JP4284449B2 - 塗布具及びペン先チップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールペン等の塗布具に関するものである。本発明は、特に水性インキ、中でも、水性インキとしては比較的粘度の高いインキを内蔵するボールペン等の塗布具の構成として好適なものである。
以下、「水性インキ」とは、「油性インキ」に対する「水又は水溶性有機溶剤を含有するインキ」の総称としていうものである。
【0002】
【従来の技術】
旧来のボールペンでは、専ら油性インキが内蔵されていたが、近年、油性インキに代わって、より低粘度の水性インキを内蔵するものが開発されている。ところで水性インキを使用したボールペンは、インキの流出量が多くて濃い線が描ける反面、かすれやすいという問題がある。
すなわち水性インキは、油性インキに比べて粘度が低く、ボール収納室のインキ保持力が弱い。そのためペン先チップを上にして放置すると、インキはボール収納室からインキ収納部側に落ち込んでしまう。その結果、ボール収納室内のインキが空になり、書き出しの際にインキがかすれてしまうのである。
【0003】
そこでインキの逆流を防止する方策として、弁を内蔵する構成のボールペンが以下の公報に開示されている。
(1)特公昭28−717号公報
(2)実公昭54−15703号公報
(3)実公昭54−15704号公報
(4)実開昭62−30684号公報
(5)実公平4−52068号公報
(6)実開平6−64956号公報
(7)実開平6−83376号公報
この内、代表的な従来技術として、実公平4−52067号公報に開示されたボールペンの構造を説明する。
【0004】
図25は、実公平4−52067号に記載された弁を内蔵したボールペンの断面図である。
実公平4−52067号に記載されたボールペン100は、本体軸101中にインキ芯102が挿入されたものである。そしてインキ芯102は、ペン先チップ105と、インキ収納部106、接続部材107及び弁体108の5つの部材によって構成されている。ここでペン先チップ105は、筆記用ボール109が内蔵された部材である。またインキ収納部106は、筒状の部材であり、内部に水性インキが内蔵されている。接続部材107は、ペン先チップ105とインキ収納部106を繋ぐ部材であり、中心部に連通穴110が設けられている。そして連通穴110内には、弁座111と、突起113が設けられている。
【0005】
前記したペン先チップ105は、接続部材107の先端側に内挿されることにより取り付けられ、一方インキ収納部106は、接続部材107に外装されて取り付けられている。
また従来技術のボールペン100では、接続部材107の連通穴110内における、弁座111と、突起113との間で弁室115が構成されている。そしてこの弁室115内に球状の弁体108が挿入されている。
【0006】
従来技術のボールペン100では、ペン先チップ105を上方向に向けると、図25(a)の様に弁体108が弁座111に当接して弁座111の開口を塞ぐ。そのためペン先チップ105内のインキの逆流は阻止される。
一方、図25(b)の様にペン先チップ105を下方向に向けると、弁体108は弁座111を離れ、弁体108は突起113に係止される。そのためインキ収納部106内のインキは、弁体108と突起113との隙間を通過し、ペン先チップ105側に流れ込む。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術のボールペン100は、ボールペン100の天地方向の姿勢を変化させることにより、球状の弁体108が弁室115内を移動し、インキのペン先チップ105側への流出を許し、ペン先チップ105からインキ収納部106側への逆流を阻止する。そのため書き出し時のインキのかすれは改善される。
しかしながら、従来技術のボールペン100は、接続部材107の連通穴110の内壁をもって弁室115の外周部を構成するものであるため、弁室115の成形精度が低いという欠点がある。
【0008】
すなわち接続部材107は、射出成形によって成形することとなるが、穴の内周面に突起113が設けられた構成であるため、弁室115の部位はアンダーカットとなる。その結果、弁室115には、脱型の際に無理な力がかかり、寸法が安定せず、寸法精度に限界がある。
この様な事情から、従来技術のボールペン100の構成では、弁室115と弁体108とのクリアランスを最適に設定することは困難である。そのため従来技術のボールペン100は、クリアランスが小さ過ぎて弁体108が移動する途中で引っ掛かったり、逆にクリアランスが大きすぎて弁体108がガタツキ、弁座111との密着が不十分になるといった不具合があった。
【0009】
また、他の従来技術のボールペンについても、同様の問題点がある。すなわち前述した公報に開示された従来技術のボールペンは、いずれも接続部材によって弁室の外周部が構成されており、弁室の成形精度が低い。そのため弁室と弁体とのクリアランスを適切に設定することが困難であり、弁体の動作に円滑さを欠く。
【0010】
本発明の第一の目的は、従来技術の上記した問題点に注目し、弁室の寸法精度の飛躍的な向上を可能とし、弁体と弁室とのクリアランスの適正化を達成し、弁体の動作が円滑であって筆記が滑らかなボールペンを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した目的を達成するための方策として、ペン先チップに拡径部を設け、当該拡径部に弁体の一部又は全部を入れる構成を開発し、日本国特許庁に特許出願を行った(特願平9−349938号)。すなわち本発明者らが開発したボールペンは、先端部に筆記用ボールが内蔵され、軸方向に連通するインキ導通穴が設けられたペン先チップと、インキを内蔵するインキ収納部と、前記ペン先チップとインキ収納部とを繋ぐ接続部材を有し、該接続部材にはインキ収納部とペン先チップとを連通する連通穴が設けられ、当該連通穴内に弁座が設けられていると共に当該弁座と当接する弁体が軸方向に移動可能に収納されたボールペンにおいて、ペン先チップのインキ導通穴の接続部材側開口近傍には、拡径部が設けられていて弁体の一部あるいは全部がインキ導通穴内に移動可能であり、インキ導通穴内には弁体を係止すると共に弁体との間にインキが通過する空隙部を形成する弁体係止部が設けられ、ペン先チップを上向きに位置させた際には弁体は弁座と当接してインキの逆流を阻止し、ペン先チップを下向きに位置させた場合には弁体は一部あるいは全部がインキ導通穴内に移動して弁体係止部に係止され、空隙部を経由して筆記用ボール側に流れることを特徴とする。
【0012】
上記したボールペンは、ペン先チップの後端部分をもって、弁室の一部を構成させたものである。
すなわち本ボールペンでは、ペン先チップのインキ導通穴の接続部材側の開口近傍に、拡径部が設けられていて、弁体の一部あるいは全部がインキ導通穴内に移動可能である。またペン先チップのインキ導通穴に弁体を係止する弁体係止部が設けられている。従って弁体は、接続部材の連通穴内に設けられた弁座と、インキ導通穴に設けられた弁体係止部の間を移動し、ペン先チップのインキ導通穴自体が、弁室として機能する。より具体的には、本発明では、インキ導通穴の拡径部及び弁体係止部が、弁室として機能する。
ここでペン先チップは、一般に切削加工等によって成形されるので、成形精度の限界は、接続部材に比べて格段に高い。従ってペン先チップの拡径部は、高い寸法精度で加工することができ、弁体に対して適切なクリアランスを与えることができる。
また本発明では、弁体が弁体係止部に係止された際に、弁体係止部と弁体との間に空隙部が形成される。そのためペン先チップを下向きに位置させた場合には、弁体は弁体係止部に係止され、インキは空隙部を経由して筆記用ボール側に流れる。
【0013】
また上記した発明をさらに改良した発明は、ペン先チップは、接続部材の連通穴に挿入され、該連通穴の内面であって、弁座とペン先チップ後端部分の内径は、ペン先チップの拡径部の内径と略等しいことを特徴とする。
【0014】
本発明のボールペンは、弁室を構成する部位の内、接続部材側の内径をペン先チップの拡径部の内径と略一致させ、弁体の動作をより安定化させたものである。すなわち本発明のボールペンでは、接続部材側の内径は、ペン先チップの拡径部の内径と略等しい。そのためペン先チップの拡径部と、接続部材の内周との段差が減少し、弁体がペン先チップの拡径部側に入る際の障壁が小さくなる。その結果、弁体はペン先チップの拡径部と、弁座の間を円滑に移動する。
【0015】
ここで、弁体の形状は球であることが望ましい。
【0016】
また弁体係止部の具体的形状は、インキ導通穴の拡径部と他の部位との境界部分に段差部が設けられ、該段差部によって弁体係止部が構成され、前記段差部には溝が設けられ、該溝によって空隙部が構成されていることが望ましい。
なお段差部は、垂直壁状であってもよく、また傾斜壁状であってもよい。
【0017】
さらに溝の断面形状は三角形、円形又は四角形のいずれかであり、溝は段差部に複数設けられていることが望ましい。溝は、インキ導通穴の拡径部と、筆記用ボール側の部位とを連通するものであれば足りる。
【0018】
上記した構成のボールペンは、ペン先チップの後端部分をもって、弁室の一部を構成させたものであり、ペン先チップの拡径部が、弁室として機能する。そのため弁体に対して適切なクリアランスを与えることができ、弁体の動作が円滑である。そのため上記したボールペンは、インキの逆流が阻止され、且つインキの筆記用ボール側への流出が円滑である。
【0019】
