JP4290411B2

JP4290411B2 - ジョークラッシャの歯板

Info

Publication number: JP4290411B2
Application number: JP2002329524A
Authority: JP
Inventors: 道生服部
Original assignee: Rasa Industries Ltd
Current assignee: Rasa Industries Ltd
Priority date: 2002-11-13
Filing date: 2002-11-13
Publication date: 2009-07-08
Anticipated expiration: 2022-11-13
Also published as: JP2004160360A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はジョークラッシャの歯板に関する。詳しくは、固定歯板と可動歯板で形成されるＶ字形状の破砕室へ岩石等を噛み込み破砕するジョークラッシャにおける固定歯板及び可動歯板に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来のジョークラッシャを図６に示す。同図において、符号１は固定歯板、２は可動歯板、３は該可動歯板２を固定したジョー、４はフライホイール５を有する偏心軸であり、前記ジョー３は、フレーム本体６に設けられた偏心軸４に上部を支持され、下部をテールブロック７に設けられたトッグル８及び支持ロッド９により支持されている。そして、フライホイール５を回転させることによりジョー３及び可動歯板２が偏心軸４により上下に動きながら左右に揺動し、固定歯板１と可動歯板２とチークプレート１０とにより形成された縦Ｖ字形の破砕室１１に供給される岩石を噛み込み破砕することができるようになっている。
【０００３】
このように岩石を破砕するジョークラッシャにおいては、固定歯板及び可動歯板の磨耗が激しい。このため，歯板の磨耗を少なくして寿命を延長するため、靭性に優れた高Ｍｎ鋳鋼で母材を形成し、該母材に高Ｃｒ鋳鉄製のブロックを埋め込む複合材が提案されている。
【０００４】
従来のジョークラッシャの歯板の１例を図７の斜視図及び断面図に示す。この歯板１２は高Ｍｎ鋳鋼で表面が波型状をなした母材１３に、所定のピッチＰで多数の凹部１４を設け、該凹部１４に僅かな隙間をもって高Ｃｒ鋳鉄製のブロック１５を挿入し、母材１３の凹部１４の内周とブロック１５の外周との間に樹脂系の接着剤１６を流し込んで母材１３にブロック１５を固定している。（例えば特許文献１参照）
【０００５】
【特許文献１】
特開昭５４−１９２５６号公報（図１〜図３）
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
上記図７に示した従来のジョークラッシャの歯板においては、母材１３とブロック１５とを樹脂系の接着剤１６で接着しており、樹脂接着剤１６の接着力のみでブロック１５の脱落を防止しているため、その脱落を防止する力に限度があり、脱落の危険性があるという問題がある。
【０００７】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、樹脂接着剤によりブロックを母材に固定した歯板であって、樹脂接着剤の接着力と剪断力を利用してブロックを母材に確実に固定したジョークラッシャの歯板を実現することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項１のジョークラッシャの歯板においては、固定歯板と可動歯板とで形成されるＶ字形状の破砕室へ岩石等を噛み込み破砕するジョークラッシャの歯板であって、前記歯板は、母材２０と、ブロック２１と、該ブロック２１を前記母材２０に固定する樹脂接着剤２２とよりなり、前記母材２０は板状をなし、その一方の面には複数のブロック挿入孔２３が形成され、且つ該ブロック挿入孔２３の内周には少なくとも１条の凹溝２４が形成され、前記ブロック２１は前記母材２０のブロック挿入孔２３に僅かな隙間を有して挿入可能な形状をなし、且つその外周には前記母材２０の凹溝２４に対向して凹溝２５が形成され、前記母材２０のブロック挿入孔２３に前記ブロック２１が挿入され、その隙間及び両凹溝２４，２５で形成された空間２６に樹脂接着剤２２が充填されて成ることを特徴とする。
【０００９】
前記母材２０のブロック挿入孔２３は長円形底付き孔とし、前記ブロック２１は長円形断面の柱状とすることができる。
なお、前記母材２０には靭性を有する高Ｍｎ鋳鋼を用い、前記ブロック２１には耐磨耗性を有する高Ｃｒ鋳鉄を用いることができる。
【００１０】
この構成を採ることにより、ブロックの母材への固定に樹脂接着剤を用いてその接着力と剪断力を利用して確実に固定できるジョークラッシャの歯板が得られる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
図１は本発明のジョークラッシャの実施の形態を示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）図のｂ―ｂ線における断面図、（ｃ）は（ａ）図のｃ−ｃ線における断面図である。本実施の形態は、母材２０と、ブロック２１と、該ブロック２１を母材２０に固定する樹脂接着剤２１とより構成されている。
【００１２】
前記母材の詳細を図２に示す。同図（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）図のｂ−ｂ線における断面図、（ｃ）は（ａ）図のｃ−ｃ線における断面図である。本実施の形態の母材２０は同図に示すように、上面が波状をなす板状で、各波状の頂部を通る線に沿って複数のブロック挿入孔２３が整列して形成されている。
