JP4289431B2 - 波長選択素子、光源装置、画像表示装置及びモニタ装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2に記載の外部共振型レーザは、レーザ光を発振させるレーザ発振器と、レーザ発振器から発振されたレーザ光のうち所定の波長のレーザ光のみをレーザ発振器に反射させる反射型フォトポリマ体積ホログラムとを備えている。このように、外部共振器ミラーとして体積型ホログラムを用いることにより、選択される波長の幅を狭くすることができるため、レーザ光のコヒーレンス長を長くすることができる。
また、特許文献2に記載の外部共振型レーザでは、共振器ミラーとして体積型ホログラムを用いているため、波長選択性を向上させることは可能である。しかしながら、複数のレーザ光を射出する光源を用いたとしても、単一の波長が選択されることになり、波長選択素子を含めた光源から射出されたレーザ光のスペックルノイズを抑えることはできない。
本発明の波長選択素子は、レーザ光を発光する複数の発光素子から射出されたレーザ光のうち所定の選択波長が選択される光選択領域が1つの基体に複数形成された波長選択素子であって、前記複数の光選択領域のそれぞれに、干渉縞が形成された干渉領域が設けられ、少なくとも一つの前記干渉領域の干渉縞の間隔が、残りの前記干渉領域の干渉縞の間隔と異なることを特徴とする。
本発明に係る波長選択素子では、複数の干渉領域の形状がすべて同一であるため、干渉領域を簡易に形成することが可能となる。
また、発光部が光を射出する複数の発光素子を有し、発光素子の間隔が狭い場合、所定の選択波長を選択可能な干渉領域を大きく取ることは難しい。そこで、本発明では、重なる干渉領域を有することにより、所定の選択波長を選択可能な領域の大きさを調整することができる。したがって、所定の選択波長を選択可能な領域の大きさを大きくすることができるため、発光素子の間隔が狭い発光部に対応可能な干渉領域を有する波長選択素子を提供することが可能となる。
また、波長選択素子の内部を伝播する光は若干広がるため、例えば、基体の射出側の断面積が入射側の断面積より大きくなるように、干渉領域を形成することにより、干渉領域を外れることなく光が射出される。これにより、波長選択素子に入射した光の利用効率を向上させることが可能となる。
さらに、所定の入射角になるような曲率を有する集光素子を用いれば良いため、各光選択領域に入射させる露光ビームの入射角を最適化させ易くなる。
すなわち、複数の集光素子が入射角調整部として機能するため、複数の集光素子に同じ方向から露光ビームを入射させても、曲率の違いにより、基体の内部における露光ビームの回折角が光選択領域ごとに異なる。したがって、所定の光選択領域のみに対応した開口部が形成されたマスクを用いた場合にはマスクと基体とのアライメントが必要であるが、本発明では各集光レンズに露光ビームを照射すれば良いため、所望の光選択領域のみ多重露光し易くなる。
また、回折素子は例えばフォトリソグラフィ法及びエッチングにより簡易に製造することができるため、製造装置全体のコストを抑えることが可能となる。さらに、基体が立方体である場合、回折素子は矩形状に形成し易いため、矩形状の回折素子を形成することにより、露光ビームの光利用効率を向上させることが可能となる。
また、電圧の制御のみで光選択領域に入射する露光ビームの入射角を調整することができるため、物理的に露光ビームを動かす部材等を設ける必要がない。すなわち、露光ビームと基体との位置合わせが簡易となるため、波長選択素子の製造コストをさらに抑えることが可能となる。
本発明の波長選択素子の第1実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
波長選択素子3は、入射したレーザ光のうち所定の選択波長の光の一部(98〜99%程度)を選択して反射させる素子である。