ところで水性インキは、前述の様に油性インキに比べて粘度が低いが、水性インキの添加物によって、粘度に相当のばらつきがある。そして通常の水性インキを使用した上記の構成のボールペンは、インキの流れが円滑であり、書き味が良いものの、水性インキとしてしては比較的粘度の高いインキを使用した場合は、筆記時にインキがかすれる場合があった。
たとえば、メタリックインキ(金属粉含有インキ)、二重発色インキ、酸化チタン含有インキ、真珠光沢顔料含有インキ等を用いた場合にインキのかすれが生じ易く、高速筆記をすることができないという問題点があった。
この理由は、インキの粘度が高いために、切り溝に弁体が当接した際の隙間をインキが通過しにくいためであると考えられる。
【0020】
そこで、インキが流れる切り溝(空隙部)の面積を広げれば、インキが流れ易くなってカスレが少なくなることは想像される。しかしながら、ボールペン等の塗布具において、実際のインキの流れやすさには弁体の大きさも関連し、空隙部の面積をどの程度にすれば十分なインキ流通量が確保されるのかは知られていない。また、切り溝(空隙部)の面積を広げることには加工上の困難さが伴うので、この面積を際限もなく広げることはできなかった。即ち、ペン先チップの製造は、ペン先チップの素材となる線材の外周をチャックで掴み、インキ導通穴となる中心穴を開け、その後にブローチ加工によって、空隙部となる切り溝を切削する。即ちブローチ工具を中心穴の中に押し込み、ブローチ工具を軸方向に押し込んで切り溝を形成する。従って、ブローチ加工の際にはブローチ工具の押圧力が直接的にチャックに負荷される。しかしながらチャックは、前記したように線材の外周を掴んで保持するものであるから、軸方向に対する保持力には限界がある。またペン先チップの線材は、比較的軟らかい素材が使用されるので、チャックの締めつけ力を強くすると、線材が傷つく。そのため切り溝を大きくする設計すると、ブローチ加工の際にチャックが逃げ、切り溝の加工精度が著しく低下する。そのため切り溝(空隙部)を大きくすることには限界があった。
【0021】
この問題に対処するために開発された発明は、インキを内蔵するインキ収納部と、インキを塗布する先端部と、弁機構とを有する塗布具であって、該弁機構は、インキ流通方向に移動可能な弁体と、該弁体よりインキ収納部側に位置する弁座と、当該弁体より先端部側に位置する弁受けとを有し、該弁受けは弁体を係止し得ると共に弁体との間にインキが通過する空隙部を具備し、塗布具の先端部を上向きに位置させた際には弁体は弁座に当接して先端部からインキ収納部へのインキの逆流を阻止し、塗布具の先端部を下向きに位置させた場合には弁体は弁受けに当接し、インキは空隙部を経由して先端部側へ流れることを特徴とする塗布具において、弁体のうち弁受けに当接する部分の形状は球状であり、インキ流通方向に直交する平面に弁体及び空隙部を投影してなる弁体に覆われない空隙部の投影面積が0.035mm2以上であることを特徴とする塗布具である。
【0022】
ここで、「インキ流通方向に直交する平面に弁体及び空隙部を投影してなる弁体に覆われない空隙部の投影面積」とは、図2(b)の様に弁体8が弁受け(弁体係止部)15と当接した状態を正投影した際、空隙部が弁体8の外形からはみだす部分の面積を指し、具体的には、図2(b)において斜線を付した部分に相当する。この投影面積が0.035mm2以上であればインキは空隙部を経由して先端部側へ十分に流れ、かすれは生じにくい。一方、この投影面積が0.035mm2未満であればインキは空隙部で詰まりやすく、筆記時にかすれが生じてしまう。
この投影面積により臨界的効果が生じることは実験的に見出されたことで、その理論的究明はいまだ十分ではないが、空隙部が比較的大きくてもそれが投影図上で弁体に覆われていると、インキが弁体表面に沿って移動してしまい、空隙部を経由して先端部側へ移動しがたくなることによると推察される。
【0023】
そして同様の問題に対処するために開発された本発明は、インキを塗布する先端部と、軸方向に連通するインキ導通穴が設けられたペン先チップと、インキを内蔵するインキ収納部と、前記ペン先チップとインキ収納部とを繋ぐ接続部材を有し、該接続部材にはインキ収納部とペン先チップとを連通する連通穴が設けられ、当該接続部材の連通穴内に弁座が設けられていると共に当該弁座と当接する球状の弁体が軸方向に移動可能に収納された塗布具において、ペン先チップのインキ導通穴の接続部材側開口近傍には拡径部が設けられ、前記拡径部の内径はペン先チップのインキ導通穴の接続部材側開口に至るまで弁体の直径よりも大きく、接続部材の連通穴の弁座前方部分とペン先チップの拡径部によって一つの弁室が形成され、弁体の一部あるいは全部がインキ導通穴内に移動可能であり、ペン先チップのインキ導通穴内には弁体を係止すると共に弁体との間にインキが通過する空隙部を形成する弁体係止部が設けられ、ペン先チップを上向きに位置させた際には弁体は接続部材に設けられた前記弁座と当接してインキの逆流を阻止し、ペン先チップを下向きに位置させた場合には弁体は一部あるいは全部がペン先チップのインキ導通穴内に移動してペン先チップに設けられた弁体係止部に係止され、インキが空隙部を経由して先端部側に流れ、軸に直交する平面に弁体及び空隙部を投影してなる弁体に覆われない空隙部の投影面積が0.035mm 2 以上であることを特徴とする塗布具である。
また同様の目的を達成するもう一つの発明は、先端部に筆記用ボールが内蔵され、軸方向に連通するインキ導通穴が設けられたペン先チップと、インキを内蔵するインキ収納部と、前記ペン先チップとインキ収納部とを繋ぐ接続部材を有し、該接続部材にはインキ収納部とペン先チップとを連通する連通穴が設けられ、当該接続部材の連通穴内に弁座が設けられていると共に当該弁座と当接する球状の弁体が軸方向に移動可能に収納された塗布具において、ペン先チップのインキ導通穴の接続部材側開口近傍には拡径部が設けられ、前記拡径部の内径はペン先チップのインキ導通穴の接続部材側開口に至るまで弁体の直径よりも大きく、接続部材の連通穴の弁座前方部分とペン先チップの拡径部によって一つの弁室が形成され、弁体の一部あるいは全部がインキ導通穴内に移動可能であり、ペン先チップのインキ導通穴内には弁体を係止すると共に弁体との間にインキが通過する空隙部を形成する弁体係止部が設けられ、ペン先チップを上向きに位置させた際には弁体は接続部材に設けられた前記弁座と当接してインキの逆流を阻止し、ペン先チップを下向きに位置させた場合には弁体は一部あるいは全部がペン先チップのインキ導通穴内に移動してペン先チップに設けられた弁体係止部に係止され、インキが空隙部を経由して筆記用ボール側に流れ、軸に直交する平面に弁体及び空隙部を投影してなる弁体に覆われない空隙部の投影面積が0.035mm2以上であることを特徴とする塗布具である。
【0024】
またペン先チップは金属で成形され、空隙部は切り溝から成り、該切り溝の切削面積は0.40mm2以下であることが推奨される。
【0025】
ここで切削面積とは、弁体がないものとして、切り溝そのものを軸に直交する平面に投影した面積である。この切削面積が0.40mm2を超えるとブローチ加工の際にチャックが困難となり、製作しがたい。
【0026】
また空隙部は切り溝から成り、該切り溝のインキ流通方向の長さは、該切り溝の幅以上であることが推奨される。
「切り溝の幅」とは弁受けの周方向に測った切り溝の幅を指す。なお、弁受けの径方向に測った切り溝の深さを「切り溝の深さ」という。
切り溝の長さが短いとインキが切り溝を通過しがたく、筆記時にかすれが生じやすいが、切り溝の長さが切り溝の幅以上であるとこのような問題がなく、円滑に高速筆記ができる。
【0027】
さらに弁体は球であることが望ましい。弁体を球にすると製作が容易であり、また、弁体の回転によりインキの流出が滑らかになる。
【0028】
なお、ペン先チップが磁気を帯びる可能性のある材料であるとき、弁体は、非磁性体からなることが好ましい。ここで、非磁性体とは、ペン先チップに対して全く着磁性を有しないものは無論、ペン先チップから確実に離間する程度の着磁性を有するものも含み、具体的には、オーステナイト系ステンレス鋼、セラミック、銅合金またはガラス等を含む。
ペン先チップが磁気を帯びている場合、弁体が磁性体であると、弁体がペン先チップに磁力により吸着してしまい、ペン先チップを筆記後に上方に向けた際にも、弁体が弁座側に落下しなくなり、インキの逆流防止機能が図れなくなる問題があるが、非磁性体からなる弁体を用いると、このような問題が解決される。
【0029】
上記した比較的高粘度のインキとは、例えばインキのELD型粘度計3°(R14)コーン0.5rpm(20℃)における粘度が1000mPa・s以上10000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の塗布具である。
【0030】
またインキは平均粒径5μm以上30μm以下の顔料を含有する水性インキである場合に、上記した発明が特に効果的である。
【0031】
さらにインキは金属粉含有インキ、二重発色インキ、酸化チタン含有インキ、及び/又は真珠光沢顔料含有インキのいずれかである場合に、上記した発明が特に効果的である。
またインキが増粘剤を含む場合に上記した発明が特に効果的である。
さらに増粘剤はチキソトロピー性の多糖類又はその誘導体である場合に上記した発明が特に効果的である。
またインキが微生物産系多糖類又はその誘導体を含有する場合に、上記した発明に係る塗布具は筆記性に優れる。
またインキはラムザンガムを含有する場合に上記した発明が特に効果的である。ラムザンガムは、主として増粘剤として機能し、ラムザンガムを含有するインキは、特にアルミニウム粉顔料に対する保存性が優れている。
【0032】
