JP4288810B2 - 水圧試験装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水圧試験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ボイラの炉壁は、図7に示される如く、複数の管1を所要間隔をあけて並設し且つフィン2で接続してなる炉壁管パネル3によって形成されているが、該炉壁管パネル3の水圧試験を行う際には、図8に示されるように、炉壁管パネル3の各管1の端部にU字管4を溶接して接続することにより、各管1の内部を直列に連通させ、該直列に連通させた管1の始端に水圧を付与するためのニップル等の管継手5を溶接して固着すると共に、前記管1の終端に閉塞用の栓部材6を溶接して固着した状態で、前記管継手5を固着した側から管1内に水圧を付与するようにしていた。
【0003】
尚、前記栓部材6は、カップリング7にエア抜バルブ8を取り付けてなる構成を有しており、水圧試験を行うために、各管1内に水を張る際には、エア抜バルブ8を開いてエア抜きを行い、各管1内に水が充填された後、エア抜バルブ8を閉じるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の如く、炉壁管パネル3の各管1の端部に管継手5とU字管4と栓部材6とを溶接して水圧試験を行うのでは、管1の本数が非常にたくさんあって溶接に手間がかかると共に、専門の溶接士の手配が必要になり、しかも、水圧試験完了後には、溶接された管継手5とU字管4と栓部材6とを切断してから、炉壁管パネル3の各管1の端部に、他の炉壁管パネル3と接続するための開先加工を行い、更に、各管1の内部清掃等を行わねばならず、かなり多くの工数がかかるという欠点を有していた。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、炉壁管パネルの各管の端部に管継手とU字管と栓部材とを溶接することを不要とし得、専門の溶接士がいなくても水圧試験を行うことができ、しかも、水圧試験完了後に管継手とU字管と栓部材とを切断することを不要とし得、炉壁管パネルの製造段階で予め各管の端部に開先加工を行うことができ、全体として作業工数の低減を図り得ると共に、繰り返し使用することもできる水圧試験装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の管を所要間隔をあけて並設し且つフィンで接続してなる炉壁管パネルの各管の端部をU字管で接続することにより、各管の内部を直列に連通させ、該直列に連通させた管の始端に水圧を付与するための管継手を固着すると共に、前記管の終端に閉塞用の栓部材を固着した状態で、前記管継手を固着した側から管内に水圧を付与するよう構成した水圧試験装置において、
管継手の端部とU字管の両端部と栓部材の端部とに予め固着した短管の外周にそれぞれ、接着剤を塗布して管の端部に挿入し接着するよう構成したことを特徴とする水圧試験装置にかかるものである。
【0007】
前記水圧試験装置においては、短管の先端部に環状溝を形成し、該環状溝に水のシール部材を取り付けることが有効となる。
【0008】
更に、短管の外周面所要箇所に、管の内径に対する周方向のクリアランスのバラツキをなくすための環状凸部と、接着剤充填用の環状凹部とを形成することもできる。
【0009】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0010】
管継手の端部とU字管の両端部と栓部材の端部とに予め固着した短管の外周にそれぞれ、接着剤を塗布して管の端部に挿入し接着するよう構成すると、従来のように、炉壁管パネルの各管の端部に管継手とU字管と栓部材とを溶接して水圧試験を行うのとは異なり、溶接の手間が省けると共に、専門の溶接士の手配が不要になり、しかも、水圧試験完了後には、溶接された管継手とU字管と栓部材とを切断しなくて済むため、水圧試験を実施する前の炉壁管パネルの製造段階において、各管の端部に他の炉壁管パネルと接続するための開先加工を予め行っておくことが可能となり、全体として作業工数が低減され、更に、管継手とU字管と栓部材とを繰り返し使用することも可能となる。
【0011】
前記水圧試験装置において、短管の先端部に環状溝を形成し、該環状溝に水のシール部材を取り付けるようにすると、水圧試験の際に、水の漏洩は主にシール部材によって防止されつつ、短管に加わる軸方向の力は接着剤によって負担される形となり、水圧試験圧力が高圧となっても対応することが可能となる。
【0012】
