JP4284047B2 - マルチキャリア符号分割多元接続通信システムの受信機のためのマルチユーザ検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチキャリア符号分割多元接続システムの受信のためのマルチユーザ検出方法に関し、より具体的には、パラレル型干渉キャンセルを用いるマルチユーザ検出方法に関する。また本発明は、そのようなパラレル型干渉キャンセルを実装するMC−CDMA受信機にも関連する。
【0002】
【従来の技術】
マルチキャリア符号分割多元接続(MC−CDMA)は、OFDM(直交周波数分割多重)変調と、CDMA多元接続技術とを組み合わせる。この多元接続技術は、1993年にProceedings of PIMRC’93(Vol. 1、109〜113ページ)に発表された「Multicarrier CDMA in indoor wireless radio networks」というタイトルのN.Yee等による論文において最初に提案された。この技術の開発は、1997年12月にIEEE Communication Magazine(126〜133ページ)に発表された「Overview of Multicarrier CDMA」というタイトルのS.Hara等による論文によって再検討された。
【0003】
周波数スペクトルを拡散するために、各ユーザの信号が時間領域において乗算されるDS−CDMA(直接拡散符号分割多元接続)方式とは異なり、この方式では、シグネチャが周波数領域において信号と掛け合わされ、そのシグネチャの各要素が種々のサブキャリアの信号と掛け合わされる。
【0004】
より厳密には、図1は所与のユーザkのためのMC−CDMA送信機の構造を示す。bk(i)をユーザkから送信されることになるi番目のシンボルとする。ただし、bk(i)は変調アルファベットに属する。最初に、110において、シンボルbk(i)はN「チップ」からなり、ck(t)で示されるユーザの拡散系列あるいはシグネチャと掛け合わされる。各「チップ」は持続時間Tcからなり、拡散系列の全持続時間はシンボル周期Tに相当する。シンボルbk(i)と種々の「チップ」との乗算の結果は、シリアルパラレル変換器120によってLシンボルのブロックに変換される。ただしLは一般にNの倍数である。表現を簡単にするために、L=Nと見なされるであろう。その後Lシンボルのブロックは、モジュール130において、逆高速フーリエ変換(IFFT)にかけられる。シンボル間干渉を防ぐために、MC−CDMAシンボルに、送信チャネルのパルスタイプの応答の持続時間より長い長さを有するガードインターバルが付加される。このインターバルは、そのシンボルの開始と一致して添字を(Δで示される)付加することにより得られる。140において、パラレルシリアル変換器に変換後、このようにして得られたMC−CDMAシンボルは、ユーザチャネル上で送信するために、150において増幅される。それゆえ、MC−CDMA方式は、スペクトル領域における拡散(IFFT前に)、その後OFDM変調に分解されることができるのがわかる。
【0005】
実際には、ユーザkはIシンボルからなるフレームの形でデータを送信し、各シンボルbk(i)は、
【数7】
の場合にck(t)=0であるような、持続時間がシンボル周期Tに等しい、実数シグネチャck(t)、典型的にはウォルシュ−アダマールシグネチャによって拡散される。時刻t=(i−1)・T+(l−1)・Tcにおいて変調される信号は、MC−CDMAシンボル間のガードインターバルが省略されるものとすると、以下のように書き表すことができる。
【0006】
【数8】
ただし、ωkはユーザkによって送信される信号の振幅であり、1つの送信ユニットにわたって一定であるものと仮定される。
【0007】
所与のユーザのためのMC−CDMA受信機が図2に概略的に示されている。この受信機は、その検出が該当するユーザに送信される(あるいはそのユーザから送信される)シンボルのみを考慮に入れるので、シングルユーザ検出受信機(あるいはSUD受信機)として知られている。
【0008】
復調された受信信号は、「チップ」周波数でサンプリングされる。こうして得られた信号は以下のように書き表すことができる。
【0009】
【数9】
ただし、Kはユーザの数であり、ckl=ck((l−1)・Tc)であり、hkl(i)は時刻i・Tにおいて送信されるMC−CDMAシンボルのサブキャリアlの周波数に対するユーザkのチャネルの応答を表し、n(t)は受信される雑音である。