本実施形態に係る波長選択素子3は、図1に示すように、基体12に4つの光選択領域A〜Dを一方向(1次元)に有している。各光選択領域A〜Dは、干渉縞が形成された円柱状の干渉領域a〜dを有しており、それぞれの干渉縞のピッチ(間隔)は異なっている。また、干渉領域a〜dはすべて同一の円柱状であり、所定の間隔をあけて形成されている。なお、各光選択領域A〜Dの干渉縞のピッチはすべて異なっていても、少なくとも1つの干渉領域a〜dの干渉縞のピッチが他の干渉領域a〜dの干渉縞のピッチと異なっていても良い。
また、各干渉領域A〜Dの境界部(境界部分)Kには、複数の種類の間隔の干渉縞が重なって露光されている。これは、マスクを用いた露光時に生じるマスクエッジによる回折光の影響により生じるものである。
発光部31から射出された光を波長選択素子3の各光選択領域A〜Dの干渉領域a〜dに入射させるため、例えば、発光部31を波長変換素子3の長手方向に移動させ位置を調整する。このとき、発光部31から射出された光が、各干渉領域a〜dの境界部Kに入射すると、複数の方向に回折されるため、急激に光の選択効率が下がる。すなわち、波長選択素子3から射出される光の出力強度が低下する。これにより、発光部31から射出された光が干渉領域a〜dに入射していないことが分かる。また、干渉領域a〜d以外に光が入射した場合も波長選択素子3から射出される光の出力強度が小さいため、発光部31から射出された光が干渉領域a〜dに入射していないことが分かる。したがって、波長選択素子3から射出される光の出力強度が大きくなるように、発光部31と波長選択素子3との位置合わせを行う。
また、隣接する2つの干渉領域a〜dが間隔をあけて形成されているため、入射した光が干渉領域a〜dから外れた場合、光の出力強度が低下する。また、隣接する干渉領域a〜dが間隔をあけて形成されているため、入射した光が干渉領域a〜dから外れた場合、出力強度が小さい。これらにより、複数の干渉領域a〜dに正確に光を入射させることが可能となる。特に、本実施形態では、各干渉領域A〜Dの境界部Kに複数種類の干渉縞が重なって露光されているため、発光部31と波長選択素子3との位置が合っていない場合、急激に出力強度が低下する。これにより、アライメントの不具合を判別し易く、発光部31から射出された光を波長選択素子3の最適な位置に入射させることが可能となる。
また、複数の干渉領域a〜dの形状が同一の円柱状であるため、干渉領域a〜dを簡易に形成することが可能となる。
また、干渉領域a〜dはすべて同一の円柱状としたが、大きさの異なる円柱状であっても良い。また、干渉領域a〜dの形状は円柱状に限らず、図3に示すように、光選択領域A〜Dごと異なる形状であっても良い。すなわち、光選択領域Aの干渉領域aの形状が三角柱状であり、光選択領域B,Cの干渉領域b,cの形状が四角柱状であり、光選択領域Dの干渉領域dの形状が円柱状であっても良い。さらに、発光部31の複数の発光素子31a〜31dの間隔に応じて、干渉領域a〜dのピッチを変えても良い。また、発光部31の複数の発光素子31a〜31dの開口部の大きさに応じて、図1に示す干渉領域a〜dの露出面a1〜d1の径、すなわち、各干渉領域a〜dの直径の大きさを変えても良い。
また、本実施形態では、干渉領域a〜dが円柱形状であったが、図4に示すように、5つの光選択領域A〜E全体にそれぞれ干渉領域a〜eが形成された波長選択素子2であっても良い。
次に、本発明に係る第2実施形態について、図5を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態の図面において、上述した第1実施形態に係る波長選択素子3と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。
本実施形態に係る波長選択素子4では、隣接する2つの干渉領域a〜dが重なっている点において、第1実施形態と異なる。その他の構成においては第1実施形態と同様である。
波長選択素子4の干渉領域A〜Dの重なり領域L1a〜L3a以外の領域L1b〜L4dに光を入射させるために、発光部31を波長変換素子3の長手方向に移動させ位置を調整する。このとき、発光部31から射出された光が、各干渉領域a〜dの重なり領域L1a〜L3aに入射すると、波長選択素子4から射出される光の選択効率が急激に低下する。すなわち、波長選択素子4から射出される光の出力強度が低下する。したがって、発光部31から射出された光が干渉領域a〜dの重なり領域L1a〜L3a以外の領域L1b〜L4dに入射しているかが分かるため、波長選択素子4から射出される光の出力強度が大きくなるように、発光部31と波長選択素子4との位置合わせを行う。
