本発明の一実施形態の車両の走行安全装置を図面を参照して以下に説明する。
図1は、本実施形態が適用される車両100を示すもので、この車両100は、エンジン101の駆動力がトランスミッション102を介して伝達される駆動輪である左右の前輪103と、従動輪である左右の後輪104とを有する。
また、車両100は、乗員により操作されるブレーキペダル106と、ブレーキペダル106に連結される電子制御負圧ブースタ107と、電子制御負圧ブースタ107に連結されるマスタシリンダ108とを有している。ここで、電子制御負圧ブースタ107は、ブレーキペダル106に入力された乗員の踏力を機械的に倍力してマスタシリンダ108を作動させる一方、ブレーキペダル106の操作によらずに制御装置110からの信号によりマスタシリンダ108を作動させる。また、マスタシリンダ108は、電子制御負圧ブースタ107からの出力に応じて液圧を発生させる。
さらに、車両100は、マスタシリンダ108から導入された液圧によって車輪103,104に制動力を発生させて車両100を減速させるブレーキキャリパ111と、ブレーキキャリパ111とマスタシリンダ108との間に設けられてマスタシリンダ108から出力される液圧を制御装置110の制御によって調整する圧力調整器112とを有している。
加えて、車両100は、前端部に設けられ前方に発信した例えばミリ波の物体からの反射波を受信することで車両進行方向前方の車両を含む物体を検知するレーダ(物体検知手段)114と、各車輪103,104に対応する位置に設けられて各車輪103,104の回転パルスから車両の速度等を検出する車体速度センサ(車速検出手段)115と、乗員によるブレーキペダル106の操作の有無を検出するブレーキスイッチ(ブレーキ操作検出手段)116と、乗員によるブレーキペダル106の操作ストロークを検出するストロークセンサ(ブレーキ操作検出手段)117と、前端部に設けられて衝突を検出するクラッシュセンサ(衝突センサ)49と、図3に示すシートベルト装置15のシートベルト14の着用の有無を検出するバックルスイッチ45と、インストルメントパネルのメータ表示装置47内に設けられたワーニングランプ48とを有しており、これらは図2に示すように制御装置110に接続されている。
なお、図1に示す電子制御負圧ブースタ107、マスタシリンダ108およびブレーキキャリパ111で、車両100の制動力を制御して自動的に車両100を減速させる自動ブレーキ装置120が構成されており、図2に示すように、この自動ブレーキ装置120と、自動的にシートベルト14の締め付けおよび締め付け解除を行うシートベルト装置15と、車両100の各部に配置されるエアバッグ装置121とで安全装置122が構成されている。また、この安全装置122と上記したレーダ114と車体速度センサ115とブレーキスイッチ116とストロークセンサ117とクラッシュセンサ49とバックルスイッチ45とワーニングランプ48と制御装置110とで本実施形態の走行安全装置123が構成されている。
制御装置110は、レーダ114の検出結果、具体的にはミリ波の発信・受信の時間から自車と車両進行方向前方の物体との距離を含む相対関係を算出するとともに、この算出した相対関係に基づいて自車と進行方向前方の物体との接触の可能性の有無を判定し、自車と進行方向前方の物体との接触の可能性有りと判定した場合に、車両に設けられた自動ブレーキ装置120とシートベルト装置15とエアバッグ装置121とで構成される安全装置122の作動を制御するものである。
車両100には、図3に示すように、乗員10の主として臀部を支承するシートクッション11と乗員10の主として背中を支承するシートバック12とを備えたシート13が設けられており、このシート13に対して、乗員10をシートベルト14によって拘束するシートベルト装置15が設けられている。シートベルト装置15はいわゆる3点式のもので運転者のシート13に設けられるものである。なお、シートベルト装置15は運転者は勿論、運転者以外の乗員のシートにも設けられる。
シートベルト装置15は、そのシートベルト14のウェビング21が、シート13に対し車室外側の図示せぬセンタピラー等に設けられたリトラクタ20から上方に延出してセンタピラーの上部に支持されたスルーアンカ22に挿通されるとともに、このウェビング21の先端がシート13に対し車室外側のアウタアンカ23を介して車体フロア側に取り付けられている。シートベルト14は、ウェビング21のスルーアンカ22とアウタアンカ23との間に位置する部分を挿通させるタングプレート25を有しており、このタングプレート25は、シート13に対し車体内側の車体フロア側に取り付けられたバックル26に着脱自在とされている。
そして、シート13に着席した状態の乗員10がタングプレート25を引くことでシートベルト14をリトラクタ20から引き出し、タングプレート25をバックル26に取り付けると、シートベルト14はそのスルーアンカ22からタングプレート25までの部分が乗員10の主として肩から胸をシート13に対し反対側で拘束し、タングプレート25からアウタアンカ23までの部分が乗員10の主として腹部をシート13に対し反対側で拘束する。