【0010】
ダウンリンクチャネルについて考えてみると、送信チャネルは同一の特性を有し、それゆえhkl=hlである。
【0011】
「チップ」周波数でサンプリングすることにより得られたサンプルは、シリアルパラレル変換器210において並列に配置され、添字(Δ)から取り外されて、その後、モジュール220においてFFTにかけられる。
【0012】
MC−CDMAでは、ガード時間の存在によって、シンボル間干渉を無視できるようになる。それゆえ、所与のサブキャリア(これ以降、単にキャリアと呼ぶ)の場合、1つのタップ、すなわち1つの複素係数による乗算によって等化を実行することができる。SUD受信機では、等化は、各キャリアに個別に既知の等化方式、すなわちMRC(最大比合成)、EGC(等利得合成)、ZF(ゼロフォーシング)あるいはMMSE(最小二乗平均誤差)のうちの1つを適用することにより、キャリア毎に実行される。こうして得られた等化係数が、図2においてqk,1,...,qk,Lで示される。
【0013】
220から出力される周波数領域のサンプルは、2400,...,240L−1においてユーザkの等化係数およびシグネチャによって掛け合わされ(逆拡散のため)、その後、250において加算される。その結果が、送信されたシンボルbk(i)の軟推定値
【数10】
である。その後、軟推定値は、硬判定モジュール260において硬判定にかけられて、変調アルファベットに属する推定値
【数11】
を出力する。
【0014】
マルチユーザ検出技術が、特にCDMA通信システムにおいて知られている。それらの技術は、他のユーザによって生成される干渉を考慮することに関して共通の特徴を有する。
【0015】
MC−CDMAのためのマルチユーザ検出、すなわちMUD技術は、2000年3月30日にElectronics Letters(Vol.36、No.7、665〜666ページ)に発表された「A novel linear MMSE detection technique for MC-CDMA」というタイトルのJ-Y. Beaudais、J.F. HelardおよびJ.Citerneによる論文において提案された。その提案された等化方式はもはやキャリア毎に動作するのではなく、MC−CDMAシンボル毎に動作し、稼動中のユーザの全てのキャリアおよび全てのシグネチャを考慮に入れる。このため、その方式は、GMMSE(グローバル最小平均二乗誤差)等化、あるいは同様に、M−MMSE(行列最小平均二乗誤差)等化とも呼ばれる。その目的は、軟推定されたシンボル
【数12】
と送信されたシンボルbk(i)との間の平均二乗誤差を最小にすることである。その後、軟推定値は、硬判定モジュール360において硬判定にかけられる。
【0016】
GMMSE等化を用いる、ユーザkのためのMC−CDMA受信機が図3に示されている。その構造は、等化が種々のキャリアの信号の行列Qによる乗算330を用いて行われるという点で、図2の構造とは異なる。加算器350の出力において得られる逆拡散された信号が、送信されたシンボルbk(i)の推定値
【数13】
を与える。
【0017】
さらに、J-Y. Beaudais等による論文において開示されるように、パラレル型干渉キャンセル(PIC)方式あるいはシリアル型干渉キャンセル(SIC)方式のいずれかを用いるMUD MC−CDMA受信機も提案されている。パラレル型干渉キャンセルは、所与のユーザの場合に、他のユーザに起因する寄与を差し引くことにより、多重アクセス干渉(MAI)を繰返しキャンセルする方式であり、これらの寄与は、所与のステップの場合に、以前のステップにおいて推定されたシンボルを再拡散し、それを、その個々の送信チャネルをモデル化するフィルタを用いてフィルタリングすることにより得られる。対照的に、シリアル型干渉キャンセルは、一連のステージにおいてユーザの寄与を連続して除去する方式であり、最も高い電力の寄与によって開始して、各ステージが特定のユーザの寄与を除去する。
【0018】
図4は、パラレル型干渉キャンセルを用いるMC−CDMA受信機の構造を示す。明瞭に示すために、ユーザkに関連する部分のみが示されている。図4では、ベクトルr(i)は、FFTの出力、すなわち時刻i・Tにおいて図3のステージ320によって供給される周波数成分のベクトルを示す。これらの成分は、410において第1の等化にかけられる。より厳密には、410は、ユーザk’=1,...,K(k’≠k)に関連付けられるK−1個の送信チャネルのための等化を提供する。ダウンリンク受信機について考えてみると、その送信チャネルは同一であり、等化410の量は、L×L行列による簡単な乗算になり、その出力は次元Lのベクトルである。しかしながら、アップリンク受信機では、K−1個の行列が含まれ、各行列が、1人のユーザの1つの送信チャネルに対応する。これらのK−1個の行列は、テンソル