したがって、良好なアライメントを行いつつ、発光素子31a〜31dのピッチが狭い発光部31に対応可能な干渉領域a〜dを有する波長選択素子4を提供することが可能となる。
次に、本発明に係る第3実施形態について、図6を参照して説明する。
本実施形態に係る波長選択素子5では、光選択領域A〜Jが2次元である点において、第1実施形態と異なる。その他の構成においては第1実施形態と同様である。
次に、本発明に係る第4実施形態について、図7を参照して説明する。
本実施形態に係る波長選択素子6では、光選択領域A〜Eの干渉領域a〜eの形状が厚み方向に異なる点において、第1実施形態と異なる。その他の構成においては第1実施形態と同様である。
また、波長選択素子6の露出面a1〜e1から光を入射し、露出面a2〜e2から光を射出させる。
また、波長選択素子6の内部を伝播する光Lは若干広がるため、射出側の露出面a2〜e2の大きさを入射側の露出面a1〜e1より大きくすることにより、干渉領域a〜eを外れることなく光Lは射出される。これにより、波長選択素子6に入射した光の利用効率を向上させることが可能となる。
また、光Lの広がりが小さい場合、波長選択素子6の露出面a2〜e1から光を入射し、露出面a1〜e1から光を射出させても良い。
次に、本発明の波長選択素子の製造装置の第5実施形態について、図8から図12を参照して説明する。
なお、本発明の波長選択素子の製造装置では、上述した波長選択素子2,3,4,5,6のいずれも製造可能であるが、本実施形態では、波長選択素子2の製造方法について説明する。
本実施形態に係る波長選択素子2の製造装置1は、図8に示すように、レーザ光を照射する光源10と、光源10から射出されるレーザ光の射出方向を調整する入射角調整部20とを備えている。この光源10としては、例えば、エキシマレーザ(波長:120nm〜360nm)を用いることが可能である。
なお、本実施形態の製造装置1では、基体(例えば、ガラス)12に5つの光選択領域A〜Eを形成する場合について説明する。
反射ミラー13もハーフミラー11と同様に、レーザ光の中心軸に対して傾斜して配置されている。また、反射ミラー13において反射した露光ビームLBは、基体12の法線に対して角度θBをなして入射する。
また、露光ビームLA及び露光ビームLBのビーム径は、例えば500μmである。
また、基体12には、ハーフミラー11において反射された露光ビームLAと、反射ミラー13において反射された露光ビームLBとが、角度θ(入射角θAと入射角θBとの和)をなして照射され、多重露光が行われる。また、この角度θにより、基体12に形成される干渉縞の間隔が変わる。
なお、基体12には、各光選択領域A〜Eにおいて選択される選択波長の1/2の長さに略等しくなるように干渉縞を形成する。
また、角度θは例えば40度〜140度である。さらに、光選択領域A〜Eごとの入射角θBの変化量は0〜20度となるように、露光ビームLBの入射角θBが調整される。これにより、各光選択領域A〜Eに形成される干渉縞の間隔は10nm程度変化する。
さらに、基体12には移動機構15が設けられている。この移動機構15により、多重露光する光選択領域A〜Eごとに、基体12を長さ方向に移動させ、所望の光選択領域A〜Eを多重露光するようになっている。
なお、マスク21の開口部21aの寸法K3は、光選択領域A〜Eの幅K2と同じく250μmである。
なお、マスク21としては光選択領域A〜Eごとに異なるものを用いても良いが、本実施形態では、光選択領域A〜Eの幅K2が等しいため、基体12を長さ方向に250mずつ移動させることにより光選択領域A〜Eを多重露光する。
まず、図11(a)に示すように、光選択領域Aに開口部21aが位置するように移動機構15により基体12を移動させ、基体12の露光面12aに、マスク21を接触させる。そして、入射角調整部20により、光源10からレーザ光を射出し露光ビームLAと露光ビームLBとのなす角θ=θ1となるように調整され、光選択領域Aを多重露光する。
