JP4283689B2 - 波形等化装置 - Google Patents
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Description
図22は、一般的な波形等化装置に、特許文献1が開示する初期タップ係数推定機能を付加した構成を示す図である。
タップ係数の最適値は、適応アルゴリズム(ここでは、LMS(Least Mean Square)アルゴリズム)により探し出される。LMSアルゴリズムは、前回のタップ係数から次回のタップ係数を生成するアルゴリズムであり、タップ係数は更新を重ねるにつれて徐々に最適値に近づいていく。したがって、タップ係数の初期値が最適値に近いほどLMSアルゴリズムの収束時間が短縮される。
図23(a)は、理想的なインパルスの場合に相関演算部105が出力する各相関値を示す図である。
これによれば、遅延時間0には相関値1100、遅延時間−10には相関値270、遅延時間8には相関値381がそれぞれ出力される。これらをタップ係数の初期値とすることにより、LMSアルゴリズムの収束時間を短縮することができる。
図23(b)は、図23(a)と同じマルチパス環境で、インパルスが歪んでいる場合に相関演算部105が出力する各相関値を示す図である。
なお、本発明によれば、最適値よりも小さな相関値も、それより小さく変換されてからタップ係数の初期値として与えられる。これは、かえって最適値から乖離することとなる。しかし、シミュレーションによると、このことによる弊害は、最適値よりも大きな相関値をそのまま初期値として利用する場合の弊害よりも大きくないという結果が得られている。発明者は、以下の3つの環境でシミュレーションを行った。
(1)1波マルチパス環境で、D/U比=0dBとする。遅延時間は、−20μsecから+40μsecとする。
(2)6波マルチパス(Ensemble A)環境に、さらに、ノイズ(C/N=15dB)を付加する。
(3)ノイズ妨害のみの環境(C/N=10dB、15dB)。
また、前記供給手段は、最大の相関値以外の各相関値に0.5以上1未満の係数を乗じることにより前記変換を行うこととしてもよい。
上記構成によれば、最大の相関値のみは、1より大きく2以下の所定の係数が乗じられる。これも、最大の相関値以外の各相関値を、最大の相関値に対する比率が小さくなるようにする変換の一種である。したがって、最大の相関値以外の各相関値に0.5以上1未満の所定の係数を乗じる変換と同様の効果を得ることができる。
上記構成によれば、閾値未満の各相関値は、ゼロに丸め込まれる。トレーニング信号が歪んでいれば、各相関値には歪みによる不要成分が現れる。また、トレーニング信号の種類によっても各相関値に不要成分が現れることがある。波形等化装置は、閾値を適当に設定することにより、これらの不要成分を除去することができる。これにより、本来ゼロであるべきなのに有限値となるタップ係数に起因するLMSアルゴリズムの収束時間の増大が防止される。
これは、シミュレーションの結果から導き出されている。シミュレーションによれば、閾値が0.1よりも大きければ、適応アルゴリズムの収束時間が長くなる傾向が現れている。また閾値が0.05よりも小さければ、適応アルゴリズムが発散する確率が5割以上と極端に高くなる傾向が現れている。これらを総合すれば、閾値は0.05以上0.1以下であるのが望ましい。
ただし、ここでは、各タップ係数の初期値として、まずデフォルト値を与え、それで収束しなければ、各相関値を与える。一般的にはトレーニング信号は、入力信号に一定間隔で挿入されている。そのため、各相関値の導出が開始されるまでの平均的な待ち時間は、その一定間隔の半分の時間となる。上記構成の波形等化装置は、まずデフォルト値を各タップ係数の初期値として与えて適応アルゴリズムを走らせる。それで収束すればそのまま適応アルゴリズムを継続する。収束しなければ、各相関値を初期値として適応アルゴリズムを改めて走らせる。この各相関値は、デフォルト値から適応アルゴリズムを走らせている間に導出することができる。したがって、波形等化装置は、効率的に適応アルゴリズムの収束時間の増大を防止することができる。
上記構成によれば、デフォルト値は、マルチパス妨害がない場合にタップ係数として最適値となる値である。したがって、マルチパス妨害が無視できるほどの環境であれば、このデフォルト値をタップ係数の初期値とすることによりLMSアルゴリズムの収束時間の増大を防止することができる。
