JP4286180B2 - コンクリートセグメント用連結金具とその製造方法 - Google Patents
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Description
この公報に開示の連結金具は、図8に示すように、その雌型連結金具Kが、截頭円錐形の雌部材1Aと雌側アンカー部3Aとを備え、両者1A,3Aが、連結部4Aによって一体的に連結され、かつ、雌部材1Aには、截頭円錐形の嵌合孔5Aが設けられている。
その雌側アンカー部3Aと連結部4Aとは、共に嵌合孔5Aの軸心Lに沿って延びる板状に、かつ、断面形状がT字状になるように構成され、その板状の雌側アンカー部3Aが、その厚みも幅も長手方向に沿って同じ寸法に構成され、同様に、連結部4Aも、厚みと幅が長手方向に沿って同じ寸法に構成されている。
その場合、上記公報に開示の従来技術では、板状の雌側アンカー部3Aと連結部4Aとが、嵌合孔5Aの軸心Lに沿って共に厚みも幅も同じ寸法に構成されているので、雄部材を嵌合孔5Aに対して強い力で嵌合すると、雌側アンカー部3Aや連結部4Aが埋設されているコンクリートセグメントに対して相対移動し易く、雌型連結金具Kに対するコンクリートセグメントの保持力が低下する虞があった。
したがって、鋳造時に上型と下型との間で位置ずれがあると、雌型連結金具Kに段差が生じ、特に、截頭円錐形の雌部材1Aに段差が生じると、雄部材との嵌合に支障をきたすため、鋳造後において機械加工による後処理が必要となり、製造上においても問題があった。
本発明の第1の特徴構成は、図1、図2および図4に例示するごとく、トンネルの覆工として使用される複数のコンクリートセグメントS1,S2を連結するべく、雌部材1とその雌部材1に連設の雌側アンカー部3を備えて一方のコンクリートセグメントS1に埋設される雌型連結金具K1と、雄部材2を備えて他方のコンクリートセグメントS2に埋設される雄型連結金具K2とからなり、前記雌部材1が、前記トンネルの軸心X方向に平行な軸心L1を有する截頭円錐形に構成され、その截頭円錐形の雌部材1に前記軸心L1を共有する状態で截頭円錐形の嵌合孔5が設けられ、かつ、その嵌合孔5に連通して前記他方のコンクリートセグメントS2側に開口するスリット6が、前記嵌合孔5の軸心L1に沿って設けられ、前記雄部材2が、前記嵌合孔5に対応するように、前記トンネルの軸心X方向に平行な軸心L2を有する截頭円錐形に構成され、かつ、その雄部材2に前記スリット6内に挿入自在な連結部11が連設され、前記雄部材2を前記雌部材1の嵌合孔5に嵌合することによって、前記雄型連結金具K2と雌型連結金具K1とを介して、前記一方のコンクリートセグメントS1と他方のコンクリートセグメントS2とを連結するように構成されているコンクリートセグメント用連結金具であって、前記雌側アンカー部3の外周面が、前記截頭円錐形の嵌合孔5の大径側ほど外側に位置し、前記嵌合孔5の小径側ほど内側に位置する傾斜外周面F2に構成されており、前記スリット6の前記他方のコンクリートセグメントS2側への開口部の縁部が、前記嵌合孔5の軸心L1方向視において、直角または鈍角になるように構成されているところにある。
本発明の第1の特徴構成によれば、雌部材の嵌合孔に雄部材を嵌合するべく雄部材を嵌合孔の軸心に沿って押圧移動させて雄部材が嵌合孔の内面に接当した後において、その押圧力が、雌型連結金具を埋設しているコンクリートセグメントに対して雌型連結金具を相対移動させる力として作用しても、雌側アンカー部の外周面が、截頭円錐形の嵌合孔の大径側ほど外側に位置し、嵌合孔の小径側ほど内側に位置する傾斜外周面に構成されているので、雌側アンカー部が、コンクリートセグメントに対して楔状に噛み込む方向に移動しようとするため、雌型連結金具は、コンクリートセグメントに対して相対移動し難く、雌型連結金具に対するコンクリートセグメントの保持力の低下を防止することができる。
