JP4289665B2 - Reactor, reactor core and manufacturing method thereof - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電源回路等に使用されるリアクトル、そのリアクトルに使用されるコア(磁心)およびそのリアクトル用コアの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
産業機械、家庭用電気製品、電気自動車、ハイブリッド車等では、直流電源と交流電源との間の変換や直流電源間の電圧変換(DC−DC変換)等がスイッチイング電源等を介してなされる。例えば、電気自動車やハイブリッド車の場合、蓄電池の電圧(200〜300V)から車両電装品用の電圧(12〜48V)に降圧されたりする。また、ブラシレスモータ等をインバータ制御する場合、直流電源が高周波数の交流電源に変換されたりする。
【0003】
このようなスイッチング電源等を構成する電源回路には、コア(鉄心)とコアの周囲に銅線等が巻回されたコイルとからなるリアクトル(reactor)が設けられる。なお、コアとコイルとを同様に組合わせたものであってもその用途、機能によって適宜呼称が異なるが、本明細書ではそれらをまとめてリアクトルと呼ぶ。
【0004】
リアクトルは、その用途によって要求性能が異なるものの、一般的にいえば、小型、低損失、低騒音であって直流重畳特性に優れるものが求められる。そして例えば、リアクトルの小型化のために高い飽和磁化をもつコアが利用され、損失低減化のために高い比抵抗や低い保磁力をもつコアが利用される。また、直流重畳特性を向上させるためにはインダクタンス(L)の安定しているコア、具体的には透磁率の安定している(恒透磁率である)コアが望ましい。
【0005】
このようにリアクトルの性能向上を図る上で、コイル中に配設されるコアの性能が非常に重要となる。このため、リアクトルの用途に応じて、材質、製造方法、形態等を適宜変更した多種多様なコアが使用されてきた。
【0006】
例えば、コアの材質には、酸化物フェライト、Fe−Si系鋼板、アモルファス薄帯などがある。これらを使用したコアは、板材の積層、圧粉成形、圧粉焼結等により製造される。さらに、所定形状のブロック状コアを複数接合して所望形状のコアとしたり、適当な空隙(ギャップ)を設けて見掛透磁率を調整したりされる。
【0007】
より具体的には、大電流(大電力)用リアクトルにはアモルファス薄帯からなるコアが利用され、低周波数(数kHz以下)用リアクトルにはFe−Si系鋼板が利用されることが多い。また、力率改善用チョークコイルには圧粉磁心は使用され、その粉末は主にFe−7%Siやセンダスト(Fe−9%Si−6%Al)からなることが多い。
【0008】
また、このようなリアクトル用コアに関する特許文献として下記のようなものもある。特許文献1には、Fe系軟磁性合金粒子を高密度成形してなるバルク体を接合することにより、様々な形状の変圧器用磁心が簡便に製作されることについて記載されている。特許文献2には、周波数10kHz以上のスイッチング電源の効率を向上させ得るリアクトル用圧粉磁心について記載されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−326289号公報
【特許文献2】
特開2002−75719号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、アモルファス薄帯からなるコアは、その製作に特殊な製造装置を必要とするため高コストであり、また磁歪も大きく騒音が大きい。フェライトからなるコアは、飽和磁化が低いため、大容量の電源では直流重畳特性が悪く、さらに磁束の不足を補うためにその体積(断面積)を増加させる必要がり、部品の大型化を招く。
【0011】
Fe−Si系電磁鋼板からなるコアでは、使用する周波数が約20kHz以上になると急激に損失が増大するため、使用周波数域がそれ以下に限定されてしまう。また、高電流をコイルに印加する場合、飽和磁束密度を上げるか、磁路の一部に空隙(特許文献1参照)を設けて直流重畳特性を改善する必要も生じる。もっとも、いずれの場合も騒音は大きくなる。
【0012】
粒子表面が絶縁されたFe−Si系粉末等を圧粉成形したコア(圧粉磁心)の場合、高密度化によって磁束密度を高めることができるし、粉末粒子が絶縁被膜で覆われているため比抵抗が大きくて渦電流損も小さくできる。しかし、高電流をコイルに印加したときの直流重畳特性は依然として悪く、高電流側でのインダクタンスが著しく低下し易い。この直流重畳特性を改善するために、飽和磁束密度を高めたり磁路中の一部に空隙等を設けたりすることも有効と考えられる。しかし、そのような対策を施した場合、損失を増加させる結果となり好ましくない。この詳細は後述する。
【0013】
さらに、上記特許文献2のリアクトル用圧粉磁心は、例えば、100A以上の高電流が重畳印加される大電力に対応しておらず、また数〜数10kHzでの高リップル電流に対応したリアクトルでもない。
【0014】
このような観点から、低損失、低騒音、小型(数kg程度)であって、大電力、高リップル電流に対応したリアクトルやリアクトル用コアが望まれている。なお、特殊なSi系鋼板(板厚:0.05mm)や傾斜Si鋼板(板厚:0.05〜0.1mm)、アモルファス薄帯などを使用すればそのようなリアクトルの作製も可能かもしれないが、非常にコスト高となってしまい現実的ではないし、その場合でも騒音は依然として大きいものとなってしまう。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、大電流が重畳する大電力用として利用可能で、損失低減、騒音低減または小型化等を図れるリアクトルを提供することを目的とする。また、そのリアクトルに適したリアクトル用コアおよびその製造方法を併せて提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、飽和磁化が高く直流重畳特性に優れると共に全体的な損失を小さくでき、しかも小型化できるリアクトル用コアを見出し、これに基づき本発明のリアクトルを完成するに至った。
(リアクトル)
(1)すなわち、本発明のリアクトルは、Feを主成分とする軟磁性粉末からなり該軟磁性粉末の粒子表面が絶縁被膜で被覆されてなる原料粉末を圧縮成形した圧粉成形体を少なくとも2つ以上組合わせて構成したリアクトル用コアと、導線を巻回してなり該リアクトル用コアに装着されるコイルとからなるリアクトルであって、
前記圧粉成形体は、前記軟磁性粉末の真密度(ρ 0 )に対する嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ 0 :%)が90%以上であり、
前記リアクトル用コアは、前記組み合わされる圧粉成形体のそれぞれが突き合わされる対向面間の1カ所以上に前記絶縁被膜とは別の幅4mm以下の非磁性材が介在しており、
前記リアクトル用コアの飽和磁化が1.7T以上であり、該リアクトル用コアに5kA/mの磁界を印加したときに求まる第1見掛透磁率(μ5k)が25以上であると共に35kA/mの磁界を印加したときに求まる第2見掛透磁率(μ35k)が第1見掛透磁率(μ5k)の70%以上であり、該リアクトル用コアに装着された状態の前記コイルへ10kHzの交流を10mA流したときに求まる該コイルの交流抵抗値である装着時交流抵抗値(r1)が、該リアクトル用コアに装着されていない状態の該コイル単体へ10kHzの交流を10mA流したときに求まる該コイルの交流抵抗値である単体時交流抵抗値(r0)の2.5倍以下(r1≦2.5r0)であることを特徴とする。
【0017】
本発明のリアクトルでは、コイルが装着されるコアが、軟磁性粉末と絶縁材との原料粉末を圧粉成形した圧粉成形体を複数組合わせたものからなる。この圧粉成形体を構成する軟磁性粉末の組成、絶縁材の材質または配合量等を適当に調整し、組合わせる圧粉成形体間の対向面間隔やその間に介在させる介在物を適宜選択することで、上記飽和磁化、見掛透磁率および交流抵抗値を備えたリアクトルが得られる。
【0018】
本発明のリアクトルの場合、先ず、コアの飽和磁化が1.7T以上と高く、その見掛透磁率が5kA/mや35kA/mといった高磁場中でも安定した値を保つ。このため、直流重畳特性に非常に優れたリアクトルが得られ、このリアクトルを用いれば、コイルに大電流を印加した場合でも、安定した出力のスイッチング電源等が得られる。また、高リップル電流に対応したリアクトルが得られ、騒音も抑制されたものとなる。
【0019】
次に、本発明のリアクトル用コアを形成する圧粉成形体は、粉末粒子が絶縁材でそれぞれが絶縁されたものからなる。このため、比抵抗も大きく、その圧粉成形体で生じる鉄損(高周波損失)も小さい。
【0020】
ここで本発明者の研究に依ると、リアクトルの損失を低減する上で、従来問題視されていた鉄損のみならず、コイル自体の銅損を低減することが非常に有効であることが明らかとなった。なお、本発明では、コイルを構成する導線の材質を問わないのが、便宜上、コイルでの損失を銅損と呼び、リアクトル用コアで生じる高周波損失(鉄損)と区別する。ちなみに、鉄損は主に渦電流損とヒステリシス損から主になる。
【0021】
本発明者が詳細に調査したところ、銅損はコアの特性によって影響を受けることが明らかとなった。そして、磁束密度を増大させるためにコアを構成する圧粉成形体を非常に高密度化すると、この銅損が増加することも明らかとなった。一方、その圧粉成形体の比抵抗を高めると、逆に、この銅損が低減することも明らかとなった。このような現象が発現する理由は必ずしも定かではないが、現状では次のように考えられる。すなわち、圧粉成形体の比抵抗値が低いと、渦電流が発生し易くなり、この渦電流がコイルに鎖交して、コイルに流れる電流を妨げるためと考えられる。
【0022】
ところで、この銅損は、当然ながらコイルをコアに装着したときの損失であって、各周波数における交流抵抗値とそのときに流す電流値に依存したものとなる。このため、銅損の低減を図るには、コイルをコアに装着した場合コアの交流抵抗値を低減することが有効となる。この交流抵抗値は、コイルがコアに装着されているか否かのみならず、印加する電流の周波数、電流(電圧)値によっても変化する。そこで、本発明では、便宜上、10kHzの交流を10mAコイルに流したときの交流抵抗値で評価することとした。そして、銅損を有効に低減できる範囲として、コイルをコアに装着したときの抵抗値である装着時交流抵抗値が、コイル単体時の単体時交流抵抗値の2.5倍以下と規定した。このように、装着時交流抵抗値が単体時交流抵抗値と同程度であれば、印加する交流の電流値が大きくなったときでも、リアクトルで生じる損失を小さくできる。
【0023】
このように本発明のリアクトルは、コアが高い飽和磁化を有するために小型化を図れ、見掛透磁率も高磁場まで安定しているため直流重畳特性に優れ、例えば、数〜数十kHz(例えば、1〜100kHz)の高リプル電流にも対応可能で騒音も抑制されたものとなる。さらに、コイルの装着時交流抵抗値が小さいため、リアクトル全体の損失も非常に小さいものとなる。従って本発明のリアクトルは、高電力用として使用可能であるにも拘らず、小型で低騒音であると共に損失の少ない高効率なものである。
【0024】
ところで、本発明のリアクトルの場合、上記飽和磁化は、さらに1.8T以上、1.9T以上、2.0T以上となれば好ましい。飽和磁化が過小であると直流重畳特性が劣化してリアクトルの性能が低下するため好ましくないが、逆に高密度成形により飽和磁化が過大になると、前述したように銅損が増加するため、その上限は2.0Tとするのが良い。また、上記見掛透磁率は、第1見掛透磁率(μ5K)が25、30、35以上、第2見掛透磁率(μ35K)が第1見掛透磁率(μ5K)の70、80、90%以上であれば好ましい。見掛透磁率が過小であると十分なインダクタンスが得られずリアクトルの性能が低下するが、逆に見掛透磁率が過大になっても、直流重畳特性が劣化してリアクトルの性能が低下するため、その上限は50とするのが良い。また、上記装着時交流抵抗値は単体時交流抵抗値の2.3倍以下、2.1倍以下、2.0倍以下となる程好ましい。この装着時交流抵抗値(r1)を具体的にいえば、例えば、1Ω以下、0.9Ω以下、0.8Ω以下であると好ましい。
【0025】
(2)本発明のリアクトルは、上記のように特性によって特定される他、例えば、次のようにして特定される。
すなわち本発明は、Feを主成分とする軟磁性粉末からなり該軟磁性粉末の粒子表面が絶縁被膜で被覆されてなる原料粉末を圧縮成形した圧粉成形体を少なくとも2つ以上組合わせて構成したリアクトル用コアと、
導線を巻回してなり該リアクトル用コアに装着されるコイルとからなるリアクトルであって、
前記圧粉成形体は、前記軟磁性粉末の真密度(ρ0)に対する嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ0:%)が90%以上であり、前記リアクトル用コアは、組合わされて磁路を構成する前記圧粉成形体の対向面間の1カ所以上前記絶縁被膜とは別の幅4mm以下の非磁性材が1カ所以上介在しており、前記コイルは、平角銅線を30ターン以上巻回したものであることを特徴とするリアクトルとしても良い。なお、この平角銅線の断面積は、リアクトルの使用条件(周波数、重畳電流、インダクタンス等)に応じて適宜選択すれば良く、使用中の銅損によってコイルが熱的に著しいダメージを受けないようにすると好ましい。
【0026】
本発明のリアクトルでは、圧粉成形体中の絶縁材量と、その密度比と、組合わせる圧粉成形体の対向面間の状態を上記のように特定することで、前述した特性を発現するリアクトル用コアおよびリアクトルが得られる。
【0027】
(リアクトル用コア)
本発明は、上記リアクトルとしてのみならず、それを構成するリアクトル用コアとしても把握することができる。
すなわち、本発明はは、Feを主成分とする軟磁性粉末からなり該軟磁性粉末の粒子表面が絶縁被膜で被覆されてなる原料粉末を圧縮成形した圧粉成形体を少なくとも2つ以上組合わせて構成したリアクトル用コアであって、
前記圧粉成形体は、前記軟磁性粉末の真密度(ρ0)に対する嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ0:%)が90%以上であり、組合わされて磁路を構成する該圧粉成形体の対向面間の1カ所以上前記絶縁被膜とは別の幅4mm以下の非磁性材が1カ所以上介在してなることを特徴とするリアクトル用コアとしても良い。
【0028】
(リアクトル用コアの製造方法)
上記リアクトル用コアは、例えば、次のようにして製造される。
すなわち、本発明は、Feを主成分とする軟磁性粉末からなり該軟磁性粉末の粒子表面が絶縁被膜で被覆されてなる原料粉末を圧縮成形した圧粉成形体を少なくとも2つ以上組合わせて構成したリアクトル用コアの製造方法であって、
