JP4285033B2 - 反射防止材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射防止材とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多くのディスプレイは、室内外を問わず外光などが入射するような環境下で使用される。外光などの入射光は、ディスプレイ表面等において正反射され、反射像が表示光と混合し、表示品質を低下させ、表示画像を見にくくしている。特に、最近のコンピュータの急速な普及に伴い、CRTやLCD(液晶ディスプレイ)の表示画像を観視する時間が長くなっている。そのため、反射像等による表示品質の低下は、目の疲労など健康障害等を引き起こす要因とも考えられている。更には、近年ではアウトドアライフの普及に伴い、各種ディスプレイを室外で使用する機会が益々増える傾向にあり、表示品質をより向上して表示画像を明確に認識できるような要求が出てきている。
【0003】
これらの要求を満たすための一例として、可視光の広範囲にわたり反射防止効果を有する反射防止材をディスプレイの表面等に貼り合わせることが知られている。このような反射防止材としては、ハードコート層を形成した透明プラスチック樹脂基材、もしくはガラス基材等の表面に無機化合物からなる高屈折率層と低屈折率層との積層構造を有する反射防止膜を形成したものが知られている。反射防止膜の形成方法としては、膜厚制御性の観点で真空プロセスが有利であり、低反射率の反射防止膜を得るために4層ないし5層構成とすることが多い。しかし、4層ないし5層構成では、製造時のコストが割高になるという問題点があり、近年ではコストダウンのためより安価な反射防止材が求められている。
【0004】
安価な反射防止材を供給する公知の手段として、反射防止膜を3層構成とすることが検討されている。3層構成の反射防止膜は、基材側から中間屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の順に積層したものである。各層の屈折率や膜厚を適宜組みあわせることによって、比較的容易に薄膜設計を行うことが出来、4層ないし5層構成の場合とほぼ同等の低い反射率を示す反射防止膜を得ることが可能である。さらに、3層構成の反射防止膜について、特定の層に膜厚方向での屈折率分布を付与することで低反射率を実現させることも行われている(例えば特許文献1、2参照)。しかし、中間屈折率層に適した屈折率を有する無機化合物は非常に少なく、また真空プロセスにより3層構成の反射防止膜を形成するためには3つの蒸着源が必要であり、2つの蒸着源で作製可能な4層ないし5層の反射防止膜よりも装置が大がかりになる欠点がある。
【0005】
また、装置および工程の簡略化によってコストダウンを実現するために、低屈折率層と高屈折率層をスパッタリング法にて形成する際、同一組成のターゲットを用い反応ガスの種類及び/又は条件を変えることにより組成比の異なる反応物を基材上に形成することが行われている(特許文献3参照)。この手法により、例えばSiO2/SiO、TiO2/TiO、Si3N4/SiON/SiO2、TiN/TiON/TiO2などの組み合わせで2層、3層、4層、6層等の反射防止膜を形成することが可能になる。しかし、SiOやTiO等金属元素に対し酸素組成比が少なくなると膜が着色してしまい、透明性が要求されるディスプレイ用途反射防止膜としては不適当である。着色を防止するには酸素組成比を上げなくてはならないが、それと同時に2層の屈折率が接近し、SiO2/TiO2等の異なる金属元素から形成される反射防止膜に比べて良好な反射防止性能を得ることが難しくなる。また、酸素ガスと窒素ガスを用いて3層構成の反射防止膜が得られるが、ガス種が増えるので装置が煩雑化し、且つ所望の組成、屈折率を得るためのガス流量制御が複雑となる欠点がある。このような理由により1種類のターゲットから反射防止膜を形成することは難しく、高い生産性を得ることはできない。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−129101
【特許文献2】
特開平8−136906
【特許文献3】
特開平10−160902
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題に鑑み、安価で低反射率を示す3層構成の反射防止膜を形成した反射防止材および安価で低反射率を示し、簡便に製造できる反射防止材の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、少なくとも基材上に、中間屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を順次積層させた反射防止層を有する反射防止材であって、中間屈折率層と高屈折率層が酸化チタンからなる金属化合物から構成されており、かつ、前記中間屈折率層の金属化合物の屈折率が1.9以上であり、かつ、高屈折率層の金属化合物の屈折率が中間屈折率層の金属化合物の屈折率よりも0.22以上0.29の範囲内で大きいことを特徴とする反射防止材である。