更に、雌型連結金具を鋳造により製造する場合には、スリット開口部の縁部が、いわゆるチル化されて冷硬化し、脆くなることが防止される。
そして、その截頭円錐形の雄部材を雌部材の嵌合孔に嵌合させる際には、雄型連結金具を埋設する他方のコンクリートセグメントをトンネルの軸心方向に沿って押圧することになるが、その押圧力が、面積の大きな大径側の面を介して雄型連結金具に伝えられるので、雄型連結金具に対して押圧力の伝達が確実に行われ、嵌合孔に対する雄部材の嵌合を円滑に行うことができる。
したがって、従来のように、上型と下型との位置ずれに起因する段差の発生がなく、寸法精度の向上を期待できるとともに、鋳造後の後処理も軽減される。
この連結金具は、図1および図2に示すように、一方のコンクリートセグメントS1の連結端面側に埋設される鋳鉄製の雌型連結金具K1と、他方のコンクリートセグメントS2の連結端面側に埋設される鋳鉄製の雄型連結金具K2とから構成され、雌型連結金具K1の雌部材1に対して雄型連結金具K2の雄部材2を嵌合して連結することにより、トンネルの覆工として使用される複数のコンクリートセグメントS1,S2を順次連結するために用いられるものである。
雌部材1が截頭円錐形に構成されているので、その雌部材1の外周面は、軸心L1を中心として、截頭円錐形の大径側ほど外側に位置し、小径側ほど内側に位置する傾斜外周面(以下、雌部材傾斜外周面と称する)F1に構成されている。
そして、前記雌側連結部4も、截頭円錐形の雌部材1の大径側ほど外側に位置し、小径側ほど内側に位置する傾斜外周面(以下、雌側連結部傾斜外周面と称する)F3に構成されている。
すなわち、雌型連結金具K1を鋳造する際、まず、雌型連結金具用の模型を造り、その模型を基に砂型を造型するのであるが、雌型連結金具K1が、図5に示すように、鋳造時に抜け勾配として機能する傾斜外周面F1,F2,F3を備えているので、雌型連結金具K1において、截頭円錐形の雌部材1の大径側端面を見切り面MFとして、上型と下型とに分割することができる。
なお、前記スリット6の開口部の縁部は、図2および図4の(イ)に示すように、嵌合孔5の軸心L1の方向視において、直角または鈍角になるように構成されているので、鋳造時において、急冷に伴って生じる、いわゆるチル化が防止される。
このようにして鋳造された雌型連結金具K1において、その雌側アンカー部3に2本の雌側アンカー筋7が螺合され、一方のコンクリートセグメントS1の連結端面8に形成された断面半円形の凹部9内に雌部材1を位置させ、かつ、雌部材1の半分を連結端面8から突出させた状態で、一方のコンクリートセグメントS1に埋設されている。
雄部材2が截頭円錐形に構成されているので、その雄部材2の外周面は、軸心L2を中心として、截頭円錐形の大径側ほど外側に位置し、小径側ほど内側に位置する傾斜外周面(以下、雄部材傾斜外周面と称する)F4に構成されている。
そして、前記雄側連結部11も、截頭円錐形の雄部材2の大径側ほど外側に位置し、小径側ほど内側に位置する傾斜外周面(以下、雄側連結部傾斜外周面と称する)F6に構成されている。
したがって、雄型連結金具K2においても、図7に示すように、截頭円錐形の雄部材2の大径側端面を見切り面MFとして上型と下型とに分割することができ、このようにして鋳造された雄型連結金具K2において、その雄側アンカー部10に2本の雄側アンカー筋12が螺合され、他方のコンクリートセグメントS2の連結端面13に形成された断面半円形の凹部14内に雄部材2を位置させ、かつ、雄部材2の半分を連結端面13から突出させた状態で、他方のコンクリートセグメントS2に埋設されている。
