがそれぞれ異なる場合、光ファイバ2Z1側の時刻差計測装置1Aおよび1C3と、光ファイバ2Z2側の時刻差計測装置1C3および1C4との間では、カウンタを動作させる周波数である上記基準周波数f1とf2とがそれぞれ異なる。
したがって、求められたカウンタオフセットOFF1およびOFF2を単純に加算して標準時刻源30Aと時刻源5C1との間の時刻差とすることはできない。
そこで、標準時刻源30Aと時刻源5C1との間の時刻差を、TIMEOFF(A,5C1)として表した際に、そのTIMEOFF(A,5C1)を上記基準周波数f1、f2を利用して下式(17)により計算する。
TIMEOFF(A,5C1)=OFF1/f1+OFF2/f2 ・・・(17)
このとき、上記基準周波数f1、f2がそれぞれ既知であれば、上式(17)によりTIMEOFF(A,5C1)、すなわち、標準時刻源30Aと時刻源5C1との間の時刻差を求めることができる。
一方、上記基準周波数f1、f2が不明である場合であっても、以下に説明するように基準周波数f1、f2を求めることができる。
すなわち、基準周波数f1を求める場合、時刻差計測装置1Aにおいて、標準時刻源30Aの1PPSがT回計時される間のカウンタ11のカウンタ値をC1tとすると、基準周波数f1(時刻差計測装置1A、1C3のカウンタ11の駆動周波数)を、下式(18)で求めることができる。
f1=C1t/T ・・・(18)
同様に、基準周波数f2を求める場合、時刻差計測装置1C3において、共通時刻源5C3の1PPSがU回計時される間のカウンタ11のカウンタ値をC3uとし、時刻差計測装置1C4において、共通時刻源5C3の1PPSがU回計時される間のカウンタ11のカウンタ値をC4uとすると、基準周波数f2(時刻差計測装置1C1、1C4のカウンタ11の駆動周波数)を、下式(19)で求めることができる。
f2=(C4u/C3u)・f1 ・・・(19)
上記(18)式および(19)式により基準周波数f1およびf2がそれぞれ求められるため、上記(17)式により標準時刻源30Aと時刻源5C1との間の時刻差TIMEOFF(A,5C1)を求めることができる。
以上述べたように、本実施の形態によれば、標準時刻源30Aに接続された光ファイバ2Z1と異なる光ファイバ2Z2に対して被監視対象時刻源5C1が接続されている場合でも、それぞれの光ファイバ2Z1および光ファイバ2Z2それぞれに共通の時刻源5C3を利用して標準時刻源30Aおよび被監視対象時刻源5C1間の時刻差を求めることができる。
この結果、複数の光ファイバの一方に標準時刻源、他方に他の複数の光ファイバに複数の被監視対象時刻源がそれぞれ接続されている場合であっても、上記複数の被監視対象時刻源から供給される時刻の正確性を維持することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る時刻差計測装置1を既設の通信網に適用した場合について説明する。
(実施例1)
図17は、SONET(Synchronous Optical NETwork)/SDH(Synchronous Digital Hierarchy)(以下、単にSDHと記載する)プロトコル、すなわち、光ファイバを用いたデータ通信プロトコルに基づくデータ通信が行われる一対のSDH網50a1、50a2を示しており、この一対のSDH網50a1、50a2上には、オーバヘッド書込装置52a1、52a2を介して時刻供給装置54a1、54a2がそれぞれ設置されており、この時刻供給装置54a1、54a2(オーバヘッド書込装置52a1、52a2)が第1の実施の形態における時刻供給装置6A、6Bに対応する。また、上記時刻供給装置54a1、54a2(オーバヘッド書込装置52a1、52a2)で区切られた区間{SDH網50a1、50a2、このSDH網50a1、50a2に波長合分波器56a1、56a2を介して接続されたWDM網(波長分割多重網)58a1、58a2、およびWDM網58a1、58a2を接続する波長合分波器60a1、60a2および光ファイバ62で構成される区間)が第1の実施の形態における光ファイバ2に対応する。
オーバヘッド書込装置52a1および時刻供給装置54a1は、標準時刻運用機関64a1(第1の実施の形態における標準時刻運用機関31Aに対応)に搭載されており、この標準時刻運用機関64a1には、標準時刻源30AおよびIPルータ68a1がそれぞれ搭載されている。
SDH網50a1には、第1実施形態と同様に光タップ3Aが接続されており、標準時刻運用機関64a1には、上記光タップ3Aに接続された時刻差計測装置1Aが搭載されている。