前記圧粉成形体は、前記原料粉末を、高級脂肪酸系潤滑剤が内面に塗布された成形用金型内へ充填する充填工程と、該成形用金型内に充填された該原料粉末を温間で加圧成形し該成形用金型の内面に接する該軟磁性粉末の表面に金属石鹸被膜を生成させて前記圧粉成形体を得る成形工程とによって製造され、該軟磁性粉末の真密度(ρ0)に対する嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ0:%)が90%以上であり、該得られた複数の圧粉成形体を突き合わせたときにできる対向面間の1カ所以上に幅4mm以下の前記絶縁被膜とは別の非磁性材を介在させて該複数の圧粉成形体を組み合わせてリアクトル用コアとすることを特徴とするリアクトル用コアの製造方法としても良い。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。なお、以下の実施形態を含む本明細書で説明する内容は、本発明のリアクトルのみならず、リアクトル用コアおよびその製造方法にも適宜、適用できるものであることを断っておく。
(1)軟磁性粉末および絶縁材
本発明に係る軟磁性粉末は、先ず、Feを主成分とする粉末であるが、Siを2〜5質量%含有していると好ましい。Siは、粉末粒子の電気抵抗率(比抵抗)を高め、圧粉成形体の渦電流損の低減る上で有効な元素である。また、Fe−Si系粉末からなる圧粉成形体を組合わせたコアは、直流重畳特性に優れる。ここで、Si量が2質量%未満だと損失が大きくなる。一方、Si量が5質量%を超えると圧粉成形体の磁束密度等の低下を招き好ましくない。Si量の下限を2.5質量%、3質量%とし、その上限を4.5質量%、4質量%とすればより好ましい。
【0030】
この軟磁性粉末は、このようなSiと残部がFeと不可避不純物とからなっても良いし、適宜、磁気特性を向上させる元素または鉄損を低減させる元素等を含有しても良い。そのような元素として、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)等がある。
【0031】
本発明に係る軟磁性粉末は、その重量平均粒径が30〜70μmであると好ましい。。この重量平均粒径とは、微細粒から積算し、重量が50%に至ったところでの粒径により求まる粒径である。
【0032】
この重量平均粒径(以下、単に「粒径」ともいう。)が25μm未満であると、渦電流損は減少するもののヒステリシス損が増加し過ぎて好ましくない。逆に、その粒径が100μmを超えると、ヒステリシス損が減少するものの渦電流損が増加し過ぎて好ましくない。そして、上記範囲の粒径からなる軟磁性粉末を使用した場合、前述の低中周波数域で、渦電流損とヒステリシス損との和である鉄損を十分に小さくできる圧粉成形体が得られる。上記重量平均粒径の下限を35μm、40μm、45μmとし、その上限を65μm、60μm、55μmとすればより好ましい。
【0033】
また、本発明に係る軟磁性粉末は、平均アスペクト比が1〜3であると好ましい。。この平均アスペクト比とは、粉末粒子の最大径(長径)と最小径(短径)との比(アスペクト比)の平均値である。この平均値は、多数の粉末粒子をSEMで観察し画像解析により求めれば良い。本発明の場合、この平均アスペクト比(以下、単に「アスペクト比」ともいう。)が1に近い程、つまり、粉末粒子が球形状である程、低保磁力の圧粉成形体が得られる。圧粉成形体の保磁力の低減は、ヒステリシス損の低減に効果的である。さらに、アスペクト比が1に近い程、比抵抗も大きくなり、渦電流損の低減にも有効である。従って、アスペクト比が1に近い程良く、その上限が2.5、2、1.5等であると一層好ましい。
【0034】
ここで、平均アスペクト比が1に近い程(つまり、粉末粒子の形状が球形に近い程)、圧粉成形体の保磁力が小さくなり、また、比抵抗が大きくなるのは次のように考えられる。粉末粒子が球形に近ければ、軟磁性粉末を加圧成形した際に、相互に接触する粒子間での攻撃性が低下する。逆に、アスペクト比が大きくて歪な形状の粒子が多いと、成形時の加圧力によって、一つの粒子の突起等が隣接する他の粒子へ突刺さるようになる。そして、粒子の極一部にのみに大きな歪みや応力が加わって、結局、保磁力の増加をもたらすと思われる。また、このように粒子間の攻撃性が増す結果、各粒子表面に形成されていた絶縁被膜も破壊され易くなり、各粒子が直接的に接触する部分が増加して、比抵抗が低減したと思われる。
【0035】
さらに、本発明に係る軟磁性粉末は、粉末粒子の保磁力(iHc)が200A/m以下であると好ましい。。加圧成形前の段階から使用する軟磁性粉末の保磁力が小さいことにより、得られた圧粉成形体の保磁力も小さくなる。これにより、ヒステリシス損が小さく磁気特性に優れた圧粉成形体が得られる。このiHcはさらに、180A/m以下、160A/m以下、さらには150A/m以下であれば一層好ましい。このような低保磁力の軟磁性粉末は、例えば、アトマイズ粉末等を加熱処理して、残留応力や歪み等を除去することで容易に得られる。そこで、上記軟磁性粉末が、加圧成形前に不活性雰囲気中で800℃以上の加熱処理が施されたものであると好適である。不活性雰囲気は、真空雰囲気でも、不活性ガス雰囲気でも、水素雰囲気等の還元雰囲気でも良い。つまり、酸化雰囲気でない方が好ましい。
【0036】
また、粒径が上述のとおりであって、一つの粉末粒子中の結晶粒数が平均10個以下であると好適である。ヒステリシス損に影響を及す保磁力は、粉末粒子自体の外形状にも依るが、その粉末粒子内部の組織にも依る。そして、その組織が大きな結晶粒からなる程、保磁力も小さくなり、ヒステリシス損の低減を図り易い。前述の重量平均粒径を前提にすれば、粉末粒子中の結晶粒数が平均で10個以下、さらには8個以下、5個以下となる程、好適である。この結晶粒数の平均値は、粉末粒子を樹脂に埋込み光学顕微鏡により組織観察することにより求めれば良い。
【0037】
上述したような軟磁性粉末の製造方法は問わない。例えば、合金インゴットをボールミル等で粉砕して粉末を得ることも考えられる。しかし、より球形状の粉末を得るためには、アトマイズ法によると好ましい。すなわち、所定組成の溶湯流にガスを吹付けてアトマイズ化するガス噴霧アトマイズ法、その溶湯流に水を吹付けてアトマイズ化する水噴霧アトマイズ法、さらには、その溶湯流にガスと水との混合物を霧状に吹付けてアトマイズ化するガス・水アトマイズ法等によって、軟磁性粉末が製造されると好ましい。これらのアトマイズ法によって得られた粉末を、本明細書中では、ぞれぞれ順に、ガスアトマイズ粉、水アトマイズ粉、ガス水アトマイズ粉と呼ぶ。
【0038】
本発明者が調査したところ、本発明の圧粉成形体に好適なアトマイズ粉はガス水アトマイズ粉であった。これは冷却速度が比較的穏やかなためと思われる。アトマイズ法に使用するガスには、N2やAr等の不活性ガスが好ましい。
【0039】
もっとも、酸化雰囲気でアトマイズして、粉末粒子の表面にSiO2等の適度な絶縁酸化被膜を形成させても良い。これにより、圧粉成形体の比抵抗が大きくなり、渦電流損の低減が図れる点では好ましい。但し、SiO2等は硬質であるため、その量が増え過ぎると軟磁性粉末の成形性が低下し、圧粉成形体の密度低下等を招くため好ましくない。絶縁被膜には、この他、樹脂被膜、リン酸塩被膜等があるが、酸化被膜は耐熱性に優れ、焼鈍工程等の加熱処理を行った際にもその破壊が抑制、防止されるので好ましい。このような耐熱性のある酸化被膜として、前記SiO2以外に、Al23、TiO2、ZrO2およびそれらの複合酸化物系絶縁被膜等がある。
【0040】
ところで本発明の圧粉成形体は、このような酸化絶縁被膜とは別に、軟磁性粉末を構成する粉末粒子間を絶縁する絶縁材を積極的に含有しているのが好ましい。この絶縁材の含有量が多くなると、圧粉成形体中の磁束密度が低下して好ましくないが、その含有量を1〜10体積%、さらには3〜8体積%とすることで、磁束密度の低下を抑制しつつ、大電流によって生じる高磁場中でも所望の透磁率(見掛透磁率)を得ることができる。そして、直流重畳特性に優れたリアクトルが得られる。このような絶縁材には、AlN、BNなどの窒化物、粘土などの鉱物、バインダ(結合材)と呼ばれるシリコーン樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、フェノール樹脂、後述する内部潤滑材等がある。また、絶縁材としてバインダを使用した場合、絶縁被膜が容易に形成される。
【0041】
前述した本発明の製造方法のように、軟磁性粉末を温間加圧成形する場合、成形用金型の内壁面と軟磁性粉末との間に非常に潤滑性に富んだ新たな潤滑剤(金属石鹸被膜)が形成される。この金属石鹸被膜はFeを含むとき(例えば、高級脂肪酸の鉄塩被膜のとき)、最も優れた潤滑性を示すことが解っている。従って、そのような被膜の形成を促進する観点からも、絶縁被膜自体にFeが含まれていると、一層好適である。このような絶縁被膜は、例えば、リン酸塩系であればリン酸鉄が、酸化物系であればFeSiO3、FeAl24、NiFe24などのFeとの複合酸化物系が望ましい。
【0042】
絶縁被膜は、膜厚が厚くなるほど比抵抗が大きくなるが、膜厚があまり厚いと、成形された圧粉成形体の磁束密度が低下する。そこで、圧粉成形体の磁束密度と比抵抗とを確保する観点から、膜厚は、1〜1000nm、さらには、10〜100nmであると好ましい。
【0043】
なお、言うまでもないことであるが、絶縁被膜は本来、粉末粒子の一粒一粒毎に形成されていることが理想的である。しかし、実際には、当然に、数個の粒子が固まった状態でその周りに絶縁被膜が形成されていることもあり、このような状態でも本発明の想定するところである。
【0044】
(2)リアクトル用コア
本発明のリアクトル用コアは、上記のような軟磁性粉末を高密度成形した圧粉成形体を組合わせてなる。
先ず、圧粉成形体は、1〜50kHzといった低中周波数域で、透磁率、飽和磁化、直流重畳特性等の磁気特性およびヒステリシス損、渦電流損といった鉄損の何れにも優れたものである。これらの特性に関して以下に具体的に説明する。
【0045】
圧粉成形体の磁気特性の一つの指標として透磁率があるが、これは圧粉成形体の置かれる磁界の強さによって変化する。そこで、特定強さの磁界中においたときの磁束密度で、圧粉成形体の磁気特性が指標されることが多い。本発明の圧粉成形体を、例えば10kA/mの磁界中に置いたときに生じる磁束密度B10kで評価すれば、磁束密度B10kは、1.1T以上、1.2T以上、1.3T以上、1.4T以上、さらには1.5T以上にもなる。
【0046】
また、飽和磁化(Ms)も磁気特性の重要な一つの指標である。本発明の圧粉成形体の場合、例えば、1.8T以上、1.85T以上、さらには1.9T以上といった高飽和磁化を発揮する。このような高飽和磁化により、直流重畳特性に優れたリアクトル用コアが得られる。なおいうまでもないが、このときの飽和磁化は、圧粉成形体単体としての飽和磁化であって、それを組合わせたコア全体としての飽和磁化ではない。なお、飽和磁化は、例えば、圧粉成形体を0.1MA/mの高磁場中に置いたときに測定される。
【0047】
また、本発明の圧粉成形体は、保磁力も小さい。これにより、交番磁界に対する追従性が良く、ヒステリシス損も小さいリアクトル用コアが得られる。この圧粉成形体の保磁力は、例えば、220A/m以下、200A/m以下、さらには180A/m以下ともなる。そして、圧粉成形体の鉄損も、例えば、周波数が10kHzで磁束密度が0.2Tの交番磁界中で、420kW/m3以下、さらには、400kW/m3以下、380kW/m3以下、350kW/m3以下といった非常に低いものとなる。
【0048】
ところで、圧粉成形体の磁束密度等の磁気特性は、高密度成形されたか否か、つまり、その密度に大きく影響される。もっとも、密度は軟磁性粉末の組成によって異なるため、単純に密度のみで圧粉成形体の高密度成形の程度を指標することはできない。そこで本発明では、軟磁性粉末の真密度(ρ0)に対する、圧粉成形体の嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ0)によって、その高密度成形の程度を指標した。本発明の圧粉成形体の場合、そのρ/ρ0は、密度比が92%以上、93%以上、94%以上、さらに95%以上ともなる。もっとも、その上限は、95%が好ましい。あまりに高密度成形すると、交流抵抗値の増加を招き損失が増加するからである。
【0049】
次に、本発明の圧粉成形体の電気特性を指標するものとして比抵抗がある。この比抵抗は、形状に依存しない圧粉成形体ごとの固有値であり、同形状の圧粉成形体であれば比抵抗が大きいほど渦電流損は小さくなる。本発明の圧粉成形体は、前述した特定の軟磁性粉末からなるため、この比抵抗も比較的大きく、その分、渦電流損も小さくできる。本発明の圧粉成形体の場合、その比抵抗は、1000μΩm以上、10000μΩm以上、さらには100000μΩm以上ともなる。そして、前述したように、この比抵抗の大きな圧粉成形体を組合わせたコアを装着したリアクトルのコイルは、交流抵抗値も小さくなり、リアクトルの全体的な損失低減にも効果的である。
【0050】
ところで、本発明のリアクトル用コアは、上記圧粉成形体を複数組合わせてなる。複数の圧粉成形体を突き合わせて接着、結合させて一体的なリアクトル用コアを形成することができる。また、接着等させずに、締結具により複数の圧粉成形体を機械的に固定しても良い。但し、どのような組合わせ方をしたとしても、隣接する圧粉成形体には向い合った対向面ができ、通常はここが磁路となる。そして、その対向面間の形態を工夫することでリアクトル用コア全体としての見掛透磁率をも調整可能となる。例えば、その対向面間を熱硬化性樹脂等の接着剤によって充填、接着させても良い。また、その対向面間をエアギャップとしても良いし、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂材を介在させても良い。見掛透磁率の調整には、このような非磁性材を対向面間に介在させると良い。もっとも、対向面間隔を大きくすると、漏れ磁束等が多くなり、リアクトルの性能低下を招くため、その対向面間隔は4mm以下、3mm以下、さらには0.5〜2.5mm程度が好ましい。なお、圧粉成形体の形態(形状、大きさ等)は勿論、それを組合わせて形成されるコアの形態も任意である。リアクトルの要求諸元に沿って適宜決定されれば良い。
【0051】
(3)圧粉成形体の製造方法
圧粉成形体の製造方法は、軟磁性粉末と絶縁材とからなる原料粉末を成形用金型に充填する充填工程と、充填された原料粉末を加圧成形する成形工程とから基本的になる。
【0052】
本発明の圧粉成形体は、原料粉末に内部潤滑材を混在させて、成形用金型内で室温高圧成形されたものを除くものではない。しかし、この場合、成形圧力を大きくすると、成形用金型の内面と原料粉末との間でかじりを生じたり、抜圧が過大となったり、金型寿命が極端に低下したりし易い。試験レベルではともかくとして、工業レベルで考えると、従来の金型成形では、その成形圧力を大きくすることが実際には困難であり、結果的に高密度比の圧粉成形体は得難い。
【0053】