ただし、ここでは、各タップ係数の初期値として、第1の割合で小さくした各相関値を与え、それで収束しなければ、第2の割合で小さくした各相関値を与えている。このように、当初の初期値とその次の初期値のどちらも各相関値を利用しているため、いずれかをデフォルト値とする場合に比べて収束する確率を高くすることができる。したがって、波形等化装置は、より効率的にLMSアルゴリズムの収束時間の増大を防止することができる。
これにより、波形等化装置は、信頼性の低い初期値を用いることにより適応アルゴリズムの収束時間が増大することを防止することができる。
上記構成によれば、波形等化装置は、復調部における搬送波再生及びクロック再生が完了してから得られる各相関値を、適応フィルタにタップ係数の初期値として与える。ここで、搬送波再生及びクロック再生が完了していることは、最大の相関値が所定値よりも大きいことから知ることができる。
また、前記入力信号は、受信信号を復調する復調部において復調された後の信号であり、前記波形等化装置は、さらに、前記復調部における搬送波再生及びクロック再生が完了しているか否かを、搬送波再生における周波数の誤差、及びクロック再生における位相の誤差に基づいて判定する判定手段と、前記判定手段が肯定的な判定をするまで、前記供給手段が各タップ係数の初期値を供給することを抑制する制御手段とを備えることとしてもよい。
これにより、波形等化装置は、信頼性の低い初期値を用いることにより適応アルゴリズムの収束時間が増大することを防止することができる。
(実施の形態1)
<概要>
実施の形態1では、波形等化部は、相関演算部105が得た各相関値をそのままタップ係数の初期値とするのではなく、最大の相関値以外の相関値に係数0.5を乗じたものを初期値とする。これにより、トレーニング信号の歪みにより最適値より大きくなった相関値は、適切な値に調整される。
<構成>
図1は、放送受信装置の一般的な構成を示す図である。
図2は、米国ATSC規格における放送データのデータ構造を示す図である。
トレーニング信号は、各フィールドの先頭セグメントに含まれている。それ以外のセグメントには、放送データが含まれている。1フィールドの送出レートは、24.2msecなので、トレーニング信号も24.2msecに1回送出されることになる。
波形等化部13は、フィルタ部101、トレーニング信号生成部102、タップ係数演算部103、トレーニング信号抽出部104、相関演算部105及び初期タップ係数生成部106を備える。
初期タップ係数生成部106以外の構成要素については、従来技術と同様である。
トレーニング信号生成部102は、予め定められているトレーニング信号d(k)を生成する。
Ci(k+1)=Ci(k)−α×e(k)×xi(k)
ここで、e(k)は、トレーニング信号d(k)から出力信号y(k)を差し引いた誤差信号である。フィルタ部101が希望波を完全に復元した場合には、出力信号y(k)はトレーニング信号d(k)と等しくなるので誤差信号e(k)はゼロとなる。また、出力信号y(k)がトレーニング信号ではなく、放送データの場合には、放送データがとり得る値のうち最も近い値との差分をe(k)とする。xi(k)は、タップiにおける入力信号である。αは、収束速度と残留誤差とを決定するステップサイズであり、適当な値が予め設定されている。上記のフィルタ部101とタップ係数演算部103とで適応フィルタが構成される。
相関演算部105は、トレーニング信号生成部102が生成したトレーニング信号と、トレーニング信号抽出部104が抽出したトレーニング信号との相関演算により相関値を得る。相関演算は、フィルタ部101の1つの遅延素子に相当する遅延時間ごとに行われ、その都度、相関値が初期タップ係数生成部106に出力される。これがN+1回行われると各相関値R0、R1・・・RNが得られる。入力信号x(k)が干渉波であればトレーニング信号抽出部104が抽出したトレーニング信号にも符号間干渉が生じている。したがって、相関演算部105は、相関演算により遅延時間0には希望波の相関値が現れると共に、その他の遅延時間にもゼロ以外の相関値が現れる。
本発明は、各相関値R0、R1・・・RNをそのままではなく、初期タップ係数生成部106により変換し、その結果をタップ係数の初期値とすることを特徴とする。以下に、その詳細を述べる。