また同様の目的を達成するためのペン先チップの発明は、インキを塗布する先端部を有し、軸方向に連通するインキ導通穴が設けられ、球状の弁体と組み合わせて使用される塗布具用ペン先チップにおいて、ペン先チップのインキ導通穴の後端開口近傍には拡径部が設けられ、前記拡径部の内径はインキ導通穴の後端開口に至るまで弁体の直径よりも大きく、弁体の一部あるいは全部がインキ導通穴内に移動可能であり、インキ導通穴内には弁体を係止すると共に弁体との間にインキが通過する空隙部を形成する弁体係止部が設けられ、軸に直交する平面に弁体及び空隙部を投影してなる弁体に覆われない空隙部の投影面積が0.035mm 2 以上であることを特徴とするペン先チップである。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態におけるボールペンの断面図である。図2は、図1のボールペンのペン先チップ後端部の斜視図である。図3は、図1のボールペンのペン先チップ後端部、弁体及び接続部材先端部の断面斜視図である。図4は、ペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図である。図5は、図4のA−A断面図である。図6は、図4のB−B断面図である。図7は、ペン先チップを上方向に向けた状態におけるペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図である。図8は、ペン先チップを下方向に向けた状態におけるペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図である。図9は、本発明の他の実施形態におけるボールペンのペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図及びそのC−C断面図と接合部分の変形例の拡大断面図である。図10は、本発明の他の実施形態におけるボールペンのペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図及びそのD−D断面図である。図11は、本発明の他の実施形態におけるボールペンのペン先チップ後端部、弁体及び接続部材先端部の断面斜視図である。図12は、ペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図およびそのA−A断面図である。図13及び図14は、本発明の他の実施形態におけるボールペンのペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図及びそのC−C断面図である。
【0034】
図1乃至図8において、1は、本発明の実施形態のボールペンを示す。本実施形態のボールペン1の部材構成は、従来技術と同一であり、筒状の本体軸2と、インキ芯3によって構成されている。またインキ芯3は、ペン先チップ5、接続部材6、インキ筒(インキ収納部材)7及び球状の弁体8によって構成されている。
【0035】
順次説明すると、ペン先チップ5は、筆記用のボール10が先端に設けられた部材であり、快削鋼等の金属材料を切削加工して作られている。使用した金属材料は具体的には快削ステンレス鋼(Free Cutting Stainless Steel)であるDSR6F(大同特殊鋼株式会社製)であり、SUS430をベースとし、20%のCrと、Mo,S,Pb,Teを添加したものである。ペン先チップ5の外形形状は、公知のものと大差なく、先端部分17が円錐形をしており、後側18は円柱状をしている。また後端側の部位には段差19が設けられており、段差19よりも更に後端側はやや小径に作られている。さらに後端側の先端部分は、接続部材6への挿入が容易となる様にテーパ形状が設けられている。
なお、段差19の有無は任意である。
【0036】
またペン先チップの内部形状は、図1の通りであり、先端部分に筆記用ボール10が収納されるボール収納室を持ち、ボール収納室から後端側に連通するインキ導通穴12が設けられている。
【0037】
そしてここで特記するべきは、本発明で採用するペン先チップ5は、インキ導通穴12の後端開口の近傍部分に拡径部13が設けられており、インキ導通穴12の内部に段差状の弁受け(弁体係止部)15が形成されている点である。すなわちインキ導通穴12の後端部分は、図3,図4の様に、インキ導通穴12の他の部位(ペン先チップ挿入側)よりも内径が大きい。拡径部13の内径Dは、弁体8の直径に対して70%程度から150%程度に設定される。また拡径部13の内径Dの望ましい範囲は、弁体8の直径の110%程度から150%程度である。内径Dの望ましい範囲の下限が、110%である理由は、弁体8の半分以上が拡径部13内に没し得ることが望ましいためであり、上限が150%である理由は、これ以上内径Dが大きいと、拡径部13と弁体8とのクリアランスが大きくなり過ぎるためである。
【0038】
また拡径部13の軸方向の長さh、すなわち拡径部13の深さは、弁体8の直径に対して30%から90%の範囲であることが推奨される。
さらにインキ導通穴12の他の部分の内径d、すなわちペン先チップ5を後端側から見た場合の中心開口の内径は、弁体8の直径に対して70%から90%の範囲であることが推奨される。
段差状の弁受け15は、拡径部13の内壁に対して垂直に切り立ったものでも良く、逆にある程度の傾斜を持っていて後端側から見てすり鉢形状をしたものであっても良い。図示した実施形態のボールペン1では、弁受け15は、拡径部13の内壁に対して120°程度、具体的な範囲で示せば110°から130°程度の傾斜を持っている。
【0039】
要するに、拡径部13の各部の形状・寸法の関係は、図2の様に拡径部13の中に弁体8の一部が入り込むことができる関係にあることが肝要である。
ここで弁体8の拡径部13内への入り込み量は、弁体8を地球に見立てた場合の赤道以上であることが望ましい。すなわち弁体8の入り込み量H(図4参照)は、弁体8の直径の50%以上であることが望ましい。また弁体8の入り込み量Hの最も推奨される値は、弁体8の直径の60%から100%程度である。
上記した、入り込み量Hの推奨範囲は限定的なものではなく、弁体8の直径の40%程度でも良く、逆に120%という様に弁体8の全体が拡径部13内に没してなお余りある状態であっても良い。なお、入り込み量Hが弁体8の直径の40%程度という様に、入り込み量が、弁体8を地球に見立てた場合の赤道以下である場合は、弁体8の移動が迅速であるという利点がある。
また弁体8が拡径部13の中に入った状態の時、弁体8は弁受け15の一部と当接して先端側への移動が阻止され、さらにこの時に、弁体8と拡径部13の内周の間にインキが通過するクリアランスが確保されることが必要である。
【0040】
そしてもう一つの特徴的構成は、弁受け15に切り溝(空隙部)16が設けられている点である。本実施形態では、切り溝16は図3,4,5の様に三角形をしており、等間隔に8条設けられている。切り溝16の軸方向の長さは、図4、図7の様に弁体8の直径の約3分の1程度である。また切り溝16の深さは、拡径部15側から筆記用ボール10側に向かうに従って漸減している。
【0041】
接続部材6は、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂を素材とする射出成形によって作られたものであり、外形形状は公知のものと大差は無い。すなわち接続部材6は先端部20側が円錐形をしている。また後端側は二段の円筒形状になっており、大径部21と、小径部22が順次設けられている。
そして接続部材6の中心には、軸方向に貫通した連通穴23が設けられている。
また連通穴23の中間部分には、弁座25が設けられている。弁座25の形状・寸法は、公知のものと同一である。また連通穴23の先端側には位置決め用の段差31が設けられている。
【0042】
接続部材6の構成で特徴的な部分は、連通穴23の内周面であって、弁座25から先端側に向かう位置の内径が小さく作られている点である。そして当該小径部28の内径は、前記したペン先チップ5の拡径部13の内径Dと等しい。
小径部28の位置は、ペン先チップ5が挿入された状態において、ペン先チップ5の後端と弁座25との間の位置に相当する。
【0043】
弁体8は、ステンレススチールや超硬合金あるいはセラミック等の錆びにくく、且つある程度の重量を有する素材で作られた球である。
特に、弁体8は、非磁性体からなることが好ましい。その理由を以下に説明する。
ペン先チップ5は切削加工が施されるため、その材質として、硫黄、セレン、鉛、テルル、モリブデン等が添加された快削ステンレス鋼が採用されることが多いが、かかる材質のペン先チップ5はその切削加工時に磁気を帯びてしまう場合がある。弁体8に磁性を有する金属製のものを採用すると、磁気を帯びたペン先チップ5に弁体8が磁力により吸着してしまい、筆記後にペン先チップ5を上方に向けた際にも、弁体8が弁座25側に落下しなくなり、インキの逆流防止機能が図れなくなる問題がある。
【0044】
非磁性体からなる弁体8を用いると、このような問題が解決される。即ち、ペン先チップ5が磁気を帯びても弁体8がペン先チップ5に磁力により吸着することはなく、ペン先チップ5を上方に向けた際には、ペン先チップ5に当接していた弁体8は、自重により落下して弁座25に当接し、インキの逆流を確実に阻止する。
ここで、非磁性体とは、ペン先チップに対して全く着磁性を有しないものは無論、ペン先チップから確実に離間する程度の着磁性を有するものも含み、具体的には、オーステナイト系ステンレス鋼、セラミック、銅合金またはガラス等を含む。
中でもオーステナイト系ステンレス鋼が、硬度及び比重が大でしかも球形状に加工し易いので好ましい。例えば、SUS201〜SUS385の範囲が好ましく、更に具体的には、SUS304またはSUS316が好ましい。
【0045】