本発明者は、従来の室温高圧成形と異なる画期的な金型潤滑温間加圧成形法を確立してこの課題を見事に解決している。この成形法は、前記充填工程を高級脂肪酸系潤滑剤が内面に塗布された成形用金型内へ原料粉末を充填する工程とし、前記成形工程をその成形用金型内に充填された原料粉末を温間で加圧成形して成形用金型の内面に接する原料粉末の表面に金属石鹸被膜を生成させる工程とするものである。
【0054】
次に、この製造方法をさらに詳細に説明する。
▲1▼充填工程
充填工程に際して、成形用金型の内面に高級脂肪酸系潤滑剤を塗布する必要がある(塗布工程)。
この高級脂肪酸系潤滑剤は、高級脂肪酸自体の他、高級脂肪酸の金属塩であっても良い。高級脂肪酸の金属塩には、リチウム塩、カルシウム塩又は亜鉛塩等がある。特に、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等が好ましい。この他、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸リチウム、オレイン酸リチウム、パルミチン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム等を用いることもできる。
【0055】
この塗布工程は、加熱された成形用金型内に水、水溶液またはアルコール溶液等に分散させた高級脂肪酸系潤滑剤を噴霧する工程であると好ましい。高級脂肪酸系潤滑剤が水等に分散していると、成形用金型の内面へ高級脂肪酸系潤滑剤を均一に噴霧し易い。さらに、加熱された成形用金型内にそれを噴霧すると、水分等が素早く蒸発して、成形用金型の内面へ高級脂肪酸系潤滑剤が均一に付着する。そのときの成形用金型の加熱温度は、後述の成形工程の温度を考慮する必要があるが、例えば、100℃以上に加熱しておけば足る。もっとも、高級脂肪酸系潤滑剤の均一な膜を形成するために、その加熱温度を高級脂肪酸系潤滑剤の融点未満にすることが好ましい。例えば、高級脂肪酸系潤滑剤としてステアリン酸リチウムを用いた場合、その加熱温度を220℃未満とすると良い。
【0056】
なお、高級脂肪酸系潤滑剤を水等に分散させる際、その水溶液全体の質量を100質量%としたときに、高級脂肪酸系潤滑剤が0.1〜5質量%、さらには、0.5〜2質量%の割合で含まれるようにすると、均一な潤滑膜が成形用金型の内面に形成されて好ましい。
【0057】
また、高級脂肪酸系潤滑剤を水等へ分散させる際、界面活性剤をその水に添加しておくと、高級脂肪酸系潤滑剤の均一な分散が図れる。そのような界面活性剤として、例えば、アルキルフェノール系の界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)6、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)10、アニオン性非イオン型界面活性剤、ホウ酸エステル系エマルボンT−80等を用いることができる。これらを2種以上組合わせて使用しても良い。例えば、高級脂肪酸系潤滑剤としてステアリン酸リチウムを用いた場合、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)6、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)10及びホウ酸エステルエマルボンT−80の3種類の界面活性剤を同時に用いると好ましい。それらの1種のみを添加する場合に較べて複合添加した場合、ステアリン酸リチウムの水等への分散性が一層活性化されるからである。
【0058】
また、噴霧に適した粘度の高級脂肪酸系潤滑剤の水溶液を得るために、その水溶液全体を100体積%とした場合、界面活性剤の割合を1.5〜15体積%とすると好ましい。
【0059】
この他、少量の消泡剤(例えば、シリコン系の消泡剤等)を添加しても良い。水溶液の泡立ちが激しいと、それを噴霧したときに成形用金型の内面に均一な高級脂肪酸系潤滑剤の被膜が形成され難いからである。消泡剤の添加割合は、その水溶液の全体積を100体積%としたときに、例えば0.1〜1体積%程度であればよい。
【0060】
水等に分散した高級脂肪酸系潤滑剤の粒子は、最大粒径が30μm未満であると、好適である。最大粒径が30μm以上となると、高級脂肪酸系潤滑剤の粒子が水溶液中に沈殿し易く、成形用金型の内面に高級脂肪酸系潤滑剤を均一に塗布することが困難となるからである。高級脂肪酸系潤滑剤の分散した水溶液の塗布には、例えば、塗装用のスプレーガンや静電ガン等を用いて行うことができる。なお、本発明者が高級脂肪酸系潤滑剤の塗布量と粉末成形体の抜出圧力との関係を実験により調べた結果、膜厚が0.5〜1.5μm程度となるように高級脂肪酸系潤滑剤を成形用金型の内面に付着させると好ましいことが解った。
【0061】
▲2▼成形工程
詳細は明らかではないが、この工程で、前述の金属石鹸被膜がメカノケミカル反応によって生成されると考えられる。
すなわち、その反応によって、軟磁性粉末(粒子表面に絶縁被膜が形成されているときはその被膜)と高級脂肪酸系潤滑剤とが化学的に結合し、金属石鹸の被膜(例えば、高級脂肪酸の鉄塩被膜)が圧粉成形体表面に形成される。この金属石鹸の被膜は、その粉末成形体の表面に強固に結合し、成形用金型の内表面に付着していた高級脂肪酸系潤滑剤よりも遙かに優れた潤滑性能を発揮する。その結果、成形用金型の内面と粉末成形体の外面との接触面間での摩擦力が著しく低減し、高圧成形にも拘らず、かじり等を生じない。そして、非常に低い抜圧で粉末成形体が成形用金型から取出され、金型寿命を短くすることもなくなった。この金属石鹸被膜の代表例は、高級脂肪酸系潤滑剤であるステアリン酸リチウムまたはステアリン酸亜鉛とFeとが反応して生成されたステアリン酸鉄被膜またはステアリン酸亜鉛である。
【0062】
なお、この金属石鹸被膜は、軟磁性粉末の各粒子が絶縁被膜で被覆されていても形成されることから、その際必要となるFeは、基本的にはその絶縁被膜から供給されると考えられる。絶縁被膜がもともとFe等の金属を含む場合は勿論、そうでなくても、軟磁性粉末と絶縁被膜との間の反応や拡散により、Fe等が絶縁被膜中に出現していると考えられる。
【0063】
この成形工程における「温間」とは、各状況に応じた適切な加熱条件の下で成形工程を行うことを意味する。もっとも、軟磁性粉末と高級脂肪酸系潤滑剤との反応を促進するために、概して成形温度を100℃以上とすると好ましい。また、高級脂肪酸系潤滑剤の変質を防止するために、概して成形温度を200℃以下とすると好ましい。成形温度を120〜180℃とするとより好適である。
【0064】
成形工程における「加圧」の程度も、所望する圧粉成形体の特性、原料粉末の組成、絶縁被膜や高級脂肪酸系潤滑剤の種類、成形用金型の材質や内面性状等に応じて適宜決定されるものである。この製造方法を用いると、従来の成形圧力を超越した高圧力下で成形可能であるため、硬質なFe−Si系粉末であっても、高密度な圧粉成形体を容易に得ることができる。そして、成形圧力は、例えば、700MPa以上、785MPa以上、1000MPa以上、1500MPa以上、さらには2000MPa以上ともできる。成形圧力が高圧である程、高密度の圧粉成形体が得られる。もっとも、成形用金型の寿命や生産性を考慮して、その成形圧力の上限を2000MPaとすると好ましい。
【0065】
なお、本発明者は、この成形法を用いて純Fe粉を加圧成形した場合、成形圧力が約600MPaで抜出圧力が最大となり、それ以上ではむしろ抜出圧力が低下することを実験により確認している。そして、成形圧力を900〜2000MPaの範囲で変化させたときでさえ、抜出圧力が5MPa程度と、非常に低い値であった。このようなことから、上記金属石鹸被膜が如何に優れた潤滑性を有するかが解る。そして、この成形法は、実際に、硬質なFe−Si系粉末を高圧成形する際にも非常に有効なものであった。このような優れた成形性は、ステアリン酸リチウムの他、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸系潤滑剤を用いた場合でも同様であった。
【0066】
▲3▼内部潤滑材
この金型潤滑温間加圧成形法を用いた場合、従来必要とした内部潤滑材を原料粉末に添加せずとも、高圧成形が可能である。内部潤滑材を添加しないことにより、圧粉成形体のさらなる高密度化、高磁束密度化を図れる。
【0067】
その一方で、内部潤滑材を原料粉末に添加することにより、粉末粒子間のすべりが向上し、また、成形用金型と軟磁性粉末とのかじり等が防止される。しかも、内部潤滑材には、粉末粒子の塑性歪の抑制効果もある。これにより、圧粉成形体の保磁力が低下し、ヒステリシス損の低減も図られる。
【0068】
この内部潤滑材は、例えば、絶縁被膜で被覆された原料粉末100質量%に対して0.1〜0.6質量%、さらには0.2〜0.5質量%であると好ましい。少なすぎると内部潤滑材の効果がなく、多すぎると圧粉成形体の高密度化が図れず、磁気特性の低下を招く。
【0069】
この内部潤滑材が前記成形用金型の内面に塗布された高級脂肪酸系潤滑剤と同一の潤滑剤であると、取扱いが容易となり一層好ましい。具体的には、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸リチウム等であれば好ましい。なお、内部潤滑材の原料粉末への添加は、噴霧、混合、浸漬等種々の方法で行える。
【0070】
原料粉末へ内部潤滑材を添加(含有)させる場合であっても、前述の充填工程や成形工程に変りはない。また、その成形工程後に得られた粉末成形体を高温(例えば、650℃以上)で焼鈍工程等を施した場合、その内部潤滑材は分解し除去される。
【0071】
▲4▼加熱工程
加熱工程は、残留応力や残留歪を除去するために、成形工程後に得られた粉末成形体を加熱、徐冷する工程である。これにより、高飽和磁化で周波数応答性に優れ、低保磁力でヒステリシス損の小さい圧粉成形体が得られる。
【0072】
なお、この加熱工程で除去される歪は、成形工程前から軟磁性粉末の粒子内に蓄積された歪でも、成形工程時の塑性変形によって生じる塑性歪(成形歪)でも、その両方でも良い。もっとも、軟磁性粉末が予め熱処理等によって残留応力や残留歪が除去された状態にある場合、この加熱工程では、主に、高圧成形によって軟磁性粉末へ付与された残留応力や残留歪が除去されることとなる。
【0073】
ところで、このときの加熱温度は、絶縁被膜の耐熱性に応じて、絶縁被膜を破壊しない範囲とするのが良い。例えば、絶縁被膜が耐熱性を有する酸化被膜等からなる場合は、焼鈍温度を500〜900℃、さらには600〜800℃としても良い。加熱雰囲気は、原料粉末の加熱工程の場合と同様、不活性雰囲気中で行えば好適である。加熱時間は、効果と経済性とから考えて、1〜300分、好ましくは5〜60分である。
【0074】
(4)リアクトルの用途
本発明のリアクトルは、その用途を問わないが、例えば、産業機械、家庭用電気機器、電気自動車、ハイブリット車等のスイッチイング電源等に利用されると好適である。より具体的には、例えば、DC−DCコンバータのような電圧変換回路で本発明のリアクトルは用いられる。DC−DCコンバータは、最近注目されている電気自動車やハイブリット車のように、駆動用の高電圧(例えば、200〜300V)の直流電源を補機類等のための低電圧(例えば、12V)に変換するものである。この他、誘導機を駆動するために、直流電源を交流電源に変換するインバータ回路等にもリアクトルが用いられる。
【0075】
リアクトルの使用周波数域は、1〜50kHz、1〜30kHzさらには5〜20kHzといった領域が好ましい。この圧粉成形体を使用することで、各種機器の小型化、高性能化、省エネルギー化、低騒音化等を図れる。
【0076】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
(実施例)
(1)原料粉末の製造
軟磁性粉末として、Fe−3%Siの組成をもつガス水アトマイズ粉を用意した。単位は質量%である(以下、同様)。粉末作製時の冷却ガスにはN2ガスを用い、冷却速度は約103℃/secと推定された。これに水素雰囲気中で950℃x3時間の熱処理を施した。これにより得られた軟磁性粉末の特性は、平均アスペクト比:1.5、1粒子内の平均結晶粒数:4、σ10k:1.98T、σr:0.02T、iHc:110A/mであった。なお、磁化σ10kは、800kA/mの磁界中で得られる粉末粒子の磁束密度であり、σrはその残留磁化であり、iHcはその固有保磁力である。
【0077】
この軟磁性粉末を篩い分けによって分級し、重量平均粒径30〜70μmの粉末を取出して使用した。なお、重量平均粒径は、微細粒(細かい粉末)から積算し、重量が50%に至ったところの粒径により求めた。
【0078】
上記の各粉末に絶縁被膜のコーティング処理を次の方法で行なった。
先ず、市販のシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、「SR−2400」)を5倍の有機溶媒(トルエン)に溶解した被覆処理液を製作した。次に、この被覆処理液を、空気流で流動させた上記原料粉末中にスプレー(噴霧)した後、180℃で30分間乾燥させた。こうして、軟磁性粉末100質量%に対してシリコーン樹脂1質量%の割合で、各粉末粒子の表面を被覆し(コーティング工程)、シリコーン樹脂で被覆された原料粉末(被覆処理粉末)を得た。
【0079】
このシリコーン樹脂は、後述の加熱処理等で400℃以上で加熱すると分解し、原料粉末の表面にSiO2の酸化被膜(絶縁被膜)を形成する。この酸化被膜は、絶縁性を有することは勿論、後述する焼鈍温度でも分解せずに高粘度を維持する。こうしてSiO2の酸化被膜は非常に耐熱性に優れた絶縁被膜となる。
【0080】
(2)圧粉成形体の製造
得られた原料粉末を用いて、表1に示す3種の形状をもつブロック状の圧粉成形体を金型潤滑温間加圧成形法により製造した。この具体的な製造方法は次の通りである。なお、表1に示す3種の形状をもつ圧粉成形体を、ブロック1、ブロック2およびブロック3と呼ぶ。ブロック3の詳細な断面形状は図1にも示した。
【0081】
▲1▼表1に示す各ブロック形状に応じたキャビティを有する超硬製の成形用金型を用意した。この成形用金型をバンドヒータで予め150℃に加熱しておいた。この成形用金型の内周面には、予めTiNコート処理を施し、その表面粗さを0.4Zとしておいた。
【0082】
加熱した成形用金型の内周面に、水溶液に分散させたステアリン酸リチウム(高級脂肪酸系潤滑剤)をスプレーガンにて、1cm3/秒程度の割合で均一に塗布した(塗布工程)。ここで用いた水溶液は、水に界面活性剤と消泡剤とを添加したものである。界面活性剤には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)6、(EO)10及びホウ酸エステルエマルボンT−80を用い、それぞれを水溶液全体(100体積%)に対して1体積%づつ添加した。また、消泡剤には、FSアンチフォーム80を用い、水溶液全体(100体積%)に対して0.2体積%添加した。
【0083】
また、ステアリン酸リチウムには、融点が約225℃で、平均粒径が20μmのものを用いた。その分散量は、上記水溶液100cm3に対して25gとした。そして、これをさらにボールミル式粉砕装置で微細化処理(テフロンコート鋼球:100時間)し、得られた原液を20倍に希釈して最終濃度1%の水溶液として、上記塗布工程に供した。