【0011】
請求項2の発明は、前記低屈折率層が酸化ケイ素、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウムのうちいずれかからなることを特徴とする請求項1記載の反射防止材である。
【0012】
請求項3の発明は、少なくとも基材上に、中間屈折率層、高屈折率層、低屈折率を順次積層する反射防止部材の製造方法であって、中間屈折率層と高屈折率層を構成する酸化チタンを同一の真空成膜法により成膜し、かつ原料として同一の蒸着源を用い成膜条件を変化させることで中間屈折率層と高屈折率層の金属化合物の屈折率を制御し、かつ、前記中間屈折率層の金属化合物の屈折率を1.9以上とし、かつ、高屈折率層の金属化合物の屈折率を中間屈折率層の金属化合物の屈折率よりも0.22以上0.29の範囲内で大きくすることを特徴とするの反射防止材の製造方法である。
【0015】
請求項4の発明は、前記低屈折率層が酸化ケイ素、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウムのうちいずれかからなることを特徴とする請求項3記載の反射防止材の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下で本発明の一実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明によって得られる反射防止材の断面図の一例である。図中1は反射防止材であり、基材2上に反射防止層3が形成されている。反射防止層3は中間屈折率層4、高屈折率層5、低屈折率層6から構成されている。
【0017】
本発明で用いる基材2としては、公知の材料、例えばプラスチックフィルム、ガラス等を適用することができる。プラスチックフィルムとしては、トリアセチルセルロース、ポリエチレンレテフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、ナイロン、ポリエーテルサルフォン、ポリ塩化ビニール、ポリプロピレンなどのプラスチック樹脂フィルムなどを用いることができる。また、偏光フィルム等のプラスチック樹脂フィルム積層体を用いることもでできる。
【0018】
また、基材2をプラスチック樹脂基材とした場合、その厚さはプラスチックフィルムの種類、目的、用途により選択、設定されるが、通常70〜200μmの厚さが好ましい。プラスチック樹脂基材にプラズマ処理などの表面処理が施されていても構わない。
【0019】
また、基材2をプラスチック樹脂基材とした場合、基材2と反射防止層3の間にハードコート層を形成しても良い。
ハードコート層の材料は、透明性と適度な硬度と機械的強度とがあれば特に限定されるものではない。
例えば、紫外線照射硬化型のアクリル系樹脂や有機ケイ素系樹脂、熱硬化型のポリシロキサン樹脂等を使用することができる。これらの樹脂の屈折率は、反射防止特性のためにプラスチック樹脂基材と同等もしくは近似していることがより好ましい。
また、ハードコート層に平均粒子径0.01〜3μmの透明な無機あるいは有機の超微粒子を混合分散させことにより、一般にアンチグレアと呼ばれる光拡散性の処理を施すことができる。これらの超微粒子の形成材料としては、透明であれば特に限定はないが、低屈折率材料が好ましく、無機の酸化ケイ素、フッ化マグネシウムが安定性、耐熱性等で好適である。
ハードコート層の形成方法としては、均一に塗工される限り、任意の塗布方法によることができる。ハードコート層の膜厚は、形成樹脂等にもよるが、透明性、塗工精度、取扱い性の点からは3〜20μmとすることが好ましい。
【0020】
基材2もしくはハードコート層を形成した基材2上に反射防止層3を設ける。3層構成の反射防止膜の場合、中間屈折率層4、高屈折率層5、低屈折率層6の順に積層する。反射防止膜4を構成する各層の膜厚と屈折率を適宜組み合わせることによって、所望の光学特性を有する反射防止材を得る。
【0021】
中間屈折率層4および高屈折率層5は共に同じ金属からなる金属化合物で構成されることが好ましい。前記金属化合物は、広範囲で屈折率を変化させることができることが好ましく、具体的には1.9から2.6の範囲で変化させることができるとよい。また、高屈折率層5に用いられる金属化合物と中間屈折率層4に用いられる金属化合物の屈折率差は、機能を果たすためには、およそ0.1以上あることが好ましく、また十分な反射防止性能と色味などを考慮すると、0.2以上であることがより好ましい。0.2以上あれば、平均反射率(%)が低下し、ディスプレイ用途として充分な性能を発揮することができる。具体的には0.3%以下にすることができる。