インキ筒7は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等を素材として押し出し成形によって作られたものであり、内部に水性インキが充填されている。また水性インキの後端部分は、ポリブテン等のゲル状封止部材により封止されている。
【0046】
インキ芯3は、図1の様に、ペン先チップ5とインキ筒7が、接続部材6を介して繋がれたものであり、ペン先チップ5は、接続部材6の連通穴23の先端側に内挿され、インキ筒7は接続部材6の後端部の小径部22に外装されている。 なおペン先チップ5の挿入に際しては、段差部19が接続部材6の段差部31と当接して位置決めされる。ペン先チップ5が挿入された状態では、ペン先チップ5の後端は、図4の様に接続部材6の小径部28に近接した位置となる。
【0047】
そして接続部材6内であって、ペン先チップ5の弁受け15と、弁座25の間に、弁体8が軸方向に移動可能に挿入されている。
すなわち本実施形態のボールペン1では、接続部材6の連通穴23の弁座25前方部分と、ペン先チップ5の拡径部13が近接し、両者によって、他の部位に比べて内径の大きい空間が形成されている。そして本実施形態のボールペン1では、この他の部位に比べて内径の大きい空間を弁室27として機能させ、内部に弁体8が配されている。
【0048】
本実施形態のボールペン1は、上記したインキ芯3の接続部材6の大径部21に外装されたものである。
【0049】
次に本実施形態のボールペン1の作用を説明する。
本実施形態のボールペン1を、ペン先チップ5を上に向けた姿勢にすると、図7の様に弁体8は弁座25と液密に当接し、ペン先チップ5側からのインキの逆流が阻止される。
【0050】
次に筆記のためにボールペン1を天地逆転させ、ペン先チップ5が下方を向く姿勢とすると、弁体8は重力によって落下し、図8の用にペン先チップ5の拡径部13に円滑に移動する。すなわちペン先チップ5の後端側は、前記した様に接続部材6の小径部28に近接した位置にあり、さらに小径部28の内径は、拡径部13の内径Dと等しいので、拡径部13と接続部材6側との接続部分の段差は小さい。そのため弁体8は弁座25側から拡径部13側に円滑に移動する。そして図8の様に弁体8の一部は拡径部13内に入り込み、ペン先チップ5の弁受け15と当接する。
【0051】
ここでペン先チップ5の弁受け15には、上記した様に切り溝16が設けられているので、弁受け15と弁体8との間には図8の様な空隙33が形成される。また拡径部13の内周壁と弁体8との間には、インキが流通するのに十分なクリアランスがある。そのためインキ筒7内のインキは、拡径部13の内周壁と弁体8との間のクリアランスを流れ、空隙33を経てペン先チップ5側に流れ込み、筆記用ボール10に供給される。
【0052】
また筆記を終えて、再度ペン先チップ5を上に向けると、図7の様に弁体8は弁受け15を離れて弁座25と当接することとなるが、弁体8が移動する際には弁体8はペン先チップ5の拡径部13によってガイドされる。ここでペン先チップ5の拡径部13は切削加工等によって作られたものであり、従来技術に比べて寸法精度が格段に高く、拡径部13の内壁と弁体8とのクリアランスは適切である。そのため弁体8は、円滑に移動して弁座25と当接し、弁座25の開口を封止する。
【0053】
以上の実施形態では、ペン先チップ5内の弁受け15に設けた切り溝16、すなわち空隙を形成する溝は、等間隔に8条設けたが、この個数は任意であり、4条程度であっても良く、また10条を越えるものであっても良い。設計の指針としては、弁体8が弁受け15と当接した際に、できるだけ大面積の空隙部が形成されるように配慮することが望ましく、8条から10条程度が最も適切であるといえる。
【0054】
切り溝の断面形状は、三角形に限定されるものではなく、図9の様に四角形の切り溝51であっても良い。また加工の容易さを考慮すると半円状のものも推奨される。切り溝の長さは、一般的には長い方が望ましく、加工方法との関係で長短を決定することとなる。従って切り溝の長さは、図4に示した例の様に比較的短いものの他、図9の切り溝51の様により長いものであっても良い。ただし、インキ導通穴12の側面の溝面積(出口)が弁受け15にできた溝面積(入り口)と少なくとも同面積になる深さが望ましい。切り溝51の端部の形状は、図9(b)に示した様な段状のものであっても良いが、図9(c)の様なテーパ形状であることが推奨される。すなわち当該部位をテーパ形状とすることにより、空気の抜けが容易となり、インキの流れがより円滑となる。また当該部位をテーパ形状とすることにより、加工の際において、過度の負荷を逃がすことができ、変形を防ぐことができる。テーパ角は90°以上120°が望ましい。90°より小さくなると当該部位が外側にふくらむおそれがあるからである。
【0055】
また空気の抜けを容易にするという観点からは、ペン先チップ5の先端部と、接続部材6の間の空隙も無いほうが望ましい。すなわち空気の抜けを容易にするという観点からは、図9(d)の様に、ペン先チップ5の先端と接続部材6とが直接当接する構成が推奨される。図9(d)の様に、ペン先チップ5の先端を接続部材6に直接当接する構成を採用する場合には、両者の当接によってペン先チップ5を挿入する際の軸方向の位置決めがなされるので、ペン先チップ5及び接続部材6に段差部19及び段差部31を設ける必要はない。
【0056】
なお図9及び後記する図10の実施形態においては、先の実施形態と同一の部材に同一の番号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0057】
またペン先チップ5のインキ導通穴12が小さい場合には、矢溝状の溝を設けて段差部と弁体8との間に空隙を設ける方策も推奨される。図10は、矢溝状の溝40を設けた例である。すなわち図10の様にインキ導通穴12が小さい場合は、軸方向に溝を設けても溝の開口部分が弁体8によって塞がれてしまう。そのため段差部41の当接面に放射状の溝40を設け、この溝を跨いで弁体8が段差部と当接する様に設計する。
【0058】
前記した実施形態では、いずれもペン先チップ5の後端側にテーパ形状を設けた例を図示したが、当該部分のテーパ形状の有無は任意であり、ペン先チップ5の後端側は、所謂ずんどう形状のものであっても良い。図11は、テーパ形状が無い構成を採用した場合の最初の実施形態の図3に相当する部位での断面斜視図であり、図12は、同じくテーパ形状が無い構成を採用した場合の最初の実施形態の図4,図5に相当する部位での断面図である。また図13は、図9に示した実施形態と基本構成が同一であり、ペン先チップ5の後端側のテーパ形状を無くした場合の例を示すものである。さらに図14は、図10に示した実施形態と基本構成が同一であり、ペン先チップ5の後端側のテーパ形状を無くした場合の例を示すものである。
テーパ形状を持たないペン先チップ5を採用した場合は、接続部材6への挿入が多少困難になるという欠点があるものの、ペン先チップ5の外周と、接続部材6の内周部との間の隙間が小さくなるので、当該部分に空気が滞留するといった不具合は解消される。
すなわち図1〜図10の実施形態の様に、ペン先チップ5の後端にテーパ形状を設けると、図4,7,8,9,10のように、テーパ部分の外周面と接続部材6の内周面の間に環状の隙間ができる。そしてこの隙間に空気が溜まることがあり、インキの流れを阻害する懸念がある。これに対して図11〜図14の様に後端部にテーパ形状を持たないペン先チップを採用すれば、接続部材6の内周部との間に隙間が無くなり、空気が溜まることはない。
ただし、テーパ形状を有するペン先チップにおいても、ペン先チップ5の先端を接続部材6に直接当接する構成とすれば、インキの流れは阻害されない。
【0059】
前記した実施形態では、連通穴23の内周面であって、弁座25から先端側に向かう位置に小径部28を設けたが、当該部位に軸方向に延びるリブを設け、リブの内接円を拡径部13の内径と略一致させる構成も推奨される。
【0060】
ペン先チップ5の拡径部13及び切り溝16の製造方法は、任意であり、公知の方法を含む多様な方法が採用可能である。
例えばペン先チップ5の仕掛かり品に、拡径部13の内径に相当する直径のドリルで先に拡径部13を設け、その中心にインキ導通穴12に相当する穴を設ける方法が考えられる。また逆にペン先チップ5の仕掛かり品に、インキ導通穴12に相当する直径の下穴をあけ、その後に拡径部13の内径に相当する直径のドリルやリーマをもって開口部分を広げて拡径部13を作っても良い。
また切り溝16は、ブローチの様な刃物を拡径部側から弁受け15に突っ込み、弁受け15の内側を溝状に掻き取ることによって設けることができる。さらに図10の様な矢溝状の溝40を設ける場合には、筆記用ボールのボール収納室に通常設けられる矢溝と同様に、端面側に刃を有する工具を弁受け15に押し当てることにより設けることができる。
【0061】
次に、比較的粘度の高い水性インキを使用する場合に推奨されるボールペンの構成について説明する。比較的粘度の高い水性インキには、金属粉顔料含有インキ(いわゆるメタリックインキ)、二重発色インキ、酸化チタン含有インキ、真珠光沢顔料含有インキ等がある。
【0062】
ここで金属粉顔料含有インキ(いわゆるメタリックインキ)とは、アルミニウム粉や真鍮粉等の金属粉顔料を含有するインキである。このようなインキにおいては、金属粉顔料と液成分(ビヒクル)との比重差が大きいので、金属粉顔料が沈降することを防止するため、通常、液成分に増粘剤が添加されている。
【0063】