【0084】
▲2▼ステアリン酸リチウムが内面に塗布されたその成形用金型へ、それと同温の150℃に加熱しておいた上記の各種原料粉末を自然充填した(充填工程)。
【0085】
▲3▼成形用金型を150℃に保持したまま、1568MPaの成形圧力で、充填された各原料粉末を温間加圧成形した(成形工程)。
【0086】
なお、この温間加圧成形に際して、いずれの原料粉末も成形用金型とかじり等を生じることがなく、5MPa程度の低い抜圧で粉末成形体をその金型から取出すことができた。
【0087】
▲4▼得られた粉末成形体に、非酸素雰囲気(N2ガス雰囲気またはArガス雰囲気)中で、焼鈍温度:750℃、焼鈍時間:30分の焼鈍(加熱処理)を適宜施した(加熱工程)。
【0088】
(3)リアクトル用コアの製造
得られた圧粉成形体からなるブロック1〜3を表2に示すように組合わせて、図2(a)、図2(b)および図3に示す形状をもつコア10およびコア20を製作した。なお、図2は、それらの平面図であり、図3はコア10の斜視図である。図3から明らかなように、コア10は上下2段構成となっている。これはコア20についても同様である。また、各ブロックの対向面間に介在させたものは、PPSからなる樹脂板5であって、ブロック1〜3と同断面形状をもつ。但し、樹脂板5の厚さは表2に示したように、各試験片毎に変更してある。これにより、コア10およびコア20の見掛透磁率を調整した。なお、ブロック1〜3、ブロック1〜3と樹脂板5とは、エポキシ系の熱硬化性樹脂により接合した。
【0089】
(測定)
表2に示した各試験片のコアに、定格電流に沿った被覆平角銅線(6x1.5mm)を46〜60ターン巻回し、コイルを形成した。このターン数は、インダクタンス300μHから決定したものである。この試験片に、LCRメータ(メーカ:HIOKI、型番:3531Z)により、10mA、10kHzの条件で交流抵抗値(装着時交流抵抗値)を測定した。なお、上記と同じ条件の交流をコイル単体へ流したときの交流抵抗値(単体時交流抵抗値)は200mΩであった。
【0090】
また、実際の昇圧用スイッチング電源につないでインバータ評価を行い、リアクトルの重量特性および損失(電流値:20A)を評価した。これらの結果も表2に併せて示した。
【0091】
磁気特性の測定は、前述した圧粉成形体からなるリング状試験片(外径:φ39mm×内径φ30mm×厚さ5mm)を用意して行った。静磁場特性は直流自記磁束計(メーカ:東英工業、型番:MODEL−TRF)により測定した。鉄損は、各コアを10kHz、0.2Tの磁場中に置き、B−Hアナライザ(メーカ:岩崎通信機社製、型番:SY−8232)により測定し、検出コイル、励磁コイルにはそれぞれ90ターン巻いたものを用いた。なお、この鉄損は、ヒステリシス損と渦電流損との和である。静磁場中の磁束密度は、10kA/m中にできる磁束密度を示したものであり、表2中ではB10kとして示した。また、同表中に示した飽和磁化(Ms)は、0.1MA/mでの磁束密度(B)の値である。圧粉成形体の密度(ρ)は、アルキメデス法により測定した。なお、Fe−3%Siの真密度(ρ0)は7.67x103kg/m3である。これに基づいて、密度比(ρ/ρ0)を算出し、その結果も表2に併せて示した。
【0092】
(評価)
表2に示すように、本発明のリアクトルでは、直流重畳特性に優れており、損失も小さい。樹脂板5の厚みを4mm超とした試験片No.5では、リング試験片の鉄損は他の試験片と同様であるにも拘らず、もれ磁束に起因する損失によって、実際のリアクトルの損失が約3倍となった。
【0093】
表2に示した装着時交流抵抗値r1 を棒グラフにしたものを図4に示す。図4のグラフからも明らかなように、試験片No.1〜4の装着時交流抵抗値は他の試験片のものよりも格段に低い値となっている。この装着時交流抵抗値の低下が上記銅損の低下に繋がっていると思われる。また、銅損が少ない試験片は、その装着時交流抵抗値がコイル単体での交流抵抗値(単体時交流抵抗値)の2.5倍以下となっているものであることも表2および図4のグラフから明らかである。
【0094】
【表1】

Figure 0004289665
【0095】
【表2】
Figure 0004289665

【図面の簡単な説明】
【図1】リアクトル用コアを構成する一つの圧粉成形体の断面形状を示す図である。
【図2】本発明に係るリアクトル用コアの一形態を示す平面図であり、同図(a)は直方体状の圧粉成形体を組合わせたものであり、同図(b)は直方体状の圧粉成形体とU字状の圧粉成形体とを組合わせたものである。
【図3】図2(a)に示したリアクトル用コアの斜視図である。
【図4】各試験片毎の交流抵抗値を示す棒グラフである。
【符号の説明】
1〜3 ブロック
5 樹脂板
10 コア
20 コア[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a reactor used in a power supply circuit and the like, a core (magnetic core) used in the reactor, and a method for manufacturing the reactor core.
[0002]
[Prior art]
In industrial machines, household electrical appliances, electric vehicles, hybrid vehicles, etc., conversion between a DC power supply and an AC power supply, voltage conversion between DC power supplies (DC-DC conversion), etc. are performed via a switching power supply or the like. . For example, in the case of an electric vehicle or a hybrid vehicle, the voltage is reduced from the voltage of the storage battery (200 to 300 V) to the voltage for vehicle electrical components (12 to 48 V). In addition, when inverter control is performed on a brushless motor or the like, a DC power source is converted into a high frequency AC power source.
[0003]
A power supply circuit constituting such a switching power supply is provided with a reactor including a core (iron core) and a coil in which a copper wire or the like is wound around the core. In addition, even if it combines a core and a coil similarly, although a name changes suitably with the use and function, in this specification, they are collectively called a reactor.
[0004]
Although the required performance varies depending on the application, the reactor is generally required to have a small size, low loss, low noise and excellent direct current superposition characteristics. For example, a core having high saturation magnetization is used to reduce the size of the reactor, and a core having high specific resistance and low coercive force is used to reduce loss. In order to improve the direct current superimposition characteristic, a core having a stable inductance (L), specifically a core having a stable magnetic permeability (constant magnetic permeability) is desirable.
[0005]
Thus, in order to improve the performance of the reactor, the performance of the core disposed in the coil is very important. For this reason, a wide variety of cores having been appropriately changed in material, manufacturing method, form, and the like have been used depending on the application of the reactor.
[0006]
For example, the core material includes oxide ferrite, Fe-Si steel plate, amorphous ribbon, and the like. The core using these is manufactured by laminating plate materials, compacting, compacting and the like. Further, a plurality of block-shaped cores having a predetermined shape are joined to form a core having a desired shape, or an apparent air permeability is adjusted by providing an appropriate gap (gap).
[0007]
More specifically, a core made of an amorphous ribbon is used for a high current (high power) reactor, and an Fe-Si steel plate is often used for a low frequency (several kHz or less) reactor. A dust core is used for the power factor improving choke coil, and the powder is often composed mainly of Fe-7% Si or Sendust (Fe-9% Si-6% Al).
[0008]
Further, patent documents relating to such a reactor core include the following. Patent Document 1 describes that transformer cores of various shapes can be easily manufactured by joining bulk bodies formed by high-density molding of Fe-based soft magnetic alloy particles. Patent Document 2 describes a dust core for a reactor that can improve the efficiency of a switching power supply having a frequency of 10 kHz or more.
[0009]
[Patent Document 1]
JP-A-5-326289
[Patent Document 2]
JP 2002-75719 A
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, a core made of an amorphous ribbon is expensive because it requires a special manufacturing apparatus for its production, and has a large magnetostriction and a large noise. Since the ferrite core has a low saturation magnetization, DC superposition characteristics are poor in a large-capacity power supply, and the volume (cross-sectional area) needs to be increased to compensate for the shortage of magnetic flux, leading to an increase in size of the component.
[0011]
In the core made of the Fe—Si based electromagnetic steel sheet, the loss rapidly increases when the frequency used is about 20 kHz or more, so that the frequency range used is limited to that. In addition, when a high current is applied to the coil, it is necessary to increase the saturation magnetic flux density or improve the DC superposition characteristics by providing a gap (see Patent Document 1) in a part of the magnetic path. In any case, however, the noise becomes large.