次に、図11(b)に示すように、光選択領域Bに開口部21aが位置するように移動機構15により基体12を移動させ、基体12の露光面12aに、マスク21を接触させる。そして、入射角調整部20により、反射ミラー13が回転され、光源10からレーザ光を射出し露光ビームLAと露光ビームLBとのなす角θは、θ1より大きいθ2となるように調整され、光選択領域Bを多重露光する。
このように、各光選択領域A〜Eに入射する露光ビームLA,LBのなす角θを調整することにより、基体12の各光選択領域A〜Eに形成される干渉縞のピッチが異なる。したがって、各光選択領域A〜Eにおける選択波長がλ1〜λ5となるように、露光ビームLAと露光ビームLBとのなす角θを調整する。
光源装置30は、図12に示すように、発光部31と、波長選択素子2とを備えている。
発光部31は、図12に示すように、レーザ光を発する5つの発光素子(半導体レーザ:LD)31a,31b,31c,31d,31eを備えている。これらの発光素子31a〜発光素子31eは、いずれも支持部31fに支持されている。発光素子31a〜発光素子31eから射出される光のピーク波長は、概ね一致している。ただし、完全に一致している必要は無く、多少のばらつきがあっても構わない。通常は、発光素子の製造誤差等により、数nm程度異なることが多い。
発光部31から射出された基本波の光(図8に示す実線)W3は、発光部31と波長選択素子2との間で反射を繰り返し、増幅された後、レーザ光W2として、波長選択素子2から射出されるようになっている。波長選択素子2は様々な波長の光を透過させるが、そのうち、所定の波長の光だけが増幅されている。増幅された光の強度は、他の波長の光の強度と比較して著しく高い。よって、波長選択素子2を透過した光W2は、ほぼ単一波長の光とみなすことができる。この光W2の波長は、波長選択素子2の選択波長、つまり波長選択素子2が反射する光W1の波長とほぼ同一である。波長選択素子2は、所定の選択波長の光の一部(98〜99%程度)を反射するので、その残り(1〜2%程度)の光が出力光として利用されることになる。
また、光選択領域A〜Eによって反射される光W1の波長はそれぞれλ1,λ2,λ3,λ4,λ5となる。
そして、このように、波長選択素子2によって反射される光W1の波長が、光選択領域A,B,C,D,Eごとに異なることにより、発光部31と波長選択素子2との間で反射を繰り返し、増幅された後、波長選択素子2から射出される光W2の波長も、光選択領域A,B,C,D,Eごとに異なったものとなる。先に説明したとおり、波長選択素子2から射出される光W2の波長は、波長選択素子2によって反射される光W1の波長とほぼ同一である。よって、波長選択素子2の光選択領域A,B,C,D,Eから射出される光W2の波長は、それぞれλ1,λ2,λ3,λ4,λ5となる。
まず、発光素子31a〜発光素子31eは、赤色の半導体レーザであり、いずれも射出される光のピーク波長は630nmとなっている。このピーク波長は、すべての発光素子31a〜発光素子31eにおいて、ぴったりと一致している必要は無く、多少のばらつきがあっても構わない。通常は、発光素子の製造誤差等により、数nm程度異なることが多い。そして、このとき、波長選択素子2の光選択領域A,B,C,D,Eにおける選択波長λ1,λ2,λ3,λ4,λ5が、それぞれ630nm,629nm,628nm,627nm,626nm(選択波長の差が、最大で4nm)となるように露光ビームLA,LBを照射する。これにより、波長選択素子2の光選択領域A〜Eから射出される光W2の波長もそれぞれ630nm,629nm,628nm,627nm,626nmとなる。
つまり、本実施形態の波長選択素子2の製造装置1は、簡易な構成で、複数のレーザ光同士のコヒーレンスを低減させ、スペックルノイズを抑えた波長選択素子を製造することが可能である。
また、基体12を長さ方向に移動させたが、基体12の位置を固定しマスク21を移動させて光選択領域A〜Eの露光位置を変えても良い。