【００１３】
このブロック挿入孔２３は長円形で且つ底付き孔であり、その内面に一周して凹状の溝２４が形成されている。なお、該溝２４は図においては１条であるが、複数条でもよい。また、溝２４の幅及び深さは、１例として、ブロック挿入孔２３の長径Ａが２１０ｍｍ、短径Ｂが１８０ｍｍ、深さＤが１４５ｍｍの場合、溝幅は３０ｍｍ程度、溝深さは３ｍｍ程度で良い。なお、この母材の材料には靭性を有する高Ｍｎ鋳鋼を用いることが好ましい。
【００１４】
また、前記ブロックの詳細を図３に示す。同図（ａ）は平面図、（ｂ）は側面図、（ｃ）は（ａ）図のｃ−ｃ線における断面図、（ｄ）は斜視図である。本実施の形態のブロック２１は同図に示すように、長円形断面の柱状で、前記母材のブロック挿入孔２３に挿入したときのクリアランスが１．５〜２．０ｍｍ程度になるような大きさで、その高さは前記母材のブロック挿入孔２３に挿入したとき上面が前記母材２０の波状の形状に等しなるように形成されている。
【００１５】
また、ブロックの外周には前記母材のブロック挿入孔２３に挿入したとき前記凹溝２４に対向する位置に凹溝２５が形成されている。この凹溝２５の溝幅及び深さは前記母材のブロック挿入孔２３の凹溝２４と同様に溝幅は３０ｍｍ程度、溝深さは３ｍｍ程度で良い。また、このブロック２１の材料には耐磨耗性に優れた高Ｃｒ鋳鉄を用いることが好ましい。
【００１６】
このように形成された母材２０及びブロック２１は図４に示すように組み立てられる。即ち、母材２０のブロック挿入孔２３にブロック２１が挿入され、その隙間及び、母材２０の凹溝２４とブロック２１の凹溝２５とで形成された空間２６とに樹脂接着剤２２が充填される。なお樹脂接着剤２２には２液混合常温硬化型樹脂が用いられ、樹脂接着剤の充填方法としては、先ず、母材２０のブロック挿入孔２３に未硬化の樹脂接着剤２２を適量注入し、次いで、その上からブロック２１を挿入し加圧して樹脂接着剤２２をブロック挿入孔２３とブロック２１との隙間２７及び両凹溝２４、２５で形成された空間２６に充填させ、その後、所定時間常温で放置し樹脂接着剤２２を硬化させるのである。
【００１７】
このように構成された本実施の形態の歯板は、樹脂接着剤２２が母材２０のブロック挿入孔２３とブロック２１の隙間２７と両凹溝２４，２５に充填されているため、その接着力と、凹溝２４，２５に充填された樹脂接着剤２２の剪断耐力とにより母材２０からのブロック２１の抜け出しは強力に阻止される。
【００１８】
実験例として、ブロック挿入孔２３の長径Ａが２１０ｍｍ、短径Ｂが１８０ｍｍ、深さＤが１４５ｍｍで、凹溝２３，２４の幅が３０ｍｍ、凹溝深さが３ｍｍで、樹脂接着剤に宇部化学製ＭＫ１００（商品名）を用いた場合、図５の如く母材２０の裏面に孔２８をあけ、該孔２８から押圧金具２９を介して加圧試験機によりブロック２１を押圧してブロック２１の脱落強度を測定した。その結果、本実施の形態は４５０ｔであり、比較のために行った凹溝無しの場合は１１８ｔであった。従って、本実施の形態は、凹溝の無い場合の約３．８倍の強度が得られたことになる。
【００１９】
【発明の効果】
本発明のジョークラッシャの歯板に依れば、母材のブロック挿入孔とブロックとに互いに相対する凹溝を設けたことにより、樹脂接着剤の接着力と剪断耐力とにより強固に結合され、使用中に母材からブロックが脱落するようなことは防止される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のジョークラッシャの歯板の実施の形態を示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）図のｂ―ｂ線における断面図、（ｃ）は（ａ）図のｃ―ｃ線における断面図である。
【図２】本発明のジョークラッシャの歯板の実施の形態における母材を示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）図のｂ−ｂ線における断面図、（ｃ）は（ａ）図のｃ−ｃ線における断面図である。
【図３】本発明のジョークラッシャの歯板の実施の形態におけるブロックを示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は側面図、（ｃ）は（ａ）図のｃ−ｃ線における断面図、（ｄ）は斜視図である。
【図４】本発明のジョークラッシャの歯板の実施の形態の組立断面図である。
【図５】本発明のジョークラッシャの歯板の試験方法を示す断面図である。
【図６】従来のジョークラッシャの1例を示す断面図である。
【図７】従来のジョークラッシャ歯板の1例を示す図で、（ａ）は斜視図、（ｂ）は（ａ）図のｂ−ｂ線における断面図である。
【符号の説明】
２０…母材
２１…ブロック
２２…樹脂接着剤
２３…ブロック挿入孔
２４，２５…凹溝
２６…空間
２７…隙間
２８…孔
２９…押圧金具

Claims

固定歯板と可動歯板とで形成されるＶ字形状の破砕室へ岩石等を噛み込み破砕するジョークラッシャの歯板であって、
前記歯板は、母材（２０）と、ブロック（２１）と、該ブロック（２１）を前記母材（２０）に固定する樹脂接着剤（２２）とよりなり、
前記母材（２０）は板状をなし、その一方の面には、長円形底付きで、内周に少なくとも１条の凹溝（２４）を設けた、複数のブロック挿入孔（２３）が形成され、
前記ブロック（２１）は長円形断面の柱状であり、前記母材（２０）のブロック挿入孔（２３）に僅かな隙間を有して挿入可能な形状をなし、且つその外周には前記母材（２０）の凹溝（２４）に対向して凹溝（２５）が形成され、
前記母材（２０）のブロック挿入孔（２３）に前記ブロック（２１）が挿入され、その隙間及び両凹溝（２４，２５）で形成された空間（２６）に樹脂接着剤（２２）が充填されて成ることを特徴とするジョークラッシャの歯板。