[0012]
In the case of a core (powder magnetic core) formed by compacting Fe-Si powder or the like whose particle surface is insulated, the magnetic flux density can be increased by increasing the density, and the powder particles are covered with an insulating coating. High specific resistance and low eddy current loss. However, the DC superposition characteristics when a high current is applied to the coil are still poor, and the inductance on the high current side is likely to be significantly reduced. In order to improve the direct current superposition characteristics, it is considered effective to increase the saturation magnetic flux density or to provide a gap or the like in a part of the magnetic path. However, such a countermeasure is not preferable because it results in an increase in loss. Details of this will be described later.
[0013]
Furthermore, the dust core for reactor of the said patent document 2 does not respond | correspond to the high electric power to which the high current of 100 A or more is superimposed and applied, for example, and also with the reactor corresponding to the high ripple current in several to several tens of kHz Absent.
[0014]
From this point of view, a reactor and a reactor core that are low loss, low noise, small size (about several kg), and that can handle high power and high ripple current are desired. If a special Si steel plate (thickness: 0.05 mm), inclined Si steel plate (thickness: 0.05 to 0.1 mm), amorphous ribbon, etc. are used, it may be possible to make such a reactor. Although it is not practical because it is very expensive, and even in that case, the noise is still large.
[0015]
The present invention has been made in view of such circumstances, and an object of the present invention is to provide a reactor that can be used for high power with a large current superimposed thereon and that can achieve loss reduction, noise reduction, miniaturization, and the like. To do. Moreover, it aims at providing the core for reactors suitable for the reactor, and its manufacturing method collectively.
[0016]
[Means for Solving the Problems and Effects of the Invention]
  As a result of extensive research and trial and error, the present inventor has found a reactor core that has high saturation magnetization and excellent direct current superposition characteristics, can reduce overall loss, and can be downsized. Based on this, the reactor of the present invention was completed.
(Reactor)
(1) That is, the reactor of the present invention is a soft magnetic powder containing Fe as a main component.The particle surface of the soft magnetic powder is coated with an insulating coatingA reactor consisting of a reactor core formed by combining at least two compacted compacts obtained by compressing raw material powder, and a coil wound around a conducting wire and attached to the reactor core,
  The green compact has a true density (ρ 0 ) Is the ratio of the bulk density (ρ) to the density ratio (ρ / ρ 0 :%) Is 90% or more,
The core for reactor has a non-magnetic material having a width of 4 mm or less different from the insulating coating at one or more positions between opposed surfaces where each of the combined powder compacts is abutted.
  A saturation magnetization of the reactor core is 1.7 T or more, and a first apparent magnetic permeability (μ) obtained when a magnetic field of 5 kA / m is applied to the reactor core.5k) Is 25 or more and the second apparent permeability (μ) obtained when a magnetic field of 35 kA / m is applied.35k) Is the first apparent permeability (μ5k), And an AC resistance value (r) at the time of mounting, which is an AC resistance value of the coil obtained when 10 mA of alternating current of 10 kHz flows through the coil in a state where it is mounted on the reactor core.1) Is a single-unit AC resistance value (r) that is an AC resistance value of the coil obtained when 10 mA of AC is applied to the single coil that is not attached to the reactor core.0) Less than 2.5 times (r1≦ 2.5r0).
[0017]
In the reactor of the present invention, the core on which the coil is mounted is formed by combining a plurality of powder compacts obtained by compacting raw powders of soft magnetic powder and insulating material. Appropriately adjust the composition of the soft magnetic powder constituting the green compact, the material or blending amount of the insulating material, etc., and appropriately select the spacing between the facing surfaces of the green compact to be combined and the inclusions interposed therebetween Thus, a reactor having the saturation magnetization, the apparent permeability, and the AC resistance value is obtained.
[0018]
In the case of the reactor of the present invention, first, the saturation magnetization of the core is as high as 1.7 T or more, and the apparent permeability is kept stable even in a high magnetic field such as 5 kA / m or 35 kA / m. For this reason, a reactor having excellent direct current superimposition characteristics can be obtained. If this reactor is used, a switching power supply having a stable output can be obtained even when a large current is applied to the coil. Moreover, a reactor corresponding to a high ripple current is obtained, and noise is also suppressed.
[0019]
Next, the compacting body which forms the core for reactors of this invention consists of a powder particle each insulated with the insulating material. For this reason, a specific resistance is also large and the iron loss (high frequency loss) which arises with the compacting body is also small.
[0020]
Here, according to the research of the present inventors, it is clear that it is very effective to reduce not only the iron loss that has been regarded as a problem but also the copper loss of the coil itself in reducing the loss of the reactor. It became. In the present invention, the material of the conductive wire constituting the coil is not limited. For convenience, the loss in the coil is called copper loss, and is distinguished from high-frequency loss (iron loss) generated in the reactor core. By the way, iron loss mainly consists of eddy current loss and hysteresis loss.
[0021]
Detailed investigations by the inventor have revealed that copper loss is affected by the properties of the core. And it became clear that this copper loss will increase, if the compacting body which comprises a core is increased in density very much in order to increase magnetic flux density. On the other hand, when the specific resistance of the green compact was increased, it was also clarified that this copper loss was reduced. The reason why such a phenomenon occurs is not necessarily clear, but at present, it is considered as follows. That is, when the specific resistance value of the green compact is low, an eddy current is likely to be generated, and this eddy current is linked to the coil to prevent the current flowing through the coil.
[0022]
By the way, this copper loss is naturally a loss when the coil is mounted on the core, and depends on the AC resistance value at each frequency and the current value flowing at that time. For this reason, in order to reduce copper loss, it is effective to reduce the AC resistance value of the core when the coil is attached to the core. This AC resistance value varies depending not only on whether the coil is attached to the core but also on the frequency and current (voltage) value of the applied current. Therefore, in the present invention, for the sake of convenience, the evaluation was made based on the AC resistance value when an alternating current of 10 kHz was passed through the 10 mA coil. Then, as a range in which the copper loss can be effectively reduced, the AC resistance value at the time of mounting, which is the resistance value when the coil is mounted on the core, is defined as 2.5 times or less of the AC resistance value at the time of single coil. As described above, if the AC resistance value at the time of mounting is approximately the same as the AC resistance value at the time of the single unit, the loss generated in the reactor can be reduced even when the applied AC current value is increased.
[0023]
Thus, the reactor of the present invention can be downsized because the core has a high saturation magnetization, and the apparent permeability is stable up to a high magnetic field, so it has excellent direct current superposition characteristics, for example, several to several tens of kHz ( For example, it is possible to cope with a high ripple current of 1 to 100 kHz and noise is suppressed. Further, since the AC resistance value is small when the coil is mounted, the loss of the entire reactor is very small. Therefore, although the reactor of the present invention can be used for high power, it is small, low noise, and highly efficient with little loss.
[0024]
By the way, in the case of the reactor of this invention, it is preferable if the said saturation magnetization becomes 1.8T or more, 1.9T or more, and 2.0T or more. If the saturation magnetization is too small, it is not preferable because the DC superimposition characteristics deteriorate and the performance of the reactor decreases, but conversely, if the saturation magnetization becomes excessive due to high density forming, the copper loss increases as described above. The upper limit is preferably 2.0T. In addition, the apparent permeability is the first apparent permeability (μ5K) Is 25, 30, 35 or more, the second apparent permeability (μ35K) Is the first apparent permeability (μ5K70, 80, 90% or more of If the apparent permeability is too low, sufficient inductance cannot be obtained and the performance of the reactor will decrease, but conversely, even if the apparent permeability is excessive, the DC superimposition characteristics will deteriorate and the performance of the reactor will deteriorate. Therefore, the upper limit is preferably 50. Further, the AC resistance value when mounted is preferably 2.3 times or less, 2.1 times or less, and 2.0 times or less of the AC resistance value when single. AC resistance value (r1Specifically, for example, it is preferably 1Ω or less, 0.9Ω or less, or 0.8Ω or less.
[0025]
(2) The reactor of the present invention is specified by the characteristics as described above, for example, as follows.
  That is, the present invention provides a soft magnetic powder mainly composed of Fe.The particle surface of the soft magnetic powder is coated with an insulating coatingA reactor core configured by combining at least two compacts formed by compressing raw material powder;
  A reactor comprising a coil wound around a conducting wire and attached to the reactor core,
  The green compact has a true density (ρ0) Is the ratio of the bulk density (ρ) to the density ratio (ρ / ρ0:%) Is 90% or more, and the reactor core is combined between the opposing surfaces of the green compact that forms a magnetic path.More than one placeInDifferent from the insulating coatingLess than 4mm in widthNon-magnetic materialIs interposed, and the coil may be a reactor in which a rectangular copper wire is wound for 30 turns or more. In addition, the cross-sectional area of this rectangular copper wire may be appropriately selected according to the use conditions (frequency, superimposed current, inductance, etc.) of the reactor so that the coil is not significantly damaged thermally by copper loss during use. It is preferable.
[0026]
In the reactor of the present invention, the above-described characteristics are expressed by specifying the amount of insulating material in the green compact, the density ratio thereof, and the state between the opposing surfaces of the green compact to be combined as described above. A reactor core and reactor are obtained.
[0027]
(Reactor core)
  This invention can be grasped | ascertained not only as said reactor but as a reactor core which comprises it.
  That is, the present invention provides a soft magnetic powder mainly composed of Fe.The particle surface of the soft magnetic powder is coated with an insulating coatingA core for a reactor configured by combining at least two compacts formed by compressing raw material powder,
  The green compact has a true density (ρ0) Is the ratio of the bulk density (ρ) to the density ratio (ρ / ρ0:%) Is 90% or more, and between the opposing surfaces of the green compact that is combined to form a magnetic pathMore than one placeInDifferent from the insulating coatingLess than 4mm in widthNon-magnetic materialIt is good also as a core for reactors characterized by being interposed by one or more places.
[0028]
(Reactor core manufacturing method)
  The reactor core is manufactured as follows, for example.
  That is, the present invention provides a soft magnetic powder mainly composed of Fe.The particle surface of the soft magnetic powder is coated with an insulating coatingA method for producing a reactor core comprising a combination of at least two compacts of compacted raw material powder,
  The green compact isA filling step of filling the raw material powder into a molding die coated with a higher fatty acid-based lubricant; and the raw material powder filled in the molding die is warm-pressed and A molding step of obtaining a powder compact by forming a metal soap film on the surface of the soft magnetic powder in contact with the inner surface of the molding die;Manufactured byTrue density of the soft magnetic powder (ρ0) Is the ratio of the bulk density (ρ) to the density ratio (ρ / ρ0:%) Is 90% or moreIn addition, the plurality of dust compacts are formed by interposing a non-magnetic material different from the insulating coating having a width of 4 mm or less at one or more locations between the opposing surfaces formed when the obtained plurality of compact compacts are butted. Combine the body into a reactor coreIt is good also as a manufacturing method of the core for reactors characterized by these.
[0029]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, the present invention will be described in more detail with reference to embodiments. It should be noted that the contents described in this specification including the following embodiments are applicable not only to the reactor of the present invention but also to the reactor core and the manufacturing method thereof as appropriate.
(1) Soft magnetic powder and insulating material
The soft magnetic powder according to the present invention is a powder containing Fe as a main component, but preferably contains 2 to 5% by mass of Si. Si is an element effective in increasing the electrical resistivity (specific resistance) of the powder particles and reducing the eddy current loss of the green compact. Moreover, the core which combined the compacting body which consists of Fe-Si type powders is excellent in a direct current | flow superimposition characteristic. Here, if the Si amount is less than 2% by mass, the loss increases. On the other hand, if the amount of Si exceeds 5% by mass, the magnetic flux density of the green compact is reduced, which is not preferable. It is more preferable that the lower limit of the Si amount is 2.5 mass% and 3 mass%, and the upper limit is 4.5 mass% and 4 mass%.
[0030]
This soft magnetic powder may be composed of such Si, the balance being Fe and inevitable impurities, and may contain an element for improving magnetic properties or an element for reducing iron loss as appropriate. Examples of such elements include aluminum (Al), nickel (Ni), and cobalt (Co).
[0031]
The soft magnetic powder according to the present invention preferably has a weight average particle size of 30 to 70 μm. . The weight average particle diameter is a particle diameter determined from the particle diameter when the weight reaches 50%, integrated from fine particles.
[0032]
If the weight average particle size (hereinafter also simply referred to as “particle size”) is less than 25 μm, the eddy current loss is reduced, but the hysteresis loss is excessively increased. Conversely, if the particle size exceeds 100 μm, the hysteresis loss decreases, but the eddy current loss increases excessively, which is not preferable. When a soft magnetic powder having a particle size in the above range is used, a green compact that can sufficiently reduce the iron loss, which is the sum of eddy current loss and hysteresis loss, is obtained in the above-described low and medium frequency ranges. . More preferably, the lower limit of the weight average particle diameter is 35 μm, 40 μm, and 45 μm, and the upper limit is 65 μm, 60 μm, and 55 μm.