【0022】
このような金属化合物としては、中間屈折率層4および高屈折率層5は共に同じ元素で構成される化合物からなり、前記要求を満たせば、特に制限するものではなく、金属酸化物、金属窒化物などを使用することができる。より具体的には、金属酸化物は、透明性に優れ、条件により屈折率を変化させることが容易に行えるため好ましい。中でも酸化チタンの屈折率は膜密度や組成によりおよそ1.9から2.6の範囲で変化させることができ、好適に用いることができる。
このように、中間屈折率層金属化合物と高屈折率層金属化合物を、同一金属、さらには同一元素で構成し、両者の屈折率差を大きくすれば、低屈折率酸化チタンに3層構成反射防止膜の中間屈折率層と同等の役割を付与することが可能となる。また、中間屈折率層金属化合物と高屈折率層金属化合物はそれぞれ同じ蒸着源から形成することができ、装置、工程の簡素化が期待できる。
【0023】
低屈折率層6に適応できる材料としては、薄膜設計上屈折率が1.6以下であることが望ましく、公知の金属化合物を用いることができる。また、生産性の観点から、酸化ケイ素(n=1.46)、フッ化カルシウム(n=1.3〜1.4)、フッ化マグネシウム(n=1.4)のうちいずれかから選択されることが好ましい。
【0024】
反射防止膜3の成膜は、低反射防止性、膜厚制御性、生産性および装置や工程の面で、3層ともに真空プロセスで行うことが望ましい。また、バッチ方式の他、長尺のフィルムを基材とした巻取り方式を採用できる。真空プロセスによる無機化合物薄膜の成膜方法としては、蒸着法、スパッタリング法、化学気相法、イオンプレーティング法が挙げられる。
これらの成膜方法は、その中でさらに細かい薄膜形成方式に分類される。例えば、蒸着法では、原料加熱法により、抵抗加熱方式、高周波加熱方式、電子ビーム方式などに分類され、スパッタリング法では、電極構造により、2極スパッタリング方式、対向電極スパッタリング方式、マグネトロンスパッタリング方式、ECRスパッタリング方式、高周波スパッタリング方式などに分類される。
3種類の材料を用いる反射防止膜の場合や異なる薄膜形成方式で酸化チタンを成膜する場合では、3つの蒸着源とそれに付随する電源等の設備、および、場合によっては3つの真空槽とその排気系が必要となり装置が大型かつ煩雑となる。
【0025】
本発明においては、少なくとも中間屈折率層4と高屈折率層5の金属化合物は同一の蒸着源を用い、同一の成膜方法、同一の薄膜形成方式で成膜することが好ましい。異なる薄膜形成方法を採用した場合、蒸着源を共有することができないので2つの蒸着源を設置しなければならず、更に各々の成膜条件が異なるために個別の真空槽もしくは同一の真空槽内であっても蒸着源の間を仕切った成膜室とそれに付随した排気系を設置する必要が生じ、結局のところ装置の簡略化には至らない。同一の成膜方法を用いれば、2層の金属化合物の蒸着源を共有できるので、従来の3層構成反射防止膜に比べて必要な蒸着源、装置によっては真空槽および排気系を少なくとも3つから2つに減らすことが可能となり、装置の小型化及び簡略化に繋がり、生産性の向上が達成できる。
【0026】
酸化チタンなど金属化合物の屈折率は、成膜条件を変化させることで制御する。ここで成膜条件とは、成膜圧力、ガス分圧、反応ガス種、印可電力、基板温度などを指す。イオンビームアシストなどの公知の手法を併用して屈折率を変化させても構わない。また、スパッタリング法では前述の各方式によってそれぞれ金属化合物の取りうる屈折率範囲が異なることがある。
また、本発明の場合、同一の成膜方法であれば、異なる薄膜形成方式を採用して2層の金属化合物層に屈折率差を付与しても構わない。その際、各々の方式について電源等の付帯設備を設置し随時切り替えを行えばよい。但し、同一の成膜方法、薄膜形成方式を採用した方が装置の簡略化の観点からはより有利となる。
【0027】
低屈折率層6の形成方法は、上記に挙げた成膜方法と同様の方法で形成できる。低屈折率層6の成膜条件は、製品の色味に影響を与えない程度の光学性能と高い生産性を維持するように適宜設定、制御する。低屈折率層6の形成は、所望の屈折率、成膜レート、膜厚が得られるのならば、高屈折率層5の形成と連続して行っても良い。連続成膜を行えば、工程の簡略化、製造工程の短縮が実現できる。
【0028】
本発明では、さらに他の機能を積層しても良い。他の機能層としては、防汚層、帯電防止層、防眩層などが挙げられる。また、これらは公知の方法で積層することができる。