リトラクタ20には、火薬を用いた爆発的な力でシートベルト14を瞬時に引き込んで締め付ける不可逆的な第1プリテンショナ(不可逆的シートベルト締付装置)28が設けられている。第1プリテンショナ28は、火薬式、バネ式等である。
また、リトラクタ20には、電動モータ29の駆動力でシートベルト14を引き込んで締め付ける可逆的な第2プリテンショナ30が設けられている。つまり、第2プリテンショナ30は、リトラクタ20内でウェビング21を巻き取るリール31を電動モータ29の正転で強制的に正転させることでシートベルト14を巻き取って締め付け方向に引き込む一方、リール31を電動モータ29の逆転で強制的に逆転させることでシートベルト14を締め付け解除方向に繰り出すようになっている。
そして、上記電動モータ29にはその駆動を制御するための制御装置110の一部である電動シートベルト制御ユニット(安全装置作動制御手段)35が接続されている。この電動シートベルト制御ユニット35は、車両の前方の物体への衝突有りが予測される際に予めシートベルト14の弛みを除去して乗員10を拘束するとともにシートベルト14の着用が解除された場合にこれを自動的にリトラクタ20に巻き取るように電動モータ29を制御するもので、車内LANの接続バス36に接続されている。
この接続バス36には、車両の挙動安定化を制御する車両挙動安定化制御システムを制御する制御ユニットであって制御装置110の一部であるブレーキ制御ユニット(安全装置作動制御手段)38と、車両を先行車に追従させながら走行させる先行車追従制御システムを制御する制御ユニットであって制御装置110の一部であるレーダ制御ユニット(相対関係算出手段,安全装置作動制御手段)39と、制御装置110の一部である車速検知ユニット40とが接続されている。
また、電動シートベルト制御ユニット35には、シートベルト補助拘束装置であるエアバッグ装置121の作動を制御する制御装置110の一部であるエアバッグ制御ユニット(安全装置作動制御手段)43が接続されている。
ブレーキ制御ユニット38は、例えば、ブレーキ操作速度センサである上記したストロークセンサ117の出力に基づいてブレーキペダル106の踏み込み速度が予め設定された所定速度より速く緊急ブレーキ操作であると判定した場合に、車両の前方の物体との衝突有りを予測して、ブレーキアシスト制御を行うことになるが、ブレーキアシスト制御の実行中にBA信号を電動シートベルト制御ユニット35に出力する。なお、ブレーキ制御ユニット38は、ブレーキペダル106の踏み込み速度が予め設定された所定速度より速くない場合は、車両の衝突無しを予測する。この場合、BA信号を出力しない。
先行車追従制御システムは、車両進行方向前方の物体(例えば先行車両)を検出するミリ波レーダ等の上記したレーダ114を有しており、このレーダ114で前方の物体を検出しこのレーダ114の検出信号に基づいてレーダ制御ユニット39が自動ブレーキ装置120のブレーキ液圧制御装置である上記した電子制御負圧ブースタ107を制御して車両100の制動力を制御するとともに図示せぬスロットルアクチュエータを制御して加減速を制御して先行車両に所定の車間距離を保持しつつ追従する先行車追従制御や、レーダ114で前方の物体を検出し、このレーダ114の検出信号に基づいて先行の物体との距離が予め設定された所定値内にあると、車両100の衝突有りを予測して、自動ブレーキ装置120のブレーキ液圧制御装置である電子制御負圧ブースタ107を制御し制動力を発生させて前方の物体への追突の被害を軽減させる自動ブレーキ制御等を行う。なお、レーダ制御ユニット39は、例えば、レーダ114の検出信号に基づいて前方の物体との距離が所定値内にない状態では車両の衝突無しを予測する。
ここで、レーダ制御ユニット39は、例えば、レーダ114で前方の物体を検出し、このレーダ114の検出信号に基づいて前方の物体との距離が所定値内に縮まると、車両100の衝突有りを予測して上記した自動ブレーキ制御を行うことになるが、この物体と車両100との相対速度差等からこの物体が静止物体であるか移動物体であるかを判断する。つまり、車両進行方向前方の静止物体との衝突の有無を予測するとともに、車両進行方向前方の移動物体との衝突の有無を予測する。
そして、自動ブレーキ制御において、レーダ制御ユニット39は、衝突有りが予測される物体が静止物体であると判断すると、自動ブレーキ制御の実行中に、静止物体との衝突有りが予測される状態にあることを示す予測信号である静止物体信号を電動シートベルト制御ユニット35に出力する。他方、衝突有りが予測される物体が移動物体であると判断すると、自動ブレーキ制御の実行中に移動物体との衝突有りが予測される状態にあることを示す予測信号である移動物体信号を電動シートベルト制御ユニット35に出力する。なお、自動ブレーキ制御実行中でなければレーダ制御ユニット39は、静止物体信号および移動物体信号のいずれも出力しない。