初期タップ係数生成部106は、正規化部110、不要成分除去部120、レベル調整部130を備える。
正規化部110は、各相関値R0、R1・・・RNのうちの最大の相関値が1となるように各相関値を正規化する。ピーク検出部111は、シリアルに入力される各相関値のうちの最大の相関値と、それに対応する遅延時間とを検出する。遅延部112は、各相関値R0、R1・・・RNを一定期間だけ遅延させて出力する。演算部113は、遅延部112からシリアルに入力される各相関値を、最大の相関値で割り、その結果を出力する。これにより、正規化部110は、正規化を実現することができる。
実際の米国ATSC規格では、トレーニング信号としてM系列を利用しているが、ここでは説明を簡単にするため、トレーニング信号としてインパルスを利用した例を示す。なお、従来の技術との比較のため、放送受信装置10は、背景技術の欄で想定したマルチパス妨害と同様のマルチパス妨害を受けているものとして説明する。
各相関値は、図23(b)に示す各相関値と同一である。
図5(b)は、正規化部110が出力する各相関値を示す図である。
各相関値は、最大の相関値(相関値1100)が1となるように正規化されている。
図5(c)は、不要成分除去部120が出力する各相関値を示す図である。
図5(d)は、レベル調整部130が出力する各相関値を示す図である。
遅延時間0に現れている最大の相関値1はそのまま出力されている。一方、遅延時間−10に現れていた相関値0.20は、レベル調整係数0.5により0.10が出力される。また、遅延時間8に現れていた相関値0.45は、レベル調整係数0.5により0.23が出力される。
このように、本発明は、波形等化部13が相関演算部105が得た各相関値をそのままタップ係数の初期値とするのではなく、初期タップ係数生成部106により変換された各相関値をタップ係数の初期値とすることを特徴とする。
初期タップ係数生成部106における変換の度合いとLMSアルゴリズムの収束時間との関係については、図6に示すシミュレーション結果が得られている。
このシミュレーション結果から、実施の形態1の波形等化部13においては、閾値が0.1に設定されている。
閾値を0.1より大きくすると、発散の確率はほとんどないが、発散しなかった場合の収束時間は、長くなる傾向にある。これは、D/U比の大きなパスに対してもタップ係数の初期値としてゼロが与えられるからと考えられる。
図6(b)は、レベル調整係数をパラメータとして発散の確率及び発散しなかった場合の収束時間をシミュレートした結果を示す図である。
レベル調整係数を0.5より大きくすると、発散の確率は高くなるが、収束時間は短くなる傾向にある。レベル調整係数が0.8付近が最も収束時間が短く、それ以上(0.8〜1.0)では収束時間が長くなる傾向にある。これは、相関演算の誤差の影響によるものと考えられる。
(1)1波マルチパス環境で、D/U比=0dBとする。遅延時間は、−20μsecから+40μsecとする。
(2)6波マルチパス(Ensemble A)環境に、さらに、ノイズ(C/N=15dB)を付加する。
(3)ノイズ妨害のみの環境(C/N=10dB、15dB)。
図7は、ATTCが発行する資料から、Ensemble A環境を規定する箇所の抜粋である。
以上説明したように、実施の形態1に係る波形等化部は、相関演算部からの各相関値をそのままタップ係数の初期値とするのではなく、初期タップ係数生成部106により変換された各相関値をタップ係数の初期値とする。
また、波形等化部は、トレーニング信号としてインパルスやM系列以外を採用した場合でも、適応アルゴリズムの収束時間の増大を防止することができる。インパルスやM系列以外の信号とは、例えば、無線LANのプリアンブルのように完全な(ROMテーブルでしか発生できないような)ランダム信号や、アナログテレビのGCR信号のように微分などのある操作を施すことによりインパルスに変換できるような信号などのことである。インパルスやM系列であれば、自己相関に明確な最大値が現れ、マルチパス妨害がない場合には、最大値の部分以外は比較的小さな値をとる。一方、これらのランダム信号などでは、マルチパス妨害がない場合にも最大値以外にインパルスなどと比べて大きな値が現れることがある。実施の形態1に係る波形等化装置は、このような場合でも、最大値以外の相関値をレベル調整し、また不要成分を除去することにより、最大値を明確にするとともに、マルチパス妨害の成分も明確にすることができるからである。