なお、光選択領域A〜Eの幅K2は、使用する発光部31の発光素子31a〜31e間の間隔K1に応じてマスク21の開口部21aの大きさを変える等により適宜変更が可能となっている。
また、本実施形態では、隣接する光選択領域A〜Eに露光ビームLA,LBが入射しないようにマスク21を用いて各光選択領域A〜Eを多重露光したが、隣接する光選択領域A〜Eに露光ビームLA,LBが入射しても影響を及ぼさないような材質の基体12であれば、マスク21を用いなくても良い。
次に、本発明に係る第6実施形態について、図13から図15を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態において、上述した第5実施形態に係る波長選択素子2の製造装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。
本実施形態に係る波長選択素子2の製造装置40では、集光素子を備える点において第5実施形態と異なる。その他の構成においては第5実施形態と同様である。
集光レンズ42の直径D1は、図13(b)に示すように、光選択領域A〜Eの露光面12aの大きさより若干小さくなっており、例えば500μmである。
まず、第5実施形態と同様に、光選択領域Aに開口部41aが位置するように移動機構15により基体12を移動させ、基体12の露光面12aに、マスク41を接触させる。そして、入射角調整部20により、反射ミラー13が露光ビームLAと露光ビームLBとのなす角θ=θ1となるように調整され、集光レンズ42に露光ビームLA,LBが入射される。
次に、第5実施形態と同様に、露光ビームLAと露光ビームLBとのなす角θ2,θ3,θ4,θ5となるように反射ミラー13を調整し、光選択領域B,C,D,Eを多重露光する。このとき、集光レンズ42に入射された露光ビームLA,LBは光選択領域A〜Eの内側に向かって集光する。これにより、露光ビームLA,LBが隣接する光選択領域A〜Eに広がることを防ぐことができる。具体的には、光選択領域Aを多重露光する場合に、光選択領域Bに露光ビームLA,LBが広がることを防止できる。なお、集光レンズは、露光ビームが広がることが防止できれば良いので、ゆるくビームを絞る程度で良く、焦点位置が非常に遠いような集光レンズを用いても良い。
また、マスク41を移動させたが、図14に示すように、曲率の等しい複数の集光レンズ42a〜42eが配列されたマスク45であっても良い。このマスク45を用いた場合も、上述したように、各集光レンズ42a〜42eに入射する露光ビームLAと露光ビームLBとのなす角がθ1〜θ5となるように露光ビームLBの入射角θBを調整し、光選択領域A〜Eを多重露光する。この構成では、基体12あるいはマスク45を移動させる必要がないため、マスク45と基体12とのアライメントが容易になる。
図13に示す第6実施形態では、1つの集光レンズ42を備えたマスク41を用いたが、曲率の異なる複数の集光レンズ46a〜46eが配列されたマスク47であっても良い。このような変形例について、図15を参照して説明する。
集光レンズ46a〜46eの曲率は、R1,R2,R3,R4,R5であり、すべて異なっている。また、光源10,ハーフミラー11及び反射ミラー13が基体12の長さ方向に移動する。これにより、各集光レンズ46a〜46eに同じ方向から露光ビームLA及び露光ビームLBを入射させた場合、集光レンズ46a〜46eの曲率の違いにより光の屈折角が異なる。したがって、基体12の内部において露光ビームLAと露光ビームLBとのなす角θが異なるため、基体12の各光選択領域A〜Eに生じる干渉縞の間隔も異なる。したがって、このようなマスク47を用いた構成では、入射角調整部20を設けず反射ミラー13を固定させて良い。すなわち、曲率の異なる集光レンズ46a〜46eが各光選択領域A〜Eに入射する露光ビームLA,LBの入射角を調整する入射角調整部として機能する。
なお、マスク47を用いた場合、光選択領域A〜Eごとに露光ビームLA,LBを照射しても良いが、光選択領域A〜Eを包括するビーム径を有する露光ビームLA,LBを用いて、光選択領域A〜Eを一括照射しても良い。
次に、本発明に係る第7実施形態について、図16を参照して説明する。