【数14】
によって表される。ただし指数(1)は第1のキャンセルステージを表す。等化の後、受信されたMC−CDMAシンボルは、420において、ユーザk’=1,...,K(k’≠k)のK−1個のシグネチャで逆拡散され、430において検出される。この第1の推定値は、MAIを考慮していない。その後、検出されたシンボルは、440においてそのシグネチャによって再拡散され、こうして得られたMC−CDMAシンボルは、ユーザk’の送信チャネルをモデル化するK−1個のフィルタによってフィルタリングされる。各フィルタは、L×Lの対角行列によって表すことができ、K−1個の行列はテンソル
【数15】
によって表される。ここで再び、ダウンリンク受信機について考えるものとすると、後者の行列は同一である。いずれの場合でも、450のK−1個の出力は、MAIに対するユーザk’の各寄与を与える。それらは、4601,...,460K−1においてベクトルr(i)から差し引かれる(410〜450の処理時間を補償するように遅延される)。460K−1の出力は、ベクトルr(i)の、MAIの第1の推定値を除去したバージョンである。そのプロセスは、MAIの推定値を純化するように繰り返されることができ、それらを合わせてシンボルの検出を改善する。最後のステージには、図2の場合のように、470の従来からのシングルユーザ等化、480の逆拡散、および490のシンボル検出が続く。
【0019】
提案されるMC−CDMAのパラレル型およびシリアル型干渉キャンセル方式は、特にアップリンク受信機の場合にかなり複雑である。なぜなら、処理ステージの中にはキャリアレベルで実行されるものがあり、それゆえ並列に(K−1)・L個の演算を含むためである。ただし、Kはユーザの数であり、Lはキャリアの数である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来技術から知られているものより簡単な、マルチユーザ検出およびMAI除去を含むMC−CDMA受信機を提案することである。詳細には、本発明の目的は、ユーザの数が少ないときに、より簡単になる上記のタイプのMC−CDMA受信機を提案することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、添付の請求項1において請求されるマルチユーザ検出方法と、独立請求項13において請求されるマルチユーザ受信機とによって達成される。さらに多くの利点は、従属請求項において記載される技術的な特徴によって与えられる。
【0022】
【発明の実施の形態】
上記の本発明の特徴、および他の特徴は、添付の図面に関連して与えられる以下の説明の読むことから、より明らかになるであろう。
【0023】
再び、K人のユーザを有するMC−CDMA受信機の状況が参照されるであろう。時刻iにおいてFFTによって出力されるL個の周波数成分は、ベクトルr(i)=(r1(i),...,rL(i))Tと見なすことができ、その式は式(2)から導出することができる。
【0024】
【数16】
ただし、b(i)=(b1(i),...,bK(i))Tは、K個の送信されたシンボルのベクトルであり、Dω=diag(ω1,...,ωK)は対角行列であり、その要素はユーザによって送信されるシンボルの振幅ωkであり、η(i)=(η1(i),...,ηL(i))TはOFDM多重における雑音成分のベクトルであり、
【0025】
【数17】
は拡散およびチャネル伝搬の作用を組み合わせた行列である。
【0026】
ダウンリンクでは、全てのユーザが同じチャネルを共有し、行列C(i)はC(i)=H(i)CDによって表すことができる。ただし、行列H(i)=diag(h1(i),...,HL(i))であり、CDは稼動中のユーザの符号を含むL×Kの行列である。
【0027】
【数18】
【0028】
雑音η(i)の成分が、共分散行列E[η(i)ηH(i)]=N0ILを有するAWGN(加法白色ガウス雑音)であり、行列ILがL×Lの単位行列でありN0が雑音分散であるものと仮定すると、送信された信号の最尤検出は、シンボルbが送信された場合に、受信される信号と受信されるものと予想される信号との間の距離の二乗d2 Emin(b)を最小にするシンボルbを見つけることである。それゆえ、式(3)から、そのシンボルbは以下の式を最小にしなければならない。