更に、短管の外周面所要箇所に、管の内径に対する周方向のクリアランスのバラツキをなくすための環状凸部と、接着剤充填用の環状凹部とを形成すると、水圧試験の際に、水の漏洩は主にシール部材によって防止され、しかも、環状凸部によって管の内径に対する短管の周方向のクリアランスのバラツキが抑えられ、且つ環状凹部に充填された接着剤によって、短管に加わる軸方向の力はより確実に負担される形となり、水圧試験圧力が更に高圧となっても対応することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0014】
図1〜図3は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図7及び図8と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図7及び図8に示す従来のものと同様であるが、本図示例の特徴とするところは、図1〜図3に示す如く、管継手5の端部とU字管4の両端部と栓部材6の端部とに予め固着した短管9,10,11の外周にそれぞれ、接着剤12を塗布して管1の端部に挿入し接着するよう構成した点にある。
【0015】
例えば、水圧試験圧力がP=100[kgf/cm2](9.8×106[Pa])以下の場合に、図3に示す如く、管1の内径をD[cm]とすると、短管9,10,11に加わる軸方向の力Fは、単純計算で、
【数1】
F=(π・D2/4)×P [kgf]
≒9.8×(π・D2/4)×P [N]
となり、又、短管9,10,11の外径をd[cm]、その接着長さをL[cm]、接着剤12の単位面積当りの剪断接着強さをτ[kgf/cm2]とすると、短管9,10,11の管1に対する接着強さTは、
【数2】
T=π・d・L×τ [kgf]
≒9.8×π・d・L×τ [N]
となるため、水圧に充分に耐え且つ水の漏洩を防止可能となるように安全率Sを設定することにより、前記短管9,10,11の接着長さLは、
【数3】
S・T>F
L>D2・P/(4・S・d・L・τ)
とすればよい。
【0016】
尚、前記管1と短管9,10,11との隙間cは、およそ0.15〜0.30[mm]程度とすればよい。
【0017】
又、前記接着剤12としては、例えば、エポキシ配合樹脂本剤とエポキシ配合樹脂硬化剤とを2:1の比率で配合して混合したもの等を使用することができる。
【0018】
次に、上記図示例の作動を説明する。
【0019】
先ず、短管9,10,11の外周面に錆が付着している場合には、動力ワイヤブラシ等で錆を除去した後、速乾性機械部品用の洗浄液を管1の内周面と短管9,10,11の外周面とに吹き付けて、ウエスで拭き取る。
【0020】
続いて、短管9,10,11の外周における前記接着長さLの領域にそれぞれ、接着剤12を塗布して管1の端部に挿入し接着することにより、炉壁管パネル3の各管1の内部をU字管4を介して直列に連通させ、該直列に連通させた管1の始端に水圧を付与するためのニップル等の管継手5を固着すると共に、前記管1の終端に閉塞用の栓部材6を固着した状態とする。
【0021】
所要時間経過後、接着剤12が乾燥して固まったら、栓部材6のエア抜バルブ8を開いてエア抜きを行いつつ、管継手5を固着した側から管1内に水を張り、各管1内に水が充填された後、前記エア抜バルブ8を閉じ、所定の水圧を付与し、水圧試験を実施する。
【0022】
水圧試験完了後には、小型ガスバーナ等で、炉壁管パネル3の各管1の端部の裏表をおよそ150〜260[℃]程度に加熱して、各管1の端部から管継手5とU字管4と栓部材6とを、短管9,10,11を引き抜くようにして、それぞれ取り外す。
【0023】
各管1の端部内面に付着した接着剤12は、各管1の端部から管継手5とU字管4と栓部材6とを取り外した直後に、動力ワイヤブラシ等を使用して剥離させ、剥離した接着剤12の粉は、エアブローによって各管1の内部から除去する。
【0024】
この結果、従来のように、炉壁管パネル3の各管1の端部に管継手5とU字管4と栓部材6とを溶接して水圧試験を行うのとは異なり、溶接の手間が省けると共に、専門の溶接士の手配が不要になり、しかも、水圧試験完了後には、溶接された管継手5とU字管4と栓部材6とを切断しなくて済むため、水圧試験を実施する前の炉壁管パネル3の製造段階において、各管1の端部に他の炉壁管パネル3と接続するための開先加工を予め行っておくことが可能となり、全体として作業工数が低減され、更に、管継手5とU字管4と栓部材6とを繰り返し使用することも可能となる。
【0025】
