JP4284061B2 - 液体混合装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分離しやすい液体の混合に関するものでる。すなわち、水と油を混合して分離しにくい安定したエマルジョンとするにあたり、特に水分比率の高いエマルジョンを製造するための液体混合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の液体混合装置には、次のようなものがある。膨張弁を利用して複数の液体を混合、エマルジョン化する装置において、膨張管とニードル弁からなる膨張弁の絞りと膨張曲線を、前記膨張弁を流れる混合液体が界面剥離とキャビテーションとを起こさない曲線に形成し、混合液体を均一に膨張、エマルジョン化することを特徴とする液体混合装置。前記混合液体に超音波を作用させた後に、少なくとも一端を固定し、振動できる弾力性管状ミキサーを通過させ、該ミキサーを振動させることにより混合液体を均一に分散する液体混合装置。前記混合液体に超音波を作用させた後に、少なくとも一端を固定し、振動できる弾力性管状ミキサーを通過させ、該ミキサーを振動させることにより混合液体を均一に分散する液体混合装置。(特許文献1参照。)。
【0003】
特開平10−277375号公報
【0004】
以下、図7により従来の液体混合装置について説明する。膨張弁101の出口をタンク104に開口させる。このタンク104には、振動板105を介して超音波発振器106が取り付けられ、その上部には、整流板111が取り付けられている。ミキサー107は、タンク104の底板と整流板111とによって支持されている。
【0005】
この装置において、被処理液は、界面剥離とキャビテーションとを起こさせずに徐々に均一に流れを広げ、エマルジョン化した状態でタンク104の底部に吹き込まれる。そこで問題なのは、この吹き込まれる段階において、タンク104の容量の関係からして、急激に流れが広げられることになり、被処理液が界面剥離とキャビテーション起こす危険が発生する。これは、エマルジョン化に悪影響を及ぼす。また、ミキサー107を備えているが、エマルジョン化をするにあたり、連続的な処理の一連の流れの一部の作用を単独にするだけであり、他の構成部材、例えば膨張弁101と関連して作用して相乗効果を奏するものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような課題を解決しようとするもので、膨張弁膨張による徐々に均一に流れを広げた効果を持続しままパイプ状ミキサーで処理できる液体混合装置を提供し、また、膨張弁、パイプ状ミキサー、整流板、処理タンク等により被処理液をエマルジョン化するにあたり、エマルジョン化の状態が全体としてより一層むらのない安定したものとなる液体混合装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、膨張弁とパイプ状ミキサーとを利用して複数の液体を混合、エマルジョン化する装置であって、絞りと膨張曲線を、内部を流れる混合液体が界面剥離とキャビテーションとを起こさない曲線に形成した膨張弁と膨張弁の内部にニードル弁と微調整用つまみ4とを備えてなり、該膨張弁の出口に連続して接続され、その内部に羽根が設けられたパイプ状ミキサー9が設けられ、パイプ状ミキサー9の出口には、多数の孔の開いた整流板10が設けられ、整流板10を覆うごとく上部貯留タンク11が設けられおり、パイプ状ミキサー9を支持しこれを包囲するごとく、処理タンク6が設けられ、処理タンク6には、その外壁に振動板7を介して超音波発振器8が装着され、前記膨張弁が、その基端部にオイル、乳化剤用ミキサーにより事前混合された混合液用の入口パイプと、水用の入口パイプとを個別に具備されており、前記膨張弁を構成する膨張管が、薄い肉厚のものであり、弾性変形しやすい性質のもので構成されている液体混合装置において、前記上部貯留タンクの下流に設けられたサブタンクと、該サブタンクからの混合液体は前記処理タンク6に受け取られることを特徴とする液体混合装置として課題解決の手段としている
