JP4283158B2 - 有機多孔体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機多孔体の製造方法に関し、詳しくは、生体材料、更に詳しくは、生体内組織への補填や修復を目的とした有機多孔体を製造する方法に関する。
現在までに、有機物多孔体の製造方法は数多く開発されてきており、その方法としては、スプレー法や湿式紡糸法等で得られた繊維を溶着させる等により多孔体を得る方法であった。しかし、このような方法では、繊維を製造するための特別な装置が必要であった。
例えば、生体組織の修復や補填の材料として、生分解性樹脂であるポリ乳酸多孔体の製造方法として、特許文献1が挙げられる。この多孔体は、ポリ乳酸の繊維を溶着させて製造した多孔体であるため、生体内に埋入したときに材料周辺の生体組織や細胞等が侵入しやすい連通した気孔構造を有した材料であるため、非常に有用な材料と言える。しかし、この多孔体の製造方法においても、ポリ乳酸の繊維を製造する方法は、溶媒に溶解したポリ乳酸をスプレー装置で吹き付けて、多孔体シートを製造する方法であり、スプレー装置が必須となる。
特開2002-315819号公報
本発明が解決しようとする課題は、特殊な装置を用いることなく、簡便に繊維状有機物を含んだ多孔体や不繊布を製造することが出来る方法を提供することを目的とする。特に、生体材料としては、連通性の富んだ生分解性樹脂の多孔体を製造する方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、
(1) 有機物を溶媒に溶解してなる溶媒溶液と、水溶性高分子及び水溶性高分子凝結剤を含む水溶液とを混合して混合液を得る工程と、前記混合液を撹拌しつつ、前記混合液中の溶媒成分を除去する工程とを有する製造工程で得られた繊維状有機物同士を溶着させ
前記有機物が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリカプロラクトンより成る群から選択される少なくとも一種の重合体、及び/又は、乳酸、グリコール酸及びカプロラクトンよりなる群から選択される少なくとも一種のモノマーを繰り返し単位とする共重合体を含むことを特徴とする有機多孔体の製造方法であり、
(2) 前記溶着は、加熱又は溶解により繊維状有機物同士を結合することを特徴とする前記(1)に記載の有機多孔体の製造方法であり、
(3) 前記水溶性高分子がポリビニルアルコールであることを特徴とする前記(1)〜(2)に記載の有機多孔体の製造方法であり、
) 前記水溶性高分子凝結剤が縮合リン酸塩、及び硫酸塩より成る群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする前記(1)〜()のいずれか一項に記載の有機多孔体の製造方法であり、
) 前記縮合リン酸塩が、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、及びヘキサメタリン酸ナトリウムより成る群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする前記(4)に記載の有機多孔体の製造方法であり、
) 前記溶媒が塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、及び、酢酸エチルより成る群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする前記(1)〜()のいずれか一項に記載の有機多孔体の製造方法である。
本発明に係る有機多孔体の製造方法においては、有機物を溶媒に溶解してなる溶媒溶液と、水溶性高分子及び水溶性高分子凝結剤を含む水溶液とを混合して混合液を得る工程と、前記混合液を撹拌しつつ、前記混合液中の溶媒成分を除去する工程とから得られた繊維状有機物同士を溶着することを特徴とするので、従来技術であるスプレー法や湿式紡糸法等のような特別な装置を用いることなく、有機物を容易に繊維状にすることができる。更に言うと、本発明に係る有機多孔体の製造方法においては、水溶性高分子及び水溶性高分子凝結剤を含む水溶液と有機物を溶媒に溶解してなる溶媒溶液とを混合すると、溶媒溶液と水溶液とが分離した状態になるが、その後、撹拌することにより、水溶液中に溶媒溶液が球状の状態で分散するが、水溶性高分子と水溶性高分子凝結剤との働きにより次第に繊維状に分散する。その後に、徐々に溶媒が水溶液中に溶解し、揮発し、除去されることにより、溶媒中に溶解していた有機物が繊維状の形態を保ちながら析出し、水溶液中に繊維状に分散してなる有機物を得ることができる。得られた繊維状有機物は、濾過や遠心分離等により有機物と水溶液とを分離、乾燥することにより水溶液から取り出すことができ、これを溶着手段により繊維状有機物同士が結合した多孔体を製造することが出来る。このように、特別な装置を用いることなく、簡便に繊維状有機物同士が溶着した多孔体を製造できる。この発明の方法によると、繊維状に形成された有機物同士を溶着することによりブロック状に形成された多孔体とすることもでき、また、繊維状に形成された有機物を溶着することによりシート状に形成された多孔体とすることもできる。シート状の多孔体は、不繊布として取り扱うこともできる。