なお、車速検知ユニット40からは、車体速度センサ115からの車速信号が電動シートベルト制御ユニット35に出力され、またブレーキスイッチ116がオンされているときにブレーキ信号が電動シートベルト制御ユニット35に出力される。
エアバッグ制御ユニット43には、シートベルト装置15のシートベルト14のタングプレート25がバックル26に係合されているか否か、つまりシートベルト14が着用されているか否かを検出するバックルスイッチ45が接続されている。さらにエアバッグ制御ユニット43にはインストルメントパネルのメータ表示装置47内に設けられたワーニングランプ48が接続されている。加えて、エアバッグ制御ユニット43には、車両の衝突を検知するクラッシュセンサ49が接続されている。
そして、エアバッグ制御ユニット43は、タングプレート25がバックル26に係合されるとバックルスイッチ45から出力される一方、タングプレート25のバックル26への係合が解除されるとバックルスイッチ45からの出力が停止されるバックル信号と、クラッシュセンサ49の検出信号とから、各エアバッグ装置121および火薬式の第1プリテンショナ28の作動等を制御する。
そして、本実施形態のシートベルト装置15の電動シートベルト制御ユニット35は、図4に示すように、シートベルト14を締め付ける方向である正転およびシートベルト14の締め付けを解除する方向である逆転を所定の時間内において交互に所定の複数回(具体的には三回)繰り返すように第2プリテンショナ30の電動モータ29を駆動することによりシートベルト14によって乗員10に警報を発する警報作動を行う。
具体的に、この警報作動における正転および逆転の1回目は、電動モータ29の正転の駆動時間(図4におけるt01〜t02)が所定の第1正転駆動時間(例えば100ms)とされ、電動モータ29の逆転の駆動時間(図4におけるt03〜t04)が所定の第1逆転駆動時間(例えば50ms)とされて、第1正転駆動時間が第1逆転駆動時間より長く設定されている。また、正転および逆転の間の停止時間(図4におけるt02〜t03)が所定の第1停止時間(例えば10ms)と短くされている。
正転および逆転の1回目に対し所定の休止時間(例えば150ms)をあけて実行される正転および逆転の2回目は、電動モータ29の正転の駆動時間(図4におけるt05〜t06)が所定の第2正転駆動時間(例えば100ms)とされ、電動モータ29の逆転の駆動時間(図4におけるt07〜t08)が所定の第2逆転駆動時間(例えば50ms)とされて、第2正転駆動時間が第2逆転駆動時間より長く設定されている。また、正転および逆転の間の停止時間(図4におけるt06〜t07)が所定の第2停止時間(例えば10ms)と短くされている。つまり、正転および逆転の2回目は、正転および逆転の1回目と同じ長さに、正転の駆動時間と逆転の駆動時間と正転および逆転の間の停止時間とが設定されている。
正転および逆転の2回目に対し所定の休止時間(例えば150ms)をあけて実行される正転および逆転の3回目は、電動モータ29の正転の駆動時間(図4におけるt09〜t10)が所定の第3正転駆動時間(例えば100ms)とされ、電動モータ29の逆転の駆動時間(図4におけるt11〜t12)が所定の第3逆転駆動時間(例えば100ms)とされて、第3正転駆動時間と第3逆転駆動時間とが同じに設定されている。また、正転および逆転の間の停止時間(図4におけるt10〜t11)が所定の第3停止時間(例えば50ms)と長くされている。つまり、正転および逆転の3回目は、電動モータ29の正転の駆動時間および逆転の駆動時間が、1回目および2回目の正転の駆動時間と同じ長さに設定されており、正転および逆転の間の停止時間が1回目および2回目の停止時間よりも長く設定されている。
なお、1回目〜3回目のいずれにおいても、正転時の駆動電流は所定の第1駆動値(例えば3A)となるように制御され、逆転時の駆動電流は所定の第2駆動値(例えば逆向きの7A)となるように制御される。ここで、図4において、破線は電流値の制御目標であり、実線が実際の作動電流値である。
このような警報作動により、図5に示すように、シートベルト14の巻き取りつまり締め付け方向への駆動による張力の発生と、シートベルト14の繰り出しつまり締め付け解除方向への駆動による張力の発生解除とが所定時間内に交互に複数回繰り返されることになり、乗員10にシートベルト14を介して警報を発する。
そしてまた、シートベルト装置15の電動シートベルト制御ユニット35は、車両の衝突の有無を予測するブレーキ制御ユニット38およびレーダ制御ユニット39の予測結果に応じて電動モータ29を制御してシートベルト14に張力を発生させる締付作動を行う。なお、電動シートベルト制御ユニット35は、レーダ制御ユニット39による車両進行方向前方の静止物体との衝突有りが予測されると判断される静止物体衝突有り予測判断時点(つまり静止物体信号の発生時点)、レーダ制御ユニット39による車両進行方向前方の移動物体との衝突有りが予測されると判断される移動物体衝突予測有判断時点(つまり移動物体信号の発生時点)、およびブレーキ制御ユニット38によるブレーキペダルの操作速度から衝突有りが予測されると判断されるブレーキ操作衝突有り予測判断時点(つまりBA信号の発生時点)のうちのいずれか早い判断時点で締付作動を行う。