また二重発色インキとは、被塗布表面に浸透しやすい着色剤と浸透しにくい着色剤の両方を含有するインキであって、例えば、金属粉顔料、水溶性染料、水及び浸透性有機溶剤からなる。このようなインキを紙、布等の溶剤浸透性表面に塗布して文字、記号、図形等を筆記すると、金属粉顔料は筆記されたままの図形等を形成するのに対し、水溶性染料は溶剤とともにその図形等の外側まで浸透拡散し、あたかも図形等に縁取りを施したかの如き外観を呈し、独特の視覚的効果を有する。このようなインキにおいても、通常、金属粉顔料の沈降を防止するために増粘剤が添加されている。
【0064】
白色インキには、通常、酸化チタン(TiO2)顔料が含有される。この酸化チタン顔料も比重が大きいため、その沈降を防止するため、通常、酸化チタン含有インキには増粘剤が添加されている。
なお、酸化チタン含有インキに増粘剤に加えて高分子微粒子を添加することが特公平5−46389号公報に記載されている。
【0065】
真珠光沢顔料含有インキとは、雲母を微細な粉末にし、その表面を酸化チタン及び酸化鉄などの高屈折率の金属酸化物で被覆して安定化させて製造したいわゆる真珠光沢顔料を含むインキである。このインキにおいては、高屈折率の金属酸化物の層と、低屈折率の雲母および周りの媒体との境界で反射した光が真珠状または金属状の光沢をかもしだすものである。このようなインキにおいても、真珠光沢顔料の比重が大きいので、通常、真珠光沢顔料の沈降を防止するために増粘剤が添加されている。
【0066】
ところで、水性インキは、たとえ上記の比較的粘度の大きいものであっても、油性インキに比べて粘度が低いため、ペン先チップを上にして放置すると、先端部のインキがインキ収納部側に逆流して落ち込みやすく、その結果、ペン先チップ先端部のインキが空になり、書き出しの際にインキがかすれてしまうという問題があった。
しかしその一方で、これらのインキを使用する場合には、インキのかすれが生じ易く、高速筆記をすることができないという問題点があった。
【0067】
本実施形態のボールペン50の基本構成は、前記した弁を内蔵するボールペン1のそれと全く同一であり、ペン先チップの拡径部と、弁体係止部の形状のみが異なる。従って、実施形態の説明は、発明の要部たるペン先チップの拡径部と、弁体係止部に重点を置き、他の部位の説明は簡単に止める。
即ち本実施形態のボールペン50は、図1に示したように、筒状の本体軸2と、インキ芯3によって構成されている。またインキ芯3は、従来技術と同様にペン先チップ5、接続部材6、インキ筒(インキ収納部材)7及び球状の弁体8によって構成されている。
インキ筒7、接続部材6及び弁体8は、本出願人が先に開示したボールペン1と全く同一である。即ちインキ筒7は、内部に水性インキが充填された筒である。
【0068】
また接続部材6には、軸方向に貫通した連通穴23が設けられ、連通穴23の中間部分には、弁座25が設けられている。
弁体8は球体であり、ペン先チップ5の弁受け15と、弁座25の間に、弁体8が軸方向に移動可能に挿入されている。
弁体8の素材としては、ステンレス鋼、超硬合金、セラミックス等、錆びにくく、且つある程度の密度を有する素材が好適である。特に、前記したボールペン1と同一の理由により、非磁性体が好ましく、中でもオーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。例えば、SUS201〜SUS385の範囲が好ましく、更に具体的には、SUS304またはSUS316が好ましい。
弁体8は必ずしも球である必要はないが、弁体8の形状に球を採用する場合には、その直径は1.0〜2.0mmが好適であり、中でも1.4〜1.6mmが特に好適である。
【0069】
ペン先チップ5は、筆記用のボール10が先端に設けられた部材であり、金属材料を切削加工して作られている。ペン先チップ5の素材は、切削加工の容易さと錆びにくさ、耐蝕性等を考慮して選択され、例えば、快削ステンレス鋼が好適である。
ペン先チップ5の外観形状は、前記したボールペン1と同一である。
また本実施形態のボールペン50のペン先チップ5の内部形状の中で、その先端部分については、先に説明したボールペン1と同様であり、図1の様に筆記用ボール10が収納されるボール収納室を持ち、ボール収納室から後端側に連通するインキ導通穴12が設けられている。
またペン先チップ5の後端開口の近傍部分に拡径部13が設けられており、インキ導通穴12の内部に段差状の弁受け(弁体係止部)15が形成されている。ここで、本実施形態のボールペン50では、弁受け(弁体係止部)15の形状等が先に開示したボールペン1と異なる。以下、この点について詳細に説明する。
【0070】
図15(a)は、本発明の実施形態のボールペンのペン先チップと接続部材と接合部分の拡大断面図である。即ち図15(a)は、前述した図4に相当する部位の図面である。また図15(b)は、図15(a)のC−C断面図である。
本実施形態のボールペン1では、図15(b)の様に、弁受け50には、断面形状が長方形の切り溝(空隙部)51が放射状に6個設けられている。
そして本実施形態のボールペン50の構造として特記するべき点は、本実施形態のボールペン1では、軸に直交する平面に弁体8及び空隙部50を投影してなる弁体8に覆われない空隙部の投影面積が0.035mm2以上に設計されていることである。
また本実施形態のボールペン50では、切り溝(空隙部)51の切削面積は0.40mm2以下である。
より具体的に説明すると、本実施形態のボールペン50では、切り溝51の形状は、ペン先チップ5の端面側から見て、略長方形であり、切り溝51の幅を「GW」とし、深さを「GH」とし、長さを「GL」とし、各切り溝(空隙部)51の全体としての直径を「OD」とし、弁体の直径を「BD」とし、切り溝の個数をnとした時、下記の式(1)が成立する。なお長さ「GL」は、図15(c)のように溝形状の不完全な部分を含まない長さを指す。
【0071】
GW×(OD−BD)÷2×n≧0.035mm2・・・(1)
【0072】
また同時に下記の式(2)が成立する。
【0073】
GW×GH×n≦0.40mm2・・・(2)
【0074】
なお、式(1)、式(2)は厳密には切り溝(空隙部)51の投影形状が長方形である場合に適用されるものであるが、空隙部51の内外周が円弧形状であっても、上記の式を適用して実質的に差し支えない。
本実施形態のボールペン50は、上記した式(1),式(2)を満足することにより、筆記時における受け部50のインキの通過が円滑であり、筆記時にインキがかすれることが少ない。また切り溝(空隙部)51をブローチ加工する際にチャックが逃げることもない。
【0075】
本実施形態のボールペン50に内蔵されるインキとしては、公知の水、アルコール、グリコール、エーテル等の水性溶剤を使用したインキを採用することができるが、金属粉顔料含有インキ(いわゆるメタリックインキ)、二重発色インキ、酸化チタン含有インキ、真珠光沢顔料含有インキ等において、本発明の効果が顕著に発揮される。以下、これらのインキについて、さらに詳述する。
【0076】
金属粉顔料含有インキにおいて、金属粉顔料としてアルミニウム粉、真鍮粉、銅粉、金粉、銀粉等の何れを用いてもよいが、特にアルミニウム粉顔料を使用するインキを採用した場合に本発明の効果が顕著である。
アルミニウム粉顔料は、リーフィングタイプであってもよく、ノンリーフィングタイプであってもよい。具体的には、商品名「アルペーストWJP−U75C」、「アルペーストWE1200」、「アルペーストWXM7675」、「アルペーストWXM0630」(以上、東洋アルミニウム(株)製)、「1110W」、「2172SW」(以上、昭和アルミニウム社製)、「AW−808C」、「AW−7000R」(以上、旭化成社製)等が例示できる。
また、「F500−RG」、「F500BG−W」、「F701RE−G」(以上、昭和アルミニウム社製)等の着色アルミニウム系顔料も使用できる。
その他の金属粉顔料として、真鍮粉顔料の具体例を挙げると、商品名「BS−605」、「BS−607」(以上、東洋アルミニウム(株)製)、「ブロンズパウダーP−555」、「ブロンズパウダーP−777」(以上、中島金属箔粉工業(株)製)等である。
これら金属粉顔料は、1種又は2種以上で使用することができる。
これらの金属粉顔料の平均粒径が小さすぎると筆跡の金属光沢が不足し、大きすぎるとペン先等で目詰まりしやすく、インキの流出が悪くなるため、平均粒径が5〜30μm、特に5〜15μmの範囲にある場合、筆記性、印刷適性が優れている。
【0077】
二重発色インキは、被塗布表面に浸透しにくい着色剤と、被塗布表面に浸透しやすい着色剤と、水と、水溶性有機溶剤とを、通常含有する。
被塗布表面に浸透しにくい着色剤として、アルミニウム粉顔料、真鍮粉顔料等の金属粉顔料が好適に用いられる。このような着色剤を含有するインキは一種の金属粉顔料含有インキでもある。インキに含有される金属粉顔料の具体例は上記と全く同一となるので、列挙は省略する。
これらの金属粉顔料の平均粒径が小さすぎると筆跡の金属光沢が不足し、大きすぎるとペン先等で目詰まりしやすく、インキの流出が悪くなるため、平均粒径が1〜20μmの範囲にある場合、筆記性、印刷適性が優れている。
また、金属粉顔料以外でも、従来水性インキに用いられている通常の顔料は、被塗布表面に浸透しにくい着色剤として使用可能である。この種の顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料や、キナクリドンバイオレット等のキナクリドン系あるいはハンザエロー10G等の不溶性アゾ顔料などの有機顔料が挙げられる。
【0078】
被塗布表面に浸透しやすい着色剤としては、溶媒に対する溶解性又は分散性に支障のないものであれば公知の染料、顔料をそのまま用いることができる。