本発明における溶着としては、繊維状有機物が溶解又は融解により接着する手法であれば特に限定されないが、最も簡便な溶着の手法として、加熱成型による方法が好ましい。
この有機多孔体の製造方法においては、水溶性高分子として、水溶性の高分子であり、しかも水溶液中に共存する水溶性高分子凝結剤により溶媒と水溶液との界面でその高分子が凝結する限り、特に制限がなく、経済性という観点からポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールは、安価であるためである。又、生体材料として有機多孔体を使用した場合、その添加物である水溶性高分子が有機多孔体に残留した場合にも生体に対する安全性も比較的高いため添加剤として適している。
この有機多孔体の製造方法において、有機物が生分解性有機物であると、生体材料に用いる場合、生体中における吸収性の良好な有機多孔体を製造することができる。また、生分解性樹脂が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリカプロラクトンより成る群から選択される少なくとも一種の重合体、及び/又は、乳酸、グリコール酸及びカプロラクトンよりなる群から選択される少なくとも一種のモノマーを繰り返し単位とする共重合体を含む場合には、前記重合体及び共重合体の種類を適切に選択することにより、たとえば堅いものからスポンジ状のものまで多様な性状及び性質を有する有機多孔体を提供することができる。なお、生分解性樹脂は、これら以外の生分解性樹脂との混合物であっても良い。
この有機多孔体の製造方法において、水溶性高分子凝結剤としては、縮合リン酸塩、硫酸塩から成る群から選択させる少なくとも1種を含むのが好ましい。水溶性高分子凝結剤は、水溶液に添加した水溶性高分子を凝結させる働きがあるものであれば良い。この凝結作用によって、水溶性高分子とこの水溶性高分子凝結剤とを添加した水溶液に有機物を溶解させた溶媒溶液を入れ、撹拌した際に、分散した溶媒溶液表面に水溶性高分子の膜を形成することができ、その膜の粘性により撹拌されている溶媒溶液の形状が繊維状となり、その形状を保ったまま有機物が水溶液中に析出する。このような水溶性高分子凝結剤としては、水溶性高分子が凝結する作用のあるものであれば、良いが、特に、水溶性高分子としてポリビニルアルコールを使用した場合、その凝結作用が大きい、縮合リン酸塩及び/又は硫酸塩が好ましく、更には、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、及びヘキサメタリン酸ナトリウムより成る群から選択される少なくとも1種が好ましい。
この有機多孔体の製造方法において、前記溶媒が塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン及び酢酸エチルよりなる群から選択される少なくとも一種であると、これら溶媒は水に対して難溶性であるが、若干の溶解性を有しており、揮発温度が水よりも低いので、水溶液中に良好な分散状態でもって有機物を繊維状に析出させることができる。
本発明を実施するための最良の形態を以下に記述するが、本発明は以下の記述内容によって限定的に解釈されるべきではなく、明示の記載がなくても以下の記述と技術常識とに基づいて容易に想到乃至理解可能な範囲もまた本発明の開示内容とする。
本発明に係る有機多孔体の製造方法に従って、有機物を溶媒に溶解してなる溶媒溶液と、水溶性高分子及び水溶性高分子凝結剤を含む水溶液とを混合して混合液を得、次いで前記混合液を攪拌しつつ混合液中の溶媒成分を除去することにより得られた繊維状有機物を溶着させることによって、有機多孔体を製造することができる。このような製造方法によると、従来の公知の製造方法、例えばスプレー法や湿式紡糸法等により製造させる方法よりも簡便で特別な装置を用いることなく製造することができる。
このような従来にはなかった本発明の製造方法で得られた多孔体をブロック状に成型することもでき、またシート状に成型された多孔体は不繊布として使用することができる。