その際、図3に示すように、他方のコンクリートセグメントS2からの押圧力P1は、雄型連結金具K2の鋳造時における見切り面MF側から、つまり、面積の大きい見切り面MFから雄型連結金具K2に伝えられるので、雄型連結金具K2に対して押圧力P1の伝達が確実に行われる。
その際、雄部材2が嵌合孔5の内面に接当した後においては、雄型連結金具K2からの押圧力P1が雌側連結金具K1に伝えられて、雌型連結金具K1を一方のコンクリートセグメントS1に対して相対移動させる力P2として作用する。
(1)先の実施形態では、雌型連結金具K1と雄型連結金具K2を鋳造により製造した例を示したが、これら両連結金具K1,K2については、例えば、金属材料を用いて機械加工により製造するなど、鋳造以外の方法で製造することもできる。
2 雄部材
3 雌側アンカー部
5 嵌合孔
6 スリット
10 雄側アンカー部
11 連結部
F2 雌側アンカー部の傾斜外周面
F5 雄側アンカー部の傾斜外周面
F6 連結部の傾斜外周面
K1 雌型連結金具
K2 雄型連結金具
L1 嵌合孔の軸心
L2 雄部材の軸心
S1 一方のコンクリートセグメント
S2 他方のコンクリートセグメント
X トンネルの軸心
Claims (4)
- トンネルの覆工として使用される複数のコンクリートセグメントを連結するべく、雌部材とその雌部材に連設の雌側アンカー部を備えて一方のコンクリートセグメントに埋設される雌型連結金具と、雄部材を備えて他方のコンクリートセグメントに埋設される雄型連結金具とからなり、
前記雌部材が、前記トンネルの軸心方向に平行な軸心を有する截頭円錐形に構成され、その截頭円錐形の雌部材に前記軸心を共有する状態で截頭円錐形の嵌合孔が設けられ、かつ、その嵌合孔に連通して前記他方のコンクリートセグメント側に開口するスリットが、前記嵌合孔の軸心に沿って設けられ、
前記雄部材が、前記嵌合孔に対応するように、前記トンネルの軸心方向に平行な軸心を有する截頭円錐形に構成され、かつ、その雄部材に前記スリット内に挿入自在な連結部が連設され、
前記雄部材を前記雌部材の嵌合孔に嵌合することによって、前記雄型連結金具と雌型連結金具とを介して、前記一方のコンクリートセグメントと他方のコンクリートセグメントとを連結するように構成されているコンクリートセグメント用連結金具であって、
前記雌側アンカー部の外周面が、前記截頭円錐形の嵌合孔の大径側ほど外側に位置し、前記嵌合孔の小径側ほど内側に位置する傾斜外周面に構成されており、前記スリットの前記他方のコンクリートセグメント側への開口部の縁部が、前記嵌合孔の軸心方向視において、直角または鈍角になるように構成されているコンクリートセグメント用連結金具。 - 前記連結部を介して前記雄部材に連設の雄側アンカー部と前記連結部との外周面が、前記截頭円錐形の雄部材の大径側ほど外側に位置し、前記雄部材の小径側ほど内側に位置する傾斜外周面に構成されている請求項1に記載のコンクリートセグメント用連結金具。
- 請求項1に記載の雌型連結金具を製造する方法であって、前記雌側アンカー部の傾斜外周面を抜け勾配として、前記雌型連結金具を鋳造するコンクリートセグメント用連結金具の製造方法。
- 請求項2に記載の雄型連結金具を製造する方法であって、前記雄側アンカー部と前記連結部との傾斜外周面を抜け勾配として、前記雄型連結金具を鋳造するコンクリートセグメント用連結金具の製造方法。
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