そのような染料としては、例えば金属錯塩系染料、ベンゼンアゾ系、ピラゾロンアゾ系、アセト酢酸アニリドアゾ系、ナフタレン誘導体アゾ系、深色化ジスアゾ系、高性能化ジスアゾ系、キニザリン系、ブロアミン系、アントラキノン系、ニトロ系等の酸性染料;銅フタロシアニン系、ベンジン系、トリジン系、ジアニシジン系、スチルベンゾアゾ系、尿素結合を有するジアゾ又はカップリング成分を用いたアゾ系、ジアミンジフェニルアミンアゾ系、連続アゾ型ポリアゾ系、ポリアゾ系、チアゾールアゾ系、顔料スルホン化物系等の直接染料;ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、アクリジン系、ジ(トリ)アリルメタン系、キノンイミン系、キサンテン系、アゾ系、ポリメチン系、アゾメチン系、ジアゾメチン系、ジアゾトリメチン系、トリアゾトリメチン系、トリアゾールアゾ系、チアゾールアゾ系、ベンゾチアゾールアゾ系等の塩基性染料が挙げられる。
顔料としては、例えばフタロシアニン、ジオキサジン、カーボン等が使用できる。さらに、蛍光顔料等の顔料も使用できる。
これら着色剤は1種でも2種以上でも用いることができる。
【0079】
水溶性有機溶剤としては、例えばアルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類等が挙げられる。さらに具体的には、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ヘキシレングリコール等が好適に使用することができる。
【0080】
酸化チタン含有インキに用いる酸化チタンには、特に制限は無く、各種(ルチル型、アナターゼ型など)の市販品を使用できる。酸化チタンは、より具体的には、例えば、商品名「クロノスKR−270」、同KR−270D、同KR−380、同KR−380A、同KR−380B、同KR−380C、同KR−380D、同KR−380N(以上、チタン工業社製)、「タイペークCR−58」、同CR−60、同CR−602、同CR−63、同CR−80、同CR−90、同CR−93、同CR−95(以上、石原産業社製)、「サンカチタンFR22、同FR41、同FR44、同FR66、同FR77(以上、古河機械社製)などとして入手できる。
【0081】
酸化チタンは、特に比重が大きく(アルミニウムの比重約2.7、雲母の比重2.7〜3.1に対して酸化チタンの比重は4程度)、増粘剤を添加しても沈降防止効果が十分でない場合があるため、酸化チタン含有インキには、酸化チタンの沈降を防止するために、さらに高分子微粒子を添加することが望ましい。特に、偏平状高分子微粒子を添加すると、球状高分子微粒子を添加した場合よりも酸化チタンの沈降防止効果が大きく、インキの分散安定性が高くなるので、より好ましい。
【0082】
偏平状高分子微粒子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル(例えば、ポリメタクリル酸メチルなど)、ポリアクリル酸エステルなどのアクリル系樹脂、ナイロン系樹脂、フッ素系樹脂、アミン系樹脂などの合成樹脂で構成された偏平状樹脂粒子が挙げられる。
偏平状高分子微粒子の平均粒子径は、インキ流出性などを考慮し、10μmとする。より具体的には、偏平状高分子微粒子の平均粒子径は、例えば、0.05〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.2〜1μm程度である。また、偏平状高分子微粒子の厚みは、前記平均粒子径の1/3〜2/3程度が好ましい。なお、偏平状高分子微粒子の平均粒子径とは、粒子径のうち厚みを除く径の平均値をいうものとする。
具体的に例を挙げれば、三井東圧化学社製の商品名「ミューティクル240D」(平均粒子径0.5μm)が好ましい。
【0083】
真珠光沢顔料含有インキに含有される真珠光沢顔料を具体的に例示すれば、商品名「Iriodin100」、同103、同111、同120、同123、同151、同153、同163、同173、同201、同211、同221、同223、同231、同205、同215、同217、同219、同225、同235、同249、同259、同289、同299、「Timiron MP−115」、同MP−1001、同MP−47、同MP−1005、同MP−10、同MP−45SP、「Extender W」(以上全てメルクジャパン社製)等が挙げられる。
真珠光沢顔料含有インキには、上記のような真珠光沢顔料のほか、公知の染料及び又はカーボンブラックを含有させることによって、多種類の色調を選択することができる。
また、いわゆる着色型真珠光沢顔料である商品名「Iriodin300」、同302、同303、同306、同309、同320、同323、同351、同355、同500、同502、同504、同505、同507、同520、同522、同524、同530、同532、同534、「Timiron MP−25」、同MP−20、「Colorona Bronze」、「Colorona Light Blue」、「Colorona Patina Silver」(以上全てメルクジャパン社製)等を用いれば、染料等を添加しないでも多種類の色調を選択することができ、しかも、耐光性、耐水性に優れたインキが製造できる。
これらの真珠光沢顔料の平均粒径が小さすぎると筆跡の光沢が不足し、大きすぎるとペン先等で目詰まりしやすく、インキの流出が悪くなるため、平均粒径が5〜60μmの範囲にある場合、筆記性、印刷適性が優れている。
【0084】
また水性インキには、粘度調整のため、増粘剤が添加されることが通常であるが、本実施形態のボールペン50に使用するインキの増粘剤として、チキソトロピー性の多糖類又はその誘導体を用いることができる。
増粘剤としてチキソトロピー性の多糖類又はその誘導体を用いると、チキソトロピーの性質を有する、いわゆる「ゲルタイプ」のインキを容易に調製することができる。これは、ボールペンに用いたとき、回転するボールによりインキの粘度が低下することを意味するので、水性ボールペン用のインキとして有用な性質である。
【0085】
増粘剤としては、特に、天然多糖類又はその誘導体、即ち、微生物産系多糖類又はその誘導体、水溶性植物系多糖類又はその誘導体、水溶性動物系多糖類又はその誘導体等を用いることが好ましい。
微生物産系多糖類又はその誘導体としては、例えば、プルラン、キサンタンガム(ザンサンガム)、ウェランガム、ラムザンガム、サクシノグルカン、デキストラン等が挙げられる。水溶性植物系多糖類又はその誘導体としては、例えば、トラガンシガム、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、ガティガム、アラビノガラクタンガム、アラビアガム、クイスシードガム、ペクチン、デンプン、サイリュームシードガム、カラギーナン、アルギン酸、寒天等が挙げられる。水溶性動物系多糖類又はその誘導体としては、例えば、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
【0086】
これら増粘剤の中でも、特に微生物産系多糖類又はその誘導体がインキに含有される場合に、アルミニウム粉顔料に対する保存性が良く、塗布具は筆記性に優れる。
特にラムザンガムがアルミニウム粉顔料に対する保存性の点で推奨される。ラムザンガムとしては三晶株式会社製商品名「K7C233」が好適に使用できる。
【0087】
インキ組成物の粘度は、金属粉顔料含有インキにおいては、20℃において2000〜40000mPa・sに調整するとアルミニウム粉顔料等の金属粉顔料が沈降せず、筆記、印刷適性が優れたインキ組成物を得ることができる。特に最適な範囲として、20℃において3000〜15000mPa・sに調整することが好ましい。
なお、本明細書に記載する粘度は、全てELD型粘度計でコーンロータ(3°コーンR14)を用い0.5rpmにより測定したものである。
二重発色インキにおいては、20℃において1000〜10000mPa・sに調整すると金属粉顔料等が沈降せず、筆記、印刷適性が優れたインキ組成物を得ることができる。特に最適な範囲として、20℃において2000〜5000mPa・sに調整することが好ましい。
酸化チタン含有インキにおいては、20℃において1000〜12000mPa・sに調整すると酸化チタン顔料等が沈降せず、筆記、印刷適性が優れたインキ組成物を得ることができる。特に最適な範囲として、20℃において3000〜9000mPa・sに調整することが好ましい。
真珠光沢顔料含有インキにおいては、20℃において2000〜40000mPa・sに調整するとアルミニウム粉顔料等が沈降せず、筆記、印刷適性が優れたインキ組成物を得ることができる。特に最適な範囲として、20℃において3000〜15000mPa・sに調整することが好ましい。
【0088】
多糖類の使用量の適量としては、例えば、インキ組成全量に対して0.01〜4重量%、さらに好ましくは0.3〜2重量%である。多糖類の使用量が少なすぎると、金属粉等の顔料の分散性が低下し、顔料が沈降しやすくなる。一方、使用量が少なすぎると、インキの粘度が高くなりすぎて、筆記性、印刷適性が低下する。
【0089】
インキには、必要に応じ、増粘剤安定化剤を添加する。増粘剤安定化剤としては、例えば、安息香酸のナトリウム塩などのカルボン酸のナトリウム塩が挙げられる。
なお、インキには、従来と同様、染料、界面活性剤、分散剤、防腐剤、PH調整剤、防錆剤、消泡剤等の添加剤を添加してよい。
【0090】
前記した本発明の実施形態では、先端部(ペン先チップ)とインキ収納部との間に接続部材を設けた例を示したが、本発明は、この構成に限定されるものではなく、接続部材相当部がインキ筒に一体化された構成の塗布具にも適用可能である。
【0091】
【実施例】