更には、本発明の製造方法によると、気孔率が高く、気孔径が10〜1000μmの範囲内に分布した気孔を含んだ連通性に富んだ気孔構造を有する多孔体とすることが可能である。このような気孔構造を有する多孔体は、特に、生体材料として生体内に多孔体を埋入した場合、多孔体内部に生体組織や細胞等が侵入しやすく、生体内で馴染みやすい材料となり、非常に有用である。
本発明における溶着としては、繊維状有機物同士の各接点で溶解溶着する程度の濃度や種類を選択した有機物の可溶性溶媒に浸し、繊維状有機物表面の一部を溶解して相互に接着させる溶着方法、及び繊維状有機物の表面の一部を溶融することにより繊維状有機物同士を接着結合させる溶着方法等を挙げることができ、これらの中でも加熱による溶着方法が好ましい。加熱することにより繊維状有機物の表面の一部を溶融することにより繊維状有機物同士を接着する溶着方法(この方法を加熱溶着方法と称することがある。)は、加熱手段を適宜に選択することにより実現可能であるから、簡易で好適な手法である。
更に、加熱溶着前に、可溶性粒子を添加することにより気孔率を制御しても良い。例えば、ショ糖や塩化ナトリウム等を繊維状有機物に添加し、加熱成形し、その後、水に浸す等の操作を行い、ショ糖や塩化ナトリウムなどの可溶性粒子のみを溶解させ、気孔を形成させる方法も挙げられる。
加熱温度は、繊維状有機物の種類によって相違するが、概括的にいうと繊維状有機物の軟化温度以上分解温度以下であり、通常50〜300℃に、特に100〜250℃が好ましい。
このような加熱温度範囲で加熱すると繊維状有機物同士の接触部を溶着させ、容易に連通した気孔構造を有した有機多孔体を製造することができる。
加熱温度は、その温度が低い場合には、繊維状有機物同士が溶着しないことがあり、したがって有機多孔体の強度が極端に低下し、ハンドリング性が悪くなることがあり、又、過度に高い場合には、有機物全体が溶融してしまうことがあり、気孔を維持することができなくなることがある。したがって、加熱温度は、繊維状有機物の種類や分子量等に応じて決定することができる。又、加熱は、成形と同時に行っても良いし、成形後に行っても良く、成形時には加圧しても良い。
成形は、この有機多孔体の用途に応じて所望の金型に繊維状有機物を充填し、前記加熱温度に加熱し、場合によっては更に加圧することにより、行われる。
前記有機物としては、特に、生体材料として用いる場合には、生体内で吸収される生分解性有機物が好ましい。
前記生分解性有機物としては、特に、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリカプロラクトンよりなる群から選択される少なくとも一種の重合体、又は、乳酸、グリコール酸及びカプロラクトンよりなる群から選択される少なくとも一種のモノマーを繰り返し単位として含有する共重合体を挙げることができる。これらは既述した理由により好適である。
有機物を溶媒に溶解してなる溶媒溶液を調製するのに使用される溶媒としては、水に僅かに溶解する溶媒であり、且つ、水よりも揮発温度が低い溶媒を好適例としてあげることができる。この溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン及び酢酸エチルよりなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
この溶媒溶液における有機物の濃度としては、通常、飽和濃度以下である。
この水溶液は、水溶性高分子を含有することが、必要である。水溶液に水溶性高分子が含有されていると、水溶液に含まれる水溶性高分子凝結剤とこの水溶性高分子の効果により、繊維状の有機物を析出させることができる。
水溶性高分子としては、特に、ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールは、安価であり、且つ、繊維状有機物に残留した場合にも生体に対する安全性も比較的高いため添加剤として適している。水溶性高分子の水溶液における含有量は、使用する水溶性高分子の種類や分子量により最適量が異なるため、特に制限しないが、通常0.001質量%〜10質量%が好ましい。
前記水溶性高分子凝結剤としては、縮合リン酸塩及び/又は硫酸塩が好ましい。特に、縮合リン酸ナトリウムや硫酸ナトリウムを使用するのが好ましい。水溶性高分子凝結剤の中には、水溶液中のpHにより効果が変わるものがあるため、水溶性高分子凝結剤を添加した水溶液にpH調節剤として、酸やアルカリを加えても良い。例えば、硫酸ナトリウムの場合は、アルカリにすることにより効果が発揮されるため、硫酸ナトリウムとともに水酸化ナトリウム等のアルカリを添加することが好ましい。
前記縮合リン酸塩としては、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、及びヘキサメタリン酸ナトリウム等を挙げることができる。水溶液に調製される縮合リン酸塩としては前記縮合リン酸塩の一種であっても、二種以上であっても良い。