[0033]
The soft magnetic powder according to the present invention preferably has an average aspect ratio of 1 to 3. . The average aspect ratio is an average value of the ratio (aspect ratio) between the maximum diameter (major axis) and the minimum diameter (minor axis) of the powder particles. This average value may be obtained by observing a large number of powder particles with an SEM and image analysis. In the case of the present invention, the closer the average aspect ratio (hereinafter also simply referred to as “aspect ratio”) is to 1, that is, the more the powder particles are spherical, the lower the coercive compact. Reduction of the coercive force of the green compact is effective in reducing hysteresis loss. Furthermore, the closer the aspect ratio is to 1, the larger the specific resistance, which is effective in reducing eddy current loss. Therefore, the aspect ratio is preferably closer to 1, and the upper limit is more preferably 2.5, 2, 1.5, or the like.
[0034]
Here, the closer the average aspect ratio is to 1 (that is, the closer the shape of the powder particles is to a spherical shape), the smaller the coercive force of the green compact, and the larger the specific resistance is considered as follows. It is done. If the powder particles are close to a spherical shape, the aggression between the particles in contact with each other is reduced when the soft magnetic powder is pressed. On the other hand, if there are many particles having a large aspect ratio and a distorted shape, the projections of one particle pierce other adjacent particles by the pressure applied during molding. And it seems that a large strain or stress is applied only to a very small part of the particle, resulting in an increase in coercive force. In addition, as a result of the increased aggression between particles as described above, the insulating coating formed on the surface of each particle is also easily broken, and the portion where each particle is in direct contact is increased, reducing the specific resistance. Seem.
[0035]
Furthermore, the soft magnetic powder according to the present invention preferably has a coercive force (iHc) of the powder particles of 200 A / m or less. . Since the coercive force of the soft magnetic powder used from the stage before pressure molding is small, the coercive force of the obtained powder compact is also small. Thereby, the compacting body with small hysteresis loss and excellent magnetic characteristics is obtained. This iHc is more preferably 180 A / m or less, 160 A / m or less, and even 150 A / m or less. Such a soft magnetic powder having a low coercive force can be easily obtained, for example, by subjecting an atomized powder or the like to heat treatment to remove residual stress, distortion, or the like. Therefore, the soft magnetic powder is preferably heat-treated at 800 ° C. or higher in an inert atmosphere before pressure molding. The inert atmosphere may be a vacuum atmosphere, an inert gas atmosphere, or a reducing atmosphere such as a hydrogen atmosphere. That is, it is preferable that the atmosphere is not an oxidizing atmosphere.
[0036]
Further, it is preferable that the particle diameter is as described above, and the number of crystal grains in one powder particle is 10 or less on average. The coercive force that affects the hysteresis loss depends on the outer shape of the powder particle itself, but also on the structure inside the powder particle. And the larger the structure is, the smaller the coercive force, and the easier it is to reduce the hysteresis loss. Assuming the above-mentioned weight average particle diameter, the average number of crystal grains in the powder particles is 10 or less, more preferably 8 or less and 5 or less. The average number of crystal grains may be obtained by embedding powder particles in a resin and observing the structure with an optical microscope.
[0037]
The method for producing the soft magnetic powder as described above is not limited. For example, it is also conceivable to obtain a powder by grinding an alloy ingot with a ball mill or the like. However, in order to obtain a more spherical powder, the atomization method is preferable. That is, a gas spray atomizing method in which gas is sprayed onto a molten metal stream having a predetermined composition to atomize, a water spray atomizing method in which water is sprayed onto the molten metal stream to atomize, and further, the molten metal stream is mixed with gas and water. It is preferable that the soft magnetic powder is produced by a gas / water atomizing method in which the mixture is atomized by spraying the mixture. In the present specification, the powders obtained by these atomizing methods are referred to as gas atomized powder, water atomized powder, and gas water atomized powder, respectively.
[0038]
When this inventor investigated, the atomized powder suitable for the compacting body of this invention was gas water atomized powder. This seems to be due to the relatively slow cooling rate. The gas used for the atomization method is preferably an inert gas such as N 2 or Ar.
[0039]
However, it is atomized in an oxidizing atmosphere and the surface of the powder particles is SiO.2An appropriate insulating oxide film such as the above may be formed. This is preferable in that the specific resistance of the green compact is increased and eddy current loss can be reduced. However, SiO2Etc. are hard, and if the amount is too large, the moldability of the soft magnetic powder is lowered, and the density of the green compact is reduced. In addition to this, the insulating film includes a resin film, a phosphate film, etc., but the oxide film is excellent in heat resistance, and is preferable because its breakage is suppressed and prevented even when heat treatment such as an annealing process is performed. . As such a heat-resistant oxide film, the SiO2Besides, Al2OThreeTiO2, ZrO2And their complex oxide insulating coatings.
[0040]
By the way, it is preferable that the compacting body of this invention positively contains the insulating material which insulates between the powder particles which comprise a soft magnetic powder separately from such an oxide insulating film. When the content of this insulating material increases, the magnetic flux density in the green compact decreases, which is not preferable, but by setting the content to 1 to 10% by volume, further 3 to 8% by volume, the magnetic flux density The desired magnetic permeability (apparent magnetic permeability) can be obtained even in a high magnetic field generated by a large current while suppressing the decrease of the above. And the reactor excellent in direct current | flow superimposition characteristic is obtained. Examples of such insulating materials include nitrides such as AlN and BN, minerals such as clay, silicone resins called binders (binding materials), amide resins, imide resins, phenol resins, and internal lubricants described later. Moreover, when a binder is used as an insulating material, an insulating film is easily formed.
[0041]
When the soft magnetic powder is warm-pressed as in the manufacturing method of the present invention described above, a new lubricant (excellent in lubricity) between the inner wall surface of the molding die and the soft magnetic powder ( A metal soap film) is formed. It has been found that this metal soap film exhibits the most excellent lubricity when it contains Fe (for example, an iron salt film of a higher fatty acid). Therefore, from the viewpoint of promoting the formation of such a coating, it is more preferable that the insulating coating itself contains Fe. Such an insulating coating is, for example, iron phosphate if it is phosphate-based, and FeSiO if it is oxide-based.Three, FeAl2OFourNiFe2OFourA complex oxide system such as Fe is desirable.
[0042]
As the film thickness increases, the specific resistance of the insulating film increases. However, if the film thickness is too large, the magnetic flux density of the formed green compact decreases. Therefore, from the viewpoint of securing the magnetic flux density and specific resistance of the green compact, the film thickness is preferably 1 to 1000 nm, and more preferably 10 to 100 nm.
[0043]
Needless to say, it is ideal that the insulating coating is originally formed for each of the powder particles. However, in practice, naturally, an insulating film may be formed around several particles in a solid state, and such a state is also assumed by the present invention.
[0044]
(2) Reactor core
The reactor core of the present invention is formed by combining compacted bodies obtained by high-density molding of the soft magnetic powder as described above.
First, the green compact has excellent magnetic properties such as magnetic permeability, saturation magnetization, and DC superimposition characteristics, and iron loss such as hysteresis loss and eddy current loss in a low to medium frequency range of 1 to 50 kHz. . These characteristics will be specifically described below.
[0045]
One index of the magnetic properties of the green compact is magnetic permeability, which varies depending on the strength of the magnetic field on which the green compact is placed. Therefore, the magnetic properties of the green compact are often indicated by the magnetic flux density when placed in a magnetic field having a specific strength. Magnetic flux density B generated when the green compact of the present invention is placed in a magnetic field of 10 kA / m, for example.10kThe magnetic flux density B10kBecomes 1.1T or more, 1.2T or more, 1.3T or more, 1.4T or more, and further 1.5T or more.
[0046]
Saturation magnetization (Ms) is also an important index of magnetic properties. In the case of the green compact of the present invention, high saturation magnetization such as 1.8T or more, 1.85T or more, and 1.9T or more is exhibited. Due to such high saturation magnetization, a reactor core having excellent direct current superposition characteristics can be obtained. Needless to say, the saturation magnetization at this time is a saturation magnetization as a single compact body, and not a saturation magnetization as a whole core combining the same. The saturation magnetization is measured, for example, when the green compact is placed in a high magnetic field of 0.1 MA / m.
[0047]
Moreover, the compacting body of this invention also has a small coercive force. As a result, a reactor core having good followability to an alternating magnetic field and low hysteresis loss can be obtained. The coercive force of the green compact is, for example, 220 A / m or less, 200 A / m or less, and further 180 A / m or less. The iron loss of the green compact is, for example, 420 kW / m in an alternating magnetic field having a frequency of 10 kHz and a magnetic flux density of 0.2 T.ThreeHereinafter, further 400 kW / mThree380 kW / m belowThree350 kW / mThreeVery low such as:
[0048]
By the way, the magnetic properties such as the magnetic flux density of the green compact are greatly influenced by whether or not the high density molding is performed, that is, the density. However, since the density varies depending on the composition of the soft magnetic powder, the degree of high-density molding of the green compact cannot be indicated simply by the density alone. Therefore, in the present invention, the true density (ρ0) To the density ratio (ρ / ρ), which is the ratio of the bulk density (ρ) of the green compact0) To indicate the degree of high density molding. In the case of the green compact of the present invention, its ρ / ρ0Has a density ratio of 92% or more, 93% or more, 94% or more, and 95% or more. However, the upper limit is preferably 95%. This is because if the density is too high, the AC resistance value increases and the loss increases.
[0049]
Next, there is a specific resistance as an index of the electrical characteristics of the green compact of the present invention. This specific resistance is an eigenvalue for each green compact that does not depend on the shape. If the green compact has the same shape, the larger the specific resistance, the smaller the eddy current loss. Since the green compact of the present invention is made of the specific soft magnetic powder described above, this specific resistance is relatively large, and the eddy current loss can be reduced accordingly. In the case of the green compact of the present invention, the specific resistance is 1000 μΩm or more, 10,000 μΩm or more, and further 100,000 μΩm or more. And as mentioned above, the coil of the reactor equipped with the core combined with this powder compact with a large specific resistance also has a small AC resistance value, which is effective in reducing the overall loss of the reactor.
[0050]
By the way, the reactor core of the present invention is formed by combining a plurality of the above compacted bodies. A plurality of compacted compacts can be butted and bonded together to form an integral reactor core. Moreover, you may fix a some compacting body with a fastener mechanically, without making it adhere | attach etc. FIG. However, no matter what combination is used, adjacent powder compacts have opposing surfaces facing each other, and this is usually the magnetic path. And it becomes possible to adjust the apparent permeability as the whole reactor core by devising the form between the facing surfaces. For example, the space between the opposing surfaces may be filled and bonded with an adhesive such as a thermosetting resin. Further, the gap between the opposing surfaces may be an air gap, or a resin material such as PPS (polyphenylene sulfide) may be interposed. For adjusting the apparent permeability, it is preferable to interpose such a non-magnetic material between the opposing surfaces. However, if the distance between the opposed surfaces is increased, the leakage magnetic flux and the like increase, and the performance of the reactor is reduced. Therefore, the distance between the opposed surfaces is preferably 4 mm or less, 3 mm or less, and more preferably about 0.5 to 2.5 mm. In addition to the form (shape, size, etc.) of the green compact, the form of the core formed by combining them is also arbitrary. What is necessary is just to determine suitably according to the required specification of a reactor.
[0051]
(3) Method for producing a green compact
The method for producing a green compact is basically composed of a filling step of filling a raw material powder composed of a soft magnetic powder and an insulating material into a molding die and a molding step of pressure-molding the filled raw material powder. .
[0052]
The green compact of the present invention does not exclude a raw material powder mixed with an internal lubricant and molded at room temperature and high pressure in a molding die. However, in this case, when the molding pressure is increased, galling is likely to occur between the inner surface of the molding die and the raw material powder, the pressure is excessively increased, or the mold life is extremely reduced. Regardless of the test level, considering the industrial level, it is actually difficult to increase the molding pressure in conventional mold molding, and as a result, it is difficult to obtain a compact with a high density ratio.
[0053]
The present inventor has established an epoch-making mold lubrication warm pressure molding method different from the conventional room temperature high pressure molding to solve this problem brilliantly. In this molding method, the filling step is a step of filling a raw material powder into a molding die in which a higher fatty acid-based lubricant is applied to the inner surface, and the molding step is a raw material powder filled in the molding die. Is a step of forming a metal soap film on the surface of the raw material powder in contact with the inner surface of the molding die by hot pressing.
[0054]
Next, this manufacturing method will be described in more detail.
(1) Filling process
In the filling process, it is necessary to apply a higher fatty acid lubricant to the inner surface of the molding die (application process).
This higher fatty acid-based lubricant may be a metal salt of a higher fatty acid in addition to the higher fatty acid itself. Examples of the higher fatty acid metal salts include lithium salts, calcium salts, and zinc salts. In particular, lithium stearate, calcium stearate, zinc stearate and the like are preferable. In addition, barium stearate, lithium palmitate, lithium oleate, calcium palmitate, calcium oleate, and the like can also be used.
[0055]
This coating step is preferably a step of spraying a higher fatty acid lubricant dispersed in water, an aqueous solution, an alcohol solution or the like in a heated molding die. When the higher fatty acid-based lubricant is dispersed in water or the like, the higher fatty acid-based lubricant is easily sprayed uniformly on the inner surface of the molding die. Further, when it is sprayed into the heated molding die, moisture and the like are quickly evaporated, and the higher fatty acid-based lubricant uniformly adheres to the inner surface of the molding die. The heating temperature of the molding die at that time needs to consider the temperature of the molding process described later, but it is sufficient to heat it to 100 ° C. or higher, for example. However, in order to form a uniform film of a higher fatty acid-based lubricant, it is preferable that the heating temperature be lower than the melting point of the higher fatty acid-based lubricant. For example, when lithium stearate is used as the higher fatty acid-based lubricant, the heating temperature is preferably less than 220 ° C.