下記の実施例および比較例に示すボールペンを製造した。実施例および比較例のボールペンは、ペン先チップの弁受けの形状と弁体の大きさのみが異なる。そのため以下に示す実施例及び比較例の参考図面(図16〜24)は、ペン先チップの後端面の端面図(各a)と当該端面図のE−E断面図(各b)を記載している。ペン先チップは、快削ステンレス鋼製の素材(Hv200〜280,引張り強度600〜780N/mm2)を切削して製作したものであり、インキ導通穴の直径は同一(1.3mm)である。空隙部の形状は、断面形状が長方形の溝型である。以下の実施例・比較例において使用したインキは、溶剤として水を用い、顔料としてアルミニウム粉顔料、増粘剤としてラムザンガム(三晶株式会社製、商品名「K7C233」)を用いた。
【0092】
(実施例1)
図16は、実施例1で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
実施例1のボールペンは、図16に示したようなペン先チップを使用した。即ち、弁受けに6個の断面形状が長方形の切り溝形状の空隙部が設けられ、各空隙部の幅(GW)は0.27mm,深さ(GH)は、0.1mm、全体の直径(OD)は1.5mm、長さ(GL)は0.35mmである。弁体としては、直径1.45mmの球体を用いた。
実施例1のボールペンにおける空隙部の投影図を長方形と近似してこの場合の弁体に覆われない空隙部の投影面積を概算すると、
0.27mm×(1.5mm−1.45mm)÷2×6=0.0405mm2となる。
【0093】
(実施例2)
図17は、実施例2で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
実施例2のボールペンは、図17に示したようなペン先チップを使用した。即ち、弁受けに10個の切り溝形状の空隙部が設けられている。空隙部の端面の形状は、長方形であり、切り溝は奥に行くほど小さくなっている。
実施例2のボールペンの空隙部の端面部分における幅(GW)は0.16mmであり、深さ(GH)は、0.1mm、全体の直径(OD)は1.5mm、長さ(GL)は0.35mmである。弁体としては、直径1.45mmの球体を用いた。
実施例2のボールペンにおける空隙部の投影図を長方形と近似してこの場合の弁体に覆われない空隙部の投影面積を概算すると、
0.16mm×(1.5mm−1.45mm)÷2×10=0.04mm2となる。
【0094】
(実施例3)
図18は、実施例3で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
実施例3のボールペンは、図18に示したようなペン先チップを使用した。即ち、弁受けに6個の断面形状が長方形の切り溝形状の空隙部が設けられ、各空隙部の幅(GW)は0.30mm,深さ(GH)は、0.2mm、全体の直径(OD)は1.7mm、長さ(GL)は0.35mmである。弁体としては、直径1.45mmの球体を用いた。
この場合の弁体に覆われない空隙部の投影面積を概算すると、
0.30mm×(1.7mm−1.45mm)÷2×6=0.225mm2となる。
なお、本実施例は、次の実施例4とともに切り溝の切削面積が実施例中最大であり、その面積を概算すると、
0.30mm×(1.7mm−1.3mm)÷2×6=0.36mm2となる。
【0095】
(実施例4)
図19は、実施例4で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
実施例4のボールペンは、図19に示したようなペン先チップを使用した。即ち、弁受けに6個の断面形状が長方形の切り溝形状の空隙部が設けられ、各空隙部の幅(GW)は0.30mm,深さ(GH)は、0.2mm、全体の直径(OD)は1.7mm、長さ(GL)は0.35mmである。弁体としては、直径1.59mmの球体を用いた。
この場合の弁体に覆われない空隙部の投影面積を概算すると、
0.30mm×(1.7mm−1.59mm)÷2×6=0.099mm2となる。
【0096】
(比較例1)
図20は、比較例1で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
比較例1のボールペンは、図20に示したようなペン先チップを使用した。即ち、弁受けに8個の断面形状が長方形の切り溝形状の空隙部が設けられ、各空隙部の幅(GW)は0.14,深さ(GH)は、0.1mm、全体の直径(OD)は1.5mm、長さ(GL)は0.35mmである。弁体としては、直径1.45mmの球体を用いた。
この場合の弁体に覆われない空隙部の投影面積を概算すると、
0.14mm×(1.5mm−1.45mm)÷2×8=0.028mm2となる。
【0097】
(比較例2)
図21は、比較例2で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
比較例2のボールペンは、図21に示したようなペン先チップを使用した。即ち、弁受けに8個の断面形状が長方形の切り溝形状の空隙部が設けられ、各空隙部の幅(GW)は0.14,深さ(GH)は、0.1mm、全体の直径(OD)は1.5mm、長さ(GL)は0.35mmである。弁体としては、直径1.45mmの球体を用いた。
この場合、弁体の直径(1.59mm)は空隙部の外径(1.5mm)よりも大きいので、弁体に覆われない空隙部の投影面積は0mm2となる。
なお、弁体に覆われない空隙部の投影面積が0mm2となるということは、空隙部が塞がれているということではない。図21(b)から明らかなように、実際には空隙部によりインキ収納部側と先端部側は連通しているが、投影図において空隙部が弁体に覆われているのである。
【0098】
(比較例3)
図22は、比較例3で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
比較例3のボールペンは、図22に示したようなペン先チップを使用した。即ち、弁受けに6個の断面形状が長方形の切り溝形状の空隙部が設けられ、各空隙部の幅(GW)は0.27mm,深さ(GH)は、0.1mm、全体の直径(OD)は1.5mm、長さ(GL)は0.35mmである。弁体としては、直径1.59mmの球体を用いた。
この場合も、弁体の直径(1.59mm)は空隙部の外径(1.5mm)よりも大きいので、弁体に覆われない空隙部の投影面積は0mm2となる。
【0099】
(比較例4)
図23は、比較例4で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
比較例4のボールペンは、図23に示したようなペン先チップを使用した。即ち、弁受けに10個の切り溝形状の空隙部が設けられている。空隙部の端面の形状は、長方形であり、切り溝は奥に行くほど小さくなっている。
比較例4のボールペンの空隙部の端面部分における幅(GW)は0.16mmであり、深さ(GH)は、0.1mm、全体の直径(OD)は1.5mmである。弁体としては、直径1.59mmの球体を用いた。
この場合も、弁体の直径(1.59mm)は空隙部の外径(1.5mm)よりも大きいので、弁体に覆われない空隙部の投影面積は0mm2となる。
【0100】
(比較例5)
図24は、比較例5で採用するペン先チップの設計端面図及びそのE−E断面図である。
図24に示したように、空隙部として幅0.35mm,深さ0.2mm(空隙部外径1.7mm),長さ0.35mmの四角形の切り溝を6箇所設けようとしたが、加工中にチャックが外れて製作できなかった。
この場合の切削面積を概算すると、
0.35mm×(1.7mm−1.3mm)÷2×6=0.42mm2となる。
【0101】
(実施例と比較例の対比)
実施例1〜3と比較例1は直径1.45mmの弁体を用いた例であり、実施例4と比較例2〜4は直径1.59mmの弁体を用いた例である。また、比較例1と比較例2、実施例1と比較例3、実施例2と比較例4、実施例3と実施例4は、それぞれ同一形状・寸法の空隙部に対して弁体の径のみを変えた組合せとなっている。
これらの実施例・比較例のボールペンを用いて筆記実験を行なったところ、実施例1〜4では早書きのときも滑らかに筆記できたのに対し、比較例1〜4では早書きのとき文字がかすれ、筆記困難となった。
実施例1と比較例3、又は実施例2と比較例4の対比により、空隙部の形状、寸法のみならず弁体の大きさもインキの流れに影響していることが確認される。 また空隙部の形状、寸法が等しくても、弁体が大きく、空隙部が投影図上で弁体に覆われていると、弁体表面に沿って移動したインキが空隙部からそれやすく、先端部側へ移動しがたくなると推察される。
さらに比較例1と実施例1〜3の対比より、空隙部が投影図上で弁体に完全には覆われていなくても、弁体に覆われていない空隙部の面積が小さいとやはりインキは先端部側へ移動しがたいことが推察される。比較例1(弁体に覆われていない空隙部の投影面積0.028mm2)においては早書きのとき文字がかすれ、筆記困難となるのに対し、実施例2(上記投影面積0.040mm2)においては早書きのときも滑らかに筆記できることから、弁体に覆われていない空隙部の投影面積0.035mm2付近に数値的境界が存在すると考えられる。
なお、実施例3、4と比較例5との対比から、切削面積は、ほぼ0.40mm2が加工可能な上限値となる。
【0102】
次に、実施例1で使用したペン先チップと同一の端面形状(図16a)を有し、空隙部の長さ(GL)だけが異なる、10種類のペン先チップを製造した。そして各ペン先チップに直径1.45mmの球状弁体を組み合わせたボールペンを試作し、連続筆記実験によってインキの流出量を対比した。その結果、インキの流出量は、空隙部の長さ(GL)が空隙部の幅「GW」と等しい場合を境として顕著に変化した。また空隙部の長さ(GL)が空隙部の幅「GW」を越えると、インキの流出量は略一定となることが判明した。したがって、空隙部たる切り溝の長さは、切り溝の幅以上であることが望ましく、加工容易性を考慮すると、切り溝の長さは、切り溝の幅と略等しいことが理想的であるといえる。