なお、初期タップ係数生成部106の内部は、正規化部110、不要成分除去部120、レベル調整部130という順番で配置されているが、これに限らず、配置の変換が行われてもよい。
(実施の形態2)
<概要>
実施の形態2では、波形等化部は、初期タップ係数生成部が生成した各相関値、及び、インパルス生成部が生成したインパルスのいずれかをタップ係数の初期値として選択する。波形等化部は、まず一方を選択してLMSアルゴリズムを走らせて、それで収束しなければ、他方を選択して改めてLMSアルゴリズムを走らせる。
<構成>
図8は、実施の形態2に係る波形等化部13の構成を示す図である。
図8の波形等化部は、図3の波形等化部に、選択部207、インパルス生成部208、収束判定部209及び制御部210を追加した構成となっている。これら以外の構成要素は、図3と同様なので説明を省略する。
インパルス生成部208は、インパルスを生成する。インパルスは、遅延時間0の相関値が1であり、それ以外の全ての遅延時間では相関値がゼロとなる信号である。したがって、タップ係数としてインパルスが採用される場合、入力信号x(k)は、フィルタ部101を通過してもそのまま出力される。すなわち、入力信号x(k)と出力信号y(k)とが等しい。また、これは、マルチパス妨害が全くない場合のタップ係数の最適値であるともいえる。
<制御部の動作>
上記構成によれば、タップ係数演算部103は、初期タップ係数生成部106又はインパルス生成部208からタップ係数の初期値を得ることができる。先にどちらから初期値を得るかは、波形等化部13の仕様により異なる。以下に、2通りの仕様における制御部210の動作をそれぞれ説明する。
制御部210は、最初に初期タップ係数生成部106からの各相関値をタップ係数演算部103に読み込ませる(ステップS201)。そのために、制御部210は、初期タップ係数生成部106とタップ係数演算部103とが接続されるように選択部207を制御する。それと共に、制御部210は、タップ係数演算部103に初期値の読み込みを促すロード命令を出力する。これにより、LMSアルゴリズムが開始される。
制御部210は、収束判定部209の判定結果を示す信号電圧を受け付けており、LMSアルゴリズムの開始から500msec経過後にLMSアルゴリズムが収束しているか否かを判定する(ステップS203)。
LMSアルゴリズムが収束していなければ(ステップS203、N)、制御部210は、次にインパルス生成部208からのインパルスをタップ係数演算部103に読み込ませる(ステップS204)。そのために、制御部210は、インパルス生成部208とタップ係数演算部103とが接続されるように選択部207を制御する。それと共に、制御部210は、タップ係数演算部103に初期値の読み込みを促すロード命令を出力する。これらにより、LMSアルゴリズムが改めて開始される。
初期タップ係数生成部106は、ほとんどの場合に収束時間の増大の防止に寄与すると考えられる。しかし、必ずしもタップ係数の最適値を与えるものではないので、LMSアルゴリズムが発散しないとも限らない。そこで、実施の形態2に係る波形等化部13は、500msec経過後に未だ収束していなければ、デフォルト値を初期値として与えて改めてLMSアルゴリズムを開始する。これにより、波形等化部13は、収束時間が決定的に長くなる事態を回避することができる。
制御部210は、最初にインパルス生成部208からのインパルスをタップ係数演算部103に読み込ませる(ステップS211)。そのために、制御部210は、インパルス生成部208とタップ係数演算部103とが接続されるように選択部207を制御する。それと共に、制御部210は、タップ係数演算部103に初期値の読み込みを促すロード命令を出力する。これらにより、LMSアルゴリズムが開始される。
制御部210は、収束判定部209の判定結果を示す信号電圧を受け付けており、LMSアルゴリズムの開始から500msec経過後にLMSアルゴリズムが収束しているか否かを判定する(ステップS213)。
LMSアルゴリズムが収束していなければ(ステップS213、N)、制御部210は、次に初期タップ係数生成部106からの各相関値をタップ係数演算部103に読み込ませる(ステップS214)。そのために、制御部210は、初期タップ係数生成部106とタップ係数演算部103とが接続されるように選択部207を制御する。それと共に、制御部210は、タップ係数演算部103に初期値の読み込みを促すロード命令を出力する。これらにより、LMSアルゴリズムが改めて開始される。