しかも、電動シートベルト制御ユニット35は、ブレーキ制御ユニット38による衝突有り予測の予測結果と、レーダ制御ユニット39による複数の衝突有り予測の予測結果とでそれぞれ異なる張力をシートベルト14に発生させる。具体的には、レーダ制御ユニット39による車両進行方向前方の静止物体との衝突有りが予測される静止物体衝突有り予測時の張力F3よりも、レーダ制御ユニット39による車両進行方向前方の移動物体との衝突有りが予測される移動物体衝突有り予測時の張力F2およびブレーキ制御ユニット38によるブレーキペダル106の操作速度から衝突有りが予測されるブレーキ操作衝突有り予測時の張力F1の方が、大きくなるように電動モータ29を制御する。
例えば、ブレーキ操作衝突有り予測時には張力F1として第1所定値(例えば100N)をシートベルト14に発生させるべく電動モータ29の電流値を第1所定範囲(例えば10〜20A)になるように制御する。また、移動物体衝突有り予測時には張力F2として第2所定値(例えば100N)をシートベルト14に発生させるべく電動モータ29の電流値を第2所定範囲(例えば10〜20A)になるように制御する。さらに、静止物体衝突有り予測時には張力F3として第3所定値(例えば50N)をシートベルト14に発生させるべく電動モータ29の電流値を第3所定範囲(例えば6〜10A)になるように制御する。この例では、張力F1としての第1所定値と張力F2としての第2所定値とが等しく設定され、その結果、電流値の第1所定範囲および第2所定範囲も等しく設定されている。
加えて、電動シートベルト制御ユニット35は、静止物体衝突有り予測時、移動物体衝突有り予測時およびブレーキ操作衝突有り予測時のいずれの場合の締付作動においても、電動モータ29を制御してシートベルト14に乗員10を拘束可能な張力を発生させる際の初期に、電動モータ29の電流値を一時的に高めるようになっている。つまり、電動モータ29の回転開始直後の所定時間は、締付作動で設定された張力を発生させる際の電流制限よりも電流制限を高くする。
具体的に、ブレーキ操作衝突有り予測時においては、図6にt21〜t22で示すように、電動モータ29の回転開始直後の所定の第1初期時間(例えば50ms)は、電流制限を所定の第1初期制限値(例えば20A)とする一方、その後の電流制限を第1初期制限値より低い所定の第1制限値(例えば10A)とする。また、移動物体衝突有り予測時においては、図6にt21〜t22で示すように、電動モータ29の回転開始直後の所定の第2初期時間(例えば50ms)は、電流制限を所定の第2初期制限値(例えば20A)とする一方、その後の電流制限を第2初期制限値より低い所定の第2制限値(例えば10A)とする。さらに、静止物体衝突有り予測時においては、図7にt31〜t32で示すように、電動モータ29の回転開始直後の所定の第3初期時間(例えば50ms)は、電流制限を所定の第3初期制限値(例えば10A)とする一方、その後の電流制限を第3初期制限値より低い所定の第3制限値(例えば6A)とする。この例では、張力F1としての第1所定値と張力F2としての第2所定値とは等しいため、第1初期制限値と第2初期制限値とが等しく設定されるとともに、第1制限値と第2制限値とが等しく設定されている。ここで、図6および図7において、破線は電流値の制御目標であり、実線が実際の作動電流値である。
なお、静止物体衝突有り予測時の張力F3よりも、移動物体衝突有り予測時の張力F2を大きくするとともに、移動物体衝突有り予測時の張力F2よりもブレーキ操作衝突有り予測時の張力F1を大きくするように電動モータ29を制御しても良い(つまり、F3<F2<F1)。
つまり、電動シートベルト制御ユニット35は、ストロークセンサ117で検出されブレーキ制御ユニット38から出力されるブレーキペダル106の操作に基づいて車両100と物体との接触の可能性の有無を判定することになり、運転者のブレーキ操作に基づいて接触の可能性有りと判定した場合には、レーダ制御ユニット39で算出した車両100と物体との距離に基づいて接触の可能性有りと判定した場合に対し優先してシートベルト装置15によるシートベルト14の締め付け張力を高くする。
この場合、例えば、静止物体衝突有り予測時には、電動モータ29の電流値の第3所定範囲が例えば6〜10Aになるように制御するとともに、移動物体衝突有り予測時には、電動モータ29の電流値の第2所定範囲が例えば10〜20Aになるように制御し、ブレーキ操作衝突有り予測時には、電動モータ29の電流値の第1所定範囲が例えば20〜25Aになるように制御する。この場合、上記した第1初期制限値も第2初期制限値より高く設定され、第1制限値も第2制限値より高く設定される。
以下、本実施形態の走行安全装置123の各作動のタイミングの一例を減速度の発生状況とともに図8を参照して時系列的に説明する。