水溶液における縮合リン酸塩の濃度としては、通常、0.001〜1Mである。濃度が低い場合には、有機物を繊維状にするといった効果が無く、又、濃度が高すぎると縮合リン酸塩の沈殿物が生成することがあって好ましくないことがある。
有機物を溶媒に溶解してなる溶媒溶液と水溶性高分子及び水溶性高分子凝結剤を含む水溶液との混合割合として、前記溶媒溶液の容積と前記水溶液の容積との比(容積比)は、通常、1:1〜1:500が好ましい。溶媒や有機物等の種類によって異なるが、このような容積比で前記溶媒溶液と水溶液とを混合すると、水溶液中に有機物が良好な繊維状となって析出させやすくなる。
本発明の方法においては、前記溶媒溶液と前記水溶液とを、通常では常温下で混合する。もっとも必要に応じて加温や冷却しながら前記溶媒溶液と前記水溶液とを混合しても良い。
前記溶媒溶液と前記水溶液とを攪拌下に混合しても、また、混合してから攪拌してもよい。いずれにしても前記溶媒溶液と前記水溶液とを混合してから十分に攪拌するのが良い。攪拌すると、水溶液中に有機物の溶解した溶媒が分散され、分散された状態でその溶媒のみが溶媒と水溶液との界面で徐々に溶解し、水よりも揮発温度の低い溶媒が水面から揮発していくことにより、溶媒溶液に溶解していた有機物の濃度が高まり、最終的には有機物が繊維状となって水溶液中に析出する。撹拌中は、常圧下又は減圧下に、加温しながら又は常温下に、行なわれる。撹拌には、スターラー等の撹拌装置を用いることができ、その撹拌速度により得られる繊維状有機物の長さを調節することができる。撹拌速度が速いほど、短い繊維状有機物が得られ、撹拌速度が遅いほど、長い繊維状有機物が得られる。
十分に攪拌し、溶媒が揮発した後に、水溶液に分散した繊維状有機物を濾過や遠心分離等により分離し、乾燥機等を用いて乾燥させる。有機物に生分解性樹脂を用いる場合には、加温により分解することがあるため、減圧乾燥を行うのが好ましい。
更には、化学一般の洗浄手法乃至精製手法に従って精製することもできる。例えば、繊維状有機物を純水で十分に洗浄した後、乾燥を行うことにより、表面に付着した水溶性高分子等が除去された繊維状有機物が得られ、最終的な有機多孔体内に水溶性高分子を残留させないようにすることも出来る。
本発明の製造方法で得られた有機多孔体は、骨形成因子等の薬剤を担持させ、DDSとして使用しても良く、又、細胞等を担持や培養した後に使用するような再生医療用担体として使用しても良い。又、本発明の有機多孔体は、顆粒状やブロック状やシート状等に適用部位に応じた形状で使用することもできる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は実施例の内容に限定するものではない。
(実施例1)
塩化メチレン15mLに平均分子量16万のポリ乳酸1gを溶解させて溶媒溶液を調製し、この溶媒溶液を、0.1Mのトリポリリン酸ナトリウムと0.01質量%の平均分子量22000のポリビニルアルコールとを添加してなる水溶液500mLに、添加した。24時間撹拌した後に、この水溶液を濾過し、純水で洗浄し、減圧デシケーター中で乾燥させた。得られたポリ乳酸は、長さが約100μm〜2mmの繊維状であった。これを直径6mm高さ5mmの型に充填し、175℃で加熱処理を行った後、冷却し、有機多孔体を得た。この有機多孔体のSEM写真を図1として示した。得られた多孔体の気孔率は、74%であった。又、水銀ポロシーメーターで気孔径を測定したところ、平均気孔径98μmであり、良好な多孔体が製造できることを確認した。更には、生体材料として用いた場合、生体組織や細胞等が侵入しやすいと言われる10μm以上の気孔体積が、気孔全体の体積の96%を占めていることが分かった。
(実施例2)
塩化メチレン15mLに平均分子量16万のポリ乳酸1gを溶解させて溶媒溶液を調製し、この溶媒溶液を、0.1Mトリポリリン酸ナトリウムと0.01質量%の平均分子量1500のポリビニルアルコールとを添加してなる水溶液500mLに、添加した。24時間撹拌した後に、この水溶液を濾過し、純水で洗浄し、減圧デシケーター中で乾燥させた。得られた繊維状ポリ乳酸は、平均長さが約1mmであった。これを直径6mm高さ5mmの型に充填し、175℃で加熱処理を行った後、冷却し、有機多孔体を得た。得られた多孔体の気孔率は、80%であった。又、水銀ポロシーメーターで気孔径を測定したところ、平均気孔径85μmであり、良好な多孔体が製造できることを確認した。又、10μm以上の気孔径の体積が、気孔全体の体積の91%を占めることが分かった。
(実施例3)