相関演算部105は、24.2msec毎に定期的に送出されてくるトレーニング信号を抽出して初めて各相関値を導出することができる。これは、タップ係数演算部103がタップ係数の初期値を得るのに、最大24.2msecが必要なことを意味する。したがって、第1の例では、タップ係数の初期値が与えられるまで、最大24.2msecの待ち時間が必要となる。第2の例では、そのような待ち時間が必要ない。
また、ステップS204又はS214において改めてLMSアルゴリズムが開始されるが、これでも収束しなければ、再度、ステップS201又はS211に戻ってもよい。
(実施の形態3)
<概要>
実施の形態3では、波形等化部は、初期タップ係数生成部におけるレベル調整係数を変更することができる。波形等化部は、あるレベル調整係数を用いてLMSアルゴリズムを開始し、それで収束しなければ、レベル調整係数を変更してLMSアルゴリズムを改めて開始する。
<構成>
図11は、実施の形態3に係る波形等化部13の構成を示す図である。
図11の波形等化部は、図3の波形等化部に、収束判定部209及び制御部310を追加した構成となっている。また、初期タップ係数生成部306の内部構成が若干異なる。これら以外の構成要素は、図3と同様なので説明を省略する。
初期タップ係数生成部306は、正規化部110、不要成分除去部120、レベル調整部330を備える。
図12の初期タップ係数生成部は、図4の初期タップ係数生成部と、レベル調整部の構成が若干異なる。これら以外の構成要素は、図4と同様なので説明を省略する。
<制御部の動作>
図13は、制御部310の動作を示す図である。
制御部310は、初期タップ係数生成部306からの各相関値をタップ係数演算部103に読み込ませる(ステップS302)。そのために、制御部310は、タップ係数演算部103に初期値の読み込みを促すロード命令を出力する。これにより、LMSアルゴリズムが開始される。
制御部310は、収束判定部209の判定結果を示す信号電圧を受け付けており、LMSアルゴリズムの開始から500msec経過後にLMSアルゴリズムが収束しているか否かを判定する(ステップS304)。
LMSアルゴリズムが収束していなければ(ステップS304、N)、制御部310は、レベル調整係数を一定の順番に従って変更し、初期タップ係数生成部306に与える(ステップS305)。これにより、初期タップ係数生成部306にそのレベル調整係数が設定される。
(実施の形態4)
<概要>
図1に示すように、波形等化部は、復調部の後段に配置される。復調部は、搬送波再生及びクロック再生を行うことにより、搬送波を復調してベースバンド信号を得る。このベースバンド信号が波形等化部の入力信号として入力される。
<構成>
図14は、実施の形態4に係る波形等化部13の構成を示す図である。
図14の波形等化部は、図3の波形等化部に、ピーク検出部411及び制御部410を追加した構成となっている。これら以外の構成要素は、図3と同様なので説明を省略する。
制御部410は、ピーク検出部411から送出されたタップ番号を複数回取得し、それが3回一致すれば、タップ係数演算部103にロード命令を与える。タップ係数演算部103は、ロード命令をトリガとして、初期タップ係数生成部106からタップ係数の初期値を受け付ける。
<制御部の動作>
図15は、制御部410の動作を示す図である。
トレーニング信号は、24.2msec毎に定期的に送出されている。制御部410は、トレーニング信号が抽出されるまで待機する(ステップS402)。
トレーニング信号が抽出されると、相関演算部105は相関演算を行う。ピーク検出部411は、相関演算部105が出力する各相関値のうちの最大の相関値と、それに対応するタップ番号とを検出する。検出されたタップ番号は、制御部410に送出される。制御部410は、送出されたタップ番号を記憶する(ステップS403)。
次のトレーニング信号が抽出されると、ステップS403と同様の処理により、タップ番号が制御部410に送出される。制御部410は、送出されたタップ番号を受けて、ステップS403で記憶したタップ番号と一致するか否か判定する(ステップS405)。
一致する場合には(ステップS405、Y)、制御部410は、カウンタの値「COUNT」をインクリメントする(ステップS406)。