また、本発明による反射防止部材はディスプレイなどに適用することができる。
【0029】
【実施例】
次に、本発明によって得られる反射防止材の詳細な実施例を挙げ、3種類の材料で形成する3層構成の反射防止材および4層構成の反射防止材との光学性能の比較を行った。なお、実施例3は参考例である。
【0030】
<実施例1>
厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム上に、紫外線硬化型アクリル系樹脂を公知の方法によりコーティングし、紫外線を照射して硬化させ厚さ5μmのハードコート層を設けた。その後、スパッタリング法により酸化チタンからなる中間屈折率層および高屈折率層を設けた。酸化チタンの成膜には金属チタン(4N)をターゲットとして用いた。中間屈折率層の成膜条件は、アルゴンガス流量100sccm、酸素ガス流量30sccm、成膜圧力0.16Pa、印可電力2.0kWとした。高屈折率層の成膜条件は、アルゴンガス流量150sccm、酸素ガス流量25sccm、成膜圧力0.21Pa印可電力3.0kWとした。さらに、スパッタリング法により酸化ケイ素からなる低屈折率層を設けた。低屈折率層の成膜は金属ケイ素(5N)のターゲットを用い、成膜条件はアルゴンガス流量150sccm、酸素ガス流量25sccm、成膜圧力0.21Pa、印可電圧1.0kWとした。各層の光学膜厚がそれぞれ148nm、118nm、136nmとなるように成膜時間を調節した。各層の550nmにおける屈折率を測定したところ、それぞれ2.12、2.41、1.46となった。
【0031】
<実施例2>
厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム上に、実施例1と同様の方法で厚さ5μmのハードコート層を設けた。その後、スパッタリング法により酸化チタンからなる中間屈折率層および高屈折率層を設けた。酸化チタンの成膜には金属チタン(4N)をターゲットとして用いた。中間屈折率層の成膜条件は、アルゴンガス流量100sccm、酸素ガス流量30sccm、成膜圧力0.16Pa、印可電力2.0kWとした。高屈折率層の成膜条件は、アルゴンガス流量150sccm、酸素ガス流量25sccm、成膜圧力0.21Pa印可電力3.0kWとした。その後、電子ビーム蒸着法により酸化ケイ素からなる低屈折率層を設けた。低屈折率層の蒸着材料として二酸化ケイ素(5N)を用い、成膜条件は、加速電圧6.0kV、酸素ガス流量50sccm、成膜圧力0.11Paとした。各層の光学膜厚がそれぞれ156nm、108nm、137nmとなるように成膜時間を調節した。各層の550nmにおける屈折率を測定したところ、それぞれ2.03、2.25、1.44となった。
【0032】
<実施例3>
厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム上に、紫外線硬化型アクリル系樹脂を公知の方法によりコーティングし、紫外線を照射して硬化させ厚さ5μmのハードコート層を設けた。その後、スパッタリング法により酸化チタンからなる中間屈折率層および高屈折率層を設けた。酸化チタンの成膜には金属チタン(4N)をターゲットとして用いた。中間屈折率層の成膜条件は、アルゴンガス流量100sccm、酸素ガス流量30sccm、成膜圧力0.16Pa、印可電力2.0kWとした。高屈折率層の成膜条件は、アルゴンガス流量150sccm、酸素ガス流量30sccm、成膜圧力0.22Pa印可電力3.0kWとした。さらに、スパッタリング法により酸化ケイ素からなる低屈折率層を設けた。低屈折率層の成膜は金属ケイ素(5N)のターゲットを用い、成膜条件はアルゴンガス流量150sccm、酸素ガス流量25sccm、成膜圧力0.21Pa、印可電圧1.0kWとした。各層の光学膜厚がそれぞれ134nm、113nm、121nmとなるように成膜時間を調節した。各層の550nmにおける屈折率を測定したところ、それぞれ2.13、2.30、1.46となった。
【0033】
<比較例1>
厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム上に、実施例1と同様の方法で厚さ5μmのハードコート層を設けた。その後、スパッタリング法により酸化アルミニウムからなる中間屈折率層を設けた。中間屈折率層の成膜条件は、金属アルミニウム(4N)のターゲットを用い、アルゴンガス流量300sccm、酸素ガス流量25sccm、成膜圧力0.36Pa、印可電力3.0kWとした。その後、スパッタリング法により酸化チタンからなる高屈折率層を設けた。高屈折率層の成膜条件は、金属チタン(4N)のターゲットを用い、アルゴンガス流量150sccm、酸素ガス流量30sccm、成膜圧力0.22Pa、印可電力3.0kWとした。さらに、スパッタリング法により酸化ケイ素からなる低屈折率層を実施例1に記載する条件により設けた。各層の光学膜厚がそれぞれ141nm、269nm、136nmとなるように成膜時間を調節した。各層の550nmにおける屈折率を測定したところ、それぞれ1.66、2.31、1.46となった。