本実施形態に係る波長選択素子2の製造装置50では、回折素子を備える点において第5実施形態と異なる。その他の構成においては第5実施形態と同様である。
回折レンズ52の大きさは、光選択領域A〜Eのそれぞれの露光面12aとほぼ同じ大きさとなっている。具体的には、回折レンズ52の大きさは、図16(b)に示すように、基体12の長さ方向の寸法E1が250μmであり、図16(a)に示すように、露光面12a内の幅E2が250μmである。
まず、第5実施形態と同様に、光選択領域Aに開口部51aが位置するように移動機構15により基体12を移動させ、基体12の露光面12aに、マスク51を接触させる。そして、入射角調整部20により、露光ビームLAと露光ビームLBとのなす角θ=θ1となるように調整され、回折レンズ52に露光ビームLA,LBが入射される。
次に、第5実施形態と同様に、露光ビームLAと露光ビームLBとのなす角θ2,θ3,θ4,θ5となるように反射ミラー13を調整し、光選択領域B,C,D,Eを多重露光する。このとき、回折レンズ52に入射された露光ビームLA,LBは光選択領域A〜Eの内側に向かって回折する。これにより、露光ビームLA,LBが隣接する光選択領域A〜Eに広がることを防ぐことができる。具体的には、光選択領域Aを多重露光する場合に、光選択領域Bに露光ビームLA,LBが広がることを防止できる。
さらに、回折レンズ52は、例えば、フォトリソグラフィ法及びエッチングにより簡易に製造することができるため、製造装置50全体のコストを抑えることが可能となる。
次に、本発明に係る第8実施形態について、図17を参照して説明する。
本実施形態に係る波長選択素子2の製造装置60では、入射角調整部20が液晶レンズ(液晶素子)61である点において第5実施形態と異なる。すなわち、入射角調整部20を設けず反射ミラー13は固定されている。また、その他の構成においては第5実施形態と同様である。
液晶レンズ62は、図17(b)に示すように、一対の光透過性を有する第1基板63及び第2基板64を備え、この第1基板63及び第2基板64の間に設けられた封止材65により液晶66が充填された構成になっている。
また、中心電極63aと共通電極64aとには電源Vが接続されており、中心電極63aと共通電極64aとの間に電圧が印加されるようになっている。なお、電源Vにより印加される電圧の波形は、正弦波の波形となっている。
まず、第5実施形態と同様に、光選択領域Aに開口部61aが位置するように移動機構15により基体12を移動させ、基体12の露光面12aに、マスク61を接触させる。そして、電源Vにより、光源10からレーザ光を射出し露光ビームLAと露光ビームLBとのなす角θ=θ1となるように液晶66の配向状態が調整され、液晶レンズ62から基体12に露光ビームLA,LBが入射される。
次に、第5実施形態と同様に、電源Vにより、露光ビームLAと露光ビームLBとのなす角θ2,θ3,θ4,θ5となるように液晶66の配向を調整し、光選択領域B,C,D,Eを多重露光する。このとき、液晶レンズ62に入射された露光ビームLA,LBは光選択領域A〜Eの内側に向かって回折する。これにより、露光ビームLA,LBが隣接する光選択領域A〜Eに広がることを防ぐことができる。具体的には、光選択領域Aを多重露光する場合に、光選択領域Bに露光ビームLA,LBが広がることを防止できる。
また、複数の液晶レンズが配列されたマスクを用いても良い。この構成では、各液晶レンズを構成する中心電極63a及び輪帯電極63bの半径を液晶レンズごとに異ならせる。これにより、いずれの液晶レンズに印加する電圧を同じにしても、射出するレーザ光の回折角を異ならせることが可能となるため、液晶レンズの電圧の制御が容易となる。
さらに、入射角調整部として液晶レンズ62を用いたが空間光変調器であっても良い。
次に、本発明に係る第9実施形態について、図18を参照して説明する。
本実施形態では、上記第5実施形態の波長選択素子2及び波長変換素子81を備える光源装置80について説明する。