制御部410は、カウンタの値「COUNT」が3以上であるか否か判定する(ステップS407)。
カウンタの値「COUNT」が3以上であれば(ステップS407、Y)、制御部410は、初期タップ係数生成部106からの各相関値をタップ係数演算部103に読み込ませる(ステップS408)。そのために、制御部410は、タップ係数演算部103に初期値の読み込みを促すロード命令を出力する。これらにより、LMSアルゴリズムが開始される。
なお、実施の形態4では、信頼性の有無を判定するカウンタの閾値を3としているが、この値に限るものではない。
なお、実施の形態4では、実施の形態1との組み合わせで説明しているが、この組み合わせに限らず、実施の形態2、3との組み合わせを採用してもよい。
(実施の形態5)
<概要>
実施の形態5に係る波形等化部は、搬送波再生及びクロック再生が完了していることを、最大の相関値が閾値を超えているか否かにより判定する。
<構成>
図16は、実施の形態5に係る波形等化部13の構成を示す図である。
図16の波形等化部は、図3の波形等化部に、ピーク検出部511及び制御部510を追加した構成となっている。これら以外の構成要素は、図3と同様なので説明を省略する。
制御部510は、相関演算部105が出力する各相関値を取得している。また、ピーク検出部511からのタップ番号により、最大の相関値を知ることができる。制御部510は、最大の相関値が800を超えていれば、タップ係数演算部103にロード命令を与える。タップ係数演算部103は、ロード命令をトリガとして、初期タップ係数生成部106からタップ係数の初期値を受け付ける。
<制御部の動作>
図17は、制御部510の動作を示す図である。
トレーニング信号が抽出されると、相関演算部105は相関演算を行う。ピーク検出部511は、相関演算部105が出力する各相関値のうちの最大の相関値と、それに対応するタップ番号とを検出する。タップ番号は、制御部510に送出される。制御部510は、そのタップ番号により最大の相関値を知ることができる。そして最大の相関値が、800を超えているか否か判定する(ステップS502)。
最大の相関値が800を超えている場合には(ステップS502、Y)、制御部510は、初期タップ係数生成部106からの各相関値をタップ係数演算部103に読み込ませる(ステップS503)。そのために、制御部510は、タップ係数演算部103に初期値の読み込みを促すロード命令を出力する。これにより、LMSアルゴリズムが開始される。
なお、実施の形態4に係る波形等化部は、搬送波再生及びクロック再生の完了後、少なくとも3回のトレーニング信号を得なければならない。一方、実施の形態5に係る波形等化部は、搬送波再生及びクロック再生が完了すれば、1回のトレーニング信号によりLMSアルゴリズムを開始することができる。したがって、実施の形態5が、実施の形態4よりも収束時間の短縮を図ることができる。
なお、実施の形態5では、実施の形態1との組み合わせで説明しているが、この組み合わせに限らず、実施の形態2、3との組み合わせを採用してもよい。
(実施の形態6)
<概要>
実施の形態6に係る波形等化部は、搬送波再生が完了していることを、搬送波再生に係るフィードバック信号に基づいて判定し、クロック再生が完了していることをクロック再生に係るフィードバック信号に基づいて判定する。
<構成>
図18は、復調部12の構成を示す図である。
搬送波再生部40は、ミキサ41、NCO(Numerical Controlled Oscillator)42、周波数誤差検出部43及びローパスフィルタ44からなり、同期検波を行う。周波数誤差検出部43は、NCO42の発振周波数と、搬送波の周波数との誤差を検出する。誤差は、ローパスフィルタ44により高周波成分が取り除かれ、フィードバック信号としてNCO42に入力される。NCO42は、フィードバック信号に基づき、発振周波数を搬送波の周波数に近づけるように調整する。このフィードバック信号が、搬送波再生において周波数の誤差を表す周波数誤差情報である。
位相誤差検出部53は、リサンプリングタイミング発生部52のクロック位相と、搬送波の位相との誤差を検出する。誤差は、ローパスフィルタ54により高周波成分が取り除かれ、フィードバック信号としてリサンプリングタイミング発生部52に入力される。リサンプリングタイミング発生部52は、フィードバック信号に基づき、クロック位相を搬送波の位相に近づけるように調整する。このフィードバック信号が、クロック再生において位相の誤差を表す位相誤差情報である。