【0029】
【数19】
【0030】
同じく、ベクトルr(i)がわかっているので、そのシンボルbは以下の式を最小にしなければならない。
【0031】
【数20】
ただし、スカラー積<C(i)Dωb;r(i)>は以下のように表すことができる。
【0032】
【数21】
【0033】
以下の式を、ユーザkのシグネチャおよび伝搬チャネルに一致するフィルタの出力と定義しよう。
【0034】
【数22】
yk(i)は、ユーザkの場合の受信されたベクトルr(i)の成分rl(i)の最大比合成と見なすこともできる。式(8)は簡単に以下のように書き直すことができる。
【0035】
【数23】
【0036】
y(i)=(y1(i),...,yK(i))Tが、K人のユーザの場合の出力yk(i)の観測ベクトルを示すものとしよう。式(7)および式(10)によれば、ベクトルy(i)は、送信されたベクトルb(i)の最尤検出のための十分な統計値を表す。
【0037】
マルチユーザ検出の場合にベクトルr(i)の代わりにベクトルy(i)を用いて、観測の次元をLからKに低減することが有利であることに留意することは重要である。観測ベクトルy(i)は、式(9)から行列の形に書き表すこともできる。
【0038】
【数24】
ただし、・Hは転置共役を示す。式(11)に式(3)を代入すると、観測ベクトルy(i)は、送信されたベクトルb(i)の関数として求めることができる。
【0039】
【数25】
ただし、
【数26】
および
【数27】
である。
【0040】
観測ベクトルy(i)のウィーナフィルタによるフィルタリングに基づくマルチユーザ検出方法が、2001年3月22日に本出願人によって出願されたフランス国特許出願第FR0104050号に記載されており、これ以降、参照して本明細書に含まれている。この方法によれば、推定されたシンボルのベクトル
【数28】
が以下の式から求められる。
【0041】
【数29】
ただし、行列Fはウィーナ・ホッフ方程式である。
【0042】
【数30】
によって与えられ、行列Rby、Ryyはそれぞれbおよびyの共分散行列、yの自己共分散である。したがって、行列Fは以下のように表すことができる。
【0043】
【数31】
【0044】
式(12)および式(13)を式(16)に代入し、シンボルが単位エネルギーを有するものと仮定することにより、以下の式が得られる。
【0045】
【数32】
ただし、IKはK×Kの単位行列である。
【0046】
演算式(14)は行列Fを用いるMMSE(最小平均二乗誤差)評価プロセスと見なすことができる。
【0047】
ここで、本発明の根底をなす基本的な概念は、従来の技術の項で詳述された従来技術の場合のようなキャリアレベルではなく、シンボルレベルでのパラレル型干渉キャンセルを用いるマルチユーザ検出方法を提案することである。
【0048】
本発明の第1の実施形態によるマルチユーザ検出器の構造が図5に示される。そのマルチユーザ検出器は、ユーザのシグネチャに、かつ1つあるいは複数の伝搬チャネル(複数はアップリンクを表す)の応答に一致するフィルタ510を含む。フィルタ510は、式(11)にしたがって観測ベクトルy(i)を出力するために、周波数成分のベクトルr(i)と行列DωCH(i)とを掛け合わせる。また、その検出器は、等化フィルタ520および干渉復元フィルタ550も備える。等化フィルタは、観測ベクトルy(i)と行列F(i)との乗算を実行し、
【数33】
で示されるベクトルを出力する。その後、ベクトル
【数34】
の成分は、K人のユーザの場合の推定されたシンボルのベクトル
【数35】
(上付き文字1は第1のステージを表す)を出力する検出器540において硬判定にかけられる。推定されたシンボルのベクトルは、フィルタ55において行列B(i)との乗算にかけられる。第2のフィルタ550の出力は、新しい観測ベクトル
【数36】
(上付き文字2は第2の検出ステージを表す)を与えるために、530において、一致するフィルタ510の出力から差し引かれる。
【0049】
【数37】
上記の式はMAIが概ね除去されている。その後、種々のユーザの、あるいは種々のユーザの場合のシンボルが、硬判定検出器560において、新しい観測ベクトル
【数38】
から推定される。第2の検出ステージにおける推定値のベクトルは
【数39】