レーダ制御ユニット39は、例えば、レーダ114で前方の物体(例えば前方車両)を検出し、このレーダ114の検出信号に基づいて前方の物体との距離が所定値内に縮まると、自動ブレーキ制御を開始する(図8におけるt41)とともに、前方の物体が静止物体である場合には静止物体信号を、移動物体である場合には移動物体信号を出力することになるが、その初期段階(図8におけるt41〜t42)では音声出力装置を駆動することにより前方の物体との距離が縮まったことを警報ブザー等の音声およびワーニングランプ48の点灯等のディスプレイ表示で乗員に警告する(一次警報)。つまり、前方の物体に衝突する可能性がある場合や、車間距離が短い場合に、音声と視覚表示とで乗員にこれを認知させ、回避操作を促す。なお、この初期段階で減速は行わない。
次に、この音声出力によっても前方の物体との距離が所定値内に縮まった状態が所定時間(例えば1秒)維持されていると、レーダ制御ユニット39は、ブレーキ液圧制御装置である電子制御負圧ブースタ107を制御し車両に所定の減速度が得られるように制動力を発生させて乗員に制動力が発生したことを減速度を体感させることで認識させる第1段階の減速度発生作動を行う(図8におけるt42〜t43)。
さらに、この減速度発生によっても前方の物体との距離が所定値内に縮まった状態が所定時間(例えば0.5秒)維持されていると、レーダ制御ユニット39は、自動ブレーキ装置120のブレーキ液圧制御装置である電子制御負圧ブースタ107を制御し車両にさらに高い所定の減速度が得られるように制動力を発生させて乗員に制動力が発生したことをさらに認識させる第2段階の減速度発生作動を行う(図8におけるt43〜t44)。
一方、レーダ制御ユニット39によって車両の前方の移動物体との衝突有りが予測される状態にあって自動ブレーキ制御が実行されている状態においては、電動シートベルト制御ユニット35が移動物体信号を受けることになるが、電動シートベルト制御ユニット35は、この移動物体信号に基づき、移動物体信号の入力開始から移動物体信号の入力状態が維持された状態で上記した減速度発生作動の開始を判断する同じ所定時間(例えば1秒)が経過すると(図8におけるt42)、バックルスイッチ45から出力されるバックル信号がエアバッグ制御ユニット43を介して入力されていることを条件に、シートベルト14を締め付ける方向である正転およびシートベルト14の締め付けを解除する方向である逆転を交互に複数回ずつ繰り返すように第2プリテンショナ30の電動モータ29を駆動することによりシートベルト14によって乗員に警報を発する警報作動を行う。
警報作動は、図4に示すように、電動モータ29を所定の第1正転駆動時間(例えば100ms)正転させ、所定の第1停止時間(例えば10ms)停止させた後、所定の第1逆転駆動時間(例えば50ms)逆転させ、所定の休止時間(例えば150ms)停止させる。続いて、所定の第2正転駆動時間(例えば100ms)正転させ、所定の第2停止時間(例えば10ms)停止させた後、所定の第2逆転駆動時間(例えば50ms)逆転させ、所定の休止時間(例えば150ms)停止させる。続いて、所定の第3正転駆動時間(例えば100ms)正転させ、所定の第3停止時間(例えば50ms)停止させた後、所定の第3逆転駆動時間(例えば100ms)逆転させる。
以上の警報作動により、図5に示すように、シートベルト14の巻き取りによる張力の発生つまり締め付けと、シートベルト14の繰り出しによる張力の発生解除つまり締め付け解除とが交互に繰り返されることになり、乗員にシートベルト14を介して警報を発する。なお、この警報作動は、上記した減速度発生作動とほぼ並行して行われるように設定されている(図8におけるt42〜t44)。ここで、この警報作動と並行してワーニングランプ48等により視覚的な警報を発生させたり、音声出力装置等により聴覚的に警報を発生させたり、さらに他の警報装置で警報を発生させたり、これらを組み合わせたりすることも可能である。
つまり、上記した一次警報の発生によっても、算出した相対関係に基づき車両100と物体との距離が所定距離内になった状態が所定時間維持されていると、一次警報発生時よりもさらに物体に接近したと判定して、警報ブザー等の音声およびワーニングランプ48の点灯等のディスプレイ表示に加えて、レーダ制御ユニット39が自動ブレーキ装置120によって軽いブレーキングを行って乗員に制動力が発生したことを認識させることが可能な減速度を発生させるとともに電動シートベルト制御ユニット35がシートベルト装置15によってシートベルト14の軽い締め付けおよび締め付け解除を交互に繰り返す(二次警報)。すなわち、一次警報発生時よりもさらに前方の物体に接近した場合に、音声と視覚表示とに加えて減速度とシートベルト14の締め付けで乗員にこれを認知させ、回避操作を促す。
上記のように、算出した相対関係に基づき車両100の物体との接触の可能性有りと判定した場合に、レーダ制御ユニット39と電動シートベルト制御ユニット35とが、自動ブレーキ装置120とシートベルト装置15とを並行して作動させることになる。