発光部31は、支持部31fに、発光素子31a,31b,31c,31d,31eの5つが直線状に支持された構成となっている。発光素子31a〜発光素子31eから射出される光のピーク波長λ0は、概ね一致している。ただし、完全に一致している必要は無く、多少のばらつきがあっても構わない。通常は、発光素子の製造誤差等により、数nm程度異なることが多い。ピーク波長λ0は、例えば、青色のレーザ光を射出する青色レーザ光源装置の場合は920nm、緑色のレーザ光を射出する緑色レーザ光源装置の場合は1060nm、赤色のレーザ光を射出する赤色レーザ光源装置の場合は1240nmである。ただし、この波長は単なる一例に過ぎない。
発光部31から射出され、波長選択素子2に向かう光W3は、波長変換素子81を通過することによって、ほぼ半分の波長の光に変換される。波長変換素子81による波長変換効率は非線形の特性を有しており、例えば、波長変換素子81に入射するレーザ光の強度が強いほど、変換効率が向上する。また、波長変換素子81の変換効率は40〜50%程度である。つまり、発光部31から射出されたレーザ光のすべてが、所定波長のレーザ光に変換されるわけではない。
このような分極周期構造は、例えば、特開平4−19719号公報に記載されている製造方法を応用して製造することができる。すなわち、まず、非線形強誘電体材料(例えばLiTaO3)からなる基板に、レーザ光の中心軸O方向に沿って電極が有る領域と無い領域とが交互に並んだストライプ状の電極パターンを形成する。この時、各電極パターンの幅及び電極パターン同士の間隔は、領域P,Q,R,S,Tにおける各ドメインのピッチが、それぞれΛ1,Λ2,Λ3,Λ4,Λ5となるように最適化される。つまり、電極パターンの幅及び間隔は、領域P,Q,R,Sにおいてそれぞれ異なったものとする。次に、これら電極パターンにパルス状の電圧を印加することにより、図18に示したような分極周期構造が得られる。このようにして分極周期構造を形成した後、通常電極パターンは除去されるが、そのまま残しておいても良い。
このように、波長変換素子81は、領域P〜領域Tにおいて、それぞれ周期(ピッチ)の異なる分極反転構造を有している。よって、領域P〜領域Tを通過した光は、ピーク波長λ0の光に含まれる様々な波長成分のうち、互いに若干異なる波長λ01〜λ05の成分に変換作用を受け、それぞれ若干異なる波長λ1,λ2,λ3,λ4,λ5に変換される。
以上説明したように、発光部31から射出された光W3は、発光部31と波長選択素子2との間で反射を繰り返し、所定の波長に変換された変換光W2(図18に示す二点鎖線)が、波長選択素子2から射出されるようになっている。つまり、波長選択素子2は、第5実施形態の波長選択素子2とは若干作用が異なるものの、発光素子31a〜31eの共振器ミラーとしての機能を有している。
次に、本発明に係る第10実施形態について、図19を参照して説明する。
本実施形態に係る光源装置90では、ペルチェ素子92を備える点において、第9実施形態と相違している。それ以外の点は、第9実施形態と同様である。なお、本実施形態の説明において、上述した第9実施形態に係る光源装置80と構成を共通とする箇所には、同一符号を付けて、その説明を省略する
次に、本発明に係る第11実施形態について、図20を参照して説明する。
本実施形態に係る光源装置100では、ペルチェ素子92に代えて、波長変換素子101の領域P〜Tを含む表面101a上に、電極(電圧印加手段)102a〜102dが設けられている点において、第9実施形態と相違している。それ以外の点は、第9実施形態と同様である。
次に、本発明に係る第12実施形態について、図21を参照して説明する。
本実施形態では、上記第5実施形態の光源装置30及び上記第9実施形態の光源装置80を備える画像表示装置200について説明する。なお、図21中においては、簡略化のため画像表示装置200を構成する筐体は省略している。
また、画像表示装置200は、レーザ光源31R,31G,31Bから射出されたレーザ光をそれぞれ変調する液晶ライトバルブ(光変調装置)204R,204G,204Bと、液晶ライトバルブ204R,204G,204Bから射出された光を合成して投写レンズ207に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)206と、液晶ライトバルブ204R,204G,204Bによって形成された像を拡大してスクリーン210に投射する投射レンズ(投射装置)207とを備えている。