で示される。その後、推定されたシンボルは、ビットに復調され(それにより、BPSK変調が用いられる場合には、シンボル−1、1はそれぞれ0、1に変換される)、その後、その得られたビットはチャネル復号化される。別法では、BPSK変調が用いられる場合には、チャネル復号化は復調の前に行われる場合がある。
【0050】
行列F(i)は、等化のために用いられる判定基準に依存する。MMSEタイプの等化の場合、行列F(i)は式(17)、すなわち
【0051】
【数40】
によって与えられる。
【0052】
別法では、ゼロフォーシング(ZF)判定基準に基づく等化の場合、行列F(i)は簡単に以下の式によって与えられる。
【0053】
【数41】
【0054】
【数42】
を得るためにy(i)と行列F(i)とを乗算する代わりに、実際には線形系
【0055】
【数43】
あるいは
【数44】
の解が求められることになることに留意されたい。
【0056】
K個の送信されるシンボルの推定値
【数45】
を用いる場合に、ユーザkの場合の観測ベクトルの成分が、
【0057】
【数46】
であることを思い起こすと、MAIを除去された新しい成分を導出することができる。
【0058】
【数47】
ただし、角括弧内の式は、他のユーザk’≠kの寄与を無くしたサブキャリアl上で受信される信号を与える。
【0059】
式(20)は以下の式に書き直すことができる。
【0060】
【数48】
それは行列の形に書き直すこともできる。
【0061】
【数49】
ただし、diag(R(i))は行列R(i)と同じ対角を有し、0の非対角要素を有する行列である。それゆえ、干渉復元フィルタの場合の行列B(i)の式は以下のように理解することができる。
【0062】
【数50】
【0063】
それゆえ、パラレル型干渉キャンセル方式は、完全にシンボルレベルで実行されることができる。これは、特に、稼動中のユーザの数KがOFDM多重化のキャリアの数Lより少ないときに、実施の複雑さを著しく低減する。
【0064】
本発明の第2の実施形態によるマルチユーザ検出器の構造が図6に示される。ブロック610、620および650はそれぞれ図5のブロック510、520および550と同じである。簡略化するために、BPSK変調の場合のマルチユーザ検出器が示されているが、他のタイプの変調が用いられる場合もある。
【0065】
この実施形態では、ユーザデータが送信機側において周波数領域において拡散される前に、チャネル符号化にかけられる。さらに、当業者には知られているように、チャネル符号化前および/または後に、インターリーブステップが挿入される場合がある。チャネル符号化のために、ブロック符号化、たたみ込み符号化あるいはターボ符号化の従来の方法を用いることができる。
【0066】
上記の実施形態とは対照的に、K人の稼動中のユーザの場合にそれぞれ、等化フィルタ620の後にK個のチャネル復号器6401,...,640Kが設けられる。これらの各復号器は、K人の稼動中ユーザのうちの1人のためのデータのチャネル復号化を実行する。より厳密には、復号器640kは、軟値
【数51】
を入力し、
【数52】
で示される、ユーザkのためのチャネル復号化されたデータを出力する。K人のユーザのためのチャネル復号化されたデータは、ベクトル
【数53】
によって表される。推定されたデータ
【数54】
はその後、干渉復元フィルタ650によってフィルタリングされる前に、チャネル符号器670k(k=1,...,K)によってそれぞれ再符号化される。別法では、復号器640k(k=1,...,K)が推定されたデータを符号化された形で供給することができる場合には、チャネル符号器670k(k=1,...,K)は省略され、符号化された形の推定されたデータが、干渉復元フィルタ650に直に供給されることになる。たとえば、復号器640kがビタビ復号器である場合には、復号器640kは、符号格子内の最尤経路に沿って、チャネル復号化されたデータおよびチャネル符号化された形のデータを供給することができる。
【0067】
630において干渉キャンセルした後、MAIを除去された新しい観測ベクトル
【数55】
は、復号器6401,...,640Kに類似の復号器6411,...,641Kにおいてチャネル復号化にかけられ、K人のユーザの場合のチャネル復号化されたデータ
【数56】
を出力する。第2のステージにおけるK人のユーザの場合のチャネル復号化されたデータは、ベクトル
【数57】