【0103】
【発明の効果】
本発明により、水性メタリックインキ等、水性インキとしては比較的粘度の高いインキを用いたボールペン等の塗布具においても、インキのかすれが生じがたく、筆記が滑らかな塗布具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態におけるボールペンの断面図である。
【図2】 図1のボールペンのペン先チップ後端部の斜視図である。
【図3】 図1のボールペンのペン先チップ後端部、弁体及び接続部材先端部の断面斜視図である。
【図4】 ペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図である。
【図5】 図4のA−A断面図である。
【図6】 図4のB−B断面図である。
【図7】 ペン先チップを上方向に向けた状態におけるペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図である。
【図8】 ペン先チップを下方向に向けた状態におけるペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図である。
【図9】 本発明の他の実施形態におけるボールペンのペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図及びそのC−C断面図と接合部分の変形例の拡大断面図である。
【図10】 本発明の他の実施形態におけるボールペンのペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図及びそのD−D断面図である。
【図11】 本発明の他の実施形態におけるボールペンのペン先チップ後端部、弁体及び接続部材先端部の断面斜視図である。
【図12】 ペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図およびそのA−A断面図である。
【図13】 本発明の他の実施形態におけるボールペンのペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図及びそのC−C断面図と接合部分の変形例の拡大断面図である。
【図14】 本発明の他の実施形態におけるボールペンのペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図及びそのC−C断面図である。
【図15】 (a)は、本発明の実施形態のボールペンのペン先チップと接続部材との接合部分の拡大断面図であり、(b)は、図9(a)のC−C断面図である。
【図16】 実施例1で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
【図17】 実施例2で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
【図18】 実施例3で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
【図19】 実施例4で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
【図20】 比較例1で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
【図21】 比較例2で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
【図22】 比較例3で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
【図23】 比較例4で採用するペン先チップの端面図及びそのE−E断面図である。
【図24】 比較例5で採用するペン先チップの設計端面図及びそのE−E断面図である。
【図25】 実公平4−52067号に記載された弁を内蔵したボールペンの断面図である。
【符号の説明】
1,50 ボールペン(塗布具)
2 本体軸
3 インキ芯
5 ペン先チップ(先端部)
6 接続部材
7 インキ筒(インキ収納部材)
8 弁体
10 筆記用ボール
12 インキ導通穴
13 拡径部
15 弁受け(弁体係止部)
51 切り溝(空隙部)
23 連通穴
33 空隙
Claims (12)
- インキを塗布する先端部と、軸方向に連通するインキ導通穴が設けられたペン先チップと、インキを内蔵するインキ収納部と、前記ペン先チップとインキ収納部とを繋ぐ接続部材を有し、該接続部材にはインキ収納部とペン先チップとを連通する連通穴が設けられ、当該接続部材の連通穴内に弁座が設けられていると共に当該弁座と当接する球状の弁体が軸方向に移動可能に収納された塗布具において、ペン先チップのインキ導通穴の接続部材側開口近傍には拡径部が設けられ、前記拡径部の内径はペン先チップのインキ導通穴の接続部材側開口に至るまで弁体の直径よりも大きく、接続部材の連通穴の弁座前方部分とペン先チップの拡径部によって一つの弁室が形成され、弁体の一部あるいは全部がインキ導通穴内に移動可能であり、ペン先チップのインキ導通穴内には弁体を係止すると共に弁体との間にインキが通過する空隙部を形成する弁体係止部が設けられ、ペン先チップを上向きに位置させた際には弁体は接続部材に設けられた前記弁座と当接してインキの逆流を阻止し、ペン先チップを下向きに位置させた場合には弁体は一部あるいは全部がペン先チップのインキ導通穴内に移動してペン先チップに設けられた弁体係止部に係止され、インキが空隙部を経由して先端部側に流れ、軸に直交する平面に弁体及び空隙部を投影してなる弁体に覆われない空隙部の投影面積が0.035mm 2 以上であることを特徴とする塗布具。
- 先端部に筆記用ボールが内蔵され、軸方向に連通するインキ導通穴が設けられたペン先チップと、インキを内蔵するインキ収納部と、前記ペン先チップとインキ収納部とを繋ぐ接続部材を有し、該接続部材にはインキ収納部とペン先チップとを連通する連通穴が設けられ、当該接続部材の連通穴内に弁座が設けられていると共に当該弁座と当接する球状の弁体が軸方向に移動可能に収納された塗布具において、ペン先チップのインキ導通穴の接続部材側開口近傍には拡径部が設けられ、前記拡径部の内径はペン先チップのインキ導通穴の接続部材側開口に至るまで弁体の直径よりも大きく、接続部材の連通穴の弁座前方部分とペン先チップの拡径部によって一つの弁室が形成され、弁体の一部あるいは全部がインキ導通穴内に移動可能であり、ペン先チップのインキ導通穴内には弁体を係止すると共に弁体との間にインキが通過する空隙部を形成する弁体係止部が設けられ、ペン先チップを上向きに位置させた際には弁体は接続部材に設けられた前記弁座と当接してインキの逆流を阻止し、ペン先チップを下向きに位置させた場合には弁体は一部あるいは全部がペン先チップのインキ導通穴内に移動してペン先チップに設けられた弁体係止部に係止され、インキが空隙部を経由して筆記用ボール側に流れ、軸に直交する平面に弁体及び空隙部を投影してなる弁体に覆われない空隙部の投影面積が0.035mm2以上であることを特徴とする塗布具。
- ペン先チップは金属で成形され、空隙部は切り溝から成り、該切り溝の切削面積は0.40mm2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布具。
- 空隙部は切り溝から成り、該切り溝のインキ流通方向の長さは、該切り溝の幅以上であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の塗布具。
- 弁体は球であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の塗布具。
- インキのELD型粘度計3°(R14)コーン0.5rpm(20℃)における粘度は、1000mPa・s以上10000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の塗布具。
- インキは平均粒径5μm以上30μm以下の顔料を含有する水性インキであることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の塗布具。
- インキは金属粉含有インキ、二重発色インキ、酸化チタン含有インキ、及び/又は真珠光沢顔料含有インキのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の塗布具。
- インキは増粘剤を含むことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の塗布具。
- 増粘剤はチキソトロピー性の多糖類又はその誘導体であることを特徴とする請求項9に記載の塗布具。
- インキは微生物産系多糖類又はその誘導体を含有することを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の塗布具。
- インキを塗布する先端部を有し、軸方向に連通するインキ導通穴が設けられ、球状の弁体と組み合わせて使用される塗布具用ペン先チップにおいて、ペン先チップのインキ導通穴の後端開口近傍には拡径部が設けられ、前記拡径部の内径はインキ導通穴の後端開口に至るまで弁体の直径よりも大きく、弁体の一部あるいは全部がインキ導通穴内に移動可能であり、インキ導通穴内には弁体を係止すると共に弁体との間にインキが通過する空隙部を形成する弁体係止部が設けられ、軸に直交する平面に弁体及び空隙部を投影してなる弁体に覆われない空隙部の投影面積が0.035mm 2 以上であることを特徴とするペン先チップ。
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