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。
図1に示すように、膨張弁1は、ベンチュリー管と同じ構造の膨張管2とニードル弁3と微調整用つまみ4を備えている。この膨張弁1の膨張管2の出口には、パイプ状ミキサー9が接続され、その内部には、羽根5が挿入された通過型ミキサーである。パイプ状ミキサー9の出口には、多数の孔の開いた整流板10が設けられている。この整流板10を覆うごとく上部貯留タンク11が設けられている。パイプ状ミキサー9を支持しこれを包囲するごとく、処理タンク6が設けられている。処理タンク6には、振動板7を介して超音波発振器8が装着されている
【0013】
超音波発振器8は、出力1200W、発振周波数33kHzの仕様のものが好適である。図面には、2個しか図示されていないが、超音波を効果的に印加するためには、その発生源を多数のものとして重畳させ、かつ、他方向から印加することが有効であるから、実施例では、12個設けてもよい。振動板7の振動は、処理タンク6の内部に収容されているものを振動させるばかりでなく、処理タンク6に支持されているパイプ状ミキサー9にも固体振動として伝達される。したがって、振動板の作用をより有効に利用することができる。その振動の作用についしては詳細に後述する。また、その他の構成部材の詳細についても後述する。
【0014】
乳化剤用ミキサー16の入口には、ポンプ18を介してオイルタンク12が、ポンプ20を介して乳化剤タンク13がそれぞれ接続されている。乳化剤用ミキサー16の出口は、ポンプ17を介して膨張弁1の入口に接続されている。水タンク14は、ポンプ19を介して膨張弁1の入口に接続されている。サブタンク15は、上部貯留タンク11の出口に接続されて処理液を収容し、かつ、その出口は、処理タンク6に接続されて一旦収容した処理液を処理タンク6に供給している。さらに、処理タンク6には、最終処理されたエマルジョンを消費されるべき装置に供給する出口パイプ21が接続されている。
【0015】
図2は、膨張弁1の詳細図である。その基端部には、オイルと乳化剤との混合液用の入口パイプ23と水用の入口パイプ24が開口している。また、ベンチュリ管と同じ構造の膨張管2とニードル弁3を備えている。この膨張管2は、入側、出側、共にゆるやかな曲線になっており、その間に最小断面積に絞られた喉部25が形成されている。つまり、管の断面を一旦絞り込み再び広げた形状とされている。液体に触れる面は鏡面に仕上げてある。ニードル弁3も同様に仕上げてある。膨張管2とニードル弁3の曲線は違っている。したがって、ニードル弁3と膨張管2の間隙はニードル弁3の出し入れにより微調整ができる。その出し入れは、ニードル弁3の基部にネジ部22が設けられ、微調整用つまみ4を回転させることにより達成される。両者を、ゆるやかな曲線に仕上げてある理由は、膨張管2を通過する混合流体が界面剥離を起こさないためである。エマルジョン化において重要なのは、粒子径の均一化である。不均一性はエマルジョンの分離を促進する。キャビテーションによる気泡の発生はエマルジョンにとっては悪影響となるから、気泡を作らないようにするためでもある。膨張弁1において被処理液は、流動状態ではあるが、界面剥離を起こさず、キャビテーションが発生しない状態で超音波を印加されることになり、粒子径の均一化されたエマルジョン化の促進をはかることができる。
【0016】
図3、図4、図5及び図6は、パイプ状ミキサー9の詳細図である。図3のものは、羽根5が、一枚で構成されたものを示す。図4のものは、羽根5が、流れの方向に沿って一列に配置された複数枚のもので構成されたものを示す。図5のものは、羽根5が、流れの方向に沿って複数列に配置された複数枚のもので構成されたものを示す。図6のものは、羽根5が、管壁に植設られた多数本の棒状体のもので構成されたものを示す。羽根の形状については、キャビテーションによる気泡の発生はエマルジョンにとっては悪影響となるので、急激な流れの変化をしない形状のものを選択すればよく、前記した以外の周知技術のものから適当に選択することも可能である。
【0017】