によって表される。当然、送信側において、たとえばチャネル符号化後にユーザデータがインターリーブされている場合には、チャネル復号器6401,...,640Kの前に、かつチャネル復号器6701,...,670Kの後にそれぞれ、デインターリーバおよびインターリーバが設けられなければならない。
【0068】
チャネル符号器670k(k=1,...,K)から出力されるデータは、干渉復元フィルタ650によってフィルタリングされる前に、シンボルに変調されなければならないことは理解されたい。
【0069】
この実施形態では、復号器6401,...,640Kおよび復号器6411,...,641Kは、SISO(軟値入力軟値出力:soft−in soft−out)と、その後の閾値設定器とによって実現することができることも理解されたい。
【0070】
本発明の第3の実施形態によるマルチユーザ検出器の構造が図7に示される。ブロック710、720および750はそれぞれ、図5の510、520および550と同じである。簡略化するために、BPSKの場合のマルチユーザ検出器が示されているが、他のタイプの変調が用いられる場合もある。
【0071】
この実施形態は、SOVA(軟値出力ビタビアルゴリズム)復号器を用いることができるか、あるいはMAP(最大演繹的:Maximum A Priori)復号器のファミリに属することができるSISO(軟値入力軟値出力)復号器7401,...,740Kを利用する。いずれの場合でも、復号器740kは、ユーザkの場合の、チャネル復号化されたデータ
【数58】
と、チャネル符号化された形の対応するデータ
【数59】
との両方を供給するように構成される。たとえば、SOVA復号器が用いられる場合には、その復号器740kは、符号トレリス内の最尤経路に沿って、チャネル復号化されたデータと、チャネル符号化された形の対応するデータとの両方を出力する。MAP復号器も、1998年3−4月のEuropian Transactions on Telecomunication、Vol.9、No2に発表された、S.Benedetto等による論文「Soft-input Soft-output modules for the construction and distributed iterative decoding of code network」に記載されるように、帰納的チャネル復号化データと、チャネル符号化された形の対応するデータとの両方を出力することができる。
【0072】
K人のユーザの場合の復号化されたデータはベクトル
【数60】
として示され、一方、K人のユーザの場合の符号化された形のデータはベクトル
【数61】
として示される。符号化された形のデータは、干渉復元フィルタ750によって直にフィルタリングされる。上記の実施形態とは対照的に、チャネル符号器はもはや必要ではないため、受信機の複雑さがさらに低減される。730において干渉キャンセルされた後、MAIを除去された新しい観測ベクトル
【数62】
が、SISO復号器7411,...,741Kにおいて軟値チャネル復号化にかけられる。ベクトル
【数63】
として表される軟出力
【数64】
はその後、硬判定モジュール760において閾値判定され、成分
【数65】
からなるベクトル
【数66】
として表される、K人の稼動中ユーザのチャネル復号化されたデータが与えられる。ただし、
【数67】
はユーザkの場合のチャネル復号化されたデータである。ここで再び、BPSK以外の変調が用いられる場合には、チャネル符号器740k, K=1,...,Kから出力され、ベクトル
【数68】
によって表される、チャネル符号化された形のデータは、干渉復元フィルタ750によってフィルタリングされる前に、シンボルに変調されなければならない。
【0073】
上記の本発明の実施形態は、ダウンリンクおよびアップリンクMC−CDMA受信に同じく当てはまることに留意することは重要である。
【0074】
さらに、本発明によるMC−CDMA受信機のためのマルチユーザ検出装置が、機能モジュール、たとえばフィルタあるいは推定手段に関して記載されてきたが、この装置の全てあるいは一部が、示される全ての機能を達成するための専用の1つのプロセッサを用いて、あるいはそれぞれ1つあるいはいくつかの機能を達成するための専用の、またはそのようにプログラミングされた複数のプロセッサの形で実装されることができることは言うまでもない。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、従来技術から知られているものより簡単であり、特にユーザの数が少ないときに簡単になるマルチユーザ検出およびMAI除去を含むMC−CDMA受信機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 最新技術から知られているMC−CDMA送信機の構造を示す概略図である。