こうして、炉壁管パネル3の各管1の端部に管継手5とU字管4と栓部材6とを溶接することを不要とし得、専門の溶接士がいなくても水圧試験を行うことができ、しかも、水圧試験完了後に管継手5とU字管4と栓部材6とを切断することを不要とし得、炉壁管パネル3の製造段階で予め各管1の端部に開先加工を行うことができ、全体として作業工数の低減を図り得ると共に、繰り返し使用することもできる。
【0026】
一方、水圧試験圧力がP=100[kgf/cm2](9.8×106[Pa])を越え、且つP=300[kgf/cm2](9.8×3×106[Pa])以下の場合には、図4に示す如く、短管9,10,11の先端部に環状溝13を形成し、該環状溝13にOリング等の水のシール部材14を取り付けるようにすることが有効となる。
【0027】
図4に示す如く、短管9,10,11の先端部に環状溝13を形成し、該環状溝13にOリング等の水のシール部材14を取り付けるようにしても、前述の場合と全く同様に、先ず、短管9,10,11の外周面に錆が付着している場合には、動力ワイヤブラシ等で錆を除去した後、速乾性機械部品用の洗浄液を管1の内周面と短管9,10,11の外周面とに吹き付けて、ウエスで拭き取り、続いて、短管9,10,11の外周における前記接着長さLの領域にそれぞれ、接着剤12を塗布して管1の端部に挿入し接着することにより、炉壁管パネル3の各管1の内部をU字管4を介して直列に連通させ、該直列に連通させた管1の始端に水圧を付与するためのニップル等の管継手5を固着すると共に、前記管1の終端に閉塞用の栓部材6を固着した状態とし、所要時間経過後、接着剤12が乾燥して固まったら、栓部材6のエア抜バルブ8を開いてエア抜きを行いつつ、管継手5を固着した側から管1内に水を張り、各管1内に水が充填された後、前記エア抜バルブ8を閉じ、所定の水圧を付与し、水圧試験を実施し、水圧試験完了後には、小型ガスバーナ等で、炉壁管パネル3の各管1の端部の裏表をおよそ150〜260[℃]程度に加熱して、各管1の端部から管継手5とU字管4と栓部材6とを、短管9,10,11を引き抜くようにして、それぞれ取り外し、各管1の端部内面に付着した接着剤12は、各管1の端部から管継手5とU字管4と栓部材6とを取り外した直後に、動力ワイヤブラシ等を使用して剥離させ、剥離した接着剤12の粉は、エアブローによって各管1の内部から除去する。
【0028】
図4に示すように、短管9,10,11の先端部に環状溝13を形成し、該環状溝13にOリング等の水のシール部材14を取り付けるようにすると、水圧試験の際に、水の漏洩は主にシール部材14によって防止されつつ、短管9,10,11に加わる軸方向の力Fは接着剤12によって負担される形となり、水圧試験圧力が高圧となっても対応することが可能となる。
【0029】
又、水圧試験圧力がP=300[kgf/cm2](9.8×3×106[Pa])を越え、且つP=500[kgf/cm2](9.8×5×106[Pa])以下の場合には、図5及び図6に示す如く、短管9,10,11の先端部に環状溝13を形成し、該環状溝13にOリング等の水のシール部材14を取り付け、更に、短管9,10,11の外周面所要箇所に、管1の内径に対する周方向のクリアランスのバラツキをなくすための環状凸部15と、接着剤12充填用の環状凹部16とを形成することが有効となる。
【0030】
尚、前記環状溝13内には、シール部材14のバックアップリング17を装填してあり、又、短管9,10,11が挿入される各管1の端部内周面は、リーマ通しによる仕上げ加工を行い、前記環状凸部15外周面との寸法差が所定値以下となるようにしてある。
【0031】
図5及び図6に示す如く、短管9,10,11の先端部に環状溝13を形成し、該環状溝13にOリング等の水のシール部材14を取り付け、更に、短管9,10,11の外周面所要箇所に、管1の内径に対する周方向のクリアランスのバラツキをなくすための環状凸部15と、接着剤12充填用の環状凹部16とを形成するようにしても、前述の場合と全く同様に、先ず、短管9,10,11の外周面に錆が付着している場合には、動力ワイヤブラシ等で錆を除去した後、速乾性機械部品用の洗浄液を管1の内周面と短管9,10,11の外周面とに吹き付けて、ウエスで拭き取り、続いて、短管9,10,11の外周における前記接着長さLの領域にそれぞれ、接着剤12を塗布して管1の端部に挿入し接着することにより、炉壁管パネル3の各管1の内部をU字管4を介して直列に連通させ、該直列に連通させた管1の始端に水圧を付与するためのニップル等の管継手5を固着すると共に、前記管1の終端に閉塞用の栓部材6を固着した状態とし、所要時間経過後、接着剤12が乾燥して固まったら、栓部材6のエア抜バルブ8を開いてエア抜きを行いつつ、管継手5を固着した側から管1内に水を張り、各管1内に水が充填された後、前記エア抜バルブ8を閉じ、所定の水圧を付与し、水圧試験を実施し、水圧試験完了後には、小型ガスバーナ等で、炉壁管パネル3の各管1の端部の裏表をおよそ150〜260[℃]程度に加熱して、各管1の端部から管継手5とU字管4と栓部材6とを、短管9,10,11を引き抜くようにして、それぞれ取り外し、各管1の端部内面に付着した接着剤12は、各管1の端部から管継手5とU字管4と栓部材6とを取り外した直後に、動力ワイヤブラシ等を使用して剥離させ、剥離した接着剤12の粉は、エアブローによって各管1の内部から除去する。