同様に、オーバヘッド書込装置52a2および時刻供給装置54a2は、標準時刻運用機関64a2(第1の実施の形態における標準時刻運用機関31Bに対応)に搭載されており、この標準時刻運用機関64a2には、標準時刻源30BおよびIPルータ68a2がそれぞれ搭載されている。
SDH網50a2には、第1実施形態と同様に、光タップ3Bが接続されており、標準時刻運用機関64a2には、上記光タップ3Bに接続された時刻差計測装置1Bが搭載されている。
一方、上記区間内の一方のSDH網50a1には、第1実施形態と同様に光タップ3C10〜3C12がそれぞれ設置されており、この光タップ3C10〜3C12には、第1実施形態の時刻差計測装置1に対応する時刻差計測装置1C10〜1C13がそれぞれ接続されている。
時刻差計測装置1C10〜1C13の内、時刻差計測装置1C10は、第1実施形態における監査機関35に相当する監視監査サイト(コンピュータシステム)70に搭載されている。また、時刻差計測装置1C11および1C12には、それぞれ被監視対象時刻源であるISDN時計5C11および5C12がそれぞれ接続されている。
一方、時刻差計測装置1C13は、図1に示す時計機能23、時計監視機能24により時刻源として動作するものである。
同様に、上記区間内の他方のSDH網50a2には、第1実施形態と同様に光タップ3C20〜3C23がそれぞれ設置されており、この光タップ3C20〜3C23には、第1実施形態の時刻差計測装置1に対応する時刻差計測装置1C20〜1C23がそれぞれ接続されている。
時刻差計測装置1C20には、被監視対象時刻源であるGPS5C20が接続されており、時刻差計測装置1C21には、被監視対象時刻源であるISDN時計5C21が接続されている。また、時刻差計測装置IC22には、被監視対象時刻源であるISDN時計5C22が接続され、さらに、時刻差計測装置IC23には、被監視対象時刻源である自営時刻源5C23が接続されている。
一方、光ファイバ62から光タップ3C24を介して時刻差計測装置1C24が接続されており、この時刻差計測装置1C24は、図1に示す時計機能23、時計監視機能24により時刻源として動作するものである。
なお、ISDN時計5C11、5C12、5C21、5C22は、管理用ISDN時計サーバ65に接続されている。
次に、本実施例の動作について説明する。
図17に示すように、SDH網50a1、50a2に接続された各時刻差計測装置1A、1B、1C10〜1C13および1C20〜1C24は、基本回線周波数に同期してSDH網を伝送される光信号(SDHフレーム)から上記基本回線周波数を取り出し、この基本回線周波数によりカウンタ11を動作させる。
時刻供給装置54a1〜54a2間の通信(第1〜第4の実施の形態で説明した時刻供給装置からの時刻計測命令、カウンタ値等の通信)には、IPルータ68a1、68a2を介してSDH回線50a1、50a2を利用するユーザのデータ通信に影響を及ぼさないように、SDHフレーム(SONET/SDHフレーム)SFのオーバヘッド(多重化前フレームであれば、セクションオーバヘッド:SOH、また多重化後フレームであれば、パスオーバーヘッド:POH)部分を用いて行う。
すなわち、オーバヘッド書込装置52a1、52a2は、時刻供給装置54a1および54a2間において通信に利用するSDHフレームにおけるセクションオーバヘッド/パスオーバヘッドの特定パスをスイッチして、そのスイッチしたパスの両端に時刻供給装置54a1、54a2を設置可能とする。
この構成により、IPルータ68a1、68a2間の通信といった、SDH回線ユーザのデータ通信に影響を及ぼさないように時刻計測・監視を行うことができる。
本実施例においても、各時刻差計測装置1C10〜1C13および1C20〜1C24は、第1の実施の形態における図3〜図6に示す処理を時刻供給装置54a1、54a2および時刻差計測装置1A、1Bと共に実行することにより、各時刻差計測装置1C10〜1C13および1C20〜1C24は、接続された被監視対象時刻源5C10〜5C12、5C20〜5C23、あるいは装置自体の時計の標準時刻源30A、30Bの時刻に対する時刻差を表すデータを取得することが可能になる。
なお、本実施例では、回線供給者がSDH網同期用クロックを供給することを前提としているが、図7と同様に、例えば標準時刻運用機関64aの時刻供給装置54a2クロックを入力し、この時刻供給装置54a2が網クロックを供給することも可能であり、この場合には、ダークファイバの利用も可能となる。