そして、減速度発生作動および警報作動を加えた二次警報を実行しても、前方の物体との距離が所定値内に縮まった状態が所定時間(例えば2秒)維持されていると、レーダ制御ユニット39は、ブレーキ液圧制御装置である電子制御負圧ブースタ107を制御し車両にさらに高い所定の減速度が得られるように制動力を発生させる緊急自動ブレーキ作動を行う(図8におけるt44以降)。
つまり、レーダ制御ユニット39は、算出した相対関係に基づき車両100と物体との距離が所定距離内となった状態が所定時間維持されると、自動ブレーキ装置120により、さらに高い減速度を発生させる。
一方、レーダ制御ユニット39から車両の前方の物体との衝突有りが予測される状態にあって自動ブレーキ制御実行中に出力される静止物体信号および移動物体信号のいずれか一方を受けている電動シートベルト制御ユニット35は、受けている静止物体信号および移動物体信号のいずれか一方に基づき、その信号の入力開始から入力状態が維持された状態で上記した緊急自動ブレーキ作動の開始を判断するのと同じ所定時間(例えば2秒)が経過したと判断する(図8におけるt44)と、電動モータ29を所定の正転時間(例えば1秒)正転させてシートベルト14を巻き取って締め付けた後に電動モータ29によりリトラクタ20を少なくとも所定の固定時間(例えば2秒)停止状態で固定する(つまり引き出し不可とする)締付作動を行って乗員10をシートベルト14でシート13に拘束する。
つまり、レーダ制御ユニット39で算出した相対関係に基づき車両100と物体との距離が所定距離内となった状態が所定時間維持されると、電動シートベルト制御ユニット35は、シートベルト装置15によるシートベルト14の締め付けを行った後、少なくとも所定時間シートベルト14を停止状態で固定する。
ここで、この締付作動において、静止物体信号が出力されている場合、つまり前方の静止物体との衝突有りが予測される静止物体衝突有り予測時には、電動モータ29の回転開始直後の所定の第3初期時間(例えば50ms)は、電流制限を所定の第3初期制限値(例えば10A)として電流値を一時的に高めてシートベルト14の弛みを即座に除去する一方、その後の電流制限を第3初期制限値より低い所定の第3制限値(例えば6A)として電流値を抑え、張力F3として第3所定値(例えば50N)をシートベルト14に発生させる。他方、締付作動において、移動物体信号が出力されている場合、つまり前方の移動物体(先行車両)との衝突有りが予測される移動物体衝突有り予測時には、電動モータ29の回転開始直後の所定の第2初期時間(例えば50ms)は、電流制限を所定の第2初期制限値(例えば20A)として電流値を一時的に高めてシートベルト14の弛みを即座に除去する一方、その後の電流制限を第2初期制限値より低い所定の第2制限値(例えば10A)として電流値を抑え、張力F2として第2所定値(例えば100N)をシートベルト14に発生させる。
つまり、上記した二次警報の発生によっても、算出した相対関係に基づき車両100と物体との距離が所定距離内になった状態が所定時間維持されていると、二次警報発生時よりもさらに前方の物体に接近し物体との接触回避が困難と判定して、警報ブザー等の音声およびワーニングランプ48の点灯等のディスプレイ表示に加えて、レーダ制御ユニット39が自動ブレーキ装置120によって強いブレーキングを行うとともに電動シートベルト制御ユニット35がシートベルト装置15によってシートベルト14の強い締め付けを行う。すなわち、二次警報発生時よりもさらに物体に接近した場合に、音声と視覚表示とを行うとともに大きな減速度を発生させて万が一の衝突時にもその被害を軽減させるようにし、さらに、シートベルト14の強い締め付けで自動ブレーキ装置120による減速度増大に伴う乗員の前方移動を抑制するとともに後述する不可逆的な第1プリテンショナ28による乗員拘束効果を高めるようにする。
その後、電動シートベルト制御ユニット35は、例えば、乗員によるブレーキ操作が行われてブレーキスイッチ116からブレーキ信号が出力された後(図8におけるt45)、ブレーキペダル106の操作が解除されブレーキスイッチ116からのブレーキ信号が停止されあるいは車体速度センサ115からの出力から車体速度が0となったことが判定されると、電動モータ29はリトラクタ20の停止状態での固定つまり締付作動を解除する。
つまり、ブレーキスイッチ116の検出結果に基づいて乗員によるブレーキ操作が行われた後ブレーキ操作が解除されたことが検出されたとき、および車体速度センサ115の検出結果に基づいて車両100の停止が検出されたときの少なくともいずれか一方において、電動シートベルト制御ユニット35は、シートベルト装置15によるシートベルト14の停止状態での固定を解除する。なお、図8における破線は乗員のブレーキ操作により生じる減速度分を示している。