【図2】 最新技術から知られている第1のMC−CDMA受信機の構造を示す概略図である。
【図3】 最新技術から知られている第2のMC−CDMA受信機の構造を示す概略図である。
【図4】 最新技術から知られているようなパラレル型干渉キャンセルを用いるMC−CDMA受信機の構造を示す概略図である。
【図5】 本発明の第1の実施形態によるパラレル型干渉キャンセルを用いるMC−CDMA受信機の構造を示す概略図である。
【図6】 本発明の第2の実施形態によるパラレル型干渉キャンセルを用いるMC−CDMA受信機の構造を示す概略図である。
【図7】 本発明の第3の実施形態によるパラレル型干渉キャンセルを用いるMC−CDMA受信機の構造を示す概略図である。
Claims (13)
- マルチキャリア符号分割多元接続通信システムの受信機のためのマルチユーザ検出方法であって、前記システムのユーザとの間の各通信はシグネチャで符号化され、前記受信機によって受信される信号は第1の複数(L)の周波数成分に分解され、
前記周波数成分は、第2の複数の(K)のユーザの個々のシグネチャと、前記ユーザとの間の前記通信に関連する伝送チャネルに共通のあるいは個々の応答とに一致する第1のフィルタリング(510、610、710)にかけられ、
前記ユーザへ、あるいは前記ユーザによって送信されるシンボルあるいはデータの第1の推定(540、640k、740k)は、前記第1のフィルタリングの出力から得られ、
マルチユーザ干渉が前記第1の推定に対して第2フィルタリング(550、650、750)を適用することにより導出され、前記第1のフィルタリングの出力から差し引かれて(530、630、730)、マルチユーザ干渉を除去された出力が与えられ、
前記ユーザへ、あるいは前記ユーザによって送信されるシンボルあるいはデータの第2の推定(560、641k、660、741k、760)が前記マルチユーザ干渉を除去された出力から得られることを特徴とするマルチユーザ検出方法。 - 前記第1のフィルタリングの前記出力は、前記第1の推定の前に、等化ステップ(520、620、720)にかけられることを特徴とする請求項1に記載のマルチユーザ検出方法。
- 前記等化ステップは、最小平均二乗誤差等化を用いることを特徴とする請求項2に記載のマルチユーザ検出方法。
- 前記等化ステップは、ゼロフォーシング等化を用いることを特徴とする請求項2に記載のマルチユーザ検出方法。
- 前記第1の推定値は、チャネル符号化ステップ(6701,...,670k)と、その後第2のフィルタリング(650)とにさらにかけられ、前記マルチユーザ干渉を除去される出力は、前記第1のフィルタリング(610)の出力から前記第2のフィルタリング(650)の出力を差し引く(630)ことにより得られることを特徴とする請求項7に記載のマルチユーザ検出方法。
- 前記第1の推定値は、第2のフィルタリングにチャネル符号化された形で供給され、前記マルチユーザ干渉を除去された出力は、前記第1のフィルタリング(610)の出力から前記第2のフィルタリング(650)の出力を差し引く(630)ことにより得られることを特徴とする請求項7に記載のマルチユーザ検出方法。
- 第2のフィルタリング(750)がチャネル符号化された形の前記データに適用され、前記マルチユーザ干渉を除去された出力は、前記第1のフィルタリング(710)の出力から前記第2のフィルタリング(750)の出力を差し引く(730)ことにより得られることを特徴とする請求項10に記載のマルチユーザ検出方法。
- 前記第2のフィルタリングは、行列B(i)=R(i)−diag(R(i))による乗算ステップを含み、ただし行列R(i)は、前記第1のフィルタリングの出力の自己共分散行列であり、diag(R(i))は、行列R(i)と同じ対角要素と、0の非対角要素とを有する行列であることを特徴とする請求項6、8、11のいずれか一項に記載のマルチユーザ検出方法。
- 請求項1ないし12のいずれか一項に記載のマルチユーザ検出方法を実行するための手段を含むことを特徴とするマルチキャリア符号分割多元接続通信システムのためのマルチユーザ受信機。
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