なお、各時刻供給装置が、その取得した時刻差データを図示しない計測結果集計装置へ送信する際には、上記SDH網以外の通信網を介して、例えばNTPといったインターネットプロトコルの利用や、SSLを利用して送信することができる。
(実施例2)
図18は、二対のSDH(Synchronous Digital Hierarchy)網50a1、50a2および50a3、50a4を示しており、一方の一対のSDH網50a1および50a2それぞれに2組のオーバヘッド書込装置52a1、52a2および52a3、52a4が互いに間隔を空けて対向するように設置されている。さらに、SDH網50a1および50a2それぞれには、2組のオーバヘッド書込装置52a1、52a2および52a3、52a4を挟んで2組のIPルータ68a1、68a2および68a3、68a4がそれぞれ設置されている。
そして、SDH網(接続用光ファイバ)50a3はオーバヘッド書込装置52a1および52a3それぞれに接続されており、また、オーバヘッド書込装置52a2および52a4は、SDH網(接続用光ファイバ)50a4によりそれぞれ接続されている。
このSDH網50a1〜50a4およびオーバヘッド書込装置52a1〜52a4で区切られた区間が第2の実施の形態におけるループ状光ファイバ2Xに対応し、ループ状SDH網の一部である接続用光ファイバ50a3の一端部は、第2の実施の形態における時刻供給装置6Aに相当する時刻供給装置54に接続されている。
時刻供給装置54は、標準時刻運用機関64(第2の実施の形態における標準時刻運用機関31Aに対応)に搭載されており、この標準時刻運用機関64には、標準時刻源30Aが搭載されている。
SDH網50a3には、第2実施形態と同様に光タップ3Aが接続されており、標準時刻運用機関64には、上記光タップ3Aに接続された時刻差計測装置1Aが搭載されている。
一方、区間内のSDH網50a1には、第2実施形態と同様に光タップ3C30〜3C31がそれぞれ設置されており、この光タップ3C30〜3C31には、第2実施形態の時刻差計測装置1に対応する時刻差計測装置1C30〜1C31がそれぞれ接続されている。
時刻差計測装置1C30および1C31には、それぞれ被監視対象時刻源であるGPS5C31およびISDN時計5C32がそれぞれ接続されている。
同様に、上記区間内のSDH網50a2には、光タップ3C32〜3C33がそれぞれ設置されており、この光タップ3C32〜3C33には、第1実施形態の時刻差計測装置1に対応する時刻差計測装置1C32〜1C33がそれぞれ接続されている。
時刻差計測装置1C32および1C33には、それぞれ被監視対象時刻源であるGPS5C32および自営時刻源5C33がそれぞれ接続されている。
さらに、上記区間内のSDH網50a4には、光タップ3C34〜3C35がそれぞれ設置されており、この光タップ3C34〜3C35には、第2実施形態の時刻差計測装置1に対応する時刻差計測装置1C34〜1C35がそれぞれ接続されている。
時刻差計測装置1C34には被監視対象時刻源であるISDN時計5C34が接続されている。
また、時刻差計測装置1C35は、第2実施形態における監査機関35に相当する監視監査サイト(コンピュータシステム)70に搭載されており、図1に示す時計機能23、時計監視機能24により時刻源として動作するものである。
次に、本実施例の動作について説明する。
図18に示すように、SDH網50a1〜50a4に接続された各時刻差計測装置1A、1C30〜1C35は、基本回線周波数に同期してSDH網を伝送される光信号(SDHフレーム)から上記基本回線周波数を取り出し、この基本回線周波数によりカウンタ11を動作させる。
実施例1と同様に、オーバヘッド書込装置52a1〜52a4は、通信に利用するSDHフレームのセクションオーバヘッド/パスオーバヘッドの特定パスをスイッチして、そのスイッチしたループ状の特定パスを構築している。
この構成により、IPルータ68a1〜68a4間の通信に影響を及ぼさないように時刻計測・監視を行うことができる。
本実施例においても、各時刻差計測装置1C30〜1C35は、第2の実施の形態における図8〜図9に示す処理を時刻供給装置54および時刻差計測装置1Aと共に実行することにより、各時刻差計測装置1C30〜1C35は、接続された被監視対象時刻源5C30〜5C34、あるいは装置自体の時計の標準時刻源30Aの時刻に対する時刻差を表すデータを取得することが可能になる。
なお、本実施例では、回線供給者がSDH網同期用クロックを供給することを前提としているが、図11と同様に、時刻供給装置54にクロックを入力し、この時刻供給装置54が網クロックを供給することも可能である。この場合には、オーバヘッド書込装置を用いずにダークファイバによりループ状の構成を構築することも可能である。