図19は、実施の形態6に係る波形等化部13の構成を示す図である。
波形等化部13は、フィルタ部101、トレーニング信号生成部102、タップ係数演算部103、トレーニング信号抽出部104、相関演算部105、初期タップ係数生成部106、及び制御部610を備える。
制御部610は、搬送波再生部40からの周波数誤差情報と、クロック再生部50からの位相誤差情報とを10msec間隔で監視して、これらの変化率が10ppm未満になれば、タップ係数演算部103にロード命令を与える。タップ係数演算部103は、ロード命令をトリガとして、初期タップ係数生成部106からタップ係数の初期値を受け付ける。
図20(a)は、周波数誤差情報の挙動を示す図である。
処理開始時には、NCO42の発振周波数は、搬送波の周波数と乖離しているが、処理時間が経過するに従い近づいてくる。それとともに、発振周波数の変化率も小さくなる。この変化率が10ppm未満になれば、周波数再生が完了したとみなすことができる。
処理開始時には、リサンプリングタイミング発生部52の位相は、搬送波の位相と乖離しているが、処理時間が経過するに従い近づいてくる。それとともに、クロック位相の変化率も小さくなる。この変化率が10ppm未満になれば、クロック再生が完了したとみなすことができる。
<制御部の動作>
図21は、制御部610の動作を示す図である。
周波数誤差情報の変化率が10ppm未満とならなければ(ステップS601、N)、制御部610は、その変化率が10ppm未満となるまで待機する。
位相誤差情報の変化率が10ppm未満とならなければ(ステップS602、N)、制御部610は、その変化率が10ppm未満となるまで待機する。
なお、実施の形態6では、搬送波再生の完了を待った後に、クロック再生の完了を待っているが、これに限らない。例えば、これらの順番を逆にしてもよい。
なお、実施の形態6では、実施の形態1との組み合わせで説明しているが、この組み合わせに限らず、実施の形態2、3との組み合わせを採用してもよい。
また、本明細書では、LMSアルゴリズムについて説明しているが、本発明の適用はこれに限らない。例えば、改良型のLMSアルゴリズムや、CMAアルゴリズムなど、他の適応アルゴリズムを用いてもよい。
102 トレーニング信号生成部
103 タップ係数演算部
104 トレーニング信号抽出部
105 相関演算部
106、306 初期タップ係数生成部
110 正規化部
111 ピーク検出部
112 遅延部
113 演算部
120 レベル調整部
120 不要成分除去部
121 閾値保持部
122 比較部
123 セレクタ
130、330 レベル調整部
131 演算部
132 セレクタ
207 選択部
208 インパルス生成部
209 収束判定部
210、310、410、510、610 制御部
411、511 ピーク検出部
Claims (13)
- 適応フィルタを用いて入力信号の波形等化を行う波形等化装置であって、
入力信号からトレーニング信号を抽出する抽出手段と、
基準となるトレーニング信号を生成する生成手段と、
前記抽出手段により抽出されたトレーニング信号と、前記生成手段により生成されたトレーニング信号との相関演算により、前記適応フィルタの各タップに対応する相関値をそれぞれ導出する導出手段と、
前記導出手段により導出された最大の相関値以外の各相関値の最大の相関値に対する比率を、導出時における比率よりも小さく(0を除く)なるように変換した後に、全ての相関値を各タップ係数の初期値として前記適応フィルタに供給する供給手段と
を備えることを特徴とする波形等化装置。 - 前記供給手段は、
最大の相関値以外の各相関値に0.5以上1未満の係数を乗じることにより前記変換を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の波形等化装置。 - 前記供給手段は、
最大の相関値のみに1より大きく2以下の係数を乗じることにより前記変換を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の波形等化装置。 - 前記供給手段は、さらに、
最大の相関値に対する比率が閾値未満の各相関値を不要成分とみなして除去すること
を特徴とする請求項1に記載の波形等化装置。 - 前記閾値は、