[0056]
When the higher fatty acid-based lubricant is dispersed in water or the like, when the total weight of the aqueous solution is 100% by mass, the higher fatty acid-based lubricant is 0.1 to 5% by mass, When included in a proportion of 2% by mass, a uniform lubricating film is preferably formed on the inner surface of the molding die.
[0057]
Further, when the higher fatty acid-based lubricant is dispersed in water or the like, if the surfactant is added to the water, the higher fatty acid-based lubricant can be uniformly dispersed. Examples of such surfactants include alkylphenol surfactants, polyoxyethylene nonylphenyl ether (EO) 6, polyoxyethylene nonyl phenyl ether (EO) 10, anionic nonionic surfactants, and boric acid. Ester-based Emulbon T-80 or the like can be used. Two or more of these may be used in combination. For example, when lithium stearate is used as a higher fatty acid-based lubricant, three types of polyoxyethylene nonylphenyl ether (EO) 6, polyoxyethylene nonylphenyl ether (EO) 10 and borate ester Emulbon T-80 are available. It is preferable to use a surfactant at the same time. This is because the dispersibility of lithium stearate in water or the like is further activated when added in combination as compared with the case of adding only one of them.
[0058]
In order to obtain an aqueous solution of a higher fatty acid-based lubricant having a viscosity suitable for spraying, when the total amount of the aqueous solution is 100% by volume, the ratio of the surfactant is preferably 1.5 to 15% by volume.
[0059]
In addition, a small amount of an antifoaming agent (for example, a silicon-based antifoaming agent) may be added. This is because when the foaming of the aqueous solution is intense, it is difficult to form a uniform higher fatty acid lubricant film on the inner surface of the molding die when sprayed. The addition ratio of the antifoaming agent may be, for example, about 0.1 to 1% by volume when the total volume of the aqueous solution is 100% by volume.
[0060]
The higher fatty acid-based lubricant particles dispersed in water or the like preferably have a maximum particle size of less than 30 μm. When the maximum particle size is 30 μm or more, the higher fatty acid-based lubricant particles are likely to be precipitated in the aqueous solution, and it becomes difficult to uniformly apply the higher fatty acid-based lubricant to the inner surface of the molding die. Application of the aqueous solution in which the higher fatty acid-based lubricant is dispersed can be performed using, for example, a spray gun for painting, an electrostatic gun, or the like. In addition, as a result of investigating the relationship between the coating amount of the higher fatty acid-based lubricant and the extraction pressure of the powder molded body, the present inventor has found that the higher fatty acid-based lubricant has a film thickness of about 0.5 to 1.5 μm. It has been found preferable to apply a lubricant to the inner surface of the molding die.
[0061]
(2) Molding process
Although the details are not clear, it is considered that the above-described metal soap film is generated by a mechanochemical reaction in this step.
That is, by the reaction, the soft magnetic powder (or the coating when an insulating coating is formed on the particle surface) and the higher fatty acid-based lubricant are chemically bonded to each other to form a metal soap coating (for example, higher fatty acid iron). Salt film) is formed on the surface of the green compact. This metal soap film is firmly bonded to the surface of the powder molded body and exhibits a lubricating performance far superior to the higher fatty acid-based lubricant adhered to the inner surface of the molding die. As a result, the frictional force between the contact surfaces of the inner surface of the molding die and the outer surface of the powder molded body is remarkably reduced, and no galling or the like occurs despite high-pressure molding. And the powder compact was taken out from the molding die with a very low depressurization pressure, and the die life was not shortened. A typical example of the metal soap film is an iron stearate film or zinc stearate formed by the reaction of lithium stearate or zinc stearate, which is a higher fatty acid lubricant, with Fe.
[0062]
Since this metal soap film is formed even if each particle of the soft magnetic powder is coated with an insulating film, the necessary Fe is considered to be basically supplied from the insulating film. It is done. Of course, when the insulating coating originally contains a metal such as Fe, it is considered that Fe or the like appears in the insulating coating due to reaction or diffusion between the soft magnetic powder and the insulating coating.
[0063]
“Warm” in this molding step means that the molding step is performed under appropriate heating conditions according to each situation. However, in order to promote the reaction between the soft magnetic powder and the higher fatty acid-based lubricant, it is generally preferable that the molding temperature is 100 ° C. or higher. Moreover, in order to prevent the higher fatty acid-based lubricant from being altered, it is generally preferable that the molding temperature is 200 ° C. or lower. It is more preferable that the molding temperature is 120 to 180 ° C.
[0064]
The degree of “pressing” in the molding process is also appropriately determined according to the desired properties of the green compact, the composition of the raw material powder, the type of insulating coating or higher fatty acid lubricant, the material of the molding die, the internal properties, etc. It is to be decided. When this manufacturing method is used, molding can be performed under a high pressure that exceeds the conventional molding pressure. Therefore, even with a hard Fe-Si powder, a high-density compact can be easily obtained. . The molding pressure can be, for example, 700 MPa or more, 785 MPa or more, 1000 MPa or more, 1500 MPa or more, or even 2000 MPa or more. The higher the molding pressure, the higher the density of the green compact. However, it is preferable that the upper limit of the molding pressure be 2000 MPa in consideration of the life and productivity of the molding die.
[0065]
In addition, when this inventor pressure-molds pure Fe powder using this shaping | molding method, the extraction pressure becomes the maximum at a forming pressure of about 600 MPa, and it is rather experimentally that an extraction pressure falls rather than it. I have confirmed. And even when the molding pressure was changed in the range of 900 to 2000 MPa, the extraction pressure was a very low value of about 5 MPa. From this, it can be seen how excellent the lubricity of the metal soap film is. This forming method was actually very effective when high-pressure forming a hard Fe-Si powder. Such excellent moldability was the same even when higher fatty acid-based lubricants such as zinc stearate and calcium stearate were used in addition to lithium stearate.
[0066]
(3) Internal lubricant
When this mold lubrication warm pressure molding method is used, high pressure molding is possible without adding the conventionally required internal lubricant to the raw material powder. By adding no internal lubricant, it is possible to further increase the density and the magnetic flux density of the green compact.
[0067]
On the other hand, by adding the internal lubricant to the raw material powder, slip between the powder particles is improved, and galling between the molding die and the soft magnetic powder is prevented. Moreover, the internal lubricant also has an effect of suppressing plastic strain of the powder particles. Thereby, the coercive force of the green compact is reduced, and the hysteresis loss is also reduced.
[0068]
For example, the internal lubricant is preferably 0.1 to 0.6% by mass, and more preferably 0.2 to 0.5% by mass with respect to 100% by mass of the raw material powder coated with the insulating coating. If the amount is too small, the effect of the internal lubricant is not obtained. If the amount is too large, the density of the green compact cannot be increased and the magnetic properties are deteriorated.
[0069]
It is more preferable that the internal lubricant is the same lubricant as the higher fatty acid-based lubricant applied to the inner surface of the molding die. Specifically, zinc stearate or lithium stearate is preferable. The internal lubricant can be added to the raw material powder by various methods such as spraying, mixing, and dipping.
[0070]
Even when the internal lubricant is added (contained) to the raw material powder, there is no change in the above-described filling process and molding process. Further, when the powder compact obtained after the molding step is subjected to an annealing step or the like at a high temperature (for example, 650 ° C. or higher), the internal lubricant is decomposed and removed.
[0071]
(4) Heating process
The heating step is a step of heating and gradually cooling the powder molded body obtained after the molding step in order to remove residual stress and residual strain. As a result, a green compact with high saturation magnetization and excellent frequency response, low coercive force and small hysteresis loss can be obtained.
[0072]
The strain removed in this heating step may be strain accumulated in the soft magnetic powder particles before the molding step, plastic strain generated by plastic deformation during the molding step (molding strain), or both. However, when the soft magnetic powder is in a state in which residual stress or residual strain has been removed in advance by heat treatment or the like, this heating process mainly removes residual stress or residual strain applied to the soft magnetic powder by high pressure molding. The Rukoto.
[0073]
By the way, the heating temperature at this time is preferably set in a range in which the insulating coating is not destroyed in accordance with the heat resistance of the insulating coating. For example, when the insulating film is made of an oxide film having heat resistance, the annealing temperature may be 500 to 900 ° C., and further 600 to 800 ° C. As in the case of the raw material powder heating step, the heating atmosphere is preferably performed in an inert atmosphere. The heating time is 1 to 300 minutes, preferably 5 to 60 minutes, in view of the effect and economy.
[0074]
(4) Use of reactor
The reactor of the present invention may be used for any application, but is preferably used, for example, as a switching power source for industrial machines, household electric appliances, electric vehicles, hybrid vehicles, and the like. More specifically, for example, the reactor of the present invention is used in a voltage conversion circuit such as a DC-DC converter. The DC-DC converter is a high voltage (for example, 200 to 300V) DC power source for driving and a low voltage (for example, 12V) for auxiliary machines, like an electric vehicle and a hybrid vehicle that have recently been attracting attention. It is to convert to. In addition, in order to drive an induction machine, a reactor is also used for an inverter circuit or the like that converts a DC power source into an AC power source.
[0075]
The use frequency range of the reactor is preferably 1 to 50 kHz, 1 to 30 kHz, or even 5 to 20 kHz. By using this green compact, it is possible to reduce the size, performance, energy saving, noise, etc. of various devices.
[0076]
【Example】
Next, an Example is given and this invention is demonstrated more concretely.
(Example)
(1) Production of raw material powder
A gas water atomized powder having a composition of Fe-3% Si was prepared as a soft magnetic powder. The unit is mass% (hereinafter the same). N as the cooling gas during powder production2Gas is used and the cooling rate is about 10ThreeIt was estimated as ° C / sec. This was heat-treated at 950 ° C. for 3 hours in a hydrogen atmosphere. The properties of the soft magnetic powder thus obtained are as follows: average aspect ratio: 1.5, average number of crystal grains in one grain: 4, σ10k: 1.98T, σr: 0.02T, iHc: 110 A / m. The magnetization σ10kIs the magnetic flux density of the powder particles obtained in a magnetic field of 800 kA / m, σr is its residual magnetization, and iHc is its intrinsic coercivity.
[0077]
This soft magnetic powder was classified by sieving, and a powder having a weight average particle diameter of 30 to 70 μm was taken out and used. In addition, the weight average particle diameter was calculated | required from the particle size when integrating | accumulating from a fine particle (fine powder) and the weight reached to 50%.
[0078]
Each of the above powders was coated with an insulating film by the following method.
First, a coating treatment solution was prepared by dissolving a commercially available silicone resin (“SR-2400” manufactured by Toray Dow Corning Silicone Co., Ltd.) in 5 times the organic solvent (toluene). Next, this coating treatment liquid was sprayed into the raw material powder that was fluidized by an air flow, and then dried at 180 ° C. for 30 minutes. Thus, the surface of each powder particle was coated at a ratio of 1% by mass of the silicone resin with respect to 100% by mass of the soft magnetic powder (coating process) to obtain a raw material powder (coated powder) coated with the silicone resin.
[0079]
This silicone resin decomposes when heated at 400 ° C. or higher by the heat treatment described below, and the surface of the raw material powder is SiO.2An oxide film (insulating film) is formed. This oxide film has an insulating property and maintains a high viscosity without being decomposed even at an annealing temperature described later. Thus SiO2This oxide film is an insulating film having excellent heat resistance.
[0080]
(2) Manufacture of green compact
Using the obtained raw material powder, block-shaped compacts having the three shapes shown in Table 1 were produced by a mold lubrication warm press molding method. The specific manufacturing method is as follows. In addition, the compacting body which has 3 types of shapes shown in Table 1 is called the block 1, the block 2, and the block 3. The detailed cross-sectional shape of the block 3 is also shown in FIG.
[0081]
(1) Carbide molds having cavities corresponding to the respective block shapes shown in Table 1 were prepared. This molding die was preheated to 150 ° C. with a band heater. The inner peripheral surface of this molding die was previously subjected to TiN coating treatment, and the surface roughness was set to 0.4Z.
[0082]
1 cm of lithium stearate (higher fatty acid lubricant) dispersed in an aqueous solution is sprayed on the inner peripheral surface of the heated molding die with a spray gun.ThreeThe coating was uniformly performed at a rate of about / sec (application process). The aqueous solution used here is obtained by adding a surfactant and an antifoaming agent to water. As the surfactant, polyoxyethylene nonylphenyl ether (EO) 6, (EO) 10 and boric acid ester Emulbon T-80 were used, and each was added by 1% by volume with respect to the entire aqueous solution (100% by volume). did. As the antifoaming agent, FS Antifoam 80 was used and 0.2% by volume was added to the entire aqueous solution (100% by volume).
[0083]
Further, lithium stearate having a melting point of about 225 ° C. and an average particle size of 20 μm was used. The dispersion amount is 100 cm of the aqueous solution.ThreeTo 25 g. Then, this was further refined with a ball mill type pulverizer (Teflon-coated steel balls: 100 hours), and the obtained stock solution was diluted 20 times to give an aqueous solution having a final concentration of 1%, which was used in the coating step.