また、走行中に、例えば、ブレーキ操作速度センサである上記したストロークセンサ117の出力に基づいてブレーキペダル106の踏み込み速度が予め設定された所定速度より速く緊急ブレーキ操作であると判定した場合に、ブレーキ制御ユニット38は、車両の前方の物体との衝突有りを予測して、ブレーキアシスト制御を行い、その結果、減速度が一気に高まることになるが(図8における二点鎖線)、このブレーキアシスト制御の実行中に電動シートベルト制御ユニット35は、レーダ制御ユニット39で算出した相対関係に基づいて行う上記締付作動に対し優先して上記締付作動を行って乗員10をシートベルト14でシート13に拘束する。
さらに、クラッシュセンサ49で車両の衝突を検出すると、エアバッグ制御ユニット43は、エアバッグ装置121を膨らませるとともに、火薬式の第1プリテンショナ28に点火してシートベルト14を即座に引き込ませて締め付ける。
つまり、エアバッグ制御ユニット43は、クラッシュセンサ49が車両の衝突を検出すると、エアバッグ装置121および不可逆的な第1プリテンショナ28の作動を制御する。
以上のように、自動ブレーキ装置120は、複数の異なる減速パターンで車両を減速させることが可能となっており、シートベルト装置15は、シートベルト14の締め付けおよび締め付け解除を複数の異なる作動パターンで行うことが可能となっている。なお、乗員が手動操作によって走行安全装置123を切ることができるスイッチが設けられている。
以上に述べた本実施形態の車両用の走行安全装置123によれば、レーダ制御ユニット39が、レーダ114の検知結果から車両100とその進行方向に存在する物体との距離を含む相対関係を算出すると、これに基づいて車両100と物体との接触の可能性の有無を判定する。そして、接触の可能性有りの場合に、レーダ制御ユニット39は、車両100に設けた安全装置122である自動ブレーキ装置120によって自動的に車両100を減速させるとともに、これに並行してシートベルト装置15によりシートベルト14の締め付けおよび締め付け解除を行う。このような自動ブレーキ装置120による減速で、乗員に減速力を体感させることになり、これに並行したシートベルト装置15によるシートベルト14の締め付けおよび締め付け解除で、乗員にシートベルト14による揺り起こしを体感させることになる。つまり、乗員に警報を発することになる。したがって、乗員に良好に警報を発して接触回避操作を促すことができる。よって、運転者は勿論、助手席等の乗員も追突に備える体勢準備ができる。加えて、自動ブレーキ装置120の作動が十分に乗員に接触の可能性が有ることを認識させることができるレベルになくても、シートベルト装置15の作動により、乗員にこれを認識させることができ、その回避のために自動ブレーキ装置120が作動していることを確実に認識させることができる。
また、自動ブレーキ装置120が複数の異なる減速パターンで車両100を減速させることが可能であり、シートベルト装置15が複数の異なる作動パターンでシートベルト14の締め付けおよび締め付け解除を行うことが可能であるため、乗員に警報を発する場合と物体との接触を回避する場合とで減速およびシートベルト14の作動を異ならせたり、緊急度に応じて減速およびシートベルト14の作動を異ならせたりすることができる。
さらに、車両100と物体との距離が所定距離内になると、レーダ制御ユニット39が、自動ブレーキ装置120によって乗員に制動力が発生したことを認識させることが可能な減速度を発生させるとともに、電動シートベルト制御ユニット35が、シートベルト装置15によってシートベルト14の締め付けおよび締め付け解除を交互に繰り返すことで、乗員に確実にこれらを認識させることができる。したがって、乗員に確実に認識させることができるように警報を発することができる。
加えて、車両100と物体との距離が所定距離内となった状態が所定時間維持される、つまり、警報を発しても車両と物体との距離が離れない場合に、レーダ制御ユニット39が、自動ブレーキ装置120により、さらに高い減速度を発生させる。したがって、万が一の衝突時にもその被害を軽減させることができる。
さらに、車両100と物体との距離が所定距離内となった状態が所定時間維持される、つまり、警報を発しても車両100と物体との距離が離れない場合に、電動シートベルト制御ユニット35が、シートベルト装置15によるシートベルト14の締め付けを行った後、少なくとも所定時間シートベルト14を停止状態で固定するため、自動ブレーキ装置120による減速度増大に伴う乗員の前方移動を抑制できる。したがって、乗員が物体への接触回避操作を良好な姿勢で行うことができる。
また、ブレーキスイッチ116の検出結果に基づいて乗員によるブレーキ操作が行われた後ブレーキ操作が解除されたことが検出されたとき、および車体速度センサ115の検出結果に基づいて車両100の停止が検出されたときの少なくともいずれか一方が検出されると、電動シートベルト制御ユニット35が、シートベルト装置15によるシートベルト14の停止状態での固定を解除するため、リセットスイッチが不要となる。