(実施例3)
図19は、SDH(Synchronous Digital Hierarchy)網50a1を示しており、このSDH網50a1には、オーバヘッド書込装置52a1および52a2が間隔を空けて設置されている。さらに、一方のオーバヘッド書込み装置50a2には、一対のSDH網50a2(接続用光ファイバ)が接続されており、この一対のSDH50a2の先端が短絡装置40に接続されている。
SDH網50a1には、オーバヘッド書込装置52a1、52a2を挟んでIPルータ68a1および68a2がそれぞれ設置されている。
そして、オーバヘッド書込装置52a1には、接続用光ファイバ50a3が接続され、この接続用光ファイバ50a3が第3の実施の形態における時刻供給装置6Aに相当する時刻供給装置54に接続されており、時刻供給装置6A、接続用光ファイバ50a3、オーバヘッド書込装置52a1、SDH網50a1、オーバヘッド書込装置52a2、SDH網50a2および短絡装置40により区切られた区間を構成している。
時刻供給装置54は、標準時刻運用機関64(第3の実施の形態における標準時刻運用機関31Aに対応)に搭載されており、この標準時刻運用機関64には、標準時刻源30Aが搭載されている。
接続用光ファイバ50a3には、第3実施形態と同様に光タップ3Aが接続されており、標準時刻運用機関64には、上記光タップ3Aに接続された時刻差計測装置1Aが搭載されている。
一方、区間内のSDH網50a1には、第2実施形態と同様に光タップ3C30〜3C31がそれぞれ設置されており、この光タップ3C30〜3C31には、第2実施形態の時刻差計測装置1に対応する時刻差計測装置1C30〜1C31がそれぞれ接続されている。
時刻差計測装置1C30および1C31には、それぞれ被監視対象時刻源であるGPS5C31およびISDN時計5C32がそれぞれ接続されている。
同様に、上記区間内のSDH網50a2には、光タップ3C32〜3C33がそれぞれ設置されており、この光タップ3C32〜3C33には、第1実施形態の時刻差計測装置1に対応する時刻差計測装置1C32〜1C33がそれぞれ接続されている。
時刻差計測装置1C32および1C33には、それぞれ被監視対象時刻源であるGPS5C32および自営時刻源5C33がそれぞれ接続されている。
さらに、上記区間内のSDH網50a4には、光タップ3C34〜3C35がそれぞれ設置されており、この光タップ3C34〜3C35には、第2実施形態の時刻差計測装置1に対応する時刻差計測装置1C34〜1C35がそれぞれ接続されている。
時刻差計測装置1C34には被監視対象時刻源であるISDN時計5C34が接続されている。
また、時刻差計測装置1C35は、第2実施形態における監査機関35に相当する監視監査サイト(コンピュータシステム)70に搭載されており、図1に示す時計機能23、時計監視機能24により時刻源として動作するものである。
一方、上記区間内のSDH網50a1には、第3実施形態と同様に光タップ3C40〜3C42がそれぞれ設置されており、この光タップ3C40〜3C42には、第3実施形態の時刻差計測装置1に対応する時刻差計測装置1C40〜1C43がそれぞれ接続されている。
時刻差計測装置1C40および1C42には、それぞれ被監視対象時刻源であるGPS5C40およびISDN時計5C42がそれぞれ接続されている。
また、時刻差計測装置1C41は、第3実施形態における監査機関35に相当する監視監査サイト(コンピュータシステム)70に搭載されており、図1に示す時計機能23、時計監視機能24により時刻源として動作するものである。
さらに、上記区間内のSDH網50a2には、光タップ3C43が設置されており、この光タップ3C43には、第1実施形態の時刻差計測装置1に対応する時刻差計測装置1C43が接続されている。
時刻差計測装置1C43には、被監視対象時刻源である自営時刻源5C43が接続されている。
次に、本実施例の動作について説明する。
図19に示すように、SDH網50a1〜50a3に接続された各時刻差計測装置1A、1C40〜1C43は、基本回線周波数に同期してSDH網を伝送される光信号(SDHフレーム)から上記基本回線周波数を取り出し、この基本回線周波数によりカウンタ11を動作させる。
実施例1および2と同様に、オーバヘッド書込装置52a1および52a2は、通信に利用するSDHフレームのセクションオーバヘッド/パスオーバヘッドの特定パスのみを短絡装置40により短絡し、その短絡したループとして特定パスを構築している。