また、第5〜第11実施形態の光源装置30〜100は、走査型の画像表示装置にも適用される。このような画像表示装置の例を図22に示す。図22に示した画像表示装置300は、第5実施形態の光源装置30と、光源装置30から射出された光をスクリーン310に向かって走査するMEMSミラー(走査手段)302と、光源装置30から射出された光をMEMSミラー302に集光させる集光レンズ303とを備えている。第5実施形態の波長選択素子2を備えた光源装置30から射出された光は、MEMSミラーを動かすことによって、スクリーン310上を横方向、縦方向に走査するように導かれる。カラーの画像を表示する場合は、発光部31を構成する複数の発光素子を、赤、緑、青のピーク波長を持つ発光素子の組み合わせによって構成すれば良い。
次に、第5実施形態に係る光源装置30を応用したモニタ装置400の構成例について説明する。図23は、モニタ装置の概略を示す模式図である。モニタ装置400は、装置本体410と、光伝送部420とを備える。装置本体410は、前述した第5実施形態の波長選択素子2を有する光源装置30を備える。
なお、本実施形態では、第5実施形態と同様の構造を備えた光源装置30を用いたが、これに代えて、第9実施形態の光源装置80、第10実施形態の光源装置90、あるいは、第11実施形態の光源100を用いるようにしても良い。
例えば、波長選択素子の各光選択領域の選択波長をすべて異なる波長としたが、複数の光選択領域のうち少なくとも一つの光選択領域の選択波長が、残りの光選択領域の選択波長と異なるように、露光ビームを調整すれば良い。
また、発光素子1つに光選択領域1つを対応させたが、複数の発光素子に1つの光選択領域を対応させても良い。
また、複数の光選択領域の幅をすべて同じにしたが、これに限るものではなく、発光素子の間隔等により適宜変更が可能である。
Claims (8)
- レーザ光を発光する複数の発光素子から射出されたレーザ光のうち所定の選択波長が選択される光選択領域が1つの基体に複数形成された波長選択素子であって、
前記複数の光選択領域のそれぞれに、干渉縞が形成された干渉領域が設けられ、少なくとも一つの前記干渉領域の干渉縞の間隔が、残りの前記干渉領域の干渉縞の間隔と異なり、複数の前記干渉領域の前記基体の厚み方向に垂直な方向の断面積が、前記厚み方向に漸次あるいは段階的に大きくなる形状であることを特徴とする波長選択素子。 - 複数の前記干渉領域の形状がすべて同一であることを特徴とする請求項1に記載の波長選択素子。
- 隣接する2つの前記干渉領域が重なっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の波長選択素子。
- 隣接する2つの前記干渉領域が間隔をあけて形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の波長選択素子。
- 複数の前記干渉領域が2次元に配列されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の波長選択素子。
- 光を射出する光源と、
該光源から射出された光のうち所定の波長の光を選択して透過させる請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の波長選択素子とを備えることを特徴とする光源装置。 - 請求項6に記載の光源装置と、
該光源装置から射出された光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、
該光変調装置により形成された画像を投射する投射装置とを備えることを特徴とする画像表示装置。 - 請求項6に記載の光源装置と、
該光源装置から射出された光により被写体を撮像する撮像手段とを備えることを特徴とするモニタ装置。
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