【0034】
<比較例2>
厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム上に、実施例1と同様の方法で厚さ5μmのハードコート層を設けた。その後、スパッタリング法により酸化チタン、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ケイ素の順で交互に積層させ、4層の反射防止膜を設けた。酸化チタンの成膜には金属チタン(4N)をターゲットとして用い、成膜条件はアルゴンガス流量150sccm、酸素ガス流量30sccm、成膜圧力0.22Pa、印可電力3.0kWとした。低屈折率層の成膜は金属ケイ素(5N)のターゲットを用い、成膜条件はアルゴンガス流量150sccm、酸素ガス流量25sccm、成膜圧力0.21Pa、印可電圧1.0kWとした。各層の光学膜厚がそれぞれ55nm、44nm、104nm、143nmとなるように成膜時間を調節した。各層の550nmにおける屈折率を測定したところ、酸化チタンが2.31、酸化ケイ素が1.46となった。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明では、3層構成の反射防止膜を設けた反射防止材において、中間屈折率層と高屈折率層を同一の金属からなる金属化合物で形成し、成膜条件を変化させることにより、中間屈折率層と高屈折率層が異なる材料で形成される3層構成の反射防止膜の場合と同等の光学性能を得ることが可能となる。また、2層の金属化合物の屈折率差が0.2以上になるように制御することによって、より平均反射率の低い高性能の反射防止材を得ることができる。また、製造方法として中間屈折率層と高屈折率層を同一の成膜方法、同一の薄膜形成方式を用いることで、装置の小型化および簡略化、工程の簡略化、生産性の向上といった効果が得られる。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られる反射防止材の構成を説明する断面図である。
【図2】実施例1に記載する反射防止材の反射スペクトルである。
【図3】実施例2に記載する反射防止材の反射スペクトルである。
【図4】実施例3に記載する反射防止材の反射スペクトルである。
【図5】比較例1に記載する反射防止材の反射スペクトルである。
【図6】比較例2に記載する反射防止材の反射スペクトルである。
【符号の説明】
1 反射防止材
2 基材
3 反射防止層
4 中間屈折率層
5 高屈折率層
6 低屈折率層
Claims (4)
- 少なくとも基材上に、中間屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を順次積層させた反射防止層を有する反射防止材であって、
中間屈折率層と高屈折率層が酸化チタンからなる金属化合物から構成されており、かつ、
前記中間屈折率層の金属化合物の屈折率が1.9以上であり、かつ、
高屈折率層の金属化合物の屈折率が中間屈折率層の金属化合物の屈折率よりも0.22以上0.29の範囲内で大きい
ことを特徴とする反射防止材。 - 前記低屈折率層が酸化ケイ素、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウムのうちいずれかからなることを特徴とする請求項1記載の反射防止材。
- 少なくとも基材上に、中間屈折率層、高屈折率層、低屈折率を順次積層する反射防止部材の製造方法であって、
中間屈折率層と高屈折率層を構成する酸化チタンを同一の真空成膜法により成膜し、かつ原料として同一の蒸着源を用い成膜条件を変化させることで中間屈折率層と高屈折率層の金属化合物の屈折率を制御し、かつ、
前記中間屈折率層の金属化合物の屈折率を1.9以上とし、かつ、
高屈折率層の金属化合物の屈折率を中間屈折率層の金属化合物の屈折率よりも0.22以上0.29の範囲内で大きくする
ことを特徴とするの反射防止材の製造方法。 - 前記低屈折率層が酸化ケイ素、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウムのうちいずれかからなることを特徴とする請求項3記載の反射防止材の製造方法。
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