パイプ状ミキサー9は、処理タンク6の上下の板状部材に固定されており、振動板7の超音波振動が、該板状部材を介して固体振動としてパイプ状ミキサー9に伝達される。パイプ状ミキサー9は、薄い肉厚のものであり、弾性変形しやすいもであり、伝達された超音波振動を内部を流動状態で通過する被処理液に効率的に伝達することができるものである。
【0018】
整流板10は、多数の孔の開いたものであり、パイプ状ミキサー9からの被処理液の流れを静流状態に安定させると同時に被処理液をさらに均一な状態とするものである。上部貯留タンク11は、整流板10の後方の流れを安定状態とするものである。サブタンク15は、100l程度の容量が適当である。
【0019】
本発明の液体混合装置の作用を処理順序に従って説明する。被処理液は、容積割合でオイル1に対して、水1〜1.5及び乳化剤0.003の割合で混合される。オイルは、一般的には重油、軽油又はガソリン等の燃料油であるが、それ以外のもの、例えば、サラダオイル等のエマルジョン化を必要とするものであればよい。
【0020】
オイルタンク12と乳化剤タンク13とから供給されたオイルと乳化剤とがオイル、乳化剤用ミキサー16により事前混合された後、混合液用の入口パイプ23から膨張弁1の基端部に供給され、水タンク14からの水も水用の入口パイプ24から膨張弁1の基端部に供給される。オイル、乳化剤及び水からなる被処理液は、滑らかに膨張管2を流れる。絞られながら最小断面積に絞られた喉部25を通過した後、徐々に膨張しながら膨張管2を過ぎる。被処理液は、徐々に膨張している段階において超音波を印加を受けることによりエマルジョン化が効果的に行なわれる。膨張管2及びニードル弁3が、ゆるやかな曲線に仕上げられているので、この間において、界面剥離を起こさず、キャビテーションによる気泡の発生がない。被処理液は、膨張管2を過ぎると直ぐにパイプ状ミキサー9にそのままの状態で吹き込まれ、膨張による効果を持続したままパイプ状ミキサー9で処理されることとなる。被処理液は、該パイプ状ミキサー9を通過中に羽根5により繰り返しカットされることによりエマルジョン化が均一に行われる。さらに、パイプ状ミキサー9も超音波振動をしており弾性変形しやすいもであるから、伝達された超音波振動を内部を流動状態で通過する被処理液に効率的に伝達することとなり、均一なエマルジョン化の効果がさらに相乗的なものとなる。また、被処理液は、膨張弁1とパイプ状ミキサー9とを通過中に静止状態でなく、流動状態で超音波振動を受けるため、より効果的にエマルジョン化が促進される。
【0021】
被処理液は、パイプ状ミキサー9を通過した直後に整流板10を通過することにより、静流状態にされ、乱流の発生をすることなく安定状態となる。さらに、被処理液は、サブタンク15を通過の後、処理タンク6に供給されることによって、他方向からの超音波を比較的長時間に渡って印加されることにより、エマルジョン化の状態が全体としてより一層むらのない安定したものとなる。
【0022】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば次のような効果が得られる。処理液が、滑らかに膨張管2を流れ、絞られながら最小断面積に絞られた喉部25を通過した後、徐々に膨張しながら膨張管2を過ぎるから、被処理液が、徐々に膨張している段階において超音波を印加を受けることによりエマルジョン化が効果的におこなわれる。そして、膨張管2及びニードル弁3が、ゆるやかな曲線に仕上げられているので、この間において、界面剥離を起こさず、キャビテーションによる気泡の発生がない。さらに、被処理液が、膨張管2を過ぎると直ぐにパイプ状ミキサー9にそのままの状態で吹き込まれ、膨張による効果を持続しままパイプ状ミキサー9で処理されることとなる。さらにまた、被処理液が、該パイプ状ミキサー9を通過中に羽根5により繰り返しカットされることによりエマルジョン化が均一に行われる。加えて、被処理液が、膨張弁1とパイプ状ミキサー9とを通過中に静止状態でなく、流動状態で超音波振動を受けるため、均一なエマルジョン化の効果がさらに相乗的なものとなる。