この構成により、IPルータ68a1〜68a2間の通信に影響を及ぼさないように時刻計測・監視を行うことができる。
本実施例においても、各時刻差計測装置1C40〜1C43は、第3の実施の形態における図14〜図15に示す処理を時刻供給装置54および時刻差計測装置1Aと共に実行することにより、各時刻差計測装置1C40〜1C43は、接続された被監視対象時刻源5C40、5C42〜5C43、あるいは装置自体の時計の標準時刻源30Aの時刻に対する時刻差を表すデータを取得することが可能になる。
なお、本実施例では、回線供給者がSDH網同期用クロックを供給することを前提としているが、図11と同様に、時刻供給装置54にクロックを入力し、この時刻供給装置54が網クロックを供給することも可能である。この場合には、オーバヘッド書込装置を用いずに一対のダークファイバにより、その一対のファイバ先端を短絡したループ状の構成とすることも可能である。
また、上述した実施例1〜3において、時刻計測命令等の情報の書込み、および周波数情報の取得をOTN(Optical Transport Protocol)を利用して行う場合には、デジタルクライアントのレイヤにSDHを利用し、カウンタ駆動用の周波数は、OTNのレイヤから取得した回線周波数に基づいて生成し、上記時刻計測命令等の情報の書込み・取得、および周波数情報の書込み・取得に関しては、デジタルラッパによるフレームフォーマットのオーバヘッド部を利用することが可能である。
さらに、上述した第1〜第4の実施の形態および実施例1〜3において、光ファイバ上を伝送される信号が所定周期の複数の光パルス列として構成された光信号として伝送される場合には、上述した各実施の形態の全ての時刻差計測装置において相関検波によりタイミングの抽出を行うことができる。このタイミングは、カウンタを駆動する周波数となるタイミングと、時刻計測命令の受信タイミングとからなり、異なる波形を用いて両者を区別することができる。
例えば、光ファイバ上を伝送される光信号の複数の光パルス列を、少なくとも基準周波数用パルス列および基準周波数用以外の情報用パルス列から成り、情報用パルス列内に時刻計測命令用のパルス列を含むように構成しておく。
一方、光ファイバ上には、光信号の複数の光パルス列の数および周期に一致するように複数の光タップが接続されており、光ファイバ上を伝送される信号は、その複数の光タップを介して同一の時刻差計測装置に対してそれぞれ取り出されるようになっている。
このとき、各時刻差計測装置は、基準周波数用パルス列に対応(パルス数、パルス間隔が一致)し、上記基準周波数同期用として予め定められた第1の同期用パルス波形を表す第1のパルス波形情報と、基準周波数用パルス列に対応(パルス数、パルス間隔が一致)し、上記時刻計測命令同期用として予め定められた第2のパルス波形情報とを予め保存している。
このとき、光ファイバ上を伝送され複数の光タップを介して光信号がタップされた際に、各時刻差計測装置は、タップされた光信号における基準周波数用パルス列のパルス波形と保存された第1のパルス波形情報との相関検波を行い、例えば、基準周波数用パルス列のパルス波形と第1のパルス波形情報とが一致する結果が得られた場合に、各時刻差計測装置は、図3のステップS2に対応するカウンタ駆動処理として、基準周波数用パルス列の周期に同期させてカウンタを同期駆動させることができる。
また、各時刻差計測装置は、タップされた光信号における情報用パルス列内の時刻計測命令用パルス列のパルス波形と保存された第2のパルス波形情報との相関検波を行い、例えば、時刻計測命令用パルス列のパルス波形と第2のパルス波形情報とが一致する結果が得られた場合に、各時刻差計測装置は、図3のステップS12に対応するカウンタ値読取処理として、その波形一致タイミングでカウンタ11のカウンタ値を受信タイミング信号として読取ることができる。
すなわち、光ファイバ上をSDHフレームのようなフレーム単位の同期信号ではなく、非同期の光信号が伝送されている場合であっても、その光信号内のパルス波形周期に相当する複数の光タップ列により取り出された光信号に対する相関検波を行うことにより、光信号内のビット/バイト列からカウンタ駆動周波数や時刻計測命令を取り出すことができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態、実施例および変形例に限定されるものではなく、本発明に属する範囲内において、上記実施の形態、実施例および変形例を様々に変形して実施することが可能である。