【0032】
図5及び図6に示すように、短管9,10,11の先端部に環状溝13を形成し、該環状溝13にOリング等の水のシール部材14を取り付け、更に、短管9,10,11の外周面所要箇所に、管1の内径に対する周方向のクリアランスのバラツキをなくすための環状凸部15と、接着剤12充填用の環状凹部16とを形成すると、水圧試験の際に、水の漏洩は主にシール部材14によって防止され、しかも、環状凸部15によって管1の内径に対する短管9,10,11の周方向のクリアランスのバラツキが抑えられ、且つ環状凹部16に充填された接着剤12によって、短管9,10,11に加わる軸方向の力Fはより確実に負担される形となり、水圧試験圧力が更に高圧となっても対応することが可能となる。
【0033】
尚、本発明の水圧試験装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の請求項1〜3記載の水圧試験装置によれば、炉壁管パネルの各管の端部に管継手とU字管と栓部材とを溶接することを不要とし得、専門の溶接士がいなくても水圧試験を行うことができ、しかも、水圧試験完了後に管継手とU字管と栓部材とを切断することを不要とし得、炉壁管パネルの製造段階で予め各管の端部に開先加工を行うことができ、全体として作業工数の低減を図り得ると共に、繰り返し使用することもできるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例の平面図である。
【図2】本発明を実施する形態の一例において、水圧試験圧力が100[kgf/cm2](9.8×106[Pa])以下の場合、或いは水圧試験圧力が300[kgf/cm2](9.8×3×106[Pa])以下の場合に使用する装置の概略断面図であって、図1のII部相当図である。
【図3】本発明を実施する形態の一例において、水圧試験圧力が100[kgf/cm2](9.8×106[Pa])以下の場合に使用する装置の要部拡大断面図であって、図2のIII部相当図である。
【図4】本発明を実施する形態の一例において、水圧試験圧力が300[kgf/cm2](9.8×3×106[Pa])以下の場合に使用する装置の要部拡大断面図であって、図2のIII部相当図である。
【図5】本発明を実施する形態の一例において、水圧試験圧力が500[kgf/cm2](9.8×5×106[Pa])以下の場合に使用する装置の概略断面図であって、図1のII部相当図である。
【図6】本発明を実施する形態の一例において、水圧試験圧力が500[kgf/cm2](9.8×5×106[Pa])以下の場合に使用する装置の要部拡大断面図であって、図5のVI部相当図である。
【図7】ボイラの炉壁管パネルを表わす断面図である。
【図8】従来の水圧試験装置の一例を表わす平面図である。
【符号の説明】
1 管
2 フィン
3 炉壁管パネル
4 U字管
5 管継手
6 栓部材
9 短管
10 短管
11 短管
12 接着剤
13 環状溝
14 シール部材
15 環状凸部
16 環状凹部
Claims (3)
- 複数の管を所要間隔をあけて並設し且つフィンで接続してなる炉壁管パネルの各管の端部をU字管で接続することにより、各管の内部を直列に連通させ、該直列に連通させた管の始端に水圧を付与するための管継手を固着すると共に、前記管の終端に閉塞用の栓部材を固着した状態で、前記管継手を固着した側から管内に水圧を付与するよう構成した水圧試験装置において、
管継手の端部とU字管の両端部と栓部材の端部とに予め固着した短管の外周にそれぞれ、接着剤を塗布して管の端部に挿入し接着するよう構成したことを特徴とする水圧試験装置。 - 短管の先端部に環状溝を形成し、該環状溝に水のシール部材を取り付けた請求項1記載の水圧試験装置。
- 短管の外周面所要箇所に、管の内径に対する周方向のクリアランスのバラツキをなくすための環状凸部と、接着剤充填用の環状凹部とを形成した請求項2記載の水圧試験装置。
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