【0023】
また、超音波振動を作用させる手段をさらに具備したものであるから、混合作用をより効果的に達成することができる
【0024】
また、オイル、乳化剤用ミキサーにより事前混合された混合液用の入口パイプと、水用の入口パイプとを個別に具備してあるから、事前に必要としていたミキサーの一部を省略することができ、装置をより簡単化して効率的なものとすることができる
【0025】
また、薄い肉厚のものであり、弾性変形しやすい性質のもので構成されているから、膨張管に伝達された超音波振動を内部を流動状態で通過する被処理液に効率的に伝達することができる効果がある
【0026】
また、被処理液が、パイプ状ミキサー9を通過した直後に整流板10を通過することにより、静流状態にされ、乱流の発生をすることなく安定状態となり、さらに、サブタンク15を通過の後、処理タンク6に供給されることによって、他方向からの超音波を比較的長時間に渡って印加されることにより、エマルジョン化の状態が全体としてより一層むらのない安定したものとなる。
【0027】
さらに、本発明を利用することにより、長期間分離しない安定なエマルジョン燃料を大量に製造できる。ジーゼルエンジンの燃料にすると、燃費を改善できるばかりでなく、排ガス中のCO,NOX濃度を大幅に削減できる。ボイラーの燃料として使用する燃焼効率が増加する。
【0028】
前記したエマルジョン燃料の製造ばかりでなく、サラダオイル等のエマルジョン化、乳液状の化粧水の製造、薬品やエマルジョン食品の製造においても効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体混合装置の全体概念図である。
【図2】本発明に係る膨張弁の詳細図である。
【図3】本発明に係るパイプ状ミキサーの詳細図である。
【図4】本発明に係る他のパイプ状ミキサーの詳細図である。
【図5】本発明に係る他のパイプ状ミキサーの詳細図である
【図6】本発明に係る更にパイプ状ミキサーの詳細図である。
【図7】従来例の図である。
【符号の説明】
1 膨張弁
2 膨張管
3 ニードル弁
4 微調整用つまみ
5 羽根
6 処理タンク
7 振動板
8 超音波発振器
9 パイプ状ミキサー
10 整流板
11 上部貯留タンク
12 オイルタンク
13 乳化剤タンク
14 水タンク
15 サブタンク
16 オイル、乳化剤用ミキサー
17,18,19,20 ポンプ
21 出口パイプ
22 ネジ部
23 オイルと乳化剤との混合液用の入口パイプ
24 水用の入口パイプ
25 喉部
101 膨張弁
102 膨張管
103 ニードル弁
104 タンク
105 振動板
106 超音波発振器
107 ミキサー(スターチングミキサ)
108 ポンプ
109 ミキサー(オイル、乳化剤、水)
110 ミキサー(オイル、乳化剤)
111 整流板

Claims (1)

  1. 膨張弁とパイプ状ミキサーとを利用して複数の液体を混合、エマルジョン化する装置であって、絞りと膨張曲線を、内部を流れる混合液体が界面剥離とキャビテーションとを起こさない曲線に形成した膨張弁と膨張弁の内部にニードル弁と微調整用つまみ4とを備えてなり、該膨張弁の出口に連続して接続され、その内部に羽根が設けられたパイプ状ミキサー9が設けられ、パイプ状ミキサー9の出口には、多数の孔の開いた整流板10が設けられ、整流板10を覆うごとく上部貯留タンク11が設けられおり、パイプ状ミキサー9を支持しこれを包囲するごとく、処理タンク6が設けられ、処理タンク6には、その外壁に振動板7を介して超音波発振器8が装着され、前記膨張弁が、その基端部にオイル、乳化剤用ミキサーにより事前混合された混合液用の入口パイプと、水用の入口パイプとを個別に具備されており、前記膨張弁を構成する膨張管が、薄い肉厚のものであり、弾性変形しやすい性質のもので構成されている液体混合装置において、前記上部貯留タンクの下流に設けられたサブタンクと、該サブタンクからの混合液体は前記処理タンク6に受け取られることを特徴とする液体混合装置
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