[0084]
{Circle around (2)} The above-mentioned various raw material powders that had been heated to 150 ° C., the same temperature as that, were naturally filled into the molding die coated with lithium stearate on the inner surface (filling step).
[0085]
(3) While filling the molding die at 150 ° C., each filled raw material powder was warm-pressure molded at a molding pressure of 1568 MPa (molding step).
[0086]
In this warm press molding, none of the raw material powders galling with the molding die, and the powder compact could be taken out from the die with a low pressure of about 5 MPa.
[0087]
(4) Non-oxygen atmosphere (N2In a gas atmosphere or an Ar gas atmosphere), annealing (heat treatment) was performed appropriately (annealing temperature: 750 ° C., annealing time: 30 minutes) (heating process).
[0088]
(3) Manufacture of reactor cores
As shown in Table 2, the blocks 1 to 3 made of the obtained green compact are combined to produce the core 10 and the core 20 having the shapes shown in FIG. 2 (a), FIG. 2 (b) and FIG. did. FIG. 2 is a plan view thereof, and FIG. 3 is a perspective view of the core 10. As is apparent from FIG. 3, the core 10 has a two-stage configuration. The same applies to the core 20. Moreover, what was interposed between the opposing surfaces of each block is the resin board 5 which consists of PPS, and has the same cross-sectional shape as the blocks 1-3. However, as shown in Table 2, the thickness of the resin plate 5 is changed for each test piece. Thereby, the apparent magnetic permeability of the core 10 and the core 20 was adjusted. In addition, the blocks 1-3, the blocks 1-3, and the resin plate 5 were joined with an epoxy thermosetting resin.
[0089]
(Measurement)
A coated flat copper wire (6 × 1.5 mm) along the rated current was wound 46 to 60 turns around the core of each test piece shown in Table 2 to form a coil. The number of turns is determined from an inductance of 300 μH. An AC resistance value (AC resistance value at the time of mounting) was measured on this test piece using an LCR meter (manufacturer: HIOKI, model number: 3531Z) under conditions of 10 mA and 10 kHz. In addition, the alternating current resistance value (alternating current alternating current resistance value) when alternating current under the same conditions as above was passed through the coil alone was 200 mΩ.
[0090]
In addition, inverter evaluation was performed by connecting to an actual step-up switching power supply, and the weight characteristics and loss (current value: 20 A) of the reactor were evaluated. These results are also shown in Table 2.
[0091]
The measurement of the magnetic properties was performed by preparing a ring-shaped test piece (outer diameter: φ39 mm × inner diameter φ30 mm × thickness 5 mm) made of the above-described compacted body. The static magnetic field characteristics were measured with a direct current magnetic flux meter (manufacturer: Toei Kogyo, model number: MODEL-TRF). The iron loss is measured by a BH analyzer (manufacturer: Iwasaki Tsushinki Co., Ltd., model number: SY-8232) with each core placed in a 10 kHz, 0.2 T magnetic field. I used what was wound around. This iron loss is the sum of hysteresis loss and eddy current loss. The magnetic flux density in the static magnetic field indicates the magnetic flux density generated in 10 kA / m.10kAs shown. The saturation magnetization (Ms) shown in the table is the value of the magnetic flux density (B) at 0.1 MA / m. The density (ρ) of the green compact was measured by the Archimedes method. The true density of Fe-3% Si (ρ0) Is 7.67x10Threekg / mThreeIt is. Based on this, the density ratio (ρ / ρ0) And the results are also shown in Table 2.
[0092]
(Evaluation)
As shown in Table 2, the reactor of the present invention has excellent direct current superposition characteristics and a small loss. Specimen No. 4 having a thickness of resin plate 5 exceeding 4 mm was used. In No. 5, although the iron loss of the ring test piece was the same as that of the other test pieces, the loss of the actual reactor tripled the loss due to the leakage magnetic flux.
[0093]
Attached AC resistance value r shown in Table 21 4 is a bar graph. As is apparent from the graph of FIG. The AC resistance values of 1 to 4 are much lower than those of other test pieces. It is thought that the decrease in the AC resistance value at the time of wearing leads to the decrease in the copper loss. In addition, the test piece with less copper loss has an AC resistance value that is 2.5 times or less than the AC resistance value of the coil alone (AC resistance value when the coil is single), as shown in Table 2 and FIG. It is clear from the graph of FIG.
[0094]
[Table 1]
Figure 0004289665
[0095]
[Table 2]
Figure 0004289665

[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a view showing a cross-sectional shape of one compacting body constituting a reactor core.
FIG. 2 is a plan view showing one embodiment of a reactor core according to the present invention, in which FIG. 2 (a) is a combination of cuboid compacts, and FIG. 2 (b) is a cuboid. A green compact and a U-shaped green compact are combined.
FIG. 3 is a perspective view of the reactor core shown in FIG.
FIG. 4 is a bar graph showing an AC resistance value for each test piece.
[Explanation of symbols]
1-3 blocks
5 Resin plate
10 cores
20 cores

Claims (8)

鉄(Fe)を主成分とする軟磁性粉末からなり該軟磁性粉末の粒子表面が絶縁被膜で被覆されてなる原料粉末を圧縮成形した圧粉成形体を少なくとも2つ以上組合わせて構成したリアクトル用コアと、
導線を巻回してなり該リアクトル用コアに装着されるコイルとからなるリアクトルであって、
前記圧粉成形体は、前記軟磁性粉末の真密度(ρ 0 )に対する嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ 0 :%)が90%以上であり、
前記リアクトル用コアは、前記組み合わされる圧粉成形体のそれぞれが突き合わされる対向面間の1カ所以上に前記絶縁被膜とは別の幅4mm以下の非磁性材が介在しており、
前記リアクトル用コアの飽和磁化が1.7T以上であり、
該リアクトル用コアに5kA/mの磁界を印加したときに求まる第1見掛透磁率(μ5k)が25以上であると共に35kA/mの磁界を印加したときに求まる第2見掛透磁率(μ35k)が第1見掛透磁率(μ5k)の70%以上であり、
該リアクトル用コアに装着された状態の前記コイルへ10kHzの交流を10mA流したときに求まる該コイルの交流抵抗値である装着時交流抵抗値(r1)が、該リアクトル用コアに装着されていない状態の該コイル単体へ10kHzの交流を10mA流したときに求まる該コイルの交流抵抗値である単体時交流抵抗値(r0)の2.5倍以下(r1≦2.5r0)であることを特徴とするリアクトル。
Reactor comprising a combination of at least two compacted compacts made of a soft magnetic powder containing iron (Fe) as a main component and compression-molding a raw powder whose particle surface is covered with an insulating coating. Core for,
A reactor comprising a coil wound around a conducting wire and attached to the reactor core,
The green compact has a density ratio (ρ / ρ 0 :%) that is a ratio of the bulk density (ρ) to the true density (ρ 0 ) of the soft magnetic powder is 90% or more,
The core for reactor has a non-magnetic material having a width of 4 mm or less different from the insulating coating at one or more positions between opposed surfaces where each of the combined powder compacts is abutted.
The reactor core saturation magnetization is 1.7 T or more,
The first apparent permeability (μ 5k ) obtained when a magnetic field of 5 kA / m is applied to the reactor core is 25 or more, and the second apparent permeability obtained when a magnetic field of 35 kA / m is applied ( mu 35k) has a first saw KakeToru permeability (μ 5k) 70% or more,
An AC resistance value (r 1 ) at the time of installation, which is an AC resistance value of the coil obtained when 10 kHz of alternating current of 10 kHz flows through the coil in a state of being mounted on the reactor core, is mounted on the reactor core. Less than 2.5 times (r 1 ≦ 2.5r 0 ) of the single-unit AC resistance value (r 0 ), which is the AC resistance value of the coil obtained when 10 mA of AC current flows through the coil alone in a state of 10 kHz. A reactor characterized by being.
前記装着時交流抵抗値は1Ω以下である請求項1に記載のリアクトル。The reactor according to claim 1, wherein the AC resistance value when mounted is 1Ω or less. 前記非磁性材は、樹脂材である請求項1に記載のリアクトル。The reactor according to claim 1 , wherein the nonmagnetic material is a resin material . Feを主成分とする軟磁性粉末からなり該軟磁性粉末の粒子表面が絶縁被膜で被覆されてなる原料粉末を圧縮成形した圧粉成形体を少なくとも2つ以上組合わせて構成したリアクトル用コアと、
導線を巻回してなり該リアクトル用コアに装着されるコイルとからなるリアクトルであって、
前記圧粉成形体は、前記軟磁性粉末の真密度(ρ0)に対する嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ0:%)が90%以上であり、
前記リアクトル用コアは、組合わされて磁路を構成する前記圧粉成形体の対向面間の1カ所以上前記絶縁被膜とは別の幅4mm以下の非磁性材が介在しており、
前記コイルは、平角銅線を30ターン以上巻回したものであることを特徴とするリアクトル。
A reactor core comprising a combination of at least two compacted compacts made of a soft magnetic powder comprising Fe as a main component and compression-molding a raw powder whose particle surface is coated with an insulating coating ; ,
A reactor comprising a coil wound around a conducting wire and attached to the reactor core,
The green compact has a density ratio (ρ / ρ 0 :%) that is a ratio of the bulk density (ρ) to the true density (ρ 0 ) of the soft magnetic powder is 90% or more,
The reactor core is combined with a non-magnetic material having a width of 4 mm or less different from the insulating coating at one or more positions between the opposing surfaces of the compacting body constituting a magnetic path in combination.
The reactor is a reactor in which a rectangular copper wire is wound for 30 turns or more.
Feを主成分とする軟磁性粉末からなり該軟磁性粉末の粒子表面が絶縁被膜で被覆されてなる原料粉末を圧縮成形した圧粉成形体を少なくとも2つ以上組合わせて構成したリアクトル用コアであって、
前記圧粉成形体は、前記軟磁性粉末の真密度(ρ0)に対する嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ0:%)が90%以上であり、
前記リアクトル用コアは、組合わされて磁路を構成する前記圧粉成形体の対向面間の1カ所以上前記絶縁被膜とは別の幅4mm以下の非磁性材が介在してなることを特徴とするリアクトル用コア。
A reactor core comprising a combination of at least two compacted compacts made of a soft magnetic powder comprising Fe as a main component and compression-molding a raw powder whose particle surface is coated with an insulating coating. There,
The green compact has a density ratio (ρ / ρ 0 :%) that is a ratio of the bulk density (ρ) to the true density (ρ 0 ) of the soft magnetic powder is 90% or more,
The reactor core is formed by interposing a non-magnetic material having a width of 4 mm or less, which is different from the insulating coating, at one or more positions between opposing surfaces of the compacting body that are combined to form a magnetic path. Reactor core.
Feを主成分とする軟磁性粉末からなり該軟磁性粉末の粒子表面が絶縁被膜で被覆されてなる原料粉末を圧縮成形した圧粉成形体を少なくとも2つ以上組合わせて構成したリアクトル用コアの製造方法であって、
前記圧粉成形体は、前記原料粉末を、高級脂肪酸系潤滑剤が内面に塗布された成形用金型内へ充填する充填工程と、該成形用金型内に充填された該原料粉末を温間で加圧成形し該成形用金型の内面に接する該軟磁性粉末の表面に金属石鹸被膜を生成させて前記圧粉成形体を得る成形工程とによって製造され、該軟磁性粉末の真密度(ρ0)に対する嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ0:%)が90%以上であり、
該得られた複数の圧粉成形体を突き合わせたときにできる対向面間の1カ所以上に幅4mm以下の前記絶縁被膜とは別の非磁性材を介在させて該複数の圧粉成形体を組み合わせてリアクトル用コアとすることを特徴とするリアクトル用コアの製造方法。
A reactor core comprising a combination of at least two compacted compacts of a raw material powder comprising a soft magnetic powder containing Fe as a main component and the surface of the soft magnetic powder coated with an insulating coating . A manufacturing method comprising:
The green compact includes a filling step of filling the raw material powder into a molding die in which a higher fatty acid-based lubricant is applied on the inner surface, and heating the raw material powder filled in the molding die. It produced a metallic soap coating so produced by the molding step of obtaining the green compact to pressure molding to the surface of the soft magnetic powder in contact with the inner surface of the molding mold between the true density of the soft magnetic powder ([rho 0) density ratio is the ratio of the bulk density ([rho) against (ρ / ρ 0:%) is Ri der 90%
A plurality of compacted compacts obtained by interposing a non-magnetic material different from the insulating coating having a width of 4 mm or less at one or more positions between opposing surfaces formed when the obtained compacted compacts are brought into contact with each other. A method for manufacturing a reactor core, wherein the reactor core is combined .
前記圧粉成形体は、さらに、前記成形工程後に得られた圧粉成形体を加熱して残留応力または残留歪みを除去する加熱工程を経て得られる請求項6に記載のリアクトル用コアの製造方法。 The said compacting body is a manufacturing method of the core for reactors of Claim 6 obtained through the heating process which further heats the compacting body obtained after the said shaping | molding process, and removes a residual stress or a residual distortion. . 前記軟磁性粉末は、ケイ素(Si)を2〜5質量%含むFe−Si粉末であって表面に絶縁性被膜が形成されたものである請求項6に記載のリアクトル用コアの製造方法。The method for manufacturing a reactor core according to claim 6, wherein the soft magnetic powder is an Fe—Si powder containing 2 to 5 mass% of silicon (Si), and an insulating film is formed on the surface thereof.
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