塩化メチレン15mLに平均分子量16万のポリ乳酸1gを溶解させて溶媒溶液を調製し、この溶媒溶液を、0.2M硫酸ナトリウムと0.01質量%の平均分子量22000のポリビニルアルコールとpH調節剤として水酸化ナトリウムを添加してなる水溶液500mLに、添加した。この時の水溶液のpHは9であった。24時間撹拌した後に、この水溶液を濾過し、純水で洗浄し、減圧デシケーター中で乾燥させた。得られた繊維状ポリ乳酸は、平均長さが約0.5mmであった。これを直径6mm高さ5mmの型に充填し、175℃で加熱処理を行った後、冷却し、有機多孔体を得た。得られた多孔体の気孔率は、65%であった。又、水銀ポロシーメーターで気孔径を測定したところ、平均気孔径38μmであり、良好な多孔体が製造できることを確認した。又、10μm以上の気孔径の体積が、気孔全体の体積の85%を占めることが分かった。
(比較例1)
この例では、水溶性高分子凝結剤を用いなかった。
塩化メチレン15mLに平均分子量16万のポリ乳酸1gを溶解させて溶媒溶液を調製し、この溶媒溶液を、平均分子量22000のポリビニルアルコールを0.01質量%添加してなる水溶液500mLに、添加した。24時間撹拌した後に、この水溶液を濾過し、純水で洗浄し、減圧デシケーター中で乾燥させた。得られたポリ乳酸の形状は、球状や不定形の混合物であり、繊維状のポリ乳酸は得られなかったため、繊維状ポリ乳酸で構成された多孔体を得ることが出来なかった。
(比較例2)
この例では、水溶性高分子を用いなかった。
塩化メチレン15mLに平均分子量16万のポリ乳酸1gを溶解させて溶媒溶液を調製し、この溶媒溶液を、0.1Mのトリポリリン酸ナトリウムを添加してなる水溶液500mLに、添加した。24時間撹拌した後に、この水溶液を濾過し、純水で洗浄し、減圧デシケーター中で乾燥させた。得られたポリ乳酸の形状は、不定形であり、繊維状のポリ乳酸は得られなかったため、繊維状ポリ乳酸で構成された多孔体を得ることが出来なかった。
以上の結果より、本発明のように水溶性高分子と水溶性高分子凝結剤を含む水溶液を用いることにより、特殊な装置を用いることなく、簡便に繊維状有機物が得られ、これらを溶着することにより、容易に有機多孔体を得ることが出来る。更には、得られた多孔体は、その気孔構造が生体材料として有用であることも確認できた。つまり、生体材料として生体内に埋入した際には、本発明の多孔体の内部に生体組織や細胞等が侵入し、生体と馴染み、更には、生分解性樹脂を用いることで、生体内で徐々に吸収される材料となり、非常に有用な生体材料となり得る製造方法である。
図1は実施例1で得られた有機多孔体を示すSEM写真である。

Claims (6)

  1. 有機物を溶媒に溶解してなる溶媒溶液と、水溶性高分子及び水溶性高分子凝結剤を含む水溶液とを混合して混合液を得る工程と、前記混合液を撹拌しつつ、前記混合液中の溶媒成分を除去する工程とを有する製造工程で得られた繊維状有機物同士を溶着させ
    前記有機物が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリカプロラクトンより成る群から選択される少なくとも一種の重合体、及び/又は、乳酸、グリコール酸及びカプロラクトンよりなる群から選択される少なくとも一種のモノマーを繰り返し単位とする共重合体を含むことを特徴とする有機多孔体の製造方法。
  2. 前記溶着は、加熱又は溶解により繊維状有機物同士を結合することを特徴とする前記請求項1に記載の有機多孔体の製造方法。
  3. 前記水溶性高分子がポリビニルアルコールであることを特徴とする前記請求項1又は2に記載の有機多孔体の製造方法。
  4. 前記水溶性高分子凝結剤が縮合リン酸塩、及び硫酸塩より成る群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機多孔体の製造方法。
  5. 前記縮合リン酸塩が、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、及びヘキサメタリン酸ナトリウムより成る群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする前記請求項に記載の有機多孔体の製造方法。
  6. 前記溶媒が塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、及び、酢酸エチルより成る群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする前記請求項1〜のいずれか一項に記載の有機多孔体の製造方法。
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