0.05以上0.1以下であること
を特徴とする請求項4に記載の波形等化装置。 - 前記適応フィルタは、適応アルゴリズムにより各タップ係数を更新し、
前記波形等化装置は、さらに、
各タップ係数に相当するデフォルト値を予め保持している保持手段と、
前記供給手段が前記適応フィルタにタップ係数の初期値を供給してから所定時間後に、前記適応フィルタの出力信号に基づいて適応アルゴリズムが収束しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が否定的な判定をした場合に、前記保持手段に保持されている各デフォルト値を各タップ係数の初期値として前記適応フィルタに供給させる制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の波形等化装置。 - 前記デフォルト値は、入力信号が前記適応フィルタを通過しても当該入力信号を変化させない値であること
を特徴とする請求項6に記載の波形等化装置。 - 前記適応フィルタは、適応アルゴリズムにより各タップ係数を更新し、
前記波形等化装置は、さらに、
予め定められた各デフォルト値を各タップ係数の初期値として前記適応フィルタに与えてから所定時間後に、前記適応フィルタの出力信号に基づいて適応アルゴリズムが収束しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が否定的な判定をした場合に、前記供給手段に各タップ係数の初期値を供給させる制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の波形等化装置。 - 前記デフォルト値は、入力信号が前記適応フィルタを通過しても当該入力信号を変化させない値であること
を特徴とする請求項8に記載の波形等化装置。 - 前記適応フィルタは、適応アルゴリズムにより各タップ係数を更新し、
前記供給手段は、最大の相関値以外の各相関値を、最大の相関値に対する比率を第1の割合で小さくなるように変換し、
前記波形等化装置は、さらに、
前記供給手段が前記適応フィルタにタップ係数の初期値を供給してから所定時間後に、前記適応フィルタの出力信号に基づいて適応フィルタが収束しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が否定的な判定をした場合に、前記供給手段に第1の割合とは異なる第2の割合で小さくなるように変換させて各タップ係数の初期値として供給させる制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の波形等化装置。 - 前記入力信号は、複数のトレーニング信号を含んでおり、
前記波形等化装置は、さらに、
前記導出手段により導出された各相関値のうち最大の相関値に対応するタップを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に所定回数だけ同じタップが記憶されるまで、前記供給手段が各タップ係数の初期値を供給することを抑制する制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の波形等化装置。 - 前記波形等化装置は、さらに、
前記導出手段により導出された各相関値のうちの最大の相関値が、所定値を超えるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が肯定的な判定をするまで、前記供給手段が各タップ係数の初期値を供給することを抑制する制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の波形等化装置。 - 前記入力信号は、受信信号を復調する復調部において復調された後の信号であり、
前記波形等化装置は、さらに、
前記復調部における搬送波再生及びクロック再生が完了しているか否かを、搬送波再生における周波数の誤差、及びクロック再生における位相の誤差に基づいて判定する判定手段と、
前記判定手段が肯定的な判定をするまで、前記供給手段が各タップ係数の初期値を供給することを抑制する制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の波形等化装置。
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