さらに、ストロークセンサ117の検出結果から乗員のブレーキ操作に基づいて接触の可能性有りと判定した場合、つまり、即座に減速度が高くなる場合に、レーダ制御ユニット39で算出した車両100と物体との距離に基づいて接触の可能性有りと判定した場合に対し優先してシートベルト装置15によるシートベルト14の締め付け張力を高くすることになり、乗員の前方移動を抑制することが即座にできる。したがって、側方からの急な割り込み等の種々の形態に対しても、乗員10が物体への接触回避操作を良好な姿勢で行うことができる。
加えて、クラッシュセンサ49が車両100の衝突を検出した場合に、エアバッグ制御ユニット43によって、エアバッグ装置121および不可逆的なシートベルトの締め付けを行う第1プリテンショナ28を作動させることができる。したがって、車両100の衝突時に第1プリテンショナ28で確実に乗員をシート13に拘束しエアバッグ装置121を作動させることで衝突の被害を軽減できる。
さらに、自動ブレーキ装置120で減速させた後に第1プリテンショナ28を作動させることができるので第1プリテンショナ28を小型化できる。さらに、クラッシュセンサ49による車両の衝突検出でエアバッグ装置121と第1プリテンショナ28とを同時に作動させることができる。
また、自動ブレーキ装置120で減速させ、シートベルト装置15でシートベルト14を締め付けた後に、クラッシュセンサ49による車両の衝突検出でエアバッグ装置121を作動させることができるため、エアバッグ装置121の作動時には、自車が十分に減速され、乗員も拘束されていることから、エアバッグ装置121を小型化できる。
加えて、レーダ制御ユニット39とブレーキ制御ユニット38と電動シートベルト装置制御ユニット35とが車内LANの接続バス36に接続されているため、例えばレーダ制御ユニット39の算出結果に基づき出力されるブレーキ制御ユニット38のBA信号に基づいて電動シートベルト制御ユニット35がシートベルト装置15を制御可能となり、ブレーキ作動およびシートベルト作動の相互のタイミングを簡単に制御できる。
さらに、静止物体との接触の可能性が有る場合と移動物体との接触の可能性が有る場合とでシートベルト装置15の作動を異ならせるため、自車に衝突する物体が静止物体であるか移動物体であるかをシートベルト装置15の作動を介して乗員に認識させることができる。
また、シートベルト装置15は、以下の効果を奏する。
電動シートベルト制御ユニット35が、正転および逆転を交互に繰り返すように電動モータ29を駆動することによりシートベルト14の締め付け方向への駆動および緩め付け解除方向への駆動を交互に繰り返す警報作動を行うことで、乗員10にシートベルト14の締め付け方向への駆動および締め付け解除方向への駆動の繰り返しを体感させることになり、その結果、乗員10にこれを認識させることができる。つまり、シートベルト14で乗員10に警報を発することができる。
また、警報作動において、シートベルト14を締める電動モータ29の正転の駆動時間がその直後にシートベルト14を緩める逆転の駆動時間より長く設定されているため、シートベルト14を締め付けた後の締め付け解除の量を少なくでき、その結果、乗員10に違和感を感じさせることなくシートベルト14の締め付け方向への駆動および締め付け解除方向への駆動の繰り返しを体感させることができる。つまり、乗員10に違和感を感じさせることなくシートベルト14で警報を発することができる。
さらに、電動シートベルト制御ユニット35は、車両の衝突有無を予測するレーダ制御ユニット39の移動物体信号に基づいて警報作動を行うため、車両の衝突有りが予測された場合に、乗員10に警報を発することができる。したがって、乗員10に効果的に警報を発することができる。
加えて、電動シートベルト制御ユニット35は、警報作動を行った後に、電動モータ29を正転させてシートベルト14を締め付ける締付作動を行うため、車両の衝突の可能性が高まって行われるシートベルト14の締付作動より前の早い段階で車両の衝突の可能性を乗員10に認識させて衝突を回避させるように操作を行わせることができる。したがって、乗員10に効果的に警報を発することができる。
なお、以上においては、火薬式の第1プリテンショナ28と電動モータ29による第2プリテンショナ30とが共にリトラクタ20側に設けられる場合を例にとり説明したが、火薬式の第1プリテンショナ28をリトラクタ20側に設け、第2プリテンショナ30をバックル26側に設けても良い。この場合、第2プリテンショナ30はバックル26を電動モータ29で引き込むことによりシートベルトを締め付けることになる。さらに、これら第1プリテンショナ28および第2プリテンショナ30の関係を逆にしても良い。
また、シートベルト装置15は運転者は勿論、運転者以外の乗員のシートにも設けられる。
なお、電動モータ29として正転だけのものを用いることも可能であり、この場合、電動シートベルト制御ユニット35は、電動モータ29の制御と、シートベルト14を巻き取るリール31と電動モータ29とのメカ的噛み合いの接続・離脱の制御とを行うことにより、シートベルト14の締め付けと締め付け解除とを交互に繰り返すことで上記作動を行う。